JP5785473B2 - ディスクブレーキ用軽量中空ピストンの製造方法 - Google Patents

ディスクブレーキ用軽量中空ピストンの製造方法 Download PDF

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本発明は、自動車等の制動に使用されるディスクブレーキ用部品のひとつであるカップ形状をした中空ピストンの外周部にダストブーツを挿入する溝を冷間鍛造とスピニングで成形することにより、座屈に対する危険断面部の強度を高めることで、ピストンの軽量化が可能となる中空ピストンとその製造方法に関する。
図1にディスクブレーキの模式図を示す。通常、ディスクブレーキは図1に示すように、カップ状の中空ピストン1(以下単にピストンともいう)はキャリパー2内に挿入される。キャリパー2内には、油圧シール3が設けられていて、油4を出し入れすることでピストン1は図1の水平方向に移動し、パッド5を通じて車軸に連結したディスク6を押し付けて車両を制動させる。キャリパー内に異物が混入しないようにダストブーツ7がピストンに設けられた溝部に挿入されている。また、ブレーキ自体の軽量化のためにピストンは中空のカップ形状となっている。この様なディスクブレーキ用のピストンはディスクへの押し付け力に耐え、かつ軽量であることが要望されている。
カップ形状であるピストンは従来から冷間鍛造によって製造されている。図2(a)〜(c)にその成形方法を示すが、(a)に示す所定の長さの鋼棒8を素材として、(b)に示すように冷間鍛造にてカップ状部品9にカップ成形し、(c)に示すようにダストブーツが挿入される溝部10は切削により成形される。ピストンは図1に示されるように油圧によりパッドを通じてディスクに押し付けられることから、ピストンの側壁部には座屈強度が必要である。座屈はピストン溝部の肉厚が最も薄い部分で発生し、一般にこの様な最弱部を危険断面部と称している。溝部の座屈強度はその肉厚と、鋼材の強度で決定される。溝部を切削のみにより成形する場合は、溝部の強度は側壁部のそれと同じである。一方、ピストンの側壁部の強度は加工前の鋼材強度に、塑性加工時に導入され加工ひずみによる加工硬化分がプラスされる。図2の工程では、溝部の危険断面部に導入される加工ひずみは、カップ状に冷間鍛造する際の加工ひずみのみである。従って、この従来方法にてピストンを軽量化するには、高強度な鋼材を用いて冷間鍛造成形することで、溝部の危険断面部の強度を確保することになる。強度の高い鋼材を用いた冷間鍛造成形では、冷間鍛造で用いられる金型への負荷が大きくなり、金型の早期破損や、金型寿命の低下を招くことになる。
そこで溝部を塑性加工で成形することで危険断面部の鋼材を加工硬化させることにより強度を確保する方法が考えられた。塑性加工のみで成形すると、溝部には連続した鍛流線が残留する。一方、溝部を切削で成形すると、カップ状に冷間鍛造した時の鍛流線が切断される。鍛造品は鍛流線が連続していることで強度が上昇する。従って、溝部を切削でなく塑性加工により成形することは連続した鍛流線を切断させないという観点からも溝部の高強度化に有効である。
溝部を塑性変形させて成形することが特許文献1に記載されている。特許文献1は鋼板から塑性加工のひとつであるスピニングにてカップ状部品を成形し、その後、溝部もスピニングで成形することが記載されている。カップ状部品をスピニングにて成形することで冷間鍛造に必要な焼鈍や潤滑処理を省略できることが記載されている。しかし、特許文献1にて成形されるピストン形状は従来の冷間鍛造と切削で成形される部品形状と同じである。まして、スピニングによる溝部の加工硬化に関する記載は無く、軽量化効果の記載もない。これはスピニング成形だけで導入される加工ひずみが小さいために加工硬化量が小さく、溝部の強度上昇が期待できないためと思われる。
また、スピニングにてピストンに類似したカップ状部品を鋼板から成形することが特許文献2に記載されているが、危険断面となる溝部の成形方法に関する記載は無い。
特許文献3には、中空円筒のピストンの一部をスピニングにより塑性加工することが記載されているが、特許文献1と同様、強度が必要となる溝部は切削により成形するものであり、加工硬化を利用することによる強度向上に関する記載は見られない。
特開2002−70902号公報 特開2001−25825号公報 特開2002−59318号公報
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、冷間鍛造とスピニングを組み合わせてピストン溝部を加工硬化させることにより、側壁部の肉厚が薄くてもピストンの座屈強度を確保可能とした軽量ピストンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、溝部を有する中空ピストンを成形する際、鋼棒素材を冷間鍛造にてカップ状に成形した後、冷間鍛造にてカップ開口部に圧縮加工を加え製品の溝部に該当する位置の肉厚を厚くした後に、スピニングにて溝部を成形することで溝部に大きな加工ひずみを導入することができ、座屈強度向上とピストンの軽量化が同時に達成可能となることを見出して、本発明を完成した。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)ディスクブレーキ用の、外周部に溝を有するカップ状ピストンの製造方法において、鋼棒を冷間鍛造にてカップ状部品に成形した後、さらに冷間鍛造にてカップ状部品開口部に圧縮加工を加え、溝部に該当する位置の肉厚を厚くし、さらにその後、肉厚を厚くした位置にスピニング成形を施して溝部を成形する際に、カップ状部品開口部の圧縮加工と溝部を成形するスピニング加工によって対数ひずみで0.18〜1.10の加工ひずみを溝部に加え、ピストンの外径をd1、内径をd2、側壁部の肉厚をt1とし、溝部の最小肉厚をt2、溝部の最大肉厚をt3とするとき、下記(1)式で示される定数aが0.85以下であって、t2はt1の0.5〜1.0倍、t3はt1の0.9倍以上、t2部の断面中心硬さ(HV)がt1部の硬さ(HV)の1.1〜1.3倍とすることを特徴とする軽量ピストンの製造方法。
a=(d2/d1) ・・・ (1)
本発明によれば、溝部を有する中空ピストンを成形する際、カップ状に冷間鍛造成形した後、カップ開口部に圧縮加工を加えた後、溝部をスピニングにて成形することで側壁部の肉厚t1,溝部の肉厚t2,t3が所定の範囲であり、かつ座屈時の危険断面となる溝部の最も肉厚が薄いt2部の硬さが所定の範囲にあることで、座屈強度向上とピストンの軽量化が同時に達成可能となる。
ディスクブレーキにおけるピストンの役割を示す模式図である。 冷間鍛造と切削による従来からのピストン成形方法を(a)〜(c)に示す図である。 冷間鍛造とスピニングを組み合わせた本発明の成形方法を(a)〜(d)に示す図である。 ピストンの形状を示す図で、(a)は本発明で成形されたピストンの形状を示し、d1はピストンの外径、d2はピストンの内径、t1は側壁部の肉厚を示す。t2,t3は溝部の形状で、t2は溝部で最も肉厚が薄い部分、t3は溝部で最も肉厚が厚い部分の肉厚を示す。(b)は従来の方法で成形されたピストンの形状を示し、t1は側壁部の肉厚を示し、t4は溝部で最も肉厚が薄い部分の肉厚を示す図である。 試作したピストンの座屈試験結果の一例を示す図である。
以下、本発明を適用した、溝部を有するカップ状ピストンとその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
図2(a)〜(c)に示す様に、従来法では(a)に示すピストンと外径d1がほぼ同じ鋼棒8を素材として用い、これを(b)に示すようにカップ状部品9に冷間鍛造成形し、その後、(c)に示すようにこのピストン外周部に溝部10を切削により成形している。鋼材は塑性加工時の加工ひずみによって加工硬化するが、従来法で導入される加工ひずみはカップ状成形する時だけであり、その加工ひずみεはε=−ln(1−(d2/d1))で算出される。即ち、d1とd2の比で算出され、d2が大きくなると加工ひずみが大きくなる。図2の従来法では、強度が必要となる溝部の硬さはこの塑性加工時の加工ひずみのみによって決定される。
一方、本発明の製造工程が図3(a)〜(d)に示される。(a)に示すピストンと外径d1がほぼ同じ鋼棒8を素材として用い、これを(b)に示すようにカップ状部品9に冷間鍛造成形した後、(c)に示すようにカップ開口部をさらに冷間鍛造である圧縮加工することにより、カップ開口部付近の内径をφd2からφd3へ加工して、溝部成形部(肉厚部)11を形成する。さらに、(d)に示すように溝部10をφd4へスピニングにより成形する。これらの加工によって導入される加工ひずみは、カップ成形時の加工ひずみε1=−ln(1−(d2/d1))と、カップ開口部の圧縮加工時の加工ひずみε2=ln(d3/d2)と、スピニングによる加工時の加工ひずみε3=ln(d4/d3)との合計となり、従来法に比べてε2+ε3分の加工ひずみがより多く導入され、その分鋼材の加工硬化によって溝部の強度が大きくなる。ピストンが座屈するのは溝部の肉厚が最も薄い部分であることから、溝部の強度を向上できる分、t1の肉厚を薄くすることができ、軽量化が可能となる。
図4に示すように、ピストンの外径をd1、内径をd2、とするとき、下記(1)式で示すaは、カップ成形時の加工の厳しさを表すパラメーターである。
a=(d2/d1) ・・・ (1)
aは、0.55〜0.85であることが必要である。d1はほぼ素材径でもあることからt1が小さくなる、即ち、aが大きくなることは、t1の肉厚が薄くなりカップ成形が厳しくなることである。aが0.85を超えるような加工では加工が厳しく、金型への負荷が大きくなる。そのため、aの上限を0.85とする。
aの下限は、特に限定するものではないが、0.55未満より小さいディスクブレーキ用のピストンは見られない。aは、0.55以上であることが好ましい。
溝部の肉厚が最も薄いt2部の断面中心硬さ(HV)がt1部のそれの1.1倍以上であることが必要である。ここで、断面中心硬さとは、カップ状ピストンの長さ方向の切断面(図4の切断面)において、t2部における肉厚の中心に硬さ計で測定した硬さのことである。
溝部の硬さとしてt2部の断面中心硬さを規定するのは、溝部の最も肉厚が薄い部分、即ちt2部がピストンをディスクに押し付けたときの危険断面となるからである。従って、座屈強度を確保しつつピストンを軽量化させるにはこのt2部が加工硬化していることが必要であり、その加工硬化量がt1部より1.1倍以上必要である。一方、1.3倍超にするには、スピニング時にt2を薄くする必要がある。スピニング時に座屈が発生する可能性がでてくるため、上限を1.3倍とする。よって、1.1倍〜1.3倍の範囲とする。
硬さの測定箇所としては側壁部の長さ方向(図4の上下方向)の中央部が適切であり、t1部、t2部とも断面の厚さ方向の中心硬さを測定するものとする。硬さとしてはビッカース硬さ(HV)が適切である。
溝部の最小肉厚t2,溝部の最大肉厚t3と側壁部の肉厚t1との関係において、溝部最小肉厚t2を、t1の0.5〜1.0倍としているが、t2がt1の0.5倍より小さいとt2の肉厚が薄く座屈してしまうためである。一方t2がt1の1.0倍より大きいと軽量化効果が少ないからである。
溝部最大肉厚t3をt1の0.9倍以上としている。カップ上部の圧縮加工とスピニングによって溝部が成形されるが、t3がt1の0.9倍以上となる様に加工されていないと十分な加工ひずみが付与されず、ピストンがディスクに押し付けられる際に座屈が発生してしまう。一方、上限は特に設けないが、1.8倍より厚くしても座屈強度の向上効果は小さい。
本発明は図3(a)〜(d)に示すように、鋼棒素材を冷間鍛造にてカップ状部品にカップ成形した後、冷間鍛造にてカップ状部品の開口部に圧縮加工を加え製品(ピストン)の溝部に該当する位置の肉厚を厚くする。その後、スピニングにて溝部を成形することで溝部に大きな加工ひずみを導入することができる。これにより、溝部の最も肉厚が薄い部分が加工硬化して座屈強度を確保することができ、また、薄肉化が可能となるので、軽量ピストンとすることが可能となる。
カップ状に成形する方法としては冷間鍛造の他に特許文献1、特許文献2の様にスピニングでも成形可能である。しかし、本発明ではカップ成形後にカップ開口部を冷間鍛造によって圧縮加工を行うことから、カップ成形とカップ開口部の圧縮加工を連続的に加工することを考慮し、本発明では冷間鍛造によってカップ状に成形している。従って、生産性の効率化を考えないのであればカップ成形をスピニングで行い、その後カップ開口部の圧縮加工を冷間鍛造にて行うことも可能である。
カップ成形後カップ開口を冷間鍛造にて圧縮加工を行うのは、溝部の最小肉厚t2を確保するためと、溝部に加工ひずみを導入するためである。圧縮加工を加えず、カップ成形後スピニングのみで溝部を成形しても溝部の最小肉厚が確保できず、また所定の加工ひずみを溝部に導入できない。
カップ開口部の圧縮加工とスピニングでの加工ひずみによって溝部に対数ひずみで0.18以上の加工ひずみを導入させるのは、これ以上の加工ひずみを加えないと座屈に抗する強度を確保ができないからである。なお、本発明での加工ひずみは溝部の内径変化で算出され、図3において、カップ成形後の内径をd2とすると、カップ開口部の圧縮加工時とスピニング加工によって内径d4へ加工されたとき、加工ひずみはln(d2/d4)で算出される。一方、この加工ひずみが1.10以上になると、圧縮加工及びスピニングでの負荷荷重が大きくなりすぎる。したがって、0.18〜1.10とする。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
被加工材としてJIS G4051(1979年)機械構造用炭素鋼S10C(C:0.11質量%、Si:0.22%,Mn:0.45%,P:0.021%,S:0.010%)を用いた。圧延材を焼準(900℃熱処理後空冷)することで鋼材のビッカース硬度はHV122であった。本被加工材を用い、形状が異なる種々のピストン形状のものを作成した。図4に示すように、本発明例、比較例とも溝部は深さ2mm、高さ3mm一定とし、カップ上端から5mmの位置に設けた。成形品の高さHは外径d1と同じとし、カップ底部の肉厚は5mmとした。冷間鍛造後、溝部を切削で成形した従来法でのピストンも成形した。
冷間鍛造は8000kNのクランク鍛造機を用いた。スピニング成形にはCNCスピニングマシンを用い、先端R0.2〜0.8のロールを用いて成形した。
また、成形後、製品を長手方向に切断し、切断面を研磨した。溝部t2部肉厚中心部、側壁部t1部肉厚中心部の硬さをビッカース硬さ計にて測定した。ビッカースの荷重は5kg(49N)であり、長手方向に3点測定し、平均値を求め、断面中心硬さとした。
成形したピストンの座屈荷重を測定するため、ピストンをカップ開口端から圧縮する圧縮試験を行った。圧縮試験には500kNの油圧試験機を用いて行った。圧縮試験結果の一例として、図5に本発明例No.3での荷重−変位線図を示す。荷重と変位の関係が直線関係から外れる点を座屈荷重とし、図5では座屈荷重は231kNであった。
表1に成形品形状、断面中心硬さ、座屈荷重、製品の重量を示す。金型負荷として図3(b)の様にカップ状部品に成形した時の鍛造荷重とパンチ面圧を示す。パンチとはカップ形状の内径側を成形する金型であり、パンチへの面圧としては3000MPa以下であることが望ましい。
No.1〜No.7、No.9〜No.15が本発明例であり、No.1〜No.6は外径d1が60mm、No.7、No.9〜No.10はd1が38mm、No.11〜No.13はd1が80mm、No.14〜No.15はd1が30mmの場合である。
本発明ではパンチ面圧がいずれも3000MPaより小さい。
また、座屈荷重もd1が60mmの場合208kN以上、d1が38mmで106kN以上、d1が80mmで359kN以上、d1が30mmで63kN以上となっている。
No.16〜No.22、No.24〜No.31が比較例である。
No.16〜No.20は冷間鍛造によるカップ状部品に成形後、カップ状部品の開口面を冷間鍛造で圧縮を加えた後に、溝部をスピングで成形する本発明方法の場合であるが、肉厚t2、t3等が本発明の条件と異なる。
No.16は肉厚t2が薄い場合であり、重量は482g、座屈荷重は198kNである。外径d1が60mmの本発明方法で座屈荷重が最も小さい同じNo.1の座屈荷重は208kNとNo.16より座屈荷重が大きいにもかかわらず、その重量は337gであり、145gと30%も軽量であるが、座屈荷重は231kNと約14%も座屈荷重が大きい。即ち、No.16は本発明に対して、その重量の割に座屈荷重が低い。
No.17は肉厚t2が厚い場合である。座屈荷重は226kNであり、その重量は396gである。外径d1が60mmと同じ本発明例No.3はその重量が404g、座屈荷重は231kNと座屈強度はやや高いが、重量に大差なく、肉厚t2が肉厚t1との間で1.0倍超となると、座屈荷重向上効果が小さい。
No.18は肉厚t2、及びt3も薄い場合である。溝部はカップ開口部の圧縮加工とスピニングで成形されるが、それらの加工ひずみが0.91と小さいため、溝部のt2位置の硬さが小さく、座堀荷重は246kNである。No.18とほぼ同じ座堀荷重である本発明例No.5に比べて134gも重い。
No.19は肉厚t3のみが薄い場合である。No.18に比べて肉厚t2は所定の厚みとなっている。しかし座屈荷重は252kNであり、外径d1が同じで座屈荷重が278kNと近いNo.6に比べて重量は144g、25%も重い。
No.20は外形d1が80mmで肉厚t2、及びt3も薄い場合であり、座屈荷重333kN、重量765gである。外形d1が80mmで座屈荷重が359kNのNo.11に比べて重量は89g、と11%も重い。
No.21、No.22はカップ成形後、カップ開口部の圧縮加工を行わず、そのままスピニングにより溝部を成形した場合である。そのため、肉厚t2、t3とも薄い。
No.21は外径d1が60mmであるが、同じ外径d1が60mmであり座屈荷重が最も小さいNo.1と比較し、製品重量は370gと33g、9%以上重いにもかかわらず、座屈荷重は169kNと19%も低い。
No.22は外径d1が38mmであるが、同じ外径38mmである本発明例No.7と比較し、重量はほとんど変わらないが、座屈荷重は92kNと約13%も小さい。
No.24〜No.31は、図2の様にカップ成形のみ冷間鍛造で行い、溝部を切削による従来法で成形したものである。
No.24〜No.26は外径d1が60mmの場合であるが、座屈荷重は197kN以下と同じ外径d1が60mmである本発明例No.1〜No.6に比べて低い。No.26の座屈荷重197kNとNo.24、No.25に比べて大きいが、重量が568gである。No.1は座屈荷重208kNであるが重量は337gと249g、42%も小さく、本発明法により軽量化が可能となっている。
No.27,No.28は外径d1が38mm、No.29〜No.31が外径80mmの場合であるが、同じ外径の本発明例に比べて座屈荷重が低い。No.30の座屈荷重は336kNと高いが、t1の肉厚が9.0mmと厚いからであり、t1の肉厚が8.0mmである本発明例No.13と比較すると、No.30は重量が1367gとNo,13より29g、20%も重いが、座屈荷重は40%も低い。
以上、実施例により本発明の効果を説明してきたが、本発明により座屈荷重を向上しつつピストンを軽量化できる。
1 中空ピストン
2 キャリバー
3 油圧シール
4 油
5 パッド
6 ディスク
7 ダストブーツ
8 棒鋼
9 カップ状部品
10 溝部
11 溝部成形部
d1 外径
d2 内径
t1 側壁部の肉厚
t2 溝部の最小肉厚
t3 溝部の最大肉厚

Claims (1)

  1. ディスクブレーキ用の、外周部に溝を有するカップ状ピストンの製造方法において、鋼棒を冷間鍛造にてカップ状部品に成形した後、さらに冷間鍛造にてカップ状部品開口部に圧縮加工を加え、溝部に該当する位置の肉厚を厚くし、さらにその後、肉厚を厚くした位置にスピニング成形を施して溝部を成形する際に、カップ状部品開口部の圧縮加工と溝部を成形するスピニング加工によって対数ひずみで0.18〜1.10の加工ひずみを溝部に加え、ピストンの外径をd1、内径をd2、側壁部の肉厚をt1とし、溝部の最小肉厚をt2、溝部の最大肉厚をt3とするとき、下記(1)式で示される定数aが0.85以下であって、t2はt1の0.5〜1.0倍、t3はt1の0.9倍以上、t2部の断面中心硬さ(HV)がt1部の硬さ(HV)の1.1〜1.3倍とすることを特徴とする軽量ピストンの製造方法。
    a=(d2/d1) ・・・ (1)
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