JP5783574B2 - 鏡板の成形方法及び装置 - Google Patents
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この鏡板の筒状胴部への固着方法として、鏡板の円筒部に面板部側から環状の膨出部及び端部側を縮径させたテーパ部を形成し、テーパ部を筒状胴部の開口端部に当接させ、この当接部を溶接する方法が汎用されている。
しかしながら、プレス加工による成形方法では、膨出部及びテーパ部の成形精度が低くなりやすく、この場合、テーパ部を筒状胴部の開口端部に当接させたときの当接部の位置が一定しないこととなる。
そして、当接部の位置が一定しない鏡板と筒状胴部とを自動溶接機を用いて溶接すると、当接部と自動溶接機の溶接位置とが一致しない箇所が生じ、溶接不良が発生するという問題があった。
この第1工程に使用するスピニング加工機S1は、回転駆動機構(図示省略)によって回転駆動される主軸80と、内径が鏡板Wの円筒部Wbの外径よりも僅かに大きく内底面には鏡板Wの曲面状の面板部Waが当接する曲面状の当り面が形成され、開口端部の内周面に、外側に向かってテーパ状に拡径する拡径部81aが形成された主軸80に配設される円筒状の型81と、主軸80に対向して配設される挟持機構82と、挟持機構82によって型81との間に挟持された鏡板Wの円筒部Wbの端部を拡径部81aに押し当てる押圧ローラ83aを備えた押圧機構83とから構成されている。
そして、鏡板Wを、型81と挟持機構82とで挟持し、主軸80、型81及び挟持機構82と共に回転させ、押圧ローラ83aを鏡板Wの円筒部Wbの端部側に押し当てることで、円筒部Wbの端部側(鏡板の開口端部)に型81の拡径部81aに倣ったテーパ部を成形する。
次に、図5(b)に示すように、第1工程で成形した鏡板Wの円筒部Wbに形成したテーパ部に面板部Wa側から環状の膨出部及び端部側を縮径させたテーパ部を成形する第2工程を実施する。
この第2工程に使用するスピニング加工機S2は、回転駆動機構(図示省略)によって回転駆動される主軸90と、内径が鏡板Wの円筒部Wbの外径よりも僅かに大きく内底面には鏡板Wの曲面状の面板部Waが当接する曲面状の当り面が形成され、装着した鏡板Wの外周側に空間が形成される深さの円筒状の保持部材91と、主軸90に対向して配設される挟持機構92と、挟持機構92によって保持部材91との間に挟持された鏡板Wの円筒部Wbの端部に膨出部及びテーパ部を成形する押圧ローラ93aを備えた押圧機構93と、主軸90の軸心を境として押圧機構93と同じ領域に配設される外周面に突条部94aと縮径部94bとを備えた型ローラ94とから構成される。
型ローラ94は、挟持機構92の軸部92Aに主軸90の軸心と直交する方向に配設され、挟持機構92と共に主軸90の軸心と平行に移動し、第1工程で成形されたテーパ部に、突条部94aが内周面側から当接する。
そして、第1工程でテーパ部が成形された鏡板Wを保持部材91と挟持機構92で挟持し、型ローラ94がテーパ部に当接した状態で、主軸90、保持部材91、挟持機構92及び型ローラ94と共に回転させ、押圧機構93の押圧ローラ93aを、型ローラ94を当接させた位置に対応する円筒部Wbの外周面に押し当てて、円筒部Wbの端部側を型ローラ94の突条部94a及び縮径部94bに倣った膨出部及びテーパ部となるように成形するようにしている。
また、第1工程及び第2工程において、鏡板Wの着脱、特に、第2工程において、型ローラ94が食い込んだ状態の成型後の鏡板Wをスピニング加工機S2から取り外すのに手数を要するという問題があった。
また、内周面成形支持ローラ、外周面成形ローラ及び絞りローラは、鏡板に対する当接、離脱を独自に行うことができるため、鏡板の着脱を容易に行うことができる。
この鏡板の成形装置1は、筒状胴部(図示省略)とで中空容器を構成する、曲面状の面板部Wa及び円筒部Wbからなる椀状の鏡板Wの円筒部Wbに、面板部Wa側から環状の膨出部S及び端部側を縮径させたテーパ部Tを成形するためのものである。
そして、この鏡板の成形装置1は、回転駆動機構Mによって回転駆動される主軸2と、主軸2に鏡板Wを、鏡板Wの円筒部Wbの内周側及び外周側に空間を設けて取り付ける取付機構3と、鏡板Wの円筒部Wbの内周側から円筒部Wbの内周面に押し当てて膨出部Sを形成する、外周面に突条部4a及びこの突条部4aに連なる傾斜面部4bを備えた内周面成形支持ローラ4と、鏡板Wの円筒部Wbの外周側から内周面成形支持ローラ4を当接させた位置に対応する円筒部Wbの外周面に押し当てて膨出部Sの外周面を成形する、外周面に内周面成形支持ローラ4の突条部4aに対応する溝条部5a及び内周面成形支持ローラ4の傾斜面部4bの反対側で溝条部5aに変曲点5cを挟んで連なる所定の曲率半径R1を有する凸状曲面部5bを備えた外周面成形ローラ5と、鏡板Wの円筒部Wbの外周側から内周面成形支持ローラ4を当接させた位置に対応する円筒部Wbの外周面に押し当てて、内周面成形支持ローラ4の傾斜面部4bとの間で円筒部Wbの端部側を絞り成形することによりテーパ部Tを形成する絞りローラ6とを備えるようにしている。
これにより、鏡板Wの成形を行う場合に、鏡板Wの面板部Waが水平方向に載置された状態で鏡板Wの着脱を行うことができ、鏡板Wの着脱を容易に行うことができる。
なお、主軸2の軸心を、水平方向となるように設定することもできる。
そして、加工する鏡板Wの面板部Waの中心に孔部が形成されている場合には、対応する位置に孔部に嵌挿される位置決めピン31Aが着脱可能に配設されている。
そして、中心には位置決めピン31Aが嵌入する孔部32aが開口されている。
そして、内周面成形支持ローラ4は、鏡板Wを着脱する際には、伸縮手段40を収縮させ、円筒部Wbの内周面から離れた位置に、膨出部Sを成形する際には、伸縮手段40を伸張させ、円筒部Wbの内周面に押し当てることができるようにしている。
内周面成形支持ローラ4は、鏡板Wの円筒部Wbの内周側から円筒部Wbの内周面に押し当てて膨出部Sを形成する、外周面に突条部4a及びこの突条部4aに連なる傾斜面部4bを備えるようにしているが、このうち、突条部4aの曲率半径R2は、鏡板Wの円筒部Wbに形成する膨出部Sの最終形状に適合する寸法に設定されている。
そして、外周面成形ローラ5によって、内周面成形支持ローラ4によって形成された膨出部Sの外周面の成形(仕上げ成形)を行う際には、外周面成形ローラ5を主軸2の軸心に対して直交する方向に移動させることによって、内周面成形支持ローラ4を当接させた位置に対応する円筒部Wbの外周面に当接するようにしている。
この場合、外周面成形ローラ5の移動手段は、外周面成形ローラ5を主軸2の軸心と平行する方向にも移動できるようにし、絞りローラ6によってテーパ部Tを成形する際に、絞りローラ6と干渉しない位置まで退避するように構成することができる。
このほか、干渉回避手段として、外周面成形ローラ5及び絞りローラ6を、回転することで工具の切り替えが可能な工具台に配設することにより、外周面成形ローラ5と絞りローラ6とを切り替えて使用できるようにすることもできる。
この傾斜面部を備えることで、鏡板Wの円筒部Wbの端部を内周面成形支持ローラ4の傾斜面部4bに押し当てテーパ部を下形成することができる。
ただし、この下形成だけでは、外周面成形ローラ5を円筒部Wbの外周面から離間させると、鏡板Wの円筒部Wbの端部側は、図4(a)に示すように、スプリングバック現象によって、若干内周面成形支持ローラ4の傾斜面部4bから若干離間することとなるため、後述の絞りローラ6による絞り成形が必要となる。
なお、外周面成形ローラ5は、図4(d)に示すように、上記内周面成形支持ローラ4の傾斜面部4bと対応する傾斜面部を有さない形状とすることもできる。
また、絞りローラ6の外周面には、鏡板Wの円筒部の外周側から内周面成形支持ローラ4を当接させた位置に対応する円筒部Wbの外周面に押し当てて、内周面成形支持ローラ4の傾斜面部4bとの間で円筒部Wbの端部側を絞り成形することができるように凸状の曲面形状からなる突条部6aを備えている。
このとき、鏡板Wの孔部Wcを支持部材31の位置決めピン31Aに嵌めることで、鏡板Wの位置ずれを防止する。
そして、押圧機構30の軸部30Aに、伸縮手段40を介して配設された内周面成形支持ローラ4を鏡板Wの円筒部Wbの内周側に形成された空間に位置させる(図2(a)参照)。
これによって、膨出部Sの最大外径、膨出部Sの曲率半径及び凸状曲面部5bに倣った膨出部Sに連なる面板部Wa側の凹状曲面部の曲率半径が所定の最終形状に高精度に仕上げ成形される(図3(a)参照)。
なお、外周面成形ローラ5による膨出部Sの仕上げ成形は、内周面成形支持ローラ4による膨出部Sの形成と実質的に同時に行うようにすることもできる。
このように絞りローラ6によって円筒部Wbの端部側に絞り成形することで、外周面成形ローラ5を円筒部Wbから離間させたときにスプリングバック現象によって拡開方向に拡がる円筒部Wbの端部を、内周面成形支持ローラ4の傾斜面部4bの傾斜角度に対応した縮径した所定の最終形状のテーパ部Tに高精度に成形することができる。
また、内周面成形支持ローラ4、外周面成形ローラ5、絞りローラ6及びバックアップローラ7は、鏡板Wに対する当接、離脱を独自に行うことができるため、主軸2の軸心を、鉛直方向となるように設定して成形を行うようにすることにより、鏡板Wの面板部Waが水平方向に載置された状態で鏡板Wの着脱を行うことができることと相俟って、鏡板Wの着脱を容易に行うことができ、自動化も容易となる。
2 主軸
3 取付機構
31 支持部材
32 押圧部材
4 内周面成形支持ローラ
4a 突条部
4b 傾斜面部
5 外周面成形ローラ
5a 溝条部
5b 凸状曲面部
5c 変曲点
6 絞りローラ
M 回転駆動機構
W 鏡板
Wa 面板部
Wb 円筒部
S 膨出部
T テーパ部
Claims (4)
- 筒状胴部とで中空容器を構成する、曲面状の面板部及び円筒部からなる椀状の鏡板の円筒部に面板部側から環状の膨出部及び端部側を縮径させたテーパ部を形成するための鏡板の成形方法において、回転駆動機構によって回転駆動される主軸に鏡板を、該鏡板の円筒部の内周側及び外周側に空間を設けて取り付け、主軸を介して鏡板を回転させながら、外周面に突条部及び該突条部に連なる傾斜面部を備えた内周面成形支持ローラを、鏡板の円筒部の内周側から円筒部の内周面に押し当てて膨出部を形成するとともに、前記内周面成形支持ローラを鏡板の円筒部の内周面に当接させた状態で、外周面に前記内周面成形支持ローラの突条部に対応する溝条部及び前記内周面成形支持ローラの傾斜面部の反対側で前記溝条部に変曲点を挟んで連なる所定の曲率半径を有する凸状曲面部を備えた外周面成形ローラを、鏡板の円筒部の外周側から内周面成形支持ローラを当接させた位置に対応する円筒部の外周面に押し当てて膨出部の外周面を成形し、次いで、外周面成形ローラに代えて、絞りローラを、鏡板の円筒部の外周側から内周面成形支持ローラを当接させた位置に対応する円筒部の外周面に押し当てて、内周面成形支持ローラの傾斜面部との間で円筒部の端部側を絞り成形することによりテーパ部を形成することを特徴とする鏡板の成形方法。
- 前記主軸の軸心を、鉛直方向となるように設定して成形を行うことを特徴とする請求項1記載の鏡板の成形方法。
- 筒状胴部とで中空容器を構成する、曲面状の面板部及び円筒部からなる椀状の鏡板の円筒部に面板部側から環状の膨出部及び端部側を縮径させたテーパ部を形成するための鏡板の成形装置において、回転駆動機構によって回転駆動される主軸と、該主軸に鏡板を、該鏡板の円筒部の内周側及び外周側に空間を設けて取り付ける取付機構と、鏡板の円筒部の内周側から円筒部の内周面に押し当てて膨出部を形成する、外周面に突条部及び該突条部に連なる傾斜面部を備えた内周面成形支持ローラと、鏡板の円筒部の外周側から内周面成形支持ローラを当接させた位置に対応する円筒部の外周面に押し当てて膨出部の外周面を成形する、外周面に前記内周面成形支持ローラの突条部に対応する溝条部及び前記内周面成形支持ローラの傾斜面部の反対側で前記溝条部に変曲点を挟んで連なる所定の曲率半径を有する凸状曲面部を備えた外周面成形ローラと、鏡板の円筒部の外周側から内周面成形支持ローラを当接させた位置に対応する円筒部の外周面に押し当てて、内周面成形支持ローラの傾斜面部との間で円筒部の端部側を絞り成形することによりテーパ部を形成する絞りローラとを備えたことを特徴とする鏡板の成形装置。
- 前記主軸の軸心が、鉛直方向となるように設定されてなることを特徴とする請求項3記載の鏡板の成形装置。
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