JP5783516B2 - 階段的遮閉機能を備えた空気圧トルク衝撃レンチ - Google Patents

Description

本発明は、ハウジングと、空気圧回転モーターと、出力軸と、モーターに接続された慣性駆動部材を備え且つ間欠的にモーターを出力軸に連結する衝撃ユニットと、慣性駆動部材の減速規模に反応する作動機構を備える動力遮閉機構と、予め設定された目標トルクレベル達成時にモーターへの加圧空気の供給を遮断するため作動機構で動作する遮閉弁とを備える空気圧トルク衝撃レンチに関するものである。

特に、本発明は、上記種類の空気圧トルク衝撃レンチに関するものであり、動力遮閉機構は伝達トルクの衝撃規模が予め設定された目標トルクレベルに相当する所定のレベルに到達する際に、通常の開放された位置から閉鎖された位置へ向かう動作のために遮閉弁を解放する遅延反応慣性部材によって起動される歯止め手段を備えている。

上述の種類の衝撃レンチは、特許文献１に開示されている。

上記種類の空気圧トルク衝撃レンチに関わる問題点は、目標トルクレベルに到達するまで一定の十分な圧力でモーターに加圧空気を供給することである。そこで、さらなる衝撃の発生を停止させるためには、モーターへの圧力供給を遮断するのに不意に遮閉弁を閉じなければならない。これは、最後の衝撃数回が強く成り過ぎて、一角度回転特性当りの急激なトルク成長を伴う要らざるトルク超過によって特に硬い継手を引き起こす危険があることを意味する。そのため、緊締過程においてモーター速度とそれによって衝撃の度に出力軸に伝達される運動エネルギーとを減少させながら目標トルクレベルに接近すると同時に原動力の低減を達成し、よってトルク超過の危険を最小限に留めたいという願望が存在する。

米国特許第５，０８２，０６６号

本発明の目的は、トルク超過の危険を実質的に減少させる上記種類の空気圧トルク衝撃レンチを提供することにある。

本発明の別の目的は、緊締動作が目標トルクレベルに接近するにつれてモーターへの加圧空気の供給が１つ以上の段階を経て遮閉される上記種類の空気圧トルク衝撃レンチを提供することにある。

本発明のさらに別の目的及び利点は以下の明細書の記載及び特許請求の範囲から明らかになろう。

本発明の好ましい実施形態は添付図面を参照して以下に詳細に説明される。

本発明による空気圧衝撃レンチを示す側面図。 図１のパワーレンチに設けられた出力遮断機構が完全に開放した位置にある断面図。 遮断機構が部分的に遮断した位置にある図２Ａと同様な断面図。 遮断機構が完全に遮断した位置にある図２Ａと同様な断面図。 遮断弁を完全に開放した位置に維持する静止位置における作動機構を示す、図１の線III‐IIIに沿った衝撃ユニットの端面図。 遮断弁を部分的に開放した位置に維持する部分的に作動した位置における作動機構を示す図３Ａと同様な端面図。 遮断弁を完全に遮断した位置までシフトした完全に作動した位置における作動機構を示す図３Ａと同様な端面図。 本発明の一実施形態における引はずし（トリップ）要素の縦断面図。 本発明の別の実施形態における引はずし要素の縦断面図。 本発明のさらに別の実施形態における引はずし要素の縦断面図。

図示されたパワーレンチは、ハンドル１１を備えたハウジング１０を有するピストル型空気圧衝撃レンチである。ハンドル１１は、加圧空気導管用のコネクタ部片１２を備え、そしてトリガー１３で操作する絞り弁を内包している。絞り弁は、空気圧モーター１５と連通するハウジング１０内の加圧空気供給通路１４を通る加圧空気の供給を制御するように設けられている。モーター１５は回転子１７を備え、回転子１７は流体力衝撃ユニット２０を介して正方形端部を備えた出力軸１８に接続されている。出力軸１８は、緊締すべきネジ継手に対する接続用ナット・ソケットを担持するようにされている。衝撃ユニット２０は慣性駆動部材２１を備え、慣性駆動部材２１はモーターの回転子１７に連結された後部伸張部１９を備えている。また、周知の方法で、慣性駆動部材２１は内部流体チャンバを備え、内部流体チャンバ内に出力軸１８の後端部が伸び、また慣性駆動部材２１は出力軸１８に間欠的に連結され、それにより慣性駆動部材２１からトルク衝撃の形態で出力軸１８に運動エネルギーを伝達する。この公知の構成の詳細は省略する。

加圧空気供給通路１４を通る気流は、予め決定されたトルクレベルが緊締されているネジ継手において得られると、遮断弁２３によって自動的に遮断される。このトルクレベルは、慣性駆動部材２１の所定の減速規模に相当する。作動機構２５は、意図した目標トルクレベルに到達すると、遮断弁２３の自動閉鎖を達成するように設けられている。この作動機構２５は、一方で、バルブロッド２６を備え、バルブロッド２６は、遮閉弁２３に固定され、そしてモーターの回転子１７を介して軸方向に伸びている。他方で、作動機構２５は、慣性駆動部材２１上にピボット２２を介して移動可能に支持されたＬ字型慣性要素２８と、慣性駆動部材２１の横方向に移動可能に案内され且つ慣性要素２８によって変位可能な引はずし要素２４とを備えている。以下に詳細に説明するように、バルブロッド２６は１つ以上の開放位置に遮断弁２３を維持するために引はずし要素２４に端面を接した仕方で支持されるよう配置されている。

図３Ａ‐図３Ｃに示すように、Ｌ字型慣性要素２８一方の脚は、慣性駆動部材２１の壁２９に接触する慣性要素２８の静止位置を画定する停止ヒール３０を備え、バネ３１はその静止位置に向けて慣性要素２８を偏奇させるのに使用される。バネ３１は、可変調整ネジ２７によって後方で支持されている。引はずし要素２４は、慣性駆動部材２１に対し変位可能に案内され、またバネ３３によって偏倚されて慣性要素２８と接触するようになる。

引はずし要素２４は主接触面３４を備え、主接触面３４には、完全に開放された位置に遮閉弁２３を維持するためにバルブロッド２６が端面支持されるように設けられ、それによってモーター１５へ加圧空気を十分に流すことができる。引はずし要素２４の開口部３２は、バルブロッド２６の端部を受け、そして遮断弁２３を閉鎖した位置にシフトするよう配置されている。

図２Ａ〜図２Ｃ及び図４Ａに示すように、引はずし要素２４には、開口部３２の縁部に位置し、遮断弁２３の部分的に閉鎖した位置でバルブロッド２６を端面支持するための二次的接触面を形成する肩部３５が設けられている。この部分的に閉鎖した位置では、遮断弁２３は、単にモーター出力を減少させるために制限された加圧気流を流す。図４Ｂには、引はずし要素の別の構成が示されており、第三のバルブロッド支持接触面を形成するために第二の肩部３６が設けられ、モーターへの加圧気流をさらに制限してモーター出力をさらに減少させるために、遮断弁２３はさらなる気流制限位置に維持される。

遮断弁の作動機構２５の動作は、図２Ａ〜図２Ｃ及び図３Ａ〜図３Ｃを参照して説明される。パワーレンチは緊締されるネジ継手に適用され、また加えられたトルク衝撃はネジ継手に加わるトルクの段階的な増加を達成することが想定される。ネジ継手緊締過程の初期段階中には出力トルクは低く、遮断弁２３はモーター１５に最大加圧気流を供給するためにその完全に開放された位置に維持される。この完全に開放された位置では、バルブロッド２６は引はずし要素２４の主接触面３４に端面支持すなわち端と端とを接して支持されている。図２Ａ参照。しかし、伝達されたトルク衝撃の出力トルクが増加すると、慣性駆動部材２１の減速規模も増加する。慣性駆動部材２１は図３Ａ〜図３Ｃの矢印で示された方向に回転し、繰り返される衝撃で生じる急激な減速はＬ字型慣性要素２８に作用する関連した慣性力を生じさせる。バネ３１を後方で支持する可変設定ネジ２７の設定によって決定された所定の減速規模では、慣性要素２８はバネ３１の作用に抗してピボット２２の周囲で動き始め、それによって引はずし要素２４を変位させる。慣性駆動部材２１の所定の減速規模による引はずし要素２４の変位は、バルブロッド２６を引はずし要素２４の主接触面３４から第一の肩部３５で支持するように動かすのに十分である。バルブロッド２６のこのような軸方向の小さな変位により、部分的に閉鎖された位置に遮断弁２３を移動させ、その結果モーター１５への制限された加圧気流とそれによってモーター１５の低減されたパワー出力とをもたらすことになる。図２Ｂ参照。

さらに伝達されたトルク衝撃で伝達トルクは一層増加し、その結果、慣性駆動部材２１の減速規模が増大することになる。これにより、慣性要素２８は引はずし要素２４をさらに変位させる。図３Ｃ参照。第一の肩部３５はバルブロッド２６との係合から外れ、その結果、バルブロッド２６はその端面支持を解かれ、開口部３２内へ落ち込み、遮断弁２３を完全に閉鎖させる。図２Ｃ参照。

遮断弁２３は、リセットバネ３８によって開放位置へ向けて偏奇されるが、弁２３を横切る空気圧の低下によってリセットバネ３８の力を支配する閉鎖力が遮断弁２３を閉鎖位置へ強制する。これは、絞り弁が開放されパワーレンチが動作状態である限り、バルブロッド２６が主接触面３４及び肩部３５を端面支持で接触するよう常に偏奇されることを意味する。意図した最終トルク目標に到達してバルブロッド２６が開口部３２に入ると、遮断弁２３は閉じられ、モーターは停止し、緊締過程は完了する。絞り弁２３が閉じられ、遮断弁２３を横切る圧力低下が止まると、リセットバネ３８は遮断弁２３を完全にその開放位置に復帰させることができる。同時に、バルブロッド２６は開口部３２から引き出され、引はずし要素２４はその本来の位置に自由に復帰して慣性要素２８とのその接触を再開する。これにより、完全なネジ継手緊締周期が完了し、パワーレンチは、バルブロッド２６が引はずし要素２４における主接触面３４で支持されることにより、別の緊締周期開始の準備に入る。

本発明の代わりの実施形態においては、引はずし要素２４は、さらに増大するトルク規模で第一の肩部３５より低くしかもバルブロッド２６を支持するようにされた第二の肩部３６を備え、それによってさらなる遮断弁２３の限流位置とそのためにさらに低減されたモーター出力とが提供される。

さらに、図４Ｃに示された本発明のさらに別の実施形態では、引はずし要素２４の第一の肩部３５ａは、主接触面３４と第２の肩部３６との間でバルブロッド２６の連続動作をもたらすよう傾斜されている。このことは、所定のトルク間隔範囲内での減速規模の増大により完全に開放された位置と部分的に閉鎖された位置との間で遮閉弁２３の連続動作が得られることを意味している。

上述のように、完全に開放された位置から閉鎖された位置への遮断弁２３の段階的な動作は、目標トルクレベルに近づく伝達トルク衝撃が強過ぎて要らざるトルク超過を引き起こすのを阻止するのに重要である。モーター出力及び意図した目標トルクレベルに接近する際に伝達される衝撃毎の運動エネルギーの低減は、不要なトルク超過及び緊締されるネジ継手への起こり得る損害を被ることが無いよう保証するものである。

１０ ハウジング
１１ ハンドル
１２ コネクタ
１３ トリガー
１４ 加圧空気供給通路
１５ モーター
１７ 回転子
１８ 出力軸
１９ 後方伸張部
２０ 衝撃ユニット
２１ 慣性駆動部材
２２ ピボット
２３ 遮断弁
２４ 引はずし要素
２５ 作動機構
２６ バルブロッド
２７ 可変設定ネジ
２８ Ｌ字型慣性部材
２９ 壁
３０ 停止ヒール
３１；３３ バネ
３２ 開口部
３４ 主接触面
３５；３５ａ 第一の肩部
３６ 第二の肩部
３８ リセットバネ

Claims (2)

1. 加圧空気供給通路（１４）を備えたハウジング（１０）と、空気圧モーター（１５）と、出力軸（１８）と、モーター（１５）を出力軸（１８）に間欠的に連結しまたモーター（１５）に接続された慣性駆動部材（２１）を包含する衝撃ユニット（２０）と、バルブロッド（２６）を備えまた目標トルクレベルの達成でモーター（１５）への加圧空気供給を遮断するよう配置された遮断弁（２３）と、慣性駆動部材（２１）に支持され移動可能な減速応動慣性要素（２８）を備えた、遮断弁（２３）を作動する機構（２５）と、慣性要素（２８）によって変位可能で且つ遮断弁（２３）の完全に開放された位置でバルブロッド（２６）を端面支持するための主接触面（３４）を設けた引はずし要素（２４）とを有し、引はずし要素（２４）が、引はずし要素（２４）の変位で主接触面（３４）とのアラインメントから外れたバルブロッド（２６）を受けるための開口部（３２）を備え、それにより完全に開放された位置から完全に閉鎖された位置に向けて遮断弁（２３）の動きを可能にする空気圧トルク衝撃レンチにおいて、
   引はずし要素（２４）が、開口部（３２）の縁部に位置する１つ以上の肩部（３５、３６）を備え、部分的に遮断弁（２３）を閉鎖する１つ以上の位置でバルブロッド（２６）を端面支持するための第二の接触面を１つ以上形成することによって、目標トルクレベルに接近する際に連続的に増大する慣性駆動部材（２１）の減速規模で遮閉弁（２３）の段階的な閉鎖を達成することを特徴とする衝撃レンチ。
2. 前記肩部のうちの１つ（３５ａ）が、遮断弁（２３）の閉鎖方向でバルブロッド（２６）の連続的に前進する支持位置を提供する傾斜した接触面を有し、それぞれの位置が連続的に増加する慣性駆動部材（２１）の減速規模による引はずし要素（２４）の実際の段階的な変位に依存することを特徴とする請求項１に記載の衝撃レンチ。

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