JP5783215B2 - 空気調和装置 - Google Patents

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Description

本発明は、空気調和装置、特に、暖房を継続しながら除霜を行うことが可能な正サイクル除霜方式を用いて除霜を行う空気調和装置に関する。
低外気温度時に、室外空気を熱源とするヒートポンプ式空気調和装置を用いて暖房を行うと、室外熱交換器に霜が付着する場合がある。室外熱交換器に霜が付着すると、空気調和装置の運転能力が低下するため、室外熱交換器に付着した霜を取り除くため除霜運転が行われる。
除霜には、様々な方式があるが、暖房を継続しながら除霜を行うことが可能な除霜方式として、例えば特許文献1(特開昭61−262560号公報)のような、正サイクル除霜方式が知られている。
特許文献1(特開昭61−262560号公報)の空気調和装置では、室内熱交換器と室外熱交換器との間に配置される電動膨張弁を全開又は全開に近い状態にすることで室外熱交換器に流入する冷媒の温度を0℃以上とし、室外熱交換器に付着した霜を融解させる。また、特許文献1(特開昭61−262560号公報)の空気調和装置では、圧縮機の吐出ガスの一部を圧縮機の吸入側にバイパスさせるためのバイパス回路および開閉弁が設けられ、正サイクル除霜運転時に、圧縮機の吐出ガスの一部を圧縮機の吸入側にバイパスさせることで、圧縮機に吸入される冷媒の乾き度を上昇させ、圧縮機への液バックを軽減している。なお、液バックとは、圧縮機に液体成分の多い気液二相状態の冷媒が吸入され、液冷媒が圧縮機の圧縮機構により圧縮される状態をいう。
しかし、特許文献1(特開昭61−262560号公報)の空気調和装置では、運転状況によっては、正サイクル除霜運転時に圧縮機の吸入側にバイパスされる吐出ガスの量が過剰となる場合があり、吸入温度が上昇しすぎて圧縮機の損傷等の問題を引き起こす可能性がある。
本発明の課題は、正サイクル除霜運転時に、圧縮機の吐出ガスの一部を圧縮機の吸入側にバイパスさせて圧縮機への液バックを軽減する空気調和装置であって、正サイクル除霜運転時の吸入温度の過度な上昇を抑制することが容易な信頼性の高い空気調和装置を提供することにある。
本発明の第1観点に係る空気調和装置は、主冷媒回路と、吐出−吸入バイパス回路と、制御部と、を備える。主冷媒回路は、圧縮機と室内熱交換器と主弁と室外熱交換器とを有しており、圧縮機、室内熱交換器、主弁、室外熱交換器の順に冷媒を循環させる暖房運転を行うことが可能である。吐出−吸入バイパス回路は、過熱弁を有しており、過熱弁を開くことで圧縮機の吐出側から圧縮機の吸入側に冷媒をバイパスすることが可能になるように主冷媒回路に接続されている。制御部は、過熱弁および主弁の少なくとも一方の開度を制御する。空気調和装置は、主冷媒回路において圧縮機、室内熱交換器、主弁、室外熱交換器の順に冷媒を循環させつつ、吐出−吸入バイパス回路において圧縮機の吐出側から圧縮機の吸入側に冷媒をバイパスさせて、室外熱交換器を除霜する正サイクル除霜運転を行う。正サイクル除霜運転時に、制御部は、圧縮機の吸入温度に基づいて、圧縮機の吸入側の冷媒の過熱度を把握し、圧縮機の吸入温度が第1所定値以下になるように、かつ、過熱度が第2所定値以下になるように、過熱弁および主弁の少なくとも一方の開度を制御する。
ここでは、吸入温度に基づいて、過熱弁および主弁の少なくとも一方の開度が制御されるため、吸入温度が過度に上昇して圧縮機が損傷することを防止することが容易で、信頼性の高い空気調和装置を実現できる
また、ここでは、圧縮機の吸入側の冷媒の過熱度が所定値以下になるように、過熱弁および主弁の少なくとも一方の開度が制御されるため、圧縮機の吸入側の冷媒の過熱度が過大となることを防止することができる。
本発明の第観点に係る空気調和装置は、第観点に係る空気調和装置であって、吸入温度センサと、室外熱交温度センサと、を更に備える。吸入温度センサは、圧縮機の吸入温度を検出する。室外熱交温度センサは、室外熱交換器の温度を検出する。制御部は、吸入温度センサにより検出される吸入温度と、室外熱交温度センサにより検出される室外熱交換器の温度との差を、過熱度として把握する。
ここでは、吸入温度センサと室外熱交温度センサとを用いて圧縮機の吸入温度と、圧縮機の吸入側の冷媒の過熱度とを正確に把握することができるため、圧縮機の損傷を防止し、信頼性の高い空気調和装置を実現することが容易である。
本発明の第1観点にかかる空気調和装置では、吸入温度に基づいて、過熱弁および主弁の少なくとも一方の開度が制御されるため、吸入温度が過度に上昇して圧縮機が損傷することを防止することが容易で、信頼性の高い空気調和装置を実現できる。また、ここでは、圧縮機の吸入側の冷媒の過熱度が過大となることを防止することができる。
本発明の第観点にかかる空気調和装置では、圧縮機の吸入温度と、圧縮機の吸入側の冷媒の過熱度とを正確に把握することができるため、圧縮機の損傷を防止し、信頼性の高い空気調和装置を実現することが容易である。
本発明の一実施形態にかかる空気調和装置の概略構成図である。 図1の空気調和装置のブロック図である。 図1の空気調和装置の正サイクル除霜運転中の、圧縮機の吸入温度および圧縮機の吸入側の冷媒の過熱度に基づいた過熱弁の開度制御について説明するためのフローチャートである。
以下、本発明に係る空気調和装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明にかかる空気調和装置の具体的な構成は、下記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
(1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和装置100の概略構成図である。空気調和装置100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、冷房運転と暖房運転とを切り替えて運転可能な空気調和装置である。
空気調和装置100は、図1に示すように、主に、室内ユニット20と、室外ユニット30と、空気調和装置100の各部の動作を制御する制御ユニット40と、を有する。
室内ユニット20と、室外ユニット30とは、液冷媒連絡管71およびガス冷媒連絡管72によって接続され、冷媒回路80を構成する。冷媒回路80は、主冷媒回路の一例である。冷媒回路80は、後述する室内熱交換器21と、圧縮機31と、室外熱交換器33と、膨張弁35とを主な構成として有する。空気調和装置100は、冷媒回路80に、圧縮機31、室内熱交換器21、膨張弁35、室外熱交換器33の順に冷媒を循環させることで、暖房運転を行うことが可能である。また、空気調和装置100は、冷媒回路80に、圧縮機31、室外熱交換器33、膨張弁35、室内熱交換器21の順に冷媒を循環させることで、冷房運転を行うことが可能である。
室外ユニット30には、冷媒回路80に接続される吐出−吸入バイパス回路50が含まれる。吐出−吸入バイパス回路50は、バイパス管51と、過熱弁52とを主に有する。バイパス管51は、後述する、圧縮機31の吸入管37と圧縮機31の吐出管38とを接続する。
制御ユニット40は、主に、室内ユニット20に含まれる室内側制御部40aと、室外ユニット30に含まれる室外側制御部40bとから構成される。制御ユニット40は、室内ユニット20および室外ユニット30の各機器の制御を行う。
本空気調和装置100では、冷媒として、例えばR32やR410A等のHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒が封入されている。ただし、冷媒の種類は、HFC冷媒に限定されるものではない。
(2)詳細構成
以下に、室内ユニット20、室外ユニット30、冷媒連絡管71,72、および制御ユニット40について詳細に説明する。
(2−1)室内ユニット
室内ユニット20は、冷媒回路80の一部を構成している。室内ユニット20は、空気調和の対象である室内に設置される。室内ユニット20は、室内熱交換器21と、室内ファン22と、室内熱交温度センサ61と、室内温度センサ62と、を有する。
室内熱交換器21は、伝熱管と多数の伝熱フィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器21の液側は液冷媒連絡管71に接続されており、室内熱交換器21のガス側はガス冷媒連絡管72に接続されている。室内熱交換器21は、冷房運転時には、後述する膨張弁35で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器として機能し、室内空気を冷却する。室内熱交換器21は、暖房運転時には、後述する圧縮機31から吐出された高圧の冷媒を凝縮させる凝縮器として機能し、室内空気を加熱する。
室内ファン22は、室内ユニット20内に室内の空気を吸入し、室内熱交換器21において吸入した空気と冷媒とを熱交換させ、室内に冷媒との熱交換後の空気を供給する。言い換えれば、室内ファン22は、室内熱交換器21を流れる冷媒の加熱源又は冷却源としての室内空気を、室内熱交換器21に供給するファンである。室内ファン22には、例えば、遠心ファンや多翼ファンが使用される。室内ファン22は、回転数制御が可能なファン用モータ(図示せず)によって駆動される。
室内熱交温度センサ61は、室内熱交換器21の温度を検出するサーミスタである。室内熱交温度センサ61は、室内熱交換器21の伝熱管の中間部分に設けられている。室内熱交温度センサ61は、室内熱交換器21を流れる二相状態(気液混合状態)の冷媒の温度を検出する。
室内温度センサ62は、室内ユニット20内に吸入される室内空気の温度を検出するサーミスタである。
室内側制御部40aは、室内ユニット20を構成する各部の動作を制御する。室内側制御部40aは、室内ユニット20の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータや、マイクロコンピュータが実行するためのプログラムや各種情報を記憶するメモリ等を有している。室内側制御部40aは、室内ユニット20を操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット30(より具体的には後述する室外側制御部40b)との間で伝送線40cを介して制御信号等のやりとりを行ったりすることができるようになっている。なお、室内側制御部40aは、後述する室外側制御部40bと共に、空気調和装置100の制御ユニット40を構成する。
(2−2)室外ユニット
室外ユニット30は、冷媒回路80の一部を構成している。室外ユニット30は、室外に設置されている。室外ユニット30は、主に、圧縮機31,四路切換弁32、室外熱交換器33、室外ファン34、膨張弁35、吐出−吸入バイパス回路50、室外熱交温度センサ63、吐出温度センサ64、吸入温度センサ66、外気温度センサ65、および室外側制御部40bを有する。
(2−2−1)圧縮機
圧縮機31は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機31は、吸入側から低圧の冷媒を吸入し、冷媒の圧縮を行って高圧の冷媒を吐出する。圧縮機31は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)をインバータ制御される圧縮機用モータ31aによって回転駆動する密閉式構造となっている。圧縮機31には、吸入側に吸入管37が接続されており、吐出側に吐出管38が接続されている。
吸入管37は、圧縮機31の吸入側と四路切換弁32の第1ポート32aとを接続する冷媒管である。吸入管37には、圧縮機31に付属する小容積のアキュムレータ36が設けられている。
吐出管38は、圧縮機31の吐出側と四路切換弁32の第2ポート32bとを接続する冷媒管である。吐出管38には、吐出温度センサ64が設けられている。吸入管37と吐出管38とは、後述する吐出−吸入バイパス回路50を構成するバイパス管51により接続されている。
(2−2−2)四路切換弁
四路切換弁32は、冷媒回路80における冷媒の流れの方向を切り換えるための切換弁である。言い換えれば、四路切換弁32は、圧縮機31から吐出された冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の流れ方向を切り換えるための切換弁である。
四路切換弁32は、暖房運転時に、圧縮機31から吐出された冷媒が室内熱交換器21へと流れるよう冷媒の流れ方向を切り換える。つまり、四路切換弁32は、暖房運転時に、第2ポート32bと第4ポート32dとを連通させ、第1ポート32aと第3ポート32cとを連通させる。これにより、吐出管38はガス冷媒連絡管72側の第2ガス冷媒管74と接続され、吸入管37は室外熱交換器33のガス側の第1ガス冷媒管73と接続される(図1の四路切換弁32の破線を参照)。このように配管が接続されることで、暖房運転時には、室内熱交換器21は圧縮機31において圧縮された冷媒の凝縮器として機能し、室外熱交換器33は室内熱交換器21において放熱した冷媒の蒸発器として機能する。なお、上記の第1ガス冷媒管73は、四路切換弁32の第3ポート32cと室外熱交換器33のガス側とを接続する冷媒管である。第2ガス冷媒管74は、四路切換弁32の第4ポート32dとガス冷媒連絡管72とを接続する冷媒管である。
四路切換弁32は、冷房運転時に、圧縮機31から吐出された冷媒が室外熱交換器33へと流れるよう冷媒の流れ方向に切り換える。つまり、四路切換弁32は、冷房運転時に、第2ポート32bと第3ポート32cとを連通させ、第1ポート32aと第4ポート32dとを連通させる。これにより、吐出管38は室外熱交換器33のガス側の第1ガス冷媒管73と接続され、吸入管37はガス冷媒連絡管72側の第2ガス冷媒管74と接続される(図1の四路切換弁32の実線を参照)。このように配管が接続されることで、冷房運転時には、室外熱交換器33は圧縮機31において圧縮された冷媒の凝縮器として機能し、室内熱交換器21は室外熱交換器33において放熱した冷媒の蒸発器として機能する。
なお、空気調和装置100において後述する正サイクル除霜運転が行われる場合には、四路切換弁32は、暖房運転時と同様に、圧縮機31から吐出された冷媒が室内熱交換器21へと流れるよう冷媒の流れ方向を切り換える。そのため、正サイクル除霜運転時には、室内の暖房を継続することが可能である。
(2−2−3)室外熱交換器
室外熱交換器33は、伝熱管と多数の伝熱フィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室外熱交換器33の液側は液冷媒管75に接続されており、室外熱交換器33のガス側は第1ガス冷媒管73に接続されている。液冷媒管75は、室外熱交換器33の液側と液冷媒連絡管71とを接続する冷媒管である。室外熱交換器33は、冷房運転時には室外空気を冷却源とする冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には室外空気を加熱源とする冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。
(2−2−4)室外ファン
室外ファン34は、室外ユニット30内に室外の空気を吸入し、室外熱交換器33において吸入した空気と冷媒と熱交換させ、熱交換後の空気を外部に排出する。すなわち、室外ファン34は、室外熱交換器33を流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器33に供給するファンである。室外ファン34には、例えば、プロペラファンが使用される。室外ファン34は、回転数制御が可能なファン用モータ(図示せず)によって駆動される。
(2−2−5)膨張弁
膨張弁35は、主弁の一例である。膨張弁35は、開度可変の電動膨張弁である。後述する制御ユニット40は、冷媒回路80を流れる冷媒の圧力や流量の調整するため、膨張弁35の開度を制御する。膨張弁35は、冷房運転時には、凝縮器として機能する室外熱交換器33から、蒸発器として機能する室内熱交換器21へと流れる冷媒を膨張させる。また、膨張弁35は、暖房運転時には、凝縮器として機能する室内熱交換器21から、蒸発器として機能する室外熱交換器33へと流れる冷媒を膨張させる。
(2−2−6)吐出−吸入バイパス回路
吐出−吸入バイパス回路50は、正サイクル除霜運転時(冷媒回路80に暖房運転時と同じ方向に冷媒を流し、室外熱交換器33に付着した霜を除去するための運転時)に用いられる回路であり、冷媒回路80に接続されている。
吐出−吸入バイパス回路50は、バイパス管51と、過熱弁52とを主に有する。
バイパス管51は、圧縮機31の吸入管37と吐出管38とを接続する。より具体的には、バイパス管51は、吸入管37のアキュムレータ36よりも上流側(四路切換弁32側)と、吐出管38とを接続する。
過熱弁52は、開度可変の電動弁である。後述する制御ユニット40は、正サイクル除霜運転時に、後述する吐出温度センサ64により検出される吐出温度や、吸入温度センサ66により検出される吸入温度等に基づいて、過熱弁52の開度を制御する。制御ユニット40による、過熱弁52の開度制御については後述する。
(2−2−7)室外熱交温度センサ
室外熱交温度センサ63は、室外熱交換器33の温度を検出するサーミスタである。室外熱交温度センサ63は、室外熱交換器33の伝熱管の中間部分に設けられている。室外熱交温度センサ63は、室外熱交換器33を流れる二相状態(気液混合状態)の冷媒の温度を検出する。
(2−2−8)吐出温度センサ
吐出温度センサ64は、圧縮機31から吐出される冷媒の温度を検出するサーミスタである。吐出温度センサ64は、圧縮機31の外部、より具体的には、圧縮機31の吐出口付近の吐出管38に設けられる。
(2−2−9)吸入温度センサ
吸入温度センサ66は、圧縮機31に吸入される冷媒の温度を検出するサーミスタである。吸入温度センサ66は、圧縮機31の外部、より具体的には、圧縮機31の吸入口付近の吸入管37に設けられる。
(2−2−10)外気温度センサ
外気温度センサ65は、室外ユニット30の設置される室外の温度を検出するサーミスタである。
(2−2−11)室外側制御部
室外側制御部40bは、室外ユニット30を構成する各部の動作を制御する。室外側制御部40bは、室外ユニット30の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータや、マイクロコンピュータが実行するためのプログラムや各種情報を記憶するメモリ等を有している。室外側制御部40bは、室内ユニット20(より具体的には室内側制御部40a)との間で伝送線40cを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。なお、室外側制御部40bは、室内側制御部40aと共に、空気調和装置100の制御ユニット40を構成する。
(2−3)冷媒連絡管
液冷媒連絡管およびガス冷媒連絡管71,72は、空気調和装置100を設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。図1のように、室内ユニット20と、室外ユニット30とが、液冷媒連絡管およびガス冷媒連絡管71,72で接続されることで、空気調和装置100の冷媒回路80が構成される。
(2−4)制御ユニット
空気調和装置100では、伝送線40cによって接続された室内側制御部40aおよび室外側制御部40bを主な構成として有する制御ユニット40が、室内ユニット20および室外ユニット30の各機器の制御を行うことができるようになっている。制御ユニット40は、冷房運転、暖房運転、正サイクル除霜運転を含む空気調和装置100全体の運転制御を行う。
制御ユニット40は、図2に示すように、各種センサ(室内熱交温度センサ61、室内温度センサ62、室外熱交温度センサ63、吐出温度センサ64、吸入温度センサ66、および外気温度センサ65)と、各種センサからの信号を受けることができるように接続される。また、制御ユニット40は、各種センサからの信号等に基づいて、室内ユニット20および室外ユニット30の各構成を制御することができるよう、圧縮機用モータ31a、四路切換弁32、室外ファン34、膨張弁35、室内ファン22、過熱弁52等と接続されている(図2参照)。
(3)空気調和装置の基本動作
次に、空気調和装置100の基本動作(暖房運転時および冷房運転時の動作)について説明する。制御ユニット40により空気調和装置100の各構成の動きが制御されることで基本動作が実行される。
(3−1)暖房運転
暖房運転時には、四路切換弁32が暖房サイクル状態(図1に破線で示された状態)に切り換えられる。冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒は、圧縮機31に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧になるまで圧縮された後に吐出される。圧縮機31から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁32、ガス冷媒連絡管72を通じて、室内熱交換器21に送られる。室内熱交換器21に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器21において、室内ファン22により冷却源として供給される室内空気と熱交換を行い、放熱して、高圧の液冷媒になる。一方、冷媒との熱交換により室内空気は加熱され、加熱された空気が室内に供給されることで室内の暖房が行われる。室内熱交換器21で放熱した高圧の液冷媒は、液冷媒連絡管71を通じて、膨張弁35に送られる。膨張弁35に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁35によって、冷凍サイクルにおける低圧まで減圧される。膨張弁35で減圧された冷媒は、室外熱交換器33に送られる。室外熱交換器33に送られた低圧の液冷媒は、室外熱交換器33において、室外ファン34により加熱源として供給される室外空気と熱交換を行い、蒸発して、低圧のガス冷媒になる。室外熱交換器33で蒸発した低圧のガス冷媒は、四路切換弁32を通じて、吸入管37に送られて、再び、圧縮機31に吸入される。
(3−2)冷房運転
冷房運転時には、四路切換弁32が冷房サイクル状態(図1に実線で示された状態)に切り換えられる。冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒は、圧縮機31に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧になるまで圧縮された後に吐出される。圧縮機31から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁32を通じて、室外熱交換器33に送られる。室外熱交換器33に送られた高圧のガス冷媒は、室外熱交換器33において、室外ファン34により冷却源として供給される室外空気と熱交換を行い、放熱して、高圧の液冷媒になる。室外熱交換器33において放熱した高圧の液冷媒は、膨張弁35に送られる。膨張弁35に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁35によって、冷凍サイクルにおける低圧まで減圧される。膨張弁35で減圧された低圧の液冷媒は、液冷媒連絡管71を通じて、室内熱交換器21に送られる。室内熱交換器21に送られた低圧の冷媒は、室内熱交換器21において、室内ファン22により加熱源として供給される室内空気と熱交換を行い、蒸発する。一方、冷媒との熱交換により室内空気は冷却され、冷却された空気が室内に供給されることで室内の冷房が行われる。室内熱交換器21において蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管72および四路切換弁32を通じて、吸入管37に送られて、再び、圧縮機31に吸入される。
(4)空気調和装置の正サイクル除霜運転時の動作
次に、正サイクル除霜運転時の空気調和装置100の動作について説明する。正サイクル除霜運転は、室外熱交換器33の除霜のための運転であって、暖房運転時に、室外熱交換器33において着霜が検知された際に行われる。
正サイクル除霜運転では、暖房運転時と同様に、四路切換弁32を暖房サイクル状態(図1の破線で示される状態)にして空気調和装置100が運転される。言い換えれば、空気調和装置100の運転が暖房運転から正サイクル除霜運転に切り換わっても、四路切換弁32は切り換えられずに、空気調和装置100が運転される。そのため、正サイクル除霜運転では、冷媒回路80において、圧縮機31、室内熱交換器21、膨張弁35、室外熱交換器33の順に冷媒が循環する。正サイクル除霜運転時には、冷媒回路80を、暖房運転時と同様の向きに冷媒が流れることから、暖房を継続しながら、除霜を行うことが可能である。
正サイクル除霜運転中、圧縮機31のモータ31aは、所定の回転数、好ましくは暖房運転時の最大運転回転数で運転される。できるだけ大きな回転数で圧縮機31のモータ31aを運転することで、圧縮機31に対する投入動力を大きく保ち、除霜のための熱量を確保することが容易である。正サイクル除霜運転中には、暖房を継続するため、室内ファン22は所定の回転数(例えば、最小回転数)で運転される。一方、正サイクル除霜運転中には、室外ファン34は停止される。
正サイクル除霜運転中、室内熱交換器21で室内空気と熱交換を行って放熱し、室内空気を加熱した冷媒は、室外熱交換器33に送られ、室外熱交換器33に付着した霜と熱交換を行って更に放熱し、液成分の多い気液二相状態で圧縮機31に戻る。つまり、正サイクル除霜運転中には、室外熱交換器33から圧縮機31に液冷媒が流れやすくなる。そこで、正サイクル除霜運転中には、過熱弁52が開かれ、圧縮機31から吐出された高温、高圧のガス冷媒の一部が、バイパス管51を介して吸入管37に供給される。言い換えれば、正サイクル除霜運転時には、冷媒の一部が、圧縮機31の吐出側から吸入側にバイパスされる(残りの冷媒は、暖房運転時と同様に、圧縮機31の吐出側から室内熱交換器21に流れ、膨張弁35および室外熱交換器33を経て圧縮機31の吸入側に戻る)。室外熱交換器33から圧縮機31に戻る液成分の多い気液二相状態の冷媒と、吐出管38から吸入管37に供給されるガス冷媒とが、吸入管37で混合されることで、ガス状態または液成分の少ない気液二相状態の冷媒が、圧縮機31に吸入される。つまり、吐出−吸入バイパス回路50を用いて、圧縮機31の吐出側から吸入側に冷媒をバイパスさせることで、液バックが軽減され、圧縮機31を継続して運転することが可能となる。
正サイクル除霜運転時の制御ユニット40による膨張弁35および過熱弁52の開度制御について説明する。
まず、正サイクル除霜運転時における、膨張弁35の開度制御について説明する。
正サイクル除霜運転時において、膨張弁35が従来と同様に全開又は全開近くまで開いた状態におかれると、冷凍サイクルの高圧が十分に上昇しにくく、圧縮機31への投入動力が減少してしまう。これにより、除霜に使用できる熱量が減少し、圧縮機31への液バックが増加するため、さらに、冷凍サイクルの高圧が低下し、圧縮機31への投入動力が減少するという悪循環に陥りやすい。そのため、正サイクル除霜運転を継続できなくなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、制御ユニット40は、冷媒回路80における冷凍サイクルの高圧が所定の目標値になるように、膨張弁35の開度を制御する。なお、冷凍サイクルの高圧の目標値は、通常の暖房運転時の上限圧力付近の値である。暖房運転時の上限圧力とは、冷媒回路80を構成する機器の設計圧力等を考慮して規定されている値である。
制御ユニット40による膨張弁35の開度制御について、具体的に説明する。
通常の暖房運転時においては、膨張弁35、圧縮機31、室外ファン34および室内ファン22は、室内温度センサ62によって検出される室内空気の温度が目標室内温度になるように制御されている。特に、膨張弁35の開度は、圧縮機31の吐出側の冷媒の温度(吐出温度センサ64の検出する冷媒の温度)に基づいて制御されている。具体的には、制御ユニット40は、膨張弁35の開度を、圧縮機31の吐出側の冷媒の温度が目標吐出温度になるように制御している。より具体的には、制御ユニット40は、冷媒の吐出温度が目標吐出温度よりも低い場合には膨張弁35の開度を小さくする制御を行い、冷媒の吐出温度が目標吐出温度よりも高い場合には膨張弁35の開度を大きくする制御を行う。
一方、室外熱交換器33において着霜が検知され、正サイクル除霜運転が開始されると、制御ユニット40は、上記のように、冷媒回路80における冷凍サイクルの高圧が目標値になるように、膨張弁35の開度を制御する。室内熱交温度センサ61によって検出される冷媒の温度が、冷凍サイクルの高圧における冷媒の飽和温度に相当することから、制御ユニット40は、具体的には、室内熱交温度センサ61によって検出される冷媒の温度が、冷凍サイクルの高圧の目標値に相当する飽和温度(目標温度)になるように、膨張弁35の開度を制御する。具体的には、室内熱交温度センサ61によって検出される冷媒の温度が目標温度より低い場合には、制御ユニット40は、膨張弁35の開度を小さくする制御を行う。室内熱交温度センサ61によって検出される冷媒の温度が目標温度より高い場合には、制御ユニット40は、膨張弁35の開度を大きくする制御を行う。
次に、正サイクル除霜運転時における、過熱弁52の開度制御について説明する。
過熱弁52は、暖房運転時には、通常、閉じられている。正サイクル除霜運転時には、過熱弁52が開けられる。正サイクル除霜運転時には、制御ユニット40は、主に、吐出温度センサ64により検出される吐出温度を用いて過熱弁52の開度を制御する。
さらに、制御ユニット40は、吸入温度や吸入側の過熱度が過度に上昇して圧縮機31が損傷することを防止するため、吐出温度センサ64により検出される吐出温度を用いた過熱弁52の開度制御に加え、吸入温度センサ66により検出される吸入温度を用いた過熱弁52の開度制御を行う。以下に、図3のフローチャートを用いて、吸入温度センサ66により検出される吸入温度を用いた過熱弁52の開度制御について説明する。
正サイクル除霜運転が開始されると、制御ユニット40は、上記のように吐出温度センサ64により検出される吐出温度を用いて、過熱弁52の開度を制御する。制御ユニット40は、この制御と並行して、吸入温度や吸入側の過熱度が過度に上昇することを防止し、圧縮機31を保護するため、以下の制御を行う。
まず、ステップS101では、制御ユニット40が、吸入温度センサ66により検出された冷媒の温度(吸入温度Ts)を取得する。
次に、ステップS102では、制御ユニット40は、ステップS101で取得した吸入温度Tsが、予め制御ユニット40に記憶されている設計最大吸入温度Tsmaxより大きいか否かを判定する。設計最大吸入温度Tsmaxは、圧縮機31の設計温度等を考慮して規定された値である。ステップS102で、吸入温度Tsが、設計最大吸入温度Tsmaxより大きいと判定された場合には、ステップS103に進む。一方、吸入温度Tsが、設計最大吸入温度Tsmax以下と判定された場合には、ステップS104に進む。
ステップS103では、制御ユニット40は、吸入温度Tsが異常高温になっている(設計最大吸入温度Tsmaxを超えている)ため、圧縮機31の吸入温度を低下させる。これを実現するため、制御ユニット40は、予め決定された所定の開度(%)だけ(例えば、10%だけ)、過熱弁52の開度を小さくする。その後ステップS101に戻る。
ステップS104では、制御ユニット40が、室外熱交温度センサ63により検出された室外熱交換器33の温度(室外熱交換器33を流れる気液二相状態の冷媒の温度Txo)を取得する。その後ステップS105へ進む。
ステップS105では、制御ユニット40は、ステップS102で取得した吸入温度TsとステップS104で取得した温度Txoとを用いて、圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHを把握する。具体的には、制御ユニット40は、吸入温度センサ66により検出される吸入温度Tsから、室外熱交温度センサ63により検出される室外熱交換器33を流れる気液二相状態の冷媒の温度Txoを差し引くことで、圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHを算出し把握する。その後ステップS106へ進む。
ステップS106では、ステップS105で算出された過熱度SHが、予め制御ユニット40に記憶されている最大許容過熱度SHmaxより大きいか否かが判定される。最大許容過熱度SHmaxは、圧縮機31の吸入側が異常過熱にならないよう予め決定されている。ステップS105で算出された過熱度SHが、最大許容過熱度SHmaxより大きい場合には、ステップS107に進む。一方、ステップS106で算出された過熱度SHが、最大許容過熱度SHmax以下であれば(過熱度SHが、最大許容過熱度SHmaxより大きくない場合には)、ステップS108に進む。
ステップS107では、制御ユニット40は、圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHを減少させるため、予め決定された所定の開度(%)だけ(例えば、5%だけ)、過熱弁52の開度を小さくする。その後ステップS101に戻る。
ステップS108では、制御ユニット40は、正サイクル除霜運転を終了するか否かを判定する。つまり、ステップS108では、室外熱交換器33の除霜が完了したか否かが制御ユニット40により判定される。除霜が完了したか否かは、例えば、室外熱交温度センサ63により検出される室外熱交換器33を流れる冷媒の温度Txoが所定温度より高くなったか否かにより判定される。ステップS108で、制御ユニット40が正サイクル除霜運転を終了しないと判定すると、ステップS101に戻る。
ステップS108で、制御ユニット40が正サイクル除霜運転を終了すると判定すると、空気調和装置100は、正サイクル除霜運転を終了し、暖房運転に復帰する。そして、制御ユニット40は、正サイクル除霜運転のために行っていた、吐出温度センサ64により検出される吐出温度や、吸入温度センサ66により検出される吸入温度を用いた過熱弁52の開度制御を終了する。
(5)特徴
(5−1)
本実施形態に係る空気調和装置100は、主冷媒回路としての冷媒回路80と、吐出−吸入バイパス回路50と、制御部としての制御ユニット40と、を備える。冷媒回路80は、圧縮機31と、室内熱交換器21と、主弁としての膨張弁35と、室外熱交換器33とを有しており、圧縮機31、室内熱交換器21、膨張弁35、室外熱交換器33の順に冷媒を循環させる暖房運転を行うことが可能である。吐出−吸入バイパス回路50は、過熱弁52を有しており、過熱弁52を開くことで圧縮機31の吐出側から圧縮機31の吸入側に冷媒をバイパスすることが可能になるように冷媒回路80に接続されている。制御ユニット40は、膨張弁35および過熱弁52の開度を制御する。空気調和装置100は、冷媒回路80において圧縮機31、室内熱交換器21、膨張弁35、室外熱交換器33の順に冷媒を循環させつつ、吐出−吸入バイパス回路50において圧縮機31の吐出側から圧縮機31の吸入側に冷媒をバイパスさせて、室外熱交換器33を除霜する正サイクル除霜運転を行う。正サイクル除霜運転時に、制御ユニット40は、圧縮機31の吸入温度に基づいて、過熱弁52の開度を制御する。
ここでは、吸入温度Tsに基づいて、過熱弁52の開度が制御されるため、吸入温度Tsが過度に上昇して圧縮機31が損傷することを防止することが容易で、信頼性の高い空気調和装置100を実現できる。
(5−2)
本実施形態に係る空気調和装置100では、制御ユニット40は、正サイクル除霜運転時に、圧縮機31の吸入温度Tsに基づいて圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHを把握し、過熱度SHが最大許容過熱度SHmax以下になるように、過熱弁52の開度を制御する。
ここでは、圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHが所定値以下になるように過熱弁52の開度が制御されるため、圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度が過大となることを防止することができる。
(5−3)
本実施形態に係る空気調和装置100は、吸入温度センサ66と、室外熱交温度センサ63と、を備える。吸入温度センサ66は、圧縮機31の吸入温度Tsを検出する。室外熱交温度センサ63は、室外熱交換器33の温度Txoを検出する。制御ユニット40は、吸入温度センサ66により検出される吸入温度Tsと、室外熱交温度センサ63により検出される室外熱交換器33の温度Txoとの差を、過熱度SHとして把握する。
ここでは、吸入温度センサ66と室外熱交温度センサ63とを用いて圧縮機31の吸入温度と、圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度とを正確に把握することができるため、圧縮機31の損傷を防止し、信頼性の高い空気調和装置100を実現することが容易である。
吸入温度センサ66を設けることで、吸入温度Tsが異常高温になった場合、これを直ちに把握し、圧縮機31の損傷等を防止することが容易である。
(6)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。なお、互いに矛盾のない範囲で、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
(6−1)変形例A
上記実施形態に係る空気調和装置100では、制御ユニット40は、正サイクル除霜運転時に、圧縮機31の吸入温度Ts、および、吸入温度Tsに基づいて把握された圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHを用いて、過熱弁52の開度を制御するが、これに限定されるものではない。
例えば、正サイクル除霜運転時に、過熱弁52の開度は所定値に固定され、制御ユニット40は、圧縮機31の吸入温度Tsおよび圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHに基づいて、膨張弁35の開度を制御してもよい。この場合、過熱弁52は、開度調整可能な電動弁ではなく、電磁弁であってもよい。吸入温度Tsおよび過熱度SHに基づいて膨張弁35の開度が制御される場合には、例えば圧縮機31の吸入温度Tsが設計最大吸入温度Tsmaxより大きい時に、圧縮機31の吐出側から吸入側にバイパスする冷媒の流量を減少させるため、制御ユニット40は、膨張弁35の開度が大きくなるよう制御する。また、例えば圧縮機31の吸入側の過熱度SHが許容最大過熱度SHmaxより大きい時に、圧縮機31の吐出側から吸入側にバイパスする冷媒の流量を減少させるため、制御ユニット40は、膨張弁35の開度が大きくなるよう制御する。ただし、吸入温度Tsや圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHが適正値を外れた場合に、これに素早く応答するためには、過熱弁52の開度が制御されることが望ましい。
また、制御ユニット40は、正サイクル除霜運転時に、圧縮機31の吸入温度Tsおよび圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHに基づいて、膨張弁35および過熱弁52の両方の開度を制御するものであってもよい。
(6−2)変形例B
上記実施形態に係る空気調和装置100では、吸入温度センサ66により検出される吸入温度Tsと、吸入温度Tsおよび室外熱交温度センサ63により検出される室外熱交換器33の温度Txo(室外熱交換器33を流れる冷媒の温度)に基づいて算出された圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHと、を用いて、過熱弁52の開度の制御が行われるが、これに限定されるものではない。
例えば、制御ユニット40は、吸入温度Tsのみに基づいて過熱弁52の開度の制御を行ってもよい。言い換えれば、制御ユニット40は、図3のフローチャートのステップS104〜S107を実行しなくてもよい。
また、例えば、制御ユニット40は、吸入温度Tsに基づいて把握された圧縮機31の吸入側の冷媒の過熱度SHのみを用いて、過熱弁52の開度の制御を行ってもよい。言い換えれば、制御ユニット40は、図3のフローチャートのステップS102,S103のステップを実行しなくてもよい。
ただし、圧縮機31の吸入温度が異常高温になること、および、圧縮機31の吸入側が異常過熱になることを検知してこれを解消するとためには、吸入温度Tsおよび過熱度SHの両方に基づいて過熱弁52の開度が制御されることが望ましい。
(6−3)変形例C
上記実施形態に係る空気調和装置100では、図3のフローチャートのステップS103およびS107で、ある固定値だけ過熱弁52の開度が変更されているが、これに限定されるものではない。例えば、吸入温度Tsと設計最大吸入温度Tsmaxとの乖離度に応じて、ステップS103で変化させる過熱弁52の開度を変動させてもよい。具体的には、吸入温度Tsが設計最大吸入温度Tsmaxよりも大きくなればなるほど、ステップS103で過熱弁52の開度の変化量をより大きくしてもよい。また、例えば、過熱度SHが最大許容過熱度SHmaxより大きくなればなるほど、ステップS107で過熱弁52の開度の変化量をより大きくしてもよい。
(6−4)変形例D
上記実施形態に係る空気調和装置100では、図3のフローチャートのステップS103で過熱弁52の開度のみが変更されているが、これに限定されるものではない。例えば制御ユニット40は、吸入温度Tsと設計最大吸入温度Tsmaxとの温度差に応じて、以下のように異なる構成を制御してもよい。
制御ユニット40は、吸入温度Tsが、設計最大吸入温度Tsmaxより大きく、設計最大吸入温度Tsmaxと第1判定温度との和よりも小さい場合には、過熱弁52の開度を小さくする。制御ユニット40は、吸入温度Tsが、設計最大吸入温度Tsmaxと第1判定温度との和以上で、設計最大吸入温度Tsmaxと第2判定温度(第2判定温度>第1判定温度)との和より小さい場合には、過熱弁52の開度を小さくすると共に、圧縮機31の運転回転数も下げる。制御ユニット40は、吸入温度Tsが、設計最大吸入温度Tsmaxと第2判定温度との和以上の場合には、圧縮機31を停止する(空気調和装置100を停止する)。
(6−5)変形例E
上記実施形態に係る空気調和装置100では、暖房運転および冷房運転の両方が可能であるが、これに限定されるものではなく、空気調和装置は、暖房運転のみが可能なものであってもよい。
本発明は、正サイクル除霜運転時に、吸入温度の過度な上昇を抑制することが容易な信頼性の高い空気調和装置として有用である。
21 室内熱交換器
31 圧縮機
33 室外熱交換器
35 膨張弁(主弁)
40 制御ユニット(制御部)
50 吐出−吸入バイパス回路
52 過熱弁
63 室外熱交温度センサ
66 吸入温度センサ
80 冷媒回路(主冷媒回路)
100 空気調和装置
特開昭61−262560号公報

Claims (2)

  1. 圧縮機(31)と室内熱交換器(21)と主弁(35)と室外熱交換器(33)とを有しており、前記圧縮機、前記室内熱交換器、前記主弁、前記室外熱交換器の順に冷媒を循環させる暖房運転を行うことが可能な主冷媒回路(80)と、
    過熱弁(52)を有しており、前記過熱弁を開くことで前記圧縮機の吐出側から前記圧縮機の吸入側に冷媒をバイパスすることが可能になるように前記主冷媒回路に接続されている吐出−吸入バイパス回路(50)と、
    前記過熱弁および前記主弁の少なくとも一方の開度を制御する制御部(40)と、
    を備え、
    前記主冷媒回路において前記圧縮機、前記室内熱交換器、前記主弁、前記室外熱交換器の順に冷媒を循環させつつ、前記吐出−吸入バイパス回路において前記圧縮機の吐出側から前記圧縮機の吸入側に冷媒をバイパスさせて、前記室外熱交換器を除霜する正サイクル除霜運転時に、
    前記制御部は、前記圧縮機の吸入温度に基づいて、前記圧縮機の吸入側の冷媒の過熱度を把握し、前記圧縮機の吸入温度が第1所定値以下になるように、かつ、前記過熱度が第2所定値以下になるように、前記過熱弁および前記主弁の少なくとも一方の開度を制御する、
    空気調和装置。
  2. 前記圧縮機の吸入温度を検出する吸入温度センサ(66)と、
    前記室外熱交換器の温度を検出する室外熱交温度センサ(63)と、
    を更に備え、
    前記制御部は、前記吸入温度センサにより検出される前記圧縮機の吸入温度と、前記室外熱交温度センサにより検出される前記室外熱交換器の温度との差を、前記過熱度として把握する、
    請求項1に記載の空気調和装置。
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