JP5781393B2 - 成膜方法 - Google Patents

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本発明は、単一のプラズマCVD装置に処理対象物表面に積層構造のバリア膜を成膜する成膜方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、太陽電池や薄膜リチウム電池等の電子デバイスには、大気中の水蒸気や酸素等のガスにより劣化し易いものが含まれ、耐久性を高めるために、特に水蒸気を確実に遮断する封止構造(所謂バリア膜)を電子デバイスに設けておく必要があることは従来から知られている。
ガラス基板や樹脂基板等の基板上に上記電子デバイスが形成されたものを処理対象物とし、この処理対象物用のバリア膜として、処理対象物表面を覆うように成膜される、窒化シリコンからなる下層と、この下層表面(上面)に成膜される酸窒化シリコンからなる中間層(応力緩和層)と、この中間層表面(上面)に成膜される窒化シリコンからなる上層とから構成されるものが例えば特許文献1で知られている。ここで、窒化シリコン(膜)は、水蒸気等を遮断するというバリア性が高いものの、可視光領域の波長の光を吸収し易く、しかも、その膜厚が厚くなるのに従い、上記波長の光を受けて黄色の色合いとなる(この場合、例えば有機ELパネルのトップエミションの保護層としては不適切となる)。他方、酸窒化シリコン膜は、ある程度厚い膜厚でも可視光領域の波長の光を殆ど吸収しない(透過性がよく透明度も高い)ものの、窒化シリコン膜と比較してそのバリア性は低い。そこで、上記の如く、三層からなる積層構造を採用して、透過性がよく(透明度がよい)かつ十分なバリア性を発揮するようにしている。
上記従来例では、単一のプラズマCVD装置にて上記積層構造のバリア膜が成膜される。即ち、真空ポンプにより一定の排気速度で真空引きされているプラズマCVD装置の反応室内に、シランガスと第1の反応ガスたる窒素ガスとを導入し、反応室に付設した磁場コイルにバイアス電位を印加してプラズマを発生させ、このプラズマで分解されたシリコンと窒素とが処理対象物Wに供給されて気相からの析出により成膜される。(第1工程)。次に、第1の反応ガスから、窒素ガス及び酸素ガスからなる第2の反応ガスに切り換え、前記原料ガスと共に反応室内に導入し、上記同様、酸窒化シリコンのからなる中間層が成膜される(第2工程)。次に、第2の反応ガスから、第1の反応ガスに再度切り換え、前記原料ガスと共に反応室内に導入し、上記同様、窒化シリコンからなる上層が成膜される(第3工程)。
ところで、各工程を切り換えるとき、量産性等を考慮すれば、原料ガスの導入はそのまま継続し、反応ガスのみを切り換えて各層を成膜することが考えられる。然し、このように成膜した積層構造のバリア膜は、長期に亘り十分なバリア性を発揮しないということが判明した。これは、次の理由に起因するものであると推測される。
即ち、プラズマCVD法にて上記各層を成膜する際、プラズマで分解された原料ガスと反応ガスとが、処理対象物に供給されて気相からの析出により膜成長するとき、何らかの原因で、膜中にこの膜厚方向に柱状に延びる微細な空孔(ピンホール)等の欠陥が形成されることがあり、このような欠陥のある層の上側に、原料ガスや反応ガスのガス種を切り換えて他の層を成膜すると、両層間には組成上の界面が存在するものの、上記欠陥が上側の層にも引き継がれ、更には当該層の表面まで達するようになる。そして、この欠陥を通して水蒸気等が侵入することで、長期に亘り十分なバリア性を発揮しないと推測される。
特開2006−164543号公報
本発明は、以上の点に鑑み、長時間に亘り十分なバリア性を発揮する積層構造のバリア膜を単一のプラズマCVD装置にて一貫して成膜することができる量産性のよい成膜方法を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、単一のプラズマCVD装置にて処理対象物表面に積層構造のバリア膜を成膜する成膜方法であって、真空引きされるプラズマCVD装置の反応室内に、シリコンを含む原料ガスと、窒素を含む第1の反応ガスとを導入し、放電用電力を投入してプラズマCVD法にて処理対象物表面に窒化シリコンからなる下層を成膜する第1工程と、第1の反応ガスから、窒素及び酸素の少なくとも一方を含む第2の反応ガスに切り換え、前記原料ガスと共に反応室内に導入し、窒化シリコン及び酸窒化シリコンの少なくとも1層からなる中間層を成膜する第2工程と、第2の反応ガスから、窒素を含む第1の反応ガスに切り換え、前記原料ガスと共に反応室内に導入し、窒化シリコンからなる上層を成膜する第3工程と、を含み、少なくとも第2工程と第3工程との間で、少なくとも原料ガスの導入を一時的に停止する工程を更に含むことを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも第2工程と第3工程との間で少なくとも原料ガスの導入を一時的に停止することで、中間層とその後に成膜される上層との間には互いに縁切された界面が形成されるようになり、例えば、中間層の成膜時に、何らかの原因で当該中間層(膜)中に、膜厚方向に柱状に延びる微細な空孔(ピンホール)等の欠陥が形成されたとしても、この欠陥が上層に引き継がれることが防止される。このため、単一のプラズマCVD装置にて一貫して成膜しても長時間に亘り十分なバリア性を発揮する積層構造のバリア膜を成膜することができる。
なお、本発明において、原料ガスの導入を一時的に停止する工程では、第2の反応ガスの導入は継続しても、または、停止してもよい。また、全工程(第1〜第3工程)の間、例えば一定の排気速度で反応室内が真空引きされ、プラズマ放電も継続して維持されることが好ましいが、これに限定されるものではなく、一時的に真空引きを停止したり、放電を停止したりする場合も含まれる。
ところで、前記原料ガスの導入を一時的に停止する間、反応室内の圧力が低下していくが、この間、放電電力の投入を継続してプラズマ放電を継続することが好ましい。この場合における好ましい圧力の範囲は、30Pa以下で、放電が維持できる圧力以上である。この工程の間、前記圧力の範囲に反応室を調整するには、反応ガスの導入量や排気速度を調整すればよい。また、上層と、中間層と、下層とでは成膜時における反応室内の圧力(一定の排気速度の下、原料ガス及び反応ガスのガス導入量)が互いに異なってもよい。そして、各層の成膜工程(第1、第2及び第3の各工程)の間に、原料ガスの導入を停止して成膜を一時的に停止すれば、より好ましくは、さらに圧力を30Pa以下まで反応室内を真空引きすれば、ある層とその後に成膜される上側の層との間に、欠陥が継続されないことが確認された。このため、原料ガスの導入を一時的に停止する工程を追加しても、積層構造のバリア膜を成膜するときの処理時間は、反応室内の容積にもよるが、然程長くはならず、量産性よく積層構造のバリア膜を成膜することができる。更に、第1工程と第2工程とを切り換える際に、原料ガスの導入を一時的に停止する工程を更に追加して、下層と中間層との間に互いに縁切りされた界面を形成しておけば、一層バリア性を向上することができる。
ところで、第2工程から原料ガスの導入を一時的に停止する工程に移行するとき、放電可能な圧力以下まで反応室を真空引きしたり、電力投入を停止したりして放電を停止すると、反応室内に残留する活性種が互いに反応して処理対象物表面に堆積し、このため、バリア性を低下させる原因になり得る。このため、前記第2工程から界面形成工程を経て第3工程に移行する間、放電電力の投入を継続することがよい好ましい。また、本発明においては、前記第2の反応ガスが窒素及び酸素を含むことが好ましい。
本発明の成膜方法を実施し得るプラズマCVDの構成例を模式的に示す図。 (a)は、従来例の方法で成膜した積層構造のバリア膜を説明する断面図。(b)は、本発明の実施形態の方法で成膜した積層構造のバリア膜を説明する断面図。 発明実験で得たバリア膜のSEM写真。
以下、図面を参照して、樹脂やガラス製の基板上に有機EL素子(図示せず)が形成されたものを処理対象物Wとし、この処理対象物表面にプラズマCVD法にて3層構造のバリア膜Bを形成する場合を例に本発明の実施形態の成膜方法を説明する。
図1は、本実施形態の成膜方法を実施するプラズマCVD装置1の一例を示す。プラズマCVD装置1は、反応室2aを画成する真空チャンバ2を備える。真空チャンバ2の底部には、処理対象物Wを位置決め保持する、アース接地のステージ3が設けられている。ステージ3には、例えば抵抗加熱式のヒータ等の加熱手段31が内蔵され、成膜条件によっては、成膜中、処理対象物Wを所定温度に加熱、保持することができる。
真空チャンバ2の底部には透孔21が開設され、反応室2aを一定の排気速度で真空引きする図外の真空ポンプに通じる排気管4が接続されている。この場合、排気管4には、圧力制御弁たるコンダクタンスバルブ41が介設され、原料ガスや反応ガスを導入した成膜中、真空チャンバ4内の圧力を一定に保持するようになっている。また、このコンダクタンスバルブ41により、真空チャンバ2からの排気速度を適宜制御できるようになっている。
真空チャンバ2の天板内側(反応室2a側)にはガス導入部5が設けられている。ガス導入部5は、天板内側でステージ3に向かって垂設した環状の周壁部51と、この周壁部51の下端に設けた、ステージ3に保持させた基板Wに対向するシャワープレート52とから構成されている。真空チャンバ2の天板には、周壁部51と当該周壁部51の下端に設けたシャワープレート52とにより画成される拡散空間53に原料ガスや反応ガスを供給するガス供給管6が接続されている。ガス供給管6には、マスフローコントローラ7aと、ガス供給をオン、オフ制御する開閉弁7bとを夫々備えた原料ガス供給管71と反応ガス供給管72、73とが夫々接続され、成膜中、必要に応じて各ガスを一定の流量で拡散空間53に供給できるようになっている。
ここで、下層及び上層を構成する窒化シリコン膜を形成する場合には、原料ガスとして、SiH等のシリコン系ガスが用いられ、第1の反応ガスとして、窒素ガスやアンモニアガス等の窒素を含むガスが用いられる。他方、中間層を構成する酸窒化シリコン膜を形成する場合には、原料ガスとして、SiH等のシリコン系ガスが用いられ、第2の反応ガスとして、一酸化二窒素ガス等の酸素及び窒素を含むガスが用いられる。なお、中間層は、窒化シリコン膜から構成することができ、このような場合には、第2の反応ガスとして、窒素ガスやアンモニアガス等の窒素を含むガス(第1の反応ガス)が用いられる。
また、真空チャンバ2の天板には、高周波電源8からの出力81が接続され、上記各ガスを導入した状態で真空チャンバ2に所定の高周波電力(放電用電力)を投入して、反応室2a内でプラズマ放電させることができる。ガス供給管6を介して原料ガス及び反応ガスを供給すると、拡散空間53にて両ガスが拡散され、シャワープレート52の各開口を介して反応室2a内へと導入される。この状態で、高周波電力を投入してプラズマ放電させると、当該プラズマ中で原料ガス及び反応ガスが分解されて、ステージ3上に処理対象物Wに供給されて気相からの析出により成膜される。なお、上記プラズマCVD装置1は、マイクロコンピュータやシーケンサ等を備えた図示省略の制御手段を有し、制御手段により高周波電源8の作動、マスフローコントローラ7a及び開閉弁7bの作動や真空ポンプ及びコンダクタンスバルブ41の作動等が統括制御されるようになっている。
以下に、図2及び図3を参照して、窒化シリコン膜Bd(下層)と、酸窒化シリコン膜Bm(中間層)と、窒化シリコン膜Bu(上層)との積層構造のバリア膜Bを単一のプラズマCVD装置1にて一貫して成膜する本実施形態の成膜方法を説明する。先ず、ステージ3に基板Wを設置した状態で反応室2a(真空チャンバ)内を所定圧力(例えば、10−5Pa)まで真空引きする。そして、処理対象物W表面に、下層として窒化シリコン膜Bdを先ず成膜するために、マスフローコントローラ7aと開閉弁7bとを制御して、シリコン系ガスからなる原料ガスと、窒素ガスやアンモニアガス等の窒素を含む第1の反応ガスとを拡散空間53に供給するとともに(例えば、原料ガス流量:50〜200sccm、反応ガス流量:500〜1000sccm、真空チャンバ内圧力:100〜400Pa)、放電用の高周波電力を投入し(例えば、1〜15kW)、プラズマCVD法にて窒化シリコン膜Bdを所定膜厚(例えば、500Å)で成膜する(第1工程)。
第1工程が終了すると、中間層として酸窒化シリコン膜Bmを成膜するためにガス種を切り換える。ここで、図2(a)を参照して、第1工程から第2工程に移行するとき、原料ガスの導入はそのまま継続し、反応ガスのみを切り換えて第2工程にて酸窒化シリコン膜Bmを成膜した場合、第1工程にて窒化シリコンBdが膜成長するときに何らかの原因で窒化シリコン膜Bd中にこの膜厚方向に柱状に延びる微細な空孔(ピンホール)等の欠陥Dが形成されていると、窒化シリコン膜Bdと酸窒化シリコン膜Bmとの間には組成上の界面が存在するものの、このような欠陥が、上側の酸窒化シリコン膜Bmに引き継がれてしまう。
本実施形態では、第1工程が終了した後、開閉弁7bを閉弁して、原料ガスと反応ガスとの拡散空間53への供給を一時的に停止し、反応室2a内を一旦真空引きして当該反応室2aの圧力を下げる(減圧)する工程を設けることとした。この場合、第1工程にて窒化シリコン膜Bdを成膜する際の反応室2a内の圧力(例えば、100Pa)は、後述のように第2工程にて酸窒化シリコン膜Bmを成膜する際の反応室2a内の圧力(例えば、200Pa)より低いため、この圧力(全圧)を基準圧力とし、この基準圧力から半分以下の圧力(例えば、50Pa、より好ましくは30Pa以下)まで真空引きすれば、窒化シリコン膜Bdと酸窒化シリコン膜Bmとの間に互いに縁切される界面が形成されて上記欠陥Dが上側の酸窒化シリコン膜Bmに引き継がれることを防止できる(図2(b)参照)。なお、上記では、基準圧力から半分以下の圧力を使用するが、原料ガスの分圧が膜堆積量に殆ど寄与しない程度の圧力であればよい。
そして、反応室内が所定圧力まで減圧されると、マスフローコントローラ7aと開閉弁7bとを制御して、シリコン系ガスからなる原料ガスと、一酸化二窒素ガス等の酸素及び窒素を含む第2の反応ガスとを拡散空間53に供給するとともに(例えば、原料ガス流量:50〜200sccm、反応ガス流量:500〜1000sccm、真空チャンバ内圧力:100〜400Pa)、放電用の高周波電力を投入し(例えば、1〜15kW)、プラズマCVD法にて酸窒化シリコン膜Bmを所定膜厚(例えば、1500Å)で成膜する(第2工程)。
第2工程が終了すると、上層として窒化シリコン膜Buを成膜するために、ガス種を切り換える。ここで、図2(a)を参照して、第2工程から第3工程に移行するとき、原料ガスの導入はそのまま継続し、反応ガスのみを切り換えて第3工程にて窒化シリコン膜Buを成膜した場合、酸窒化シリコン膜Bmと窒化シリコン膜Buとの間には組成上の界面が存在するものの、上記酸窒化シリコン膜Bmに引き継がれた欠陥Dが、さらに上側の窒化シリコン膜Buに引き継がれてしまう。
本実施形態では、第2工程が終了した後、上記同様開閉弁7bを閉弁して、原料ガスの拡散空間53への供給を更に一時的に停止し、反応室2a内を真空引きして当該反応室2aの圧力を下げる工程を更に実施し、基準圧力から半分以下の圧力(例えば、50Pa、より好ましくは30Pa以下)まで真空引きすることとした。これによれば、酸窒化シリコン膜Bmと窒化シリコン膜Buとの間に互いに縁切りされる界面が形成されて上記欠陥Dが上側の窒化シリコン膜Buに引き継がれることを防止できる(図2(b)参照)。
そして、反応室2a内が所定圧力まで減圧されると、マスフローコントローラ7aと開閉弁7bとを制御して、シリコン系ガスからなる原料ガスと、窒素ガスやアンモニアガス等の窒素を含む第1の反応ガスとを拡散空間53に供給するとともに(例えば、原料ガス流量:50〜200sccm、反応ガス流量:500〜1000sccm、真空チャンバ内圧力:100〜400Pa)、放電用の高周波電力を投入し(例えば、1〜15kW)、プラズマCVD法にて窒化シリコン膜Buを所定膜厚(例えば、500Å)で成膜する(第3工程)。なお、上記では、基準圧力から半分以下の圧力を使用するが、原料ガスの分圧が膜堆積量に殆ど寄与しない程度の圧力であればよい。
以上によれば、第1工程と第2工程の間、及び、第2工程と第3工程との間に反応室2aを減圧する工程を追加することで、下層Bdと中間層Bmとの間、及び、中間層Bmと上層Buとの間には欠陥が継続されない界面が形成されるようになり、例えば、下層Bdや中間層Bmの成膜時に、何らかの原因で当該層(膜)中に、膜厚方向に柱状に延びる微細な空孔(ピンホール)等の欠陥Dが形成されたとしても、この欠陥Dが上側の層に引き継がれることを防止することができる。このため、単一のプラズマCVD装置1にて一貫して成膜しても長時間に亘り十分なバリア性を発揮する積層構造のバリア膜Bを成膜することができる。
ところで、上記の如く、第1工程から第2工程、または、第2工程から第3工程に移行するとき、電力投入を停止すると、反応室2a内に残留する活性種が互いに反応して処理対象物Wや既に成膜された層表面に堆積し、バリア性を低下させる原因になり得る。このため、反応室2aを減圧する工程を夫々介在させがなら、第1工程から第2工程に移行する際、または、第2工程から第3工程に移行する間、高周波電源8による電力投入を継続し、反応室2a内でのプラズマ放電を継続させることが好ましい。この場合、投入電力は、プラズマ放電が維持できれば、特に制限されるものではない。
以上の効果を確認するために図1に示すプラズマCVD装置1を用いて下記の実験を行った。本実験では、処理対象物Wとして樹脂基板を用い、また、成膜条件は下記のものとし、樹脂基板表面に、3層構造のバリア膜を成膜した。そして、発明実験として、窒化シリコン膜と、第1工程と第2工程の間、及び、第2工程と第3工程との間で、50Paまで反応室内を排気する排気工程を追加した。
(成膜条件)
(1)下層(窒化シリコン膜):原料ガスをSiH、反応ガスをNH及びNとし、成膜時に導入する原料ガス流量を150sccm、反応ガス流量、NHを1000sccm、Nを3500sccmとし、反応室内圧力が100Paに保持されるように排気速度を設定した。また、放電用の高周波電力を1.4kW、成膜時間を15ec(膜厚500Å)とし、基板温度を80℃に設定した。
(2)中間層(酸窒化シリコン膜):原料ガスをSiH、反応ガスをNH、N及びNOとし、成膜時に導入する原料ガス流量を150sccm、反応ガス流量、NHを2000sccm、Nを3500sccm、NOを150sccmとし、反応室内圧力が100Paに保持されるように排気速度を設定した。また、放電用の高周波電力を1.4kW、成膜時間を60sec(膜厚2000Å)とし、基板温度を80℃に設定した。
(3)上層(窒化シリコン膜):原料ガスをSiH、反応ガスをNH及びNとし、成膜時に導入する原料ガス流量を150sccm、反応ガス流量、NHを1000sccm、Nを3500sccmとし、反応室内圧力が100Paに保持されるように排気速度を設定した。また、放電用の高周波電力を4kW、成膜時間を15sec(膜厚500Å)とし、基板温度を80℃に設定した。
図3は、上記条件で3層構造のバリア膜を形成したときのSEM像である。なお、SEM写真中、筋状の空洞のように見える部分がピンホール等の欠陥である。これによれば、発明実験で得たバリア膜は夫々膜厚方向にのびる欠陥が存在するものの、下層と中間層との間、及び、中間層と上層との間には互い縁切された界面が形成され、この欠陥が上側の層に引き継がれることが防止できることが確認された。なお、上記従来例の方法で成膜したバリア膜では欠陥が引き継がれることが確認された。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。上記実施形態においては、窒化シリコン膜Bd(下層)と、酸窒化シリコン膜Bm(中間層)と、窒化シリコン膜Bu(上層)との積層構造のバリア膜Bを例に説明したが、例えば、中間層Bmもまた、条件を変えて成膜した窒化シリコン膜としたものであってもよく、また、中間層を、窒化シリコン膜、酸窒化シリコン膜や酸化シリコン膜のいずれかを複数積層して形成したものにも本発明は適用できる。この場合、窒化シリコン膜は、原料ガスと反応ガスとの流量比を適宜設定すれば、膜応力を限りなくなくすことができ、また、例えば水素ガスを反応ガス中として導入すれば、圧縮応力を持つより緻密なバリア性の高い層とすることができる。よって、他の積層膜を引張応力を持つ層とする等、上記考慮して積層すればよい。
上記実施形態では、第1工程と第2工程の間、及び、第2工程と第3工程との間で反応室2aを減圧する工程を夫々追加した場合を例に説明したが、少なくとも第2工程と第3工程との間に上記工程を追加すれば、上記の如く長時間に亘り十分なバリア性を発揮する積層構造のバリア膜Bを得ることができる。また、上記実施形態では、原料ガスと反応ガスとの供給を一旦停止したものを例に説明したが、少なくとも原料ガスの供給を停止すればよい。なお、好ましい圧力の範囲は、30Pa以下で、放電が維持できる圧力以上である。この工程の間、前記圧力の範囲に反応室2aを調整するには、反応ガスの導入量や排気速度を調整することで行うことができる。
また、上記実施形態では、所謂平行平板型のプラズマCVD装置を例に説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、誘導結合型のもの等の他のプラズマCVD装置であっても適用可能である。
1…プラズマCVD装置、2a…反応室、4…排気管、6…ガス供給管、71…原料ガス供給管、72、73…第1及び第2の反応ガス供給管、8…高周波電源、B…バリア膜、Bd…下層、Bm…中間層、Bu…上層、W…処理対象物。

Claims (3)

  1. 単一のプラズマCVD装置にて処理対象物表面に積層構造のバリア膜を成膜する成膜方法であって、
    真空引きされるプラズマCVD装置の反応室内に、シリコンを含む原料ガスと、窒素を含む第1の反応ガスとを導入し、放電用電力を投入してプラズマCVD法にて処理対象物表面に窒化シリコンからなる下層を成膜する第1工程と、
    第1の反応ガスから、窒素及び酸素の少なくとも一方を含む第2の反応ガスに切り換え、前記原料ガスと共に反応室内に導入し、窒化シリコン及び酸窒化シリコンの少なくとも1層からなる中間層を成膜する第2工程と、
    第2の反応ガスから、窒素を含む第1の反応ガスに切り換え、前記原料ガスと共に反応室内に導入し、窒化シリコンからなる上層を成膜する第3工程と、を含み、
    少なくとも第2工程と第3工程との間で、少なくとも原料ガスの導入を一時的に停止する工程を更に含み、
    前記原料ガスの導入を一時的に停止する工程の間、放電電力の投入を継続することを特徴とする成膜方法。
  2. 前記原料ガスの導入を一時的に停止する工程において、30Pa以下で、放電が維持できる圧力以上の範囲で反応室内の圧力を低下させることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
  3. 前記第2の反応ガスが窒素及び酸素を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の成膜方法。
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