JP5780415B2 - 油圧制御装置 - Google Patents

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本発明は、エンジンの回転によって駆動されてオイルを吐出するポンプと、前記ポンプから吐出されたオイルが供給される第1所定部位と、前記ポンプと前記第1所定部位とを連通する第1流路と、前記第1流路から分岐して前記第1所定部位以外の第2所定部位にオイルを供給する第2流路と、前記第2流路の油圧の増大によって前記第2流路の流路面積を増大させる方向に移動し、前記油圧の減少によって前記流路面積を減少させる方向に移動するスプールを備えて前記第2流路に配設される流路面積調節部と、を備えた油圧制御装置に関する。
従来、特許文献1に記載されているように、エンジンの回転によって駆動されてオイルを吐出するポンプと、ポンプによって供給されるオイルの油圧により作動する弁開閉時期制御装置(本発明の「第1所定部位」に相当)と、ポンプによって供給されるオイルを用いてエンジン各部を潤滑するエンジン潤滑装置(本発明の「第2所定部位」に相当)と、を備えた油圧制御装置があった。
特許文献1に記載の発明は、弁開閉時期制御装置に作用する油圧が低い時に、ポンプからエンジン潤滑装置へのオイル流量を制限し、ポンプから弁開閉時期制御装置へのオイル供給を優先させる優先弁(本発明の「流路面積調節部」に相当)を備えている。従って、ポンプの回転数が低い時は、弁開閉時期制御装置に作用する油圧が優先的に確保され、ポンプを補助する電動式ポンプを備えなくとも、弁開閉時期制御装置を適切に作動させることが可能となる。
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、優先弁が弁体とリテーナとを備えて構成されており、弁体とリテーナとが各々摺動するだけの空間を必要とする。このため、優先弁の大型化を招来し、搭載性の点において改善の余地があった。
そこで、流路面積調節部の小型化を図り、エンジンへの搭載性を向上させた油圧制御装置として、図14に示すものが知られている。この油圧制御装置は、ポンプ101から吐出されたオイルを弁開閉時期制御装置102とメインギャラリ108とに供給するものである。ポンプ101と弁開閉時期制御装置102とは第1流路111で接続され、第1流路111から分岐した第2流路113がメインギャラリ108に接続する。第2流路113には、第2流路113の流路面積を調節する流路面積調節部103が設けられている。流路面積調節部103は、第1受圧面131dと当該第1受圧面131dよりも面積の小さな第2受圧面131eとが第2流路113を挟んで対向するように形成されたスプール131と、スプール131を閉じ側に付勢する付勢部材132と、を有する。
上記構成によれば、スプール131には、第1受圧面131dと第2受圧面131eとの面積差に第2流路113の油圧を乗じた力が開き側に作用すると共に、付勢部材132による付勢力が閉じ側に作用する。第2流路113の油圧が小さい時には、付勢部材132による付勢力が優勢となり、スプール131が閉じ側に移動して第2流路113の流路面積が減少する。又、第2流路113の油圧が増大するに従って、スプール131が付勢部材132の付勢力に抗して開き側に移動し、第2流路113の流路面積が増大する。
従って、ポンプ101から供給されるオイルの油圧が小さい時には、第2流路113の流路面積が減少し、一方、ポンプ101から供給されるオイルの油圧が大きくなると、第2流路113の流路面積が増大する。このように、流路面積調節部103における第2流路113の流路面積の調節機能がスプール131の移動のみで実現されるので、流路面積調節部103はスプール131の移動領域を確保するだけでよく、流路面積調節部103の小型化を実現できるものとなっていた。
特開2009−299573号公報
この油圧制御装置においては、図14に示す第2流路113の流路面積を最も絞っている状態から、第2流路113の油圧によりスプール131が開き側に移動し始めるには、付勢部材132の付勢力と、スプール131とバルブボディ133との間の静止摩擦力との和よりも大きな力が、第1受圧面131dに作用する必要がある。しかし、一旦、スプール131が動き始めると、摩擦力が静止摩擦から動摩擦に変化することにより、スプール131の開き側への移動に対する抵抗力が瞬時に小さくなる。このため、急激に第2流路113の流路面積が増大し、その結果、弁開閉時期制御装置2に供給される油圧が急激に低下し、弁開閉時期制御装置2の安定的な作動に支障をきたすおそれがあった。
この問題を鑑みて、本発明は、ポンプから吐出されるオイルの油圧を所定の部位に安定的に供給する油圧制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る油圧制御装置の特徴構成は、エンジンの回転によって駆動されてオイルを吐出するポンプと、前記ポンプから吐出されたオイルが供給される第1所定部位と、前記ポンプと前記第1所定部位とを連通する第1流路と、前記第1流路から分岐して前記第1所定部位以外の第2所定部位にオイルを供給する第2流路と、前記第2流路の油圧の増大によって前記第2流路の流路面積を増大させる方向に移動し、前記油圧の減少によって前記流路面積を減少させる方向に移動するスプールを備えて前記第2流路に配設される流路面積調節部と、前記スプールが最も閉じ側に位置する閉塞状態においても、前記流路面積調節部に対する前記第2流路の上流側と下流側とを連通させ、前記第2所定部位にオイルを供給するバイパス流路と、を備え、前記スプールが前記閉塞状態から開き側に移動しても前記流路面積を変化させない領域を設けてあり、前記スプールは、前記第2流路のオイルが供給路を介して供給される空間に臨む受圧面を有し、かつ、前記受圧面に作用する油圧の増大によって前記第2流路の流路面積を増大させる方向に移動し、前記空間は、前記スプールが前記第2流路の上流側と下流側とを連通しているときに前記第2流路と連通する点にある。
本特徴構成によれば、スプールが閉塞状態から開き側に移動し始め、摩擦力が静止摩擦から動摩擦に瞬時に変化した結果、スプールが急激に開き側に移動したとしても、この時に第2流路の流路面積を変化させない領域を設けてあるので、第2流路の流路面積が変化することがない。従って、第2流路と接続している第1流路に対しても、スプールが急激に移動することの影響が及ぶことがなく、第1流路を介して第1所定部位に供給される油圧は安定する。
さらに本特徴構成によると、スプールが最も閉じ側に位置する閉塞状態においても、流路面積調節部に対する第2流路の上流側と下流側とを連通させるバイパス流路を設けている。このため、閉塞状態においても、第2所定部位にオイルを供給することが可能となる。従って、第1所定部位に安定的な油圧を供給しつつ、第2所定部位に対するオイル供給も確実に行うことができる。
本発明に係る油圧制御装置にあっては、前記スプールを、円柱状の大径部と、前記大径部よりも径の小さい円柱状の小径部と、前記大径部の中心部と前記小径部の中心部とを連結する連結部とを備えたものとし、前記大径部と前記小径部との間の領域を、前記供給路を介してオイルが供給される前記空間とすることができる。
本構成であれば、スプールの大径部と小径部との面積差と、前記供給路を介して供給される前記第2流路のオイルの圧力とに基づいて、スプールが開く側にスプールに力を与えることができる。
また、連結部の周囲に形成される環状空間は、スプールが第2流路を開放している場合には、第2流路を流通するオイルの流路として機能する。
前記バイパス流路は、前記スプールの外周面に形成された環状の溝で構成されていると好適である。
本特徴構成のごとく、バイパス流路がスプールの外周面に形成されていれば、バイパス流路を確保するためにバルブボディを大型化する必要がないので、流路面積調節部の搭載性を向上させることができる。又、バイパス流路がスプールの外周面に形成された環状の溝なので、スプールをバルブボディに組み付ける際に周方向の位置決めを行う必要がなく、組み付けが容易になる。さらに、スプールには周方向において均等な油圧が作用するため、スプールが傾くことを回避できる。
又、前記バイパス流路は、前記スプールを収容しているバルブボディに形成された環状の溝で構成されていると好適である。
本特徴構成のごとく、バイパス流路がバルブボディに形成された環状の溝として形成されていれば、バルブボディをバルブハウジングに組み付ける際や、スプールをバルブボディに組み付ける際に、これらの組み付け方向等とは関係なく、第2流路の下流側と上流側とを連通させることができる。従って、組み付けが容易になると共に、確実に第2流路の上流側と下流側とを連通させることができる。
又、前記バイパス流路は、前記スプールを収容しているバルブボディの外周面に形成され、前記第2流路の上流側と接続する第1長溝と、前記バルブボディの外周面に形成され、前記第2流路の下流側と接続する第2長溝と、前記バルブボディに形成され、前記第1長溝と前記第2長溝とを連通する貫通孔と、を有するように構成されてもよい。
本特徴構成によれば、バルブボディの外周面に第1長溝及び第2長溝を形成した後、これらを連通する貫通孔を形成すればよいので、バイパス流路の加工が容易である。特に、第1長溝、第2長溝及び貫通孔を簡単なドリル加工等で直線的に形成すれば、バイパス流路の加工が一層容易となる。さらに、バイパス流路がバルブボディに形成されているので、スプールの組み付けの際に流路を接続するための位置決め等を行う必要がなく、組み付けが容易になる。
さらに、前記貫通孔には、前記貫通孔の他の部分よりも断面積の小さい絞り部が形成されていると好適である。
本特徴構成によれば、バイパス流路の一部を構成する貫通孔に断面積の小さな絞り部を設けているので、閉塞状態においてバイパス流路を流通するオイル量を絞り部の寸法により規定することができる。従って、第2流路に大量のオイルが供給される場合にも、バイパス流路を流通するオイル量は一定量に制限され、それ以外のオイルがスプールに油圧を作用させることになる。即ち、スプールが動き始める油圧の設定を、絞り部の寸法を調節することで容易に行うことができるようになる。又、絞り部の寸法精度さえ確保されれば、それ以外のバイパス流路の部分は加工精度が多少劣ってもよく、製作コストが低減できる。
本発明の実施形態に係る油圧制御装置の全体構成を示す図である。 流路面積調節部が強制全開状態の時を示す図である。 流路面積調節部が閉塞状態の時を示す図である。 流路面積調節部が開放直前状態の時を示す図である。 流路面積調節部が開放状態の時を示す図である。 流路面積調節部が全開状態の時を示す図である。 (a)は、オイル温度とOCVのON/OFF状態との関係を示す図であり、(b)は、流路面積調節部が強制全開状態の時のエンジン回転数と各部の油圧との関係を示す図であり、(c)は、流路面積調節部が閉塞状態から全開状態に至る時のエンジン回転数と各部の油圧との関係を示す図である。 別の実施形態において流路面積調節部が閉塞状態の時を示す図である。 別の実施形態において流路面積調節部が開放直前状態の時を示す図である。 図8におけるX−X面の断面図である。 別の実施形態において流路面積調節部が閉塞状態の時を示す図である。 別の実施形態において流路面積調節部が開放直前状態の時を示す図である。 図11におけるXIII−XIII面の断面図である。 従来技術に係る油圧制御装置の全体構成を示す図である。
本発明を自動車用エンジンの油圧制御装置として適用した実施形態について、図に基づいて説明する。本実施形態では、本発明における「第1所定部位」が吸気弁側の弁開閉時期制御装置であるとして説明する。
1.全体構成
油圧制御装置は、図1に示すごとく、エンジンの回転によって駆動されるポンプ1と、相対回転位相をオイルの供給又は排出によって変位させる弁開閉時期制御装置2と、を備えている。弁開閉時期制御装置2は、OCV5(オイルコントロールバルブ)の制御によるオイルの供給及び排出によって動作する。ポンプ1とOCV5とは吐出油路11Aで接続され、弁開閉時期制御装置2とOCV5とは進角油路12A及び遅角油路12Bで接続される。吐出油路11A、進角油路12A及び遅角油路12Bは、本発明における「第1流路」に相当するものである。吐出油路11Aからは、「第2所定部位」としてのメインギャラリ8にオイルを供給する「第2流路」としての潤滑油路13が分岐している。潤滑油路13には、その流路面積を調節する流路面積調節部3が設けてある。尚、各油路は、エンジンのシリンダケース等に形成されている。
2.ポンプ
ポンプ1は、図示しないクランクシャフトの回転駆動力が伝達されることにより機械的に駆動されてオイルを吐出する。ポンプ1は、図1に示すごとく、オイルパン1aに貯留されたオイルを吸入し、そのオイルを吐出油路11Aへ吐出する。吐出油路11Aには、オイルフィルタ6が配設されており、オイルストレーナで濾過されなかった小さなごみやスラッジを濾過する。オイルフィルタ6による濾過後のオイルは、弁開閉時期制御装置2及びメインギャラリ8へ供給される。尚、メインギャラリ8とは、不図示のピストン、シリンダ、クランクシャフトの軸受、等の摺動部材全体を示す。
弁開閉時期制御装置2から排出されたオイルは、OCV5及び戻り油路11Bを介して、オイルパン1aに戻される。メインギャラリ8に供給されたオイルは、不図示のカバー類を伝ってオイルパン1aに回収される。又、弁開閉時期制御装置2から漏洩したオイルもカバー類を伝ってオイルパン1aに回収される。
3.弁開閉時期制御装置
〔概要〕
弁開閉時期制御装置2は、図1に示すごとく、不図示のエンジンのクランクシャフトに対して同期回転するハウジング21と、ハウジング21に対して同軸芯X上に配置され、カムシャフト92と同期回転する内部ロータ22とを備えている。図2に示すごとく、弁開閉時期制御装置2は、ハウジング21に対する内部ロータ22の相対回転移動を拘束することにより、ハウジング21に対する内部ロータ22の相対回転位相を、最遅角位相に拘束可能なロック機構27を備えている。
〔ハウジング及び内部ロータ〕
内部ロータ22は、図1に示すごとく、カムシャフト92の先端部に組み付けられている。ハウジング21は、カムシャフト92が接続される側とは反対側のフロントプレート21aと、タイミングスプロケット21dを一体的に備えた外部ロータ21bと、カムシャフト92が接続される側のリアプレート21cと、を備えている。外部ロータ21bを内部ロータ22に外装し、フロントプレート21aとリアプレート21cとで挟み込み、フロントプレート21aと外部ロータ21bとリアプレート21cとをボルトによって締結してある。
クランクシャフトが回転駆動すると、動力伝達部材93を介してタイミングスプロケット21dにその回転駆動力が伝達され、ハウジング21が図2に示す回転方向Sに回転駆動する。ハウジング21の回転駆動に伴い、内部ロータ22が回転方向Sに回転駆動してカムシャフト92が回転し、カムシャフト92に設けられたカムがエンジンの吸気弁を押し下げて開弁させる。
図2に示すごとく、外部ロータ21bと内部ロータ22とによって3箇所の流体圧室24を形成してある。流体圧室24内に位置するよう、内部ロータ22に径外方向に突出する複数個のベーン22aを回転方向Sに沿って互いに離間させて形成してある。流体圧室24は、ベーン22aによって回転方向Sに沿って進角室24aと遅角室24bとに仕切られている。
図1及び図2に示すごとく、各進角室24aに連通するよう、進角室連通路25を内部ロータ22及びカムシャフト92に形成してある。又、各遅角室24bに連通するよう、遅角室連通路26を内部ロータ22及びカムシャフト92に形成してある。図1に示すごとく、進角室連通路25は、OCV5に連通する進角油路12Aに接続されている。遅角室連通路26は、OCV5に連通する遅角油路12Bに接続されている。
図1に示すごとく、内部ロータ22とフロントプレート21aとに亘ってトーションスプリング23を設けてある。トーションスプリング23は、カムトルク変動に基づく遅角方向への平均変位力に抗するよう、内部ロータ22を進角側に付勢している。これにより、円滑かつ迅速に、相対回転位相を後述する進角方向S1へ変位させることが可能である。
〔ロック機構〕
ロック機構27は、エンジンの始動直後においてオイルの油圧が安定しない状況において、ハウジング21と内部ロータ22とを所定の相対位置に保持することで、相対回転位相を最遅角位相に拘束する。その結果、適切なエンジン始動が可能であると共に、エンジン始動時やアイドリング運転時に、カムトルク変動に基づく変位力によって内部ロータ22がバタつくこともない。
ロック機構27は、図2に示すごとく、プレート状の2つのロック部材27aと、ロック溝27bと、ロック機構連通路28と、を備えている。ロック溝27bは、内部ロータ22の外周面に形成されており、相対回転方向に一定の幅を有している。ロック部材27aは、外部ロータ21bに形成された収容部に配設され、ロック溝27bに対して径方向に出退可能である。ロック部材27aは径方向内側、即ち、ロック溝27bの側にスプリングによって常時付勢されている。ロック機構連通路28は、ロック溝27bと進角室連通路25とを接続している。これにより、進角室24aにオイルが供給されると、ロック溝27bにもオイルが供給され、進角室24aからオイルが排出されると、ロック溝27bからもオイルが排出される。
ロック溝27bからオイルが排出されていると、各ロック部材27aはロック溝27bに突出可能である。図2に示すごとく、両方のロック部材27aがロック溝27bに突入すると、ロック溝27bの周方向の両端に各ロック部材27aが係止することとなる。その結果、内部ロータ22のハウジング21に対する相対回転移動が拘束され、相対回転位相が最遅角位相に拘束される。ロック溝27bにオイルが供給されると、図3に示すごとく、両方のロック部材27aがロック溝27bから引退して相対回転位相の拘束が解除され、内部ロータ22は相対回転移動自在となる。以下、ロック機構27が相対回転位相を最遅角位相に拘束している状態を「ロック状態」と称する。又、ロック状態が解除された状態を「ロック解除状態」と称する。
4.OCV(制御弁)
OCV5は、電磁制御型であって、進角室連通路25及び遅角室連通路26に対するオイルの供給、排出、及び給排遮断の制御が可能である。OCV5は、スプール式に構成され、ECU7(エンジンコントロールユニット)による給電量の制御に基づいて動作する。OCV5によって、進角油路12Aへのオイル供給・遅角油路12Bからのオイル排出、進角油路12Aからのオイル排出・遅角油路12Bへのオイル供給、進角油路12A及び遅角油路12Bへのオイル給排遮断、といった制御が可能である。
進角油路12Aへのオイル供給・遅角油路12Bからのオイル排出を行う制御が「進角制御」である。進角制御を行うと、ベーン22aは外部ロータ21bに対して進角方向S1に相対回転移動し、相対回転位相は進角側へ変位する。進角油路12Aからのオイル排出・遅角油路12Bへのオイル供給を行う制御が「遅角制御」である。遅角制御を行うと、ベーン22aは外部ロータ21bに対して遅角方向S2に相対回転移動し、相対回転位相は遅角側へ変位する。進角油路12A及び遅角油路12Bへのオイルの給排を遮断する制御を行うと、相対回転位相を任意の位相に保持できる。
尚、OCV5に給電すると進角制御が可能な状態となり、OCV5への給電を停止すると遅角制御が可能な状態となるよう設定してある。又、OCV5は、電磁ソレノイドに供給する電力のデューティ比の調節により開度を設定するものである。これにより、オイルの給排量の微調節が可能である。
以上のように、OCV5を制御することによって、進角室24a及び遅角室24bに対してオイルを供給、排出、又は給排量保持し、ベーン22aにそのオイルの油圧力を作用させる。このようにして、相対回転位相を進角方向又は遅角方向へ変位させ、或いは、任意の位相に保持する。
5.弁開閉時期制御装置の動作
弁開閉時期制御装置2の動作を図2〜図6に基づいて説明する。上述の構成により、内部ロータ22はハウジング21に対して軸芯Xの回りに一定の範囲内で円滑に相対回転移動可能である。ハウジング21と内部ロータ22とが相対回転移動可能な一定の範囲、即ち最進角位相と最遅角位相との位相差は、流体圧室24の内部でベーン22aが変位可能

な範囲に対応する。尚、進角室24aの容積が最大となるのが最進角位相であり、遅角室24bの容積が最大となるのが最遅角位相である。
図示はしていないが、エンジンのクランクシャフトの回転角を検出するクランク角センサと、カムシャフト92の回転角を検出するカムシャフト角センサとが設けられている。ECU7は、これらのクランク角センサとカムシャフト角センサとの検出結果から相対回転位相を検出する。又、ECU7には、イグニッションキーのON/OFF情報、オイル温度を検出する油温センサからの情報、等を取得する信号系が形成されている。又、ECU7のメモリ内には、エンジンの運転状態に応じた最適の相対回転位相の制御情報が記憶されている。ECU7は、運転状態(エンジン回転数、冷却水温等)の情報と、上述した制御情報とから、相対回転位相を制御する。
エンジン始動前は、図2に示すごとく、ロック機構27によってロック状態となっている。不図示のイグニッションキーがON操作されると、クランキングが開始され、エンジンは相対回転位相が最遅角位相に拘束された状態で始動する。そして、アイドリング運転に移行し、触媒暖機が開始される。触媒暖機が終了し、不図示のアクセルが踏み込まれると、相対回転位相を進角方向S1に変位させるべく、OCV5に給電がなされて進角制御が行われる。これにより、進角室24a及びロック溝27bにオイルが供給され、図3に示すごとく、ロック部材27aがロック溝27bから引退し、ロック解除状態となる。ロック解除状態となると、相対回転位相は変位自在であり、進角室24aへのオイル供給に従って図4〜図6の状態へと変位する。その後は、エンジンの負荷や回転数等に応じて、相対回転位相を最進角位相と最遅角位相と間で変位させる。
エンジン停止前にはアイドリング運転となるため、相対回転位相は最遅角位相となる。この時、少なくとも進角側のロック部材27aがロック溝27bに突入している。そして、イグニッションキーがOFF操作されると、カムトルクの変動によって内部ロータ22がバタつき、遅角側のロック部材27aもロック溝27bに突入し、ロック状態となる。従って、次回のエンジン始動が好適に行える。
6.流路面積調節部
流路面積調節部3は、図2〜図6に示すごとく、潤滑油路13に対して直交する方向に移動可能なスプール31を備えて構成される。スプール31は、円柱状の大径部31aと、大径部31aよりも径の小さい円柱状の小径部31bと、大径部31aの中心部と小径部31bの中心部とを連結する連結部31cとを有する。大径部31aのうち小径部31bと対向する面が第1受圧面31dとして、小径部31bのうち大径部31aと対向する面が第2受圧面31eとして構成される。連結部31cの周囲に形成される環状空間36は、図2に示すごとく、スプール31が潤滑油路13を開放している場合には、潤滑油路13を流通するオイルの流路として機能する。
スプール31の大径部31aには開放空間が形成され、この開放空間とスプール31を収容しているバルブボディ33とにより、スプリング32を収容するスプリング収容空間37が形成される。スプリング32は、スプール31を潤滑油路13の流路面積を減少させる方向に常時付勢する。以下、潤滑油路13の流路面積を減少させる方向(図2において上向き)を「閉じ側」、潤滑油路13の流路面積を増大させる方向(図2において下向き)を「開き側」と称する。
バルブボディ33は、ボディ本体34と栓部材35とを有する。ボディ本体34の側壁には、潤滑油路13に接続する流通開口部34aが2箇所に形成されている。以下、図2及び図6に示すごとくスプール31が最も開き側に位置し、流通開口部34aが全開放されている状態を「全開状態」、図3に示すごとくスプール31が最も閉じ側に位置し、流通開口部34aがスプール31によって遮断されている状態を「閉塞状態」、図4に示すごとくスプール31が閉塞状態から開き側に移動し、かつ流通開口部34aが開放される直前の状態を「開放直前状態」、図5に示すごとく流通開口部34aが部分的に開放されている状態を「開放状態」と称する。さらに、図3と図4との間の状態、即ち、スプール31が最も閉じ側から開き側に移動はしているが、流通開口部34aがスプール31によって遮断されている状態を、閉塞状態と区別して「遮断状態」と称する。
栓部材35は、スプール31及びスプリング32をバルブボディ33に収容した状態でボディ本体34の一端に螺着される。スプリング収容空間37が密閉空間として構成されていると、スプール31が開き側に移動する際に、スプール31の移動が円滑に行われない虞がある。そこで、栓部材35には、スプリング収容空間37を大気に対して開放する呼吸孔35aを設け、スプール31の円滑な移動を実現している。
スプール31の第1受圧面31dの面積は、第2受圧面31eの面積よりも大きい。従って、スプール31は開き側に、「〔潤滑油路13の油圧〕×〔第1受圧面31dの面積−第2受圧面31eの面積〕」で計算される力(以下「力Fs」と称する)を受ける。又、スプール31は閉じ側に、スプリング32による付勢力(以下「付勢力Fp」と称する)を受ける。さらに、スプール31が閉塞状態から開き側に動き始める場合には、スプール31の大径部31a及び小径部31bの外周面とバルブボディ33の内周面との間に生じる静止摩擦力(以下「静止摩擦力Fsf」と称する)が抵抗力として作用する。
図3に示す閉塞状態において、潤滑油路13の油圧が高まって、力Fsが付勢力Fpと静止摩擦力Fsfとの和を上回ると、スプール31は開き側に移動し始め、図4、図5、図6に示す状態へと変化する。一方、潤滑油路13の油圧が小さくなり、力Fsに対して付勢力Fpが優勢となれば、スプール31は閉じ側に移動する。このように、潤滑油路13の油圧の増減に応じて、スプール31の大径部31aが潤滑油路13に対して出退し、潤滑油路13の流路面積が調節される。
図3に示すように、潤滑油路13から環状空間36にオイルを供給して力Fを発生させるべく、ボディ本体34には供給路34cが形成される。力Fを発生させるためには、環状空間36に供給されたオイルによる油圧が、第1受圧面31dの全領域に作用する必要がある。このため、第1受圧面31dとボディ本体34との間には、閉塞状態においてもオイルが第1受圧面31dに作用するように導入空間38を設けている。
後述するが、所定の条件下においては、流路面積調節部3を全開状態に維持することが望ましい場合がある。そこで、本実施形態においては、バルブボディ33のボディ本体34の端部に作動開口部34bを設け、作動開口部34bに遅角油路12Bから分岐した作動油路14が接続されるように構成してある。この構成によれば、作動油路14の油圧が第2受圧面31eの背面に作用すると、スプール31は開き側の力を受ける。作動油路14の油圧は第2受圧面31eの背面全体に作用するため、容易に大きな力を発生させることができ、図2に示すごとく、流路面積調節部3を全開状態で維持することができる。以下、この全開状態を特に「強制全開状態」と称する。
又、潤滑油路13がスプール31によって遮断されている場合においても、一定量のオイルをメインギャラリ8に供給する必要がある。このため、バルブボディ33が組み付けられているバルブハウジング41には、流路面積調節部3に対する潤滑油路13の上流側と下流側とを連通させる「バイパス流路」として、連通油路15が形成されている。従って、図3の閉塞状態から図4の開放直前状態に亘る遮断状態においては、連通油路15の管径さえ設計交差内に収まるように加工すれば、所定のオイル量を連通油路15を介してメインギャラリ8に流通させることができる。
以上のように、潤滑油路13の油圧の作用、又は、潤滑油路13の油圧及び作動油路14の油圧の作用によって、スプール31がバルブボディ33の内部を摺動し、潤滑油路13の流路面積が調節される。
7.油圧制御装置の動作
油圧制御装置の動作について図に基づいて説明する。図7(a)〜(c)におけるII、III、IV、V、VIは、夫々図2、図3、図4、図5、図6の状態に対応するものであることを示す。即ち、IIは強制全開状態、IIIは閉塞状態、III〜IVは遮断状態、IVは開放直前状態、Vは開放状態、VIは全開状態に、夫々対応するものである。
エンジン始動直後は、弁開閉時期制御装置2は作動する必要がなく、油圧を必要としない。一方で、メインギャラリ8は動作を開始すべく潤滑油としてのオイルを必要とする。そこで、オイル温度が予め定めた第1設定温度T1よりも低い時は、図7(a)に示すごとく、OCV5に通電しない(OFF)。即ち、図2に示すごとく、OCV5は遅角制御の状態に維持されており、遅角油路12Bが吐出油路11Aに接続され、進角油路12Aは戻り油路11Bに接続されている。
図2に示す状態においては、弁開閉時期制御装置2がロック状態であるにも拘らず、遅角室24bにはオイルが供給され、遅角油路12Bの油圧は高まる。この高まった油圧が作動油路14を介して第2受圧面31eの背面に供給され、スプール31が開き側に移動する。その結果、流路面積調節部3は強制全開状態となり、優先的にメインギャラリ8にオイルが供給される。
この時のポンプ1のオイル吐出圧と、弁開閉時期制御装置2に供給される油圧と、メインギャラリ8に供給される油圧と、の関係を図7(b)に示す。図に示すように、弁開閉時期制御装置2に供給される油圧と、メインギャラリ8に供給される油圧と、は共にポンプ1のオイル吐出圧の上昇に追従する。
オイル温度が予め定めた第1設定温度T1よりも高まって暖機運転が完了した後、アクセルが踏み込まれると、OCV5に通電がなされ(ON)、図3に示すごとく、進角制御の状態に移行する。即ち、弁開閉時期制御装置2が作動を開始するので、弁開閉時期制御装置2に早急にオイルを供給する必要がある。OCV5が進角状態となっているので、進角油路12Aが吐出油路11Aに接続され、遅角油路12Bは戻り油路11Bに接続されている。その結果、作動油路14の油圧は急激に低下し、又、オイル温度が高まってもエンジン回転数が低いので、未だポンプ1のオイル吐出圧が低く潤滑油路13に作用する油圧は小さい。従って、スプール31はスプリング32によって付勢されて閉じ側に移動し、流路面積調節部3は閉塞状態となる。その結果、優先的に弁開閉時期制御装置2にオイルが供給される。尚、閉塞状態においても、連通油路15を経由してメインギャラリ8には一定量のオイルが供給される。
その後、エンジン回転数が高まるに従って、ポンプ1のオイル吐出圧が高まると、潤滑油路13の油圧も高まり、流路面積調節部3は図3に示す閉塞状態から図4、図5、さらには図6に示す全開状態へと変化する。これにより、エンジン回転数が高まって大量の潤滑油を必要とするメインギャラリ8にもオイルが十分に供給されることとなる。当然、エンジンの回転数が高まっている時は、弁開閉時期制御装置2にも油圧が必要となるが、絶対的にポンプ1の吐出圧が高まっているので、弁開閉時期制御装置2にも十分なオイルが供給される。この後、遅角制御を行って第2受圧面31eの背面に作動油路14の油圧が作用しても、流路面積調節部3は全開状態を維持する。即ち、オイル温度が第1設定温度T1よりも高い時は、スプール31は潤滑油路13の油圧の高低に支配され、潤滑油路13の流路面積を調節する。
この時のポンプ1のオイル吐出圧と、弁開閉時期制御装置2に供給される油圧と、メインギャラリ8に供給される油圧と、の関係を図7(c)に示す。図3の状態(III)〜図4の状態(IV)にかけては、流路面積調節部3が遮断状態となっており、連通油路15を経由して一定量のオイルがメインギャラリ8に供給されるのみである。従って、ポンプ1のオイル吐出圧の上昇率と比べて、メインギャラリ8の油圧の上昇率が下がると共に弁開閉時期制御装置2の油圧の上昇率が上がる。
図5の状態(V)の時は、流路面積調節部3が開放状態となり、潤滑油路13の油圧の上昇に伴い流路面積は徐々に大きくなる。従って、メインギャラリ8の油圧の上昇率が上がると共に、弁開閉時期制御装置2の油圧の上昇率が下がる。図6の状態(VI)の時は、流路面積調節部3が全開状態となり、メインギャラリ8の油圧と弁開閉時期制御装置2の油圧とは共に、ポンプ1のオイル吐出圧の上昇に追従する。
ここで、スプール31が図3に示す閉塞状態から開き側に移動しても、潤滑油路13の流路面積を変化させない領域Rを設けてある。よって、スプール31の大径部31a及び小径部31bの外周面とバルブボディ33の内周面との間に生じる摩擦力が、スプール31の移動開始直後に静止摩擦から動摩擦に変化し、スプール31が急激に開き側に移動したとしても、潤滑油路13の流路面積は変化しない。従って、摩擦力の変化が弁開閉時期制御装置2に供給される油圧に影響を及ぼすことがなく、弁開閉時期制御装置2の安定的な作動を実現することができる。又、摩擦力の変化による流路面積の急激な変化を排除できるので、遮断状態から開放直前状態を経て開放状態に至る動作が円滑となり、ポンプ1の仕事効率が向上する。
ところで、弁開閉時期制御装置2は、僅かながら部品間に微小隙間があり、特にオイル粘度が低い場合にはこの微小隙間からオイルが漏れ出す(滲み出る)ことがあり、油圧が効率良く弁開閉時期制御装置2に作用しないことが考えられる。このような場合に弁開閉時期制御装置2を作動させると、ポンプ1を大型化してポンプ1の吐出圧を高めなければならない。即ち、ポンプ1を駆動させる動力が必要となって、逆にエンジンの燃費悪化を招来し得る。
従って、オイル温度がさらに上昇して第2設定温度T2よりも高くなり、オイル粘度が低くなった場合には、図7(a)に示すごとく、OCV5に通電しない(OFF)。即ち、OCV5は遅角制御の状態に維持されており、遅角油路12Bが吐出油路11Aに接続され、進角油路12Aは戻り油路11Bに接続されている。よって、相対回転位相は最遅角位相となり、ロック機構27によりロック状態となって、遅角油路12Bの油圧が高まる。その結果、作動油路14を介して第2受圧面31eの背面に油圧が作用し、スプール31が開き側に移動する。このように、オイル温度が第2設定温度T2よりも高くなった時は、弁開閉時期制御装置2の作動を停止して、流路面積調節部3を強制全開状態に維持することにより、メインギャラリ8に積極的にオイルを供給することができる。
尚、第2設定温度T2は、第1設定温度T1よりも高い設定温度である。又、例示すると、第1設定温度T1は55〜65℃、第2設定温度T2は100〜110℃とすることが考えられるが、他の設定とすることも可能である。
本実施形態においては、オイル温度が第1設定温度T1よりも低い時及び第2設定温度T2よりも高い時には、OCV5をOFF状態とすることにより、流路面積調節部3の強制全開状態を実現している。しかし、流路面積調節部3の強制全開状態を実現させるため

の構成は他にも可能である。例えば、オイル温度が第1設定温度T1よりも低い時には、オイルの粘度が高いことを利用して、潤滑油路13の油圧により流路面積調節部3の強制全開状態を実現するように構成してもよい。又、オイル温度が第2設定温度T2よりも高い時には、一定温度以上の時に体積が大きく膨張するサーモワックスを利用し、サーモワックスの膨張作用により流路面積調節部3を強制全開状態とするような制御機構を設けてもよい。
[別の実施形態]
本発明に係る別の実施形態について、図8〜図13に基づいて説明する。尚、別の実施形態は油圧制御装置のうち流路面積調節部3の構成を上述の実施形態から変更したものであるので、流路面積調節部3についてのみ説明する。又、以下では、オイル温度が第1設定温度T1よりも高く、第2設定温度T2よりも低い時について説明するが、オイル温度が第1設定温度T1よりも低い時又は第2設定温度T2よりも高い時に流路面積調節部3を強制全開状態に維持する機構を適宜設けてもよい。上述の実施形態に示した部品や部位と対応するものには、上述の実施形態と同じ符号を付している。
図8〜図10は、連通油路15をスプール31の外周面に形成された環状の溝で構成した実施形態を示したものである。図8は流路面積調節部3が閉塞状態の時を示す図であり、図9は流路面積調節部3が開放直前状態の時を示す図である。又、図10は、図8におけるX−X面の断面図である。
図8に示すように、スプール31は一端側に空間が形成された円柱状に構成され、この空間とスプール31を収容しているバルブボディ33とにより、スプリング32を収容するスプリング収容空間37が形成される。スプリング収容空間37に収容されたスプリング32は、スプール31を閉じ側に常時付勢する。スプール31の受圧面31fの一部には突起部31gが設けられ、突起部31gによって受圧面31fとバルブボディ33との間に導入空間38が形成される。又、バルブボディ33のボディ本体34の内周面の一部には溝状の供給路34cが形成される。以上の構成により、潤滑油路13から供給路34cを介して導入空間38にオイルが供給され、スプール31の受圧面31fに油圧が作用する。従って、潤滑油路13の油圧が増大すると、スプール31がスプリング32の付勢力に抗して開き側に移動して潤滑油路13の流路面積を増大させる。
スプール31の外周面には、図8及び図10に示すごとく、「バイパス流路」として環状の溝からなる連通油路15が形成される。流路面積調節部3が閉塞状態の時においても、連通油路15が流路面積調節部3に対する潤滑油路13の上流側と下流側とを連通させることにより、メインギャラリ8には一定量のオイルが供給されることになる。
ここで、スプール31が図8に示す閉塞状態から開き側に移動しても、図9に示す開放直前状態までは潤滑油路13の流路面積を変化させない領域Rを設けてある。よって、スプール31の外周面とバルブボディ33の内周面との間に生じる摩擦力が、スプール31の移動開始直後に静止摩擦から動摩擦に変化し、スプール31が急激に開き側に移動したとしても、潤滑油路13の流路面積は変化しない。従って、潤滑油路13の上流側に接続されている弁開閉時期制御装置2には、安定的に油圧を供給することができる。
図10に示すように、スプール31の外周面全周に亘るように連通油路15を形成すれば、スプール31の周方向に均等に油圧が作用するので、スプール31が傾くことを抑制することができる。さらに、スプール31をバルブボディ33に組み付ける際に、周方向の位置決めが不要となり、組み付けが容易となる。ただし、スプール31の外周面の半周(例えば図10において上半分のみ)だけに連通油路15を設けることも可能である。
図8に基づいて、領域Rの長さと、閉塞状態における連通油路15の開き側(図中下側)の端部と流通開口部34aの開き側(図中下側)の端部とに亘る領域Qの長さとの関係について説明する。連通油路15は、少なくとも図9に示す開放直前状態までは遮断されないようにするため、領域Qの長さが領域Rの長さ以上である必要がある。ここで、領域Qの長さが必要以上に大きいと、スプール31の大型化、ひいてはバルブボディ33の大型化を招来するので、領域Qの長さを領域Rの長さと同等とすると好適である。
次に、図11〜図13は、連通油路15をバルブボディ33のボディ本体34に形成した実施形態を示したものである。図11は流路面積調節部3が閉塞状態の時を示す図であり、図12は流路面積調節部3が開放直前状態の時を示す図である。又、図13は、図11におけるXIII−XIII面の断面図である。スプール31の基本構成は、上述の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
ボディ本体34の2箇所に形成された流通開口部34aのうち、上流側の流通開口部34aと接続する第1長溝15a及び下流側の流通開口部34aと接続する第2長溝15bが形成される。第1長溝15aは、図11に示すごとく、導入空間38にオイルを供給する供給路34cと一体的に形成してもよいし、別個に構成してもよい。第1長溝15aと第2長溝15bとは、「貫通孔」としての大径部15c及び小径部15dによって連通する。以上のごとく、「バイパス油路」としての連通油路15は、第1長溝15a、小径部15d、大径部15c、及び第2長溝15bによって構成される。
小径部15dは「絞り部」としての機能を有する。従って、第1長溝15a、第2長溝15b、及び大径部15cの加工精度が十分でなくても、小径部15dの寸法精度さえ確保しておけば、閉塞状態において連通油路15を流通するオイル量を容易に所定の量に規定することができる。又、潤滑油路13に大量のオイルが供給される場合にも、連通油路15を流通するオイル量は小径部14dによって一定量に制限され、それ以外のオイルがスプール31の受圧面31fに油圧を作用させることになる。従って、スプール31が動き始める油圧の設定を、小径部15dの寸法により容易に規定することができるようになる。さらに、このような構成の連通油路15において、第1長溝15a、第2長溝15b、大径部15c、及び小径部15dを簡単なドリル加工等で直線的に形成すれば加工が容易となる。
ここで、スプール31が図11に示す閉塞状態から開き側に移動しても、図12に示す開放直前状態までは潤滑油路13の流路面積を変化させない領域Rを設けてある。よって、スプール31の外周面とバルブボディ33の内周面との間に生じる摩擦力が、スプール31の移動開始直後に静止摩擦から動摩擦に変化し、スプール31が急激に開き側に移動したとしても、潤滑油路13の流路面積は変化しない。従って、潤滑油路13の上流側に接続されている弁開閉時期制御装置2には、安定的に油圧を供給することができる。
[その他の実施形態]
(1)上述の実施形態においては、第1所定部位として吸気弁側の弁開閉時期制御装置を適用した例を示したが、これに限られるものではない。例えば、第1所定部位として、排気弁側の弁開閉時期制御装置を適用してもよいし、適切な油圧を必要とする過給機やオイルジェット等の油圧アクチュエータを適用することも可能である。
(2)上述の実施形態においては、「バイパス流路」としての連通油路15が、バルブハウジング41、スプール31の外周面、又はバルブボディ33に形成される例を示したが、これに限られるものではない。例えば、バルブボディ33とバルブハウジング41との間に間隙を設けて、この間隙をバイパス流路として利用することもできる。
本発明は、エンジンの回転によって駆動されてオイルを吐出するポンプと、前記ポンプから吐出されたオイルが供給される第1所定部位と、前記ポンプと前記第1所定部位とを連通する第1流路と、前記第1流路から分岐して前記第1所定部位以外の第2所定部位にオイルを供給する第2流路と、前記第2流路の油圧の増大によって前記第2流路の流路面積を増大させる方向に移動し、前記油圧の減少によって前記流路面積を減少させる方向に移動するスプールを備えて前記第2流路に配設される流路面積調節部と、を備えた油圧制御装置に適用することができる。
1 ポンプ
2 弁開閉時期制御装置(第1所定部位)
3 流路面積調節部
8 メインギャラリ(第2所定部位)
11A 吐出油路(第1流路)
12A 進角油路(第1流路)
12B 遅角油路(第1流路)
13 潤滑油路(第2流路)
15 連通油路(バイパス流路)
15a 第1長溝
15b 第2長溝
15c 大径部(貫通孔)
15d 小径部(貫通孔、絞り部)
31 スプール
33 バルブボディ
41 バルブハウジング
R 領域(流路面積を変化させない領域)

Claims (6)

  1. エンジンの回転によって駆動されてオイルを吐出するポンプと、
    前記ポンプから吐出されたオイルが供給される第1所定部位と、
    前記ポンプと前記第1所定部位とを連通する第1流路と、
    前記第1流路から分岐して前記第1所定部位以外の第2所定部位にオイルを供給する第2流路と、
    前記第2流路の油圧の増大によって前記第2流路の流路面積を増大させる方向に移動し、前記油圧の減少によって前記流路面積を減少させる方向に移動するスプールを備えて前記第2流路に配設される流路面積調節部と、
    前記スプールが最も閉じ側に位置する閉塞状態においても、前記流路面積調節部に対する前記第2流路の上流側と下流側とを連通させ、前記第2所定部位にオイルを供給するバイパス流路と、を備え、
    前記スプールが前記閉塞状態から開き側に移動しても前記流路面積を変化させない領域を設けてあり、
    前記スプールは、前記第2流路のオイルが供給路を介して供給される空間に臨む受圧面を有し、かつ、前記受圧面に作用する油圧の増大によって前記第2流路の流路面積を増大させる方向に移動し、
    前記空間は、前記スプールが前記第2流路の上流側と下流側とを連通しているときに前記第2流路と連通する油圧制御装置。
  2. 前記スプールは、円柱状の大径部と、前記大径部よりも径の小さい円柱状の小径部と、前記大径部の中心部と前記小径部の中心部とを連結する連結部と、を備え、前記大径部と前記小径部との間の領域を、前記供給路を介してオイルが供給される前記空間とする請求項1に記載の油圧制御装置。
  3. 前記バイパス流路は、前記スプールの外周面に形成された環状の溝で構成されている請求項1または2に記載の油圧制御装置。
  4. 前記バイパス流路は、前記スプールを収容しているバルブボディに形成された環状の溝で構成されている請求項1または2に記載の油圧制御装置。
  5. 前記バイパス流路は、
    前記スプールを収容しているバルブボディの外周面に形成され、前記第2流路の上流側と接続する第1長溝と、
    前記バルブボディの外周面に形成され、前記第2流路の下流側と接続する第2長溝と、
    前記バルブボディに形成され、前記第1長溝と前記第2長溝とを連通する貫通孔と、を有する請求項1または2に記載の油圧制御装置。
  6. 前記貫通孔には、前記貫通孔の他の部分よりも断面積の小さい絞り部が形成されている請求項5に記載の油圧制御装置。
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