JP5779646B2 - 標的気体封入マイクロベシクル - Google Patents

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Description

[技術分野]
本発明は、概して、標的気体封入マイクロベシクル(targeted gas-filled microvesicle)、および該マイクロベシクルを含有する水性懸濁液、特に診断方法において使用するためのものに関する。
[発明の背景]
近年、造影剤の急速な発展により、人体または動物体の器官および組織の造影イメージングに有用な異なる製剤が、いくつも生まれている。
最近は、器官または組織の選択的造影イメージングを可能にするために適切なターゲット特異的構成要素が造影剤の製剤中に使用される、いわゆる「分子イメージング」に注目が集まっている。加えて、造影剤製剤の治療的使用、場合によっては分子イメージングとの併用も、記述されている。
超音波コントラストイメージングにとりわけ有用な造影剤の一種として、ナノメートルサイズおよび/またはマイクロメートルサイズの気泡が水性媒質中に分散している懸濁液が挙げられる。特に興味深いのは、例えば乳化剤、油、増粘剤もしくは糖類を使用すること、または気体もしくはその前駆体をさまざまな系に捕捉もしくはカプセル化することなどによって、気泡が安定化されている製剤である。これらの安定化された気泡は、一般に、当技術分野ではさまざまな術語で、典型的にはその調製に使用される安定化材料に応じて呼ばれており、それらの用語には、例えば「マイクロスフェア」、「マイクロバブル」、「マイクロカプセル」または「マイクロバルーン」などがある。本明細書において使用する「気体封入マイクロベシクル」、略して「マイクロベシクル」という用語には、上記の術語がいずれも包含される。
気体封入マイクロベシクルの製剤は、診断効果を(例えば分子イメージングによって)改善するために、かつ/または治療的目的のために、例えば薬物送達および/または血栓溶解のために、適切に修飾することができる。例えばマイクロベシクルには、治療剤および/または患者の体内にある決められたターゲットに連結する能力を有する特異的構成要素(「ターゲティングリガンド」と呼ばれているもの)を(例えばその境界エンベロープへの包含などによって)付随させることができる。ターゲティングリガンドの例として、例えば、血管新生、炎症または血栓形成などの病理発生過程中に器官または組織が発現する特異的受容体に結合する能力を有するペプチド、タンパク質、抗体、アプタマーまたは糖質などが挙げられる。
セレクチン(特にP-、L-およびE-セレクチン)は、なかんずく炎症過程中に血管内皮が発現する、細胞接着分子である。セレクチンリガンド、特にP-セレクチン糖タンパク質リガンド-1(PSGL-1:GenBankアクセッション番号Q14242.1)は、全ての白血球(好中球、単球および大半のリンパ球)および骨髄性細胞上に、構成的に発現している。したがってこれは、P-セレクチンを発現する活性化された血小板または内皮への、そしてまた、アフィニティーは低いものの、E-およびL-セレクチンへの、これらの細胞の係留に、決定的な役割を果たす。P-セレクチンリガンドの例は、例えば米国特許第5,840,679号に開示されている。
国際特許出願公開番号WO2008/131217には、P-セレクチンを指向するターゲティングリガンドを含むマイクロバブル組成物が開示されている。具体的には、そのターゲティングリガンドは、P-セレクチンリガンドと二量体化ドメインとを含む融合タンパク質である。上記の出願は、実用的実施形態として、ヒトIgG1のFc部分に融合されたセレクチン結合性グリコフォームのPSGL-1のアミノ末端領域から構成される組換えP-セレクチンリガンド(rPSGL-Ig)の使用を開示しており、これは、ビオチン-ストレプトアビジン結合によって、ビオチン含有マイクロバブルにコンジュゲートされる。該出願はP-セレクチンリガンドの正確な配列を何も開示していないが、米国特許出願公開第2003/0166521号によって開示されているP-セレクチンリガンドおよびそのフラグメントの例には言及している。
US2003/0166521は、成熟PSGL-1のN末端47アミノ酸をトランケートし、PSGL-1の該N末端47アミノ酸をヒト免疫グロブリンG-1(IgG1)のFc部分に連結することによって作製されたPSGL-1融合タンパク質(dimPSGL-1)(組換えPSGL-Ig(またはrPSGL-Ig)ともいう)を開示している。
本出願人はここに、該rPSGL-1タンパク質のフラグメントだけを保持するマイクロベシクルが、完全なタンパク質を保持しているマイクロベシクルと比較した場合に、例えば結合効力に関して、および/またはマイクロベシクルを含有する水性懸濁液の安定性に関して、いくつかの利点を有しうることに気づいた。
[発明の概要]
本発明の一態様は、最大で200アミノ酸残基の配列からなりかつ少なくとも配列番号1に示すアミノ酸5〜16を含むポリペプチドが付随している気体封入マイクロベシクルの水性懸濁液に関する。
好ましくは、該ポリペプチドは、マイクロベシクルの構成要素に付随しており、より好ましくは共有結合によって付随している。
好ましくは、該ポリペプチドは、少なくとも配列番号1に示すアミノ酸1〜19を含み、より好ましくは少なくとも配列番号1に示すアミノ酸5〜41を含み、さらに好ましくはより一層好ましくは少なくとも配列番号1に示すアミノ酸1〜47を含む。
好ましい実施形態によれば、該ポリペプチドは、最大で100アミノ酸残基、より好ましくは最大で75アミノ酸残基を含む。
好ましい実施形態によれば、該ポリペプチドは、式(I):
(XA)n−Y−(XB)m (I)
[式中、
(XA)nは、少なくとも配列番号1に示すアミノ酸5〜16を含むn個のアミノ酸XAの配列を表し、ここで
nは12から199までの整数であり;かつ
XAは、リジンを除く任意のアミノ酸を表す;
(XB)mは、m個のアミノ酸XBの配列を表し、ここで、
mは、m+nの合計が最大でも199であるという条件の下で、0から10までの整数であり;かつ
XBは、リジンおよびシステインを除く任意のアミノ酸を表す;
Yは、当該ポリペプチドをマイクロベシクルの構成要素に付随させるための反応性部分を含むアミノ酸を表す]
のアミノ酸配列からなる。
好ましくは、Y残基の反応性部分は−NH2または−SHであり;より好ましくはYはリジンまたはシステインであり、より一層好ましくはリジンである。
さらなる好ましい一実施形態によれば、該ポリペプチドは式(II):
(X1)p−[(C−(X2)a]q−[(C−(X3)b]r−Y−(X4)s (II)
[式中、
Cは、システインを表す;
Yは、リジンまたはシステインを表し、好ましくはリジンを表す;
(X1)pは、少なくとも配列番号1に示すアミノ酸5〜16を含むp個のアミノ酸X1の配列を表し、(X2)aは、a個のアミノ酸X2の配列を表し、(X3)bは、b個のアミノ酸X3の配列を表し、(X4)sは、s個のアミノ酸X2の配列を表し、ここで、
X1、X2、X3、X4は、リジンおよびシステインを除く任意のアミノ酸を、独立して表す;
pは、12から199まで、好ましくは12から99まで、より好ましくは12から74までの整数である;
aおよびbは、独立して、0から50まで、好ましくは0から20まで、より好ましくは0から10までの整数である;
qおよびrは、独立して、0または1であり、少なくとも一方は1である;
sは、0から10までの整数である;
ただし、p+(a・q)+(b・r)+sの合計は、最大でも199、好ましくは最大でも99、より一層好ましくは74であるものとする]
によって表される。
上に例示したポリペプチドは、好ましくは、その配列のアミノ酸に結合した少なくとも1つのO-グリカン部分および/または少なくとも1つの硫酸残基を含む。
本発明の好ましい一実施形態によれば、上に例示したポリペプチドが二量体の形態、好ましくはホモ二量体の形態にある。
特に好ましい一実施形態によれば、該ポリペプチドは、配列番号3に示す配列からなる。好ましくは、配列の2つのシステイン残基は、対応する配列の各システイン残基に結合して、二量体型のポリペプチドを与えうる。
本発明はさらに、乾燥粉末または凍結乾燥残渣の形態にある該気体封入マイクロベシクルの前駆体に関する。該前駆体は、特に、それを生理的に許容される水性担体と接触させることによって、気体の存在下で再構成することができ、その混合物を撹拌すれば、該気体封入マイクロベシクルの水性懸濁液が形成される。
本発明のさらなる一態様は、該気体封入マイクロベシクルの前駆体と生理的に許容される水性担体とを含む医薬キットに関する。
[発明の詳細な説明]
「気体封入マイクロベシクル」という用語は、安定化材料のエンベロープまたは層(薄膜形成層を含む)によって取り囲まれた、マイクロメートルサイズまたはナノメートルサイズの気泡を含む任意の構造を包含する。この用語は、当技術分野において気体封入リポソーム、マイクロバブル、マイクロスフェア、マイクロバルーンまたはマイクロカプセルと呼ばれているものを包含する。マイクロベシクルは、典型的には、水性担体に、特に生理的に許容される水性担体に、懸濁している。安定化材料は、例えば界面活性剤、脂質、スフィンゴ脂質、オリゴリピド(oligolipid)、リン脂質、タンパク質、ポリペプチド、糖質、および合成または天然ポリマー材料を含む、当技術分野において典型的に知られている任意の材料であることができる。
「マイクロバブル」という用語は、気-液界面に配置された安定化両親媒性材料を伴う極めて薄いエンベロープ(薄膜)(当技術分野では「エバネッセント(evanescent)」エンベロープと呼ばれる場合もある)によって気/液界面に束縛されている、水性担体に懸濁された気泡を包含する。マイクロバブル懸濁液は、適切なその前駆体、例えば粉末状両親媒性材料(例えば前もって形成されたリポソームをフリーズドライ処理したもの、またはリン脂質分散液もしくはリン脂質溶液をフリーズドライ処理もしくは噴霧乾燥したもの)を、空気または他の気体と接触させ、次に、マイクロバブル懸濁液が生成するように撹拌しながら水性担体と接触させることによって調製することができ、次に、そのマイクロバブル懸濁液を、好ましくはその調製後直ちに、投与することができる。気体マイクロバブルの水性懸濁液、その前駆体およびその調製の例は、例えばUS5,271,928、US5,445,813、US5,413,774、US5,556,610、5,597,549、US5,827,504およびWO04/069284に開示されており、これらは引用によりそのまま本明細書に組み込まれる。
「マイクロバルーン」または「マイクロカプセル」という用語は、気泡が脂質または天然もしくは合成ポリマーの固体材料エンベロープに取り囲まれている懸濁液を包含する。マイクロバルーンおよびその調製の例は、例えばUS5,711,933およびUS6,333,021に開示されている。
本明細書において使用する、ポリペプチドという用語は、アミノ酸の配列を包含し、そのアミノ酸は合成アミノ酸または好ましくは天然アミノ酸であることができる。
「ターゲティングリガンド」という用語は、インビボで組織および/または受容体へのターゲティング活性を有するまたはターゲティング活性を促進する能力を有する、任意の化合物、部分または残基を包含する。ターゲティングリガンドと関連しうるターゲットには、例えば心筋組織(心筋層細胞および心筋細胞を含む)、膜組織(内皮および上皮を含む)、ラミナ(laminae)、結合組織(間質組織を含む)または腫瘍などの組織;凝血塊;ならびに受容体、例えばペプチドホルモン、神経伝達物質、抗原、補体フラグメントおよび免疫グロブリンに対する細胞表面受容体などがある。特にこの用語は、セレクチンに対して、特にP-セレクチンに対して、結合アフィニティーを示すアミノ酸配列(「活性配列」)を含むポリペプチドを包含し、該活性配列には、例えば配列番号1に示すアミノ酸5〜16、1〜19、5〜41および1〜47などがある。
「標的気体封入マイクロベシクル」という用語は、その製剤中に少なくとも1つのターゲティングリガンドを含む任意の気体封入マイクロベシクルを包含する。
「標的気体封入マイクロベシクルの中間体」という語句は、標的気体封入マイクロベシクルに転化することができる任意の気体封入マイクロベシクルを包含する。そのような中間体としては、例えば、ターゲティングリガンドに連結された対応する相補的反応性部分(例えばチオール)と反応させることができる、適切な反応性部分(例えばマレイミド)を含む気体封入マイクロベシクル(またはその前駆体)を挙げることができる。
「Fc領域」という表現は、ジスルフィド結合によって互いに連結された両重鎖のカルボキシ末端側の半分から構成される免疫グロブリン(Ig)の結晶化可能フラグメントを示す。Fcフラグメントは、免疫グロブリンクラス(すなわちIgG、IgM、IgAなど)およびタイプ(IgG1、IgG2など)ごとに異なる。
「完全長Fcドメイン」という用語は、抗体のクラスに依存して2つまたは3つの定常ドメインを含む2本の重鎖から構成されるドメインを示す。特異的タンパク質への結合により、Fcドメインは、各抗体が所与の抗原に対して適当な免疫応答を引き起こすことを保証する。このFcドメインは、さまざまな細胞受容体、例えばFc受容体、および他の免疫分子、例えば補体タンパク質にも結合する。そうすることにより、これは、肥満細胞、好塩基球および好酸球のオプソニン化、細胞溶解、および脱顆粒を含む、異なる生理学的効果を媒介する。完全長Fcドメイン配列は、無修飾(元の)アミノ酸配列、または不可欠でないアミノ酸が1つ以上変異している対応するアミノ酸配列を含む。例えば、配列番号4のアミノ酸配列49〜272は、アミノ酸59および62の2つの例外(ここでは元のFc配列のLeuおよびGly残基がどちらもAla残基で置換されている)を除いて、IgG1免疫グロブリンの完全長Fcドメインに対応する。
「治療剤」という用語は、任意の治療的応用において、例えば患者における疾患を処置するための方法などにおいて、使用することができる任意の化合物、部分または残基、ならびにインビトロおよび/またはインビボで生物学的効果を発揮する能力を有するか生物学的効果を発揮する原因となる任意の物質を、その意味に包含する。したがって、治療剤には、患者における任意の病理学的状態(慢性病(malady)、苦痛(affliction)、疾患(disease)、病変(lesion)または傷害(injury))を含む)の処置(防止、軽減、疼痛緩和または治療を含む)に使用することができる任意の化合物または材料が包含される。治療剤の例は、薬物、医薬、生物活性剤、細胞毒性剤、化学療法剤、放射線療法剤、タンパク質、天然または合成ペプチド(オリゴペプチドおよびポリペプチドを含む)、ビタミン、ステロイド、ならびに、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドおよびプラスミドを含む遺伝物質である。
「生理的に許容される水性担体」という表現は、注射剤に一般に使用される液状担体、例えば水、典型的には滅菌パイロジェンフリー水(中間体凍結乾燥品における汚染を可能な限り防止するため)、生理食塩水などの水溶液(注射用の最終製品が低張性にならないように平衡溶液であれば有利であるだろう)、または1つ以上の張性調節物質、例えば塩類または糖、糖アルコール、グリコール、もしくは他の非イオン性ポリオール材料(例えばグルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液を包含する。
気体封入マイクロベシクル
本発明の一実施形態によれば、上に説明したターゲティングリガンドが付随している気体封入マイクロベシクルは、マイクロバブルである。
マイクロバブルの安定化エンベロープを形成するのに適した構成要素は、例えばリン脂質;リゾリン脂質;脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸またはオレイン酸;キチン、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコール(PEG)などのポリマーを保持している脂質、「PEG化脂質」ともいう;スルホン化単糖、二糖、オリゴ糖または多糖を保持している脂質;コレステロール、コレステロール硫酸またはコレステロールヘミスクシネート;トコフェロールヘミスクシネート;脂肪酸がエーテル結合またはエステル結合している脂質;重合脂質;ジアセチルホスフェート;ジセチルホスフェート;セラミド;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えばポリオキシエチレン脂肪酸ステアレート)、ポリオキシエチレン脂肪アルコール、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチル化ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールポリエチレングリコールリシノレエート、エトキシル化大豆ステロール、エトキシル化ヒマシ油またはエチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)ブロックコポリマー;ステロール脂肪族酸エステル、例えばコレステロールブチレート、コレステロールイソブチレート、コレステロールパルミテート、コレステロールステアレート、ラノステロールアセテート、エルゴステロールパルミテート、またはフィトステロールn-ブチレートなど;糖酸のステロールエステル、例えばコレステロールグルクロニド、ラノステロールグルクロニド、7-デヒドロコレステロールグルクロニド、エルゴステロールグルクロニド、コレステロールグルコネート、ラノステロールグルコネート、またはエルゴステロールグルコネートなど;糖酸とアルコールのエステル、例えばラウリルグルクロニド、ステアロイルグルクロニド、ミリストイルグルクロニド、ラウリルグルコネート、ミリストイルグルコネート、またはステアロイルグルコネート;糖と脂肪族酸のエステル、例えばスクロースラウレート、フルクトースラウレート、スクロースパルミテート、スクロースステアレート、グルクロン酸、グルコン酸またはポリウロン酸など;サポニン、例えばサルササポゲニン、スミラゲニン、ヘデラゲニン、オレアノール酸、またはジギトキシゲニンなど;グリセロールまたはグリセロールエステル、例えばグリセロールトリパルミテート、グリセロールジステアレート、グリセロールトリステアレート、グリセロールジミリステート、グリセロールトリミリステート、グリセロールジラウレート、グリセロールトリラウレート、グリセロールジパルミテート;長鎖アルコール、例えばn-デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、またはn-オクタデシルアルコールなど;6-(5-コレステン-3β-イルオキシ)-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド;ジガラクトシルジグリセリド;6-(5-コレステン-3β-イルオキシ)ヘキシル-6-アミノ-6-デオキシ-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド;6-(5-コレステン-3β-イルオキシ)ヘキシル-6-アミノ-6-デオキシル-1-チオ-β-D-マンノピラノシド;12-(((7'-ジエチルアミノクマリン-3-イル)カルボニル)メチルアミノ)オクタデカン酸;N-[12-(((7'-ジエチルアミノクマリン-3-イル)カルボニル)メチルアミノ)オクタデカノイル]-2-アミノパルミチン酸;N-スクシニルジオレイルホスファチジルエタノールアミン;1,2-ジオレイル-sn-グリセロール;1,2-ジパルミトイル-sn-3-スクシニルグリセロール;1,3-ジパルミトイル-2-スクシニルグリセロール;1-ヘキサデシル-2-パルミトイルグリセロホスホエタノールアミンまたはパルミトイルホモシステイン;少なくとも1つの(C10-C20)アルキル鎖、好ましくは(C14-C18)アルキル鎖を含む、アルキルアミンまたはアルキルアンモニウム塩、例えばN-ステアリルアミン、N,N'-ジステアリルアミン、N-ヘキサデシルアミン、N,N'-ジヘキサデシルアミン、N-ステアリルアンモニウムクロリド、N,N'-ジステアリルアンモニウムクロリド、N-ヘキサデシルアンモニウムクロリド、N,N'-ジヘキサデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)など;(C3-C6)アルキレン橋を介してN原子に連結された1つまたは好ましくは2つの(C10-C20)アシル鎖、好ましくは(C14-C18)アシル鎖を含む3級または4級アンモニウム塩、例えば1,2-ジステアロイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DSTAP)、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DPTAP)、1,2-オレイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DSDAP)など;ならびにそれらの混合物または組合せを含む。
構成要素の組合せおよびマイクロバブルの製造プロセスに依存して、上に列挙した例示的化合物は、マイクロバブルのエンベロープを形成させるための主要化合物として使用するか、または単なる添加剤として、したがって微量にしか存在しない化合物として使用することができる。
好ましい一実施形態によれば、マイクロバブルのエンベロープを形成する化合物の少なくとも1つは、両親媒性化合物(すなわち親水性部分と親油性部分とをどちらも含む有機分子)、好ましくはリン脂質であり、それが、場合によっては、上に挙げた他の材料のいずれかと混合されている。本明細書において、リン脂質という用語は、両親媒性リン脂質化合物であって、その分子が、最終マイクロバブル懸濁液において気-水境界面に材料の安定化薄膜(典型的には単分子層の形態にあるもの)を形成する能力を有するものを、どれでも包含するものとする。したがってこれらの材料は当技術分野では「薄膜形成リン脂質」とも呼ばれている。
両親媒性リン脂質化合物は、典型的には、少なくとも1つのリン酸基と少なくとも1つ、好ましくは2つの親油性長鎖炭化水素基とを含有する。
適切なリン脂質の例として、1つまたは好ましくは2つの(同じまたは異なる)脂肪酸残基とリン酸とを有し、そのリン酸残基が親水性基、例えばコリン(ホスファチジルコリン−PC)、セリン(ホスファチジルセリン−PS)、グリセロール(ホスファチジルグリセロール−PG)、エタノールアミン(ホスファチジルエタノールアミン−PE)、イノシトール(ホスファチジルイノシトール−PI)などに結合している、グリセロールのエステルが挙げられる。脂肪酸残基を1つだけ有するリン脂質のエステルは、一般に、当技術分野では、「リゾ」型のリン脂質または「リゾリン脂質」と呼ばれる。リン脂質中に存在する脂肪酸残基は一般に長鎖脂肪族酸であって、典型的には12個から24個まで、好ましくは14個から22個までの炭素原子を含有しており;脂肪族鎖は1つ以上の不飽和を含有しうるか、または好ましくは完全に飽和している。リン脂質に含まれる適切な脂肪酸の例は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸である。好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびアラキジン酸などの飽和脂肪酸を使用する。
リン脂質のさらなる例は、ホスファチジン酸、すなわち、グリセロールリン酸の脂肪酸とのジエステル;スフィンゴミエリンなどのスフィンゴ脂質、すなわち脂肪酸とのグリセロールジエステルの残基がセラミド鎖で置き換わっているホスファチジルコリン類似体;カルジオリピン、すなわち1,3-ジホスファチジルグリセロールの脂肪酸とのエステル;糖脂質;スルファチドおよびグリコスフィンゴ脂質である。
本明細書において使用する、リン脂質という用語は、単独で使用するか、混合物として使用することができる、天然物、半合成物または合成物を包含する。
天然リン脂質の例は、天然レシチン(ホスファチジルコリン(PC)誘導体)、例えば典型的には大豆レシチンまたは卵黄レシチンである。
半合成リン脂質の例は、天然レシチンの部分的または完全水素化誘導体である。好ましいリン脂質は、ホスファチジルコリン、エチルホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールまたはスフィンゴミエリンの脂肪酸ジエステルである。
好ましいリン脂質の例は、例えば、ジラウロイル-ホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイル-ホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイル-ホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイル-ホスファチジルコリン(DAPC)、ジステアロイル-ホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイル-ホスファチジルコリン(DOPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DSPC)、ジペンタデカノイル-ホスファチジルコリン(DPDPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(MPPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイル-ホスファチジルコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-ホスファチジルコリン(PSPC)、1-ステアロイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(SPPC)、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジルコリン(POPC)、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(OPPC)、ジラウロイル-ホスファチジルグリセロール(DLPG)およびそのアルカリ金属塩、ジアラキドイルホスファチジル-グリセロール(DAPG)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)およびそのアルカリ金属塩、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)およびそのアルカリ金属塩、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)およびそのアルカリ金属塩、ジオレイル-ホスファチジルグリセロール(DOPG)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)およびそのアルカリ金属塩、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)およびそのアルカリ金属塩、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジアラキドイルホスファチジン酸(DAPA)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、ジオレイルホスファチジル-エタノールアミン(DOPE)、ジアラキドイルホスファチジルエタノールアミン(DAPE)、ジリノレイルホスファチジルエタノールアミン(DLPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジアラキドイルホスファチジルセリン(DAPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジオレイルホスファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイルスフィンゴミエリン(DPSP)、およびジステアロイルスフィンゴミエリン(DSSP)、ジラウロイル-ホスファチジルイノシトール(DLPI)、ジアラキドイルホスファチジルイノシトール(DAPI)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(DMPI)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジオレイル-ホスファチジルイノシトール(DOPI)である。
適切なリン脂質として、さらに、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)などの親水性ポリマーをそこに連結することによって修飾されたリン脂質が挙げられる。好ましいポリマー修飾リン脂質には、「PEG化リン脂質」、すなわちPEGポリマーに結合したリン脂質が含まれる。PEG化リン脂質の例は、PEG化ホスファチジルエタノールアミン(「PE-PEG」と略記)、すなわち親水性エタノールアミン部分がさまざまな分子量(例えば300〜20000ダルトン、好ましくは500〜5000ダルトン)のPEG分子に連結されているホスファチジルエタノールアミン、例えばDPPE-PEG(またはDSPE-PEG、DMPE-PEG、DAPE-PEGもしくはDOPE-PEG)である。例えばDPPE-PEG2000は、約2000の平均(mean average)分子量を有するPEGポリマーが結合しているDPPEを指す。
特に好ましいリン脂質は、DAPC、DSPC、DSPG、DPPA、DSPA、DMPS、DPPS、DSPSおよびエチル-DSPCである。最も好ましいのはDSPGまたはDSPCである。
リン脂質の混合物、例えばDSPE、DPPE、DPPC、DSPCおよび/またはDAPCとDSPS、DPPS、DSPA、DPPA、DSPG、DPPG、エチル-DSPCおよび/またはエチル-DPPCとの混合物なども使用することができる。
好ましい実施形態では、リン脂質が、マイクロバブルの安定化エンベロープの主要構成要素であり、気体封入マイクロバブルのエンベロープを形成する構成要素の総量の少なくとも50%(w/w)に達する。好ましい実施形態の一部では、エンベロープの実質上全て(すなわち少なくとも80重量%、最大100重量%)が、リン脂質で形成されうる。
リン脂質は、上に列挙した化合物のいずれかと混合して、好都合に使用することができる。したがって例えば、コレステロール、エルゴステロール、フィトステロール、シトステロール、ラノステロール、トコフェロール、没食子酸プロピルまたはアスコルビルパルミテートなどの物質、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸などの脂肪酸およびその誘導体、またはブチル化ヒドロキシトルエンおよび/または他の非リン脂質化合物を、場合によっては、上述のリン脂質の1つ以上に、0〜50重量%、好ましくは25%までの範囲の比率で加えることができる。特に好ましいのは、C10-C20カルボン酸、好ましくはパルミチン酸などの両親媒性化合物である。
好ましい実施形態によれば、本発明のマイクロバブルのエンベロープは、全体として(正または負の)正味の電荷を保持している化合物を含む。該化合物は荷電両親媒性材料、好ましくは脂質またはリン脂質であることができる。
全体として負の電荷を保持しているリン脂質の例は、次に挙げる化合物の誘導体、特に脂肪酸ジエステル誘導体である:ホスファチジルセリン(例えばDMPS、DPPS、DSPS);ホスファチジン酸(例えばDMPA、DPPA、DSPA);ホスファチジルグリセロール(例えばDMPG、DPPGおよびDSPG)またはホスファチジルイノシトール(例えばDMPI、DPPIまたはDPPI)。また、修飾リン脂質、特にPEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、例えばDPPE-PEGまたはDSPE-PEGも、負に帯電した分子として使用することができる。上に言及したリン脂質のリゾ型、例えばリゾホスファチジルセリン誘導体(例えばリゾ-DMPS、リゾ-DPPSまたはリゾ-DSPS)、リゾホスファチジン酸誘導体(例えばリゾ-DMPA、リゾ-DPPAまたはリゾ-DSPA)およびリゾホスファチジルグリセロール誘導体(例えばリゾ-DMPG、リゾ-DPPGまたはリゾ-DSPG)は、負に帯電した化合物として、有利に使用することができる。負に帯電した化合物の他の例は、コール酸塩、デオキシコール酸塩またはグリココール酸塩などの胆汁酸塩;および例えばパルミチン酸塩、ステアリン酸塩、1,2-ジパルミトイル-sn-3-スクシニルグリセロール塩または1,3-ジパルミトイル-2-スクシニルグリセロール塩などの(C12-C24)脂肪酸塩、好ましくは(C14-C22)脂肪酸塩である。
好ましくは、負に帯電した化合物は、DPPA、DPPS、DSPG、DPPG、DSPE-PEG2000、DSPE-PEG5000またはその混合物から選択される。
負に帯電した構成要素には、通例、対応する正の対イオンが付随しており、これは、一価(例えばアルカリ金属またはアンモニウム)、二価(例えばアルカリ土類金属)または三価(例えばアルミニウム)であることができる。好ましくは対イオンは、NaまたはKなどのアルカリ金属カチオンから選択され、より好ましくはNaである。
全体として正の電荷を保持するリン脂質の例は、エチルホスファチジルコリンの誘導体、特にエチルホスファチジルコリンの脂肪酸とのジエステル、例えば1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DSPCまたはDSEPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DPPCまたはDPEPC)である。負の対イオンは好ましくはハライドイオン、特に塩化物イオンまたは臭化物イオンである。マイクロバブルのエンベロープに組み込むことができる正に帯電した化合物の例は、少なくとも1つの(C10-C20)アルキル鎖、好ましくは(C14-C18)アルキル鎖を含む、ハライド対イオンを有するモノ-、ジ-、トリ-、またはテトラ-アルキルアンモニウム塩(例えばクロリドまたはブロミド)、例えばモノ-またはジ-ステアリルアンモニウムクロリド、モノ-またはジ-ヘキサデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)またはヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)などである。マイクロバブルのエンベロープに組み込むことができる正に帯電した化合物のさらなる例は、1つまたは好ましくは2つの(C10-C20)アシル鎖、好ましくは(C14-C18)アシル鎖が、(C3-C6)アルキレン橋を介してN原子に連結されている、ハライド対イオンを有する3級または4級アンモニウム塩(例えばクロリドまたはブロミド)、例えば1,2-ジステアロイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DSTAP)、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DPTAP)、1,2-オレイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)または1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DSDAP)などである。
DSEPC、DPEPCおよび/またはDSTAPが、マイクロバブルエンベロープにおける正に帯電した化合物として、好ましく使用される。
正に帯電した構成要素には、通例、対応する負の対イオンが付随しており、これは、一価(例えばハライドイオン)、二価(例えば硫酸イオン)または三価(例えばリン酸イオン)であることができる。好ましくは、対イオンは、F(フッ素)、Cl(塩素)またはBr(臭素)などのハライドイオンの中から選択される。
中性化合物および荷電化合物の混合物、特にリン脂質および/または脂質の混合物は、マイクロバブルエンベロープを形成させるために、申し分なく使用することができる。荷電脂質またはリン脂質の量は、脂質およびリン脂質の総量に対して、約95モル%から約0.1モル%まで、好ましくは80モル%から0.5モル%まで変動しうる。
中性リン脂質および荷電脂質またはリン脂質の好ましい混合物は、例えばDPPG/DSPC、DSTAP/DAPC、DPPS/DSPC、DPPS/DAPC、DPPE/DPPG、DSPA/DAPC、DSPA/DSPCおよびDSPG/DSPCである。
気体封入マイクロベシクルの安定化エンベロープを形成するのに役立つ、上に例示した構成要素、特にリン脂質、好ましくはPEG化リン脂質は、どれでも、適切な化合物(例えば配列番号1に示すアミノ酸の配列を含むターゲティングリガンド)を結合することが可能になるように、適切な反応性部分をそこに挿入することによって修飾することができる。例えばPEG化リン脂質(例えばDSPE-PEG2000)は、上記の配列を含む化合物上の対応する反応性部位と(共有結合的に)反応する能力を有する末端反応性部分(例えばマレイミド、「mal」と略記、この場合、DSPE-PEG-mal構成要素が形成される)を含みうる。本明細書では、以下に他の適切な反応性部分の例も例示する。
代替的一実施形態によれば、ターゲティングリガンド構成要素を、気体封入マイクロカプセルに付随させることもできる。マイクロカプセルの好ましい例は、ポリマー、好ましくは生分解性ポリマー、または生分解性水不溶性脂質(トリパルミチン)、場合によっては生分解性ポリマーと混合されているものを含む、安定化エンベロープを有するものである。適切なマイクロカプセルおよびその調製の例は、例えばUS5,711,933およびUS6,333,021に開示されており、これらは引用によりそのまま本明細書に組み込まれる。タンパク質性エンベロープ(すなわち天然タンパク質(アルブミン、ヘモグロビン)でできているもの)を有するマイクロカプセル、例えばUS-A-4,276,885またはEP-A-0324938(これらは引用により本明細書に組み込まれる)に記載されているものも、使用することができる。ターゲティングリガンドは、例えばそれを、上に例示した調製方法でマイクロカプセルのエンベロープ形成構成要素に結合させることによって、またはターゲティングリガンドに共有結合した両親媒性構成要素(例えば上に例示したもの)をマイクロカプセルのエンベロープを形成する構成要素と混合することによって、マイクロカプセル中に組み込むことができる。
他の賦形剤または添加剤は、マイクロベシクルの乾燥製剤中に存在してもよいし、これを、その再構成に使用される水性担体と共に加えてもよく、マイクロベシクルの安定化エンベロープの形成には必ずしも関与(または部分的にしか関与)しない。これらには、pH調節剤(ヒスチジンなど)、浸透圧調節剤、粘度増加剤、乳化剤、充填剤などが含まれ、通常の量で使用することができる。例えばポリオキシプロピレングリコールおよびポリオキシエチレングリコールならびにそのコポリマーのような化合物を使用することができる。粘度増加剤または安定剤の例は、線状および架橋多糖およびオリゴ糖、糖類、ならびにポリエチレングリコールなどの親水性ポリマーから選択される化合物である。
気体封入マイクロベシクルの調製は、フリーズドライ処理ステップまたは噴霧乾燥ステップを伴いうるので、凍結乾燥添加物、例えば凍結保護(cryoprotective)および/または分散保護(lyoprotective)効果を有する作用剤および/または充填剤、例えばグリシンなどのアミノ酸;糖質、例えばスクロース、マンニトール、マルトース、トレハロース、グルコース、ラクトースなどの糖、またはシクロデキストリン、またはデキストランなどの多糖;またはポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールなどを、製剤に含めることが有利になりうる。典型的には、凍結乾燥添加物の量は、マイクロベシクル形成構成要素の量の約10倍から約1000倍(w/w)までの範囲をとりうる。
任意の生体適合性気体、気体前駆体またはその混合物を使って、上記マイクロベシクルを満たすことができる(以下「マイクロベシクル形成気体」ともいう)。
気体は、例えば、空気;窒素;酸素;二酸化炭素;水素;亜酸化窒素;希ガスまたは不活性ガス、例えばヘリウム、アルゴン、キセノンまたはクリプトン;放射性気体、例えばXe133またはKr81;過分極希ガス、例えば過分極ヘリウム、過分極キセノンまたは過分極ネオン;低分子量炭化水素(例えば7個までの炭素原子を含有するもの)、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタンもしくはイソペンタンなどのアルカン、シクロブタンもしくはシクロペンタンなどのシクロアルカン、プロペン、ブテンもしくはイソブテンなどのアルケン、またはアセチレンなどのアルキン;エーテル;ケトン;エステル;ハロゲン化物気体、好ましくはフッ化物気体、例えばハロゲン化、フッ化または過フッ化低分子量炭化水素(例えば7個までの炭素原子を含有するもの);または上記のいずれかの混合物を含みうる。ハロゲン化炭化水素を使用する場合、好ましくは該化合物中のハロゲン原子の少なくとも一部、より好ましくは全部が、フッ素原子である。
フッ化物気体、特に過フッ化物気体は、超音波イメージングの分野ではとりわけ好ましい。フッ化物気体には、少なくとも1つのフッ素原子を含有する材料、例えばフッ化炭化水素(1つ以上の炭素原子とフッ素とを含有する有機化合物);六フッ化硫黄;フッ化(好ましくは過フッ化)ケトン、例えばペルフルオロアセトン;およびフッ化(好ましくは過フッ化)エーテル、例えばペルフルオロジエチルエーテルなどが包含される。好ましい化合物は、過フッ化物気体、例えばSF6またはペルフルオロカーボン(過フッ化炭化水素)、すなわち全ての水素原子がフッ素原子で置換されている炭化水素(これらは、例えば引用により本明細書に組み込まれるEP0554213に開示されているように、とりわけ安定なマイクロバブル懸濁液を形成することが知られている)である。
ペルフルオロカーボンという用語は、飽和、不飽和、および環状ペルフルオロカーボンを包含する。生体適合性の生理的に許容されるペルフルオロカーボンの例は、ペルフルオロアルカン、例えばペルフルオロメタン、ペルフルオロエタン、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン(例えばペルフルオロ-n-ブタン、場合によっては他の異性体、例えばペルフルオロ-イソブタンと混合されているもの)、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサンまたはペルフルオロヘプタン;ペルフルオロアルケン、例えばペルフルオロプロペン、ペルフルオロブテン(例えばペルフルオロブタ-2-エン)またはペルフルオロブタジエン;ペルフルオロアルキン(例えばペルフルオロブタ-2-イン);およびペルフルオロシクロアルカン(例えばペルフルオロシクロブタン、ペルフルオロメチルシクロブタン、ペルフルオロジメチルシクロブタン、ペルフルオロトリメチルシクロブタン、ペルフルオロシクロペンタン、ペルフルオロメチルシクロペンタン、ペルフルオロジメチルシクロペンタン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサンおよびペルフルオロシクロヘプタン)である。好ましい飽和ペルフルオロカーボンには、例えばCF4、C2F6、C3F8、C4F8、C4F10、C5F12およびC6F12などがある。
上記の気体のいずれかが任意の比で混合されたものを使用することも有利でありうる。例えば、混合物は、通常の気体、例えば窒素、空気または二酸化炭素と、安定なマイクロバブル懸濁液を形成する気体、例えば六フッ化硫黄または上に示したペルフルオロカーボンとを含みうる。適切な気体混合物の例は、例えばWO94/09829に見いだすことができ、これは引用により本明細書に組み込まれる。次に挙げる組合せは特に好ましい:気体(A)と(B)の混合物であって、気体(B)が上に例示したもの(その混合物を含む)から選択されるフッ化物気体であり、(A)が空気、酸素、窒素、二酸化炭素またはその混合物から選択されるもの。気体(B)の量は、混合物全体の約0.5%〜約95%(v/v)、好ましくは約5%〜80%を占めることができる。
特に好ましい気体は、SF6、C3F8、C4F10またはその混合物であり、それが、場合によっては空気、酸素、窒素、二酸化炭素またはその混合物と混合されている。
一定の状況では、気体物質への前駆体(すなわちインビボで気体に転化されうる材料)を含むことが望ましいであろう。好ましくは、気体前駆体およびそれに由来する気体は、生理的に許容される。気体前駆体は、pH活性化型、光活性化型、温度活性化型などであることができる。例えば一定のペルフルオロカーボンは、温度活性化型気体前駆体として使用することができる。これらのペルフルオロカーボン、例えばペルフルオロペンタンまたはペルフルオロヘキサンは、室温(またはその作用剤が製造されかつ/または貯蔵される温度)より高いが体温よりは低い液/気相転移温度を有し、それゆえに人体内で液/気相転移を起こして気体に転化される。
MRIに使用する場合、マイクロベシクルは、好ましくは、過分極希ガス、例えば過分極ネオン、過分極ヘリウム、過分極キセノン、またはその混合物(場合によっては空気、二酸化炭素、酸素、窒素、ヘリウム、キセノン、または上に説明したハロゲン化炭化水素のいずれかと混合されているもの)を含有するであろう。
シンチグラフィに使用する場合、マイクロベシクルは、好ましくは、放射性気体、例えばXe133もしくはKr81またはその混合物(場合によっては空気、二酸化炭素、酸素、窒素、ヘリウム、クリプトン、または上に説明したハロゲン化炭化水素のいずれかと混合されているもの)を含有するであろう。
ターゲティングリガンド
本発明のマイクロベシクルに付随しているポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸の配列のうち、少なくとも、セレクチンに対する(特にP-セレクチンに対する)結合アフィニティを示す部分を含む。特に該ポリペプチドは、少なくとも、「P-セレクチン糖タンパク質リガンド-1」(PSGL-1、GenBankアクセッション番号Q14242.1)のアミノ酸46〜57に対応する配列番号1のアミノ酸5〜16を含む。好ましい一実施形態によれば、ターゲティングリガンドは、少なくとも配列番号1に示すアミノ酸1〜19、より好ましくは少なくともアミノ酸5〜41、より一層好ましくは少なくともアミノ酸1〜47(これは「P-セレクチン糖タンパク質リガンド-1」のアミノ酸42〜88に対応する)を含む。
「P-セレクチン糖タンパク質リガンド-1」および上に例示した活性配列(配列番号1を含む)を含むポリペプチドは、好ましくは、該配列の少なくとも1つのアミノ酸に結合したグリカン残基を含む。
「グリカン残基」という用語は、O結合型グリカン残基(セリン、スレオニン、チロシン、ヒドロキシチロシンまたはヒドロキシプロリンなどのアミノ酸残基のヒドロキシル基の酸素原子に連結されているもの)およびN結合型グリカン残基(アスパラギンなどのアミノ酸の3級アミノ基の窒素原子に連結されているもの)を含む。
O結合型グリカンは、典型的には、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、フコース、グルコース、マンノース(Man)、ヘキソース、キシロース、シアル酸またはその混合物などの糖残基を含む。O結合型グリカンは、好ましくは、シアリルルイスx構造(sLex、シアル酸-ガラクトピラノシル-フコース-N-アセチルグルコサミン)からなる。
N結合型グリカンは、典型的には、五糖コア(Man3GlcNAc2)を含む。複合型糖鎖は、モノ-、バイ-、トリ-(2,4および2,6分岐)、テトラ-、およびペンタ-アンテナ構造を呈しうる。これらはさらに、ガラクトース、シアル酸、N-アセチルグルコサミン、マンノース、フコースおよびそれらの組合せなどといった、さまざまな糖を含みうる。
本発明のマイクロベシクルに付随しているポリペプチドは、好ましくは、その配列のアミノ酸に結合した次に挙げるグリカン(またはその混合物)の1つ以上を含有する:
Figure 0005779646
[式中、
Rは、結合であるか、上に説明した他の任意のグリカンを表し;NeuAcはノイラミン酸であり;Galはガラクトースであり;GlcNAcはN-アセチルグルコサミンであり、Fucはフコースである]。
上に説明したグリカン残基を場合によっては保持しうる配列番号1のアミノ酸残基には、(a)好ましくはO結合型グリカン残基を保持する、位置16、25、26、28、29、32、36、39、40または41のアミノ酸;および/または(b)好ましくはN結合型グリカン残基を保持する、位置24のアミノ酸が含まれる。
配列番号1は、好ましくは、位置16のスレオニンに結合したシアリルルイスx(sLex)を含みうる(例えばR.D Cumming「Structure and function of selectin ligand PSGL-1」Braz. J. Biol. Res., 32(5) 1999, pp.520-528参照)。
さらにまた、配列番号1の位置5、7および/または10にある少なくとも1つのチロシン残基は、場合によっては硫酸化されていてもよい(TyrSO3)。より好ましくは、3つのチロシン残基の少なくとも2つ、より一層好ましくは全てが、硫酸基を含有しうる。
ポリペプチドは、長さが12〜200アミノ酸残基、より好ましくは12〜100アミノ酸残基のアミノ酸配列であり、マイクロベシクルの構成要素の対応する反応性部分と反応する能力を有する反応性部分を含む。特に好ましいのは、12〜75アミノ酸残基、より一層好ましくは12〜50残基の、アミノ酸配列である。
好ましい一実施形態によれば、ポリペプチドは、反応性部分を保持するアミノ酸を含む。該アミノ酸は、好ましくは、システインおよび/または塩基性アミノ酸(好ましくはリジン)からなる群より選択される。好ましくは該反応性部分は、ポリペプチドのC末端位にあり、好ましくはリジンである。好ましい一実施形態では、唯一の反応性部分(特にリジン)がポリペプチド配列のC末端に存在することにより、該基の制御された官能化と、それに続くマイクロベシクルの構成要素上の対応する反応基との効果的な反応条件とが可能になる。他方、(配列番号4のFc部分がそうであるように)ペプチド鎖上に複数の反応性リジン基が存在すると、該基の官能化がはるかにランダムになり、その結果、ペプチドのさまざまな反応性基のうちのどの基がマイクロベシクルの構成要素に結合するかに関する制御は、はるかに乏しくなる。
好ましいポリペプチドは、上に例示したように、式(I)によって表されるもの、より好ましくは式(II)によって表されるものである。
好ましい一実施形態では、ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列に連結された、またはそのN末端フラグメントに連結された、配列番号1のアミノ酸を含み、ここで、該フラグメントは配列番号2のアミノ酸1〜20、1〜15、1〜10、1〜5または1〜4に対応する。
N末端フラグメントが単一のアミノ酸残基である場合、該アミノ酸は好ましくはプロリン(Pro)である。
特に好ましい一実施形態は、配列番号2に共有結合された配列番号1からなる配列番号3を有する融合ポリペプチドによって表される。
この融合ポリペプチドは、rPSGL-Igの酵素的タンパク質分解によって、例えばタンパク質を適切なエンドプロテイナーゼの存在下でインキュベートすることによって、得ることができる。好ましい一実施形態では、リジン残基のC末端側にあるペプチド結合を切断するエンドプロテアーゼ(例えばエンドプロテイナーゼLysC)が使用される。タンパク質をエンドプロテイナーゼLysCと共にインキュベートすると、特に、成熟タンパク質rPSGL-IgからFcドメインのかなりの部分を除去して、二量体の各配列ごとに唯一の(C末端)リジン残基(配列番号3および配列番号4における位置71のアミノ酸)を含有する二量体型配列を得ることが可能になり、これは、適切なマイクロベシクルの構成要素にポリペプチドを結合する以後の手順に、都合よく利用することができる。
あるいは、カスタムメイドのDNAからの組換えタンパク質の生産によってポリペプチドを得ることもできる。簡単に述べると、所望のポリペプチドのcDNA配列をプラスミドベクターに挿入することによって、プラスミドを調製する。次に、そのプラスミドベクターを、組換えポリペプチド(例えば配列番号3に示すもの)を生産するのに適した発現系と関連づける。適切な発現系の例には、哺乳動物細胞、例えばCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)、HEK293細胞(ヒト胎児腎臓293細胞)、Sp2/0細胞(マウス骨髄腫細胞株)、MEL細胞(マウス赤白血病細胞)またはCOS細胞(SV40遺伝物質を保因するサルの腎臓細胞);昆虫細胞、例えばSf9細胞株;ウイルス含有細胞、例えばBEVS細胞(バキュロウイルス発現ベクター系);または植物ベースの発現系、例えばタバコ葉、トウモロコシ、イネ細胞またはトランスジェニックジャガイモなどがある。最も好ましくは、コア-2β1,6N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(C2GlcNAcT-I)およびα1,3-フコシルトランスフェラーゼ-VII(fucT-VII)を安定に発現するCHO細胞に、ポリペプチドをコードするcDNAをトランスフェクトする。組換えポリペプチドを永続的に発現する細胞を選択する。次に、ポリペプチドの大規模生産が可能になるように、これらの細胞をバイオリアクターに移す。
好ましい一実施形態では、組換えポリペプチドが、二量体型、特にホモ二量体型で得られる。一般にペプチドの二量体化は、組換えポリペプチドを発現する細胞において、典型的にはポリペプチドの翻訳後修飾(PTM)中に起こる、自然のプロセスである。
上記の組換え調製技法は、前述のようにセレクチン、特にp-セレクチンに対する結合アフィニティを示す任意の活性配列アミノ酸を含む本発明のポリペプチド(配列番号3に示すポリペプチドを含む)を、好ましくは二量体型で調製するために使用することができる。特に好ましい一実施形態では、唯一のリジンアミノ酸を(好ましくは末端位置に、特にC末端位置に)含有しかつ上に例示した活性配列のいずれかを含むポリペプチドを調製するために、上記の方法を使用することができる。
マイクロベシクルに付随させるための好ましい二量体型が得られるように、ポリペプチドは、好ましくは、その配列中に1つ以上のシステイン残基を含み、それらが対応するポリペプチド配列上の1つ以上の各システイン残基に結合することで、2つの配列間に少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つ)のジスルフィド橋を形成する。
代替的一実施形態では、マイクロベシクルに付随しているポリペプチドを、単量体型で使用することができる。該単量体型は、通常の手法に従って、単量体型を直接調製するか、または二量体型ポリペプチド中のジスルフィド結合を還元することによって、得ることができる。例えば、適切な単量体型ターゲティングリガンドは、二量体型(例えば配列番号3に示す配列)のシステイン残基のジスルフィド結合を還元することによって得ることができる。ジスルフィド結合の還元は、通常の技法に従って、例えば二量体型の懸濁液をTCEPなどの適切な還元剤の存在下でインキュベートすることなどによって、行うことができる。ジスルフィド結合の還元には、適切な反応性基(-SH)がリガンド中に生じるので、ポリペプチドに(チオール化された)反応性基を導入しなくても、続いてそれを、マイクロベシクルの構成要素(例えばPE-PEG-マレイミド)上の対応する部分への結合に使用することができるという、さらなる利点がある。
本発明の一実施形態では、ポリペプチドを、気体封入マイクロベシクルの構成要素に、リンカーを介して結合することができる。適切なリンカーは好ましくは親水性残基であり、典型的には、バックボーン鎖中にオキシエチレン繰返し単位を含有する。
ある実施形態によれば、リンカーは、式(III):
−X−(CH2)f−[O−(CH2)g]h−[O−(CH2)j]k−Y- (III)
[式中、
f、g、hおよびjは、1から4までの整数を、独立して表し、kは、0から4までの整数を表し、XおよびYは、それぞれ、一端ではポリペプチドに、また他端ではマイクロベシクルの構成要素に、リンカーを結合するための各反応性部分を表す]
の部分である。
リンカーは、その各端部に、一端にはマイクロベシクルの構成要素上の対応する相補的反応性部分への共有結合に適した、また他端にはポリペプチド上の(例えば式(I)のポリペプチドのY残基上の)対応する相補的反応性部分への共有結合に適した、反応性部分を含む。
該反応性部分の例としては、アミノ基(-NH2、-NH-結合残基を形成する)、カルボキシル基(-COOH、-CO-結合残基を形成する)またはチオール基(-SH、-S-結合残基を形成する)などが挙げられる。好ましくは、該結合部分がアミノ基またはカルボキシル基である。
式IIIのリンカーの好ましい例は:
−CO−CH2 −[O−(CH2)2]2−NH−(Adoa)
−CO−CH2 −[O−(CH2)2]2−CO−(Tuda)
−NH−CH2−(CH2−O−CH2)3−CH2−NH−(Ttda)
−CO−CH2 −[O−(CH2)2]2−CO−NH−CH2−(CH2−O−CH2)3−CH2−NH−(Ddhh)
である。
好ましくは、該リンカーは、上記の式によって定義される2つの同じまたは異なる部分によって形成される。
組み合わされたリンカーの例は、
−Adoa−Adoa−または-Ddhh−(これはTtdaリンカーおよびTudaリンカーから構成される)
である。
適切な反応性結合部分を含有する多糖は、適切なリンカーのさらなる例である。
配列番号1またはその活性フラグメントを含む配列、および所望のリンカーは、通常のペプチド合成法に従って調製することができる。
上に例示したポリペプチドは、例えば共有結合、アフィニティー結合ペアの非共有結合的相互作用(例えば、一方のアビジンまたはストレプトアビジンと他方のビオチンとの間の相互作用)、静電相互作用(例えばイオン結合または水素結合)または(例えば親油性炭化水素鎖間の)疎水性相互作用など、当技術分野において知られている手法のいずれかに従って、マイクロベシクルに付随させることができる。
好ましくは、ポリペプチドは、気体封入マイクロベシクルの各構成要素に共有結合される。
例えば、ポリペプチドが反応性アミノ基(例えばリジンの1級アミノ基)を含む場合は、それを、適切な対応する反応性部分、例えばイソチオシアネート基(チオ尿素結合を形成する)、反応性エステル(アミド結合を形成する)、またはアルデヒド基(イミン結合を形成し、これはアルキルアミン結合に還元することができる)などを含有するマイクロベシクルの構成要素と、反応させることができる。
あるいは、ターゲティングリガンドが反応性チオール基を含む場合は、マイクロベシクルの構成要素上の適切な相補的反応性部分として、ハロアセチル誘導体、マレイミド(チオエーテル結合を形成する)、または2-ピリジルチオ(PDT)基の形態にあるスルフィドを含む混合ジスルフィド(これは、ターゲティングリガンド由来のチオールと反応させると、安定なジスルフィド結合の形成をもたらす)を挙げることができる。
あるいは、本発明の一実施形態によれば、アミノ反応性部分(例えば2級アミノ基、特に末端-NH2基)を含有するターゲティングリガンドを、まず最初に硫黄含有化合物と反応させてターゲティングリガンドに反応性チオール部分を導入し、次にそれを、上に例示したマイクロベシクルの構成要素上の対応する相補的部分と反応させることができる。反応性アミノ部分を含有するターゲティングリガンドに反応性チオール部分を導入するのに役立つ適切な硫黄含有化合物の例としては、例えばチオイミデート(例えばトラウト試薬)、N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート(SATA)、N-スクシンイミジル-S-アセチルチオプロピオネート(SATP)またはN-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)が挙げられる。S含有剤の詳細な説明と、それぞれのチオール化反応は、例えばGreg T.Hermansonの著書「Bioconjugate Techniques」Elsevier刊、第2版(2008年4月)のchapter 1、section 4-1に見いだすことができる。例えば、マレイミド誘導体化リン脂質(例えばホスファチジルエタノールアミン−PEまたはPEG化PE)を調製し、それを、2級アミノ基(例えば末端リジンの-NH2)を前もって硫黄含有化合物(例えば上に例示したもの)と反応させることで反応性チオール部分が導入されているターゲティングリガンド(例えば配列番号3)と反応させることができる。得られた化合物は、次に、標的気体封入マイクロベシクルの調製に使用することができる。
さらなる代替的選択肢によれば、ターゲティングリガンドが反応性カルボキシル基を含む場合、マイクロベシクルの構成要素上の適切な反応性部分は、アミンおよびヒドラジド(アミドまたはN-アシル、N'-アルキルヒドラジド官能基を形成する)であることができる。
好ましい一実施形態によれば、アミノ反応性部分を(例えばリジン残基上に)含有するターゲティングリガンドを、まず最初にマレイミド含有化合物と反応させて、ターゲティングリガンド中に反応性マレイミド部分を導入し、次にそれを、マイクロベシクルの構成要素上の対応する相補的部分と反応させることができる。反応性アミノ部分を含有するターゲティングリガンドに反応性マレイミド部分を導入するのに役立つマレイミド含有剤と、それぞれのマレイミド基付加反応は、当技術分野ではよく知られている。適切なマレイミド含有化合物の例としては、例えば、AMAS(N-(α-マレイミドアセトキシ)スクシンイミドエステル)、BMPS(N-(β-マレイミドプロポキシル)スクシンイミドエステル)、EMCS(N-(ε-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミドエステル)、GMBS(N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル)、LC-SMCC(スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシ-(6-アミドカプロエート))、MBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、SMCC(スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート)、SMPB(スクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート)、SM(PEG)n試薬(スクシンイミジル-(N-マレイミドプロピオンアミド)-エチレングリコール)エステル)、SMPH(スクシンイミジル-6-((β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート))、スルホ-EMCS(N-(ε-マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル)、スルホ-GMBS(N-(γ-マレイミドブチロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル)、スルホ-KMUS(N-(κ-マレイミドウンデカノイルオキシ)-スルホスクシンイミドエステル)、スルホ-MBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホ-スクシンイミドエステル)、スルホ-SMCC(スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート)、スルホ-SMPB(スルホスクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル(ブチレート))が挙げられる。特に好ましい一実施形態によれば、チオール含有リン脂質(例えばチオール化ホスファチジルエタノールアミン−PE−またはPEG化PE)を、2級アミノ基(例えば末端リジンのNH2)を前もってマレイミド含有化合物(例えば上に例示したもの)と反応させることで反応性マレイミド部分がそこに導入されているターゲティングリガンド(例えば配列番号3)と反応させることができる。得られた化合物は、次に、マイクロベシクルの調製に使用することができる。チオール含有リン脂質は、例えば、リン脂質に取り付けられた2-ピリジルジチオ(PDT)基を還元剤(TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)など)と反応させてリン脂質上に反応性チオール部分を生じさせることによって得ることができる。チオール含有リン脂質の例として、ナトリウム1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホチオエタノール(Avanti Polar Lipids製、IUPAC:ナトリウム(R)-2,3-ビス(パルミトイルオキシ)プロピル(2-メルカプトエチル)ホスホネート)、または各ピリジルチオ前駆体の化学的還元によって得ることができるもの、例えばナトリウム(R)-2,3-ビス(パルミトイルオキシ)プロピル(2-(3-メルカプトプロパンアミド)エチル)ホスフェート(ナトリウム1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート](Avanti Polar Lipids)から得られる)、ナトリウム(R)-2,3-ビス(オレオイルオキシ)プロピル(2-(3-メルカプトプロパンアミド)エチル)ホスフェート(ナトリウム1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート](Avanti Polar Lipids)から得られる)またはアンモニウム(R)-2,3-ビス(ステアロイルオキシ)プロピル(2-(((2-(3-メルカプトプロパンアミド)ポリエチレングリコール2000)カルボニル)アミノ)エチル)ホスフェート(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[PDP(ポリエチレングリコール)-2000](Avanti Polar Lipids)から得られる)が挙げられる。
代替的一実施形態では、ビオチン残基を(例えばヒドロスクシンイミドビオチンをペプチドのC末端と反応させることなどによって)ポリペプチド上に導入することができ、次に、そのビオチン化ペプチドを、ストレプトアビジンを保持する(またはアビジン、ニュートラアビジン、もしくはエクストラアビジンを保持する)構成要素、例えばストレプトアビジン(またはアビジン、ニュートラアビジンもしくはエクストラアビジン)残基を含有するPEG化リン脂質を含むマイクロベシクルと反応させる。
標的気体封入マイクロベシクル
本発明の組成物の標的マイクロベシクルは、上で言及した特許文書において例示されているように、当技術分野において知られている任意の方法に従って製造することができる。
例えば、マイクロバブルの製造方法は、上に示したような両親媒性材料を含む乾燥粉末状材料の、好ましくは該材料を含む水性および/または有機懸濁液/エマルションの凍結乾燥(フリーズドライ処理)による、調製を伴いうる。本明細書および本願特許請求の範囲において、気体封入マイクロベシクルの「前駆体」と呼ぶ該乾燥粉末状材料を、次に、生理的に許容される溶液と、所望の気体の存在下で接触させることで、その混合物の撹拌時に、気体封入マイクロベシクルの所望の懸濁液が形成される。
WO91/15244に記載の調製方法によれば、薄膜形成両親媒性化合物を、まず最初に、リポソームの形成に使用される任意の方法によってラメラの形態に転化することができる。この目的のために、薄膜形成脂質と場合によっては他の添加剤(例えば粘度増加剤、非薄膜形成界面活性剤、電解質など)とを含む水溶液を、高速の機械的ホモジナイゼーションまたは可聴域周波数もしくは超音波周波数での音波処理に供し、次に、それをフリーズドライ処理して易流動性の粉末を形成させることができ、次にこれを気体の存在下で保存する。例えばUS5,597,549に開示されているような随意の洗浄ステップを、フリーズドライ処理の前に行うこともできる。
代替的一実施形態(例えばUS5,597,549に記載されているもの)によれば、薄膜形成化合物および親水性安定剤(例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グリコール酸、リンゴ酸またはマルトール)を有機溶媒(例えば3級ブタノール、2-メチル-2-ブタノールまたはC2Cl4F2)に溶解し、その溶液をフリーズドライ処理して、乾燥粉末を形成させることができる。
好ましくは、例えば国際特許出願WO2004/069284に開示されているように、リン脂質(上に挙げたものから選択され、上述の荷電リン脂質を少なくとも1つは含む)および分散保護剤(例えば上に列挙したもの、特に糖質、糖アルコール、ポリグリコール、ポリオキシアルキレングリコールおよびその混合物)を、水と水不混和性有機溶媒(例えば分岐または線状アルカン、アルケン、シクロアルカン、芳香族炭化水素、アルキルエーテル、ケトン、ハロゲン化炭化水素、過フッ化炭化水素、またはそれらの混合物)とのエマルションに、撹拌しながら分散させることができる。エマルションは、水性媒質および溶媒を、少なくとも1つのリン脂質の存在下で、当技術分野において知られている任意の適当なエマルション生成技法に供することによって得ることができる。好ましくは、リン脂質を水性媒質に分散させてから、それを有機溶媒と混合する。あるいは、リン脂質を有機溶媒に分散させるか、または乳化ステップの前もしくは乳化ステップ中に水-有機混合物に別途加えることもできる。こうして得られたマイクロエマルションは、リン脂質材料(および場合によっては他の両親媒性薄膜形成化合物および/または添加剤)によって取り囲まれ安定化された溶媒の微小滴を含有し、それを次に、通常の技法に従って凍結乾燥することによって、凍結乾燥材料が得られる。この凍結乾燥材料は(例えば適切な気体の存在下にバイアル中で)保存され、それを水性担体で再構成することで、マイクロバブルの寸法およびサイズ分布が微小滴の懸濁液の寸法およびサイズ分布に実質的に匹敵するような、気体封入マイクロバブル懸濁液を、最終的に得ることができる。
気体封入マイクロバブルを調製するためのさらなるプロセスは、リン脂質(場合によっては他の両親媒性薄膜形成化合物および/または添加剤)を含む水性媒質を、所望する気体の存在下で(例えばロータ・ステータ混合機を利用して、または音波処理によって)制御された高撹拌エネルギーに供することにより、気体マイクロバブル分散液を生成させること、および得られた混合物をそのまま使用するか、得られた分散液を凍結乾燥に付して、乾燥再構成可能製品を得ることを含む。このプロセスの一例は、例えば、引用により本明細書に組み込まれるWO97/29782に記載されている。
気体封入マイクロバブルを得るために生理的水性担体との接触時に再構成が可能な乾燥粉末を得るには、噴霧乾燥技法(例えばUS5,605,673に開示されているもの)を使用することもできる。
上記の技法のいずれかを使って得られる乾燥型または凍結乾燥型の前駆体は、一般に、粉末またはケーク(cake)の形態にあり、所望の気体と接触した状態で(例えばバイアル中で)保存することができる。前駆体は、適切な生理的に許容される水性液状担体(通例、注射可能であるもの)中、所望の気体の存在下で、容易に再構成することができ、その懸濁液を穏やかに撹拌すると、気体封入マイクロバブルが形成される。適切な生理的に許容される液状担体は、滅菌水、生理食塩水などの水溶液(注射用の最終製品が低張性にならないように平衡溶液であれば有利であるだろう)、または1つ以上の張性調節物質、例えば塩類または糖、糖アルコール、グリコール、もしくは他の非イオン性ポリオール材料(例えばグルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の溶液である。
本発明の一実施形態によれば、ターゲティングコンストラクト(すなわちマイクロベシクルの構成要素に結合したターゲティングリガンドを含むもの)を、上記の調製方法のいずれかによって得られるフリーズドライ処理材料の再構成時に安定化エンベロープに組み込まれるように、そのまま、製剤の他の構成要素と混合することができる。
あるいは、マイクロバブルの初期製剤は、適切に中間官能化された構成要素(例えばマレイミド含有ホスファチジルエタノールアミン)を含有して、該中間体を含有するフリーズドライ処理材料を与え、次に、適切な相補的反応性部分(例えばチオール)を含有するターゲティングリガンドが、各反応性部分を反応させることによって、再構成されたマイクロバブルのエンベロープに既に組み込まれている中間官能化化合物に連結される。
WO2004/069284に開示されているプロセスの場合、マイクロベシクルの構成要素に結合したターゲティングリガンドを含むターゲティングコンストラクトを、乳化ステップおよび凍結乾燥ステップにかけられている初期混合物の構成要素と混合することもできる。あるいは、ターゲティングコンストラクトを含有するミセル懸濁液を別途調製してから、既に形成されているエマルション(他の薄膜形成構成要素を含有するもの)に、好ましくは加熱しながら、加えることもできる。上述のように、形成済みコンストラクトの代わりに、官能化された中間体を使用することもでき、その場合は、それをプロセスの任意のステップで(例えば乳化段階においてまたは凍結乾燥化合物の再構成時に)相補的反応性部分を含有するターゲティングリガンドと反応させることができる。ある実施形態によれば、官能化されたエンベロープ形成構成要素(またはエンベロープ形成/スペーサー中間体コンストラクト)を、ミセル懸濁液として、形成されたエマルションに、撹拌しながら加える。次に、ターゲティングリガンド(相補的反応性部分を含有するもの)を、得られたエマルションに加える。
好ましい一実施形態によれば、二量体型の配列番号3に示すペプチド配列を、まず、チオール化剤(例えば上に例示したものから選択されるもの)と反応させることで、C末端リジン残基の1級アミノ基上に反応性チオール基を導入する。チオール化剤は、好ましくは、リジン残基に対してモル過剰に、好ましくは約5〜200倍モル過剰に、より好ましくは20〜100倍モル過剰に、より一層好ましくは約50倍モル過剰に使用する。次に、チオール化ペプチドを、気体封入マイクロベシクルのマレイミド含有構成要素(例えばマレイミド修飾PEG化リン脂質、例えばDSPE-PEG-マレイミド)の懸濁液に加える。次に、その混合物をインキュベートし、得られたコンストラクト(配列番号3とマイクロベシクルの構成要素とを含むもの)を、上に例示したように、気体封入マイクロベシクルの以後の調製ステップに使用することができる。
マイクロベシクルの表面に結合しているターゲティングリガンドの量は、好ましくは多価マイクロベシクルが得られるように、すなわち複数のターゲティングリガンドをその表面上に含むマイクロベシクルが得られるように選択される。一般に、マイクロベシクルは、マイクロベシクル表面1μm2あたり少なくとも200個のターゲティング分子、好ましくは少なくとも500分子/μm2、より好ましくは少なくとも1000分子/μm2、およびより一層好ましくは少なくとも2000分子/μm2のターゲティング分子を含む。他方、マイクロベシクル表面上の過度に高濃度なターゲティングリガンドは必ずしも必要ではないので、マイクロベシクルは、一般的には、マイクロベシクル表面1μm2あたり15000個未満のターゲティング分子、好ましくは12000分子/μm2未満、より好ましくは10000分子/μm2未満、より一層好ましくは8000分子/μm2未満のターゲティング分子を含む。
マイクロベシクルの表面に結合しているターゲティングリガンドの量は、当技術分野において知られている一般的な技法に従って決定することができる。例えば、マイクロベシクル懸濁液中のマイクロベシクルのエンベロープの総表面積を、まず最初に、例えばコールターカウンター測定などによって決定することができる。次に、マイクロベシクル懸濁液中のターゲティングリガンドの分子の総量を、例えばターゲティングリガンドの化学的マーカー(例えばシアル酸または特異的アミノ酸)の総量を、例えば液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)などで測定することなどによって決定することができる。そうすれば、マイクロベシクル表面上のターゲティングリガンドの密度は、容易に算出することができる。
標的マイクロベシクルの使用
本発明の標的気体封入マイクロベシクルは、例えばセレクチン受容体、好ましくはE-セレクチンおよび/またはP-セレクチン受容体、より好ましくはp-セレクチン受容体を発現する組織または細胞など、上に挙げたターゲティングリガンドに結合する能力を有する受容体の検出を必要とする任意のインビトロまたはインビボ解析に使用することができる。特に本発明のマイクロベシクルは、血管内皮の病理学的状態の可能性、特に炎症過程(例えば急性冠症候群、血管新生、関節リウマチ、クローン病など)に関連するもの、より一般的には、P-セレクチンおよび/またはE-セレクチンを発現する任意の器官または組織の病理学的状態の可能性を検出するための診断方法に有用である。さらにまた、本発明のマイクロベシクルは、炎症性の疾患または病態を患っている患者の(治療的)処置中に、効率の良い診断ツールとして使用することもでき、ここでいう「処置中」には、処置の開始前、該処置の進行中、および/または該処置の最後の任意の時点を包含する。例えば本発明のマイクロベシクルは、(例えば上に言及した疾患または病態の)抗炎症処置のモニタリングおよび/または追跡調査において、例えば抗炎症薬または炎症阻害薬の投与がその疾患または病態に及ぼす効果を決定または評価するために、有利に使用することができる。好ましい一実施形態では、処置中に、患者の関心領域を、例えば一定の時間間隔で、各薬物投与または治療的介入後の予め決定された時間間隔で、かつ/または選ばれた数の薬物投与もしくは処置後に、本発明のマイクロベシクルの投与に続けて超音波インメージングに付し、次に好ましくは、関心領域の最終イメージングを処置の最後または終局に行う。
本発明の気体封入マイクロベシクルはさらに、治療関連イメージング法において使用することができる。ここで、該治療関連イメージングには、患者における疾患を処置するための任意の方法であって(例えば選ばれた受容体または組織に治療化合物を送達するための)コントラストイメージング剤の使用を含み、インビトロおよび/またはインビボで生物学的効果を発揮する能力を有するか生理学的効果を発揮する原因となるものが含まれる。治療関連イメージングは、例えば高い(典型的には、非破壊的画像診断法で一般に使用されるものより高い)音圧の超音波を使用することなどによって、気体封入マイクロベシクルの制御された限局的破壊を伴うものであれば有利であるだろう。この制御された破壊は、例えば凝血塊の処置(超音波血栓溶解と呼ばれている技法)に、場合によっては造影剤に付随している適切な治療化合物の放出と組み合わせて、使用することができる。あるいは、該治療関連イメージングは、マイクロベシクルの限局的破裂または活性化によって誘発される細胞レベルでの一過性膜易透化の結果としての、細胞への治療剤の送達を含みうる。この技法は、例えば細胞内への遺伝物質の効果的な送達に使用することができ、あるいは、薬物を、場合によっては遺伝物質と組み合わせて、局所的に送達することにより、患者の複合医薬/遺伝子治療(例えば腫瘍処置の場合)を可能にすることができる。治療剤は、通常の方法に従って気体封入マイクロベシクルに付随させるか、または組成物の別個の化合物として投与することができる。
典型的には、有効量の造影剤が、それを必要とする患者に(例えば注射によって)投与され、イメージングされるべきまたは処置されるべき患者の身体部分または組織(「関心領域」)を、所望のイメージング法に付す。好ましくは、造影剤を静脈内投与する。患者という用語は、診断/治療目的で、または実験目的(例えば実験的な治療的処置を追跡するためなどの目的で行われる実験動物における造影剤の使用を含む)で、造影剤の投与を受ける、任意の対象(ヒトまたは動物)を包含する。
好ましい一実施形態によれば、有効量の標的マイクロベシクルは、典型的にはその懸濁液の注射によって患者に投与される。こうして、関心領域のイメージングは、関心領域中の受容体に結合したマイクロベシクルの存在によって増強されるであろう。
超音波応用では、例えばファンダメンタルおよび非線形(例えばハーモニック)Bモードイメージング、パルスまたは位相反転イメージング、ならびにファンダメンタルおよび非線形ドプライメージングを含む、さまざまなイメージング技法を使用することができ、所望であれば、三次元または四次元イメージング技法を使用することもできる。さらにまた、高感度な検出法である気体封入マイクロベシクルの(例えば高音圧の超音波を使った)破壊を伴う診断技法も考えられる。
本発明のマイクロベシクルは、例えばそれぞれの組成、イメージングしようとする組織もしくは器官、および/または選択したイメージング技法などに依存して、典型的には、患者1kgあたり約0.01〜約5.0μlの気体(マイクロベシクルの内部に捕捉されているもの)の濃度で投与することができる。もちろん、この一般的濃度範囲は、例えばカラードプラ法またはパワーパルスインバージョン法のように極めて低い用量でシグナルを観察することができる場合など、具体的なイメージング応用に依存して変動しうる。考えうる他の画像診断応用として、シンチグラフィ、光学イメージング、光音響イメージング、磁気共鳴イメージングおよびX線イメージング(X線位相差イメージングを含む)が挙げられる。
以下の実施例は本発明のさらなる例示に役立つであろう。
[実施例]
以下の実施例では、次に挙げる材料および略号を使用した。
DSPC:ジステアロイルホスファチジルコリン(Genzyme)
パルミチン酸:パルミチン酸、ヘキサデカン酸(Fluka)
DSPE-PEG2000:PEG2000で修飾されたジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ナトリウム塩(Genzyme)
DSPE-PEG2000-mal:PEG2000-マレイミドで修飾されたジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(Avanti Polar Lipids)
DSPE-PEG2000-PDP:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(ポリエチレングリコール)-2000]アンモニウム塩(Avanti Polar Lipids)
PDP:ピリジルジチオプロピオニル
トラウト試薬:2-イミノチオラン塩酸塩(Pierce)
SATA:N-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(Pierce)
スルホ-SMCC:(スルホスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート)(Pierce)
ヒドロキシルアミン.HCl:ヒドロキシルアミン塩酸塩(Fluka)
EDTA.4Na:エチレンジアミン四酢酸、四ナトリウム塩(Fluka)
PEG4000:Clariant製のポリグリコール4000S
シクロオクタン:Fluka
TCEP:トリス(2-カルボキシエチル)-ホスフィン塩酸塩(Pierce)
rPSGL-Ig:グリコシル化された配列番号4、US2003/0166521のExample 1に従って得たもの
Lys-C:エンドプロテアーゼLys-C(Pierce、#90051)
Fr-1:rPSGL-Igの精製フラグメント(配列番号3)
[実施例1]
Fr-1を調製するためのrPSGL-Igの酵素消化
200μLの消化緩衝液(トリス.HCl 25mM−EDTA 1mM−pH8.5)中の2mgのrPSGL-Igを微量遠心チューブに入れ、そこに、Lys-Cの溶液(40μgを50μLの蒸留水に溶解したもの)を加えた。粉末が入っているバイアルを50μLの蒸留水ですすぎ、微量遠心チューブに加えた。次に、その混合物を、ドライブロックヒーター中、37℃で18時間インキュベートした。
[実施例2]
陰イオン交換クロマトグラフィーによるFr-1の分離
クロマトグラフィー分離カラム(Bio-Rad製エコノカラム、Vt=3.6mL、高さ9.4cm)にANX Sepharoseゲル(GE Healthcare)を充填し、酢酸ナトリウム0.05M−NaCl 0.05M(pH4.0)を含有する緩衝液中で平衡化した。カラムに3〜4体積の出発緩衝液を流して、ゲルを沈降させた。流速は約0.23mL/分だった。
実施例1で得た消化されたタンパク質を含有する懸濁液290μLを、440μLの酢酸塩0.05M−NaCl 0.05M−pH4.0緩衝液で希釈した。この混合物をカラムに適用し、カラムを、NaCl濃度が0.05Mから1Mまで増加する酢酸塩0.05M/NaCl緩衝液(pH=4.0)で溶出した。
溶出中に各2mLのフラクションを収集した。各フラクション中のタンパク質含有量を280nmにおけるOD(光学密度)測定値(OD280)によって評価し、糖残基の存在をレゾルシノール滴定によって決定した。Fr-1は、1M NaCl濃度で溶出するフラクション中に回収された。Fr-1を含有するフラクションを集め、それを以後の調製に使用した。Fr-1含有フラクションの純度はSDS-PAGE分析およびLC-UVによって評価した。Fr-1の平均分子量(約32キロダルトン)を、MALDI-ToF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間法)によって決定した。
[実施例3]
rPSGL-Igのチオール化(比較例)
rPSGL-Ig保存溶液の一部(789μL−15.1mgのrPSGL-Ig−188.75nmol)を200μLのPBE(リン酸緩衝液25mM、150mM生理食塩水、1mM EDTA、pH8)で希釈した。
トラウト試薬の溶液(2.76mg/mL−20mM)をPBE中に調製し、75μLのこの溶液をrPSGL-Ig溶液に加えた。その結果生じた混合物を撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。この溶液を、リン酸緩衝液20mM pH6中で平衡化したスピンカラム(Zebaスピンカラム5mL、Pierce、#89891)を通して遠心した。溶液の最終体積は約1.2mLだった(チオール化rPSGL-Ig濃度:約111nmol/mL)。
最終溶液中のrPSGL-Ig含有量は、UV分光法により、280nmで決定した。
チオール化rPSGL-Igは、チオール基の考えうる酸化を制限するために、精製後直ちに使用した。
[実施例4]
rPSGL-Igリガンドを有するマイクロベシクル(比較例)
DSPE-PEG-マレイミド(6.6mg−2.24μmol)を、リン酸緩衝液20mM pH6(0.5mL)に、撹拌(ボルテックス)しながら45℃で溶解することにより、透明な溶液を得た。次に、その結果生じた溶液0.5mLを、59.5mLのPEG4000 10%溶液に加えた。
DSPC/パルミチン酸の混合物(モル数で80/20)60mgをシクロオクタン(4.8mL)に70℃で溶解した。
上で調製した水溶液および有機溶液を、高速ホモジナイザー(Megatron MT3000)を使って5分間混合(11,500rpm)することで、エマルションを得た。その結果生じたエマルションを撹拌しながら60℃で1時間加熱した後、室温(約22℃で)冷却した。そのエマルションをポリプロピレンチューブ(Falcon−15mL)に10mLずつ分割した。
実施例3に従って調製したチオール化rPSGL-Ig(15nmol)を10mLのエマルションに加え、その結果生じた混合物を22℃で2時間30分撹拌した。得られたエマルションを最後に10mLの10%PEG4000溶液で2倍希釈し、DIN4Rバイアルにサンプリング(バイアル1本あたり300μL)した。バイアルを-50℃で2時間凍結(Christ Epsilon凍結乾燥機)した後、-25℃および0.2mbarで12時間フリーズドライ処理した。次に凍結乾燥品を、ペルフルオロ-n-ブタンおよび空気を含有する雰囲気(35/65v/v)に曝露し、バイアルをシールした。
この製品を、使用前に、ある体積の生理食塩水(1mL、150mM NaCl)に、穏やかに手で振とうすることによって分散させた。
[実施例5]
Fr-1のチオール化
実施例2で得た乾燥Fr-1(17.1nmol)を160μLのPBE(リン酸緩衝液25mM、150mM生理食塩水、1mM EDTA、pH8)に溶解した。SATAの溶液10mg/mLを無水DMSO中に調製し、この溶液のうち4μL(SATAの10当量)をFr-1溶液に加えた。得られた溶液を室温で30分間インキュベートした。次に、その溶液をPBE(150μL)で希釈した。この溶液を、PBE中で平衡化したスピンカラム(Zebaスピンカラム2mL、Pierce、#89890)を通して遠心した(スタッカーとして50μLのPBEを使用)。溶液の最終体積は約360μLだった。
ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.696g)およびEDTA.四ナトリウム塩(0.19g)の溶液をPBE(15mL)中に調製した。この溶液のpHをNaOH 10Nで7.3に調節し、体積を20mLにした。この脱アセチル化溶液の一部(40μL)をFr-1溶液(360μL)に加えた。得られた溶液を室温で2時間インキュベートした。この溶液を、リン酸緩衝液20mM pH6中で平衡化したスピンカラム(Zebaスピンカラム2mL、Pierce、#89890)を通して遠心した(スタッカーとして50μLのPBEを使用)。溶液の最終体積は約450μLだった(チオール化Fr-1濃度:約33nmol/mL)。
チオール化Fr-1は、チオール基の考えうる酸化を制限するために、精製後直ちに使用した。
[実施例6]
Fr-1を有するマイクロベシクルの調製
DSPE-PEG-マレイミド(6.6mg−2.24μmol)を、リン酸緩衝液20mM pH6(0.5mL)に、撹拌(ボルテックス)しながら45℃で溶解することにより、透明な溶液を得た。次にその結果生じた溶液0.5mLを59.5mLのPEG4000 10%溶液に加えた。
DSPC/パルミチン酸の混合物(モル数で80/20)60mgをシクロオクタン(4.8mL)に70℃で溶解した。
上で調製した水溶液および有機溶液を、高速ホモジナイザー(Megatron MT3000)を使って5分間混合(11,500rpm)することで、エマルションを得た。その結果生じたエマルションを撹拌しながら60℃で1時間加熱した後、室温(約22℃で)冷却した。そのエマルションをPPチューブ(Falcon−15mL)に10mLずつ分割した。
Fr-1(実施例3に従って調製したもの、13nmol)を10mLのエマルションに加え、その結果生じた混合物を22℃で2時間30分、穏やかに撹拌した。得られたエマルションを最後に10%PEG4000溶液で2倍希釈し、DIN4Rバイアルにサンプリング(バイアル1本あたり300μL)した。バイアルを-50℃で2時間凍結(Christ Epsilon凍結乾燥機)した後、-25℃および0.2mbarで12時間フリーズドライ処理した。次に凍結乾燥品を、ペルフルオロ-n-ブタンおよび空気を含有する雰囲気(35/65v/v)に曝露し、バイアルをシールした。
この製品を、使用前に、ある体積の生理食塩水(1mL、150mM NaCl)に、穏やかに手で振とうすることによって分散させた。
[実施例7]
TCEPによるFr-1の還元:単量体型Fr-1
乾燥Fr-1(実施例1および実施例2に従って3mgのrPSGL-Igからフラグメント化および精製したもの)を250μLの緩衝液(トリス/HCl 50mM、50mM EDTA、pH6.8)に溶解した。
TCEPの溶液(2.86mg/mL−10mM)を同じ緩衝液中に調製し、その溶液28μLをフラグメント溶液に加えた。その結果生じた混合物を撹拌しながら37℃で1時間インキュベートした。100μLの緩衝液で希釈した後、その溶液を、リン酸緩衝液20mM pH6中で平衡化したスピンカラム(Zebaスピンカラム2mL、Pierce)を通して遠心した。溶液の最終体積は約0.4mLだった。
還元された単量体型Fr-1が得られ、その化合物を精製後直ちに使用した(チオール基の考えうる再酸化を制限するため)。
[実施例8]
単量体型Fr-1(TCEP還元後)を有するマイクロベシクルの調製
Fr-1溶液を、実施例7に従って調製した単量体型Fr-1(100nmol)の溶液で置き換えた点以外は、実施例6に従って、マイクロベシクルを調製した。
[実施例9]
Fr1-SMCCの調製
実施例2で得たFr-1(76.5nmol)を500μLの緩衝液(リン酸緩衝液200mM、50mM生理食塩水、1mM EDTA、pH7.5)に溶解した。スルホ-SMCCの溶液55mg/mLを無水DMSO中に調製し、その溶液62μL(100当量のスルホ-SMCC)をFr-1溶液に加えた。その溶液を室温で45分間インキュベートした。その溶液を、リン酸緩衝液20mM pH6中で平衡化したスピンカラム(Zebaスピンカラム5mL、Pierce、#89890)を通して遠心した。溶液の最終体積は約660μLだった。
[実施例10]
DSPE-PEG-SHの調製
DSPE-PEG2000-PDP(4.4mg−1473nmol)を、400μLのリン酸緩衝液(100mM pH6)に、撹拌(ボルテックス)しながら40℃で溶解することにより、透明な溶液を得た。緩衝液中の25mM TECP溶液(125μL)を加えた。得られた溶液を撹拌しながら室温で45分間インキュベートした。
溶液の試料を緩衝液に希釈し、2-ピリジンチオンが存在しないことをチェックした。
この溶液を、リン酸緩衝液20mM pH6中で平衡化したスピンカラム(Zebaスピンカラム5mL、Pierce、#89890) を通して遠心した。溶液の最終体積は約620μLだった。
[実施例11]
DSPE-PEG-SH/Fr-1-SMCCコンジュゲートの調製
実施例9で得たFr1-SMCC溶液630μL(70nmol)を、実施例10で得たDSPE-PEG-SH溶液470μL(1050nmol)に加えた。その溶液を撹拌(回転ホイール)しながら室温で3時間インキュベートした。
次に、その溶液を、ANX Sepharoseゲル(GE Healthcare)による陰イオン交換クロマトグラフィーで精製した。
精製Fr-1コンジュゲート(2.6mL)を含有する溶液を、リン酸緩衝液20mM pH6中で平衡化したスピンカラム(Zebaスピンカラム10mL、Pierce、#89893)を通して遠心し、その後の調製に使用した。
[実施例12]
DSPE-PEG-SH/Fr-1-SMCCコンジュゲートを有するマイクロベシクルの調製
DSPCとパルミチン酸の混合物(モル数で80/20)10mgをシクロオクタン(0.8mL)に70℃で溶解した。
別途、実施例11に従って調製したDSPE-PEG-SH/Fr-1-SMCCコンジュゲート溶液(0.75mL−20nmol)を、9.25mLのPEG4000 10%溶液に加えた。
上で調製した有機溶液および水溶液を、高速ホモジナイザー(Polytron PT3000)を使って1分間(8,000rpm)混合することで、エマルションを得た。その結果生じたエマルションを撹拌しながら60℃で1時間加熱した後、室温(約22℃)で冷却した。
得られたエマルションを10%PEG4000溶液で2倍希釈し、DIN4Rバイアルにサンプリング(バイアル1本あたり300μL)した。バイアルを-50℃で2時間凍結(Christ Epsilon凍結乾燥機)した後、-25℃および0.2mbarで12時間フリーズドライ処理した。次に凍結乾燥品を、ペルフルオロ-n-ブタンおよび空気を含有する雰囲気(35/65v/v)に曝露し、バイアルをシールした。
この製品を、ある体積の生理食塩水(1mL、150mM NaCl)に、穏やかに手で振とうすることによって分散させた。
[実施例13]
DSPE-PEG-SH/Fr-1-SMCCコンジュゲートを有するマイクロベシクルの調製
DSPCとパルミチン酸の混合物(モル数で80/20)10mgを蒸留水(10mL)に70℃で15分間分散させた後、室温まで冷ました。次に、その分散液に、実施例11に従って調製したDSPE-PEG-SH/Fr-1-SMCCコンジュゲート溶液(20nmol)を、撹拌しながら加えた。
シクロオクタン(0.8mL)を、得られた分散液と、高速ホモジナイザー(Polytron PT3000)を使って1分間(8,000rpm)混合した。その結果生じたエマルションを撹拌しながら60℃で1時間加熱した後、室温(約22℃)で冷却した。
そのエマルションを20%PEG4000溶液で2倍希釈し、DIN4Rバイアルにサンプリング(バイアル1本あたり300μL)した。バイアルを-50℃で2時間凍結(Christ Epsilon凍結乾燥機)した後、-25℃および0.2mbarで12時間フリーズドライ処理した。次に凍結乾燥品を、ペルフルオロ-n-ブタンおよび空気を含有する雰囲気(35/65v/v)に曝露し、バイアルをシールした。
この製品を、ある体積の生理食塩水(1mL、150mM NaCl)に、穏やかに手で振とうすることによって分散させた。
[実施例14]
rPSGL-Igリガンドを有するマイクロベシクルの調製(比較例)
DSPE-PEG-mal(0.44mg−0.15μmol)を、リン酸緩衝液20mM pH6(0.1mL)に、撹拌(ボルテックス)しながら45℃で溶解することにより、透明な溶液を得た。その溶液に、実施例3に従って調製したチオール化rPSGL-Ig(16nmol−144μL−0.8nmol/mLエマルション)を加え、その結果生じた混合物を22℃で2時間30分撹拌した。次に、その溶液0.25mLを19.75mLのPEG4000 10%溶液に加えた。
DSPCとパルミチン酸の混合物(モル数で80/20)20mgをシクロオクタン(1.6mL)に70℃で溶解した。
上で調製した水溶液および有機溶液を、高速ホモジナイザー(Polytron PT3000)を使って1分間(11,000rpm)混合することで、エマルションを得た。その結果生じたエマルションを撹拌しながら60℃で1時間加熱した後、室温(約22℃)で冷却した。
得られたエマルションを最後に10%PEG4000溶液で2倍希釈し、DIN4Rバイアルにサンプリング(バイアル1本あたり300μL)した。バイアルを-50℃で2時間凍結(Christ Epsilon凍結乾燥機)した後、-25℃および0.2mbarで12時間フリーズドライ処理した。次に凍結乾燥品を、ペルフルオロ-n-ブタンおよび空気を含有する雰囲気(35/65v/v)に曝露し、バイアルをシールした。
[実施例15]
Fr-1を有するマイクロベシクルの調製
チオール化rPSGL-Igをチオール化Fr-1(25nmol、実施例5に従って調製したもの)で置き換えた点以外は実施例14に従ってマイクロベシクルを調製した。
[実施例16]
リガンド含有マイクロベシクルの分散後の物理化学的キャラクタリゼーション
そのまま静脈内注射することができる等張性マイクロベシクル懸濁液を得るために、比較実施例14で得たフリーズドライ処理品を、穏やかに振とうすることにより、ある体積の生理食塩水(1mL、150mM NaCl)に分散させた。そのマイクロベシクル懸濁液を、懸濁液の調製後直ちに(時刻=0分)および調製の30分後(時刻=30分)に、サイズ分析に付した。マイクロベシクルのサイズ分布および濃度は、30μmアパチャーチューブを装着したMultisizer(商標)3コールターカウンター(登録商標)で測定した(希釈:100mLのNaCl 0.9%溶液中に50μLのマイクロベシクル懸濁液−分析体積:100μL)。調製物を特徴づけることで、マイクロベシクルの数平均径および体積平均径(DnおよびDv50、単位μm)を決定すると共に、それらの数濃度を得た。
同様に、実施例15で得たフリーズドライ処理品を等体積の生理食塩水に分散させ、懸濁液におけるマイクロベシクルのサイズおよび分布を、上に示したように決定した(時刻=0および30分)。
結果を次の表1に記載する。
[表1]マイクロベシクル懸濁液の物理化学的キャラクタリゼーション
Figure 0005779646
上記の結果から推察できるとおり、rPSGL-Igリガンドを有するマイクロベシクルは、生理食塩水への分散後に凝集を起こし、時間が経つにつれて徐々に脱凝集したが、これは注射可能型にとっては望ましくない。対照的に、Fr-1含有マイクロベシクルのサイズ、分布およびベシクル数は、分散後のT=0分とT=30分を比較すると、実質的に一定であった。
[実施例17]
0.9%NaClに再構成した後のマイクロベシクル懸濁液の画像解析
実施例14および実施例15に従って得たマイクロベシクル懸濁液を0.9%NaClに1/10希釈し、マイクロベシクル像を取得するために、光学顕微鏡(Leica Cambridge Ltd、20×対物レンズを装着したもの)下で、ノイバウエル計算盤(Blaubrand(登録商標)、Brand GmbH)に、10μLずつ導入した。マイクロベシクルをノイバウエル盤の上のカバースリップまで上がらせ(2〜3分)、焦点を合わせた後、画像をデジタルカメラで撮影した。次に画像を数学プロセッサで解析することにより、画像中の純粋な円形は単一の非凝集マイクロベシクルに対応し、一方、マイクロベシクルの凝集は、検出されない非円形をもたらすという仮定に基づいて、結合していないマイクロベシクルの量を決定した。グレースケール画像における「純粋な円形」を検出するために、円形ハフ変換をMatlab(The Mathworks Inc.、マサチューセッツ州ナティック)で実行した。このプログラムは、検出された円形の中心位置と半径を出力する。次の結果(表2)が観察された。
[表2]ハフ変換物体検出による画像解析
Figure 0005779646
表2の結果から推察できるとおり、Fr-1フラグメントを含有するマイクロベシクルは、タンパク質rPSGL-Ig全体を含有するマイクロベシクルよりはるかに凝集を起こしにくい。
[実施例18]
標的マイクロベシクルのインビトロ結合活性
有効結合を調べるために、比較実施例4に従って調製した標的マイクロベシクルを、マウスFc P-セレクチン(CD62P-Fcキメラ、R&D Systems(米国ミネソタ州ミネアポリス)製)のコーティングを含むフローチャンバー装置に注入した。マイクロベシクル(換算数80×106/400μL TBS++)をフローチャンバー(FCS2、Bioptech、米国)にボーラスとして注入し、マウスP-セレクチンコート層へのそれらの接着を、PBS中の50%ヒト血漿(v:v、Biomeda、クエン酸採血、参照番号ES1020P、Stehelin & Cie AG)の存在下、1.0mL/分(ずり速度714s-1)で、10分間にわたって評価した。画像解析プログラムAnalysis FIVE(SIS、ドイツ)を使って合計10分間の注入中に2分間隔で観察領域における接着しているマイクロベシクルの数をカウントすることにより、マイクロベシクル蓄積の定量的解析を行った。10分後に、5枚の写真をランダムに撮影して、結合しているマイクロベシクルの数を測定し、10分時点で結合しているバブルの数(NBB)として表した。各観察領域は対物マイクロメーターで測定したところ183×137μmだった。測定はチャンバーの中央と出口の間で行った。
同様に、実施例6(Fr-1ターゲティングリガンド)および実施例8(単量体型FR-1)に従って調製された標的マイクロベシクルの懸濁液を、上述のようにフローチャンバーに注入し、それらの結合活性を上記の手法で決定した。
表3にこれら3つの試験の結果を示す。
[表3]10分時点で結合しているマイクロベシクルの数(NBM 10分)
Figure 0005779646
上記の結果から推察できるとおり、Fr-1を含有するマイクロベシクルの結合活性は、単量体型Fr-1または完全なタンパク質rPSGL-Igを含有するマイクロベシクルの対応する調製物と比較して高い。
[実施例19]
二量体型および単量体型Fr-1を有するマイクロベシクルのインビボ性能
実施例6および8に従って調製されたマイクロベシクルを、炎症ラットモデルにおいて比較した。リポ多糖(LPS,026:B6、Sigma L-8274、2.1mg/kg)の筋肉内注射により、後肢に炎症を誘発した。標的マイクロベシクルの有効結合を、炎症過程の誘発の24時間後に、超音波イメージングによって評価した。超音波イメージングは、15L8線形変換器を装着したSiemens Sequoia 512スキャナー(Siemens Medical Systems、ワシントン州イサクア)を使って行った(送信周波数、7MHz;ダイナミックレンジ、83dB;深度、20mm;時間利得補償(TGC):線形)。実施例6および実施例8から得たマイクロベシクルの単回投与注射の10分後に、関心領域(AOI)内のコントラストエコーパワー振幅(contrast echo-power amplitude)を定量化するために設計された自社開発の定量化ソフトウェア(Bracco Suisse SA、スイス・ジュネーブ)を使って、マイクロベシクル結合の定量的解析を行った。保存されたフレームのAOIにおけるコントラスト増強を相対エコーパワー値(rms2)として表した。これは選択したAOIにおけるマイクロベシクルの数に比例する。結果を表4に示す。
[表4]炎症ラット筋におけるエコーパワー
Figure 0005779646
上の表から推察できるように、実施例6のマイクロベシクル(二量体型Fr-1を有するもの)は、実施例8のマイクロベシクル(単量体型Fr-1を有するもの)と比較して、より高いインビボ結合をもたらす。
[実施例20]
Fr-1マイクロベシクルによる抗炎症治療効果のモニタリング
実施例6に従って調製されたマイクロベシクルを炎症ラットモデルに投与した。リポ多糖(LPS,026:B6、Sigma L-8274、2.1mg/kg)の筋肉内注射により、後肢に炎症を誘発した。LPS投与の24時間前にエタネルセプト(0.45mg/kg、Wyeth)または生理食塩水の皮下注射で動物を前処置することにより、抗炎症処置効力のモニタリングを行った。Fr-1マイクロベシクルのインビボ結合活性を、実施例19で述べたイメージングプロトコールに従って決定した。TNFα活性を妨げるためのエタネルセプトの投与によって達成される既知の炎症阻害(Campbell,S.J., Jiang,Y., Davis,A.E., Farrands,R., Holbrook,J., Leppert,D.およびAnthony,D.C. (2007)「Immunomodulatory effects of etanercept in a model of brain injury act through attenuation of the acute-phase response」J. Neurochem. 103, 2245-2255)が、Fr-1マイクロベシクルを使って視覚化された。エタネルセプトで前処置された動物は、生理食塩水を与えた対照動物と比較して、Fr-1マイクロベシクル蓄積の減少を示した。この試験は、炎症阻害剤による抗炎症処置中に、炎症部位におけるセレクチン受容体の発現をモニタリングするFr-1マイクロベシクルの能力を示している。

Claims (32)

  1. a)両親媒性化合物、および
    b)最大で200アミノ酸残基からなり、少なくとも配列番号1に示すアミノ酸5〜16を含むポリペプチド
    を含む、ターゲティングコンストラクトを含む気体封入マイクロベシクルを含む水性懸濁液であって、
    該ポリペプチドは、二量体の形態であり、該両親媒性化合物と共有結合的に付随している、水性懸濁液。
  2. 該ポリペプチドが、システインおよび/またはリジン残基を含む、請求項1に記載の水性懸濁液。
  3. 該ポリペプチドが、該リジン残基を介して該両親媒性化合物と共有結合的に付随している、請求項2に記載の水性懸濁液。
  4. 該ポリペプチドが少なくとも配列番号1に示すアミノ酸1〜19を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  5. 該ポリペプチドが少なくとも配列番号1に示すアミノ酸5〜41を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  6. 該ポリペプチドが少なくとも配列番号1に示すアミノ酸1〜47を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  7. 該ポリペプチドが最大で100アミノ酸残基を含む、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  8. 該ポリペプチドが最大で75アミノ酸残基を含む、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  9. 該ポリペプチドが配列番号3に示すアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の水性懸濁液。
  10. 該ポリペプチドが、式(I):
    (XA)n−Y−(XB)m (I)
    [式中、
    (XA)nは、少なくとも配列番号1に示すアミノ酸5〜16を含むn個のアミノ酸XAの配列を表し、ここで
    nは12から199までの整数であり;そして
    XAは、リジンを除く任意のアミノ酸である;
    (XB)mは、m個のアミノ酸XBの配列を表し、ここで、
    mは、m+nの合計が最大でも199であるという条件の下で、0から10までの整数であり;そして
    XBは、リジンおよびシステインを除く任意のアミノ酸である;
    Yは、システインまたはリジンである]
    のアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の水性懸濁液。
  11. (XA)nが少なくとも配列番号1に示すアミノ酸1〜19を含む、請求項10に記載の水性懸濁液。
  12. (XA)nが少なくとも配列番号1に示すアミノ酸5〜41を含む、請求項10に記載の水性懸濁液。
  13. (XA)nが少なくとも配列番号1に示すアミノ酸1〜47を含む、請求項10に記載の水性懸濁液。
  14. Yがリジンである、請求項13に記載の水性懸濁液。
  15. nが12から99までの整数であり、m+nが最大で99である、請求項10に記載の水性懸濁液。
  16. nが12から74までの整数であり、m+nが最大で74である、請求項10に記載の水性懸濁液。
  17. XAが2つのシステイン残基を含む、請求項1016のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  18. 該ポリペプチドが、配列のアミノ残基に結合したO-グリカン部分を含む、グリコシル化されたアミノ酸の配列である、前記請求項1〜17のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  19. 該O-グリカン部分がシアリルルイスx構造を含む、請求項18に記載の水性懸濁液。
  20. 配列番号1の位置16、24、25、26、28、29、32、36、39、40および/または41にあるアミノ酸に結合した1つ以上のグリカン残基を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  21. ポリペプチドの該アミノ酸配列が、チロシンアミノ酸残基に結合した硫酸基をさらに含む、前記請求項1〜20のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  22. 該ターゲティングコンストラクトの該両親媒性化合物がリン脂質である、前記請求項1〜21のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  23. 該マイクロベシクルがマイクロベシクル形成材料として安定化両親媒性材料を含む、前記請求項1〜22のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  24. 該両親媒性材料がリン脂質である、請求項23に記載の水性懸濁液。
  25. マイクロベシクルに含有される気体が、場合によっては空気または窒素と混合されている、フッ化物気体である、前記請求項1〜24のいずれか一項に記載の水性懸濁液。
  26. 音波に基づく画像診断における使用のための、請求項1〜25のいずれか一項に記載の水性懸濁液
  27. 超音波に基づく画像診断が、炎症性の疾患または病態を検出するためである、請求項26に記載の水性懸濁液
  28. 上記請求項1〜27のいずれか一項に記載する気体封入マイクロベシクルの前駆体であって、乾燥粉末の形態にあり、
    a.前記請求項1〜27のいずれか一項に記載のターゲティングコンストラクト
    b.マイクロベシクル形成材料として安定化両親媒性材料、および
    c.凍結乾燥添加
    含み、かつ再構成可能であって、気体の存在下で水性担体と接触させて撹拌すると、該気体封入マイクロベシクルを含む水性懸濁液が形成される前駆体。
  29. 凍結乾燥添加物が、アミノ酸、糖、多糖またはポリオキシアルキレングリコールである、請求項28に記載の前駆体。
  30. 請求項28または29に記載の前駆体と生理的に許容される水性担体とを含む医薬キット。
  31. 該前駆体が生体適合性気体と接触している、請求項30に記載の医薬キット。
  32. 該気体が、場合によっては空気または窒素と混合されている、フッ化物気体である、請求項31に記載の医薬キット。
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