JP5779236B2 - ワイプセットおよびそれを用いた拭取方法 - Google Patents

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Description

本発明は、作業台に零れたりなどした抗癌剤や高生理活性を有する有害薬剤を拭き取るために特に好適に用いられる新規なワイプセット、ならびにそれを用いた拭取方法に関する。
様々なタイプの癌を治療するために、多くの抗癌剤がこれまでに知られている。これらの中には、自身が発癌性を有することが知られているか、または、発癌性を有することが疑われている抗癌剤が存在する。したがって、抗癌剤を取り扱う作業従事者は、その危険性に十分注意を払う必要があり、抗癌剤を調製、運搬などする際に作業台上に突発的に零れたり、漏れたりなどした抗癌剤を効果的に拭取るための特別な手段が必要となる。
たとえば米国特許第5811113号明細書(特許文献1)には、4〜40重量%の次亜塩素酸カルシウムまたは次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を含浸させた繊維性の第1のワイプと、4〜40重量%のチオ硫酸ナトリウムを含む水溶液を含浸させた繊維性の第2のワイプとを備えるキットが開示されている。特許文献1によれば、このような薬剤を含浸させたワイプ(薬剤含浸ワイプ)を組み合わせたキットを用い、第1のワイプで拭取った後に第2のワイプで拭取る操作を行なうことで、HIVに感染した血液を失活して拭取ることができ、また、抗癌剤についても失活させ、さらには脱色させて拭取ることができると記載されている。
米国特許第5811113号明細書
しかしながら、特許文献1に開示されたキットでも、作業台上に零れ、もしくは漏れた抗癌剤の種類、量、面積によっては拭取によって除去できる抗癌剤の割合が不十分であり、より効果的に抗癌剤を除去できる手段、方法の開発が望まれていた。
拭取によって除去できる抗癌剤の割合が不十分であった原因の一つには、薬剤含浸ワイプの持つ除去効能、すなわち含浸薬剤による化学的分解能力とワイプを使って拭取るという物理的除去の関連が明確でなかったことが挙げられる。
化学的分解能力は、ワイプに含浸させた薬剤と抗癌剤との化学反応であり抗癌剤を変性させ失活化させる作用である。この反応は対象とする抗癌剤の種類や濃度により失活化する時間が左右される。後述する実験例において立証するように、瞬時に失活する抗癌剤もあれば、シクロフォスフォミドなどの抗癌剤では短時間での分解が期待できないものもある。また、物理的除去は、薬剤含浸ワイプで拭取操作により汚染された抗癌剤を浮き上がらせ、ワイプに吸着、吸収させ、廃棄する過程で抗癌剤を汚染面からワイプに移動させ除去する作用をいう。
一方、医療現場においては日常的に行なわれる抗癌剤の調製や運搬、投与、廃棄のそれぞれの抗癌剤取扱い場面において素早く簡便に汚染除去し清掃することが求められる。それ故に化学的分解と物理的除去の機能を最大限に発揮できるワイプが求められていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、作業台に零れたりなどした抗癌剤を化学的にも、物理的にも短時間で効果的に除去できる新規なワイプセットおよびそれを用いた新規な拭取方法を提供することである。
本発明のワイプセットは、ワイプ1gあたり50〜200mgの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させた第1のワイプと、ワイプ1gあたり30〜110mgのチオ硫酸ナトリウム水溶液を含浸させた第2のワイプと、ワイプ1gあたり4〜110mgの水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた第3のワイプとを備えることを特徴とする。
本発明のワイプセットにおいて、前記第1のワイプは、さらにワイプ1gあたり7〜100mgの水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
本発明のワイプセットにおいて、第1のワイプ、第2のワイプ、第3のワイプに用いられるワイプの基材は、100%ポリプロピレン製の不織布であることが好ましい。
本発明のワイプセットは、第1のワイプが、ワイプの基材と次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを別個に収容し、用時、前記基材と次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを混合して基材に次亜塩素酸ナトリウム水溶液が含浸されるように構成された包装材で包装され、第2のワイプが、ワイプの基材とチオ硫酸ナトリウム水溶液とを別個に収容し、用時、前記基材とチオ硫酸ナトリウム水溶液とを混合して基材にチオ硫酸ナトリウム水溶液が含浸されるように構成された包装材で包装され、第3のワイプが、ワイプの基材と水酸化ナトリウム水溶液とを別個に収容し、用時、前記基材と水酸化ナトリウム水溶液とを混合して基材に水酸化ナトリウム水溶液が含浸されるように構成された包装材で包装されていることが好ましい。
本発明における包装材は、被収容物を収容し得る2個の収容部を備え、当該2個の収容部の間に、収容部を押圧することにより剥離可能な区画シール部が形成されているものであることが、好ましい。
本発明はまた、上述した本発明のワイプセットを用いた拭取方法であって、第1のワイプで拭くステップと、第1のワイプで拭いた跡を第2のワイプで拭くステップと、第2のワイプで拭いた跡を第3のワイプで拭くステップとを含む方法についても提供する(以下、「第1の方法」と呼称する)。
また本発明は、上述した本発明のワイプセットを用いた拭取方法であって、第3のワイプで拭くステップと、第3のワイプで拭いた跡を第1のワイプで拭くステップと、第1のワイプで拭いた跡を第2のワイプで拭くステップとを含む方法についても提供する(以下、「第2の方法」と呼称する)。
本発明はまた、上述した本発明のワイプセットを用いた拭取方法であって、第1のワイプで拭くステップと、第1のワイプで拭いた跡を第3のワイプで拭くステップと、第3のワイプで拭いた跡を第2のワイプで拭くステップとを含む方法についても提供する(以下、「第3の方法」と呼称する)。
本発明の第1の方法、第2の方法、第3の方法のいずれにおいても、各ステップ間に少なくとも60秒間の間隔をあけることが好ましい。
本発明の第1の方法、第2の方法、第3の方法のいずれにおいても、拭取対象は抗癌剤であることが好ましい。
本発明によれば、後述する実験例において立証するように、従来の倍近くの面積の領域であっても、拭取対象を確実に除去することができる。本発明における拭取対象としては、作業台に零れたり漏れたりなどした抗癌剤が特に好適であり、これによって作業従事者の抗癌剤による健康被害の回避に貢献することができる。
本発明のワイプセットに用いられる好ましい一例の包装材を模式的に示す平面図である。 本発明のワイプセットに用いられる好ましい一例の包装材を模式的に示す断面図である。 実験例においてシクロフォスフォミドを用いた試料を滴下させて汚染させる際のマーキングエリア内の滴下位置を模式的に示す図である。
<ワイプセット>
本発明のワイプセットは、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させた第1のワイプと、チオ硫酸ナトリウム水溶液を含浸させた第2のワイプと、水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた第3のワイプとを基本的に備えることを特徴とする。以下、各ワイプについて説明する。
(1)第1のワイプ
本発明における第1のワイプは、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させたものである。この第1のワイプを用いた拭取は、拭取対象が抗癌剤などの薬剤である場合には、当該薬剤を変性させ、薬効を低減させるか、または薬効をなくさせるようにするという作用を発揮する。
第1のワイプは、ワイプ1gあたり50〜200mg(好ましくは65〜170mg)の次亜塩素酸ナトリウムを含む。第1のワイプがワイプ1gあたりに含む次亜塩素酸ナトリウムが50mg未満である場合には、抗癌剤失活の効力が弱くなる傾向にあるためであり、また、200mgを超える場合には、高濃度であるため、拭取操作や廃棄時の取扱い時の危険性が高まり、ワイプの基材や包装材が劣化してしまう虞があるためである。なお、第1のワイプにおけるワイプ1gあたりに含む次亜塩素酸ナトリウムの含有量は、たとえば、有効塩素濃度の測定や簡易的にはヨウ素カリウム試薬による着色吸光比色法などにより確認することができる。
第1のワイプは、ワイプ1gあたり7〜100mg、好ましくは8.5〜34mgの水酸化ナトリウムをさらに含むことが好ましい。第1のワイプがワイプ1gあたりに含む水酸化ナトリウムが7mg未満である場合には、主剤の次亜塩素酸ナトリウムが酸性に傾きやすく塩素ガスを発生して分解が促進され有効塩素濃度の低下が著しい場合があり、またバリア性を有する包装材の劣化も発生する傾向があるためであり、また、100mgを超えて添加した場合には、包装材の劣化は抑えられるものの、有効塩素濃度の維持は無添加の場合とさほど変わらないためである。
第1のワイプにおいて、基材としては従来公知の適宜のワイプ基材を特に制限なく用いることができ、たとえばポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系やそれらとパルプとの混成などで形成された不織布などが挙げられる。中でも、100%オレフィン系不織布は、耐薬品安定性に優れ、次亜塩素酸ナトリウムの濃度安定化に効果があり、親水化処理されたものやハイドロユニット素材はそれ自体で吸収性に優れ、そのまま容易に製造できるという利点がある。特に好適には、ワイプに含浸された薬剤との相互作用が少なく、製造から使用直前まで間で薬剤の必要濃度を維持し、ワイプ物性が劣化しない100%ポリプロピレン製の不織布を使用することが好ましい。ワイプ基材の好適な具体例としては、33300SERIES WIPES/100%メルトブロウンポリプロピレン33309ワイプ(MAXCLEAN社製)などの市販品を挙げることができる。
第1のワイプの大きさ(面積)については特に制限されるものではないが、医療現場で抗癌剤の調製に用いられる最低限スペースとして3500cm程度のエリアを容易に拭取れ、かつ安全で簡便に廃棄できるという観点から、315〜930cmの範囲内であることが好ましく、525〜930cmの範囲内であることがより好ましい。また、第1のワイプの厚みについても特に制限されるものではないが、余り薄いものは拭取った抗癌剤が裏側に浸透し易く手袋やその他に再汚染させる虞があるため、0.2〜0.5mmの範囲内であることが好ましく、使い易さの観点から、0.2〜0.3mmの範囲内であることがより好ましい。
本発明における第1のワイプを製造するに際し、基材に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させる方法についても特に制限されるものではなく、基材を所望の濃度および量(含浸させる量よりも多めにする)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に基材を浸すようにすることで、好適に製造することができる。
(2)第2のワイプ
本発明における第2のワイプは、チオ硫酸ナトリウム水溶液を含浸させたものである。この第2のワイプを用いた拭取は、後述するようにその前の第1のワイプによる拭取によって残存した次亜塩素酸ナトリウムを中和させるという作用を発揮する。このことにより拭取操作で清掃面に残留した次亜塩素酸ナトリウムによる強烈な酸化作用からステンレス表面などの作業台金属表面の酸化劣化を防止することを目的とする。また、シスプラチンなどの抗癌剤の分解にも効果がある。
第2のワイプは、ワイプ1gあたり30〜110mg(好ましくは35〜92mg)のチオ硫酸ナトリウムを含む。第2のワイプがワイプ1gあたりに含むチオ硫酸ナトリウムが30mg未満である場合には、第1のワイプの残渣の中和能力に不足をきたし、ステンレスなどの床面基材を酸化劣化させる傾向にあるためであり、また、110mgを超える場合には、拭取面に過剰のチオ硫酸ナトリウムが残ってしまう虞があるためである。なお、第2のワイプにおけるワイプ1gあたりに含むチオ硫酸ナトリウムの含有量は、たとえばヨウ素デンプン反応による滴定法などにより確認することができる。
第2のワイプの基材、大きさ(面積)、厚み、吸収余力などは、第1のワイプについて上述したのと同様であり、また、基材にチオ硫酸ナトリウム水溶液を含浸させる方法についても、同様に基材を所望の濃度および量(含浸させる量よりも多めにする)のチオ硫酸ナトリウム水溶液に基材を浸すようにすることで、好適に製造することができる。
(3)第3のワイプ
本発明における第3のワイプは、水酸化ナトリウム水溶液を含浸させたものである。この第3のワイプを用いた拭取は、拭取対象が抗癌剤などの薬剤である場合には、当該薬剤を浮かせ、除去する作用を発揮する。また、エピルビシンなどの抗癌剤の分解にも効果がある。
第3のワイプは、ワイプ1gあたり4〜110mgの水酸化ナトリウムを含む。第3のワイプがワイプ1gあたりに含む水酸化ナトリウムが4mg未満である場合には、固着した抗癌剤を浮き上がらせ回収する能力が低下する傾向にあるためであり、また、110mgを超える場合には、高濃度であるため、拭取操作や廃棄時の取扱い時の危険性があり、ワイプの基材や包装材が劣化してしまう虞があるためである。なお、第3のワイプにおけるワイプ1gあたりに含む水酸化ナトリウムの含有量は、たとえばフェノールフタレイン添加による滴定法などにより確認することができる。
第3のワイプの基材、大きさ(面積)、厚み、吸収余力などは、第1のワイプについて上述したのと同様であり、耐薬品性に優れた100%ポリプロピレン製の不織布が最も適している。また、基材に水酸化ナトリウム水溶液を含浸させる方法についても、同様に基材を所望の濃度および量(含浸させる量よりも多めにする)の水酸化ナトリウム水溶液に基材を浸すようにすることで、好適に製造することができる。
上述したような第1のワイプ、第2のワイプおよび第3のワイプを備える本発明のワイプセットは、様々な対象の拭取に好適に用いることができる。中でも好適な拭取対象として、作業台に零れたり漏れたりなどした抗癌剤や高生理活性薬剤が特に好適であり、従来の倍近くの面積の領域であっても拭取対象を確実に除去することができ、これによって作業従事者の抗癌剤による健康被害の回避に貢献することができる。好適な拭取対象となる抗癌剤としては、特に制限されるものではなく、たとえばシクロフォスフォミド、エピルビシン、カルボプラチン、シスプラチン、フルオロウラシル、イフォスファミド、メルファラン、ドキソルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、テニポシド、ブレオマイシン、マイトマイシン、メソトレキセートなど従来公知の様々な抗癌剤や高生理活性を有する有害薬剤の拭取に適用することができる。
本発明のワイプセットは、上述した第1のワイプ、第2のワイプおよび第3のワイプをそれぞれ別個に気密に包装材で包装し、用時、包装材より取り出せるようにして供されることが好ましい。本発明のワイプセットに用いられる包装材の形成材料については特に制限されるものではないが、第1のワイプ、第2のワイプ、第3のワイプにそれぞれ含浸させた薬剤濃度を維持し、薬剤漏出の危険を回避するため、遮光性とバリア性とを備えたアルミニウムで形成された層を含む包装材を用いることが好ましい。また薬剤を含浸させたワイプと直接接触する面に薬剤安定に優れるオレフィン系フィルムを用いた多層ラミネート密閉バッグが望ましい。具体的には、外側から内側に向かって順に、ポリエチレン(PE)層/アルミニウム層/PE層が積層された袋状物を包装材として好適に用いることができる。
また、本発明のワイプセットは、第1のワイプが、ワイプの基材と次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを別個に収容し、用時、前記基材と次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを混合して基材に次亜塩素酸ナトリウム水溶液が含浸されるように構成された包装材で包装され、第2のワイプが、ワイプの基材とチオ硫酸ナトリウム水溶液とを別個に収容し、用時、前記基材とチオ硫酸ナトリウム水溶液とを混合して基材にチオ硫酸ナトリウム水溶液が含浸されるように構成された包装材で包装され、第3のワイプが、ワイプの基材と水酸化ナトリウム水溶液とを別個に収容し、用時、前記基材と水酸化ナトリウム水溶液とを混合して基材に水酸化ナトリウム水溶液が含浸されるように構成された包装材で包装されていてもよい。この場合、包装材としては、上述したようなポリエチレン(PE)層/アルミニウム層/PE層が積層された材料で形成することが好ましく、用時には、それぞれ上述した濃度で、第1のワイプには次亜塩素酸ナトリウム水溶液、第2のワイプにはチオ硫酸ナトリウム水溶液、第3のワイプには水酸化ナトリウム水溶液が含浸されるように構成される。また、この場合、第1のワイプを包装する包装材は、基材、次亜塩素酸ナトリウム水溶液をそれぞれ収容する収容室とは別個に、または、いずれかの収容室内に、水酸化ナトリウム水溶液を収容し、用時には、上述した濃度で第1のワイプに含浸されるように構成されていることが、好ましい。
ここで、図1および図2は、本発明のワイプセットに用いられる好ましい一例の包装材を模式的に示す図であり、図1は平面図、図2は断面図である。本発明のワイプセットに用いられる包装材としては、図1および図2に示すように、相対面するシート1,2が重ね合わされてシールされたシール部3で包囲されるように被収容物を収容しうる2個の収容部が形成され、前記2個の収容部のうち、一方の収容部は、被収容物を押し出すように押圧する押出側収容部4として形成されているとともに、他方の収容部は、前記押出側収容部内の被収容物が導入される導入側収容部5として形成され、前記押出側収容部4と前記導入側収容部5との間には、前記押出側収容部4を押圧することで、前記押出側収容部4と前記導入側収容部5とを連通状態とすべく剥離可能に構成された区画シール部6が形成され、前記押出側収容部4の先端側と前記導入側収容部5の先端側とには、相互に対向する凹入部8および突出部9がそれぞれ形成され、相対向する導入側収容部5の先端縁が、押出側収容部4の先端縁よりも、押出側収容部4側に位置するように形成されることで、前記突出部9が前記凹入部8内に臨出しうるように形成され、前記突出部9と前記凹入部8との間の区画シール部6が、前記押出側収容部4と前記導入側収容部5を導通させる導通用シール部7として形成されているものであることが、好ましい。このような包装材を用いることで、押出側収容部4を押圧した際の押圧力を、その押出側収容部4と導入側収容部5との先端部が対向する中心部分に有効に作用させることができ、その押圧力によって生じる区画シール部6の剥離部分を中心部分から位置ずれした位置に生じさせるおそれがなく、押出側収容部4から導入側収容部5への被収容物の導入を好適になすことができる。
このような包装材を用いる場合、押出側収容部4には、ワイプに含浸させる次亜塩素酸ナトリウム水溶液(および必要に応じて水酸化ナトリウム水溶液)(第1のワイプの場合)、チオ硫酸ナトリウム水溶液(第2のワイプの場合)または水酸化ナトリウム水溶液(第3のワイプの場合)を収容し、導入側収容部5にはワイプの基材を収容しておくことが好ましい。
<拭取方法>
本発明は、上述した本発明のワイプセットを用いた拭取方法についても提供する。本発明の拭取方法には、以下の第1の方法と第2の方法と第3の方法とがある。
ここで挙げる拭取順序は、本発明におけるワイプの化学的分解能力と物理的除去能力の両作用を効果的に使い、短時間に素早く除去することを目的として設定されたものである。後述する実験例において具体的に示されるように、化学的分解能力は、抗癌剤の種類や濃度により分解時間に差が有り、瞬時に分解する抗癌剤では、化学的作用だけで十分なケースもある。一方、比較的分解に時間を要する抗癌剤では、化学的作用に加え物理的除去により汚染面から抗癌剤の除去効果を高める必要がある。本発明の拭取方法は、分解反応の早い、遅いに関わらず汚染面から抗癌剤を効果的に除去する方法である。
(1)第1の方法
本発明の第1の方法は、上述した本発明のワイプセットを用いた拭取方法であって、第1のワイプで拭くステップと、第1のワイプで拭いた跡を第2のワイプで拭くステップと、第2のワイプで拭いた跡を第3のワイプで拭くステップとを含むことを特徴とする。このようなステップを経ることによって、後述する実験例において具体的に示されるように、拭取対象(特に好適には抗癌剤)の効果的な除去が可能となる。
ここで、第1のワイプのみで拭取を行ない、第2のワイプ、第3のワイプを用いた拭取を行なわない場合には、第1のワイプは化学的分解能力では最大効果を発揮するが、シクロフォスフォミドなど分解に時間を要する抗癌剤や高濃度汚染の場合や拭取間隔が短時間の場合には、化学的分解が完全にできないケースがある。また第1のワイプの単独使用のままでは次亜塩素酸ナトリウムの酸化腐食作用により作業台の金属面が侵されてしまうという逆効果も防止できない。また、第1のワイプ、第2のワイプの順で拭取を行ない、第3のワイプを用いた拭取を行なわない場合には、上述と同様に、第1のワイプによる化学的分解が不完全な場合には、第2のワイプの拭取操作により拭取面上では中和反応が起こり、1剤目の抗癌剤失活効果が打消されてしまう結果、拭取面に残留した抗癌剤が完全に分解されない。このため、いずれも拭取対象の除去作業は不十分で不完全なものとなってしまう。
また、第1のワイプによる拭取の後、第2のワイプによる拭取を行なわずに第3のワイプによる拭取を行なった場合、この組み合わせでは第3のワイプが第1のワイプによる抗癌剤失活効果を打ち消すことなく分解能力を持続できるが、第1のワイプの残渣を中和することが不十分になり作業台を損傷してしまう虞がある。さらに、第1のワイプによる拭取を行なわずに、第2のワイプのみを用いて拭取を行なった場合、あるいは、第1のワイプによる拭取を行なわずに、第2のワイプによる拭取の後に第3のワイプによる拭取を行なった場合には、第2のワイプ単独使用による分解能力が弱いため取残しが発生する虞がある。またこの場合、第2のワイプと第3のワイプは両者ともある種の抗癌剤に対し全く失活効果を示さない場合があるため、拭取対象の除去は不十分なものとなってしまう虞がある。なお、第2のワイプは、第1のワイプに含まれた次亜塩素酸ナトリウムを中和させる作用のために補助的に使用されるため、第2のワイプを先行使用する必然性がないという観点からも、第2のワイプのみを用いて拭取を行なう、あるいは、第1のワイプによる拭取を行なわずに、第2のワイプによる拭取の後に第3のワイプによる拭取を行なうことは、いずれも選択肢として好ましくない。
第1の方法は、第1のワイプで拭いた時点で、化学的分解能力と物理的除去能力をあわせ大半の除去が可能である。この結果第1のワイプに移動した抗癌剤は、その時点で分解が完了されていなくとも、拭取廃棄物中で分解が持続的に作用して廃棄物中での毒性低減が期待できる。また作業台に残留した抗癌剤は、第1のワイプに含まれた次亜塩素酸ナトリウムによる分解が不完全な場合であっても、第2のワイプで中和完了し、その取り残した抗癌剤の残渣を第3のワイプで物理的に除去するステップにより効果的に拭取除去を完了できる。
(2)第2の方法
本発明の第2の方法は、上述した本発明のワイプセットを用いた拭取方法であって、第3のワイプで拭くステップと、第3のワイプで拭いた跡を第1のワイプで拭くステップと、第1のワイプで拭いた跡を第2のワイプで拭くステップとを含むことを特徴とする。このようなステップを経ることによっても、後述する実験例において具体的に示されるように、拭取対象(特に好適には抗癌剤)の効果的な除去が可能となる。
ここで、第3のワイプのみで拭取を行ない、第1のワイプ、第2のワイプを用いた拭取を行なわない場合、第3のワイプに含まれる水酸化ナトリウムの化学的分解能力はさほど高くないものの、その物理的除去能力は、第1のワイプによる化学的分解能力に相当する程度の除去が可能ではあるが、第3のワイプ単独ではこの物理的除去が主体となり、ワイプに吸収されなかった残渣およびワイプ表面上の抗癌剤は、拭取操作により拭取面の濃度均一化に寄与するために、完全な拭取が困難となってしまう虞がある。また、第3のワイプ、第1のワイプの順で拭取を行ない、第2のワイプを用いた拭取を行なわない場合には、第3のワイプによる物理的除去後に拭取面に残留した抗癌剤が低濃度化されることで、次の第1のワイプに含まれる次亜塩素酸ナトリウムの抗癌剤に対する相対濃度が高まり、より効果的に化学的分解されるものの、第1のワイプで拭取操作を中断することによる次亜塩素酸ナトリウムの酸化腐食作用により作業台の金属面が侵されてしまうという逆効果を防止できない。また、第3のワイプによる拭取の後、第1のワイプによる拭取を行なわずに第2のワイプによる拭取を行なった場合には、第2のワイプに含まれるチオ硫酸ナトリウムでは分解能力が弱いため取り残しが発生することから、拭取対象の除去は不十分なものとなってしまう。
第2の方法は、第3のワイプで拭いた時点で、その物理的除去能力により大半の除去ができる。この結果、拭取面に残留した抗癌剤濃度が低減され、続く第1のワイプを用いた拭取操作の際の化学的分解能力を相対的に高めることが期待できる。第2の方法では、第1のワイプの残渣は第2のワイプで中和処理することで効果的に拭取操作を完了できる。
(3)第3の方法
本発明の第3の方法は、上述した本発明のワイプセットを用いた拭取方法であって、第1のワイプで拭くステップと、第1のワイプで拭いた跡を第3のワイプで拭くステップと、第3のワイプで拭いた跡を第2のワイプで拭くステップとを含むことを特徴とする。このようなステップを経ることによっても、後述する実験例2において具体的に示されるように、第1剤の化学的分解時間を最大限にすることで拭取対象(特に好適には抗癌剤)の効果的な除去が可能となる。
ここで、第1のワイプ、第3のワイプの順で拭取を行ない、第2のワイプを用いた拭取を行なわない場合には、作業台上に第1のワイプの残渣の中和作用が完了しないから、拭取対象の除去作業は不十分で不完全なものとなってしまう虞がある。
第3の方法は、第1のワイプに含まれる次亜塩素酸ナトリウムによる分解が不完全な場合であっても、次亜塩素酸ナトリウムと抗癌剤失活化に相和性のある第3のワイプを次に使うことで第1のワイプによる抗癌剤失活効果を持続させ、その後、第2のワイプの拭取操作により作業台上を中和する。
本発明の第1の方法、第2の方法、第3の方法のいずれであっても、各ステップ間に少なくとも60秒間、より好ましくは60〜120秒間の間隔をあけるようにすることが好ましい。各ステップ間が60秒間未満である場合には、直前のステップで用いたワイプに含浸させた薬剤が十分に乾燥されず、第1のワイプに含まれた次亜塩素酸ナトリウムによる抗癌剤の分解率が低下し、また第2のワイプに含まれたチオ硫酸ナトリウムによる中和反応時間が不足するというような不具合が起こる虞があるためである。
なお、本発明の方法は、薬剤を調製するための作業台など、化学的変化を受けないように処理が施された面の清浄化のみに用い、樹脂製のものには適用しないようにする。使用に際しては、ワイプに直接皮膚が接触しないようにゴム手袋などを必ず着用する。また、第1のワイプを包装材から取り出す際に塩素蒸気を吸い込まないように、十分に換気された環境で本発明の方法を行なうことが好ましい。また、薬剤の調製時と同様にマスク、保護めがねなどを着用して本発明の方法を行なうようにすることが好ましい。
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例1:薬剤含浸ワイプの試作>
〔1〕検討項目
次亜塩素酸ナトリウム水溶液、チオ硫酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリム水溶液を含浸させたワイプを作成するためワイプ基材の素材および薬剤安定処方について検討を行なった。
〔2〕ワイプ基材の選定
薬剤とワイプ基材の耐性を確認する為、第1剤として次亜塩素酸ナトリウム6%水溶液(60g/L)、第2剤としてチオ硫酸ナトリウム水溶液0.185mol/L、第3剤として水酸化ナトリウム水溶液0.65mol/Lを用意し、各薬剤50mLをスクリュー瓶に入れ、セルロース、コットン、ポリエステル、ポリプロピレンからなる4種の市販ワイプそれぞれ0.4g相当を浸漬させ50℃で3週間保存して外観を評価した。次に薬剤安定性を確認するため外観評価で選定したワイプ基材を用い、各薬剤20mLをポリプロピレン製容器に入れワイプ4g相当を浸漬し50℃保存下で経時の濃度変化を確認した。
〔3〕結果
4種の市販ワイプの外観確認の結果を表1に示す。セルロース、コットンの不織布は第1剤、第3剤との接触で黄変や溶解が見られた。更に、表1の結果で異常の見られなかったポリエステルとポリプロピレン不織布について第1剤との濃度変化の結果を表2に、第2剤との濃度変化の結果を表3に、第3剤との濃度変化の結果を表4に示す。これらの結果からポリエステルは、第1剤と第3剤の液剤と反応し濃度低下の傾向を示し、また不織布の溶解が発生した。一方、ポリプロピレン不織布は第1剤、第2剤、第3剤に最も安定であることがわかった。
Figure 0005779236
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〔4〕第1のワイプの薬剤処方
第1剤(次亜塩素酸ナトリウム)の安定にポリプロピレンは他のワイプ基材と比べて優れているものの、表2の結果より薬剤単独よりも濃度低下が大きいため、有効期限の短期化が懸念される。もともと次亜塩素酸ナトリウムは不安定で分解しやすい性質があるが、温度とpH値の変化に対応する水中の塩素酸、次亜塩素酸の分布(MorrisJ.C.による)より酸性に傾くと急激に分解反応を起こし塩素ガスを発生する。このため5%次亜塩素酸ナトリウム1Lに対し、水酸化ナトリウムを0g、1g、2.5g、10g、30g、50g微量添加して第1剤を調製し、ポリプロピレン製ワイプ基材に15mLずつ添加し薬剤含浸ワイプを作成し、アルミニウムとオレフィンで構成されたラミネートバリア包装材に入れ50℃保存の条件下で経時的に有効塩素濃度を評価した。
〔5〕結果
試作ワイプの有効塩素濃度の傾向を表5に示す。この結果より水酸化ナトリウムの添加は、第1のワイプ中の有効塩素濃度の維持に効果があり、2.5g/L〜30g/Lが有効であることがわかった。また包装材の内外面を観察すると水酸化ナトリウムの添加しないサンプルの21日以後に、水酸化ナトリウムの1g/L微量添加サンプルの32日経過後に、包装材のアルミ箔に酸化劣化が観察された。それ以外のサンプルでは包装材の劣化はみられなかった。以上の結果より第1のワイプの薬剤処方(第1剤処方)は次亜塩素酸ナトリウムに水酸化ナトリウムを1%(wt/v)添加することにした。
Figure 0005779236
<実験例2:添加薬剤と抗癌剤シクロフォスフォミド500ppmの化学的分解能力>
〔1〕評価項目
ワイプに添加しようとする3薬剤と抗癌剤との化学的分解能力を確認するため、1)抗癌剤溶液と添加3薬剤との単独混合を行なった後、さらに2)抗癌剤溶液に第1剤混合の後第2剤を逐次混合した後、さらに3)抗癌剤溶液に第1剤混合の後第2剤を、さらに第3剤を逐次混合した後に、抗癌剤の含量を調べることで各薬剤のもつ化学的分解能力を比較し、また逐次混合では薬剤の添加順序による分解効果の優劣検討を行なった。
〔2〕方法
検体としては、抗癌剤であるシクロフォスフォミド(注射用エンドキサン100mg、塩野義製薬(株)製、製造番号4248)を用いた。これに対する添加3薬剤は、第1剤として次亜塩素酸ナトリウム水溶液(高濃度5%、低濃度2%の2水準を用意し、それぞれに水酸化ナトリウムを1%wt/v添加した)、第2剤としてチオ硫酸ナトリウム水溶液(0.17mol/L)、第3剤として水酸化ナトリウム水溶液(0.8mol/L)を用意した。また抗癌剤と薬剤の単独混合および逐次混合では、混合後に10秒攪拌し、20秒放置としてそれぞれの混合間隔を30秒とした。
測定方法は、シクロフォスフォミドを水で溶解させ、溶解後さらに水を加えて1000ppmとし抗癌剤原液とした。この液を2mL、3mL、4mL、5mL、6mLそれぞれ正確に量り、水を加えて10mLとし、検量線用溶液とした。別に表6に示したとおり、抗癌剤原液5mLを正確に量り、各液剤を順次添加した後、水を加えて10mLとし試料溶液とした。いずれの場合も、試料溶液および検量線用溶液25μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフィーにより測定を行い、検量線の式よりシクロフォスフォミドの含量を求めた。なお、表6に示す試料1〜4の単剤とシクロフォスフォミドの混合試験については、混合後から測定までのおよそ60分以上の時間経過後のシクロフォスフォミド含量を評価し、試料1、2および試料5〜10については、最終混合から測定まで10分以下の時間経過後にシクロフォスフォミド含量を評価した。
Figure 0005779236
(試験条件)
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:195nm)
・カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填
・カラム温度:40℃付近の一定温度
・移動相:0.05mol/Lリン酸塩緩衝液*1/アセトニトリル(8:2)の混合溶液(*1:リン酸二水素ナトリウム・2水和物6.84gおよびリン酸水素二ナトリウム・12水和物2.20gを水に溶かし1000mLとした)
・流量:1.5mL/min.
・注入量:25μL
(使用機器)
・高速液体クロマトグラフ装置:L−2000(日立ハイテクノロジーズ)
・電子天秤:AT200(メトラー製)、XS205(メトラー製)
〔3〕結果
シクロフォスフォミドと試料1〜4の各添加薬剤との混合試験で、60分以上の時間経過後のシクロフォスフォミドの検量線から求めた含量(%)、初期濃度に対する分解率(%)の結果を表7に示す。また試料1、および試料5〜7の逐次混合では、10分未満の時間経過後のシクロフォスフォミドの検量線から求めた含量(%)、初期濃度に対する平均分解率(%)の結果を表8に示す。また試料2、および試料8〜10の逐次混合では、10分未満の時間経過後のシクロフォスフォミドの検量線から求めた含量(%)、初期濃度に対する平均分解率(%)の結果を表9に示す。
Figure 0005779236
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表7の結果より、シクロフォスフォミドに対し第1剤、第2剤、第3剤をそれぞれ単剤添加し、60分以上経過後のシクロフォスフォミド含量は、第1剤高濃度と第1剤低濃度で含量低下が見られたが、第2剤と第3剤には、ほとんど含量低下が見られなかった。また第1剤の濃度差、経過時間差により濃度低下に差があり、高濃度であるほど、また経過時間が長くなるほど分解が促進されることが示された。
表8、表9の結果より、シクロフォスフォミドに対し、第1剤の単独混合および第1剤と他薬剤を逐次混合した後に経過10分未満でのシクロフォスフォミド含量は、第1剤(単独混合)および第1剤と第3剤(逐次混合)に含量の低下が見られた。第1剤に第2剤添加および第1剤に第2剤、さらに第3剤の逐次混合では、含量低下が見られなかった。
以上の結果から、第1剤はシクロフォスフォミドに対して失活効果があることが確認された。また第1剤が高濃度であるほど分解時間が短くて済む。一方、第2剤は第1剤の失活効果を打ち消す働きがあることが示唆された。またこの試験系では混合後の最終濃度が、シクロフォスフォミドは500ppmに対し、各添加薬剤は目標濃度の1/10となったため、実質は、各薬剤とシクロフォスフォミド相対濃度5000ppmの化学的分解能力と見なせる。
<実験例3:添加薬剤と通常汚染レベル相当濃度の各種抗癌剤の化学的分解能力>
〔1〕評価項目
医薬現場で検出される汚染レベル(高汚染レベルで1.0ng/cm程度とされ、調製エリアは概ね3500cm)相当濃度の抗癌剤と添加薬剤の化学的分解能力を確認するために、1)抗癌剤溶液と添加3薬剤の単独混合を行なった後、さらに2)抗癌剤溶液に第1剤混合の後第2剤を逐次混合した後、さらに3)抗癌剤溶液に第1剤混合の後第2剤を、さらに第3剤を逐次混合した後、の抗癌剤の含量を調べることで各薬剤のもつ化学的分解能力を比較し、逐次混合では薬剤の添加順序による分解能力の優劣検討を行なった。抗癌剤は、シクロフォスフォミドと他に汎用抗癌剤としてエピルビシン、カルボプラチン、シスプラチン、フルオロウラシルについても検討した。
〔2〕方法
検体として用いた抗癌剤は、シクロフォスフォミド(塩野義製薬(株)エンドキサンLot4248、エピルビシン原薬(SICOR社製)、カルボプラチン原薬(Heraeus社製)、シスプラチン原薬(Heraeus社製)を用意した。抗癌剤濃度は、混合後に汚染レベル相当濃度となるよう調製した。添加3薬剤は、混合後の最終濃度が目標濃度になるように、第1剤として5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム2.5%含む)、第2剤として1.7mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液、第3剤として8mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用意した。それぞれの抗癌剤と3薬剤の組合せを、表10に示す添加薬剤一覧表に従って行なった。1薬剤の混合時間は、単独混合および逐次混合において、10秒攪拌し、50秒放置としそれぞれの混合間隔を60秒とした。
Figure 0005779236
それぞれの抗癌剤濃度は、想定汚染レベルを3.5μg/mLでの検討を予定していたが、分析予備検討で検出ピーク確認の結果、それぞれの抗癌剤で検出可能な濃度と最適手法を用いて行うことにした。
シクロフォスフォミドとエピルビシンに関しては、混合後の最終濃度が3.5μg/mLである。対する添加薬剤濃度は、混合後の最終濃度で第1剤2%(水酸化ナトリウム1%含む)、第2剤0.17mol/L、第3剤0.8mol/Lであった。
シスプラチンとカルボプラチンでは3.5μg/mLでは検出ができなかったため高濃度で測定を行なうこととしたが、ピーク形状が悪く含量を求めることには適当でなかった。そのため最終手順にアセトニトリルを用い10倍希釈することで可能となった。シスプラチンとカルボプラチンの混合後の最終濃度はそれぞれ10μg/mL、20μg/mLであり、対する添加薬剤濃度は、混合後の最終濃度で第1剤0.2%、第2剤0.017mol/L、第3剤0.08mol/Lであった。
フルオロウラシルについては、高速液体クロマトグラフィーの測定においてフルオロウラシルの溶出ピークが、添加薬剤の溶出ピークと重なり、測定できなかったため評価を断念した。
<シクロフォスフォミドの測定方法>
シクロフォスフォミドを水で溶解させ、35μg/mLとなるように調製を行ない、抗癌剤原液とした。この液を用いて1.4μg/mL、2.1μg/mL、2.8μg/mL、3.5μg/mL、4.2μg/mLに対応するように水を加え調製し、検量線用溶液とした。別に表10に示した添加薬剤一覧表に従い、抗癌剤原液1mLを正確に量り、各添加薬剤を加えた後、水を加えて正確に10mLとし、試料溶液とした。試料溶液および検量線用溶液95μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行ない、検量線の式よりシクロフォスフォミドの含量を求めた。最終混合から測定までの経過時間は、ワイプ拭取操作時間に相当する2分〜3分とした。
(試験条件)
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:195nm)
・カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填
・カラム温度:40℃付近の一定温度
・移動相:0.05mol/Lリン酸塩緩衝液*1/アセトニトリル(8:2)の混合溶液(*1:リン酸二水素ナトリウム・2水和物6.84g及びリン酸水素二ナトリウム・12水和物2.20gを水に溶かし1000mLとした)
・流量:1.5mL/min.
・注入量:95μL
(使用機器)
・高速液体クロマトグラフ装置:L−2000(日立ハイテクノロジーズ)
・電子天秤:XS205(メトラー製)
<エピルビシンの測定方法>
エピルビシンを水で溶解させ、35μg/mLとなるように調製を行い、抗癌剤原液とした。この液を用いて1.4μg/mL、2.1μg/mL、2.8μg/mL、3.5μg/mL、4.2μg/mLに対応するように水を加え調製し、検量線用溶液とした。別に表10に示した添加薬剤一覧表に従い、抗癌剤原液1mLを正確に量り、各添加剤を加えた後、水を加えて正確に10mLとし、試料溶液とした。試料溶液および検量線用溶液50μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行ない、検量線の式よりエピルビシンの含量を求めた。最終混合から測定までの経過時間は、ワイプ拭取操作時間に相当する2分〜3分とした。
(試験条件)
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
・カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填
・カラム温度:35℃付近の一定温度
・移動相:ラウリル硫酸ナトリウム2gを量り、水/アセトニトリル/メタノール/リン酸混液(450:300:250:1)を加えて溶かし、1,000mLとした
・流量:1.0mL/min.
・注入量:50μL
(使用機器)
・高速液体クロマトグラフ装置:L−2000(日立ハイテクノロジーズ)
・電子天秤:AT200(メトラー製)、XS205(メトラー製)
<シスプラチンの測定方法>
シスプラチンを水で溶解させ、1000μg/mLとなるように調製を行い、抗癌剤原液とした。この液を用いて40μg/mL、60μg/mL、80μg/mL、100μg/mL、120μg/mLに対応するように水を加えて調製した。この液をそれぞれ1mL正確に量り、アセトニトリルを加えて10mLとし、検量線用溶液とした。別に表10に示した添加薬剤一覧表に従い、抗癌剤原液1mLを正確に量り、各添加剤を加えた後、水を加えて正確に10mLとした。この液1mLを正確に量り、アセトニトリルを加えて10mLとし、試料溶液とした。試料溶液および検量線用溶液20μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行ない、検量線の式よりシスプラチンの含量を求めた。最終混合から測定までの経過時間は、ワイプ拭取操作時間に相当する2分〜3分とした。
(試験条件)
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
・カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用アミノプロピルシリル化シリカゲルを充填
・カラム温度:30℃付近の一定温度
・移動相:アセトニトリル/水混液(19:1)
・流量:0.7mL/min.
・注入量:20μL
(使用機器)
・高速液体クロマトグラフ装置:L−2000(日立ハイテクノロジーズ)
・電子天秤:XS205(メトラー製)
<カルボプラチンの測定方法>
カルボプラチンを水で溶解させ、2000μg/mLとなるように調製を行ない、抗癌剤原液とした。この液を用いて80μg/mL、120μg/mL、160μg/mL、200μg/mL、240μg/mLに対応するように水を加えて調製した。この液をそれぞれ1mL正確に量り、アセトニトリルを加えて10mLとし、検量線用溶液とした。別に表10に示した添加薬剤一覧表に従い、抗癌剤原液1mLを正確に量り、各添加剤を加えた後、水を加えて正確に10mLとした。この液1mLを正確に量り、アセトニトリルを加えて10mLとし、試料溶液とした。試料溶液および検量線用溶液20μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行ない、検量線の式よりカルボプラチンの含量を求めた。最終混合から測定までの経過時間は、ワイプ拭取操作時間に相当する2分〜3分とした。
(試験条件)
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:230nm)
・カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用アミノプロピルシリル化シリカゲルを充填
・カラム温度:30℃付近の一定温度
・移動相:アセトニトリル/水混液(4:1)
・流量:1.0mL/min.
・注入量:20μL
(使用機器)
・高速液体クロマトグラフ装置:L−2000(日立ハイテクノロジーズ)
・電子天秤:XS205(メトラー製)
〔6〕結果
シクロフォスフォミドと試料1〜7の各添加薬剤の単剤および逐次混合試験については、シクロフォスフォミドの検量線から求めた含量(%)、初期濃度に対する分解率(%)を表11に示す。エピルビシンと試料1〜7の単剤及び逐次混合試験については、エピルビシンの検量線から求めた含量(%)、初期濃度に対する分解率(%)を表12に示す。シスプラチンと試料1〜7の単剤及び逐次混合試験については、シスプラチンの検量線から求めた含量(%)、初期濃度に対する分解率(%)を表13に示す。カルボプラチンと試料1〜7の単剤及び逐次混合試験については、シスプラチンの検量線から求めた含量(%)、初期濃度に対する分解率(%)を表14に示す。また、検討した添加薬剤(単剤、2種薬剤混合、3種薬剤混合)による各種抗癌剤の平均分解率(%)の比較表を表15に示す。表中の抗癌剤濃度は薬剤混合時の最終濃度と、添加薬剤を目標濃度に合わせたときの抗癌剤分解反応相当濃度を示す。
Figure 0005779236
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表11の結果より、シクロフォスフォミドに対して表10の添加薬剤一覧に従って、測定試料を調製したとき、試料1の第1剤および試料5の第1剤と第3剤の逐次混合のみシクロフォスフォミドの含量が低下した。一方それ以外の試料2、3、4、6、7では、シクロフォスフォミドの含量が低下は認められなかった。
表12の結果より、エピルビシンに対して同様の操作をしたとき、試料1、3、4、5、6、7でエピルビシンの含量低下が確認された。一方、試料2の第2剤単独では含量が100%を超える結果となった。この原因は不明である。
表13の結果より、シスプラチンに対して同様の操作をしたとき、試料1、2、4、5、6、7でシスプラチンの含量低下が確認された。一方、試料3の第3剤単独では、シスプラチンの含量が低下は認められなかった。
表14の結果より、カルボプラチンに対して同様の操作をしたとき、試料1、2、3、4、5、6、7の全てにおいてカルボプラチンの含量低下が確認された。
表15の結果より抗癌剤の化学的分解性能を比較すると、添加薬単剤では、第1剤(次亜塩素酸ナトリウム水溶液)は、全ての抗癌剤に対して不活化効果が確認された。また第2剤(チオ硫酸ナトリウム水溶液)は、シスプラチン、カルボプラチンにおいて不活化効果が確認されたが、エピルビシン、シクロフォスフォミドに対してはほとんど効果を示さなかった。第3剤(水酸化ナトリウム水溶液)は、エピルビシン、カルボプラチンに対しては不活化効果が確認されたが、シクロフォスフォミドとシスプラチンに対してはほとんど効果を示さなかった。
添加薬剤2種での逐次混合では、シクロフォスフォミドと第1剤混合の後、第2剤混合と第3剤混合では特異な結果となった。第2剤の添加は第1剤の不活化効果を打ち消す働きがあることが示唆され、第3剤の添加はそれぞれの不活化効果を相加する結果となった。シクロフォスフォミド以外の抗癌剤では、第2剤添加でも、第3剤添加でも全て不活化効果を示したが、これは最初の第1剤混合で不活化が完全であったためと考えられる。
添加薬剤3種での逐次混合では、シクロフォスフォミドに第1剤を混合した後、第2剤を混合した後、さらに第3剤を混合する場合でも、第3剤を混合した後、第1剤を混合した後、さらに第2剤を混合する場合でも、第2剤の添加混合により第1剤の不活化効果を打ち消す働きがあることが示唆され、全体の分解比率を大きく低下させた。
以上の結果より、抗癌剤の化学的分解能力は第1剤が最も優れているが、混合後の経過時間が短い場合には、シクロフォスフォミドのように分解しきれない抗癌剤もある。また、抗癌剤と第1剤を混合後に第2剤を添加するタイミングは、第1剤混合で瞬時に分解する抗癌剤(実験例のエピルビシン、シスプラチンやカルボプラチン)では問題ないが、実験例のシクロフォスフォミドのように、第1剤で分解が完了されていない場合に、第2剤が添加されると第1剤が中和作用を起こすため失活効果が打ち消され、抗癌剤はそのまま残留する。一方、実験例から第3剤は、第1剤に対して失活効果を打ち消す作用はみあたらなかった。
<実験例4:第1剤の薬剤濃度の検証>
〔1〕検討項目
これまでの実験例の結果より薬剤による抗癌剤の化学分解の主役は、第1剤の次亜塩素酸ナトリウムによる酸化分解と位置づけられる。次亜塩素酸ナトリウムの適正濃度を把握するため、抗癌剤数種を用いて抗癌剤溶液と濃度違いの第1剤溶液と混合後に抗癌剤の回収評価を行なう。抗癌剤分解力は薬剤との相対濃度で変わるため一概には決められないものの、抗癌剤濃度を臨床現場の汚染レベル相当濃度(高汚染レベルで1.0ng/cm程度とされ、調製エリアは概ね3500cm)として検討する。
〔2〕方法
検体として用いた抗癌剤は、シクロフォスフォミド(塩野義製薬(株)エンドキサンLot4248、エピルビシン原薬(SICOR社製)、カルボプラチン原薬(Heraeus社製)を用意し、各抗癌剤濃度が混合後に汚染レベル相当濃度となるよう調製した。第1剤の次亜塩素酸ナトリウム濃度は混合後の濃度が1%、2%、5%、10%になるよう、また添加の水酸化ナトリウムも1%となるよう調製した。それぞれの抗癌剤と第1剤の組み合わせを表16に示す添加薬剤一覧表に従って行なった。1薬剤の混合時間は、10秒攪拌し、50秒放置としそれぞれの混合間隔を60秒とした。混合終了から測定までの経過時間は2分未満である。
<シクロフォスフォミドの測定方法>
実験例3のシクロフォスフォミドと同様手法で検量線を求め、表16に示した添加薬剤一覧表に従い、抗癌剤原液1mLを正確に量り、各添加薬剤を加えた後、水を加えて正確に10mLとし、試料溶液とした。試料溶液および検量線用溶液95μLにつき、実験例3のシクロフォスフォミド試験条件下で液体クロマトグラフィーにより試験を行ない、検量線の式よりシクロフォスフォミドの含量を求めた。
<エピルビシンの測定方法>
実験例3のエピルビシンと同様手法で検量線を求め、表16に示した添加薬剤一覧表に従い、抗癌剤原液1mLを正確に量り、各添加剤を加えた後、水を加えて正確に10mLとし、試料溶液とした。試料溶液および検量線用溶液50μLにつき、実験例3のエピルビシン試験条件下で液体クロマトグラフィーにより試験を行ない、検量線の式よりエピルビシンの含量を求めた。
<カルボプラチンの測定方法>
実験例3のカルボプラチンと同様手法で検量線を求め、表16に示した添加薬剤一覧表に従い、抗癌剤原液1mLを正確に量り、各添加剤を加えた後、水を加えて正確に10mLとした。この液1mLを正確に量り、アセトニトリルを加えて10mLとし、試料溶液とした。試料溶液および検量線用溶液20μLにつき、実験例3のカルボプラチン試験条件下で液体クロマトグラフィーにより試験を行ない、検量線の式よりカルボプラチンの含量を求めた。
Figure 0005779236
〔3〕結果
第1剤の濃度違いによる各抗癌剤分解率の結果を表17に示す。この結果より通常汚染レベルの抗癌剤に対する第1剤の次亜塩素酸ナトリウムの濃度は2%以上あれば、1分間隔で拭取操作を行うワイプに有用であると考えられる。また次亜塩素酸ナトリウムは高濃度にするほど抗癌剤の失活効果が得られるものの、次亜塩素酸ナトリウムの安定性や使用上の安全面を考慮する必要がある。
Figure 0005779236
以上の結果より次亜塩素酸ナトリウム濃度は2%〜5%濃度が最適と考えられる。また第2剤濃度に関しては、第1剤の中和を目的としており中和濃度としては次亜塩素酸ナトリウム4molに対しチオ硫酸ナトリウム1mol分以上を添加する。第3剤に関する濃度は、実験例2や実験例3の結果からエピルビシンやカルボプラチンには分解効果が見られるが、シクロフォスフォミドではわずかな効果である。この実験に用いた第3剤濃度が0.8mol/Lでありこれを最大濃度とし、最小濃度は回収試験に用いられる濃度0.03mol/Lまでが実用範囲であると考えられる。
これらの結果に基づき次のワイプ拭取検証では、第1剤の次亜塩素酸ナトリウム濃度は規格最低濃度2%を用い、第2剤は第1剤の最大濃度の中和量である上限濃度0.27mol/Lとし、第3剤は上限濃度0.8mol/Lでそれぞれワイプに14mL添加してシクロフォスフォミドの拭取検証を実施する。
<実験例5:ワイプ拭取試験>
〔1〕評価項目
薬剤含浸ワイプでの拭取性能を比較するために、シクロフォスフォミドで汚染させた作業台の指定エリア上を、1)実施例と比較例のワイプセットを用い、それぞれ最終ステップまで拭取操作をした後、2)ワイプセットの拭取順序を変えた拭取操作(実施例のみ)後、3)実施例、比較例のワイプセットの拭取ステップ間まで拭取操作をした後、の直後に抗癌剤汚染評価用の専用キットを用いてシクロフォスフォミドを回収し、専門機関でシクロフォスフォミドの定量分析することでワイプ拭取効果を確認した。
〔2〕汚染エリアの設定
拭取試験の実施にあたり、抗癌薬調製マニュアルや取扱指針のハザード薬使用の管理手順などを参照し、全ての操作は安全キャビネットの中で行なった。また系内汚染を回避するための二重手袋装着やその操作方法の遵守と作業安全上のマスク、めがね、上着、シューズを着用して作業を行なった。安全キャビネット(SCV−1300E ClassII−B、日立アプライアンス(株)製)は、横幅190cm、奥行52cmのエリアの中央部を調製エリアと見立てた拭取エリアをテープでマーキングし、右側エリアに密封された抗癌剤溶液を、左側エリアに廃棄物パックを配置し、作業動線がオーバーラップして汚染が起きないように配慮した。
対象の抗癌剤は、シクロフォスフォミド(注射用エンドキサン100mg、塩野義製薬(株)製、製造番号:4248)を用い、シクロフォスフォミドの原薬100mgに生理食塩水を加えて10mLとし、溶解後この液1mLを正確に量り生理食塩水を加えて100mLとし、高レベル滴下用溶液(100ppm)とした。次にこの溶液を10mL正確に量り、生理食塩水を加えて20mLとし、中レベル滴下用溶液(50ppm)とした。また100ppm溶液を5mL正確に量り、生理食塩水を加えて50mLとし、低レベル滴下用溶液(10ppm)とした。
調製した滴下用溶液を用いた汚染レベルは、単位面積あたりの濃度が低レベルで0.1ng/cm、中レベルで0.5ng/cm、高レベルで1.0ng/cmとなるように拭取面積あたりのシクロフォスフォミド量を設定した(表18を参照)。滴下量は1滴が1μLとし、図3に模式的に示すように、マーキングエリアの対角線上の4箇所の楕円状の領域および対角線が交差する点を含む中央部分の領域に、表18にしたがって分散してピペット滴下した。拭取面積としては、3500cm(=87.5cm×40cm)、1860cm(=46.5cm×40cm)の2種類とした。
Figure 0005779236
〔3〕実施例、比較例のワイプセットの準備および拭取操作の説明
第1のワイプとして次亜塩素酸ナトリウム水溶液含浸ワイプ、第2のワイプとしてチオ硫酸ナトリウム水溶液含浸ワイプ、第3のワイプとして水酸化ナトリウム水溶液含浸ワイプからなる3ステップのワイプセット(実施例)を準備した。いずれのワイプも、基材としては、寸法が23cm×23cm、厚みが0.3mmの100%ポリプロピレン製の不織布(33300SERIES WIPES/100%メルトブロウンポリプロピレン33309ワイプ(MAXCLEAN社製))を用いた。第1のワイプは、ワイプ1gあたり68mgの次亜塩素酸ナトリウムを含み、第2のワイプはワイプ1gあたり92mgのチオ硫酸ナトリウムを含み、第3のワイプはワイプ1gあたり109mgの水酸化ナトリウムを含むようにそれぞれ含浸させた。
各ワイプは、拭取時には、4つ折状態(11cm×11cm)にして指定エリアを均等に拭き、次にワイプを反転し綺麗な4つ折り面で再度エリアを拭き、折り返し綺麗な4つ折り面で拭取を3回行なった(常にクリーンな面が拭取面と手袋に当たるよう扱った)。まずは第1のワイプで拭取を行なった後、1分の間隔をあけ放置し、第2のワイプで拭取を行ない、さらに同様に1分間放置後、第3のワイプで拭取を行なった。
比較例のワイプセットとしては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液含浸ワイプ(第1のワイプに相当)、チオ硫酸ナトリウム水溶液含浸ワイプ(第2のワイプに相当)からなる2ステップキット(製品名:Surface Safe(登録商標)、HOSPIRA社製、製造番号:Lot 10F03)を用いた。当該キットは、製造元の推奨では拭取面積1860cm以内と指定されているため、1860cmエリアのみの評価で行なった。当該キットのワイプは、寸法14cm×28cm、厚み0.15mmの不織布製でパッケージ内には32折り状態(3.5cm×3.5cm)の小サイズで収納されていた。拭取操作は開封時の状態を4つ折り状態まで広げ拭取面を拭き、実施例のワイプセットと同様に常に清浄な面が拭取面と手袋にあたるようにして3回拭取を繰り返した。最初に次亜塩素酸ナトリウム水溶液含浸ワイプで拭取を行なった後、1分の間隔をあけ放置し、チオ硫酸ナトリウム水溶液含浸ワイプで拭取を行なった。
〔4〕クリーニング操作
拭取試験では同一エリアで故意汚染と拭取操作を繰返し行なうため、クリーニング操作(試験の支障にならない清浄レベルまで回復する拭取方法)を確立する必要があり、〔5〕に示すサンプリング法で予備試験を行ない、クリーニング手法を決定した。この評価は2800cmエリアにシクロフォスフォミド1μLの滴下溶液で低レベル50ngと高レベル5000ngの故意汚染をさせ、液滴乾燥のため10分放置後それぞれの汚染レベルのポジティブコントロールと回数違いの拭取操作(水散布による希釈と産業用特大吸水ワイプを用いた)を行なった後、サンプリングキットを用い試料の採取と定量を行なった。サンプリングは、各汚染レベルでのポジティブコントロール、拭取回数3回の場合、拭取回数4回の場合、拭取回数5回の場合、拭取回数10回の場合をシリーズでn1水準採取し、次いでn2水準、n3水準と実施した。シクロフォスフォミドの定量分析下限値は10ngである。結果を表19に示す。
Figure 0005779236
結果、n1のみ異常値がでたが、n1には操作ミスによるコンタミの可能性が高かったこと、操作を正したn2・n3水準の結果で清浄化効果が明確に出た事実より本試験で支障のないクリーニングはこの操作を3回で可と判断した。以上の結果より、拭取試験のサンプリング終了毎に、このクリーニングを行い一連のサンプリングを行なった。
〔5〕サンプリング法
抗癌剤汚染回収分析用の専用キットを用いて予備試験(クリーニング操作の確認)と本試験(実施例と比較例)の拭取面の残渣回収を行なった。このキットでは0.03N水酸化ナトリウムを対象エリアに散布し、パルプ製ワイプで溶液を回収するようにエリア全体を拭き、同操作を3回繰り返し、ワイプを専用ボトルに回収し、シクロフォスフォミド残渣の回収を行なった。検体サンプリングボトルは−20℃以下の冷凍庫(MPR−411F、三洋電機(株)製)に保管しドライアイスパックで輸送し、専門機関にて抽出濾過しLC/MS/MSにより定量分析した(キット提供と分析はコベルコ科研(株)に委託した)。
検体採取にあたってはn3水準のうち各々1水準(試料1〜18および試料19〜25)がシクロフォスフォミド溶液の調製からサンプリングまで同一作業日で終わるように実施し、全75検体4日間作業の初日と最終日を作業者A、中間の2日間を作業者Bで操作した。
〔6〕結果
拭取面積3500cmエリア試験(シクロフォスフォミド定量分析下限値:10ng)の結果を表20に示す。
Figure 0005779236
拭取面積3500cmエリア試験では、ポジティブコントロールの各濃度の平均回収率は、汚染レベルが低レベルで97.4%、中レベルで86.0%、高レベルで76.4%となり、予備試験と同様に高レベルほど回収率が悪くなった。また、実施例のワイプセットを使った3ステップの拭取結果は、汚染レベルの低レベル、中レベル、高レベルともに検出限界以下であった。使用順序として、第1のワイプ、第2のワイプ、第3のワイプの順に使用する場合と、第3のワイプ、第1のワイプ、第2のワイプの順に使用する場合、および第1のワイプ、第3のワイプ、第2のワイプの順にしようする場合との違いは、すべての結果が検出限界以下であったため、有意差は判断できなかった(なお、第2のワイプは第1のワイプの中和目的であるため第1のワイプより先に使うことはないため最初の使用順序から除外した。)。また、高汚染レベルでの実施例のワイプセットで3種類のワイプ全てを使用しない場合の除去率は、1種類のワイプを用いた場合、すなわち、第1のワイプのみの場合(試料13)と第3のワイプのみの場合(試料15)との間では、共に97%であり、有意差はみられなかったが、第2のワイプのみの場合では89%と低下した。また2種類のワイプを用いた場合についても、第1のワイプの後に第2のワイプを用いた場合(試料16)の除去率は99.3%、第3のワイプの後に第1のワイプを用いた場合(試料17)の除去率は99.7%であり、また第1のワイプの後に第3のワイプを用いた場合(資料18)の除去率は99.7%でその間にも有意差はみられなかった。
また拭取試験1860cmエリア試験(シクロフォスフォミド定量分析下限値:10ng)の結果を表21に示す。
Figure 0005779236
拭取試験1860cmエリア試験では、実施例のワイプセットと比較例のワイプセットとの除去率を比較すると、比較例のワイプセットでは、汚染レベルで除去率に差が有り、汚染レベルが中レベル、高レベルの場合にシクロフォスフォミド残渣が検出された(低レベルでの除去率=100%、中/高レベルでの除去率=98.2%)。これに対し、実施例のワイプセットでは、汚染レベルが低レベル、中レベル、高レベルでいずれも100%(検出限界以下)であった。また、比較例のワイプセットで第1のワイプしか使用しない場合(試料25)の除去率は93.5%とかなりのシクロフォスフォミド残渣が確認された。
また低レベル、中レベル、高レベルの汚染レベルの全てにおいての、実施例のワイプセット(拭取面積:3500cm)と比較例のワイプセット(拭取面積:1860cm)のシクロフォスフォミドの平均残留量(ng)および除去率(%)を表22に示す。また高レベルの汚染レベルにおける、実施例のワイプセット(拭取面積:3500cm)、比較例のワイプセット(拭取面積:1860cm)についての、ワイプキットの拭取ステップ間の第1ステップ後、第2ステップ後、第3ステップ後(実施例のワイプのみ)のそれぞれにおけるシクロフォスフォミドの平均残留量(ng)および除去率(%)を表23に示す。
Figure 0005779236
Figure 0005779236
表22、23に示す結果から、実施例のワイプセットは、設定した拭取面積3500cmでの低レベル、中レベル、高レベルのいずれの汚染レベルでの清浄化にも有効であることが分かった。また、拭取面積3500cmの高汚染レベルの完全除去には、実施例のワイプセットが有用であることが分かった。一方、比較例のワイプセットでは、実施例のワイプセットでの拭取面積の1/2の1860cmであるにも関わらず、高レベル汚染の試験でシクロフォスフォミドの残留が検出された。また実施例と比較例では評価面積(=シクロフォスフォミドの滴下量)が異なるため単純に比較はできないものの、拭取操作が2ステップでは取残し残渣が生じることが分かった。
これらの違いの原因として、表15に示した添加薬剤とシクロフォスフォミドの化学的分解能力と表23に示した実施例のワイプセットの拭取ステップ間のシクロフォスフォミドの除去率(%)を比較すると分かりやすい。シクロフォスフォミドに対する化学的分解能力とワイプ除去能力の比較を表24にまとめる。
Figure 0005779236
これらの試験では添加薬剤濃度に対するシクロフォスフォミドの相対濃度(3500ng)と混合間隔(拭取間隔)、測定までの経過時間はほぼ同じであり、またシクロフォスフォミドは短時間では完全分解できない抗癌剤として選択されている。化学試験の単剤混合とワイプ試験の第1ステップを比較すると、シクロフォスフォミドと第1剤では化学的分解能力86.6%に対し、第1のワイプ拭取除去率は97.2%である。またシクロフォスフォミドと第3剤では化学的分解能力3.3%に対し第3のワイプ拭取除去率は97.4%である。第3剤は化学的分解能力では第1剤に対し劣っているが、拭取除去能力は第1のワイプと遜色が無いことを示唆している。一方第2剤を使った第2のワイプの拭取除去能力は、第3のワイプより低い89.0%にとどまった。次に化学試験の第1剤・第2剤逐次混合とワイプ試験の第2ステップ(第1のワイプ・第2のワイプによる拭取操作)を比較すると、第1剤添加の後、第2剤の添加では、化学的分解能力は中和作用のため3.3%まで低下する。一方ワイプ拭取除去率は99.3%である。これはワイプでは化学的分解作用以外に物理的除去が機能しているためと考えられるがワイプに取り込まれなかった拭取面に残った抗癌剤残渣には、第2剤添加による第1剤の抗癌剤失活効果が打ち消されシクロフォスフォミドが残留する結果と考えられる。また化学試験の第1剤・第2剤・第3剤の逐次混合とワイプ試験の第3ステップ(第1のワイプ・第2のワイプ・第3のワイプによる拭取操作)を比較すると、ワイプ操作では物理的除去が完結するのに比して化学的分解はわずかな分解しかできない(これは第2剤の添加による第1剤の失活効果の打ち消しが起こったためであるが)、これらの化学試験の逐次混合の現象は、主に拭取面に残留した抗癌剤とワイプから出た薬剤によって起こっていると考えられる。
以上の結果から、第1剤と第2剤を用いた2ステップキットは第1剤で瞬時分解する抗癌剤では問題なく除去できるが、短時間で分解できない抗癌剤には化学的分解能力のみでは不十分な除去となってしまう。これは現実の汚染状況や清掃作業においては、抗癌剤の種類や相対濃度、作業時間の変動要因があるため、第1剤で抗癌剤分解が不完全になるケースのあることを認識しておかねばならない。また、第1剤の分解性能を上げるため40%濃度にする事例も紹介されているがこれらは、使用に危険を伴うだけでなく濃度維持やワイプとしての耐久性に支障が出ることが予想される。これらを補うため本発明では、第1剤と第2剤に続く物理的除去能力を向上させた第3剤の3ステップにより、また吸水性や厚みを考慮したワイプの基材を用いることによって拭取面の残渣をより低減させることや再汚染回避などにより、化学的分解能力と物理的除去能力を最大限発揮させ、短時間に汚染エリアから抗癌剤を効果的に安全に除去できるワイプセットの考案を目的とした。このワイプセットの拭取順序の第1法でも第2法でも、あるいは第3法でも3ステップの拭取操作により効果的に拭取除去が可能である。特に第1のワイプを最初に使う方法では、第1のワイプに吸収された大量の抗癌剤が、拭取操作中(短い時間間隔)では未だ抗癌剤が分解されていなくとも、廃棄物中において第1剤と持続反応することにより、廃棄物の汚染濃度を低減化させることが期待できる良い方法であると考えられる。
1,2 シート、3 シール部、4 押出側収容部、5 導入側収容部、6 区画シール部、7 導通用シール部、8 凹入部、9 突出部。

Claims (12)

  1. ワイプ1gあたり50〜200mgの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させた第1のワイプで拭くステップと、
    第1のワイプで拭いた跡を、ワイプ1gあたり30〜110mgのチオ硫酸ナトリウム水溶液を含浸させた第2のワイプで拭くステップと、
    第2のワイプで拭いた跡を、ワイプ1gあたり4〜110mgの水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた第3のワイプで拭くステップとを含む、拭取方法
  2. ワイプ1gあたり4〜110mgの水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた第3のワイプで拭くステップと、
    第3のワイプで拭いた跡を、ワイプ1gあたり50〜200mgの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させた第1のワイプで拭くステップと、
    第1のワイプで拭いた跡を、ワイプ1gあたり30〜110mgのチオ硫酸ナトリウム水溶液を含浸させた第2のワイプで拭くステップとを含む、拭取方法
  3. ワイプ1gあたり50〜200mgの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させた第1のワイプで拭くステップと、
    第1のワイプで拭いた跡を、ワイプ1gあたり4〜110mgの水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた第3のワイプで拭くステップと、
    第3のワイプで拭いた跡を、ワイプ1gあたり30〜110mgのチオ硫酸ナトリウム水溶液を含浸させた第2のワイプで拭くステップとを含む、拭取方法
  4. 各ステップ間に少なくとも60秒間の間隔をあける、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法
  5. 拭取対象が抗癌剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法
  6. 前記第1のワイプは、さらにワイプ1gあたり7〜100mgの水酸化ナトリウムを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法
  7. ワイプの基材が100%ポリプロピレン製の不織布である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法に使用するためのワイプセットであって、
    ワイプ1gあたり50〜200mgの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させた第1のワイプと、
    ワイプ1gあたり30〜110mgのチオ硫酸ナトリウム水溶液を含浸させた第2のワイプと、
    ワイプ1gあたり4〜110mgの水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた第3のワイプとを備えた、ワイプセット
  9. 前記第1のワイプは、さらにワイプ1gあたり7〜100mgの水酸化ナトリウムを含む、請求項8に記載のワイプセット
  10. ワイプの基材が100%ポリプロピレン製の不織布である、請求項8に記載のワイプセット
  11. ワイプの基材と次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを別個に収容し、用時、前記基材と次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを混合して基材に次亜塩素酸ナトリウム水溶液が含浸されるように構成された包装材で包装された、ワイプ1gあたり50〜200mgの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含浸させた第1のワイプと、
    ワイプの基材とチオ硫酸ナトリウム水溶液とを別個に収容し、用時、前記基材とチオ硫酸ナトリウム水溶液とを混合して基材にチオ硫酸ナトリウム水溶液が含浸されるように構成された包装材で包装された、ワイプ1gあたり30〜110mgのチオ硫酸ナトリウム水溶液を含浸させた第2のワイプと、
    ワイプの基材と水酸化ナトリウム水溶液とを別個に収容し、用時、前記基材と水酸化ナトリウム水溶液とを混合して基材に水酸化ナトリウム水溶液が含浸されるように構成された包装材で包装された、ワイプ1gあたり4〜110mgの水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた第3のワイプ
    とを含む、請求項1〜7のいずれか1項の方法に使用するための、ワイプセット
  12. 前記包装材が、被収容物を収容し得る2個の収容部を備え、当該2個の収容部の間に形成された、収容部を押圧することにより剥離可能な区画シール部が形成されている、請求項11に記載のワイプセット
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