JP5779107B2 - 液位計測方法および液位計測装置 - Google Patents
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Description
このうち、特許文献5および特許文献6には、容器の外壁面から容器内の斜め上方に向かって超音波を送信し、液面と容器内壁が接するコーナ部から反射して戻ってきた超音波を検出して、液位を計測する方法が開示されている。
また、特許文献7および特許文献8には、容器底面側から上方に向けて超音波を送信し、液中を伝搬した超音波の伝搬時間から液位を計測する方法を開示しており、さらに、超音波の音速(伝搬速度)が温度等で変化して液位計測値が変化する問題を、温度計や距離一定のパスを伝搬する超音波の伝搬時間を使って校正する方法を示している。
それは、配管内の液体を伝搬する超音波の振動モードによっては、その伝搬速度に分散(周波数による伝搬速度の違い)が生じることである。これは、容器のように口径が大きい場合には問題とならない。一方、配管のように口径が小さい場合には、円柱の液体導波管(配管内の液体)を伝搬する超音波が、特徴的な超音波(ガイド波)となることによる。速度分散が生じると、例えばパルス波のように、元々時間分解能が高く複数の周波数成分を含む波では、周波数成分ごとに伝搬速度が異なるので、伝搬する毎に波形が歪み、ついには元の波形形状を留めなくなる。
これが、伝搬時間の計測精度を低下させ、液位の計測精度を低下させる要因となる。
図1は、第1実施形態に係る液位計測装置1および計測対象である容器10の構成図である。第1実施形態に係る液位計測装置1は、容器10に貯留された液体10aの液位(容器10の底面10cから液面10bまでの高さ)を計測する装置である。
まず、図1を用いて、計測対象である容器10の構成について説明する。
容器10には、液体10aが貯留されている。また、容器10には、第1連通配管11aおよび第2連通配管11bを介して容器10と連通するように液位計測用配管12が設けられている。第1連通配管11aは、液面10bよりも高い位置で容器10と連通するようになっている。また、第2連通配管11bは、液面10bよりも低い位置で容器10と連通するようになっている。これにより、容器10における液体10aの液面10bと、液位計測用配管12における液体10aの液面12bとは、高さが等しくなっている。
また、後述する液位計測装置1は液位計測用配管12の液位を計測することにより容器10の液位を計測するため、容器10が、スイミングプール型のように底面10cに後述する超音波探触子2を直接取り付けることができないような構造であってもよい。
次に、図1から図3を用いて、第1実施形態に係る液位計測装置1の構成について説明する。
図1に示すように、液位計測装置1は、超音波探触子2と、超音波送受信器3と、アナログ/テジタル変換器(以下「A/D変換器」という)4と、コンピュータ5と、入力装置6と、表示装置7と、を備えている。
図3に示すように、超音波送受信器3は、制御器31と、信号発生器32と、パワーアンプ33と、素子切替器34と、素子切替器35と、受信アンプ36と、を備えている。
素子切替器35および受信アンプ36は、各振動子2a,2b,2c,2dから受信した受信波形(受信信号)を増幅してA/D変換器4に出力するための機構である。
制御器31は、中央制御装置5aの超音波送信指令(送信制御信号)に基づいて、信号発生器32に信号発生を指令する励起指令(励起制御信号)を出力し、素子切替器34および素子切替器35に切り替えを指令する切替指令(切替制御信号)を出力することにより、超音波送受信器3を制御する。
信号発生器32は、制御器31からの励起指令(励起制御信号)に基づいて、励起信号を発生し、パワーアンプ33は、励起信号を増幅した送信波形(送信信号)を素子切替器34に出力する。
素子切替器34は、制御器31からの切替指令(切替制御信号)に基づいて、パワーアンプ33と各振動子2a,2b,2c,2dとの接続をそれぞれ切り替える。
これにより、任意の振動子2a,2b,2c,2dに送信波形(送信信号)を印加することができるようになっている。
素子切替器35は、制御器31からの切替指令(切替制御信号)に基づいて、受信アンプ36と各振動子2a,2b,2c,2dとの接続をそれぞれ切り替える。
受信アンプ36は、受信波形(受信信号)を増幅して、A/D変換器4に出力する。
A/D変換器4は、コンピュータ5の信号処理装置5bと接続されており、超音波送受信器3の受信アンプ36から入力された各受信波形(受信信号)をデジタル信号に変換して、信号処理装置5bに出力する。
なお、A/D変換器4としては、例えば、市販の外付けA/D変換器、またはコンピュータ組み込み式のボードタイプのA/D変換器等が利用できる。
中央制御装置5aは、超音波Uの送信を指令する超音波送信指令(送信制御信号)を超音波送受信器3の制御器31に出力する。
信号処理装置5bは、A/D変換器4からのデジタル信号(受信波形)を処理して画像情報等の表示情報を生成する。また、信号処理装置5bは、A/D変換器4からのデジタル信号(受信波形)を処理して容器10の液位に換算することができるようになっている。
次に、図1から図3を参照しつつ、図4から図6を用いて、第1実施形態に係る液位計測装置1を用いた液位計測方法について説明する。図4は、第1実施形態に係る液位計測装置1の動作を示すフローチャートである。
分散曲線は、あらかじめ計測作業者(オペレータ)が入力した液体12aの密度と、液体12aの弾性係数と、液位計測用配管12の内径(即ち、液体12aの液柱の外径)とから、液体12aの液柱を模擬して、超音波Uのモードごとに導出される。なお、分散曲線の導出方法は、例えば、(西野秀郎、中鉢憲賢、「パイプ内の液体を伝搬するガイド波によるパイプ探傷の試み」、日本非破壊検査協会平成15年度秋季大会講演概要集、社団法人日本非破壊検査協会、2003年、p.13−14)などに記載されており、説明を省略する。
なお、あらかじめ分散曲線を計算してコンピュータ5に記憶しておき、計測作業者(オペレータ)が入力した液体12aの密度と、液体12aの弾性係数と、液位計測用配管12の内径とに基づいて、用いる分散曲線を読み出す構成であってもよい。
図6において、Vg0は周波数によって音速が一定の基本モード(0次モード)、Vg1は1次モード、Vg2は2次モード、Vg3は3次モード、Vg4は4次モードを示している。なお、第1実施形態に係る液位計測装置1の超音波探触子2は、4個の振動子2a,2b,2c,2dから構成されるため、0次モードVg0から2次モードVg2までの分散曲線を導出すればよく、3次モードVg3以降は導出しなくてもよい。
ここで、制御器31は、パワーアンプ33と全ての振動子2a,2b,2c,2dとが接続されるように切り替える切替指令(切替制御信号)を素子切替器34に出力する。また、制御器31は、励起指令(励起制御信号)を信号発生器32に出力する。信号発生器32で発生した励起信号は、パワーアンプ33で増幅され、送信波形(送信信号)として、振動子2a,2b,2c,2dに送信される。即ち、超音波探触子2の4個の振動子2a,2b,2c,2dは、全体で1つの振動子として超音波を送信する。
ここで、制御器31は、各振動子2a,2b,2c,2dと受信アンプ36との接続を個別に切り替える切替指令(切替制御信号)を素子切替器35に出力する。
即ち、超音波探触子2の各振動子2a,2b,2c,2dで受信した受信波形(受信信号)は、それぞれ別個に受信アンプ36で増幅され、A/D変換器4でデジタル信号に変換され、コンピュータ5の信号処理装置5bに入力される。
f0(t)=Sa(t)+Sb(t)+Sc(t)+Sd(t) ……(1)
f1(t)=Sa(t)+Sb(t)−Sc(t)−Sd(t) ……(2)
f2(t)=Sa(t)−Sb(t)+Sc(t)−Sd(t) ……(3)
即ち、0次モードにおいて、図6に示すVg0を参照して、受信信号f0(t)を伝搬距離信号g0(x)に変換する。同様に、1次モードにおいて、図6に示すVg1を参照して、受信信号f1(t)を伝搬距離信号g1(x)に変換する。また、2次モードにおいて、図6に示すVg2を参照して、受信信号f2(t)を伝搬距離信号g2(x)に変換する。なお、xは超音波Uの伝搬距離であり、(x)は伝搬距離信号が伝搬距離の関数であることを表す。
受信信号f(t)を周波数ごとに分解し、周波数と音速の分散曲線(例えば、図6参照)を当てはめることにより、t=0における伝搬距離信号g(x)に変換する。
ステップS104で求めた伝搬距離信号g(x)において、振幅が現れる位置が、超音波Uの伝搬距離であり、換言すれば、液位計測用配管12の液位(底面12cから液面12bまでの距離)の2倍の値となる。即ち、伝搬距離信号g(x)から液位計測用配管12の液位(底面12cから液面12bまでの距離)を求めることができる。そして、伝搬距離信号g(x)から求めた液位計測用配管12の液位と、あらかじめ計測作業者(オペレータ)が入力した容器10の底面10cと液位計測用配管12の底面12cとの高さ方向の位置関係と、に基づいて、容器10の液位(容器10の底面10cから液面10bまでの高さ)に換算することができる。
液位計測用配管12は容器10と比較して口径が小さいため、液体12aの液柱を伝搬する超音波Uの振動モードによっては、図6に示すように速度分散(超音波Uの周波数に依存して音速(伝搬速度)が異なること)が生じ、更に、振動モードごとに超音波Uの周波数と音速の関係が異なる。このため、ステップS102における超音波Uの送信波形(送信信号)として、例えば、パルス波のような時間分解能が高く、複数の周波数成分を含む超音波では、周波数成分ごとに音速が異なるので、伝搬するごとに波形が歪む。
これにより、液位計測装置1は、速度分散による反射波の歪みを補正して、高精度に液位を計測することができる。ひいては、容器10を有する全体システム(図示せず)の制御性の向上や安全性の向上に寄与することができる。
次に、図7を用いて、第2実施形態に係る液位計測装置の構成について説明する。図7は、第2実施形態に係る液位計測装置の超音波探触子2Aの構造の例を説明する図であり、(a)は水平方向に見た断面模式図であり、(b)は液位計測用配管の底面外側から見た模式図である。
第1実施形態に係る液位計測装置1と第2実施形態に係る液位計測装置との差異は、第1実施形態に係る液位計測装置1の超音波探触子2が4個の振動子2a,2b,2c,2dから構成される(図2参照)のに対し、第2実施形態に係る液位計測装置の超音波探触子2Aは、図7に示すように、1つの振動子で構成されている点で異なる。その他の構成は、第1実施形態に係る液位計測装置1と同様であり、説明を省略する。
このように超音波探触子2Aを配置することにより、超音波探触子2Aは、図6の分散曲線で示した基本モード(0次モード)を選択的に送信・受信するようになっている。
即ち、第2実施形態に係る液位計測装置は、単一の振動子の超音波信号のみ受信し、かつ、基本モード(0次モード)に限定して受信するために、受信信号f(t)から伝搬距離信号g(x)への変換(図4のステップS104および図5参照)を簡素化することができる。
なお、本実施形態に係る液位計測装置は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
第1実施形態に係る液位計測装置1の超音波探触子2は、4個の振動子2a,2b,2c,2dを備えるものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、超音波探触子2が、同心円状かつ等間隔に配置され、最外周の振動子の外径が液位計測用配管12の内径に概一致する2つの振動子を備える構成であってもよい。この場合、0次モードおよび1次モードの受信信号を抽出することができ、容器10の水位を計測することができる。
また、超音波探触子2の振動子の個数は4よりも多くてもよい。なお、モードを抽出するため、超音波探触子2は、同心円状かつ等間隔に配置され、最外周の振動子の外径が液位計測用配管12の内径に概一致する2n個(但し、nは0または正の整数)の振動子を備えることが望ましい。
2,2A 超音波探触子
2a,2b,2c,2d 振動子(超音波振動子)
3 超音波送受信器
31 制御器
32 信号発生器
33 パワーアンプ
34 素子切替器
35 素子切替器
36 受信アンプ
4 A/D変換器
5 コンピュータ
5a 中央制御装置
5b 信号処理装置(信号処理手段、液位換算手段)
6 入力装置
7 表示装置
10 容器
10a 液体
10b 液面
10c 底面
11a 第1連通配管
11b 第2連通配管
12 液位計測用配管
12a 液体
12b 液面
12c 底面
13 隔離壁
U 超音波
Claims (4)
- 容器と連通する液位計測用配管内の液体を伝搬する超音波の伝搬時間から前記容器の液位を計測する液位計測方法であって、
前記液位計測用配管内の液体に超音波を送信する送信ステップと、
前記液位計測用配管内の液体で反射した超音波を受信する受信ステップと、
前記液位計測用配管内の液体を伝搬する超音波における周波数と音速の関係に基づいて、前記受信ステップで受信した受信信号を伝搬距離信号に変換する変換ステップと、
前記変換ステップで変換された伝搬距離信号を前記容器の液位に換算する換算ステップと、を有する
ことを特徴とする液位計測方法。 - 容器と連通する液位計測用配管内の液体を伝搬する超音波の伝搬時間から前記容器の液位を計測する液位計測装置であって、
液位計測用配管の下部に配置される超音波探触子と、
前記超音波探触子へ発信信号を印加し、受信信号を増幅する超音波送受信器と、
前記液位計測用配管内の液体を伝搬する超音波における周波数と音速の関係に基づいて、前記受信信号を伝搬距離信号に変換する信号処理手段と、
前記伝搬距離信号を前記容器の液位に換算する液位換算手段と、を備える
ことを特徴とする液位計測装置。 - 前記超音波探触子は、
同心円状に配置した少なくとも2つの超音波振動子を有し、
前記超音波振動子のうち最外周の超音波振動子の外径が前記液位計測用配管の内径と概一致する
ことを特徴とする請求項2に記載の液位計測装置。 - 前記超音波探触子は、
単一の超音波振動子であって、
前記超音波振動子の外径が前記液位計測用配管の内径と概一致する
ことを特徴とする請求項2に記載の液位計測装置。
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