JP4891842B2 - 超音波式振動変位計の校正装置とその校正方法 - Google Patents

超音波式振動変位計の校正装置とその校正方法 Download PDF

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Description

本発明は、容器内の構造体を計測対象として超音波を送信し、超音波の伝搬方向に直交する方向の構造体の振動変位量を具体的に校正する超音波式振動変位計の校正装置とその校正方法に関する。
従来、超音波伝達媒質が収容された容器内に設けられた構造体の振動について、容器を分解せずに容器の外部から計測するには、容器の外部から容器壁と容器内の媒質を伝わる超音波等を対象に向かって発射し、振動変位量の測定対象物である構造体からの超音波エコーを取込んでその伝搬時間を計測し、容器壁や超音波伝達媒質中の超音波等の伝搬速度から距離に換算する手順を高速で繰り返すことにより、構造体の振動変位量を計測する技術が知られている。非破壊検査に用いられる超音波探傷装置は、このような技術に対応しており、汎用品として用いられている。
しかしながら、高精度の位置計測が望まれる場合には、汎用品の適用において一定の限界がある。例えば、超音波を用いて水中で位置計測をする場合に7.5μmの距離差を識別するには、超音波の往復時間と、水中での音速約1500m/secとを考慮すると、2×7.5×10−6(m)/1500(m/s)=10−8(sec)=10(nsec)という高精度で超音波エコーの伝搬時間を識別する必要がある。超音波の周波数を例えば1MHzとすると、その水中での波長は1.5mmであるが、この波長の1/100のオーダのずれを計測する必要がある。一定の閾値で超音波エコーの伝搬時間を計測するような従来の方法では、このような高精度の計測は困難である。
一方、発明者の一人により、この困難を解決する技術として、超音波の反射波の伝搬時間を、波の重心ないし相関を用いて高精度に計測する方法が提案されている。(非特許文献1)。
しかしながら、この従来の計測方法では超音波の伝搬方向に沿う方向の計測対象の変位を計測することは可能であるが、超音波の伝搬方向に直交する方向の計測対象の変位を計測することはできない。
容器内に設けられた構造体は任意の方向に振動していると考えられるので、この超音波の伝搬方向に沿う方向およびそれに直交する方向を含めた2次元空間内での振動変位量を計測することが重要であり、これを可能にする振動変位を計測する計測装置と計測方法が開示されている(特許文献1)。しかし、超音波の伝搬方向に直交する方向の振動変位量を具体的に校正する計測装置および計測方法の開示はない。
特開2007−46912号公報 S.KANEMOTO et.al、Development of ultrasonic vibrometer for vertical pump bearing wear diagnostic system 、International Symposium on Machine Condition Monitoring and Diagnosis, JSME Annual Meeting 2002, Tokyo, Japan, September 2002、P2002−180253「回転体の変位測定方法,装置および超音波センサーの設置方法」
超音波等を測定対象物に向かって発射し、測定対象物である構造体からの超音波エコーから構造物の振動変位量を計測する技術は、各種の環境条件下における振動測定に利用されることが予想される。しかし、超音波エコーの波形から超音波の伝搬方向の振動変位量と同時に超音波の伝搬方向に直交する方向の振動変位量を正確に測定する手段がなかった。
本発明はかかる従来の課題を解決するためになされたもので、構造物の振動変位量を超音波の伝搬方向に沿う方向およびそれに直交する方向を含めた2次元空間内で正確に計測し、収容容器内に設けられた構造物の振動を評価する際の重要な情報を得て、構造物の健全性監視およびトラブル時の原因究明など多くの応用で役に立つ超音波式振動変位計の校正装置とその校正方法を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するため本発明では、試験容器内に設けられた模擬構造物と、前記模擬構造物を所望の加振条件で加振する加振装置と、前記試験容器に満たされた超音波伝達媒質を所望の環境条件に制御する環境制御装置と、前記加振装置に加振された前記模擬構造物の振動変位量を測定する変位計と、前記模擬構造物に向けて前記試験容器の外面側から超音波を送信するとともに前記模擬構造物からの超音波エコーを前記試験容器の外面側で受信する超音波送受信装置と、前記超音波送受信装置から超音波エコーを受信してデジタル値に変換・収録し、前記変位計から振動変位量を受信してデジタル値に変換・収録し、この変換された超音波エコーと振動変位量とのデジタル値を信号処理し、この処理信号値と前記加振条件と前記環境条件とを保持し、この保持した処理信号値から前記加振条件・前記環境条件ごとの校正曲線を作成する集録信号処理装置とを備えたことを特徴とする超音波式振動変位計の校正装置を提供する。
また、本発明では、前記超音波送受信装置を制御して前記試験容器と前記超音波伝達媒質とを介して前記模擬構造物へ所要の超音波を送信し、前記送信した超音波について、前記超音波送受信装置を制御して前記模擬構造物から前記試験容器と前記超音波伝達媒質とを介して受信される超音波エコーをデジタル値に変換し、前記デジタル値に変換した超音波エコーを時系列に記録し、前記時系列に記録した超音波エコーの波高の変動を時刻歴データとして抽出し、前記抽出した超音波エコーの時刻歴データをスペクトル分析してリニアスペクトルにおける振幅スペクトルの所要のピークを抽出し、前記抽出した振幅スペクトルの所要のピークレベルを合計し、前記変位計で測定した前記模擬構造物の振動変位量を受信してデジタル値に変換し、前記デジタル値に変換した前記模擬構造物の振動変位量を時系列に記録し、前記時系列に記録した前記模擬構造物の振動変位量における変位量の変動を時刻歴データとして抽出し、前記抽出した前記模擬構造物の振動変位量の時刻歴データをスペクトル分析してリニアスペクトルにおける振幅スペクトルの所要のピークを抽出し、前記超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計と、前記模擬構造物の振動変位量の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルと、前記加振条件と前記環境条件とからなる測定条件とを補正データとしてデータベースに登録し、前記測定条件ごとに、前記模擬構造物の振動変位量の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルと、前記超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計とを前記データベースから読込んで校正曲線を作成・出力することを特徴とする超音波式振動変位計の校正方法を提供する。
さらに、本発明では、超音波伝達媒質に満たされた収容容器内に設けられた被測定構造物と、前記被測定構造物に向けて前記収容容器の外面側から超音波を送信するとともに前記被測定構造物からの超音波エコーを前記収容容器の外面側で受信する超音波送受信装置と、前記超音波送受信装置から超音波エコーを受信してデジタル値に変換・収録し、この変換された超音波エコーのデジタル値を信号処理し、この処理信号値と加振条件・環境条件ごとに得られた校正曲線とを比較して前記被測定構造物の振動変位量を求める集録信号処理装置とを備えたことを特徴とする超音波式振動変位計の測定装置を提供する。
さらにまた、本発明では、前記超音波送受信装置を制御して前記収容容器と前記超音波伝達媒質とを介して前記被測定構造物へ所要の超音波を送信し、前記送信した超音波について、前記超音波送受信装置を制御して前記被測定構造物から前記収容容器と前記超音波伝達媒質とを介して受信される超音波エコーをデジタル値に変換し、前記デジタル値に変換した超音波エコーを時系列に記録し、前記時系列に記録した超音波エコーの波高の変動を時刻歴データとして抽出し、前記抽出した超音波エコーの時刻歴データをスペクトル分析してリニアスペクトルにおける振幅スペクトルの所要のピークを抽出し、前記抽出した振幅スペクトルの所要のピークレベルを合計し、前記超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計を算出し、前記超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計と加振条件・環境条件ごとに得られた校正曲線とを比較して前記被測定構造物の振動変位量を求めることを特徴とする超音波式振動変位計の測定方法を提供する。
本発明によれば、構造物の振動変位量を超音波の伝搬方向に沿う方向およびそれに直交する方向を含めた2次元空間内で正確に計測し、収容容器内に設けられた構造物の振動を評価する際の重要な情報を得て、構造物の健全性監視およびトラブル時の原因究明など多くの応用で役に立つ超音波式振動変位計の校正装置とその校正方法を提供することができる。
本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置とその校正方法について添付図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置とその校正方法の第1実施形態について、図1から図13を参照して説明する。
図1および図2は本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置1の第1実施形態の構成を示す概略図である。図1は超音波式振動変位計の校正装置1の構成の概略を示す平断面図である。図2は超音波式振動変位計の校正装置1の構成の概略を示す縦断面図である。
超音波式振動変位計の校正装置1は、振動変位量の測定対象物としての構造物(被測定構造物)を収容する収容容器や構造物の周囲に存在する超音波を伝搬する物質を模擬するものである。
図1および図2に示すように、超音波式振動変位計の校正装置1は、収容容器である試験容器2内に設けられた測定対象物としての模擬構造物3と、この模擬構造物3を所望の加振条件で加振する加振装置4と、この試験容器2内に満たされた超音波伝達媒質5を所望の環境条件(温度、圧力、流速)に制御する環境制御装置6と、この加振装置4に加振された模擬構造物3の振動変位量を測定する変位計7と、この模擬構造物3に向けて試験容器2の外面側から超音波を送信する一方、模擬構造物3からの超音波エコーを試験容器2の外面側で受信する超音波送受信装置8と、この超音波送受信装置8から超音波エコーを受信してデジタル値に変換・収録し、この変位計7から振動変位量を受信してデジタル値に変換・収録し、この変換された超音波エコーと振動変位量とのデジタル値を信号処理し、この処理信号値と加振装置4の加振条件と環境制御装置6の環境条件とを保持し、この保持した処理信号値から加振条件・環境条件ごとの校正曲線を作成する集録信号処理装置9とを備える。
この試験容器2は、実際に振動変位量を測定する構造物を収容する実機の容器を模擬する容器である。例えば試験容器2の外壁部の形状、外壁部の材質、外壁部の厚みが実機の容器を模擬して構成される。本実施形態では、実機の容器の一部を模擬した円筒の殻の一部と、この実機の容器の一部を模擬した部分に固着されて試験容器2の内部環境を外界と隔離する箱状体部分とから構成される。また、試験容器2は、実機の容器に設けられた構造物の測定環境と同一の環境条件を模擬できるように密閉構造とすることができる。
この模擬構造物3は、実機の容器内に設けられた実際に振動変位量を測定する測定対象物である構造物を部分的に模擬する構造物である。例えば、模擬構造物3のうち超音波送受信装置8から発射される超音波を反射する部分についての形状、材質、試験容器2の外壁から模擬構造物3までの距離が実際に振動変位量を測定する構造物を模擬して構成される。なお、本実施形態では、模擬構造物3は略円柱形状であり、一端が試験容器2の外側へ突出され、他端には変位計7で変位測定を行う際の立方体状の変位計ターゲット3aが設けられる。また、模擬構造物3と試験容器2とは相対的な変位が拘束されないように構成され、加振装置4による模擬構造物3の加振は妨げられない。
この加振装置4は、実機の容器内に設けられた実際に振動変位量を測定する構造物に生じる振動を模擬して模擬構造物3を加振する。例えば加振の周波数、加振レベル、加振方向を任意に設定できる。
この超音波伝達媒質5は、水や油などの液体、空気や水蒸気やガスなどの気体により実機の容器内に満たされた超音波を伝達する媒質を模擬して試験容器2の内部に満たされる。この超音波伝達媒質5が気体の場合は、超音波送受信装置8には、超音波を気体中へ伝搬させるために高エネルギーの超音波を発生できるものを使用して振動変位量の測定感度の向上を図る。測定感度が向上できるので精度の良い振動変位量の測定ができる。
この環境制御装置6は、試験容器2の内部に満たされた超音波伝達媒質5の温度や流速、試験容器2の内部圧力を制御して実機の容器内の環境条件を模擬する。
この変位計7は、試験容器2の内部であって、模擬構造物3の有する変位計ターゲット3aの近傍に設けられる。この変位計7は、模擬構造物3の有する変位計ターゲット3aの振動変位量を測定することで加振装置4により加振された模擬構造物3の振動変位量を測定する。また、この変位計7には非接触型の変位計が使用でき、例えば渦電流型変位計やレーザ型変位計が使用できる。この変位計7が測定する模擬構造物3の変位量は、模擬構造物3が加振装置4に加振されている際の超音波送受信装置8から発射されて模擬構造物3で反射される超音波の超音波エコーを模擬構造物3の振動変位量へ変換・補正するために取得される。
この超音波送受信装置8は、実機の容器を模擬して構成された試験容器2の外壁部で使用される。この超音波送受信装置8は、例えば試験容器2との取付部、外壁から模擬構造物3のうち超音波送受信装置8から発射される超音波を反射する部分までの距離が実際に振動変位量を測定する測定条件を模擬して構成される。
この集録信号処理装置9は、超音波送受信装置8からの超音波の送信を制御する超音波送信手段と、超音波送受信装置8から超音波エコーの波形を受信してデジタル値に変換する超音波受信手段と、このデジタル値に変換した超音波エコーを時系列に記録する超音波エコー波高記録手段と、この時系列に記録した超音波エコーの波高の変動を時刻歴データとして抽出する超音波エコー波高変動の時刻歴データ抽出手段と、この超音波エコーの時刻歴データをスペクトル分析してリニアスペクトルにおける振幅スペクトルの所要のピークを抽出する超音波エコー波高変動のスペクトル分析手段と、この抽出した振幅スペクトルの所要のピークレベルを合計する振動変位量抽出処理手段と、変位計7で測定した模擬構造物3の振動変位量を受信してデジタル値に変換する変位量の受信手段と、このデジタル値に変換した模擬構造物3の振動変位量を時系列に記録する変位量の記録手段と、この時系列に記録した模擬構造物3の振動変位量における変位量の変動を時刻歴データとして抽出する変位量変動の時刻歴データ抽出手段と、この模擬構造物3の振動変位量の時刻歴データをスペクトル分析してリニアスペクトルにおける振幅スペクトルの所要のピークを抽出する変位量変動のスペクトル分析手段と、この超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計と、模擬構造物3の振動変位量の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルと、加振装置4の加振条件と、環境制御装置6の環境条件とからなる測定条件とをデータベースに登録する振動変位量のデータベース登録手段と、この測定条件ごとに模擬構造物3の振動変位量の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルと、超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計とをデータベースから読込んで校正曲線を作成・出力する振動変位量の校正曲線出力手段とを備える。
図3および図4は本発明に係る本実施形態の構造物の振動方向に応じた超音波エコー波の変化を示す図であり、図3は超音波の伝搬方向に沿う方向へ構造物が変位した場合の超音波エコー波の変化を示す図であり、図4は超音波の伝搬方向に直交する方向へ構造物が変位した場合の超音波エコー波の変化を示す図である。
図3に示すように、超音波の伝搬方向に沿う方向へ模擬構造物3が変位した場合は、模擬構造物3が変位していない場合の超音波エコー波w1と変位している場合の超音波エコー波w2とは波形を変えずに時間方向へ平行に移動する。すなわち、超音波送受信装置8が送信する超音波の伝搬方向に沿う方向へ試験容器2に設けられた模擬構造物3が振動する場合の模擬構造物3の振動変位量は、模擬構造物3が変位していない場合と変位している場合との超音波エコーの伝搬時間差と、試験容器2の外壁中と超音波伝達媒質5中との音速を掛け合わせることで容易に算出できる。
しかし、図4に示すように、超音波の伝搬方向に直交する方向へ模擬構造物3が変位した場合は、模擬構造物3が変位していない場合の超音波エコー波w3と変位している場合の超音波エコー波w4とはわずかに波形にゆがみが見られる程度である。
この超音波エコー波のわずかなゆがみは、実機の容器の外壁部の形状、外壁部の材質、外壁部の厚み、実機の容器の外壁から実際に振動変位量を測定する構造物までの距離、構造物の形状、材質、振動レベル、超音波伝達媒質5などにより変化する。
すなわち、超音波の伝搬方向に直交する方向へ実際の構造物が振動した場合の振動変位量を算出する方法として、模擬構造体3を加振した際の振動変位量と超音波エコー波のわずかなゆがみとから補正データを予め取得して変位量を算出する方法が考えられる。
図5から図7は本発明に係る本実施形態における超音波の伝搬方向に直交する方向へ振動する構造物の振動変位量の測定原理を説明する図である。図5は超音波の伝搬方向に直交する方向へ振動する構造物の振動変位量とその際に超音波送受信装置8で受信される超音波エコー波との関係を説明する図である。図6は超音波送受信装置8から送信される超音波のエネルギー分布の一例を説明する図である。図7は超音波送受信装置8から送信される超音波のエネルギー中心と超音波の伝搬方向に直交する方向へ構造物が振動した場合の超音波エコー波のスペクトルパターンとの関係を示す図である。
図5(A)に示すように、構造物が振動していない(静止している)場合は円柱状の構造物の横断面中心を貫く方向(構造物の中心)へ向けて超音波送受信装置8から超音波を送信すると、超音波エネルギー分布の中心とこの構造物の中心は略同一線上に重なり合う。そうすると、構造物の表面で反射した超音波の超音波エコー量は超音波送受信装置8で最も大きく受信されて(超音波エコー量大)、超音波エコーの波高は大きく観測される。
次に、図5(B)に示すように、構造物が振動した(図の下方へ向けて移動する)場合は円柱状の構造物の横断面中心を貫く方向(構造物の中心)と超音波送受信装置8から送信される超音波の超音波エネルギー分布の中心とは構造物の振動変位量だけ略平行に距離を有することになる。そうすると、構造物の表面で反射した超音波の超音波エコー量は超音波送受信装置8で受信される際には小さくなり(超音波エコー量中)、超音波エコーの波高は中ぐらいに観測される。
さらに、図5(C)に示すように、構造物が振動した(図の下方へ向けてさらに移動する)場合は円柱状の構造物の横断面中心を貫く方向(構造物の中心)と超音波送受信装置8から送信される超音波の超音波エネルギー分布の中心とは構造物の振動変位量だけ略平行に距離を有することになる。そうすると、構造物の表面で反射した超音波の超音波エコー量は超音波送受信装置8で受信される際にはさらに小さくなり(超音波エコー量小)、超音波エコーの波高は小さく観測される。すなわち、超音波送受信装置8から送信される超音波のエネルギー中心が、振動変位量を計測する対象である構造物の中心を通るか否かにより超音波送受信装置8で受信される超音波エコー量が変化し、超音波エコーの波高が変化する。
これは、図6に示すように、超音波送受信装置8が送信する超音波の指向性や発生エネルギーなどの特性として、超音波エネルギーの分布が存在するためである。超音波送受信装置8が送信する超音波のエネルギー分布の形状と円柱状の構造物の横断面の曲率との関係から超音波エコーの波高値が変化する。その波高値の変化は、超音波の伝搬方向と直交する方向へ構造物が移動する変位量と相関関係にある。超音波のエネルギーの分布形状は超音波送受信装置8の指向性により決定される。また、構造物の超音波を反射する部分の曲率で超音波エコーのエネルギーが決まり、超音波エコーの波高値が決定される。
また、図7に示すように、構造物の振動範囲Aのように構造物が超音波エネルギーの中心を図の左右に略同量だけ横切りつつ振動する場合は、超音波エコーの波高値の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのスペクトルパターンには、構造物が振動する周波数の2倍の周波数成分としてピークが観測される。
次に、構造物の振動範囲Bのように構造物が超音波エネルギーの中心を左右に不均一に横切りつつ移動する場合は、超音波エコーの波高値の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのスペクトルパターンには、構造物が振動する周波数と略同周波数の成分とその2倍の周波数成分とのピークが観測される。
さらに、構造物の振動範囲Cのように構造物が超音波エネルギーの中心を横切らずに振動する場合は、超音波エコーの波高値の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのスペクトルパターンには、構造物が振動する周波数と略同周波数の成分としてピークが観測される。
次に、超音波式振動変位計の校正装置1を使用して超音波エコーの波高データを構造物の振動変位量の絶対値に補正する超音波式振動変位計校正方法について説明する。
図8から図13は本発明に係る本実施形態における超音波の伝搬方向に直交する方向へ振動する構造物の振動変位量を測定するための補正データを得る方法を説明する図であり、図8は超音波の伝搬方向に直交する方向へ振動する構造物の振動変位量を測定するための補正データを得る方法を示す流れ図であり、図9は超音波エコー波高変動の時刻歴データの一例を示す図であり、図10は超音波エコー波高変動の時刻歴データからスペクトル分析により得られたリニアスペクトルの一例を示す図であり、図11は超音波の伝搬方向に直交する方向へ振動する構造物の振動変位量を測定するための補正データから得られる校正曲線の例を示す図であり、図12および図13は超音波エコーの波高の変動を時刻歴データとして抽出する方法を説明する図である。
図8において、ステップS1では、超音波送受信装置8を制御して試験容器2と超音波伝達媒質5とを介して模擬構造物3へ所要の超音波を送信する。
ステップS2では、ステップS1で送信した超音波について、超音波送受信装置8を制御して模擬構造物3から試験容器2と超音波伝達媒質5とを介して受信される超音波エコーをデジタル値に変換する。
ステップS3では、ステップS2でデジタル値に変換した超音波エコーを時系列に記録する。
ステップS4では、ステップS3で時系列に記録した超音波エコーの波高の変動を時刻歴データ(図9参照)として抽出する。
ステップS5では、ステップS4で抽出した超音波エコーの時刻歴データをスペクトル分析してリニアスペクトルにおける振幅スペクトルの所要のピークを抽出する(図10参照)。
ステップS6では、ステップS5で抽出した振幅スペクトルの所要のピークレベルを合計する。
ステップS7では、変位計7で測定した模擬構造物3の振動変位量を受信してデジタル値に変換する。
ステップS8では、ステップS7でデジタル値に変換した模擬構造物3の振動変位量を時系列に記録する。
ステップS9では、ステップS8で時系列に記録した模擬構造物3の振動変位量における変位量の変動を時刻歴データとして抽出する。
ステップS10では、ステップS9で抽出した模擬構造物3の振動変位量の時刻歴データをスペクトル分析してリニアスペクトルにおける振幅スペクトルの所要のピークを抽出する。
ステップS11では、ステップS6で超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計と、ステップS10で模擬構造物3の振動変位量の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルと、加振装置4の加振条件と環境制御装置の環境条件とからなる測定条件とを補正データとしてデータベースに登録する。
ステップS12では、ステップS11で測定条件ごとに、模擬構造物3の振動変位量の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルと、超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計とをデータベースから読込んで校正曲線を作成・出力する(図11参照)。
ここで、図9および図10は、加振装置4における加振条件を例えば加振周波数15Hz、加振時の振幅を100μmとして模擬構造物を加振した際に、超音波送受信装置8で受信された超音波エコーの時刻歴データ(2秒間)とこの時刻歴データをスペクトル分析して得られたリニアスペクトル(0〜100Hz)である。
図11に示すように、ステップS12により模擬構造物3の振動変位量の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルと、超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計とから得られる校正曲線は、試験容器2の外壁から模擬構造物3までの距離によりそれぞれ異なる校正曲線が得られる。また、試験容器2内の圧力や超音波伝達媒質5の温度などの環境条件によっても異なる校正曲線が得られる。また、この校正曲線は、ステップS11で得られた代表的な補正データから最小二乗法などにより内外挿して構造物の振動変位量を補う関数を作成して詳細な校正曲線を得ることもできる。さらに、この校正曲線は、ステップS11で得られた代表的な補正データと、超音波送受信装置8、超音波送受信装置8の取付部、試験容器2の外壁部の形状、外壁部の材質、外壁部の厚み、模擬構造物3のうち超音波送受信装置8から発射される超音波を反射する部分についての形状、材質、試験容器2の外壁から模擬構造物3までの距離、超音波伝達媒質5からなる振動計測対象模擬条件とを組み込んだシミュレーション解析モデルを作成して検証し、この検証したシミュレーション解析モデルからシミュレーション解析により詳細な校正曲線を得ることもできる。
さらに、ステップS4で超音波エコーの波高の変動を時刻歴データとして抽出する方法には、図12に示すように超音波エコー波形の最大値を抽出する方法、超音波エコー波形の[最大値−最小値]を抽出する方法および図13に示すように超音波エコー波形の中立軸から突出するハッチング領域A、B、Cの合計面積から抽出する方法のうちから選択される少なくとも1つの方法を用いることができる。
なお、実際に振動変位量を測定する構造物を収容する実機の容器に本実施形態を適用する際は、本実施形態で得られた校正曲線と、超音波送受信装置8と、集録信号処理装置9のうち超音波送信手段と超音波受信手段と超音波エコー波高記録手段と超音波エコー波高変動の時刻歴データ抽出手段と超音波エコー波高変動のスペクトル分析手段と振動変位量抽出処理手段とを有する装置とを用いる。実際に振動変位量を測定する構造物に超音波送受信装置8から超音波を送信し(図8のステップS1に相当)、この構造物からの超音波エコーを超音波送受信装置8で受信し(図8のステップS2に相当)、この超音波エコーの時刻歴データから得られる振幅スペクトルのピークレベルの合計を集録信号処理装置9により算出し(図8のステップS3からステップS6に相当)、この超音波エコーの時刻歴データから得られる振幅スペクトルのピークレベルの合計と実際の測定条件に対応する校正曲線の超音波エコー波のピークレベル合計値とを比較してこの構造物の振動変位量のピークレベルを求めることで、実際に振動変位量を測定する構造物の振動変位量を正確に測定できる。
本実施形態によれば、実際に振動変位量を測定する構造物を収容する実機の容器に適用する超音波式振動計に本実施形態で得られた校正曲線と超音波送受信装置8とを適用することで、実機の容器に収容された構造物の超音波の伝搬方向に直交する方向の振動変位量を正確に測定することができる。また、実機の容器に収容された構造物の超音波の伝搬方向の振動変位量は従来の方法を用いることで実測できるので、超音波の伝搬方向に沿う方向およびそれに直交する方向を含めた2次元空間内で構造物の振動変位量を正確に計測することができる。
本実施形態の具体的な適用について、原子力発電プラント内に設けられた原子炉格納容器内の原子炉圧力容器に収容された構造物の振動変位量測定による寿命評価や異常診断、また縦型ポンプの軸振動変位量測定による寿命評価や異常診断、さらに給水加熱器や熱交換器内の伝熱管の振動変位量測定による寿命評価や異常診断が考えられる。
[第2の実施形態]
本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置とその校正方法の第2実施形態について、図14から図15を参照して説明する。
本実施形態の超音波式振動変位計の校正装置1Aにおいて第1実施形態の超音波式振動変位計の校正装置1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図14および図15は本発明に係る本実施形態の超音波式振動変位計の校正装置1Aの構成を示す概略図であり、図14は超音波式振動変位計の校正装置1Aの構成の概略を示す横断面図、図15は超音波式振動変位計の校正装置1Aの構成の概略を示す縦断面図である。
図14および図15に示すように、超音波式振動変位計の校正装置1Aは、試験容器2の外面側から超音波を送信するとともに模擬構造物3からの超音波エコーを試験容器2の外面側で受信する超音波送受信装置8と模擬構造物3との途中の超音波伝達媒質5中にさらに壁状構造物12を備える。
この壁状構造物12は、実機の容器と実際に振動変位量を測定する構造物との途中の超音波を伝達する媒質中に設けられた構造物を部分的に模擬する構造物である。例えば、壁状構造物12のうち超音波送受信装置8から発射される超音波が伝搬する部分についての形状、材質、試験容器2の外壁から壁状構造物12までの距離が実機の容器と実際に振動変位量を測定する構造物との途中の超音波を伝達する媒質中に設けられた構造物を模擬して構成される。なお、本実施形態では、壁状構造物12は略円筒の殻の一部形状であり、試験容器2の底面に配置されている(図示省略)。
また、超音波送受信装置8には、超音波を試験容器2の外壁から模擬構造物3へ伝搬させるため壁状構造物12中を伝搬・通過できる高エネルギーの超音波を発生できるものを使用して振動変位量の測定感度の向上を図る。測定感度が向上できるので精度の良い振動変位量の測定ができる。
本実施形態によれば、実機の容器と実際に振動変位量を測定する構造物との途中の超音波を伝達する媒質中に構造物が設けられている場合であっても、実際に振動変位量を測定する構造物を収容する実機の容器に適用する超音波式振動計に本実施形態で得られた校正曲線と超音波送受信装置8とを適用することで、実機の容器に収容された構造物の超音波の伝搬方向に直交する方向の振動変位量を正確に測定することができる。また、実機の容器に収容された構造物の超音波の伝搬方向の振動変位量は従来の方法を用いることで実測できるので、超音波の伝搬方向に沿う方向およびそれに直交する方向を含めた2次元空間内で構造物の振動変位量を正確に計測することができる。
[第3の実施形態]
本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置とその校正方法の第3実施形態について、図16から図18を参照して説明する。
本実施形態の超音波式振動変位計の校正装置1Bにおいて第1実施形態の超音波式振動変位計の校正装置1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図16および図17は本発明に係る本実施形態の超音波式振動変位計の校正装置1Bの構成を示す概略図であり、図16は超音波式振動変位計の校正装置1Bの構成の概略を示す横断面図、図17は超音波式振動変位計の校正装置1Bの構成の概略を示す縦断面図である。
図16および図17に示すように、超音波式振動変位計の校正装置1Bは、模擬構造物3に向けて試験容器2の外面側から超音波を送信する超音波送信装置8Aと、この模擬構造物3からの超音波エコーを試験容器2の外面側で受信する超音波受信装置8Bと、この超音波送信装置8Aからの超音波の送信を制御し、この超音波受信装置8Bから超音波エコーを受信してデジタル値に変換・収録し、変位計7から振動変位量を受信してデジタル値に変換・収録し、この変換された超音波エコーと振動変位量とのデジタル値を信号処理し、この処理信号値と加振装置4の加振条件と環境制御装置6の環境条件とを保持し、この保持した処理信号値から加振条件・環境条件ごとの校正曲線を作成する集録信号処理装置9Aとを備える。
この超音波送信装置8Aは、実機の容器を模擬して構成された試験容器2の外壁部で使用される。この超音波送信装置8Aは、例えば試験容器2との取付部、外壁から模擬構造物3のうち超音波送信装置8Aから発射される超音波を反射する部分までの距離が実際に振動変位量を測定する測定条件を模擬して構成される。
この超音波受信装置8Bは、実機の容器を模擬して構成された試験容器2の外壁部で使用される。この超音波受信装置8Bは、例えば試験容器2との取付部、外壁から模擬構造物3のうち超音波送信装置8Aから発射された超音波の超音波エコーを受信する位置までの距離が実際に振動変位量を測定する測定条件を模擬して構成される。また、この超音波受信装置8Bは、超音波送信装置8Aから発射された超音波の超音波エコーを受信する際に受信レベルが最大となるような試験容器2の外壁部の位置へ配置される。
この集録信号処理装置9Aは、超音波受信装置8Bから超音波エコーの波形をデジタル信号処理して保持するとともに、変位計7で測定された模擬構造物3の振動変位量と、環境制御装置により制御される環境条件とを保持する。
また、集録信号処理装置9Aは、超音波送信装置8Aからの超音波の送信を制御する超音波送信手段と、超音波受信装置8Bから超音波エコーの波形を受信してデジタル値に変換する超音波受信手段とを備える。
図18は超音波の伝搬方向に直交する方向へ振動する構造物の振動変位量を測定するための補正データを得る方法を示す流れ図である。
図18において、ステップS1Aでは、超音波送信装置8Aを制御して試験容器2と超音波伝達媒質5とを介して模擬構造物3へ所要の超音波を送信する。
ステップS2Aでは、ステップS1Aで送信した超音波について、超音波受信装置8Bを制御して模擬構造物3から試験容器2と超音波伝達媒質5とを介して受信される超音波エコーをデジタル値に変換する。
なお、実際に振動変位量を測定する構造物を収容する実機の容器に本実施形態を適用する際は、本実施形態で得られた校正曲線と、超音波送信装置8Aと、超音波受信装置8Bと、集録信号処理装置9Aのうち超音波送信手段と超音波受信手段と超音波エコー波高記録手段と超音波エコー波高変動の時刻歴データ抽出手段と超音波エコー波高変動のスペクトル分析手段と振動変位量抽出処理手段とを有する装置とを用いる。実際に振動変位量を測定する構造物に超音波送信装置8Aから超音波を送信し(図18のステップS1Aに相当)、この構造物からの超音波エコーを超音波受信装置8Bで受信し(図18のステップS2Aに相当)、この超音波エコーの時刻歴データから得られる振幅スペクトルのピークレベルの合計を集録信号処理装置9Aにより算出し(図18のステップS3からステップS6に相当)、実際の測定条件に対応する校正曲線の超音波エコー波のピークレベル合計値からこの構造物の振動変位量のピークレベルを求めることで、実際に振動変位量を測定する構造物の振動変位量を正確に測定できる。
本実施形態によれば、超音波の送信装置と受信装置とを別個独立の装置で構成することにより超音波の受信感度を向上させることで、第1実施形態で得られる補正データよりも高精度の補正データを得ることができる。すなわち、第1実施形態で作成される校正曲線よりも高精度の校正曲線を作成することが可能となり、実機の容器に収容された構造物の超音波の伝搬方向に直交する方向の振動変位量をさらに正確に測定することができる。また、実機の容器に収容された構造物の超音波の伝搬方向の振動変位量は従来の方法を用いることで実測できるので、超音波の伝搬方向に沿う方向およびそれに直交する方向を含めた2次元空間内で構造物の振動変位量をさらに正確に計測することができる。
[第4の実施形態]
本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置とその校正方法の第4実施形態について、図19から図20を参照して説明する。
本実施形態の超音波式振動変位計の校正装置1Cにおいて第1実施形態の超音波式振動変位計の校正装置1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図19および図20は本発明に係る本実施形態の超音波式振動変位計の校正装置1Cの構成を示す概略図であり、図19は超音波式振動変位計の校正装置1Cの構成の概略を示す横断面図、図20は超音波式振動変位計の校正装置1Cの構成の概略を示す縦断面図である。
図19および図20に示すように、超音波式振動変位計の校正装置1Aは、模擬構造物3に向けて試験容器2の外面側から超音波を送信する超音波送信装置8Aと、この模擬構造物3からの超音波エコーを試験容器2の外面側で受信する超音波受信装置8Bと、この超音波送信装置8Aからの超音波の送信を制御し、この超音波受信装置8Bから超音波エコーを受信してデジタル値に変換・収録し、変位計7から振動変位量を受信してデジタル値に変換・収録し、この変換された超音波エコーと振動変位量とのデジタル値を信号処理し、この処理信号値と加振装置4の加振条件と環境制御装置6の環境条件とを保持し、この保持した処理信号値から加振条件・環境条件ごとの校正曲線を作成する集録信号処理装置9Aと、試験容器2の外面側から超音波を送信するとともに模擬構造物3からの超音波エコーを試験容器2の外面側で受信する超音波送受信装置8と模擬構造物3との途中の超音波伝達媒質5中にさらに壁状構造物12とを備える。
本実施形態によれば、実機の容器と実際に振動変位量を測定する構造物との途中の超音波を伝達する媒質中に構造物が設けられている場合であっても、超音波の送信装置と受信装置とを別個独立の装置で構成することにより超音波の受信感度を向上させることで、第1実施形態で得られる補正データよりも高精度の補正データを得ることができ、すなわち、第1実施形態で作成される校正曲線よりも高精度の校正曲線を作成することが可能となり、実機の容器に収容された構造物の超音波の伝搬方向に直交する方向の振動変位量をさらに正確に測定することができる。また、実機の容器に収容された構造物の超音波の伝搬方向の振動変位量は従来の方法を用いることで実測できるので、超音波の伝搬方向に沿う方向およびそれに直交する方向を含めた2次元空間内で構造物の振動変位量をさらに正確に計測することができる。
本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態の構成の概略を示す平断面図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態の構成の概略を示す縦断面図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波の伝搬方向に沿う方向へ構造物が変位した場合の超音波エコー波の変化を示す図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波の伝搬方向に直交する方向へ構造物が変位した場合の超音波エコー波の変化を示す図。 (a)から(C)は、本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波の伝搬方向に直交する方向へ振動する構造物の振動変位量とその際に超音波送受信装置で受信される超音波エコー波との関係を説明する図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波送受信装置から送信される超音波のエネルギー分布の一例を説明する図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波送受信装置から送信される超音波のエネルギー中心と超音波の伝搬方向に直交する方向へ構造物が振動した場合の超音波エコー波のスペクトルパターンとの関係を示す図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波の伝搬方向に直交する方向へ振動する構造物の振動変位量を測定するための補正データを得る方法を示す流れ図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波エコー波高変動の時刻歴データの一例を示す図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波エコー波高変動の時刻歴データからスペクトル分析により得られたリニアスペクトルの一例を示す図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波の伝搬方向に直交する方向へ振動する構造物の振動変位量を測定するための補正データから得られる校正曲線の例を示す図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波エコーの波高の変動を時刻歴データとして抽出する方法を説明する図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第1実施形態において、超音波エコーの波高の変動を時刻歴データとして抽出する方法を説明する図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第2実施形態の構成の概略を示す横断面図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第2実施形態の構成の概略を示す縦断面図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第3実施形態の構成の概略を示す横断面図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第3実施形態の構成の概略を示す縦断面図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第3実施形態において、超音波の伝搬方向に直交する方向へ振動する構造物の振動変位量を測定するための補正データを得る方法を示す流れ図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第4実施形態の構成の概略を示す横断面図。 本発明に係る超音波式振動変位計の校正装置の第4実施形態の構成の概略を示す縦断面図。
符号の説明
1、1A、1B、1C 超音波式振動変位計の校正装置
2 試験容器
3 模擬構造物
3a 変位計ターゲット
4 加振装置
5 超音波伝達媒質
6 環境制御装置
7 変位計
8 超音波送受信装置
8A 超音波送信装置
8B 超音波受信装置
9、9A 集録信号処理装置
12 壁状構造物

Claims (9)

  1. 試験容器内に設けられた模擬構造物と、
    前記模擬構造物を所望の加振条件で加振する加振装置と、
    前記試験容器に満たされた超音波伝達媒質を所望の環境条件に制御する環境制御装置と、
    前記加振装置に加振された前記模擬構造物の振動変位量を測定する変位計と、
    前記模擬構造物に向けて前記試験容器の外面側から超音波を送信するとともに前記模擬構造物からの超音波エコーを前記試験容器の外面側で受信する超音波送受信装置と、
    前記超音波送受信装置から超音波エコーを受信してデジタル値に変換・収録し、前記変位計から振動変位量を受信してデジタル値に変換・収録し、この変換された超音波エコーと振動変位量とのデジタル値を信号処理し、この処理信号値と前記加振条件と前記環境条件とを保持し、この保持した処理信号値から前記加振条件・前記環境条件ごとの校正曲線を作成する集録信号処理装置とを備えたことを特徴とする超音波式振動変位計の校正装置。
  2. 前記超音波伝達媒質は、
    液体または気体であることを特徴とする請求項1に記載の超音波式振動変位計の校正装置。
  3. 前記試験容器は、
    前記超音波送受信装置と前記模擬構造物との途中の前記超音波伝達媒質中にさらに壁状構造物を備えたことを特徴とする請求項1に記載の超音波式振動変位計の校正装置。
  4. 前記超音波送受信装置は、
    超音波送信装置と超音波受信装置とが別個独立の装置で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の超音波式振動変位計の校正装置。
  5. 前記超音波送受信装置を制御して前記試験容器と前記超音波伝達媒質とを介して前記模擬構造物へ所要の超音波を送信し、
    前記送信した超音波について、前記超音波送受信装置を制御して前記模擬構造物から前記試験容器と前記超音波伝達媒質とを介して受信される超音波エコーをデジタル値に変換し、
    前記デジタル値に変換した超音波エコーを時系列に記録し、
    前記時系列に記録した超音波エコーの波高の変動を時刻歴データとして抽出し、
    前記抽出した超音波エコーの時刻歴データをスペクトル分析してリニアスペクトルにおける振幅スペクトルの所要のピークを抽出し、
    前記抽出した振幅スペクトルの所要のピークレベルを合計し、
    前記変位計で測定した前記模擬構造物の振動変位量を受信してデジタル値に変換し、
    前記デジタル値に変換した前記模擬構造物の振動変位量を時系列に記録し、
    前記時系列に記録した前記模擬構造物の振動変位量における変位量の変動を時刻歴データとして抽出し、
    前記抽出した前記模擬構造物の振動変位量の時刻歴データをスペクトル分析してリニアスペクトルにおける振幅スペクトルの所要のピークを抽出し、
    前記超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計と、前記模擬構造物の振動変位量の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルと、前記加振条件と前記環境条件とからなる測定条件とを補正データとしてデータベースに登録し、
    前記測定条件ごとに、前記模擬構造物の振動変位量の時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルと、前記超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計とを前記データベースから読込んで校正曲線を作成・出力することを特徴とする超音波式振動変位計の校正方法。
  6. 前記測定条件から所望の測定条件を選択し、
    前記所望の測定条件に対応する前記補正データから内外挿して校正曲線を算出することを特徴とする請求項5に記載の超音波式振動変位計の校正方法。
  7. 前記測定条件から所望の測定条件を選択し、
    前記所望の測定条件に対応する前記補正データと振動計測対象模擬条件とからシミュレーション解析モデルを作成・検証し、
    シミュレーション解析により校正曲線を算出することを特徴とする請求項5に記載の超音波式振動変位計の校正方法。
  8. 超音波伝達媒質に満たされた収容容器内に設けられた被測定構造物と、
    前記被測定構造物に向けて前記収容容器の外面側から超音波を送信するとともに前記被測定構造物からの超音波エコーを前記収容容器の外面側で受信する超音波送受信装置と、
    前記超音波送受信装置から超音波エコーを受信してデジタル値に変換・収録し、この変換された超音波エコーのデジタル値を信号処理し、この処理信号値と加振条件・環境条件ごとに得られた校正曲線とを比較して前記被測定構造物の振動変位量を求める集録信号処理装置とを備えたことを特徴とする超音波式振動変位計の測定装置。
  9. 前記超音波送受信装置を制御して前記収容容器と前記超音波伝達媒質とを介して前記被測定構造物へ所要の超音波を送信し、
    前記送信した超音波について、前記超音波送受信装置を制御して前記被測定構造物から前記収容容器と前記超音波伝達媒質とを介して受信される超音波エコーをデジタル値に変換し、
    前記デジタル値に変換した超音波エコーを時系列に記録し、
    前記時系列に記録した超音波エコーの波高の変動を時刻歴データとして抽出し、
    前記抽出した超音波エコーの時刻歴データをスペクトル分析してリニアスペクトルにおける振幅スペクトルの所要のピークを抽出し、
    前記抽出した振幅スペクトルの所要のピークレベルを合計し、
    前記超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計を算出し、
    前記超音波エコーの時刻歴データから得られた振幅スペクトルのピークレベルの合計と加振条件・環境条件ごとに得られた校正曲線とを比較して前記被測定構造物の振動変位量を求めることを特徴とする超音波式振動変位計の測定方法。
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