JP5778955B2 - タイヤ上ビードの取外し方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特にホイール幅に対して幅の小さいタイヤ、ランフラットタイヤ(パンクしても一定距離を走れるタイヤ)を対象とし、タイヤ着脱装置に備わっているディマウント爪を使用してタイヤの上ビードをホイールから取外す方法に関するものである。
ホイールにタイヤを装着する場合又は取外す場合、一般にタイヤの着脱装置が用いられて該タイヤ着脱作業の効率化が図られている。タイヤの着脱方法もタイヤサイズによって違っており、例えばトラック等の大型タイヤであれば、ホイールを上記タイヤ着脱装置の回転テーブルに固定した状態でビードローラをタイヤ側面に押圧しながら回転するだけで、該タイヤの着脱を行うことが出来る。
しかし、小型乗用車に装着されているタイヤは、上記大型タイヤのように単にビードローラにて押圧しながら回転するだけでは着脱を行ない得ない。これは小型乗用車タイヤは大型タイヤに比べて柔らかいためで、タイヤ側面をビードローラでもって押圧しただけではタイヤ全体が変形するだけとなり、タイヤのビードをホイールのビード部から外したり、逆にホイールのビード部へ嵌込むことは出来ず、その為にタイヤビードをタイヤ爪に係止して回転することでホイールへの着脱作業を行なっている。
すなわち、水平に延びるアーム端から垂下するロッドの下端にタイヤ爪を備え、回転テーブルにはホイールを固定し、該タイヤ爪をタイヤビードに係止した状態で、ホイール並びにタイヤを回転することで、タイヤの着脱を行なうことが出来る。勿論、このように上記回転テーブルとタイヤ爪を備えたアームを有すタイヤ着脱装置は従来から知られていて、多方面で利用されているが、同じ小型乗用車用タイヤであっても、扁平タイヤの場合には従来のタイヤ着脱装置を用いてタイヤ爪だけでタイヤの着脱作業を容易に行うことが出来ない。同じくランフラットタイヤ並びにホイール幅に対して幅の小さいタイヤの場合の着脱作業は特に困難である。
扁平タイヤを装着しているケースは近年多く、この種のタイヤは一般乗用車用タイヤに比べて剛性が高くなっているため、タイヤ爪をタイヤビードに係止して回転するだけではホイールに装着出来ず、又ホイールから取外し出来ない為に、タイヤ爪の他にマウントローラやディマウントローラを装着している装置が知られている。特許第2724661号に係る「扁平タイヤの装着方法」、特許第2668318号に係る「扁平タイヤの取外し方法及びその装置」はマウントローラやディマウントローラを兼用したタイヤ着脱方法並びにタイヤ着脱装置である。
(特許第2724661号に係る「扁平タイヤの装着方法」)
回転テーブルにホイールを固定し、該ホイールに扁平タイヤを載せ、タイヤの下ビードを所定の位置に配置したタイヤ爪に係止した状態で上記回転テーブルを回しながらホイールに嵌込み、下ビードはホイールのドロップ部に位置させておき、そしてタイヤの上ビードを同じくタイヤ爪に係止するとともに、タイヤ爪の付近であってタイヤ回転方向の後方に配置したマウントローラによって、タイヤ上側面を押圧しながら回転テーブルを回して、上ビードをホイールに嵌込むことが出来る。
(特許第2668318号に係る「扁平タイヤの取外し方法」)
ホイールを回転テーブルにチャック爪を介して固定し、該タイヤの上側面をディマウントローラにて押圧してタイヤの上ビードをホイールのドロップ部へ落し込み、対向する反対側の上ビードにテコを差込んでタイヤ爪に係止し、上記回転テーブルを回すことで上ビードをホイールから外し、その後、タイヤの下ビードがドロップ部に落し込まれていない場合には、該タイヤの下側面にディマウントローラを当てて押し上げ、下ビードがドロップ部に落し込まれた状態で上ビードと同じようにテコを差込んでタイヤ爪に係止し、上記回転テーブルを回すことで下ビードをホイールから取外すことが出来る。
ところで、扁平タイヤの装着に関しては上記特許第2724661号に係る「扁平タイヤの装着方法」を採用することに大きな問題はないが、取外しに関しては容易でない。すなわち、タイヤビードをタイヤ爪に係止するに際してレバーで持ち上げなくてはならず、特に扁平タイヤで硬いタイヤビードをタイヤ爪に係止する作業は容易でなく、ホイールやタイヤビードをキズ付ける場合も多い。
特許第2724661号に係る「扁平タイヤの装着方法」 特許第2668318号に係る「扁平タイヤの取外し方法及びその装置」
このように、従来のタイヤ着脱装置を用いてのタイヤの着脱作業には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、特に取外しにくい上ビードを対象とし、しかもレバーを使用することなく特別な熟練なしにタイヤの上ビードの取外しが出来るタイヤ上ビードの取外し方法を提供する。


本発明に係るタイヤ上ビードの取外し方法はタイヤ着脱装置が使用され、このタイヤ着脱装置にはディマウント爪が備わっている。ディマウント爪はその先端が概略S字状として先端部には外側溝と内側溝を形成し、軸を中心として向きが変わるように揺動可能としている。そして、タイヤサイズに応じてその位置を変えることが出来、又エアシリンダーの動作にて上下動することが出来るように昇降動可能としている。
ところで、ホイールは回転する回転テーブルに固定され、この状態で上記ディマウント爪を降下してタイヤの上ビード部付近を押圧する。上ビードは押下げられるが、このままではディマウント爪に係合し難いために、該ディマウント爪の向きを変えてホイールに近づける。すなわち、ディマウント爪は揺動可能に軸支されている。そして、さらに降下すれば上ビードはディマウント爪の外側溝に係合する。
このように、ディマウント爪の外側溝に上ビードが係合したところで、該ディマウント爪を上昇させるならば、上ビードの一部は持ち上げられてホイールから外れる。そして、ディマウント爪の内側溝がホイールの耳部に係合して位置決めされる。すなわち、上ビードが外側溝に係合することでディマウント爪は内側へ押圧され、上昇と共にホイール耳部に係合することが出来る。
ところで、先端部が概略S字状をしたディマウント爪の外側溝と内側溝は高さ位置が異なり、外側溝は高い位置に形成され、内側溝は低い位置に形成されている。その為に、内側溝がホイール耳部に係合した状態では、外側溝に係合した上ビードはホイール耳部から外れた位置にあり、この状態で回転テーブルと共にホイールが回転するならば、上ビードはホイールから外れる。勿論、ディマウント爪は動くことなく定位置にある。この場合、タイヤ幅がホイール幅より小さいタイヤである場合、タイヤ上ビードが外側溝から外れることがあり、この外れを防止する為にビードアップローラを備えてタイヤ下側面を押上げることが出来る。
上記ディマウント爪は水平ガイド軸の先端に設けた取着部に軸を介して揺動可能に取付けられ、また取着部にはビードプレスローラが取付けられている。すなわち、ディマウント爪とビードプレスローラは対を成して取着部に取付けられている。そして、ディマウント爪とビードプレスローラはその上下位置を変えることが出来るように、水平ガイド軸を中心として回転できるように装着されている。
上記ディマウント爪とビードプレスローラを取付けた水平ガイド軸はスライドしてディマウント爪及びビードプレスローラの位置をタイヤサイズに応じて変えることが出来る。その為に、水平ガイド軸は水平軸受けに嵌って支持され、水平軸受けは縦軸受けに取着され、縦軸受けはガイドポストに沿って昇降動することが出来る。そして、同じガイドポストには別の縦軸受けが昇降出来るように取付けられ、該縦軸受けにはビードアップローラを先端に回転可能に軸支した水平ガイド軸がスライドすることが出来る水平軸受けが取付けられている。
上ビードが外されたならば下ビードが外されるが、該下ビードはビードアップローラにて持ち上げながら回転すれば簡単に外れる。本発明は下ビードの取外し方法に関しては対象としておらず、他の方法を用いることは自由である。ディマウント爪及ビードプレスローラ、並びにビードアップローラはガイドポストに沿って昇降動するが、縦軸受けが分離して設けていることで、その動きは互いに独立している。
ところで、ディマウント爪を降下してタイヤ上ビードを外側溝に係合し、そしてディマウント爪を上昇する手段としてエアシリンダーを用いている。ディマウント爪の外側溝にタイヤ上ビードを係合して上昇し、内側溝をホイールの耳部に係合した状態でエアシリンダー内のエアー圧を抜取るように制御している。
本発明のタイヤ上ビードの取外し方法を用いることで、ディマウント爪を使用してタイヤ上ビードの取外しを簡単に、しかも短時間で行うことが出来る。すなわち、ディマウント爪をガイドポストに沿ってエアシリンダーの動作により降下し、該ディマウント爪の外側溝に上ビードを係合させる。この状態でディマウント爪を上昇するならば該ディマウント爪の内側溝にホイール耳部が係合し、そして、ホイールが回転すれば上ビード全体がホイールから外れる。
ここで、ディマウント爪の外側溝に係合した上ビードが外れないように、ビードアップローラにてタイヤ下側面を押し上げることが出来る。勿論、タイヤの種類によっては上ビードを取り外す際にビードアップローラを使わない場合もあるが、特にホイール幅に対して幅の小さい外し難いタイヤを装着している場合には、ビードアップローラにてタイヤ下側面を押し上げるならば、上ビードはディマウント爪の外側溝から外れることなく取り外される。
ここで、ディマウント爪の内側溝をホイール耳部に係合させることでディマウント爪の位置決めが行われる。しかし、ホイールが回転して上ビードの大部分がホイールから外されるならば、タイヤ上ビードを押下げる力が小さくなり、エアシリンダーによるディマウント爪を上昇させる力が勝って、ディマウント爪はホイール耳部から外れてしまう。そこで、本発明ではエアシリンダーのエアー圧を抜くことでディマウント爪が耳部から外れることはなく、上ビードを安全に外すことが出来る。
このように、従来装置のようにレバーを使用してタイヤ爪に上ビードを係合させる必要がなく、ディマウント爪が降下すると共にその向きを変えることで、上ビードは外側溝に必然的に係合することが出来る。従って、作業者の熟練は不要となり、ディマウント爪の昇降動作とホイールの回転だけで、ホイール及び上ビードをキズ付けることなく簡単にタイヤの上ビードが外される。
タイヤ着脱装置の平面図。 タイヤ着脱装置の正面図。 ホイールにタイヤを装着する工程。 ディマウント爪を上側ビードに押圧する場合。 ディマウント爪を揺動して先端をホイールに近づける工程。 ディマウント爪の外側溝に上ビードが係合した状態。 ディマウント爪を上昇して上ビードをホイール耳部から離脱した場合。 ディマウント爪を昇降動させるエアシリンダーのエアー回路。 ビードアップローラにてタイヤ下側面を押上げてタイヤ上ビードを外す場合。 タイヤの軽点をホイールバルブに位置合わせする作業工程。
図1、図2は本発明に係るタイヤ上ビードの取外しが出来るタイヤ着脱装置を表している外観図であり、図1は平面図、図2は正面図を示している。同図の1はタイヤ爪、2は回転テーブル、3はビードプレスローラ、4はディマウント爪、5は押え部材、9はビードアップローラを夫々表している。回転テーブル2にはツメ6,6・・・が取付けられ、これら各ツメ6,6・・・は回転テーブル2の下側に取付けているエアシリンダーにて作動することが出来、回転テーブル2に載置されるホイールを固定することが出来る。
そして、本体の両側には別のエアシリンダー8、7、34が取付けられ、該エアシリンダー8、7、34が作動することで上記押え部材5、ビードプレスローラ3とディマウント爪4、及びビードアップローラ9を昇降動することが出来る。ビードアップローラ9は上記ビードプレス3とは互いに独立して昇降動することが出来るように、2本のエアシリンダー34とエアシリンダー7を別々に用いている。そして、タイヤ爪1は縦ガイドポール10の下端に固定され、縦ガイドポール10は縦軸受け12に嵌って昇降動可能と成っている。
本体中央には支柱11が垂直に起立し、該支柱11の上端には水平軸受け13が設けられ、この水平軸受け13には水平ガイドポール14がスライド可能に嵌っている。従って、タイヤ爪1は縦ガイドポール10と水平ガイドポール14を伸縮させることで、あらゆるタイヤサイズに応じてその位置を変えることが可能である。すなわち、あらゆるサイズのタイヤビードに係止することが出来る。
ところで、このタイヤ着脱装置を用いてホイールにタイヤを装着し、又タイヤをホイールから取外すことが出来る。
(タイヤ装着工程)
(1)ホイールを回転テーブルに固定する。
回転テーブル2には4個のツメ6,6・・・が取付けられ、エアシリンダーを作動することで各ツメ6,6・・・は移動し、回転テーブル2の上に載置したホイール20が固定される。
(2)タイヤ21をホイール20の上に配置する。
(3)タイヤ21の下ビードを嵌める。
タイヤ下ビードをタイヤ爪1に係止し、この状態で回転テーブル2と共にホイール20及びタイヤ21を回転すればタイヤ下ビードはホイール20に嵌る。この場合、上ビードはフリーな状態である為に、扁平タイヤやランフラットタイヤ、又はホイール幅に対して幅の小さい外し難いタイヤであっても比較的容易に嵌る。
(4)タイヤ上ビードを嵌める。
この場合も、上ビードをタイヤ爪1に係止し、この状態で回転テーブル2と共にホイール20及びタイヤ21を回転すればタイヤ上ビードはホイール20に嵌るが、上ビード部付近をビードプレスローラ3にて押圧する。この状態を図3に示している。そして、必要に応じて押え部材5をタイヤの上側面に当てて回転する。押え部材5を当てることで一旦嵌ったタイヤ上ビードがホイール20から外れることはなく、タイヤ21が一回転することで全周を嵌めることが出来る。該押え部材5はガイドポスト16に沿って上下動する基部15から継手を介して連結した3本のリンク17,18,19が繋がれることで、タイヤ21の上側面に押え部材5を当てた状態で該タイヤ21と共に回転することが出来る。
本発明は、特に扁平タイヤやランフラットタイヤ、及びホイール幅に対して幅の小さい外し難いタイヤの場合に作業が容易でない上ビードの取外しを特別な熟練を必要としないで行うことが出来る方法、並びに取外し装置であり、以下に各行程を詳しく説明する。
(タイヤ上ビードの取外し工程)
(1)ホイールの固定。
タイヤ21が装着されているホイール20を回転テーブル2に複数のツメ6,6・・・を介して固定する。この場合、回転テーブル2に載置するに際して、ホイール20に固着しているタイヤビードはビードブレーカ38を使って外されるが、エアシリンダーを作動してツメ6,6・・・を回転テーブル2の中心側へ移動してもタイヤ21が邪魔してツメ6,6・・・はホイール外周に係止し難い。すなわち、タイヤビードがホイール20から外れて固着状態は解除されても、ホイール20との間に隙間がなくて、ツメ6,6・・・は該ホイール外周に係止出来ない。そこで、押え板39ホイール中央に当てて押圧するならば、ツメ6,6・・・に載っているタイヤ21に対して該ホイール20は降下し、タイヤ下ビードとの間に空間が形成され、この状態でエアシリンダーを作動するならば、ツメ6,6・・・は中心側へ移動してホイール外周に係止することが出来、該ホイール20は回転テーブル2に固定される。
(2)ディマウント爪4の先端にてタイヤ21の上ビード部付近を押圧する。
図4はディマウント爪4の先端にてタイヤ上ビード部付近を押圧している場合である。ところで、ディマウント爪4は角形断面の水平ガイド軸22の先端に取着され、そして軸33を中心として揺動することが出来る。又水平ガイド軸22の先端には取着部40が設けられ、この取着部40にディマウント爪4と対を成してビードプレスローラ3が回転可能に軸支されている。そして、エアシリンダー25とバネ26が取付けられていて、該エアシリンダー25が作動してピストンロッドが突出するならば、ディマウント爪4の先端はホイール20から遠ざかり、エアシリンダー25がOFFになればバネ26のバネ力によってディマウント爪4の先端はホイール20に接近する。
上記角形断面の水平ガイド軸22はホイール20の中心部に向いて延び、ホイール20の外径に応じて水平ガイド軸22はスライドすることが出来る。すなわち、ディマウント爪4の先端がタイヤ上ビード23付近を押圧するように水平ガイド軸22はスライドして所定の位置でロックされる。水平ガイド軸22は水平軸受け28に取付けられ、所定の位置でロックすることが出来るように、エアシリンダー29にて作動するロック板30を備えている。
図4(b)に部分拡大図を示しているように、ホイール20の耳部24に接近した位置にディマウント爪4を配置しているが、軸受け28が取付けられている基部27がガイドポスト(図示なし)に沿って降下することでディマウント爪4の先端は上ビード部付近を押圧して変形させることが出来る。ここで、基部27の降下はエアシリンダー34の作動にて行われる。しかし、この位置にて該ディマウント爪4を降下して上ビード部付近を押圧しても、タイヤ上側部は変形するが、タイヤ上ビード23がディマウント爪4に係合することは出来ない。
(3)ディマウント爪の揺動。
ディマウント爪4をタイヤ21の上ビード部付近を押圧するならば、該タイヤ上ビード23は変形する。しかし、上記の通り、このままディマウント爪4を降下しても外側溝31に上ビード23は係合しない為に、ある程度降下したところでディマウント爪4の向きを変える。すなわち、図5に示すようにディマウント爪4の先端をホイール20に接近させ、この状態でさらに降下するならば外側溝31に上ビード23が係合することが出来る。ディマウント爪4の向きを最初から所定の角度にしたのでは、ディマウント爪4の先端がホイール耳部24に当るために、同図のように先端部が耳部24の下側に降下したところで向きが変えられ、先端は上ビード23に接近する。
ここで、ディマウント爪4は向きを変えるために軸33を中心として揺動可能に軸支されている。エアシリンダー25のピストンロッドを突出させるならばディマウント爪4の先端はホイールから遠ざかり、逆にOFFにしてピストンロッドが後退すれば、バネ26のバネ力が作用してディマウント爪4の先端はホイールに近づくことが出来る。すなわち、ディマウント爪4の先端部をホイール20の耳部24に接近させ、先端を上ビード23に近づけた状態でさらに押圧・降下させる。
(4)ディマウント爪の外側溝に上ビードが係合。
ディマウント爪4の向きを変えて先端部を耳部24に接近させ、この状態で押圧降下するならば、図6に示すように上ビード23は外側溝31に係合する。
(5)上ビードの離脱。
ディマウント爪4の外側溝31に上ビード23が係合したところで、ディマウント爪4は上昇する。そして上ビード23はホイール20の耳部24から離脱する。この場合、エアシリンダー25はOFFの状態で、ディマウント爪4にはバネ力が付勢されて、その為にディマウント爪4の先端部はホイール側へ近づく方向に揺動するが、先端部はホイール20の外周に沿って揺動しながら上昇する。
(6)ディマウント爪の内側溝が耳部に係合。
先端部をホイール側に近づくバネ力が付勢された状態でディマウント爪4が上昇するならば、図7に示すように該ディマウント爪4の内側溝32はホイール耳部24に係合する。従って、ディマウント爪4の先端部はホイール20の耳部24に内側溝32が係合することで位置決めされる。
(7)エアシリンダーのエアー抜き。
ディマウント爪4はタイヤ上ビード23を外側溝31に係合した状態で上昇し、内側溝32をホイール耳部24に係合させる。この状態でタイヤ上ビード23によって押下げる力とエアシリンダー34によって上昇する力がバランスした状態で耳部24に係合することになる。すなわち、エアシリンダー内にはピストン36を押上げようとするエアー圧が作用している訳で、本発明では上ビード23が外れる過程においてエアシリンダー34による上昇力とのバランスが崩れることから該エアシリンダー内のエアー圧を抜取る。
図8は上記ディマウント爪4を昇降動するエアシリンダー34と切替弁35を示している。(a)はタイヤ上ビード23がディマウント爪4の外側溝31に係合して、エアシリンダー34によって持ち上げられている状態を示している。そして、ディマウント爪4の内側溝32はホイール耳部24に係合している。この場合、エアシリンダー34のピストン36には押上げるエアー圧が作用している。
この状態で、ホイール20と共にタイヤ21が回転するならば、上ビード23はホイール20から外されてゆくが、その結果、ホイール20に嵌っている上ビード23の領域は減少してディマウント爪4を押下げる力は次第に小さくなり、遂にはエアシリンダー34のピストン36によって圧縮されているエアーが膨張してディマウント爪4の内側溝32は耳部24から外れる。上記切替弁35はこの現象を防止する為に、ディマウント爪4が上昇して耳部24に内側溝32が係合したところでボタン37を押圧してエアシリンダー34内のエアー圧を抜くことが出来る。
ただし、耳部24に内側溝32が係合していることで、ディマウント爪4が降下することはない。すなわち、内側溝32の形状は上昇し易いが降下しないように成っている。図8(b)はボタン37を押圧することで切替弁35が切り換り、エアシリンダー34のエアー圧は抜かれた状態を示している。
(8)上ビードの取外し。
外側溝31は内側溝32より高い位置にあり、すなわち、内側溝32が耳部24に係合している状態では、外側溝31に係合している上ビード23は耳部24より高い位置にあってホイール20から離脱している。従って、この状態でホイール20及びタイヤ21が回転するならば、上ビード23の全周はホイール20から取外される。ここで、エアシリンダー34のエアー圧が抜取られている為に、タイヤ21が回転してタイヤ上ビード23がホイール20から外されることで、ディマウント爪4を押下げる力は小さくなっても、ディマウント爪4がホイール耳部24から外れることはない。すなわち、上ビード23を安全に外すことが出来る。
ところで、普通のタイヤであるならば、ディマウント爪4がホイール20の耳部24に係合した状態でホイール20及びタイヤ21が回転することで、タイヤ上ビード23は外されるが、扁平タイヤ、ランフラットタイヤ、特にホイール幅に対して幅の小さい外し難いタイヤの場合、ディマウント爪4の外側溝31に係合したタイヤ上ビード23は離脱してしまう場合がある。そこで、本発明ではタイヤ下側面をビードアップローラ9によって押上げながらタイヤ上ビード23を取外すことが出来る。
図9はビードアップローラ9によってタイヤ下側面41を押し上げた状態を示している実施例であり、本発明のタイヤ着脱装置ではディマウント爪4及びビードプレスローラ3の昇降動とビードアップローラ9の昇降動は互いに独立して作動することが出来る。従って、同図に示すようにディマウント爪4はその外側溝31にタイヤ上ビード23を係合すると共に内側溝32をホイール20の耳部24に係合した状態で回転し、しかもビードアップローラ9を下方から上昇してタイヤ下側面41を押上げることが出来る。その結果、タイヤ上ビード23はディマウント爪4の外側溝31から離脱することなく、回転に伴ってホイール20から外される。
(9)下ビードの取外し。
上ビード23がホイール20から外されたタイヤ21は、ビードアップローラ9をタイヤ21の下側面41に押し当ててタイヤ21を回転させるならば、下ビードはホイール20から簡単に外れる。勿論、本発明では下ビードの取外しに関しては対象外であり、ビードアップローラ9を使用する場合に限定しない。
上記実施例では、ディマウント爪4をある程度降下したところで(タイヤ上ビード部を押圧変形させたところで)、その向きを変えて先端をホイール20に近接させているが、ディマウント爪4を揺動することなく、ある程度降下した位置で水平ガイド軸22をスライドさせて先端をホイール20に近接させることも出来る。ただし、ディマウント爪4が全く回転しないように固定したのでは上ビード23を係合して上昇する場合には耳部24が障害と成る為に、先端が耳部24に接したならばバネ26を圧縮して押戻されるように揺動することは必要となる。
図10はビードプレスローラ3とビードアップローラ9によってタイヤ21の上側面42と下側面41を挟み、タイヤ21の軽点をホイール20に設けているエアバルブの位置に合わせる工程を示している。タイヤ21はドウナツ型であるが、完全に重量がバランスしている訳ではなく、軽点が存在している。この軽点はタイヤ製造メーカにて印が設けられ、この軽点をエアバルブの位置に合わせる方が好ましい。ホイール20にタイヤ21を装着した状態でのバランスが向上する。
ただし、タイヤ装着に際して軽点の位置がエアバルブの位置からズレてしまい、ホイール20に完全に嵌った状態ではタイヤ21だけを回転することは容易でなく、その為に同図のようにビードプレスローラ3とビードアップローラ9にてタイヤを挟み込んで固定し、この状態で回転テーブル2と共にホイール20を回すことでタイヤ21の軽点をホイール20のエアバルブ位置に合わせることが出来る。
1 タイヤ爪
2 回転テーブル
3 ビードプレスローラ
4 ディマウント爪
5 押え部材
6 ツメ
7 エアシリンダー
8 エアシリンダー
9 ビードアップローラ
10 縦ガイドポール
11 支柱
12 縦軸受け
13 水平軸受け
14 水平ガイドポール
15 基部
16 ガイドポスト
17 リンク
18 リンク
19 リンク
20 ホイール
21 タイヤ
22 水平ガイド軸
23 上ビード
24 耳部
25 エアシリンダー
26 バネ
27 基部
28 軸受け
29 エアシリンダー
30 ロック板
31 外側溝
32 内側溝
33 軸
34 エアシリンダー
35 切替弁
36 ピストン
37 ボタン
38 ビードブレーカ
39 押え板
40 取着部
41 タイヤ下側面
42 タイヤ上側面


















Claims (3)

  1. 回転テーブルにホイールを固定し、該ホイールと共にタイヤを回転することでタイヤ上ビード取外す方法において、ディマウント爪はその位置を高くした外側溝と位置を低くした内側溝を先端部に形成し、このディマウント爪をタイヤの上ビード部付近に押圧して変形させ、タイヤ上ビードを外側溝に係合し、その後ディマウント爪を上昇させて内側溝をホイールの耳部に係合し、そして、ディマウント爪を昇降動させる為のエアシリンダーのエアー圧を切替弁を切り替えることで抜取り、この状態でタイヤ下側面をビードアップローラにて押上げ、ホイールと共にタイヤを回転させることでタイヤ上ビードを取外すことを特徴とするタイヤ上ビードの取外し方法。
  2. 上記ディマウント爪が上ビード部付近を押圧して先端部がホイール耳部より下側に降下したところで、ディマウント爪を揺動させてその先端をホイール側へ接近し、そして該ディマウント爪をさらに押圧して変形させることで外側溝にタイヤ上ビードを係合させるようにした請求項1記載のタイヤ上ビードの取外し方法。
  3. 上記ディマウント爪は揺動可能に軸支され、エアシリンダーの動作によって先端をホイールから遠ざける方向に揺動し、エアシリンダーをOFFにすることでバネ力によってホイール側へ先端が近づくように揺動可能に制御した請求項1、又は請求項2記載のタイヤ上ビードの取外し方法。
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