本実施の形態は、尿中に含まれる赤血球、白血球、上皮細胞等の検査(尿沈査の検査)を行う臨床検体検査装置に本発明を適用したものである。これらの検査は、他の検査装置によって尿蛋白、尿糖等の検査(尿定性の検査)が行われた結果、さらに尿沈査の検査が必要であるとされた検体について行われる。本実施の形態では、異なる検体を収容する複数の検体容器がラックにセットされ、このラックが検体検査装置にセットされて各検体の検査が行われる。
1.第1の実施形態
以下、第1の実施形態に係る検体検査装置について、図面を参照して説明する。本実施の形態では、ラックが、ユーザの手によって検体検査装置にセットされる。
図1は、検体検査装置1を含むシステム全体の構成を示す図である。本実施の形態に係る検体検査装置1は、測定装置10、情報処理装置20および搬送装置30からなっている。なお、同図の実施の形態では、測定装置10と情報処理装置20がケーブル40で接続されるよう構成されているが、情報処理装置20が測定装置10に組み込まれるように構成することもできる。
図2は、測定装置10および搬送装置30の外観斜視図である。測定装置10は、ノズル11と、回転器12a、12bと、回転支持器13と、バーコードリーダ14を備えている。搬送装置30は、測定装置10の前面に装着されており、搬送路31を備えている。ラック50は、複数の検体容器51を収容している。各検体容器51の側面には、検体を特定するためのバーコードラベルが貼付されている。
搬送路31の底面は、金属製の平板によって構成されている。ラック50に収容された複数の検体容器51は、搬送装置30のラック押出し機構部およびラック横送り機構部によって、搬送路31上を搬送される。なお、搬送装置30のラック押出し機構部およびラック横送り機構部については、追って図3および図4を参照して説明する。
ノズル11は、搬送路31上の吸引位置にある検体容器51から検体を吸引する。ノズル11は、吸引動作時に、測定装置10内から同図破線で示す位置に移動され、この位置で上下方向に駆動されることにより、吸引位置にある検体容器51に対して挿脱される。回転器12a、12bおよび回転支持器13は、円柱形の滑り止め部材を有する。回転器12a、12bと回転支持器13は、バーコードリーダ14と対向する位置の検体容器51を側面方向から挟み込み、かかる検体容器51をラック50内で周方向に回転させる。これにより、検体容器の側面に付されたバーコードが、バーコードリーダ14に対して向かい合わせにされる。バーコードリーダ14は、検体容器51の側面に付されたバーコードを読み込む。回転器12a、12b、回転支持器13およびバーコードリーダ14については、追って図3および図4を参照して説明する。
図3は、搬送装置30を示す図である。同図(a)および(b)は、それぞれ、搬送路31および搬送装置30を上方から見た場合の平面図であり、同図(c)は、ラック50およびセンサ32の部分を上方から見た場合の平面図である。同図(d)ないし(f)は、ラック押出し機構部33の構成を示す図である。
同図(a)を参照して、搬送路31は、右槽領域31aと左槽領域31bを有し、右槽領域31aと左槽領域31bとは、連結領域31cによって連結されている。連結領域31c中央の、ノズル11に対向する位置(吸引位置)において、検体容器51から検体が吸引される。また、右槽領域31aの最手前位置(Y軸負方向の端部位置)には、検体容器51をセットするための位置(以下、「受入位置」という)が設定されている。なお、ラック50は横方向(X軸方向)に複数の検体容器51を収容しているため、個々の検体容器51の受入位置は、横方向(X軸方向)に一列に並ぶこととなる。
次に、同図(b)を参照して、搬送装置30の構成について説明する。
搬送装置30は、搬送路31に加えて、センサ32と、ラック押出し機構部33と、フォトインタラプタ34と、スイッチ35と、横送り機構部36と、スイッチ37と、ラック押出し機構部38を備えている。なお、同図には、便宜上、ノズル11と、回転器12a、12bと、回転支持器13と、バーコードリーダ14が、併せて図示されている。
センサ32は、検体容器51が受入位置にセットされているかどうかを判別する。センサ32は、同図(c)に示す如く、発光部32aと受光部32bを有する。受入位置にラック50がセットされると、発光部32aからの光が、ラック50の側面によって反射され、受光部32bによって受光される。受入位置にラック50がセットされていないとき、発光部32aからの光は受光部32bによって受光されない。これにより、受入位置におけるラック50(検体容器51)の存在が検出される。
同図(b)に戻って、ラック押出し機構部33は、搬送路31の裏側に位置し、Y軸正方向に駆動する。また、ラック押出し機構部33は、ラック50をY軸正方向に押すためのツメ33a、33bを有する。さらに、ラック押出し機構部33は、同図の位置においてフォトインタラプタ34の発光部と受光部の間の隙間(検出ギャップ)に挿入される遮蔽部(図示せず)を有する。ラック押出し機構部33がY軸正方向に駆動することにより、ラック50がツメ33a、33bに押されて右槽領域31aをY軸正方向に移動される。なお、ラック押出し機構部33の構成については、追って同図(d)ないし(f)を参照して説明する。
フォトインタラプタ34は、ラック押出し機構部33が、最手前位置(図示のラック押出し機構部33の位置)にあるかどうかを判別する。すなわち、フォトインタラプタ34の検出ギャップに、ラック押出し機構部33の遮蔽部が入ることにより、ラック押出し機構部33が、最手前位置にあることが検出される。フォトインタラプタ34については、追って同図(f)を参照して説明する。
スイッチ35は、ラック50が右槽領域31aの最奥にあるかどうかを検出する。すなわち、ラック押出し機構部33により、Y軸正方向に押出されたラック50は、右槽領域31aの最奥まで移動されると、ラック50のY軸正方向の側面によりスイッチ35が押される。これにより、右槽領域31aの最奥にラック50が到達したことが検出される。
横送り機構部36は、Y軸に平行な軸の周りに回転するツメ36a、36bを有している。これらのツメ36a、36bは、所定の回転ストロークにおいて、搬送路31の上面から僅かに突出し、搬送路31に沿って、右方向から左方向(X軸正方向)へと移動する。このとき、ラック50の底面部にツメ36a、36bが掛かることにより、右槽領域31aの最奥にあるラック50が、左方向(X軸正方向)へと送られ、連結領域31cを通って左槽領域31bの最奥に移動される。
スイッチ37は、ラック50が左槽領域31bの最奥にあるかどうかを検出する。すなわち、横送り機構部36によって、ラック50が左槽領域31bの最奥まで移動すると、ラック50のX軸正方向の側面によってスイッチ37が押される。これにより、左槽領域31bの最奥にラック50が到達したことが検出される。
ラック押出し機構部38は、搬送路31の左槽領域31b内を、Y軸方向に駆動する。ラック押出し機構部38がY軸正方向に駆動されることにより、左槽領域31bの最奥にあるラック50が、Y軸負方向に押出される。
次に、ラック押出し機構部33の構成について説明する。
同図(d)を参照して、ラック押出し機構部33は、上記ツメ33a、33bに加えて、回転軸33c、33dと、バネ33e、33fと、ストッパ33g、33hと、遮蔽部33iと、ベース板33jを有する。
ベース板33jには、回転軸33c、33dを介して、ツメ33a、33bが回転可能に装着されている。ツメ33a、33bは、それぞれ、バネ33e、33fによって、反時計方向および時計方向に付勢され、ストッパ33g、33hに押し付けられている。
同図の状態からツメ33a、33bにY軸負方向の力が加わっても、ツメ33a、33bは回転することはない。逆に、同図の状態からツメ33a、33bにY軸正方向へ力が加わると、同図(e)の如く、ツメ33a、33bは、それぞれ、バネ33e、33fの付勢に抗して、時計回りおよび反時計回りに回転する。
同図(f)は、ラック押出し機構部33をY軸負方向から見た図である。ツメ33a、33bは、搬送路31の底面よりも上側(Z軸正方向)に位置しており、ベース板33jは、搬送路31の底面よりも下側(Z軸負方向)に位置している。
遮蔽部33iは、ベース板33jの下面に配されている。上記のとおり、遮蔽部33iは、ラック押出し機構部33が最手前位置にあるときに、フォトインタラプタ34の検出ギャップ内に位置づけられる。こうして、ラック押出し機構部33が、最手前位置にあることが、フォトインタラプタ34からの出力から検出される。
図4は、ラック50の搬送動作を示す図である。同図(a)ないし(c)は、それぞれ、右槽領域31a、連結領域31c、左槽領域31bにおけるラック50の移動動作を示す平面図である。
同図(a)を参照して、ラック50は、ラック押出し機構部33のツメ33a、33bにより、手前側の側面を押され、Y軸正方向に移動される。ラック押出し機構部33は、ラック50を右槽領域31aの最奥まで押出した後、再び最手前位置に戻される。このとき、右槽領域31aに他のラック50が存在すると、移動の途中でツメ33a、33bに他のラック50に当接する。しかし、この場合には、図3(e)に示す如く、ツメ33a、33bがバネ33e、33fに抗して回動するため、ラック押出し機構部33は、最手前位置まで円滑に戻ることができる。
同図(b)を参照して、このように搬送されたラック50は、次に、横送り機構部36(同図には図示せず)のツメ36a、36bにより、連結領域31c上を左方向(X軸正方向)に移動される。検体容器51が、バーコードリーダ14に対向する位置に来ると、検体容器51の側面に付されたバーコードがバーコードリーダ14によって読み取られる。このとき、まず、回転器12a、12bが、検体容器51と接する位置までY軸負方向に移動され、その後、回転される。これにより、検体容器51が、回転器12a、12bと回転支持器13に支えられながら、周方向に回転する。検体容器51に付されたバーコードがバーコードリーダ14に正対するときに、バーコードがバーコードリーダ14によって読み取られる。
なお、バーコードリーダ14にて読み取られた情報は、図1で示した情報処理装置20に送信される。情報処理装置20は、受信したバーコード情報とともに、当該検体に対する検査の要否と検査項目の問い合わせを、ホストコンピュータ2に送信する。これを受けて、ホストコンピュータ2から検査の要否と検査項目が情報処理装置20に送信される。当該検体に対する検査が必要である場合、情報処理装置20から測定装置10に、検査の実行と測定項目が送信される。これを受けて、測定装置10は、当該検体を収容した検体
容器51が吸引位置に来たところで、ノズル11による検体の吸引を行い、当該検体の測定を行う。この動作は、ラック50内の全ての検体容器51に対して行われる。
こうして、ラック50が横送り機構部36によって左槽領域31bの最奥に送られると、最後に、ラック50は、同図(c)に示す如く、ラック押出し機構部38により、Y軸負方向に押出される。これにより、右槽領域31aから左槽領域31bに移動されたラック50が左槽領域31bの最奥で停留することがないため、次のラック50を横送り機構部36によって円滑に送ることができる。
図5は、測定装置10内の流体ユニットの構成を示す流体回路図である。図示の如く、流体ユニットは、チャンバ、複数の電磁弁、ダイヤフラムポンプ等を備えている。チャンバ15は、測定試料の調製に使用される。上記ノズル11で吸引された検体は、チャンバ15に送られる。
チャンバ15は、希釈液を収容する試薬容器RC1と、染色液を収容する試薬容器RC2とにチューブ等の流体通流路P1、P2を介して接続されている。チャンバ15と試薬容器RC1とを繋ぐ流体通流路P1の途中には、電磁弁SV19、SV20が設けられており、また電磁弁SV19、SV20の間には、ダイヤフラムポンプDP4が設けられている。ダイヤフラムポンプDP4は、陽圧源Pおよび陰圧源V(陽圧源Pおよび陰圧源Vにより空圧源(図6参照)が構成される)が接続されており、ダイヤフラムポンプDP4を陽圧駆動および陰圧駆動することができるようになっている。また、チャンバ15と試薬容器RC2とを繋ぐ流体通流路P2の途中には、電磁弁SV40、SV41が設けられており、また電磁弁SV40、SV41の間には、ダイヤフラムポンプDP5が設けられている。
これら電磁弁SV19、SV20、SV40、SV41およびダイヤフラムポンプDP4、DP5を測定装置10内の制御部が次のように制御して、希釈液および染色液がチャンバ15に供給される。なお、制御部については、追って図6を参照して説明する。
まず、ダイヤフラムポンプDP4よりも試薬容器RC1側に配されている電磁弁SV19を開放し、ダイヤフラムポンプDP4よりもチャンバ15側に配されている電磁弁SV20を閉止した状態で、ダイヤフラムポンプDP4を陰圧駆動することにより、試薬容器RC1から希釈液が定量分取される。その後、電磁弁SV19を閉止し、電磁弁SV20を開放させ、ダイヤフラムポンプDP4を陽圧駆動することにより、定量された希釈液がチャンバ15に供給される。
同様に、ダイヤフラムポンプDP5よりも試薬容器RC2側に配されている電磁弁SV40を開放し、ダイヤフラムポンプDP5よりもチャンバ15側に配されている電磁弁SV41を閉止した状態で、ダイヤフラムポンプDP5を陰圧駆動することにより、試薬容器RC2から染色液が定量分取される。その後、電磁弁SV40を閉止し、電磁弁SV41を開放させ、ダイヤフラムポンプDP5を陽圧駆動することにより、定量された染色液がチャンバ15に供給される。このようにして、検体と試薬(希釈液、染色液)が混合され、尿の試料が調製される。
また、チャンバ15は、チューブおよび電磁弁SV4を含む流体通流路P3を介してフローセル16に接続されている。この流体通流路P3は途中で分岐しており、その分岐先に電磁弁SV1、SV3が直列接続されている。また、電磁弁SV1、SV3の間には、シリンジポンプSP2が設けられている。シリンジポンプSP2にはステッピングモータM2が接続されており、このステッピングモータM2の動作によってシリンジポンプSP2が駆動される。
また、チャンバ15とフローセル16とを繋ぐ流体通流路P3は、更に分岐しており、この分岐先には電磁弁SV29およびダイヤフラムポンプDP6が接続されている。フローセル16により尿を測定する場合には、電磁弁SV4、SV29を開放した状態でダイヤフラムポンプDP6を陰圧駆動して、チャンバ15から試料を吸引することにより、流体通流路P3に当該試料がチャージングされる。試料のチャージングが終了すると、電磁弁SV4、SV29が閉止される。その後、電磁弁SV3を開放し、シリンジポンプSP2を駆動することにより、チャージングした試料がフローセル16へと供給される。
図5に示すように、流体ユニットにはシース液チャンバ17が設けられており、このシース液チャンバ17がフローセル16に流体通流路P4を介して接続されている。この流体通流路P4には、電磁弁SV31が設けられている。かかるシース液チャンバ17は、フローセル16に供給されるシース液を貯留するためのチャンバであり、チューブ、電磁弁SV33を含む流体通流路P5を介して、シース液が収容されたシース液容器EPKに接続されている。なお、試薬容器RC1に収容されている希釈液をシース液として用いることも可能である。
尿の測定の開始前には、電磁弁SV33が開放されてシース液がシース液チャンバ17に供給され、予めシース液チャンバ17にシース液が貯留される。そして、尿の測定が開始されるときには、前述したフローセル16への試料の供給と同期して、電磁弁SV31が開放され、シース液チャンバ17に貯留されたシース液がフローセル16へ供給される。
フローセル16は、光学式のフローサイトメータ内にあり、尿を、半導体レーザによるフローサイトメトリー法によって測定することが可能である。すなわち、レーザ光がフローセル16に照射され、その前方散乱光、側方散乱光、側方蛍光がそれぞれ光検出器によって検出される。各光検出器からの信号(アナログ粒子信号)を処理することにより、波高値やパルス幅を表す粒子データが生成される。
図6は、測定装置10および搬送装置30を含めた回路構成を示す図である。
測定装置10は、検体信号処理部111と、バーコード信号処理部112と、センサ信号処理部113と、通信部114と、駆動部制御ドライバ115と、記憶部116と、制御部117を有する。搬送装置30は、搬送駆動部131と、センサ部132と、中継基板133を有する。
検体信号処理部111は、上記フローセル16にレーザ光を照射して検出された信号を処理して粒子データを生成する。生成された粒子データは、制御部117を介して、一旦、記憶部116に記憶される。バーコード信号処理部112は、バーコードリーダ14の出力信号を処理してバーコードデータを生成する。センサ信号処理部113は、測定装置10内のセンサ系と、搬送装置30内のセンサ部132の出力信号を処理し、処理結果を制御部117に出力する。なお、測定装置10内のセンサ系には、測定装置10の電源スイッチ等が含まれる。
通信部114は、情報処理装置20の信号を処理して制御部117に出力するとともに、制御部117からの信号を処理して情報処理装置20に出力する。上記のように、バーコード信号処理部112にて生成されたバーコードデータは、通信部114から情報処理装置20に送信される。これを受けて、情報処理装置20から通信部114に対し、当該バーコードデータに対応する検体の測定要否および測定項目が送信される。これに応じて、検体の測定が行われると、その測定結果(粒子データ)が、記憶部116に一旦格納された後、通信部114から情報処理装置20に送信される。
駆動部制御ドライバ115は、制御部117からの信号をもとに、測定装置10内の空圧源および駆動系を駆動させ、また、搬送装置30内の搬送駆動部131を駆動させる。なお、測定装置10内の空圧源は、図2で示した、ノズル11や、図5で示した、ダイヤフラムポンプ等に圧力供給を行う。また、測定装置10内の駆動系には、図2で示した、ノズル11、回転器12a、12bを駆動するための駆動機構や、図5で示した、電磁弁、ステッピングモータ等を駆動させるための駆動機構が含まれる。
記憶部116は、検体信号処理部111にて生成された粒子データや、バーコード信号処理部112にて生成されたバーコードデータ等を記憶する。また、記憶部116は、制御部117の作業領域としても用いられる。制御部117は、ROMとCPUから構成され、ROMに格納された制御プログラムに従って各部を制御する。
搬送駆動部131は、駆動部制御ドライバ115からの指令をもとに駆動される。なお、搬送駆動部131には、図3で示した、ラック押出し機構部33、横送り機構部36、ラック押出し機構部38が含まれる。センサ部132は、各種センサからの出力信号を、中継基板133と、測定装置10のセンサ信号処理部113に出力する。なお、センサ部132には、図3で示した、センサ32、フォトインタラプタ34、スイッチ35、37が含まれている。中継基板133は、搬送装置30に他の搬送装置が連結され、ラック50が他の測定装置から測定装置10に搬送される場合に、センサ部132からの出力信号を、他の測定装置に出力する。
なお、情報処理装置20では、測定装置10から送信された測定結果(粒子データ)に基づいて、特徴パラメータ(粒径、粒子体積)が生成され、さらに粒度分布図およびスキャッタグラムの生成等が行われる。
図7は、情報処理装置20の回路構成を示す図である。
情報処理装置20は、パーソナルコンピュータよりなっており、本体120と、入力部128と、表示部129から構成されている。本体120は、CPU121と、ROM122と、RAM123と、ハードディスク124と、読出装置125と、I/Oインターフェイス126と、画像出力インターフェイス127を有する。
CPU121は、ROM122に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM123にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM123は、ROM122およびハードディスク124に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU121の作業領域としても利用される。
ハードディスク124には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU121に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。すなわち、ハードディスク124には、測定装置10への測定オーダ(動作命令)の送信、測定装置10で測定した測定結果の受信および処理、処理した分析結果の表示等を行う操作プログラムがインストールされている。
読出装置125は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。I/Oインターフェイス126には、マウスやキーボードからなる入力部128が接続されており、ユーザが入力部128を使用することにより、情報処理装置20にデータが入力される。また、I/Oインターフェイス126により、図1で示したように、測定装置10およびホストコンピュータ2に対して、データの送受信が可能となる。
画像出力インターフェイス127は、液晶ディスプレイ等で構成された表示部129に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部129に出力する。表示部129は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。
図8は、本実施の形態に係る休止状態への移行の処理フローを示す図である。
S1では、図6で示した制御部117により、測定装置10および搬送装置30の動作状況が監視される。
S2では、動作状況の監視において、所定の条件に合致してから、所定時間(15分)経過したかが判断される。所定時間(15分)が経過したと判断されると(S2:YES)、S3に進む。所定時間(15分)が経過していないと判断されると(S2:NO)、S1に戻って動作状況の監視が継続される。
ここで、所定の条件とは、センサ32、スイッチ35、37によって、ラック50が検知されない状態とされる。なお、かかる所定の条件は、ユーザが利用形態に合わせて設定を変更することができる。例えば、所定の条件を、センサ32、スイッチ35、37の何れかによって、ラック50が検知されない状態としても良い。また、所定時間についても、ここでは15分としたが、ユーザは利用形態に合わせて変更することができる。この変更は、情報処理装置20の入力部128から行われる。
S3では、測定装置10が休止状態となるよう移行処理が行われる。ここで、休止状態とは、図6に示した空圧源に対する電力供給が停止される状態をいう。具体的には、休止状態への移行処理が開始されると、試料等が混ざり合わないように流体ユニットの電磁弁の閉止等が行なわれ、その後、空圧源に対する電源供給が停止される。
次に、休止状態が解除され、測定が再開される場合の処理フローについて、図9ないし12を参照して説明する。
図9は、再開処理1の処理フローを示す図である。
制御部117は、情報処理装置20からの信号により、ユーザが、情報処理装置20に対して、測定開始の指示をしたかを判別する(S101)。測定開始は、情報処理装置20の表示部129に表示されたスタートボタンをユーザが選択することによって指示される。制御部117は、測定開始の指示を受け付けた場合(S101:YES)、現在の状態が休止状態かどうかを判断する(S102)。現在の状態が休止状態である場合(S102:YES)、制御部117は、S103の処理を行い、現在の状態が休止状態ではなければ(S102:NO)、S105の処理を行う。
S103において、制御部117は、情報処理装置20の表示部129に、“自動的に休止状態が解除され、検体の吸引作業が開始される”旨の表示を行わせるための信号を、通信部114を介して情報処理装置20に送信する。これにより、装置の操作に不慣れなユーザであっても、休止状態の解除後、自動的に吸引動作が開始されることが分かり、装置の前から離れても良いことが分かる。
制御部117は、続くS104にて、休止状態の解除を開始する。これにより、空圧源の駆動等の準備動作が行われる。S105では、休止状態の解除が完了したかどうか判断される。
制御部117は、休止状態の解除が完了したと判断すると(S105:YES)、搬送装置30のセンサ32からの信号により、受入位置に検体容器51(ラック50)が存在するかを判別する(S106)。検体容器51が受入位置にセットされると(S106:YES)、検体容器51内の検体を吸引できるよう、ラック50の搬送を実行する(S107)。すなわち、制御部117は、搬送装置30のセンサ部132からの信号をもとに、駆動部制御ドライバ115を介して、搬送装置30の搬送駆動部131を制御する。これにより、ラック50が移動され、検体容器51が吸引位置に位置付けられる。
その後、制御部117は、駆動部制御ドライバ115を介して、吸引位置に搬送された検体容器51から検体を吸引し、吸引した検体を、流体ユニット(図5)のチャンバ15に送液する(S108)。しかる後、制御部117は、上記の如く、フローサイトメータを用いて検体の測定を行い、さらに、測定結果を検体信号処理部111で処理して粒子データを生成する(S109)。そして、制御部117は、生成された粒子データを、通信部114を介して、情報処理装置20に送信する。
図10は、再開処理1の処理フローの一部を変更した再開処理2の処理フローを示す図である。同図のS201〜S204は、図9で示した再開処理1のS101〜S104と同じであるため、S205以降について説明する。
制御部117は、搬送装置30のセンサ32からの信号により、受入位置に検体容器51(ラック50)が存在するかを判別する(S205)。検体容器51が受入位置にセットされると(S205:YES)、検体容器51内の検体を吸引できるよう、ラック50の搬送を実行する(S206)。すなわち、制御部117は、搬送装置30のセンサ部132からの信号をもとに、駆動部制御ドライバ115を介して、搬送装置30の搬送駆動部131を制御する。これにより、ラック50が移動され、検体容器51が吸引位置に位置付けられる。
続いて、制御部117は、休止状態の解除が完了したかを判別する(S207)。休止状態の解除が完了したと判断すると(S207:YES)、制御部117は、S208の処理を行い、休止状態の解除が完了していないと判断すると(S207:NO)、制御部117は、S209の処理を行う。
S209では、検体容器51が吸引位置にあるものの、休止状態の解除が完了しておらず、検体容器51から直ちに検体を吸引することができない。このため、制御部117は、検体の吸引を待機する。
S208において、制御部117は、駆動部制御ドライバ115を介して、吸引位置に搬送された検体容器51から検体を吸引し、吸引した検体を、流体ユニット(図5)のチャンバ15に送液する。しかる後、制御部117は、上記の如く、フローサイトメータを用いて検体の測定を行い、さらに、測定結果を検体信号処理部111で処理して粒子データを生成する(S210)。そして、制御部117は、生成された粒子データを、通信部114を介して、情報処理装置20に送信する。
このように、再開処理2によれば、休止状態の完了を待たずに検体容器51が吸引位置へ搬送されるため、休止状態が解除されると直ちに検体の吸引が開始され得る。このため、再開処理2では、再開処理1に比べ、検体の吸引がより早く開始される。また、再開処理2によれば、休止状態の解除が完了するまで検体の吸引を待機するので、休止状態の解除が完了する前に検体を吸引してしまうことによる不具合の発生を確実に防止することができる。
図11は、再開処理3の処理フローを示す図である。
再開処理3は、図9に示した再開処理1の処理フローにおいて、S105とS107の間にあるS106が、S101とS102の間に配された場合の処理フローである。
この場合、制御部117が、測定開始の指示を受け付けると(S101:YES)、制御部117は、現在の状態が休止状態であるかどうかを判断する(S102)前に、搬送装置30のセンサ32からの信号により、受入位置に検体容器51(ラック50)が存在するかを判別する(S106)。これにより、制御部117が、測定開始指示を受け付けたとしても、検体容器51が受入位置にセットされていなければ、休止状態が解除されることがなくなる。
こうすると、検体容器51(ラック50)が受入位置にセットされていない状態において休止状態が解除されるのが回避され、不要な電力が消費されることを防ぐことができる。
図12は、再開処理4の処理フローを示す図である。
再開処理4は、図10に示した再開処理2において、S204とS206の間にあるS205が、S201とS202の間に配された場合の処理フローである。
この場合、制御部117が、測定開始の指示を受け付けると(S201:YES)、制御部117は、現在の状態が休止状態であるかどうかを判断する(S202)前に、搬送装置30のセンサ32からの信号により、受入位置に検体容器51(ラック50)が存在するかを判別する(S205)。これにより、制御部117が、測定開始指示を受け付けたとしても、検体容器51が受入位置にセットされていなければ、休止状態が解除されることがなくなる。
こうすると、再開処理3と同様、検体容器51(ラック50)が受入位置にセットされていない状態において休止状態が解除されるのが回避され、不要な電力が消費されることを防ぐことができる。
以上、本実施形態によれば、測定装置が非動作状態となった後所定時間が経過すると、測定装置10が休止状態となる。これにより、消費電力の大きい空圧源において不要な電力供給が低減され、検体検査装置の消費電力が低く抑えられ得る。また、測定装置10が休止状態になると、空圧源の駆動による騒音が低減され得る。
また、本実施形態によれば、制御部117が、測定開始の指示を受け付けると、休止状態が解除され、測定動作が実行される。これにより、ユーザは、検体検査装置が休止状態から測定可能状態になるのを待機する必要がなく、開始指示を行うだけで、検体に対する測定を行うことができる。
なお、再生処理3、4によれば、上記のように消費電力の削減を図ることができるが、反面、検体容器51(ラック50)が受入位置にセットされた後に休止状態が解除されるため、検体検査が開始されるまでに時間が掛かってしまう。これに対し、再開処理1、2では、検体容器51(ラック50)が受入位置にセットされる前に既に休止状態が解除されているため、検体容器51(ラック50)が受入位置にセットされた後、速やかに、検体検査を行うことができる。よって、急患時等、緊急性を優先する場合には、再開処理1、2の方が好ましい。したがって、再開処理1、2と再開処理2、3との間で再開処理のモードを切り替えられるようにしても良い。こうすると、ユーザは、たとえば、患者の少ない時間帯では消費電力モード(再開処理3、4)に設定しておき、急患の通報や受付があったときに緊急モード(再開処理1、2)に切り替えて、迅速な対応に備えることができる。
なお、上記第1の実施の形態の検体検査装置は、情報処理装置20に対する測定開始の指示を受け付けると、休止状態を解除するとともに検体を測定するように構成されているが、他の手段によって測定開始の指示を受け付けると、休止状態を解除するとともに検体を測定するように構成してもよい。
図13は、再開処理5の処理フローを示す図である。
再開処理5は、図11に示した再開処理3の処理フローにおいて、S101を削除した場合のフローである。
この場合、制御部117は、搬送装置30のセンサ32からの信号により、受入位置に検体容器51(ラック50)が存在するかを判断する(S106)。制御部117は、検体容器51(ラック50)が存在すると判断した場合(S106:YES),S102以降の処理を行い、S109において検体を測定する。なお、S102以降の処理は再開処理3と同様であるので説明を省略する。
このように、再開処理5では、検体容器51(ラック50)の存在を検知すると、すなわち、検体容器51(ラック50)の存在の検知によって測定開始の指示を受け付けると、休止状態を解除するとともに検体を測定する。
図14は、再開処理6の処理フローを示す図である。
再開処理6は、図12に示した再開処理4の処理フローにおいて、S201を削除した場合のフローである。
この場合、制御部117は、搬送装置30のセンサ32からの信号により、受入位置に検体容器51(ラック50)が存在するかを判断する(S205)。制御部117は、検体容器51(ラック50)が存在すると判断した場合(S205:YES),S202以降の処理を行い、S209において検体を測定する。なお、S202以降の処理は再開処理4と同様であるので説明を省略する。
このように、再開処理6では、検体容器51(ラック50)の存在を検知すると、すなわち、検体容器51(ラック50)の存在の検知によって測定開始の指示を受け付けると、休止状態を解除するとともに検体を測定する。
なお、上記の他、測定開始の指示は、上位コンピュータからの信号の受信によって受け付けられてもよい。上位コンピュータからの信号としては、測定が必要であることを示す情報と、測定が必要な測定項目を示す情報とを含む測定オーダが挙げられる。
また、測定開始の指示は、バーコードリーダが検体容器に付されたバーコードを読み込むことによって受け付けられてもよい。
2.第2の実施形態
第2の実施形態に係る検体検査装置について、図面を参照して説明する。本実施の形態では、検体ラックが、自動的に検体検査装置にセットされる。なお、本実施形態では、第1の実施形態で示した構成については、説明を省略する。
図15は、検体検査装置1を含むシステム全体の構成を示す図である。本実施の形態に係る検査システムは、第1の実施形態に係る検体検査装置1に加え、測定装置60と搬送装置70からなる他の検体検査装置を含んでいる。
測定装置60は、検体容器内に収容された検体を吸引し、吸引した検体について、定性分析(尿蛋白、尿糖等の検査)による測定を行う。個々の検体の測定結果は、ホストコンピュータ2に送信される。搬送装置70は、ラックを搬送し、ラックに保持された各検体容器を、測定装置60により吸引が可能となる位置に設置する。さらに、ラックに保持された全ての検体容器に対する検体の吸引が終了すると、ラックを、排出位置へと搬送する。排出位置に排出されたラックは、ミニブリッジ80を介して、搬送装置30の受入位置まで搬送される。
検体検査装置1の制御部117は、上記の再開処理5または6を実行する。すなわち、搬送装置70から搬送装置30の受入位置までラックが搬送されると、検体容器51(ラック50)の存在を検知し(S106(S205):YES)、S102(S202)以降の処理が実行される。これにより、ユーザは、測定装置60を介して開始指示入力を行った後、搬送装置70に検体容器51(ラック50)をセットして測定を開始させるだけで、検体検査装置1による測定を実行することができるとともに、検体検査装置1による消費電力を抑えることができる。
なお、上記2つの実施の形態では、測定対象として尿を例示したが、血液についても測定対象とされ得る。すなわち、血液を検査する検体検査装置にも本発明を適用することができ、さらに、他の検体を検査する検体検査装置に本発明を適用することができる。
さらに、本発明は、上記の臨床検体検査装置の他、臨床検体を吸引して処理する他の臨床検体処理装置にも適用することができる。たとえば、血液を吸引および送液してプレパラート上に塗布し、顕微鏡観察用の標本を作成する塗抹標本作成装置に、本発明を適用することもできる。
また、上記2つの実施の形態において、休止状態は、空圧源に対する電力供給が停止される状態とされたが、測定装置10および搬送装置30において、他の構成部に対する電力供給を停止されるようにしても良く、通常の使用状態よりも電力の消費が低減される状態であれば良い。他の構成部としては、検体および試薬等を加温する加温機構、検体および試薬等を冷却する冷却機構などが挙げられる。
また、上記2つの実施の形態において、休止状態の解除後、自動的に吸引動作が開始される場合に、情報処理装置20の表示部129に、“自動的に休止状態が解除され、検体の吸引作業が開始される”旨の表示が行われたが、かかる旨は、表示によってユーザに通知されなくても良く、例えば、音声によって通知されても良い。こうすると、他に目が離せない作業中であっても、ユーザは、かかる旨を音声によって知ることができる。
さらに、上記再開処理3〜6では、検体容器51(ラック50)が受入位置に存在することに応じて休止状態が解除されるよう構成されたが、検体容器51(ラック50)が受入位置から吸引位置までの搬送経路上の何れかに到来したときに、休止状態を解除するようにしても良い。たとえば、検体容器51(ラック50)が右槽領域31aの最奥位置に到達したことがスイッチ35により検出されたときに、休止状態を解除するようにしても良い。この場合、検体容器51(ラック50)は、受入位置へのセットがセンサ32により検出されたことにより搬送され、その後、スイッチ35により、検体容器51(ラック50)が右槽領域31aの最奥位置に到達したことが検出されたことに応じて、休止状態が解除される。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
たとえば、上記2つの実施の形態の検体検査装置は、搬送装置30により検体を吸引位置に搬送するように構成されているが、搬送装置が備えられておらず、ユーザが検体容器を吸引位置にセットするように構成された検体検査装置に本発明を適用してもよい。
また、上記2つの実施の形態では、検体容器の存在は、センサ32によりラック50の存在を検知することによって間接的に検知しているが、センサ32により検体容器51の存在を直接検知してもよい。この場合、ラック50にセットされ得る検体容器の数だけセンサ32を設けてもよいし、センサ32を1つだけ設け、ラック50が搬送されるのに伴って検体容器の存在を検知してもよい。