JP5773599B2 - 熱風発生用ヒータ - Google Patents
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Description
図6に示した碍子50は、円柱形状を有するいわゆるレンコン碍子と呼ばれるものであり、その軸方向に多数の貫通孔52、52、…が設けられ、該貫通孔52のそれぞれにニクロム線等の電熱線が配線されるものである。
この碍子50は、その適数個を軸方向に配列し、それぞれの貫通孔52の位置を合致させて重ね合わせ、熱風発生用ヒータ内に配備される。
図中右端側の気体の供給口61と、図中左端側の熱風の吐出口62を有するヒータ収納体65の内部には上記碍子50が4個軸方向(気体流通方向D)に直列に配列され、固定されている。
異常過熱防止用の熱伝対等の温度センサは、図示はしていないが、中央部分に位置する何れかの貫通孔52に配設することができる。この場合には螺旋状に巻回されたニクロム線の中心部分に挿通させて配置することとなる。
吐出温度を感知する吐出温度感知センサTは、ヒータ収納体65内の最も吐出口側に位置する碍子の前方にヒータ収納体65の外部から配設される。
かかるリング碍子は、軸方向の長さの短い円筒形状のものからなり、その中央部分には温度センサ等を挿通するための挿通孔が設けられ、その中央部分の外周部分にはニクロム線を配線するための複数の電熱線挿通部が放射状の仕切枠によって形成されたものである。
換言すれば、このリング碍子は、本発明に係る800℃以上の高温熱風発生用のヒータ用碍子とは異なるカテゴリーのものである。
風速を一定にすることができないと、各孔に配線されている電熱線の表面温度が異なってしまい、これにより全体の熱交換効率も向上させることができず、最高吐出温度に限界が出るものと考えられるのである。
碍子に配線される電熱線が、送風気体の急激増加(貫通孔を通過する風速の変化)、或は重力により、力の負荷される方向へ伸びてしまい(螺旋状に巻回された電熱線の隣接する線と線の間の距離(ピッチ)にムラが出る)、これによる異常過熱によって各貫通孔内を通過する風量が変わってしまうため、高温熱風を安全に長期にわたり吐出することが出来ない。
碍子による電熱線の保持が不十分で、機械的振動又は磁界的振動に弱い。電熱線は、碍子の貫通孔に挿通されて配線されているだけなので、碍子によって電熱線は保持又は固定等されていない。
複数の碍子の固定は、2乃至4個所の貫通孔を利用して、長軸のボルトとナットの締め着けによって行っているが、かかる貫通孔には被加熱気体を流通させることが出来ず、コンパクトに作れない。
吐出気体の温度センサは、ヒータ収納体65の吐出口側部分にその外部から配線しており、該配線が邪魔となったり、或いは見栄えがよくない。
本発明は、上記従来の熱風発生用ヒータの改良を目的とするものであって、より簡易な構成からなる熱風発生用ヒータを製作することがその課題である。
更にその軽量化、省資源化、コンパクト化、及びコスト低減化をも図り、尚且つ従来のヒータと比較してもその性能を落とすことなく、否それよりもより性能を向上させること、即ち、その送風気体への熱交換効率を向上させ、送風気体の流速又は流量もより少ないものであっても従来と同等以上の吐出気体温度を得ることができるようにすることもその課題とするところである。
ここで、碍子の外径については適宜大きくも小さくも設定することができるために、上記間隔距離を具体的な数値により限定できないため、碍子の厚みと間隔距離との相対的な比率によって特定している。
そして、碍子の厚みを例えば10mm程度の薄いものとする場合には、その間隔距離をある程度大きく、例えばその2倍の20mm程度にすることもできることが実験により確認されている。
そして、その熱変換効率の良好な領域が碍子の厚みの約1/2から約2個分の間隔であることを見い出し、この範囲が極めて良好な範囲であることに想到したのである。
そこで、請求項1においてはこの範囲を限定したのである。
更に、本発明においては、碍子の使用量を従来のものと比較すると、極めて少ないものとすることができ、つまり、各碍子間に隙間を設けているために、その碍子の使用量は大幅に少なくて済むために、省資源、軽量化、コスト減にも大いに寄与することとなるのである。
それ故、本発明においては、熱変換効率を少しでも向上させるために、この中心部分に位置する気体流通孔の最大内径を、その外周部分に位置する気体流通孔の最大内径よりも僅かに大きく設定している。
後述するが、その実施形態では、中心部分の気体流通孔の最大内径をその外周部分に設けた気体流通孔の最大内径よりも4%程大きく設計しているのである。
これにより少しの効率であるが、電熱線から送風気体への熱変換効率を高めているのである。
電熱線は、加熱されると、その硬度が低下する。ヒータ内では、供給口側よりも吐出口側が高熱と成るために、供給口側に配置される碍子間の間隔距離は吐出口側に配置される碍子間の間隔距離よりも大きい距離を取ることができ、これにより熱変換効率を向上させることができるのである。
その効果は、前記の各発明と同様である。
図1は、本発明に係る熱風発生用ヒータの概念説明図である。
本発明に係る熱風発生用ヒータは、本体部10の先端側に位置する略筒形状のヒータ収納体11と、このヒータ収納体11の内部に配備される複数の円板形状の碍子12gと、碍子12gの軸方向(気体流通方向)に穿設された多数の気体流通孔に配線されるニクロム線(電熱線)15とから成り、ヒータ収納体11の先端部(図中右端)に吐出口20が設けられ、本体部10の後端側の下方部に送風機等からの送風気体を供給する供給口22が設けられている。
それぞれの碍子12gは、この図1には表れていないが、長軸ボルトとナットにてスペーサを介して、所定間隔を空けて固定されている。
このように、複数の碍子12gが間隔を保持して1列に軸方向に略平行に配列・固定されて、それぞれの碍子12gに穿設されている複数の気体流通孔の位置が合致し、その気体流通孔内に電熱線であるニクロム線15が配線される。
また、間隔を維持して固定された複数の碍子12gは、長軸ボルト17にて本体部10の後端側の支持板に固定される。
この支持板は図1には表れていないが、この支持板には、その他ニクロム線の電源端子や、各位置に配設される温度感知センサの端子等が設けられる。
この際に各碍子12gの間に設けられた空間13内で送風気体が混合・混和され、送風気体の温度の一様化と昇温が図られ、且つまた各気体流通孔内を通過する風量の均一化にも寄与し、ニクロム線からの熱交換効率が向上するのである。
ヒータ収納体11は、ステンレス製の円筒形状のものからなり、その先端(図中右端)部には、吐出口20が設けられている。
ヒータ収納体11の内部には、リング形状のセラミックス製のリング状碍子21がその軸方向(気体流通方向)に重ね合わされて配置されている。これらは断熱を目的とするものである。
ここで使用する碍子12gについては、次図で詳述するが、その外径が約72mm、その厚み(横幅)が約25mmで、それぞれの碍子12gの間隔、つまり空間部13の横幅は約13mmとしている。
これらの碍子12gは、長軸螺子(ボルト)25とナット26と、碍子12g間に配置されるスペーサ27によって相互に固定されている。
このボルト25とナット26による固定は、碍子12gの周縁部の2箇所で固定されている。
この実施形態では、図示していないが、ヒータの最高温度を検知する最高温度検知センサ又はホットスタータ用のセンサを列設された碍子の中央部に配設している。
これらの温度センサの端子も支持板35の碍子と反対側の面に配置することができるのである。
この保護用碍子39は、やはり円板形状のセラミックス製のもので、その軸方向には、碍子12gの気体流通孔よりも小さい内径の気体流通孔が多数穿設されたものである。
尚、ここで保護用碍子39の役割は、吐出口から例えばドライバービット等の何か棒状のもの等が挿入された際にニクロム線を保護するためのものである。
この(A)図から解る通り、この碍子12gの軸方向(紙面表裏方向)には、多数の気体流通孔12が穿設されている。
より詳しくは、同心円状に中心部に3個の気体流通孔12sが、次に7個の気体流通孔12cが、一番外側に14個の気体流通孔12pが設けられている。
(以下、気体流通孔を総体的に呼称する際には、符号12を、個々のものを呼称する際には、それぞれ12s、12c、12pと指示する。)
これらから解る通り、碍子12gは、それぞれ間隔を維持してその外周縁部分の2箇所の螺子挿通孔14の部位で固定される。
また、3個の螺子挿通孔16には長軸螺子を挿通してニクロム線の端子とする。
例えば、既に説明した吐出温度検知センサは吐出口内側近傍に設け、最高温度検知センサ或いはホットスタータ用の温度検知センサ等は、列設する碍子の中間部位に設けることができ、そして、これらの端子は、供給口側の支持板に纏めて配線することができるのである。
これにより、送風気体は、ニクロム線の螺旋の内外に流通し、熱交換効率が高められる。
尚、(B)図の右半分の断面は、正面図中央部の一番内側に配列される気体流通孔12sと、その中間部に配列されている螺子挿通孔16と、一番外側に配列される気体流通孔12pの断面部分を図示したもので、同心円状に配置されているそれぞれの部位の代表としてそれぞれ図示したものである。
即ち、列設された碍子においては、電熱線が加熱されると、熱は外側に逃げて行くため、その中心部分がその周縁部分よりも約20℃乃至30度程度高温となる。そこで、より熱交換を効率よくするために、碍子の中心部分に設けた気体流通孔12s、12cの最大内径を、その外周部分に設けた気体流通孔12pの最大内径よりもほんの僅かではあるが、数値的には4%ほど大きく設計し、中心部分の気体流通孔の風量を高めるように設計したのである。
また本発明で使用している碍子は、シリカアルミナ系のセラミックス製のものを使用している。
このグラフにおいて、本発明のヒータの結果を太実線が示し、従来のものを細実線が示している。
これから解る通り、本発明に係るヒータおいては、その太線が一番右上側に来て、同一風量において一番高い吐出温度を得ることが出来るのである。
このグラフのおいても、本発明に係るヒータの結果を太実線が示し、従来のものを細実線が示している。
これから解る通り、本発明においては、その太線が一番右側に来て、同一風量において常にその圧力損失が小さいことが明瞭に判読でき、効率よく熱交換が行われることが明らかとなる。
本発明においては、このヒータで使用する碍子の配置が最も重要な技術的事項となり、この円板形状の碍子を軸方向に略平行に所定間隔を保持して1列に配列し、その碍子間の空間部の広さが非常に重要と成る。
そこで、本発明においては、各種のサイズの碍子を利用して実験を重ね、碍子の軸方向の厚みと碍子間の間隔長さについて、いろいろと試行錯誤を経て、所定の相対的な比率を導出し、その結果、碍子間の間隔長さを、碍子の厚みの略1/2から略2個分の範囲にすることにより最も熱効率が高い範囲であることを見い出したものである。
尚、ここで上記碍子とほぼ同じ外径で、その厚みを極めて薄く形成することも可能であって、例えばその厚みを10mm程度とした場合には、その間隔距離をその厚みのほぼ2倍の20mm程度として実施しても、その効率は良好な範囲内であった。
そのために、請求項1においては、碍子間の間隔距離を使用する碍子の厚みの約1/2から約2倍の範囲に特定したものである。
また、請求項3に特定した技術的事項に関し、碍子間の間隔距離を供給口側から吐出口側に向かって徐々に小さくする点についても、その間隔距離即ち空間部の長手方向距離も碍子の厚みの略1/2から2個分の範囲内で適宜自由に設計変更することができるものである。
気体流通孔の内壁に設けた突条部は、上記実施形態では、その気体流通方向に4つ設けたが、これを3つにして実施することもできる。これらの突条部は、螺旋状に巻回されたニクロム線を外側から支持するものであり、最低3つ設けておけば、ニクロム線を気体流通孔内壁面と一定の間隔を維持して保持することができるからである。
センサ挿通用の各碍子中心部に位置する気体流通孔に設けた拡張空間部は、上記実施形態では3個設けたが、最低1個の気体流通孔に設ければよい。その数により、ヒータ内の複数個所の温度検知を行うことができることとなる。
ヒータに使用する碍子の数は、ヒータ容量を考慮して適宜決定することができる。
ヒータ収納体の胴体部の外周に円筒形状の断熱カバーを設けて実施してもよい。
以上、本発明は、電熱線を固持することなく、円板形状碍子の複数のものを用いて、しかもそれらを所定間隔に維持して固定することにより、従来の熱風発生用ヒータと同等以上の性能を有するものを提供することができたものである。
11 ヒータ収納体
12g 碍子
12、12s、12c、12p 気体流通孔
12k 空間部(気体流通孔の)
12t 突条部(気体流通孔の)
13 空間部
14、16 螺子挿通孔
15 ニクロム線(電熱線)
17、30 長軸螺子
20 吐出口
22 供給口
25 長軸螺子
26 ナット
27 スペーサ
29 保護用碍子
31 電源端子
36、37 温度センサ
Claims (4)
- 一方端部分に気体の供給口(22)を設け、他方端部分には吐出口(20)を設けた略筒形状のヒータ収納体(11)の内部に碍子(12g) を配備し、碍子(12g) に設けた多数の気体流通孔(12)には電熱線(15)を配設したものから成り、送風機等から供給口(22)を介して供給された送風気体を前記碍子(12g) の気体流通孔(12)に流通させて加熱し、吐出口(20)から高温熱風を吐出する熱風発生用ヒータにおいて、
碍子(12g)を所定厚の複数の円板形状のものから形成し、気体流通孔(12)はその軸方向に設け、
これら複数の碍子(12g)を1個ずつ略平行に間隔を置いて送風方向に1列に配置し、その間隔を碍子(12g)の厚みの1/2から2個分の距離とし、
各碍子(12g) の気体流通孔(12)において、その中心部分に位置する気体流通孔(12s, 12c)の最大内径をその外周部分に位置する気体流通孔(12p)の最大内径よりも少し大きくし、
且つ、それぞれの碍子(12g) の間隔距離を供給口(22)側から吐出口(20)側に向かって徐々に小さくしたことを特徴とする熱風発生用ヒータ。 - それぞれの碍子(12g)の軸方向に貫通する螺子挿通孔(14)を設け、この螺子挿通孔(14)は前記碍子(12g)に少なくとも2つ設け、これらの螺子挿通孔(14)に長軸の螺子(25)を挿通させ、各碍子(12g)間にはスペーサ(27)を介在させてナット(26)を螺着し、各碍子(12g)を所定間隔に固定したことを特徴とする請求項1に記載の熱風発生用ヒータ。
- 電熱線(15)が配設されるそれぞれの碍子(12g)の中央部分に穿設された気体流通孔(12s)の少なくとも1つに温度センサを挿通させることができる空間部(12k)を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱風発生用ヒータ。
- 電熱線(15)が配設されるそれぞれの碍子(12g)の気体流通孔(12)の内壁に、電熱線(15)を支持する突条部(12t)を気体の流通方向に設け、この突条部(12t)を前記気体流通孔(12)の内壁に略平行に複数設け、巻回された電熱線(15)を気体流通孔(12)内でその内壁と間隔を維持して支持できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱風発生用ヒータ。
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