JP5770967B2 - アグリカン分解抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明はアグリカン分解抑制剤、アグリカナーゼ活性阻害剤及び関節軟骨細胞外基質分解抑制剤に関する。さらに本発明は、関節軟骨細胞外基質の分解に起因する症状・疾患の予防または治療剤に関する。
近年、骨関節疾患の罹患人口が増加している。骨関節疾患の多くは、年齢とともに発症者数が増加する傾向にあり、近年の高齢化に伴って、今後さらに罹患人口の急速な増加が予想される。
変形性関節症(Osteoarthritis)は骨関節疾患のひとつであり、関節軟骨の破壊、変性、消失を特徴とする進行性の疾患である。全国の患者総数は約800万人と推測されており、同じ関節疾患のひとつである慢性関節リウマチとくらべてはるかに患者数が多い。
現在行われている変形性関節症の薬物治療法のほとんどは疼痛緩和を目的とした対症療法であり、疾患の進行そのものを抑える治療法は未だ確立されていないのが現状である。また、従来用いられている治療薬には副作用の問題があるものあり、より安全で効果の高い予防、治療薬が望まれている。
軟骨組織は、軟骨細胞とそれを取り囲む細胞外基質(細胞外マトリクス)から構成される。関節軟骨細胞外基質(以下、単に軟骨基質ともいう)の主な成分は、II型コラーゲンとプロテオグリカンである。正常状態の軟骨組織では、軟骨細胞による軟骨基質コラーゲンおよびプロテオグリカンの産生と、軟骨細胞および滑膜細胞から分泌される軟骨基質分解酵素による軟骨基質分解との代謝バランスが適正に保たれている。
しかし、変形性関節症では、その初期段階において関節軟骨基質の分解・変性が観察されることから、上記軟骨組織の代謝のバランスが分解に傾いていると考えられている。具体的には、変形性関節症を発症すると、炎症性サイトカインの影響によって軟骨基質分解酵素の産生や活性が亢進し、軟骨組織の破壊を引き起こす。この軟骨組織の破壊は、関節軟骨の体外移植培養系や関節炎モデルマウスの実験により、軟骨基質のアグリカン分解がコラーゲン分解に先行することが報告されている。事実、変形性関節症患者から採取した関節液中には軟骨特異的プロテオグリカンであるアグリカンの分解産物が多く観察されている。さらにアグリカン分解は、主にアグリカンのコアタンパク質中の2箇所の特定部位における切断によって進行することが知られている。
軟骨基質を分解する酵素としては、ADAMTS(A Disintegrin And Metalloproteinase with ThoromboSpondin motifs)ファミリーに属するメタロプロテアーゼ群およびMMP(Matrix Metalloproteinase)ファミリーに属するメタロプロテアーゼ群が知られている。ADAMTSファミリーのタンパク質は、メタロプロテナーゼドメイン、ジスインテグリンドメイン及びトロンボスポンジンタイプ1モチーフを有する。これらのファミリーには、コラーゲンとアグリカンを分解するMMPや、アグリカンを分解する酵素アグリカナーゼが含まれる。具体的には、細胞外基質のコラーゲン分解には各種のMMP(MMP−1,8,13など)が、またアグリカン分解には各種アグリカナーゼ(ADAMTS−4,5,9,15など)と数種のMMP(MMP−3など)が関与すると言われている(非特許文献1参照)。
前記アグリカンのコアタンパク質中の2箇所の切断部位は、第341番目のアスパラギン残基と第342番目のフェニルアラニン残基との間(以下、Asn341−Phe342と称する)と、第373番目のグルタミン酸残基と第374番目のアラニン残基との間(以下、Glu373−Ala374と称する)とであり、前者のAsn341−Phe342はMMP−3等によって切断され、後者のGlu373−Ala374はアグリカナーゼにより切断される。
さらに近年、変形性骨関節疾患等の関節液中のアグリカン分解産物には、特にGlu373−Ala374間の切断断片が多く含まれることがわかり、アグリカナーゼが骨関節疾患における軟骨破壊において重要な役割を果たしていると考えられるようになった。
中でも、変形性関節症患者の軟骨中で、タンパク質及び遺伝子発現が確認されたアグリカナーゼADAMTS−5については、ノックアウトマウスを用いた研究で、軟骨基質の分解・変性が主としてアグリカナーゼADAMTS−5によって引き起こされること及びADAMTS−5が関節炎に関与することが報告されている(非特許文献2及び非特許文献3参照)。
Ann-Marie,et al.;THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY 277;22201-22208,2002 Glasson SS,et al.;Nature;vol.434:644-648,2005 Stanton H,et al.;Nature;vol.434:648-652,2005
本発明は、有効性が高くかつ安全なアグリカン分解抑制剤、アグリカナーゼ活性阻害剤及び関節軟骨細胞外基質分解抑制剤を提供することを課題とする。また本発明は、関節軟骨細胞外基質の分解に起因する症状または疾患の予防または治療剤を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題に鑑み、各種の食品・飲料素材を用いて、アグリカン分解を抑制する素材の探索を行った。その結果、グァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズの植物抽出物が、アグリカン分解酵素であるアグリカナーゼの活性を阻害し、軟骨基質中でのアグリカン分解を効果的に抑制することを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成させたものである。
本発明は、グァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有するアグリカン分解抑制剤に関する。
また、本発明は、グァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有するアグリカナーゼ活性阻害剤に関する。
また、本発明は、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ及びカカオからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有する関節軟骨基質分解抑制剤に関する。
さらに、本発明は、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ及びカカオからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有し、関節軟骨細胞外基質の分解によって引き起こされる症状または疾患を予防、改善するための予防剤、治療剤、食品及び飲料に関する。
本発明によれば、アグリカン分解抑制剤、アグリカナーゼ活性阻害剤及び関節軟骨細胞外基質分解抑制剤を提供することができる。また、本発明によれば、関節軟骨細胞外基質の分解によって引き起こされる症状または疾患を予防・改善するための予防剤、治療剤、機能性食品及び機能性飲料を提供することができる。さらに、本発明のアグリカン分解抑制剤、アグリカナーゼ活性阻害剤、関節軟骨細胞外基質分解抑制剤、予防剤、治療剤、機能性食品及び機能性飲料は、従来から食品・飲料素材として利用されている植物の抽出物を有効成分としているため、安全性においても優れている。
食品抽出物の濃度とアグリカン分解活性との関係を示す図である。 オールスパイス抽出物およびローズ抽出物の濃度とグリコサミノグリカン産出量との関係を示す図である。 グァバ抽出物の濃度とグリコサミノグリカン産出量との関係を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアグリカン分解抑制剤及びアグリカナーゼ活性阻害剤は、グァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有する。また、本発明の関節軟骨細胞外基質分解抑制剤は、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ及びカカオからなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有する。
グァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズの植物抽出物は、アグリカン分解酵素アグリカナーゼの活性阻害効果を有し、アグリカン分解を抑制することができる。そのため、本発明のアグリカン分解抑制剤またはアグリカナーゼ活性阻害剤を用いることで、分解に傾いていた軟骨組織内のアグリカンの代謝バランスを健常に戻し、減少した軟骨基質中のアグリカンを増加させ、高い粘弾性を有する健常な軟骨基質を取り戻すことができる。
本発明において「アグリカン」とは、主に関節軟骨の細胞外基質に存在するプロテオグリカンであって、コアタンパク質とそれを修飾するコンドロイチン硫酸及びケラタン硫酸グリコサミノグリカンとからなるものをいう。上記コアタンパク質は、N末端側に2個の球状ドメインG1及びG2を、C末端側に球状ドメインG3を持ち、G1とG2の間に球間ドメイン(IGD)を、G2とG3の間にグリコサミノグリカン結合領域を有する。アグリカナーゼによる切断部位Glu373−Ala374は球間ドメイン上に存在する。
また、本発明において「アグリカナーゼ」とは、アグリカンのコアタンパク質の第373番目のグルタミン酸残基と第374番目のアラニン残基との間(Glu373−Ala374)の結合を切断し、アグリカンを分解する作用を持った酵素タンパク質をいう。アグリカナーゼとしては、例えば、アグリカナーゼADAMTS−4及びADAMTS−5が挙げられる。ADAMTS−4及びADAMTS−5は、アグリカンのコアタンパク質を前記のGlu373−Ala374を含む計5箇所の部位で特異的に切断し、アグリカンを分解する。
本発明のアグリカン分解抑制剤は、前記アグリカナーゼの中でも、特にアグリカナーゼADAMTS−5の活性を好適に阻害する。
本発明において「アグリカナーゼの活性を阻害する」とは、アグリカナーゼがアグリカンを分解する作用を阻害することを意味し、例えば、アグリカンのコアタンパク質のGlu373−Ala374の結合が切断されるのを阻害すること意味する。
さらに、本発明のグァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズの植物抽出物は、コラーゲン分解に先立って起こるアグリカン分解を効果的に抑制し、関節軟骨細胞外基質全体の分解を抑制することができる。
そのため、本発明のグァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズの植物抽出物は、関節軟骨細胞外基質の分解に起因する種々の症状や疾患を効果的に予防もしくは治療することを目的としたヒト若しくは動物用医薬組成物、医薬部外品組成物、食品、飲料、機能性食品及び機能性飲料に適用することができる。
本発明において「関節軟骨細胞外基質分解」とは、関節軟骨細胞外基質のコラーゲンや軟骨特異的プロテオグリカンであるアグリカンが、軟骨基質分解酵素であるMMPやアグリカナーゼによって分解することを意味する。
関節軟骨細胞外基質の分解によって引き起こされる症状または疾患としては、種々の骨関節疾患が挙げられる。骨関節疾患の一例としては、変形性関節症、慢性関節リウマチ、骨関節症、関節損傷、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患、歯周疾患、骨粗鬆症等を挙げることができる。また、変形性関節症とは、関節軟骨の変性、磨耗および軟骨下骨の硬化、増殖性変化を特徴とする疾患をいう。
本発明の予防剤、治療剤、食品及び飲料は、骨関節疾患の予防・改善のために好ましく用いられ、特に変形性関節症の予防または改善のため好ましく用いられる。さらに、これらの剤等を製造するために使用することができる。そして、本発明の予防剤及び治療剤は、例えば、変形性関節症、慢性関節リウマチ、骨関節症、関節損傷、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患、歯周疾患、骨粗鬆症の予防又は改善をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品に応用できる。
本発明において、グァバ(学名Psidium guajava)は、バンジロウ、バンザクロとも呼ばれ、フトモモ科バンジロウ属の熱帯性の常緑高木である。従来から、その果実は食用として、また葉はグァバ茶として用いられており、糖尿病の予防効果、消炎止血作用、収れん止瀉作用等が報告されている。
本発明において、オールスパイス(学名Pimenta officinalis)とは、フトモモ科ピメント属の常緑高木をいう。別名、ピメントノキ,ピメンタ,ヒャクミコショウとも呼ばれる。その果実または葉は、主に香辛料として用いられている。
本発明において、プーアールとは、ツバキ科ツバキ属の常緑性木本チャ(学名Camellia sinensis)の茎または葉を醗酵させてつくる、中華人民共和国雲南省の南部を原産地とする中国茶(黒茶)の一種である。プーアル茶ともいわれ、チャコールグレー(暗褐色)に近い独自の色と香りがあり、美容にも良いとされている。
本発明において、クローブ(学名Syzygium aromaticum)とは、フトモモ科フトモモ属の常緑高木をいう。別名、チョウジ・チョウコウとも呼ばれる。開花前の花蕾は、主に香辛料として用いられている。
本発明において、タマリンド(学名Tamarindus indica)とは、マメ科タマリンド属の常緑高木をいう。別名、チョウセンモダマとも呼ばれる。その果実や種子は、食用や調味料として用いられている。
本発明において、タマネギ(学名Allium cepa)とは、ユリ科ネギ属の多年草をいう。その鱗茎は、食用として用いられ、利尿作用、抗菌作用といった薬効が知られている。
本発明において、カカオ(学名Theobroma cacao)とは、アオギリ科カカオ属の常緑高木をいう。別名、カカオノキ・ココアノキとも呼ばれる。その果実や種子は、主に嗜好飲料や利尿薬として用いられている。
本発明において、ゲンノショウコ(学名Getanium thunbergii)とは、フウロソウ科フウロソウ属の多年草をいう。別名、玄草とも呼ばれる。古くから用いられている民間薬の1つであり、その花、茎、根または葉は、主に整腸剤や胃薬として用いられている。
本発明において、ローズ(学名Rosa centifolia)とは、バラ科バラ属の落葉低木をいう。その花は、主に観賞用または香料原料として用いられている。
グァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズの植物抽出物がアグリカン分解を抑制すること、アグリカナーゼ活性を阻害すること、及び関節軟骨基質分解を抑制することについては、従来全く知られておらず、本発明者等は今回新たに上記植物抽出物がアグリカン分解抑制効果、アグリカナーゼ活性阻害効果および関節軟骨基質分解抑制効果を有することを明らかにした。
本発明で使用するグァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズにおいては、上記植物の全ての任意の部分が使用可能である。例えば、上記植物の全木、または任意の部位(根、根茎、幹、枝、茎、葉、樹皮、樹液、樹脂、花、果実、種子等)、およびそれらの組み合わせのいずれか1つまたは複数を使用することができる。
本発明においてグァバの抽出物を得るために、グァバの葉、果実及び/または果皮を抽出するのが好ましい。
本発明においてオールスパイスの抽出物を得るために、オールスパイスの果実及び/または葉を抽出するのが好ましい。
本発明においてプーアールの抽出物を得るために、プーアールの茎及び/または葉を抽出するのが好ましい。
本発明においてクローブの抽出物を得るために、クローブの茎、葉及び/または開花前の花蕾を抽出するのが好ましい。
本発明においてタマリンドの抽出物を得るために、タマリンドの種皮及び/または種子を抽出するのが好ましい。
本発明においてタマネギの抽出物を得るために、タマネギの鱗茎を抽出するのが好ましい。
本発明においてカカオの抽出物を得るために、カカオの種子を抽出するのが好ましい。
本発明においてゲンノショウコの抽出物を得るために、ゲンノショウコの花、茎及び/または葉を抽出するのが好ましい。
本発明においてローズの抽出物を得るために、ローズの花蕾及び/または花を抽出するのが好ましい。
本発明において用いる、前記グァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズの植物抽出物は、適当な溶媒を用いた常法の抽出方法によって調製することができる。抽出方法は特に限定されないが、植物を常温又は加温下にて抽出するか又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得ることが好ましい。
本発明において、前記植物の抽出物の調製に、上記植物をそのまま、又は乾燥粉砕して用いることもできるが、その水蒸気蒸留物又は圧搾物を用いることもでき、これらは精油等、より精製したものを用いることもでき、また市販品を利用することもできる。上記植物又はその水蒸気蒸留物若しくは圧搾物は、いずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
抽出に溶媒を用いる場合、溶媒としては特に限定されないが、通常植物成分の抽出に用いられるもの、例えば水、石油エーテル、n−ヘキサン、トルエン、ジクロロエタン、クロロホルム、エーテル、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、超臨界二酸化炭素等を用いることができ、特に水、エタノールを用いることが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、抽出に際して酸やアルカリなどを添加し、抽出溶媒のpHを調整してもよい。
抽出条件も通常の条件を適用でき、例えば上記植物を0〜100℃で0.5時間〜10日間浸漬又は加熱還流すればよい。用いる抽出溶媒の量は、上記植物の重量に対して1倍量〜50倍量、好ましくは5倍量〜20倍量である。
本発明において、上記植物の抽出物をそのまま用いてもよいし、さらに適当な分離手段、例えばゲル濾過、クロマトグラフィー、精密蒸留等により活性の高い画分を分画して用いることもできる。また、前記抽出物を希釈、濃縮または凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製して用いることもできる。
本発明において、植物の抽出物とは、前記のような抽出方法で得られた各種溶剤抽出液、その希釈液、その濃縮液、その精製画分又はその乾燥末を含むものである。
本発明に用いる植物抽出物を得るための抽出方法に関し、好ましい実施態様として以下の具体例が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
抽出方法の具体例としては、例えば、植物原料100gに対して、50%エタノール水 1Lを加え、20℃で7日間浸漬抽出を行う。その後、ろ紙を用いたろ過によって、不溶の抽出残渣を除去し、抽出液を得る。さらに、抽出液を減圧にて濃縮した後、凍結乾燥を行い、抽出物を得る。
前記グァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズの植物抽出物は、アグリカン分解抑制作用、アグリカナーゼ活性阻害作用および関節軟骨基質分解抑制作用を奏する。これら植物の抽出物を含有させれば、アグリカン分解抑制剤、アグリカナーゼ活性阻害剤、関節軟骨基質分解抑制剤、並びに関節軟骨基質分解に起因する症状・疾患の予防または治療剤、食品および飲料が得られる。
本発明のアグリカン分解抑制剤、アグリカナーゼ活性阻害剤、関節軟骨基質分解抑制剤、予防・治療剤、食品または飲料は、前記植物抽出物をそれぞれ単独で含んでいてもよいし、複数を組合わせて含んでいてもよい。また、これらに含有される前記植物の抽出物の量は特に制限されないが、前記植物抽出物が固形分換算で0.001〜100質量%含まれるのが好ましく、0.01〜80質量%含まれるのがより好ましく、0.1〜80質量%含まれるのがさらに好ましい。
また、本発明のアグリカン分解抑制剤、アグリカナーゼ活性阻害剤または関節軟骨基質分解抑制剤には、上記植物抽出物をそのまま用いてもよいし、上記植物抽出物に、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、蒸留水、乳糖、デンプン等の適当な液体または固体の賦形剤または増量剤を加えて用いてもよい。
また、本発明の予防剤または治療剤には、上記植物抽出物をそのまま用いてもよいし、医薬組成物の添加剤または配合剤として用いてもよい。本発明において、医薬の添加剤または配合剤とは、香料、色素、酸化防止剤など、医薬用として通常用いられる添加剤または配合剤に、有効成分として上記植物抽出物を混合したものをいう。
本発明の予防または治療剤は、剤形として、特に限定されないが、例えば散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等が挙げられる。当該医薬又は医薬部外品には、植物の抽出物の他に、助剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、吸収促進剤及び界面活性剤等の薬学的に許容される担体、賦活剤、その他添加剤を任意に組合せて配合することができる。
本発明の予防または治療剤を経口投与の医薬用組成物として使用する場合、上記植物抽出物の他、経口投与剤の形態に応じて一般に用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料等を添加し、常法に従って製造することができる。
本発明の予防または治療剤の用量は、患者の年齢、症状、患者の程度、投与経路、投与スケジュール、製剤形態、素材の阻害活性の強さなどにより、適宜選択、決定される。例えば、経口投与の場合、一般に1日当たり0.001〜10g/kg体重が好ましく、1日数回に分けて投与してもよい。
また、本発明の剤を食品等に適用する際は、食品及び飲料に上記植物抽出物をそのまま剤として用いてもよいし、食品及び飲料用の添加剤または配合剤として用いてもよい。本発明において、食品及び飲料用の添加剤または配合剤とは、香料、色素、酸化防止剤など、食品及び飲料用として通常用いられる添加剤または配合剤に、有効成分として上記植物抽出物を混合したものをいう。
本発明の剤を食品及び飲料に適用する際は、その形状は特に限定されない。例えば、上記植物抽出物に適当な助剤を添加した後、通常の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペースト、液状などに成形して提供することができる。
当該食品及び飲料は、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dL−α−トコフェノール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルアラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等、通常の食品及び飲料に使用されている添加剤を適宜配合して、常法に従って製造することができる。
本発明の剤を食品及び飲料の形態とする場合、その摂取量は、消費者の年齢、体重、症状、素材の阻害活性の強さなどにより、適宜選択、決定される。一般には、1日当たり0.001〜10g/kg体重が好ましく、1日数回に分けて摂取してもよい。
次に、本発明のアグリカン分解抑制作用を有する物質を得るための探索方法について説明する。
本発明者らは、今回アグリカン分解抑制剤として好適な素材を探索するために、ELISA法(enzyme-linked immunosorbent assay)を用いた探索系を新たに構築した。本発明で用いた探索方法の一態様を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、アグリカン分解酵素の1つであるADAMTS−5と、基質としてGlu373−Ala374を含む球間ドメイン(IGD)領域のアグリカンとを使用し、それらに試料を加えて酵素分解反応を行う。なお、アグリカン上のIGD領域において、酵素ADAMTS−5によって切断される部位は、上記Glu373−Ala374のみである。ADAMTS−5の作用によって、アグリカン中のGlu373−Ala374結合が切断され、アグリカン分解産物が産出する。このアグリカン分解産物は2種類のアグリカン断片を含み、一方はC末端にGlu373を、他方はN末端にAla374を持っているが、どちらの分解断片もアグリカナーゼ活性強度に応じて定量的に産出される。次いで、例えば、N末端Ala374に特異的に結合する抗体を用いて、N末端にAla374を持つアグリカン断片を検出・定量する。得られた結果を、試料を加えない実験系で得られた結果と比較することで、当該試料の添加によるアグリカン分解抑制効果及びアグリカナーゼ活性阻害効果を確認できる。
また、使用するアグリカンも上述のIGD領域に限定されるものではなく、用いる分解酵素によって特異的に分解され、分解産物を定量可能なものであればよい。
本発明の探索方法で使用する抗体としては、アグリカン分解酵素により切断されたアグリカン分解産物を特異的に検出・定量することができれば特に限定されない。例えば、上述のアグリカン断片のN末端Ala374に特異的に結合する抗体やアグリカン断片のC末端Glu373に特異的に結合する抗体等が挙げられる。
また、アグリカン断片に特異的に結合する抗体を1次抗体として使用し、さらに1次抗体に結合する2次抗体を用いて検出、定量を行うこともできる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
1.食品素材からの抽出物の調製
(調製例1)グァバ抽出物の調製
グァバ葉エキス末(松浦薬業より入手)を20%エタノール水溶液に1%の濃度で溶解しグァバ抽出物とした。
(調製例2)オールスパイス抽出物の調製
オールスパイス果実(栃本天海堂より入手)10gに50%エタノール水溶液100mLを加え、室温、静置条件下で7日間抽出を行った。その後、ろ過を行うことによりオールスパイス抽出液を得た。抽出液の固形分濃度は1.33%(w/v)であった。
(調製例3)ローズ抽出物の調製
ピンクローズ花(栃本天海堂より入手)10gに50%エタノール水溶液100mLを加え、室温、静置条件下で7日間抽出を行った。その後、ろ過を行うことによりローズ抽出液を得た。抽出液の固形分濃度は4.52%(w/v)であった。
(調製例4)カカオ抽出物の調製
カカオ色素(種子由来、商品名:キリヤスブラウンKK、キリヤ化学株式会社より入手)を50%エタノール水溶液に1%の濃度で溶解し、カカオ抽出物とした。
(調製例5)タマネギ抽出物の調製
タマネギ色素(鱗茎由来、OCI株式会社より入手)を20%エタノール水溶液に1%の濃度で溶解し、タマネギ抽出物とした。
(調製例6)ゲンノショウコ抽出物の調製
ゲンノショウコ乾燥エキス(小城製薬株式会社より入手)を50%エタノール水溶液に1%の濃度で溶解し、ゲンノショウコ抽出物とした。
(調製例7)タマリンド抽出物の調製
タマリンド色素(種子由来、商品名:粉末サンブラウン2085、三栄源エフエフアイ社より入手)を20%エタノール水溶液に1%の濃度で溶解し、タマリンド抽出物とした。
(調製例8)プーアール抽出物の調製
プーアール茶(東海薬草研究所より入手)10gに水100mLを加え、70℃、攪拌条件下で5時間抽出を行った。その後、ろ過を行うことにより抽出液を得た。抽出液を凍結乾燥した後、10%エタノール水溶液100mLに溶解しプーアール抽出物とした。固形分濃度は1.56%(w/v)であった。
(調製例9)クローブ抽出物の調製
チョウジ抽出液−J(商品名:蕾の50%エタノール抽出液、丸善製薬株式会社より入手)をグローブ抽出物として用いた(蒸発算分0.12%)。
上記で調製した各植物抽出物を、抽出物サンプルとして用いて下記の操作を行った。
なお、以下の操作において、植物抽出物、基質、酵素及び反応停止液の希釈にはTris Buffer(50mM Tris-HCl(pH7.5),150mM NaCl,5mM CaCl)を用いた。
2.アグリカン分解抑制効果の検証
96wellの蛋白高結合マイクロプレート(CORNING社製、製品番号#3361)の各ウェルに、基質としてアグリカン(商品名:RECOMBINANT INTERGLOBULAR DOMAIN T331-G458(Aggrecan-IGD1)、CHEMICON社製)40μL、アグリカン分解酵素としてADAMTS−5(商品名:RECOMBINANT HUMAN ADAMTS-5、CHEMICON社製)40μL、上記で調製した植物抽出物サンプル20μLを添加混合した。基質アグリカンは終濃度0.025μM、酵素ADAMTS−5は終濃度1.5nMとし、植物抽出物サンプルはそれぞれ終濃度0.00001%、0.00003%、0.0001%(乾燥残査1μg/mL)となるように調製した。37℃で3時間反応後、EDTAを50μL/ウェル(30mM)を加えて反応を停止し、4℃で一晩静置した。翌日、洗浄液としてTBS−T(BIO-RAD社製;20mM Tris−HCL(pH7.6),0.8%NaCl,0.1%Tween-20)を用いてプレートを3回洗浄し、ブロッキング液として1%BSA(Bovine Serum Albumin、ROCKLAND社製)250μL/ウェルを添加した後、室温にて2時間静置させた。プレートをTBS−Tで3回洗浄後、一次抗体として抗アグリカン抗体(商品名:Aggrecan ARGxx antibody[BC-3]、abcam社製)をブロッキング液(1%BSA、TBS−T)で500倍に希釈したもの100μL/ウェルを加え、室温で1.5時間反応させた。プレートをTBS−Tで3回洗浄後、二次抗体として西洋わさびペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG抗体(商品名:ECLTM Anti-mouse IgG,Horseradish Peroxidase、GE Healthcare UK社製)をブロッキング液(1%BSA、TBS−T)で1000倍に希釈したもの100μL/ウェルを加えて室温で1.5時間反応させた。TBS−Tで3回洗浄後、発色剤としてTMB−solution(TMB-solution Kit(BIO-RAD社製))100μL/ウェルを添加し、暗所で30分反応させた後、1N HSO 100μL/ウェルを加えて反応を停止させた。
また、植物抽出物サンプルを添加しない以外は上記と同様の操作を行ったコントロールサンプルを作製した。
さらに、植物抽出物サンプルの代わりに、アグリカナーゼ活性阻害剤として知られているアクチノニン(Actinonin)(SIGMA製)を終濃度10μMとなるよう添加した以外は上記操作と同様にして、比較用サンプルを作製した。
各サンプルについて、最大波長450nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(BIO-RAD社製)で測定した。コントロールサンプルの吸光度を100としたときの各サンプルの吸光度を相対値であらわし、アグリカン分解活性(ADAMTS−5酵素活性)とした。結果を図1に示す。
図1に示すとおり、9種類の抽出物サンプル全てについてコントロールと比べてアグリカン分解活性が低く、アグリカン分解抑制活性が認められた。また、抽出物の濃度の高いサンプルほどアグリカン分解抑制活性も高く、特に濃度0.0001%の抽出物では、75%以上の高いアグリカン分解抑制活性が認められた。したがって、本発明のグァバ、オールスパイス、プーアール、クローブ、タマリンド、タマネギ、カカオ、ゲンノショウコ及びローズの植物抽出物は、アグリカナーゼ活性を阻害し、アグリカン分解を効果的に抑制することができることが確かめられた。
実施例2
実施例1の調製例1〜9で調製した各植物抽出物について、酵素アグリカナーゼを特異性に阻害するものであるかどうかを検証するため、他のメタロプロテアーゼであるMMP−2及びMMP−3について、酵素活性阻害効果を調べた。
1.MMP−2酵素阻害活性の測定
MMP−2(ゼラチナーゼ)の阻害活性測定は、MMP−2酵素阻害活性キット(商品名:MMP-2 Colorimetric Drug Discovery Kit-AK-408:A BIOMOL QuantiZymeTM Assay System、BIOMOL社製)を使用し、キットについているプロトコールに準じて以下の手順で行った。
基質およびにMMP−2阻害剤、酵素(MMP−2)は室温にもどし、それぞれをAssay Bufferで希釈した後、37℃に暖めた。96穴マイクロプレートにブランク用ウェルには90μL/ウェル、コントロール用ウェルには70μL/ウェル、サンプル用ウェルには各50μL/ウェルのAssay Bufferを入れて37℃で暖めた。その後、ブランク用ウェル以外のウェルに酵素20μL/ウェルを添加し、さらにサンプル用ウェルには前記植物抽出物サンプルを20μL/ウェル添加して、37℃で30〜60分暖めた。基質を10μL/ウェル入れて37℃で反応させて、20分間後に412nmの吸光度を測定した。なお、前記植物抽出物サンプルは終濃度0.001%になるように添加した。
また、サンプルの変わりに等量のMMP−2阻害剤を加えた以外は上記操作と同様にして、比較用コントロールを調製した。
2.MMP−3酵素阻害活性の測定
MMP−3(ストロモライシン)の活性阻害効果は、MMP−3酵素阻害活性キット(商品名:MMP-3 Colorimetric Drug Discovery Kit-AK-400:A BIOMOL QuantiZymeTM Assay System、BIOMOL社製)を使用し、キットについているプロトコールに準じて行った。操作は、使用する酵素をMMP−2からMMP−3に変えた以外は、前記MMP−2酵素阻害活性の測定と同様である。
3.評価
9種類の植物抽出物サンプルのうち、ゲンノショウコ抽出物サンプルに50%程度のMMP−2阻害活性が認められた他は、特に強いMMP−2及びMMP−3阻害活性を示すものはなかった。
これらの結果から、本発明の前記9種類の植物抽出物は、酵素アグリカナーゼの活性を特異的に阻害することがわかった。
実施例3
実施例1で高いアグリカン分解抑制活性が認められた9種類の植物抽出物の中から、グァバ抽出物、オールスパイス抽出物、ローズ抽出物について、軟骨基質分解抑制効果を検証した。なお、以下の試験を行うにあたり、榮春人ら(日大医誌64(6):372-379(2005))、Young-Hyeon BAEKら(Biol.Pharm.Bull 29(7):1423-1430(2006))の報告を参照した。
ブタ膝関節(6ヶ月令、フナコシ株式会社製)の関節包を切開して、大腿骨顆部関節面の軟骨を露出させ、直径3mmのパンチバイオプシーで円柱状の軟骨片を作成した。この軟骨片の重量を測定し、同重量の軟骨片を各5片ずつ選抜して以下の試験に用いた。また各群において重量平均値に差がないようにした。
96wellのマイクロプレートに軟骨片を1個ずつ入れて、培地としてDMEM(Dulbecco's modified eagle's medium)(GIBCO社製、1%FBS含有)を200μL/ウェル加え、5日間37℃で培養した。培地は2〜3日ごとに交換した。前処理のため、培養液を、DMEM(FBS不含有)で終濃度0.02%となるよう希釈した前記抽出物サンプル200μL/ウェルに置換して、37℃で1時間培養した。前処理終了後、培地を除去して、10ng/mLのrh IL−1α(商品名:Recombinant human(rh) IL-1α、R&D Systems社製)200μL/ウェルの中に終濃度がそれぞれ0.01%、0.02%になるように前記抽出物サンプルを同時に添加し、37℃で24時間培養した。
コントロールサンプルとして、前記抽出物サンプルを添加しないで上記培養を行ったサンプルを作製した。また、前記抽出物サンプル及びIL−1αの両方を加えないで培養したサンプルも作製した。
また、前記抽出物サンプルの代わりに、アグリカナーゼ阻害剤であるアクチノニンを終濃度100μMとなるよう加えた以外は上記と同様にして培養を行い、比較用サンプルを作製した。
IL−1αは、軟骨細胞内で軟骨基質分解酵素を活性化する作用を持つことが知られているサイトカインである。このIL−1αを軟骨片サンプルに添加することで、軟骨基質分解が誘導され、分解産物であるグリコサミノグリカンが産出し、培養液中に放出される。
分解誘導後、培養液を回収し、培養液中に遊離されたグリコサミノグリカン(GAG)量をグリコサミノグリカン定量キット(商品名:Blyscan Glycosaminoglycan Assay Kit、Biocolor Ltd製;なお、このキットは、硫酸化糖鎖に特異的な結合性を示す1,9-dimethyl-methlene blue溶液を用いた硫酸プロテオグリカンを定量するDMMB法を用いたものである。)で測定した。GAG量の測定結果を図2及び図3に示す。
図2に示すように、IL−1αを添加したコントロールサンプルでは、13.5±3.45μg/mgのGAGが遊離していたが、アグリカナーゼ阻害剤であるアクチノニンを添加した比較用サンプルでは、GAG量は7.3±2.66μg/mgに減少しており、阻害剤によって軟骨基質分解が抑制されていることが確認できる。
図2及び図3から明らかなように、グァバ抽出物、オールスパイス抽出物、ローズ抽出物を用いた系全てにおいて、軟骨基質分解が抑制されていた。特に、オールスパイス抽出物を用いると、濃度が0.01%、0.02%のいずれの場合においても、阻害剤アクチノニンよりも高い軟骨基質分解抑制効果が認められた。
したがって、アグリカナーゼ活性を阻害しアグリカン分解を抑制する本発明の前記植物抽出物は、関節軟骨細胞外基質の分解も抑制することができる。そのため、本発明の前記植物抽出物は関節軟骨細胞外基質の分解により引き起こされる症状または疾患を予防・改善するための予防または治療剤、食品、飲料に好適に用いることができることがわかる。
(製造例)
前記調製例で得られた抽出物を有効成分として、下記に示す組成の予防または治療剤、食品及び飲料を常法により各々調製した。
1.本発明の予防または治療剤の製造
下記の組成の軟カプセル剤皮の中に大豆油400mgとオールスパイス抽出液100mgを定法により充填し、軟カプセル剤を製造した。
ゼラチン 70.0 質量%
グリセリン 22.9 質量%
パラオキシ安息香酸メチル 0.15質量%
パラオキシ安息香酸プロピル 0.51質量%
水 6.44質量%
2.小麦粉食品(カップケーキ)の製造
下記の組成からなる生地をカップケーキ調製の要領で調製した後、10個の型に分け、常法により焼成、製造し、風味良好なカップケーキを得た。
薄力粉 100g
鶏卵 100g
砂糖 100g
ショートニング 35g
マーガリン 35g
ベーキングパウダー 2.5g
洋酒 6g
オールスパイス抽出液 15g
水 適量
3.粉末飲料の製造
下記の組成からなる粉末を十分に混合した後10g分包にし、1日1回摂取用の水や湯に溶かして摂取する香味良好な粉末飲料を得た。
ブドウ糖 60質量%
デキストリン 15質量%
クエン酸ナトリウム 5質量%
ビタミンC 1質量%
オールスパイス抽出液 15質量%
香料(レモンフレーバー) 4質量%

Claims (3)

  1. グァバ抽出物を有効成分として含有するアグリカン分解抑制剤。
  2. グァバ抽出物を有効成分として含有するアグリカナーゼ活性阻害剤。
  3. 前記アグリカナーゼがADAMTS−5であることを特徴とする請求項2記載のアグリカナーゼ活性阻害剤。
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