JP5766151B2 - 熱硬化型1液塗料組成物 - Google Patents

熱硬化型1液塗料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、塗装ロボット等を使用して自動塗布ができ、制振性及び遮音性を有する熱硬化型1液塗料組成物に関するものである。
従来、車両のロードノイズ、エンジンノイズ、風切り音等の騒音は、振動の伝達経路中の空洞内で共鳴(増幅)が生ずると大きな車内騒音となっていた。特に、ピラー部、ルーフヘッダー部等のように耳位置に近い共鳴音は、気になる騒音となっていた。
そこで、従来は、このような空隙部を溶接によって塞ぎ、塗装、加熱、乾燥によって発泡(膨張)させ、前記空隙部を完全に封止することにより遮音していた。この時使用される材料は、シート状成形材料でゴム系発泡充填材であった。
従来シート状材料は、車種毎に設置する部分の形状に合わせて切断しなければならず、更に、シート状材料による遮音材の設置は作業者の手作業であったことから、自動化の障害になり工程時間の短縮を阻害していた。
また、風切り音は、ピラー及びルーフヘッダー付近のボデーパネルの段差により空気が渦を作り、パネル共振によって発音に至ることから、風切り音の発生を抑制するためにルーフパネル裏等では制振シートとシート状成形ゴム系材料等の発泡充填材とを2層形成する場合があり、手間のかかる作業であり、当然、自動化は図れなかった。即ち、塗装ロボット等を使い自動塗装ができる制振性、遮音性を持つ塗料組成物が要求されていた。
この種の組成物として、特許文献1では、全組成を100重量%としたとき、液状ゴム15〜38重量%、未加硫ゴム1〜5重量%、加硫剤と加硫促進剤の合計量で1〜5重量%、軟化剤20〜40重量%、発泡剤及び発泡助剤の合計量で3〜10重量%、鱗片状無機充填材20〜40重量%、揺変剤1〜7重量%からなるペースト型加熱発泡充填材を開示している。
特許文献1のペースト型加熱発泡充填材は、粘度が1400〜3000ポイズであるので、機械による自動塗布が可能である。また、油面鋼板に対する付着性に優れ、塗布後の垂れが防止され、更に、糸切れ性も良好であるため、塗布時の作業性が良い。
したがって、特許文献1のペースト型加熱発泡充填材によれば、自動塗布が可能となり工数の低減と同時に作業精度の向上と、かつ、400〜2000%の発泡率で発泡するので、複雑な形状のパネル内部の隅々まで充填され、優れた遮音性能、風切り音低減性能を発揮するものである。
また、特許文献2は、建材が有する空間部に発泡ゴムからなる制振材を入れて音鳴りを防止した建材の技術が開示されており、建材の空間部に設けられた制振材は、建材の減衰定数を大きくし、また、振幅を小さくして、強風時に建材が可聴音を発するのを防止している。特許文献2の技術は、発泡ゴムからなる制振材は制振効果が高く、制振材(発泡ゴム、粘土など)を設ける簡単な構成で、建材の音鳴りを防止することができ、強風時に格子桟やフェンス、スクリーン体から発する耳障りな音を防止することができる。
そして、特許文献3は、部分架橋ゴム、未加硫ゴム、架橋剤、可塑剤、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂とその潜在性硬化剤、及び発泡剤を含有する自動塗布型のペースト状加熱発泡充填材組成物の技術を開示している。特許文献3の技術は、塗布時の糸切れ性が良く、かつ、加熱発泡時の垂れが防止できる高発泡性の自動塗布型のペースト状加熱発泡充填材組成物に特徴を有しています。
特開平05−59345 特開平08−4364 WO2004−108807
このように、特許文献1のペースト型加熱発泡充填材は、自動塗布が可能であり、油面鋼板に対する付着性に優れ、糸切れ性も良好であるが、発泡が主体となっているから、制振効果は期待できない。また、特許文献2は建材が有する空間部に発泡ゴムからなる制振材を充填するものであり、この発泡ゴムを塗料として使用することは開示されていないし、示唆さえもされていない。そして、特許文献3には、塗布時の糸切れ性が良く、かつ、加熱発泡時の垂れが防止できる、高発泡性のペースト状加熱発泡充填材組成物及び車体部材閉断面の充填遮音方法について開示されているが、それによる制振作用及び効果に関し、開示するものがなく、示唆さえもされていない。
そこで、本発明は、主に車の構造から生じる内部空間(空隙部)を充填することにより吸音機能を発揮でき、また、制振機能により総合的に風切り音の発生を抑制でき、天井やドア等従来の制振材では施工が困難であった場所への施工も可能であり、かつ、一般吸音材としても利用可能な遮音充填機能及び制振機能を持つ熱硬化型1液塗料組成物の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる熱硬化型1液塗料組成物は、メチル基以上の残留立体障害分子枝を持つポリマーと、減衰振動付与剤として誘電正接0.1以上を有し、アスペクト比5〜50の範囲内、粒径が中位径3〜100μmの範囲内であるマグネシウム系燐片フィラーと、分子からのラジカルを捕捉する機能を有する芳香族アミンまたはアミンケトンとを組み合わせたものと、発泡剤とを含有するものである。
ここで、メチル基以上の残留立体障害分子枝を持つポリマーは、側鎖に残留立体障害分子枝を持つものであり、残留立体障害分子枝とは、メチル基、フェニル基、ベンジル基等であり、それを有する複数のモノマー(単量体)が重合、即ち、結合して鎖状や網状になった化合物ポリマーである。
この発明にかかる熱硬化型1液塗料組成物のマグネシウム系燐片フィラーは、アスペクト比5〜50、中位径3〜100μmである。有機フィラーとしては芳香族アミンまたはアミンケトンであるものである。
ここで、上記中位径3〜100μmのマグネシウム系燐片フィラーの粒子とは、レーザ回折・散乱法によって測定した粒径分布において、ある粒子径より大きい個数または質量が全粉体の50%を占めるときの粒子径を中位径といい、その中位径が3〜100μmであることを意味する。一般的に平均粒子径として呼ばれる場合もあるが、厳格には、レーザ回折・散乱法によって測定した粒径分布において、ある粒子径より大きい個数または質量が全粉体の50%を占めるときの粒子径をいう。
また、上記中位径50μm以上の粒子では「ふるい分け試験」を用いることもできる。この「ふるい分け試験」とは、JIS−Z−8801によって規定された目開きをもつ標準ふるいを用いて、測定対象となる粒子をふるい分けることによって粒度分布を測定する試験方法をいうものである。標準ふるいなどを用いて行う粒径、粒径分布を測定する方法のことである。粒径と、粒径分布の表現は、使用したふるいの目開き(μm )とふるい上残量(オーバサイズ)またはふるい下通過量(アンダーサイズ)の全体に対する比率で表される。
請求項2の発明にかかる熱硬化型1液塗料組成物の前記マグネシウム系燐片フィラーは、振動減衰性付与剤として誘電正接が0.1〜0.7の金雲母(金マイカ)を含有するものである。
請求項1の発明の熱硬化型1液塗料組成物は、メチル基以上の残留立体障害分子枝を持つポリマーと、振動減衰付与剤として誘電正接0.1以上を有し、アスペクト比5〜50の範囲内、粒径が中位径3〜100μmの範囲内であるマグネシウム系燐片フィラーと、分子からのラジカルを捕捉する機能を有する芳香族アミンまたはアミンケトンを組み合わせたものと、発泡剤とを含有するものであるから、主に、車両のピラー内等の内部空間(空隙部)を発泡充填して吸音機能を発揮する吸音材料として使用できる。また、ピラー内使用にて遮音だけでなく、制振機能により総合的に風切り音発生を抑制できる。そして、溶接工程でも施工可能であるから、天井、ドア等の従来の制振材では施工が困難であった場所への施工も可能となる。しかも、一般吸音材としても利用でき、例えば、電車等の乗り物、自動販売機、洗濯機等家電分野、また、手摺り等建材にも使用可能である。
このように、本発明は1液塗料として使用でき、塗装ロボット等を使用して自動塗布、塗装ができ、制振性及び遮音性を有する塗料となる。
この発明の熱硬化型1液塗料組成物の前記振動減衰性付与剤としてのマグネシウム系燐片フィラーは、アスペクト比5〜50、中位径3〜100μmであり、また、芳香族アミンまたはアミンケトンを前記有機フィラーとして用いて、効率よく遮音機能及び制振機能を持たせることができる。
請求項2の発明の熱硬化型1液塗料組成物の前記マグネシウム系燐片フィラーは、振動減衰性付与剤として誘電正接が0.1〜0.7の金雲母を含有するものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、簡便に振動減衰性付与剤として振動の減衰を早めることができる。
図1は本発明の実施の形態による熱硬化型1液塗料組成物の制振性特性の損失係数を説明する説明図である。 図2は制振性を説明するモデル図で、(a)は2層形、(b)は拘束層形、(c)は変形拘束層形である。
本発明の実施の形態としての組成物について説明する。
組成物としては種々の組成物を検討した結果、メチル基以上の残留立体障害分子枝を持つポリマーと、振動減衰性付与剤として無機フィラーと有機フィラーとを組み合わせ、さらに発泡のための発泡剤を含有させることで本発明の熱硬化型1液塗料組成物を形成した。ここで、振動減衰性付与剤としての無機フィラーについては、誘電正接tanδの高いフィラーを用いている。誘電正接tanδとは、絶縁体内部での電気エネルギー損失度合いのことをいい、絶縁体としての性能を評価する一つの基準であるが、この誘電正接tanδが高いと、加えられた振動を熱変換(誘電損)しやすくなり、つまり振動エネルギーを熱エネルギーに変換し振動減衰効果が大きくなると考えて、誘電正接tanδの高い無機フィラーを振動減衰性付与剤として組成物に配している。また、有機フィラーは分子からのラジカルを捕捉する機能を有し連鎖停止剤となるものを使用した。これはポリマー中の電子移動の安定化がこの有機フィラーによって図ることが出来ると推定したことによる。また、ポリマーとしては発泡剤による発泡が制御し易く、また、振動吸収性に優れる合成ゴム等の熱架橋樹脂を使用することが好ましい。
本実施の形態による熱硬化型1液塗料組成物は自動車等における所望部位に吸音・制振特性を付与するものである。そのため、熱硬化型1液塗料組成物を自動車等の所望部位に塗布することにより前記所望部位に発泡構造物を形成する。そして、この発泡構造物によって吸音性・制振性が発現することとなる。
吸音性は、熱硬化型1液塗料組成物を発泡構造物にしているためこの構造物の気孔や空隙を音波が流通する際の振動減衰によって得ることができる。そして、本実施の形態による熱硬化型1液塗料組成物は、振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、振動減衰効果が大きくなると推定した誘電正接tanδの高い無機フィラーと、分子からのラジカルを捕捉する機能を有する有機フィラーが組成物に組み合わせて配されていることによって効率よく音の吸収が図れる。
また、制振性に関しては、図2(a)のモデルのように、例えば、自動車の場合、車体に使われる基材としての軟鋼板上に塗布されることになる。このため開放部位では軟鋼板からなる拘束層1の上に見かけは1層の制振層2として塗布したが、詳しくは図2(c)のように、発泡構造物にすることで、緻密なスキン層3の拘束層と、その内部の内部発泡層4との変形拘束層となった制振層5となっている。このような変形拘束形は、図2(b)に示す拘束層モデルで制振性が説明される。つまり基材上に配された制振層としての熱硬化型1液塗料組成物の発泡構造物は図2(c)のようになっているが、図2(c)に示すスキン層3が図2(b)に示す拘束層モデルのように制振層の振動を拘束する拘束層の役目を担い拘束層モデルと同様の効果を有する。
この本実施形態における制振性について図1及び図2を用いて更に詳細に説明する。
図1において、本実施の形態による熱硬化型1液塗料組成物のうち誘電正接tanδの高いフィラー及びラジカルを捕捉する機能を有する有機フィラーを用いないで形成した無発泡状態の制振層を基材上に配したときの損失係数を破線で示した。このときの制振層は図2(a)の2層形モデルとなり、損失係数のピークは制振層を形成する樹脂の特性であるガラス転移点温度Tgに起因するためガラス転移点温度Tg近傍に発現する。
次に、基材上に制振層を配し、更に、制振層に拘束層を配したときの損失係数を図1に1点鎖線で示した。このときは制振層が図2(b)に示したように拘束層と基材に挟まれた状態にあることから、制振層は2層形のときに比べて運動が制限されるため樹脂のガラス転移点温度Tgより高い温度にピークが移行し、図1に示したように高い温度領域まで制振性が得られる。
ここで、発明者らはメチル基以上の残留立体障害分子枝を持つベース樹脂となるポリマーと、誘電正接の高い無機フィラー及びラジカルを捕捉する機能を有する有機フィラーと発泡剤を用いて組成物を構成し、それを自動車のボデーパネル等に施工した場合(図2(c)参照)、発泡剤による発泡構造とすることによって制振性は、表面にできた緻密な発泡によるスキン層3が拘束層として働くことにより図1の1点鎖線に示すように制振性の特性を高温側にシフトさせ、更に、振動減衰付与剤としての誘電正接の高い無機フィラー及びラジカルを捕捉する機能を有する有機フィラーによって損失係数のピーク値を大きくアップさせることができ、制振性の向上が図ることができることを見出した。(図1の実線)
そして、本実施の形態による熱硬化型1液塗料組成物は、図2(c)に示すように、見かけは1層の制振層5だけだが、制振層5は発泡体における内部発泡層4を軟鋼板の基材とスキン層3とにより拘束した実質2層構造となり、吸音、制振、遮音を確保する組成物となることが確認された。
次に、誘電正接tanδの高い無機フィラー及びラジカルを捕捉する機構を有する有機フィラーについて説明する。前述したように誘電正接とは、絶縁体内部での電気エネルギー損失度合いのことをいい、抵抗の大きい絶縁体としての性能を評価する一つの基準であるが、誘電正接が大きいと、付与したマイクロ波振動に対し、熱変換(誘電損)し易く(振動エネルギーを熱エネルギーに変換しやすく)、振動減衰効果が大きいと解釈される。これは高周波誘電加熱の原理で確認される。例えば、コンデンサには絶縁性の良好なものが要求されるから、誘電正接は小さいものが優れ、制振材としては誘電分極しやすい誘電正接が大きい材料が内部材料として存在すると、優れた制振性を発揮すると発明者らは考えている。
絶縁体は電流が流れないので、電場を加えると原子・分子内でプラス、マイナスに分極する。電子分極したとき原子は電子雲の重心と原子核の中心とがずれた形、つまり電気双極子と呼ばれるような正電荷と負電荷の重心が分かれ対(電荷の分離)になっており、そこに電界を加えると回転しようとする(極性の変化)。このような現象を誘電現象といい、このような性質を持つ物を誘電体と呼んでいる。電子レンジと呼ばれる家庭用の調理器による高周波誘電加熱は、物質の誘電率と誘電正接を利用したものである。
高周波誘電の振動により誘電体が分極を起こすと、多少の導電性をもつことになり、分極によって生じた電気双極子は加振によって回転させられることになる。このとき回転を妨げる分子の抵抗力や熱運動のために復元力が働き、伸びたり、縮んだりして分子が動くために発熱される。したがって、この誘電体損の挙動が強い物質である金雲母や膨張性黒鉛等の燐片状圧電無機フィラーを使用すると制振性は向上する。そして、ラジカルを捕捉する機構を有する有機フィラーとして芳香族アミンやアミンケトン等をこれら無機フィラーに補助材料として配するとさらに効果が向上し、これらの効果はSBR等のメチル基以上の立体障害分子枝構造を有したポリマーに用いると材料間の相互作用にて振動を熱に高効率に変換する組成物を得ることができることを見出した。
ここで、ラジカルを捕捉する機構として使用できる有機フィラーとしては抗酸化物質が挙げられる。抗酸化物質は、作用の違いから、連鎖停止剤、過酸化物分解剤、金属不活性剤の三つに分類され、特に連鎖停止剤は、反応性の高いパーオキシラジカルに作用して電子を供給し、ラジカルを消去させるべく連鎖反応を停止し、酸化を抑制する。つまりラジカル反応の連鎖を断ち切るためにパーオキシラジカルと先に反応(ラジカルトラップ)するのが連鎖停止剤であり、連鎖停止剤の極性分子構造がラジカルに反応して連鎖反応を停止させる。
この極性分子構造が、誘電正接の高いマグネシウム系燐片フィラーや、グラファイト系燐片フィラーのような燐片状の圧電フィラーと立体障害分子枝構造ポリマーの制振機構を助ける役割をするものと予想される。
金雲母はマグネシウム系燐片フィラーの中で誘電正接が0.1〜0.7、熱分解温度800〜1100℃を特徴とする系列名であり、スゾライトマイカ、軟質マイカ、フロゴパイトと呼ばれることもある。化学式は、KMgAlSi10(OH))で表現される。金雲母は圧電体である水晶成分を0.1〜1%の範囲だけ持つことにより、圧力に比例した分極(表面電荷)が現れる圧電効果(ピエゾ効果)の特性が予想され、この圧電効果により誘電正接が高く、振動エネルギーを熱エネルギーに変換する特性が強くなるものと考えられる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
本発明の実施の形態の熱硬化型1液塗料組成物は、熱架橋樹脂としてCH−で示されるアルキル置換基以上、即ち、メチル基以上の立体構造を阻害する残留立体障害分子枝を持つポリマーと、誘電正接が0.1以上の無機フィラーとしてマグネシウム系燐片フィラーの金雲母、及びグラファイト系燐片フィラーの膨張黒鉛を使用し、ラジカルを捕捉する機能を有する有機フィラーとして抗酸化物質のうちの連鎖停止剤となる芳香族アミンを使用した。さらに詳細に説明すると、金雲母の誘電正接は0.1〜0.7、膨張黒鉛の誘電正接は0.3〜1.0を有している。また、金雲母の熱分解温度800〜1100℃であり、膨張黒鉛も難燃性であることから難燃性機能を高めることが期待できる。また、芳香族アミンは、その連鎖停止の効果から同じアミン系のアミンケトンを使用することができる。
ここで、残留立体障害分子枝を持つポリマーとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR) を使用した。本発明を実施する場合にはこれ以外にも、イソプレンゴム(IR)、アクリルゴム等の使用が可能である。
表1及び表2に本発明の実施の形態及び比較例に使用する材料を記載した。
そして、表3に記載した材料を表1に記載した割合で配合し本発明の実施の形態における実施例1乃至実施例3の熱硬化型1液塗料組成物を作製し試験材料とした。また、表2として、振動減衰付与剤としてのラジカルを捕捉する機能を有する有機フィラーを配さない組成物として比較例1、比較例2及び振動減衰付与剤としての無機フィラーを配さない組成物として比較例3、更に、誘電正接が低い鱗片状フィラーを使用した比較例4及び、比較例5を合わせて作製し試験材料とした。
このように作製した実施例1乃至実施例3及び比較例1乃至比較例5を用いて以下に説明する発泡充填性、制振性の試験を行った。
表1は本発明の実施例1乃至実施例3を示すものであり、材料名とその配合割合を重量部として表したものである。なお、振動減衰付与剤Cは全体に対して0.1重量部加えたものである。表2は本発明の実施の形態に対抗する比較例1乃至比較例5を示すものであり、材料名とその配合割合を重量部として表したものである。なお、振動減衰付与剤Cを配する比較例3および比較例5は、実施例に合わせて全体に対して0.1重量部加えたものである。表3は本発明の実施例1乃至実施例3及び比較例1乃至比較例5で使用した材料名を具体的に示したもので内容には具体的材料名が、特定のサプライヤーから販売された商品名はサプライヤーの名前と共に記載している。また、そこに記載の組成は重量部として使用できる範囲を示している。
なお、アルミニウム系鱗片状フィラーとしては、誘電正接が0.01〜0.02の硬質雲母と云われる白マイカ(マスコバイトマイカ)を使用した。
また、振動減衰付与剤Aの無機フィラーは、マグネシウム系鱗片状フィラーで、軟質雲母とも云われる誘電正接0.1〜0.7、熱分解温度600〜800℃の金マイカ(フロゴバイトマイカ) を使用した。
更に、振動減衰付与剤Bの無機フィラーは、黒鉛系鱗片状フィラーで、誘電正接0.3〜1.0の膨張黒鉛と云われるものを使用した。
Figure 0005766151
Figure 0005766151
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次に試験方法について説明する。
発泡充填性は、縦100mm、横100mm、厚み1.5mmの大きさで実施例1乃至実施例3、及び比較例1乃至比較例5の試験材料を厚み1.6mmの軟鋼板に塗布し180℃の温度で30分加熱硬化させた後厚みを測定し、加熱硬化前後の厚みの変化が10倍以上のものを合格とした。
制振性は、幅10mm、長さ220mm、厚み1.6mmの軟鋼板の基材に各試験材料を幅10mm、長さ200mm、面密度3kg/mで塗布し、180℃の温度で30分加熱硬化させて試験品とした。試験はFFTアナライザを使用し、片持ち梁法(オーベスト法)により20℃での損失係数が0.1以上を合格とした。
損失係数の測定値は表1、表2の制振性の評価項目の括弧内に記載した。
表1の比較例1および比較例2の結果から分かるように、振動減衰付与剤として誘電正接tanδが0.1以上の無機フィラーのみでは損失係数が0.05であることから所望の制振性が得られていない。また、比較例3の振動減衰付与剤としてのラジカルを捕捉する機能を有する有機フィラーのみでも同様であった。しかし、これら無機フィラーと有機フィラーを合わせると実施例1乃至実施例3のように損失係数が0.1以上の所望の制振性が得られる。ここで無機フィラーは誘電正接tanδが0.1以上の無機フィラーの場合には有機フィラーとの併用によって所望の制振性が得られるが、比較例5のように誘電正接tanδが0.1に達しない無機フィラーの場合には有機フィラーを併用させても所望の制振性が得られていない。このことから、ラジカルを捕捉する機能を有する有機フィラーは誘電正接tanδが0.1以上の無機フィラーの場合に相互に作用を及ぼし合って、メチル基以上の残留立体障害分子枝を持つポリマーとの影響を強め制振性の効果を予想以上に高めている。
このような本実施の形態の熱硬化型1液塗料組成物は、加熱硬化前は液状物でることから制振・吸音が要求される部位に簡便に配することが出来ることから、車両のピラー内等の内部空間(空隙部)を充填して吸音機能を発揮する吸音材料として使用できる。また、ピラー内使用にて遮音だけでなく、本実施の形態の熱硬化型1液塗料組成物の持つ効果的な制振機能により総合的に風切り音発生を抑制できる。
更に、溶接工程でも施工可能であるから、天井、ドア等の従来の制振材では施工が困難であった場所への施工も可能となる。しかも、一般吸音材としても利用でき、例えば、電車等の乗り物、自動販売機、洗濯機等家電分野、また、手摺り等建材にも使用可能である。
ここで、本実施の形態の熱硬化型1液塗料組成物における大きな特徴は、損失係数のピークつまり制振性のピークを制振層を形成する樹脂のガラス転移点温度領域より高い領域に移行させ、更に、損失係数を大きくすることで制振性を向上させていることにある。
損失係数のピークは振動減衰付与剤としての無機フィラーと有機フィラー及び残留立体障害分子枝を持つポリマーとの相互作用によって大きく向上する。このように、本発明の熱硬化型1液塗料組成物は、例えば、車両に使用される軟鋼板等の拘束層となる基材上にスキン層を有した熱硬化型1液塗料組成物の発泡体を配することで、制振層を形成する樹脂のガラス転移点温度Tgより高い温度領域で損失係数0.1以上が得られる吸音・制振構造物を形成する組成物である。ここで拘束層は本願発明のように発泡によるスキン層以外にも、熱硬化型1液塗料組成物の発泡体の振動を振動しにくくするもの、つまり拘束するものであり、熱硬化型1液塗料組成物の発泡体の弾性より小さな弾性を有する基材を設けることもできる。拘束層を適宜選定することで、より制振性の向上が見込まれる。
加えて、図2(c)に示すように、内部発泡層4はゴム弾性を有した軟質層であり、ゴム状領域では安定的な粘弾性体のため温度の影響が少なく、使用可能温度幅が広くなる。殊に、熱硬化型1液塗料組成物の熱架橋樹脂が有するガラス転移点温度Tgより高い温度領域にて制振性ピーク温度を迎え、使用温度領域にて安定した制振機能を発揮する。
以上説明してきたように、上記実施の形態は、主に車の構造から生じる内部空間(空隙部)を充填することにより吸音機能を発揮できる。また、制振機能により総合的に風切り音の発生を抑制でき、天井やドア等従来の制振材では施工が困難であった場所への施工も可能である。また、その他開放部位での吸音・制振要求に対しても対応が出来るため、一般吸音材としても利用可能な遮音充填機能及び制振機能を持つものである。
特に、上記実施の形態は、1液塗料として使用でき、塗装ロボット等を使用して自動塗布、塗装ができ、制振性及び遮音性を有する塗料となる。
1 拘束層
2 制振層
3 スキン層
4 内部発泡層
5 制振層

Claims (2)

  1. メチル基以上の残留立体障害分子枝を持つポリマーと、振動減衰性付与剤と、発泡剤を含有し、
    前記振動減衰性付与剤が誘電正接0.1以上を有し、アスペクト比5〜50の範囲内、粒径が中位径3〜100μmの範囲内であるマグネシウム系燐片フィラーと、分子からのラジカルを捕捉する機能を有する芳香族アミンまたはアミンケトンとを組み合わせたものであることを特徴とする熱硬化型1液塗料組成物。
  2. 前記マグネシウム系燐片フィラーが、誘電正接が0.1〜0.7の金雲母を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱硬化型1液塗料組成物。
JP2012128329A 2012-06-05 2012-06-05 熱硬化型1液塗料組成物 Active JP5766151B2 (ja)

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