以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は実施形態の顕微鏡装置1を示している。この顕微鏡装置1は走査光学系2と顕微鏡光学系3とを有して構成している。同図に示すように、走査光学系2は光源4とファイバ5とコリメートレンズ6とマイクロレンズディスク7とピンホールディスク8と連結ドラム9とモータ10とダイクロイックミラー11と第1リレーレンズ12とミラー13と蛍光フィルタ14と第2リレーレンズ15とカメラ16と制御部17とモニタ18とを有して構成している。
光源4はレーザ光Lを発振する光源である。レーザ光Lは観察対象である試料Sを観察するための照明光となる。ファイバ5は光ファイバであり、レーザ光Lを導光する。ファイバ5の出射側にはコリメートレンズ6が配置されており、ファイバ5から出射されたレーザ光Lはコリメートレンズ6で平行光になる。
コリメートレンズ6の前方にはマイクロレンズディスク7が配置されている。マイクロレンズディスク7とピンホールディスク8とは連結ドラム9により連結されており、連結ドラム9はモータ10に接続されている。マイクロレンズディスク7とピンホールディスク8とは回転ディスクであり、モータ10により回転力が連結ドラム9に付与されることで、マイクロレンズディスク7とピンホールディスク8とが一体的に回転する。連結ドラム9とモータ10とにより回転部が構成される。
図2に示すように、ピンホールディスク8には多条(図中では4条)の螺旋状の多数のピンホール8Pを配列して形成している。ピンホール8Pは試料Sの焦点の範囲内の光のみを通過させる微小開口部である。マイクロレンズディスク(レンズディスク)7には、ピンホール8Pと同一パターンで多条の螺旋状の多数のマイクロレンズ7Mを配列して形成している。マイクロレンズ7Mは対応するピンホール8Pにレーザ光Lを集光させる機能を有している。
図1および図2に示すように、マイクロレンズディスク7とピンホールディスク8との間にはダイクロイックミラー11を設けている。ダイクロイックミラー11は光源4が発振するレーザ光Lの波長を透過し、試料Sの蛍光の波長を反射する特性を有する光学素子である。ダイクロイックミラー11により光が反射する位置に第1リレーレンズ12を設けている。
この第1リレーレンズ12によりリレーされた光はミラー13で反射して蛍光フィルタ14に導かれる。蛍光フィルタ14は試料Sが発生する蛍光成分の波長のみを選択的に透過するフィルタである。蛍光フィルタ14を透過した光は第2リレーレンズ15に入射する。
そして、この光は第2リレーレンズ15によりカメラ16に集光される。カメラ16は受光した光を電気信号に変換して、制御部17に出力する。制御部17は顕微鏡装置1の全体を制御するコンピュータであり、カメラ16から入力した電気信号に基づいて試料Sの画像を生成する。制御部17は所定の演算を行う演算部として動作する。生成した画像はモニタ18に表示する。
次に、顕微鏡光学系3について説明する。図1に示すように、顕微鏡光学系3は撮影レンズ19とミラー20と第1対物レンズ21とディッシュ22と第2対物レンズ23とコーナーキューブ24とディッシュ駆動機構25とを有して構成している。
撮影レンズ19はピンホール8Pを通過したレーザ光Lを平行光にする。この平行光はミラー20で反射して第1対物レンズ21に導かれる。第1対物レンズ21によりレーザ光Lはディッシュ22に搭載された試料Sに焦点を結ぶ。ディッシュ22は試料Sを搭載する搭載部である。
レーザ光Lは試料Sを透過して、透過した位置に第2対物レンズ23を配置している。第1対物レンズ21と第2対物レンズ23との焦点面は一致させるように配置する。第2対物レンズ23によりレーザ光Lは平行光になって、コーナーキューブ24に入射する。コーナーキューブ24は3枚のミラーを相互に直角に組み合わせて立方体を形成した再帰反射光学系である。
ディッシュ22にはディッシュ駆動機構25が取り付けられている。ディッシュ駆動機構25はディッシュ22をレーザ光Lの光軸方向に微小に移動させる相対移動機構である。この相対移動機構はレーザ光Lの焦点と試料Sとを相対的に移動させる。相対移動機構は制御部17により制御がされて、ディッシュ22が光軸方向に移動する。
次に、動作について説明する。制御部17は、光源4からレーザ光Lを発振させる。レーザ光Lはファイバ5に集光されて、ファイバ5の端部から広がりを持って出射される。このレーザ光Lはコリメートレンズ6によって、平行光に変換されて、マイクロレンズディスク7のマイクロレンズ7Mに入射する。
マイクロレンズ7Mは集光レンズの作用を有しており、レーザ光Lはダイクロイックミラー11を透過した後に、マイクロレンズ7Mに対応するピンホール8Pに焦点を結ぶ。ピンホール8Pは通過したレーザ光Lは撮影レンズ19に入射する。撮影レンズ19によりレーザ光Lはピンホール8Pの位置に対応する傾きを有する平行光に変換される。この平行光はミラー20で反射して光路が90度変換されて、第1対物レンズ21に入射する。
そして、第1対物レンズ21によりディッシュ22に搭載された試料Sに焦点を結ぶ。このとき、試料Sを通過したレーザ光Lは第2対物レンズ23によって、焦点位置に対応した傾きを有する平行光に変換される。つまり、光軸中心に焦点がある場合は光軸に平行な平行光になり、光軸中心から焦点がずれるほど、光軸に対して傾きを持った平行光になる。
第2対物レンズ23により平行光となったレーザ光Lは、コーナーキューブ24で入射方向と同じ方向に再帰反射する。従って、入射したときと同じ光路を辿って戻ることになり、再び第2対物レンズ23に入射する。そして、第2対物レンズ23の作用により、レーザ光Lは再び試料Sに焦点を結ぶ。
試料Sにはレーザ光Lの波長の光が蛍光する蛍光色素や蛍光タンパク等が導入されている。よって、第1対物レンズ21および第2対物レンズ23からレーザ光Lが焦点を試料Sで結ぶことにより、試料Sが蛍光する。発生した蛍光は第1対物レンズ21および第2対物レンズ23に向かう。
第2対物レンズ23に向かう蛍光は、コーナーキューブ24で再帰反射して、再び試料Sで焦点を結ぶ。そして、この蛍光は第1対物レンズ21に向かう。一方、もともと試料Sで発生した蛍光は第1対物レンズ21に向かう。
よって、試料Sで発生した蛍光は直接的に第1対物レンズ21に向かう光とコーナーキューブ24で再帰反射した光との2つの蛍光により構成される。これにより、試料Sで発生した蛍光は上下2方向から回収できるため、蛍光の収率が向上する。第1対物レンズ21に向かう2つの蛍光を戻り光Rとする。なお、2つの蛍光は可干渉距離が短いため、相互に殆ど干渉を起こさない。
戻り光Rは第1対物レンズ21で平行光になって、ミラー20で反射する。ミラー20で反射した戻り光Rは、撮影レンズ19からピンホール8Pに集光される。ピンホール8Pは試料Sの焦点の範囲内の光のみを通過させるため、カメラ16により生成される画像は共焦点画像になる。ピンホール8Pを通過した戻り光Rはダイクロイックミラー11で反射する。
そして、ダイクロイックミラー11で反射した戻り光Rは第1リレーレンズ12でリレーされて、ミラー13で反射する。ミラー13で反射した戻り光Rは蛍光フィルタ14に入射して、試料Sの蛍光成分以外が取り除かれる。これにより、蛍光画像のみがカメラ16で撮影される。
蛍光フィルタ14を透過した戻り光Rは第2リレーレンズ12によりカメラ16に結像される。カメラ16は結像された戻り光Rを電気信号に変換して、制御部17に出力する。制御部17では入力した電気信号に基づいて所定の画像処理を行う。
ここで、制御部17はモータ10を制御して回転力を付与する。これにより、連結ドラム9が回転して、マイクロレンズディスク7とピンホールディスク8とが一体的に回転する。マイクロレンズディスク7には多数のマイクロレンズ7Mが配列されており、ピンホールディスク8には同じパターンの多数のピンホール8Pが配列されている。
よって、マイクロレンズディスク7とピンホールディスク8とを一体的に回転させることで、図2に示すように、レーザ光Lが通過するピンホール8Pは回転に伴って順次変化する。これにより、レーザ光Lは試料Sの焦点面を水平面上に走査される。且つ、戻り光Rは再びピンホール8Pを通過した後にダイクロイックミラー11で反射して、カメラ16の結像面上を走査される。
従って、マイクロレンズディスク7とピンホールディスク8とを一体的に回転させることで、試料Sの水平面方向にレーザ光Lを高速に走査することができる。これにより、カメラ16は順次走査された戻り光Rの電気信号を出力するため、制御部17は高速に試料Sの画像生成を行うことができる。そして、生成された試料Sの画像はモニタ18に表示される。
このとき、試料Sに照射されるレーザ光Lおよびカメラ16に結像される戻り光Rはピンホール8Pを通過している。ピンホール8Pは試料Sの焦点内の光のみを通過させ、それ以外の光を通過させないため、カメラ16に結像される戻り光Rは試料Sの焦点の範囲内の光のみになる。これにより、深さ方向に高い分解能の共焦点画像が生成される。
カメラ16は平面方向(X方向およびY方向)に所定の画素を有している。つまり、X方向に複数画素、Y方向に複数画素を有しており、これが試料Sの水平面方向の所定領域の画像になる。カメラ16の画素のうち1つの画素について着目する。この画素は試料Sの1点の蛍光の情報になっているが、この蛍光の情報はレーザ光Lの光軸方向(Z方向)にぼけを生じている。
つまり、Z方向の空間情報が1つの平面画像に混ざって写し込まれており、光学的に畳み込まれた情報になっている。これを元の情報に戻すために、逆畳み込み積分(デコンボルーション)処理を行う。デコンボルーション処理を行うときには、Z方向の複数の断面の情報が必要になる。
そこで、制御部17は、ディッシュ駆動機構25を駆動させる。これにより、ディッシュ22が微小駆動し、ディッシュ22に搭載された試料Sがレーザ光Lの光軸(Z方向)に微小に移動する。この移動により、Z方向の異なる断面の情報が取得できる。制御部17はディッシュ駆動機構25を連続して駆動させて、Z方向の各断面の情報を取得する。
ここで、試料Sに対しては、第1対物レンズ21から照射されるレーザ光Lとコーナーキューブ24で再帰反射して第2対物レンズ23から照射されるレーザ光Lとの2つのレーザ光Lが焦点を結ぶ。従って、これらの2つのレーザ光Lが試料Sで干渉する。
試料Sでレーザ光Lが最初に焦点を結んでからコーナーキューブ24で再帰反射してから再び焦点を結ぶまでの光路長がレーザ光Lの波長λの半分(λ/2)の偶数倍となる場合には、焦点面において光は強め合う。ここで、光路長はコーナーキューブ24において生じる反射による位相の変化を考慮したものとする。また、焦点面からλ/2だけ離間した位置においては2つの光の位相はλだけずれるので強め合う。そして、干渉の効果がない位置の光の強度は焦点面から離間するにつれて弱まるため、焦点における強度分布は図3のようになる。
つまり、図3に示すように、前記の光路長がレーザ光Lのλ/2の偶数倍の場合には、焦点Fは焦点面における狭小な領域F1において光が強め合い、焦点面からλ/2だけ離間した領域F2において光が強め合う。また、焦点面からλだけ離間した領域F3において光が強め合う。ただし、光が強い領域は「F1>F2>F3」となる。
一方、前記の光路長がレーザ光Lの波長λの半分(λ/2)の奇数倍となる場合には、焦点面において光は弱め合う。また、焦点面からλ/4だけ離間した領域F1で光が強め合い、3λ/4だけ離間した領域F2で光が強め合う。ただし、光が強め合う領域は「F1>F2」となる。
光が強め合う領域は、前記の光路長によって変化し、また光路上の試料等の屈折率分布等にも影響を受けて変化するが、概ね図3や図4のような分布で変化する。
カメラ16の1点の画素には光軸方向(Z方向)の空間情報が写し込まれており、つまり図3或いは図4の情報がぼけの情報になって写し込まれている。カメラ16が受光した戻り光Rは電気信号に変換して、制御部17に出力される。制御部17はこの電気信号に基づいてデコンボルーション処理の演算を行う。
制御部17はデコンボルーション処理を行うためにPSFパターンを有している。PSFパターンは予め実測したものであってもよいし、試料Sを観察した画像から推測したものであってもよい。例えば、予め実測によりPSFパターンを得ておく方法としては、逆フィルター法や漸近法があり、観察した画像から推測する方法としてはブラインド法がある。
制御部17は前記の光路長に応じたPSFパターンを有しており、ディッシュ駆動機構25によりディッシュ22を微小移動(つまり、試料Sを光軸方向に微小移動)させたときの試料Sの各断面の画像に基づいて、デコンボルーション処理を行う。これにより、カメラ16の1点の画素に写し込まれている空間情報を元の情報に戻すことができる。
つまり、多重に重なっている成分の情報を除去することができる。これにより、高分解能の成分の情報を取得することができる。例えば、図3或いは図4で言えば、焦点Fのうち、領域F1のみの情報が他の断面(断層)の情報が写し込まれることなく、ぼけの生じていないクリアな画像を生成することができる。
このため、焦点Fのうち、Z方向(光軸方向)に極めて狭小な領域F1の画像の情報がぼけのないクリアな画像で取得することができる。このため、高い分解能の鮮明な画像を取得することができる。しかも、コーナーキューブ24を用いて再帰反射をしているため、光軸と直交する方向における光軸調整に4Pi共焦点顕微鏡ほどの光軸調整の精度は要求されない。且つ、戻り光の光路を一致させるように調整を行う必要もない。よって、簡単な光学調整で実現することが可能になる。
カメラ16はXY方向に所定の画素数を有している。各画素について、前述したデコンボルーション処理を行う。これにより、試料Sの所定領域の水平面の断層像を取得することができる。この断層像はZ方向に高い分解能を有しており、且つ鮮明な画像になっている。
以上において、コーナーキューブ24は3枚のミラーを相互に直角に組み合わせて立方体を形成した光学系である。ミラーとしては、ガラスを研磨して全反射させるようにしたものを用いてもよく、反射膜を施したものを用いてもよい。要は、入射した光を入射方向に戻す再帰反射をするものであれば任意の光学素子を用いることができる。
また、相対移動機構としてディッシュ駆動機構25がディッシュ22を光軸方向に移動させることにより、レーザ光Lの焦点に対して試料Sを相対的に移動させていた。この点、ディッシュ22(つまり、試料S)を固定して、レーザ光Lの焦点を移動させるようにしてもよい。この場合には、ディッシュ22以外の他の光学系(第1対物レンズ21や第2対物レンズ23等)をディッシュ22に対して相対的に移動させるようにする。
次に、図5を参照して、変形例1について説明する。本変形例1では、走査光学系2および顕微鏡光学系3の構成が実施形態と異なる。まず、走査光学系2について説明する。図5に示すように、走査光学系2は光源31とダイクロイックミラー32と走査光学ユニット33と走査系瞳リレーレンズ34と蛍光フィルタ35と集束レンズ36とピンホール37と検出器38と制御部17とモニタ18とを備えて構成している。制御部17およびモニタ18は実施形態と同じである。
また、顕微鏡光学系3は実施形態の構成に追加して、第1瞳リレーレンズ41と第2瞳リレーレンズ42とを追加している。第1瞳リレーレンズ41と第2瞳リレーレンズ42とにより瞳リレーレンズ系が構成され、当該瞳リレーレンズ系は第2対物レンズ23とコーナーキューブ24との間に設けられる。そして、コーナーキューブ24には、当該コーナーキューブ24をレーザ光Lの光軸方向に移動させるキューブ駆動機構43が設けられている。
以上の構成において、制御部17は光源31から平行光のレーザ光Lを発振する。このレーザ光Lはダイクロイックミラー32で反射して走査光学ユニット33に導かれる。走査光学ユニット33は1本の軸周りに回転可能な第1可変ミラー33aとこの第1可変ミラー33aの軸にほぼ直交する軸回りに回転可能な第2可変ミラー33bとを備えている。
第1可変ミラー33aと第2可変ミラー33bとにより試料Sの水平面方向にレーザ光Lが走査される。この走査光学ユニット33を経た光が走査系瞳リレーレンズ34から走査光学系2を出射し、顕微鏡光学系3の撮影レンズ19に入射する。そして、第1対物レンズ21により試料Sに焦点を結ぶ。
試料Sを透過したレーザ光Lは第2対物レンズ23により平行光にされて、第1瞳リレーレンズ41、第2瞳リレーレンズ42の瞳リレーレンズ系によりコーナーキューブ24まで導かれる。そして、コーナーキューブ24で再帰反射をして、第1瞳リレーレンズ41、第2瞳リレーレンズ42を経て、第2対物レンズ23により、試料Sで再び焦点を結ぶ。
これにより、試料Sに上下2方向からレーザ光Lが照射されて、前述したように、2つのレーザ光Lが干渉する。試料Sで焦点を結んだレーザ光Lが干渉することにより、試料Sが蛍光を発生して、戻り光Rが発生する。戻り光Rはミラー20で反射をして、撮影レンズ19から走査系瞳リレーレンズ34、走査光学ユニット33を介して、ダイクロイックミラー32に入射する。
そして、ダイクロイックミラー32を透過して、蛍光フィルタ35で蛍光成分の波長のみが選択されて、集束レンズ36により検出器38に収束する。このとき、ピンホール37を光路上に設けており、このピンホール37は第1対物レンズ21の焦点と共役な位置関係に配置している。よって、戻り光Rのうち試料Sの焦点の範囲内のみの光が通過する。これにより、生成される画像は共焦点画像になる。
このとき、ディッシュ駆動機構25がディッシュ22を微小移動させることにより、試料Sの異なる断面の画像を取得する。これにより、図3或いは図4のように焦点の強度分布となっている画像のPSFパターンからデコンボルーション処理を行い、目的となる強度成分(例えば、図3の場合には焦点面の領域F1)以外の成分を除去する。このため、Z方向の複数の断面の情報が1つの画像に写し込まれることによるぼけを解消し、光軸方向に高い分解能の鮮明な画像を取得することができる。
ここで、本変形例1では、コーナーキューブ24を光軸方向に移動させるキューブ駆動機構43を設けている。キューブ駆動機構43がコーナーキューブ24を光軸方向に移動させることにより、レーザ光Lが試料Sで焦点を結んでからコーナーキューブ24で再帰反射をして再び試料Sに焦点を結ぶまでの光路長を変化させることができる。
つまり、前記の光路長を変化させることにより、図3のような強度分布のパターンと図4のような強度分布のパターンとの両者を採用することができ、またその間の適宜のパターンも採用することができる。つまり、任意の強度分布のパターンに変化させることができる。
これにより、焦点における干渉の縞の位相を任意に変化させることができる。このときに、制御部17は干渉縞の位相の異なる画像情報を考慮してデコンボルーション処理を行う(図3や図4のような異なる画像情報を考慮して演算処理を行う)。これにより、位相の異なる干渉縞の画像情報を使用してデコンボルーション処理を行うことができることから、演算の精度を向上させることができる。つまり、より多くの情報量に基づいて、試料Sの画像を得ることができるため、実施形態のときよりもさらに光軸方向に高い分解能の画像を得ることができる。
ここで、第2対物レンズ23の瞳位置は第2対物レンズ23から非常に近い位置になる場合や、第2対物レンズ23の鏡胴内部に位置する場合がある。ここで、コーナーキューブ24は第2対物レンズ23の瞳位置(後ろ側焦点位置)に配置することで最も高い光利用効率を得ることができるが、第2対物レンズ23の瞳位置が鏡胴内部に位置すると、コーナーキューブ24を第2対物レンズ23の瞳位置に配置することができない。
そこで、第2対物レンズ23の瞳位置をリレーする第1瞳リレーレンズ41、第2瞳リレーレンズ42を設ける。これにより、第2対物レンズ23の瞳位置がリレーされて、第2対物レンズ23から離れた位置にあるコーナーキューブ24にまで瞳位置をリレーすることができる。これにより、第2対物レンズ23の瞳から出るほぼ全ての光が再帰反射によって再び第2対物レンズ23に入射するため、高い光利用効率を得ることができる。
また、本変形例1では、検出器38は戻り光Rを1点で受光している。つまり、試料Sの1点の情報を受光していることになる。このため、走査光学ユニット33により、試料SのX方向およびY方向にレーザ光Lを走査する。これにより、試料Sの水平面方向の所定領域の画像を取得することができる。
次に、変形例2について説明する。図6は本変形例2の顕微鏡装置1を示している。なお、図6では、顕微鏡光学系3のみを示しており、走査光学系2を省略している。走査光学系2は前述した実施形態と同じである。この変形例2の顕微鏡光学系3はコーナーキューブ24の代わりに、テレセントリック結像レンズ51と反射ミラー52とを有して構成している。
第2対物レンズ23により平行光にされたレーザ光Lはテレセントリック結像レンズ51により反射ミラー52で焦点を結ぶと共に、テレセントリック結像レンズ51から第2対物レンズ23に戻る。従って、テレセントリック結像レンズ51と反射ミラー52とにより、入射したレーザ光Lを再帰反射する再帰反射光学系を構成してもよい。
次に、変形例3について説明する。図7は変形例3における第1対物レンズ21、ディッシュ22、第2対物レンズ23を示している。この変形例3では第1対物レンズ21はドライ対物レンズを用いる。ここでは、20倍のドライ対物レンズ、開口数0.75、ワーキングディスタンス0.6mm程度のものを用いるものとするが、勿論これら以外の数値のものを用いてもよい。
第1対物レンズ21のワーキングディスタンスは非常に短いため、第2対物レンズ23に同様のドライ対物レンズを用いると、第1対物レンズ21と第2対物レンズ23との間に試料Sを搭載したディッシュ22を配置することが困難になる。
そこで、第2対物レンズ23には水浸対物レンズを用いる。水浸対物レンズとしては、例えば電気生理用の対物レンズでカバーガラスを必要としない水浸レンズを用いることが望ましい。例えば、40倍水浸レンズ、開口数0.8、ワーキングディスタンスが3.3mm程度のものを用いることが望ましい。
このような水浸対物レンズを第2対物レンズ23として用いることで、十分なワーキングディスタンスを確保することができ、試料Sを搭載したディッシュ22を配置することが容易になる。また、試料Sが細胞の生物試料のような場合には、一般に培養液Wの中にあることが多いため、水浸対物レンズを用いると好適である。
次に、変形例4について説明する。第1対物レンズ21、ディッシュ22、第2対物レンズ23の構成は変形例3と同じ図7の構成になる。この変形例4では、第1対物レンズ21は油浸対物レンズを用いる。ここでは、100倍の油浸対物レンズ、開口数が1.4、ワーキングディスタンスが0.1mm程度のものを用いるとするが、勿論これら以外のものを用いてもよい。
変形例3と同様に、第1対物レンズ21のワーキングディスタンスは非常に短いため、第2対物レンズ23に同様の油浸対物レンズを用いると、第1対物レンズ21と第2対物レンズ23との間に試料Sを搭載したディッシュ22を配置することが困難になる。
そこで、第2対物レンズ23には水浸対物レンズを用いる。水浸対物レンズとしては、例えば電気生理用の対物レンズでカバーガラスを必要としない水浸レンズを用いることが望ましい。例えば、60倍の水浸レンズ、開口数が1.1、ワーキングディスタンスが1.1mm程度のものを用いると、十分なワーキングディスタンスを確保することができる。
変形例4では、第1対物レンズ21と比較して第2対物レンズ23の開口数が小さくなっている。このため、コーナーキューブ24で再帰反射して第2対物レンズ23により試料Sにおいて結ばれる焦点は若干大きくなり、また干渉の濃淡も薄くなる。
そこで、制御部17は、デコンボルーション処理を行うときに、レーザ光Lの光軸方向における高周波成分のみを抽出する処理を行う。これにより、第2対物レンズ23の開口数が小さくなっていることによる分解能の劣化を回避することができるようになる。
次に、変形例5について説明する。変形例5は変形例1の顕微鏡装置1を飽和励起顕微鏡に適用している。この変形例5の顕微鏡装置1では、光源31のレーザ光Lの発振強度を高くする。また、レーザ光Lの発振周波数を一定の周波数fで変調する。これにより、特に点像分布(PSF)の強度の頂上付近でのみ蛍光の飽和を生じる。
これにより、蛍光の方を生じた領域からの蛍光信号の時間変化に歪みを生じて、歪んだ波には2倍、3倍の周波数を含む高調波が出現する。この高調波を含む信号成分を検出することで、水平方向(XY方向)および光軸方向(Z方向)の分解能が高画像を得ることができる。
このときに、第1対物レンズ21により焦点を結ぶレーザ光Lと再帰反射して第2対物レンズ23により焦点を結ぶレーザ光Lとが試料Sで干渉する。また、ディッシュ駆動機構25がディッシュ22を光軸方向に微小移動して、試料Sの異なる断面の画像を取得する。そして、制御部17が取得した画像に基づいてデコンボルーション処理を行うことで、光軸方向に高い分解能の鮮明な画像を取得することができる。
従って、本変形例5では、光軸方向に高い分解能を得ることができる顕微鏡装置を飽和顕微鏡に適用することで、光軸方向だけでなく、水平方向にも高い分解能を得ることができ、3次元的に高い分解能の画像を得ることができるようになる。
次に、変形例6について説明する。変形例6は変形例1の顕微鏡装置1を誘導放出抑制(STED)顕微鏡に適用している。図8は変形例6で使用される光源31を示している。この図に示すように、光源31は励起用レーザ光源60とSTEDレーザ光源61と位相制御板62とミラー63とダイクロイックミラー64とを有している。
励起用レーザ光源60はレーザ光Lを発振する光源である。STEDレーザ光源61はSTEDレーザLSを発振する光源である。STEDレーザLSは誘導放出用のレーザ光である。位相制御板62は、図9に示すような位相分布の遅延を発生させる光学素子である。
ミラー63はSTEDレーザLSを反射させる。ダイクロイックミラー64はレーザ光Lを透過し、STEDレーザLSを反射させる特性を有する光学素子である。なお、図3で示したダイクロイックミラー32は、レーザ光LおよびSTEDレーザLSを反射し、蛍光を透過する特性を有している。
図8で示した光源31を使用すると、STEDレーザLSは位相制御板62の作用を受けて、ダイクロイックミラー64で反射する。これにより、レーザ光LとSTEDレーザLSとは光路が同一になる。そして、第1対物レンズ21により試料Sに焦点を結んだときに、STEDレーザLSの焦点は、XY平面においては図10に示すようなリング状のパターンとなる。
このリング状のパターンの中心の領域を小さくすることにより、蛍光が発生する領域を極めて小さくすることが可能である。これにより、XY方向に高い分解能の画像を得ることが可能になる。
このときに、第1対物レンズ21により焦点を結ぶレーザ光Lと再帰反射して第2対物レンズ23により焦点を結ぶレーザ光Lとが試料Sで干渉する。また、ディッシュ駆動機構25がディッシュ22を光軸方向に微小移動して、試料Sの異なる断面の画像を取得する。そして、制御部17が取得した画像に基づいてデコンボルーション処理を行うことで、光軸方向に高い分解能の鮮明な画像を取得することができる。
従って、本変形例5では、光軸方向に高い分解能を得ることができる顕微鏡装置をSTED顕微鏡に適用することで、光軸方向だけでなく、水平方向にも高い分解能を得ることができ、3次元的に高い分解能の画像を得ることができるようになる。