本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離での投写による画像の映し出しとを実現するためのプロジェクター、及びそのプロジェクターに用いる投写ユニットを提供することを第1の目的とする。また、本発明は、重量、消費電力、コストの軽減、奥行きサイズの抑制を可能とし、利便性が高い電子黒板を提供することを第2の目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る第1のプロジェクターは、光源と、光源からの光で照明される表示面と、表示面からの光を射出する射出光学系とを含む本体部と、射出光学系から射出された表示面からの光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットと、を備え、投写ユニットは、負のパワーを持つ凸面の広角化ミラーを有し、広角化ミラーは、表示面に対して傾けられた表示面の像面をなす光を反射し広角化させる。
上記第1のプロジェクターでは、本体部と投写ユニットとを組み合わせて、超短距離の近接投写を可能にする。本体部は、投写ユニットが外されて、単体で中長距離投写を可能にする。ここで、投写ユニットに設けた広角化ミラーにより、表示面又は光軸に対して十分に傾けられた像面(つまり、光軸の法線又は光軸に垂直な面に対して十分に傾けられた像面)をなすことになる光を反射して広角化させるので、偏芯光学系を採用しなくても歪曲等の収差の発生を抑えた良好な近接投写を行える。また、広角化ミラーでの反射によって映像を形成する光を広角化させることにより、広角化による色収差の低減も可能となる。これにより、超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離投写による画像の映し出しとが可能なプロジェクターを得ることができる。
本発明に係る第2のプロジェクターでは、上記第1のプロジェクターにおいて、投写ユニットが、射出光学系から射出された光を表示面に対して傾けられた表示面の像面をなす光とする像面制御光学系を有する。像面制御光学系により、射出光学系に負担をかけることなく表示面の像面を傾斜させることができる。
上記第2のプロジェクターの具体的な側面(aspect)では、投写ユニットが、表示面に対して傾けられた表示面の像面をなす像について、倍率を変換させる変倍光学系を有する。この場合、射出光学系によって通常の投射範囲外に形成される像について、その像面を像面制御光学系によって傾斜させ、変倍光学系によって適度なサイズにすることができる。
本発明の別の側面では、記投写ユニットが、表示面に対して傾けられた表示面の像面を、表示面に平行な被照射面に結像させる。つまり、傾斜のない適切な像の観察が可能になる。
本発明のさらに別の側面では、射出光学系が、光軸に沿った比較的遠距離の第1の範囲で表示面に平行な表示面の像面をなす像を結像させる通常表示状態と、光軸に沿った比較的近距離の第2の範囲で表示面に平行な表示面の像面をなす像を結像させるマクロ表示状態とに切り換え可能である。射出光学系によって超短距離から中長距離まで広い投射距離をカバーすることができる。なお、通常表示状態の射出光学系によって比較的遠距離に比較的大きな像を形成でき、マクロ表示状態の射出光学系によって比較的近距離に比較的小さな像を形成できる。
本発明のさらに別の側面では、本体部が、プロジェクターに対して着脱可能である。これにより、プロジェクターから比較的軽量な本体部を取り出して中長距離投写をすることができる。
本発明のさらに別の側面では、射出光学系と、投写ユニットとは、光軸を一致させて配置される。これにより、所望の光学性能を得るための光学系の調整や、光学要素の加工をし易くできる。特に、本体部と投写ユニットとの位置合わせを容易にできる。
本発明のさらに別の側面では、射出光学系と、投写ユニットとは、表示面からの光を光軸からシフトさせて進行させるシフト光学系を構成する。これにより、広角化ミラーで反射した光の、光軸上の光学要素との干渉を回避させ、広角化させた光を被照射面へ進行させることができる。
本発明に係る投写ユニットは、光源と、前記光源からの光に照射される表示面と、前記表示面からの光を射出する射出光学系とを含む本体部と組み合わせて使用され、射出光学系から射出された表示面からの光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットであって、表示面に対して傾けられた像面をなす光を反射し広角化させる、負のパワーを持つ凸面の広角化ミラーを有する。
上記投写ユニットを本体部とを組み合わせることで、超短距離の近接投写が可能になり、投写ユニットを外した本体部は、単体で中長距離投写を可能にする。ここで、投写ユニットに設けた広角化ミラーにより、表示面又は光軸に対して十分に傾けられた像面(つまり、光軸の法線又は光軸に垂直な面に対して十分に傾けられた像面)をなす光を反射して広角化させるので、偏芯光学系を採用しなくても歪曲等の収差の発生を抑えた良好な近接投写を行える。また、広角化ミラーでの反射によって映像を形成する光を広角化させることにより、広角化による色収差の低減も可能となる。これにより、超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離投写による画像の映し出しとが可能なプロジェクターを提供することができる。
上記投写ユニットの具体的な側面では、射出光学系から射出された光を表示面の像面をなす光とする像面制御光学系を有する。
本発明の別の側面では、投写ユニットが、表示面に対して傾けられた表示面の像面をなす像について、倍率を変換させる変倍光学系を有する。
本発明に係る電子黒板は、上記のプロジェクターと、被照射面を備え、かつ被照射面への他の情報の書き込みを可能とする画面表示部とを備え、前記プロジェクターのうち、前記射出光学系を含む本体部は、着脱可能である。
電子黒板は、本体部及び投写ユニットが組み合わせられたプロジェクターからの近接投写によって、画面表示部に映像を表示する。近接投写のための構成を採用することで、奥行き方向のサイズを小さく抑えることができる。また、射出光学系を含む本体部が電子黒板から着脱可能であり、本体部単体での中長距離投写を可能とすることで、高い汎用性、利便性を確保できる。電子黒板は、拡大投写のためのプロジェクターの適用により、重量、消費電力、コストの軽減が可能となる。これにより、重量、消費電力、コストの軽減、奥行きサイズの抑制を可能とし、利便性が高い電子黒板を得られる。
本発明に係る第3のプロジェクターは、上記第1のプロジェクターと同様の本体部と投写ユニットとを備え、投写ユニットが、映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系と、変倍光学系からの映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーとを備え、変倍光学系が、射出光学系の光軸に対して傾けられた像面(つまり、光軸の法線又は光軸に垂直な面に対して十分に傾けられた像面)をなす像について、倍率を変換させる。つまり、第3のプロジェクターは、映像光を射出する射出光学系を含む本体部と、射出光学系から射出された映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットと、を有し、投写ユニットは、映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系と、変倍光学系からの映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーと、を備え、変倍光学系は、射出光学系の光軸に対して傾けられた像面をなす像について、倍率を変換させることを特徴とする。
さらに、本発明に係る第4のプロジェクターは、上記第1のプロジェクターと同様の本体部と投写ユニットとを備え、射出光学系は、映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系としての機能を備え、変倍光学系は、射出光学系の光軸に対して傾けられた像面(つまり、光軸の法線又は光軸に垂直な面に対して十分に傾けられた像面)をなす像について、倍率を変換させる。つまり、第4のプロジェクターは、映像光を射出する射出光学系を含む本体部と、射出光学系から射出された映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットと、を有し、投写ユニットは、射出光学系からの映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーを備え、射出光学系は、映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系としての機能を備え、変倍光学系は、射出光学系の光軸に対して傾けられた像面をなす像について、倍率を変換させることを特徴とする。
第3及び第4のプロジェクターは、本体部と投写ユニットとが組み合わせられて、超短距離投写をする。本体部は、投写ユニットが外されて、単体で中長距離投写をする。光軸に対して傾けられた像を、倍率を変換させてから広角化させる構成とすることにより、偏芯光学系を採用しなくても近接投写を可能にできる。広角化ミラーでの反射により映像光を広角化させることにより、広角化による色収差の低減も可能となる。これにより、超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離での投写による画像の映し出しとが可能なプロジェクターを得られる。
また、本発明の具体的な側面では、第3及び第4のプロジェクターにおいて、射出光学系から投写ユニットを経ずに映像光を投写させた場合に、光軸に対して略垂直な像面をなす像を結像させる結像範囲を第1の範囲、映像光の光路のうち第1の範囲以外の範囲を第2の範囲、とすると、射出光学系は、第2の範囲において、光軸に対して傾けられた像面をなす映像光を射出可能である。これにより、本体部は、第1の範囲を中長距離投写のために利用し、第2の範囲を近接投写のために利用することが可能となる。
また、本発明の別の側面では、本体部は、プロジェクターから着脱可能である。これにより、プロジェクターから本体部を取り出して中長距離投写をすることができる。
また、本発明の別の側面では、射出光学系は、本体部単体で画像を表示するための第1のモードと、本体部と投写ユニットとを組み合わせて画像を表示するための第2のモードと、に切り換え可能である。 これにより、第1のモードにより、光軸に垂直な像面の像を得る場合と、第2のモードにより、傾けられた像面の像を得る場合と、を切り換えることができる。
また、本発明の別の側面では、射出光学系と、変倍光学系と、広角化ミラーとは、光軸を略一致させて配置される。これにより、所望の光学性能を得るための光学系の調整や、光学要素の加工をし易くできる。特に、本体部と投写ユニットとの位置合わせを容易にできる。
また、本発明の別の側面では、射出光学系と、変倍光学系と、広角化ミラーとは、映像光の光束を光軸からシフトさせて進行させるシフト光学系を構成する。これにより、広角化ミラーで反射した映像光の、光軸上の光学要素との干渉を回避させ、広角化させた映像光を被照射面へ進行させることができる。
さらに、本発明に係る投写ユニットは、映像光を射出する射出光学系を含む本体部と組み合わせて使用され、射出光学系から射出された映像光を被照射面へ向けて投写させる投写ユニットであって、射出光学系から射出された映像光による像の倍率を変換させる変倍光学系と、変倍光学系からの映像光を反射させて広角化させる広角化ミラーと、を有し、変倍光学系は、射出光学系の光軸の法線に対して傾けられた像面をなす像について、倍率を変換させることを特徴とする。これにより、超短距離での近接投写による画像の映し出しと、中長距離での投写による画像の映し出しとを実現するための投写ユニットを得られる。
また、本発明の別の側面では、上記投写ユニットにおいて、変倍光学系と、広角化ミラーとは、光軸を略一致させて配置される。これにより、所望の光学性能を得るための光学系の調整や、光学要素の加工をし易くできる。
また、本発明の別の側面では、広角化ミラーは、像面が被照射面に略平行になるように、映像光を折り返す。これにより、被照射面において光軸に略垂直な像面の画像を得ることができる。
さらに、本発明に係る電子黒板は、上記第3及び第4のプロジェクターと、プロジェクターから入射した映像光により映像を表示し、かつ映像の表示面への書き込みを可能とする画面表示部と、を有し、プロジェクターのうち、映像光を射出する射出光学系を含む本体部は、着脱可能である。
電子黒板は、本体部及び投写ユニットが組み合わせられたプロジェクターからの超短距離投写によって、画面表示部に映像を表示する。超短距離投写のための構成を採用することで、奥行き方向のサイズを抑制させる。また、射出光学系を含む本体部が電子黒板から着脱可能であり、本体部単体での中長距離投写を可能とすることで、高い汎用性、利便性を確保できる。電子黒板は、拡大投写のためのプロジェクターの適用により、重量、消費電力、コストの軽減が可能となる。これにより、重量、消費電力、コストの軽減、奥行きサイズの抑制を可能とし、利便性が高い電子黒板を得られる。
以下に図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクター1の概略構成を示す図である。プロジェクター1は、本体部2及び投写ユニット3を有する。本体部2は、画像信号に応じた映像光を射出する。投写ユニット3は、本体部2からの映像光をスクリーンSCの被照射面へ向けて投写させる。
図2は、本体部2の概略構成を示す図である。光源10は、例えば、超高圧水銀ランプであって、R光、G光、B光を含む光を射出する。ここで、光源10は、超高圧水銀ランプ以外の放電光源であっても良いし、LEDやレーザーのような固体光源であっても良い。第1インテグレーターレンズ11及び第2インテグレーターレンズ12は、アレイ状に配列された複数のレンズ素子を有する。第1インテグレーターレンズ11は、光源10からの光束を複数に分割する。第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子は、光源10からの光束を第2インテグレーターレンズ12のレンズ素子近傍にて集光させる。第2インテグレーターレンズ12のレンズ素子及び重畳レンズ14は、第1インテグレーターレンズ11のレンズ素子の像を液晶表示パネル18R、18G、18Bに形成する。このような構成により、光源10からの光が液晶表示パネル18R、18G、18Bの所望の領域(画像表示面)全体を、略均一な明るさで照明する。
偏光変換素子13は、第2インテグレーターレンズ12からの光を所定の直線偏光に変換させる。重畳レンズ14は、第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子の像を液晶表示パネル18R、18G、18Bの照射面上で重畳させる。第1ダイクロイックミラー15は、重畳レンズ14から入射したR光を反射させ、G光及びB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー15で反射したR光は、反射ミラー16及びフィールドレンズ17Rを経て、空間光変調装置である液晶表示パネル18Rへ入射する。液晶表示パネル18Rは、R光を画像信号に応じて変調する。
第2ダイクロイックミラー21は、第1ダイクロイックミラー15からのG光を反射させ、B光を透過させる。第2ダイクロイックミラー21で反射したG光は、フィールドレンズ17Gを経て、空間光変調装置である液晶表示パネル18Gへ入射する。液晶表示パネル18Gは、G光を画像信号に応じて変調する。第2ダイクロイックミラー21を透過したB光は、リレーレンズ22、24、反射ミラー23、25、及びフィールドレンズ17Bを経て、空間光変調装置である液晶表示パネル18Bへ入射する。液晶表示パネル18Bは、B光を画像信号に応じて変調する。色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム19は、各液晶表示パネル18R、18G、18Bで変調された光を合成して映像光とし、投写レンズ20へ進行させる。投写レンズ20は、本体部2から映像光を射出させる射出光学系として機能する。なお、空間光変調装置としては、透過型の液晶表示パネル18R、18G、18Bに代えて、反射型の液晶表示パネルを採用しても良い。また、空間光変調装置としては、反射型のデバイス(例えば、マイクロミラーデバイス等)を採用しても良い。
図3(A)は、本体部2単体によって映像光を投写した場合の投写距離について説明する模式図である。本体部2は、プロジェクター1から着脱可能とされている。プロジェクター1から取り外された単体の本体部2は、投写レンズ20から投写させた映像光により、被照射面に映像を映し出す。この場合、本体部2は、スクリーンSC側へ投写レンズ20を向けて設置される。本体部2は、距離Aから距離B(A<Bとする)の間において、同じ画面サイズでフォーカスを合わせることが可能であるとする。
図3(B)は、本体部2に投写ユニット3を組み合わせて映像光を投写した場合の投写距離について説明する模式図である。プロジェクター1は、投写レンズ20から射出された映像光を投写ユニット3により投写させ、被照射面に映像を映し出す。この場合、本体部2は、スクリーンSCとは反対側の投写ユニット3へ投写レンズ20を向けて、プロジェクター1に取り付けられる。プロジェクター1は、距離Aより短い距離Cでの投写が可能となる。
図4は、投写ユニット3の断面構成と、投写ユニット3へ入射する前後における映像光の光線とを示す図である。投写ユニット3は、光学要素として、第1レンズ31、第2レンズ32及び広角化ミラー33を備える。第1レンズ31及び第2レンズ32は、投写レンズ20に対向する位置に配置されている。第1レンズ31及び第2レンズ32は、例えば、いずれも球面レンズである。第1レンズ31及び第2レンズ32は、レンズ支持部34により、基板36上に支持されている。
広角化ミラー33は、第1レンズ31及び第2レンズ32からの映像光が入射する位置に設けられている。広角化ミラー33は、映像光を反射させて広角化させる非球面ミラーである。広角化ミラー33は、ミラー支持部35により、基板36上に支持されている。
第1レンズ31及び第2レンズ32と、広角化ミラー33とは、共通の基板36を介して位置決めされ、固定されている。
広角化ミラー33は、中心軸(光軸)に関して略回転対称な形状、例えば、円錐形状の一部を切り取った非球面形状を備える。広角化ミラー33の中心軸は、投写レンズ20の光軸AXと一致している。第1レンズ31及び第2レンズ32の光軸も、投写レンズ20の光軸AXと一致している。このように、投写レンズ20、第1レンズ31、第2レンズ32及び広角化ミラー33は、光軸を一致させて配置されている。
投写レンズ20、第1レンズ31、第2レンズ32及び広角化ミラー33は、画像信号に応じて変調された光を、特定の側へシフトさせて進行させる。具体的には、像側において、光軸AXに対して特定の側である鉛直上側へ光をシフトさせて進行させる。クロスダイクロイックプリズム19の入射面に仮想的に形成される像面の中心法線(後で説明する表示面DSの画像表示面領域の中心法線と等しい)は、光軸AXに対して平行であって、光軸AXに対して特定の側とは反対側である鉛直下側にある。
なお、投写レンズ20及び投写ユニット3を説明する際に、物体側とは液晶表示パネル側であり、像側とは像面IMG側又はスクリーンSC側である。
本体部2は、例えば、投写ユニット3とは完全に別体構造とし、プロジェクター1から着脱可能とされる。また、本体部2は、プロジェクター1内で移動させることとし、投写ユニット3と一体に構成されることとしても良い。例えば中長距離投写の場合、投写レンズ20から投写される映像光が投写ユニット3により遮られない位置に本体部2を移動させる構成としても良い。本体部2と投写ユニット3とを一体構成とする場合、プロジェクター1の持ち運び後における両者の位置調整を省略できるなどにより、使用者の利便性を向上させることが可能となる。もちろん、本体部2を固定し、投写レンズ20から投写される映像光が投写ユニット3により遮られない位置に投写ユニット3が移動できるようにしてもよい。
図5は、プロジェクター1の投射用光学系を構成する各光学要素を説明の都合上機能的に区分した模式図である。投射用のマスターレンズMLは、単独で図3(A)に示すような中長距離投写を可能にする投写レンズ20に相当する。正のパワーの光学要素L1と負のパワーの光学要素L2とを組み合わせたものは、投写レンズ20との連結によって図3(B)に示すような近接投写を可能にする投写ユニット3に相当する。このうち光学要素L1は、投写ユニット3を構成する屈折光学系30のうち物体側の第1レンズ31に相当する。また、光学要素L2は、屈折光学系30のうち像側の第2レンズ32と投写ユニット3を構成する反射光学系としての広角化ミラー33とを組み合わせたものに相当する。光学要素L2のうち第2レンズ32は、負のパワーの光学要素L21に相当し、広角化ミラー33は、非球面ミラーAMに相当する。第1レンズ31及び第2レンズ32を備える屈折光学系30は、マスターレンズMLからの光の像面を拡大する拡大光学系Wに相当する。なお、投写レンズ20には、可動機構22が付属しており、投写ユニット3の着脱に際して、投写レンズ20の位置を手動又は電動で相対的に変更することができるようになっている。
次に、プロジェクター1による近接投写における各光学要素の機能について説明する。例えば、図6(A)に示す焦点距離fのマスターレンズMLに対して、光学要素の追加により焦点距離を短縮化させるとする。焦点距離を短縮化させるには、像の倍率を拡大させるための光学系として、アフォーカル光学系を追加することが考えられる。
アフォーカル光学系は、例えば図6(B)に示すように、正のパワーの光学要素L1と負のパワーの光学要素L2とを組み合わせて構成される。光学要素L1は、例えば凸レンズである。光学要素L2は、例えば凹レンズであって、光学要素L1の射出側に設けられている。光学要素L1と光学要素L2とは、焦点位置を合わせて配置される。焦点距離f1の光学要素L1と焦点距離f2の光学要素L2とは、倍率(−f1/f2)のガリレオ式望遠鏡を構成する。
図6(C)に示すように、光学要素L1及び光学要素L2からなるアフォーカル光学系の入射側にマスターレンズMLを配置すると、倍率(−f1/f2)のフロントコンバーター(この場合、広角化用のワイドコンバーター)になる。焦点距離は、マスターレンズMLのみの場合のfに対して、f'(=f×(−f1/f2))へ短縮化される。レンズからなる光学系で広角化(アフォーカル倍率の高倍率化)をするほど、色収差の発生が顕著となるため、色収差を低減させるためのレンズを併用することとなる。図6(D)に示すように、凹レンズである光学要素L2の曲率を大きくすることで、例えば130度以上の広角化を実現しようとする場合、色収差低減のためのレンズを使用しても、光学要素L2に起因する色収差の低減が困難となる。
そこで、図6(E)に示すように、負のパワーの光学要素L2として、凹レンズに代えて凸面を備えるミラーを有するものを用いることとする。光線角度の変化が大きくなる部分にミラーを使用することにより、色収差を低減させる。光学要素L2として使用されるミラーは、広角化の他、反射により光を折り返す機能も備える。そこで、図6(F)に示すように、マスターレンズML、光学要素L1及び光学要素L2をシフト光学系として、表示面DSを光軸AXから外すことにより、光軸AX近傍の光線の干渉を回避させる。なお、表示面DSとは、本実施形態の本体部2の液晶表示パネル18R、18G、18Bにおいて画像信号に応じた画像が形成される画像表示面に対応する。
図7(A)に示すように、マスターレンズMLのみでスクリーンSCへ光を投写させる場合の光線は、図7(B)に示すように単純な平面ミラーPMを光路中に挿入することで折り返される。光線の折り返し部分とスクリーンSCとを近接化させるには、図7(C)に示すように、折り返し部分の平面ミラーPMを湾曲させる変形が必要となる。平面ミラーPMの変形により得られる非球面ミラーAMは、近接化させたスクリーンSCへマスターレンズMLからの光線を反射させるように反射面を連続させることにより得られる。このようにして得られる非球面ミラーAMは、図7(D)に示すように、光軸AXに近くなるに従い曲率が増大するような非球面形状を備える。これにより、近接投写により、近接化させたスクリーンSCすなわち被照射面で像を結像させることができる。
図8は、像高と光線距離との関係を説明する図である。像高とは、光軸AXを基準とする鉛直方向についての像の高さとする。マスターレンズMLによる一般的な中長距離投写の場合、像高が最小である部分の倍率as0/apと、像高が最大である部分の倍率bs0/bpとは近い値となり、像面IMG0は光軸AXに略垂直(表示面DSに略平行)となる。これに対して、投写ユニット3を追加した超短距離の近接投写の場合、スクリーンSCと非球面ミラーAMとの間の投写距離Lが短くなることにより、像高が最小である部分の倍率as/apと、像高が最大である部分の倍率bs/bpとは大きく異なる値となる。仮に光学要素L2すなわち非球面ミラーAMが無いものとして光線を直進させたとすると、図中破線で示すように、光軸AXの法線Nに対して大きく傾けられた像面IMGを形成することとなる。非球面ミラーAMは、映像光を反射させることにより、像面IMGを光軸AXに対して垂直(表示面DSに平行)に正立又は倒立させる役割を果たしている。像面IMGを表示面DSに平行に正立又は倒立させることにより、表示面DSに平行なスクリーンSCの被照射面において適正に結像させることができる。
非球面ミラーAMは、以下の多項式hで表される非球面形状を含む。ここで、yは光軸AXからの像の高さ(像高)、cは非球面ミラーAMの形状の基準とする球面の曲率、kは円錐定数、A2、A4、A6、A8、A10、・・・のそれぞれは所定の補正項とする。
上記式の分数項は、基準となる非球面形状を表す項であって、k=0である場合に球面形状を表す。補正項は、その基準となる非球面形状からのずれを表す。上記式は、基準となる非球面形状が補正項によって補正されても、中心軸に関して回転対称な非球面形状を表している。なお、多項式hにおける補数項の個数は、任意であるものとする。
映像光を広角化させる場合、一般的に、光軸AXから遠くの周辺部ほど、歪曲等の収差が発生し易くなるため、特に、周辺部の収差を大きく低減させる設計が必要とされる。本実施形態では、非球面ミラーAMの形状を表す多項式hに補数項が含まれることで、c及びkで定められた二次曲線に対し、光軸AXからの高さyに応じた形状の補正が可能となる。各補数項にはyの階乗が乗算されることから、yが大きくなる部分ほど効果的に補正がなされることとなる。従って、非球面ミラーAM等を含む投写ユニット3によってマスターレンズMLを短焦点化しても、周辺部に歪曲等の収差が非常に少なく高性能な光学系を実現することが可能となる。なお、非球面ミラーAMの形状を表す式は、本実施形態で説明するものに限られず、適宜変形しても良い。さらに、広角化ミラー33の形状は、XY多項式として表される自由曲面であっても良い。また、広角化ミラーは、負のパワーを持つ凸面ミラーに代えて、正のパワーを持つ凹面ミラーであっても良い。
図9に示すように、スクリーンSCと非球面ミラーAMとをさらに近接化させていくと、像高が最大である部分については、光線の距離がbsからbs'へと変化する。像高が高い部分については、このように光線の距離を変化させるように非球面ミラーAMの形状を表す多項式を調整することにより、効果的な補正が可能となる。近接化が進められると、像高が高い部分のみならず、像高が低い部分についても、光線の距離をasからas'と変化させるような補正が必要となってくる。像高が低い部分ほど、上記の非球面ミラーAMの多項式による補正が困難となる。そこで、本実施形態では、像高が低い部分については、非球面ミラーAMによる収差補正によらず、マスターレンズMLの光学特性を利用して収差補正を行うこととする。
図10(A)は、比較例における近接投写のために傾けられた像面IMGのシミュレーション例を示す図である。図10(A)に示されたマスターレンズMLのみによって結像される近接透写のために傾けられた像面IMGは、一般的な中長距離投写における焦点距離の範囲FLまで倒される。このようなマスターレンズMLからの光を、非球面ミラーAMを介してスクリーンSC上に結像させると、像面IMGは表示面DSと平行となり、表示面DSと平行なスクリーンSC上に適切に画像を投写することができる。しかしながら、かかる像面IMGの投写をマスターレンズMLのみによって通常の中長距離投写における焦点距離の範囲FL内のスクリーンSC上へ行う場合に、被照射面(表示面DSに平行な面)に対して像面が傾けられたままとなりやすく、結果的に被照射面における結像が容易でなくなる。そこで、本実施形態は、マスターレンズMLによってマスターレンズMLに比較的近い位置(一般的な中長距離投写における焦点距離の範囲FLよりマスターレンズML側の範囲)に傾きを持たせた像面を得てから、その像を投写ユニット3の拡大光学系Wによって拡大させるとともに被球面ミラーAMでその像を表示面DSと平行にして、近接する表示面DSに平行なスクリーンSC上に投写する構成を採用する。
図10(B)は、本実施形態におけるマスターレンズMLの光学特性について説明する図である。マスターレンズMLによる像面は、所定距離より遠方の範囲である結像範囲においては、光軸AXに対して略垂直(表示面DSに略平行)に正立又は倒立し、それより近くの範囲においては、法線Nに対して傾けられる。マスターレンズMLは、像面を表示面DSに対して平行に正立又は倒立させる第1の範囲FL1を使用して単独で中長距離投写をする。また、マスターレンズMLは、第1の範囲FL1よりマスターレンズML側の第2の範囲FL2では、図中太線で表すように、法線Nに対して傾けられた像面IMG'を作り、超短距離の近接投写用とする。像面IMG'を投写ユニット3の拡大光学系Wによって拡大させたものは、図10(A)に示すシミュレーション例における像面IMGに対応するものとなる。つまり、像面IMG'は、図10(A)に示す像面IMGに対して小さいものとする。
図11は、傾けられた像面をマスターレンズMLによって得るための手法を説明する図である。図中上段は、バックフォーカスをfaとする中長距離投写の場合を示す(第1のモード)。第1のモードは、本体部2すなわちマスターレンズML単体で被照射面に画像を表示するモードであり、通常表示状態に相当する。図中下段は、バックフォーカスをfa'(fa<fa')とする超短距離の近接投写の場合を示す(第2のモード)。第2のモードは、本体部2と投写ユニット3とを組み合わせて被照射面に画像を表示するモードであり、マクロ表示状態に相当する。
第2のモード(マクロ表示状態)では、図5の可動機構22により、第1のモード(通常表示状態)におけるマスターレンズMLの通常の位置に対して、バックフォーカスが長くなるように、マスターレンズMLを光軸AX方向について移動させる。近軸での結像位置をマスターレンズML側に移動させると、一般に、光軸AXから離れた映像光による像面には倒れが生じることとなる。例えば、図12に示すように、バックフォーカスを+0から拡大させるに従って像面の倒れは不規則に現れ、+0.5付近では、法線Nに対して完全に傾けられる。
超短距離の投写のための第2のモードを実現可能にマスターレンズMLを作製しておくことで、マスターレンズML等を備える本体部2を非球面ミラーAM等を備える投写ユニット3に組み合わせる場合に、高い光学性能を発揮させることができる。本体部2内でマスターレンズMLを光軸AX方向について移動させる簡易な動作によってモードを変換可能とすることで、ほとんどコストアップを生じさせず、簡単かつ高精度な構成を実現できる。なお、傾けられた像面IMG'をマスターレンズMLによって得る方法は、マスターレンズMLを光軸AXの方向について移動させる場合に限られない。マスターレンズMLを構成する少なくとも一つのレンズの傾きを変化させることにより、傾けられた像面IMG'を得ることとしても良い。この場合も、簡易な動作によるモードの変換が可能である。
第2のモードにおいて、マスターレンズMLによる像面IMG'は、拡大光学系Wによって、図10(A)のシミュレーション例に示す像面IMGにまで拡大される。傾けられた像面IMG'の像を拡大光学系Wによって拡大させた映像光は、図13に示すように、非球面ミラーAMで反射させることにより表示面DSに略平行に正立又は倒立して光軸AXに対して略垂直なスクリーンSC上で結像される。
以下、図5を参照してプロジェクター1を構成する投写ユニット3や投写レンズ20の機能について説明する。マスターレンズMLに相当する投写レンズ20は、光軸AXの法線Nに対して傾けられた像面IMG'(図10(B)参照)を形成することができる。投写レンズ20は、特に、像高が低い部分について、収差を補正する機能を持つ。投写ユニット3すなわち第1レンズ31、第2レンズ32及び広角化ミラー33は、像を拡大させるフロントコンバーターとして機能する。
なお、図6(C)に示すようなフロントコンバーターに対して、本実施形態では図6(F)に示すようなシフト光学系を採用することから、焦点位置が若干異なることとなる。このために生じる諸収差に対しては、広角化ミラー33による補正や、収差を低減させるためのレンズを併用する措置を取り得る。また、屈折光学系30を構成する第1レンズ31及び第2レンズ32は、球面レンズに代えて非球面レンズを採用することとして、収差を補正する機能を持たせることとしても良い。このように収差補正の機能を持たせた複数の光学要素を組み合わせることにより、高性能な光学使用を満足させることが可能となる。特に、屈折光学系30を構成するレンズ群内において、球面レンズに代えて非球面レンズや自由曲面レンズを採用することで、レンズの枚数を少なくさせることや、レンズを小型化させることも可能となる。これにより、コスト低減や鏡枠の小型化が可能となる。
正のパワーの光学要素L1である第1レンズ31と、負のパワーの光学要素L21である第2レンズ32は、投写レンズ20及び広角化ミラー33の間において、投写レンズ20による傾けられた像面IMG'を拡大させる拡大光学系Wとして機能する。つまり、第1レンズ31と第2レンズ32とを備える拡大光学系Wは、光軸AXの法線Nに対して傾けられた像面IMG'をなす像について倍率を変換させる変倍光学系として機能する。
非球面ミラーAMに相当する広角化ミラー33は、第2レンズ32とともに第2光学要素L2を構成する。広角化ミラー33は、拡大光学系Wにより拡大された像面IMG(図10(A)参照)がスクリーンSCの被照射面に略平行になるように、映像光を折り返す。また、広角化ミラー33は、特に、像高が高い部分について、収差を補正させる機能を持つ。
広角化ミラー33は、中心軸に関して略回転対称な形状とすることで、他の構成(投写レンズ20及び屈折光学系30)との光軸AX合わせを容易にできる。また、広角化ミラー33は、旋盤等による加工が可能であるため、容易かつ高い精度で製造することができる。プロジェクター1は、共軸光学系を採用することにより、通常の共軸光学系の設計手法を採用することが可能である。よって、光学系の設計工数を少なくし、かつ収差が少ない光学系を実現することができる。
本実施形態は、所定の間隔をなして複数の光学要素を配置する構成を採用することから、光軸を揃えることで組み立てを容易にでき、高い性能の実現も可能となる。特に、本体部2の着脱の際、本体部2の投写レンズ20と、投写ユニット3の各光学要素との高精度な位置合わせが要求されることとなる。光軸を共通とすることで、本体部2側の光学要素と、投写ユニット3側の光学要素との位置調整をし易くすることができる。共軸光学系の場合、光軸から周辺に向かっての光学性能の変化が、偏芯光学系における光学性能の変化に対して緩やかにできる。このため、配置精度にある程度の余裕を持たせることが可能となるため、本発明に適した構成を実現可能となる。
以上により、画像の品質を劣化させずに、一台のプロジェクター1による超短距離の近接投写と中長距離投写とを実現することが可能となる。一台のプロジェクター1によって、超短距離から中長距離まで、広い投写距離をカバーすることができる。なお、本実施形態の投写ユニット3は、従来の投写型のプロジェクターと組み合わせることとしても良い。図10(B)に示すような第2の範囲FL2において倒れた像面の像を形成可能な投写レンズを備えた従来のプロジェクターに投写ユニット3を適用して、本実施形態と同様の近接投写を実現できる。
投写ユニット3は、少なくとも広角化ミラー33を有するものであれば良く、適宜変形しても良い。例えば、第2レンズ32の変倍に寄与する機能は、広角化ミラー33に持たせることとしても良い。さらに、第1レンズ31の機能、或いは第1レンズ31及び第2レンズ32双方の機能は、本体部2の光学系、例えば投写レンズ20に持たせることとしても良い。この場合も、プロジェクター1は、近接投写をすることができる。
図14(A)及び図14(B)は、第2のモードの投写レンズ20及び投写ユニット3を組み合わせた近接投射の具体的な実施例1を説明する図である。ここで、投写レンズ20は、レンズL01〜L10を有する。また、投写ユニット3は、第1及び第2レンズ31,32と、広角化ミラー33とを有する。
以下の表1に、実施例1のレンズデータ等を示す。この表1において、「面番号」は、物体面OS側から順に各レンズの面に付した番号である。また、「面タイプ」は、球面・非球面の別や反射面であることを示し、「R」は、曲率半径を示し、「D」は、次の面との間のレンズ厚み或いは空気空間を表している。さらに、「Nd」は、レンズ材料のd線における屈折率を示し、「νd」はレンズ材料の分散を示す。
実施例1において、投写レンズ20や投写ユニット3は、基本的に球面で形成されているが、第5レンズL05の射出面と、第9レンズL09の入出射面と、広角化ミラー33とについては、非球面となっている。これらの非球面形状の光軸OA方向の面頂点からの変位量は、上述の多項式hとして与えられる。実施例1を構成する非球面の円錐定数「k」、高次補正項「A
2」〜「A
10」の値については、下記の表2に示した通りである。
図14(B)は、本体部2に投写ユニット3を接続した場合のスクリーンSCへの投射状態を示している。図からも明らかなように、スクリーンSC上に良好な結像状態で近接投写が行われている。
図15(A)及び図15(B)は、本体部2から投写ユニット3を切り離し投写レンズ20が第1のモードとなった状態を示している。この場合、図14(A)の状態と比較すると、第1レンズL01〜第10レンズL10が一体的に物体側に移動して通常表示状態となっている。
図15(B)は、本体部2から投写ユニット3を切り離した場合のスクリーンSCへの投射状態を示している。この場合、投写レンズ20は、通常表示状態となっている。図からも明らかなように、投写レンズ20単独でスクリーンSC上に良好な結像状態で近接投写が行われている。
図16(A)は、図14(B)の状態から投写ユニット3を除き、投写レンズ20はマクロ表状態のままの場合を示しており、正面のスクリーンSC上に像面IMG'が結像されず、投写レンズ20に近い位置に像面IMG'が結像されていることが分かる。
図16(B)は、図16(A)の一部を拡大した図であり、投写ユニット3がないとした場合、投写レンズ20に近い位置で傾いた像面IMG'が形成されていることが分かる。
〔第2実施形態〕
図17は、本発明の第2実施形態に係るプロジェクターの各光学要素を機能的に説明する模式図である。本実施形態は、第1実施形態の拡大光学系Wに代えて設けられた縮小光学系Rを備えることを特徴とする。第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。投写ユニット3は、光学要素として、第1レンズ41、第2レンズ42及び広角化ミラー33を備える。投写レンズ(射出光学系)20、第1レンズ41、第2レンズ42及び広角化ミラー33は、光軸を一致させて配置されている。
第1レンズ41は、負のパワーの光学要素であって、球面或いは非球面を備える凹レンズである。第2レンズ42は、第1レンズ41の射出側に設けられた正のパワーの光学要素であって、球面或いは非球面を備える凸レンズである。本実施形態は、投写レンズ20であるマスターレンズMLによって傾きを持たせた像面を得てから、その像を投写ユニット3の縮小光学系Rによって縮小させる構成を採用する。縮小光学系Rは、第1レンズ41と第2レンズ42とを含む屈折光学系40によって構成される。縮小光学系Rは、光軸AXの法線Nに対して傾けられた像面をなす像について倍率を変換させる変倍光学系として機能する。
図18(A)は、本実施形態におけるマスターレンズMLの光学特性について説明する図である。マスターレンズMLによる像面は、所定距離より近くの範囲である結像範囲においては、光軸AXに対して略垂直(表示面DSに略平行)に正立又は倒立し、それより遠くの範囲においては、法線Nに対して傾けられる。マスターレンズMLは、像面を表示面DSに平行に正立又は倒立させる第1の範囲FL1を使用して中長距離投写をする。また、マスターレンズMLは、マスターレンズMLから見て第1の範囲FL1より遠くの第2の範囲FL2では、図中太線で表すように、法線Nに対して傾けられた像面IMG'を作り、超短距離の近接投写用とする。
図18(B)は、近接投写のために傾けられた像面IMGのシミュレーション例を示す図である。マスターレンズMLによる像面IMG'は、縮小光学系Rによって、図示する像面IMGにまで縮小される。傾けられた像面IMG'の像を縮小光学系Rによって縮小させた映像光は、非球面ミラーAMで反射させることにより表示面DSに平行に正立又は倒立して近接化させたスクリーンに結像される。
このように、投写レンズ(射出光学系)20は、単独で使用される第1のモードにおいて、第1の範囲FL1で像面を表示面DSに正立又は倒立させた中長距離投写をする。また、投写レンズ20は、投写ユニット3と組み合わせる第2のモードにおいて、可動機構22等の活用により光軸AXの法線Nに対して傾けられた像面IMG'(図18(A)参照)を形成する。投写ユニット3を構成する第1レンズ41、第2レンズ42及び広角化ミラー33は、全体として、像を拡大させるフロントコンバーターとして機能する。このうち、第1レンズ41及び第2レンズ42は、縮小光学系Rとして、マスターレンズML及び広角化ミラー33の間において、マスターレンズMLによる傾けられた像面IMG'を縮小させる。傾けられた状態で適度に縮小された像面IMG'に対応する映像光は、非球面ミラーAMで反射させることにより、第1実施形態の場合と同様に表示面DSに略平行に正立又は倒立した光軸AXに対して略垂直な状態で近接配置されたスクリーンSC(図13参照)上で結像される。本実施形態の場合も、画像の品質を劣化させずに、一台のプロジェクター1による超短距離の近接投写と中長距離投写とを実現することが可能となる。
〔第3実施形態〕
図19は、第3実施形態に係るプロジェクターを説明する模式図である。本実施形態のプロジェクター1は、第1実施形態のプロジェクター1を変形したものであり、同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態のプロジェクター1において、本体部2は、単独で前方のスクリーンSCに対して中長距離投写を可能にする。投写ユニット3は、本体部2に接続されることで後方のスクリーンSCに対して短距離投写を可能にする。
投写ユニット3は、光学要素として、屈折光学系130と広角化ミラー133とを備え、これらの光学要素130,133は、光軸を一致させた状態で不図示の基板上に一体的に支持されている。なお、屈折光学系130は、例えば第1レンズ131と第2レンズ132とを含む。
図20は、プロジェクター1の投射用光学系を構成する各光学要素を説明の都合上機能的に区分した模式図である。投写レンズ(射出光学系)20は、図5のマスターレンズMLに相当するものであり、単独で図19に示すような中長距離投写を可能にする。投写ユニット3は、図5の正のパワーの光学要素L1と負のパワーの光学要素L2とを組み合わせたものである。このうち光学要素L1は、投写ユニット3を構成する屈折光学系130のうち物体側の第1レンズ131に相当し、光学要素L2は、屈折光学系130のうち像側の第2レンズ132と広角化ミラー133とを組み合わせたものである。
広角化ミラー133は、図5の非球面ミラーAMと同様に、像面IMGを光軸AXに対して垂直(表示面DSに平行)に正立又は倒立させるとともにスクリーンSC上での像面湾曲を低減する役割を果たしている。
本実施形態において、投写レンズ20の移動によって、投写レンズ20を第1のモード(中長距離投写、通常表示状態)と第2のモード(近接投写、マクロ表示状態)とに切り換えることができる。すなわち、投写レンズ20を光軸AXに沿って例えば像側に移動させることで第2のモードとすることができ、比較的近い位置に像面を形成することができる。また、正のパワーの第1レンズ131と負のパワーの第2レンズ132とにより、この比較的近い位置の像面に傾きを持たせるとともに、その像を拡大させ、広角化ミラー133で像を表示面DSと平行にすることによって、近接するスクリーンSC上への投写を可能にする。つまり、屈折光学系130は、像面制御光学系である像面傾斜光学系Tとしての機能と、変倍光学系である拡大光学系Wとしての機能とを兼ね備えたものとなっている。結果的に、本実施形態の投写レンズ20は、第1実施形態の場合と異なり、それ自体で像面制御光学系としての機能を有していない。
本実施形態によれば、画像の品質を劣化させずに、一台のプロジェクター1による超短距離の近接投写と中長距離投写とを実現することが可能となる。一台のプロジェクター1によって、超短距離から中長距離まで、広い投写距離をカバーすることができる。
図21(A)及び図21(B)は、第2のモードの投写レンズ20及び投写ユニット3を組み合わせた近接投射の具体的な実施例2を説明する図である。ここで、投写レンズ20は、レンズL01〜L10を有する。また、投写ユニット3は、第1及び第2レンズ131,132と、広角化ミラー33とを有する。
以下の表3に、実施例2のレンズデータ等を示す。この表3において、「面番号」、「面タイプ」、「R」、「D」、「Nd」、「νd」等は、実施例1と同様のものを意味するものとする。
実施例2において、投写レンズ20や投写ユニット3は、基本的に球面で形成されているが、第5レンズL05の射出面と、第9レンズL09の入出射面と、広角化ミラー33とについては、非球面となっている。これらの非球面形状の光軸OA方向の面頂点からの変位量は、上述の多項式hとして与えられる。実施例2を構成する非球面の円錐定数「k」、高次補正項「A
2」〜「A
10」の値については、下記の表4に示した通りである。
図21(B)は、本体部2に投写ユニット3を接続した場合のスクリーンSCへの投射状態を示している。図からも明らかなように、スクリーンSC上に良好な結像状態で近接投写が行われている。
図22(A)及び図22(B)は、本体部2から投写ユニット3を切り離し投写レンズ20が第1のモードとなった状態を示している。この場合、図21(A)の状態と比較すると、第1レンズL01〜第10レンズL10等が一群として物体側に移動して通常表示状態となっている。
図22(B)は、本体部2から投写ユニット3を切り離した場合のスクリーンSCへの投射状態を示している。この場合、投写レンズ20は、通常表示状態となっている。詳細な説明を省略するが、投写レンズ20単独でスクリーンSC上に良好な結像状態で近接投写が行われている。
図23(A)は、図21(A)の状態から投写ユニット3を除き、投写レンズ20はマクロ表示状態のままの場合を示しており、表示面DSに平行な像は正面の遠いスクリーンSC上に結像されず、投写レンズ20に近い位置に配置されたスクリーンSC上に結像されていることが分かる。
図23(B)は、投写レンズ20はマクロ表示状態で、投写ユニット3のうち屈折光学系130を残し、広角化ミラー33のみを除いた場合の結像状態を示す図である。このように広角化ミラー33がないとした場合、投写レンズ20から離れた位置で大きく傾いた像面像面IMG'が形成されていることが分かる。
〔第4実施形態〕
図24は、本発明の第4実施形態に係るプロジェクターの各光学要素を説明の都合上機能的に区分した模式図である。なお、本実施形態のプロジェクター1は、第3実施形態又は第2実施形態のプロジェクター1を変形したものであり、同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
投写レンズ(射出光学系)20は、図20又は図17のマスターレンズMLに相当するものであり、単独で中長距離投写を可能にする。投写ユニット3は、光学要素として、第1レンズ141、第2レンズ142及び広角化ミラー33を備える。
投写ユニット3において、第1レンズ141は、負のパワーの光学要素であって、球面或いは非球面を備える凹レンズである。第2レンズ142は、第1レンズ141の射出側に設けられた正のパワーの光学要素であって、球面或いは非球面を備える凸レンズである。
本実施形態において、投写レンズ20の移動等によって比較的遠い位置に表示面DSに平行な像面を形成する。また、負のパワーの第1レンズ141と正のパワーの第2レンズ142とにより、この比較的遠い位置の像面に傾きを持たせるとともに、その像を縮小させることによって、近接するスクリーンSC上への投写を可能にする。つまり、屈折光学系140は、像面制御光学系である像面傾斜光学系Tとしての機能と、変倍光学系である縮小光学系Rとしての機能とを兼ね備えたものとなっている。結果的に、本実施形態の投写レンズ20は、第2実施形態の場合と異なり、それ自体で像面制御光学系又は像面傾斜光学系としての機能を有していない。また、本実施形態の屈折光学系140は、第3実施形態の場合と異なり、拡大光学系Wではなく縮小光学系Rの機能を有している。
本実施形態によれば、画像の品質を劣化させずに、一台のプロジェクター1による超短距離の近接投写と中長距離投写とを実現することが可能となる。一台のプロジェクター1によって、超短距離から中長距離まで、広い投写距離をカバーすることができる。
本発明は、第1〜第4実施形態で説明した特徴を生かして、背面投写型のプロジェクターに応用してもよい。例えば、背面投写用のスクリーンと投写ユニット3を一体化させ、本体部2を着脱可能とすることで、リア型プロジェクターとしての利用と、フロント投写型プロジェクターとしての利用との実現が可能となる。
〔第5実施形態〕
図25は、本発明の第5実施形態に係る電子黒板50の正面側斜視図である。電子黒板50は、第1〜4実施形態に係るプロジェクター1(図1等参照)と同様に構成されたプロジェクター51を備える。プロジェクター51は、本体部52及び投写ユニット53を有する。
本体部52は、画像信号に応じた映像光を射出する。投写ユニット53は、本体部52からの映像光を画面表示部54へ向けて投写させる。本体部52及び投写ユニット53は、それぞれ第1〜4実施形態で説明する本体部2(図2等参照)及び投写ユニット3(図4等参照)と同様に構成されている。投写ユニット53の光学要素は、筐体に収納されている。筐体は、映像光を射出するための開口を備える。
画面表示部54は、プロジェクター51から入射した映像光により画像を表示し、かつ映像の表示面への書き込みを可能とする。画面表示部54は、光を透過させる半透過ガラスもしくは合成樹脂を材料として構成されている。使用者は、書き込み用のツール、例えば、ペンや指し棒等を使用して、画面表示部54へ文字や図画等を書き込む。また、使用者は、画面表示部54への書き込みを、消去用のツール等を使用して消去する。
電子黒板50は、読込装置(図示省略)を備える。読込装置は、画面表示部54の表示面に書き込まれている書き込み内容や、画面表示部54に表示されている映像、画面表示部54にツールを接触あるいは近接させる等により入力された情報等を読み込む。読込装置としては、例えば、CCDカメラ等のイメージセンサを用いる。電子黒板50は、読込装置を設けることにより、画面表示部54への書き込み内容やその際に表示されている映像、入力情報等の記録が可能となる。
画面表示部54は、枠状の基台55に取り付けられて設置されている。基台55のうち二本の脚部58を繋ぐ角柱59上には、プロジェクター51を固定する板状部材であるプロジェクター固定部56が設けられている。プロジェクター51は、プロジェクター固定部56により、画面表示部54に対して鉛直下側に取り付けられている。プロジェクター固定部56と基台55とを繋いで放射状に延びる四本の棒状部材57は、基台55におけるプロジェクター固定部56の取り付け強度を補強するための補強部材として機能する。
図26は、電子黒板50の背面側斜視図である。プロジェクター51は、画面表示部54のうち映像を観察する正面側とは反対側の裏面へ、映像光を近接投写する。画面表示部54は、裏面へ入射したプロジェクター51からの映像光を、正面側へ透過させる。画面表示部54は、プロジェクター51から入射した映像光を拡散させる光拡散性を備える。
画面表示部54は、裏面から映像光を入射させて表示される映像に、表面に書き込まれた文字や図画等を重ね合わせて表示する。観察者は、表面に書き込まれた文字や図画等と、画面表示部54で拡散した映像光とを観察する。
各棒状部材57のうちプロジェクター固定部56側の端部は、投写ユニット53より後方の位置に接合されている。二本の棒状部材57については、基台55側の端部が、基台55のうち画面表示部54の左右上端付近に接合されている。残りの二本の棒状部材57については、基台55側の端部が、角柱59と脚部58とが接続する部分に接合されている。図中の破線矢印は、投写ユニット53から画面表示部54の四隅へそれぞれ進行する光線を表している。各棒状部材57は、プロジェクター51と画面表示部54との間において映像光が進行する領域の周辺に配置されている。
棒状部材57は、映像光が進行する領域の周辺に配置されるように取り付けられることで、映像光を遮らないようにしてプロジェクター固定部56の取り付け強度を補強する。
また、棒状部材57は、電子黒板50の周囲にある物による映像光の遮蔽を防ぐための防御構造としても機能する。
図27(A)は、電子黒板50のうち、プロジェクター51が設置されている状態のプロジェクター固定部56とその周辺部分を示す図である。この電子黒板50では、プロジェクター固定部56によってプロジェクター51を基台55に固定することで、画面表示部54に対して高い精度で位置決めされた状態でプロジェクター51を保持することが可能となる。これにより、画面表示部54において高精細な映像を表示することが可能となる。なお、プロジェクター51のうち投写ユニット53は、プロジェクター固定部56に固定されており、プロジェクター51のうち本体部52は、投写ユニット53から分離可能になっており、プロジェクター固定部56から単独で取り外すことができる。
図27(B)は、図27(A)に示す状態から本体部52が取り外された状態を示す図である。本体部52は、プロジェクター固定部56から適宜着脱可能とされ、単独で使用可能になっている。これにより、本体部52をプロジェクター固定部56に取り付けることによる電子黒板50としての使用(近接投射)と、電子黒板50から本体部52を取り出すことによる中長距離投写とが可能となる。画面表示部54に対して鉛直下側にプロジェクター51が配置される構成を採用することで、本体部52は、電子黒板50のうち低めの位置に設置される。これにより、電子黒板50への本体部52の取り付けを容易にすることができる。
また、図28に示すように、プロジェクター固定部56は、本体部52を位置決めするためのガイド構造60を備えることとしても良い。ガイド構造60としては、例えば、本体部52の側面に沿うように形成された板状部材を用いる。本体部52は、ガイド構造60に沿ってプロジェクター固定部56上をスライドさせ、投写ユニット53のケースに当接させることで位置決めされる。これにより、電子黒板50に本体部52を取り付けるごとに、正確な位置に、本体部52を容易に設置することができる。なお、ガイド構造60は、ここで図示する構成に限られず、電子黒板50において本体部52を投写ユニット53等に対して位置決め可能であればいずれの構成を採用しても良い。
図29は、画面表示部54に形成されているフレネルレンズ61の断面模式図である。フレネルレンズ61は、画面表示部54のうち、プロジェクター51からの映像光が入射する側の裏面に形成されている。フレネルレンズ61は、映像光を角度変換する角度変換部として機能する。
フレネルレンズ61は、略三角形の断面形状をなす複数のプリズム構造体62を備える。プリズム構造体62は、光軸AX(図4等参照)を中心とする略同心円状に配置されている。フレネルレンズ61は、画面表示部54へ斜めに進行する映像光を角度変換することで、観察者の方向へ効率良く進行させる。これにより、電子黒板50は、画面表示部54において、明るく、かつ明るさが均一な映像を表示することが可能となる。
電子黒板50は、超短距離の近接投写のためのプロジェクター51を採用することで、奥行き方向のサイズを抑制させる。また、本体部52単体での中長距離投写を可能とすることで、高い汎用性、利便性を確保できる。電子黒板50は、近接して十分なサイズを確保できる拡大投写のためのプロジェクター51の適用により、重量、消費電力、コストの軽減が可能となる。これにより、重量、消費電力、コストの軽減、奥行きサイズの抑制を可能とし、高い利便性を得ることができるという効果を奏する。
図30は、棒状部材57に代えてカバー63が設けられた電子黒板50の背面側斜視図である。カバー63は、遮光性の板状部材を組み合わせて構成されている。カバー63は、映像光が進行する領域を被覆する。カバー63は、プロジェクター51から画面表示部54までの光路への外光の進入を制限させる。
カバー63によって外光の進入を低減させることで、電子黒板50は、コントラストが高い映像を画面表示部54に表示することができる。また、カバー63は、プロジェクター固定部56の取り付け強度を補強するための補強部材として機能する。カバー63は、映像光を遮らないようにしてプロジェクター固定部56の取り付け強度を補強する。さらに、カバー63は、映像光が進行する領域を進入物から防御する機能を果たす。
図31は、本実施例の変形例に係る電子黒板70の正面側斜視図である。本変形例に係る電子黒板70は、画面表示部54に対して鉛直上側にプロジェクター51が取り付けられることを特徴とする。プロジェクター固定部56は、基台55のうち、画面表示部54の上部に設けられた角柱71にプロジェクター51を固定する。
画面表示部54に対して鉛直上側にプロジェクター51を配置することで、画面表示部54へは鉛直上側から映像光を入射させる。使用者による画面表示部54への書き込みの際に、書き込みのためのツールの影は、鉛直下向きに生じることとなる。これにより、影によって書き込み位置を見失うケースを少なくし、利便性を向上させることができる。
前記実施形態のプロジェクター1は、第1レンズアレイ及び第2レンズアレイ及び重畳レンズを備える光学系を用いて液晶パネル18R、18G、18Bの所望の領域全体を略均一な明るさで照明していたが、これに限定されるものではなく、導光ロッドを備える光学系など、他の照明光学系を用いて液晶パネル18R、18G、18Bの所望の領域全体を略均一な明るさで照明することもできる。
前記第1〜第4実施形態のプロジェクター1は、投写画像を観察する側から透写するフロントタイプのプロジェクターとして適用しているが、投写画像を観察する側とは反対側から投写するリアタイプのプロジェクターにも適用できる。
前記実施形態のプロジェクター1は、3つの液晶パネルを用いたプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも適用可能である。