JP5764057B2 - 有用物質生産方法及びこの生産方法で使用される界面活性剤 - Google Patents

有用物質生産方法及びこの生産方法で使用される界面活性剤 Download PDF

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Description

本発明は、有用物質の生産方法及びこの生産方法で使用される界面活性剤に関する。詳しくは、界面活性剤の存在下で細菌による有用物質の分泌生産を行う有用物質生産方法及びこの有用物質生産方法で使用される界面活性剤に関する。
細菌は、アミノ酸、タンパク質等の有用物質を生産するために広く利用されている。特に近年は、医薬上・産業上有用なタンパク質の遺伝子を遺伝子工学技術を活用して導入して形質転換された細菌を使用し、有用タンパク質を効率的に生産する技術が知られるようになっている。
タンパク質発現に用いる細菌として、グラム陰性菌の一種である大腸菌が汎用されている。大腸菌をタンパク質発現に利用する技術の開発が進んでおり、この技術は工業用タンパク質、食品加工用タンパク質及び医薬品用タンパク質の生産にまで幅広く用いられている。
大腸菌を用いて発現したタンパク質を抽出する方法としては、超音波、高圧ホモジナイザー及びフレンチプレス等の物理的破砕法が挙げられ、これらが広く実用化されている。これらの物理的破砕法は、タンパク質を取り出す際に同時に大腸菌の細胞を死滅させる。
従って得られるタンパク質量を増やすためには、以下の方法が有効である。
1.1細胞当たりの発現している組み換えタンパク質量を増加させる方法。
2.細胞数を増加させる方法。
しかし、大腸菌を破壊して大腸菌中から組み換えタンパク質を抽出する物理的破砕法等は以下の欠点を有する。
1.大腸菌を破砕するための設備が必要である。
2.同時に抽出されるゲノムDNAを初めとする核酸成分がタンパク質抽出液の増粘の原因となるので、精製過程を進めるために核酸成分をタンパク質抽出液から除去する必要がある。
3.大腸菌由来のタンパク質やその他不純物がタンパク質抽出液に多量に混入するこが、毒性や免疫原性の原因となる。
4.多量に混入する大腸菌由来のタンパク質を組み換えタンパク質から分離するための精製工程が必要である。
5.大腸菌内に組み換えタンパク質が蓄積するため、生産量が限られる。
6.細菌の細胞内において封入体が形成される。
7.組み換えタンパク質が細胞内のプロテアーゼによって分解されるため、必要量の組み換えタンパク質が発現しない。
これらの欠点を解決するためには、大腸菌が組み換えタンパク質を培養液中に分泌生産する方法が必要である。
通常、大腸菌を用いて組み換えタンパク質を細胞質外に発現する為には、内膜移行に必要なシグナル配列を目的の組み換えタンパク質に融合することによって実行される。内膜移行に必要なシグナル配列としては、PelB、OmpA、StII、PhoA、OmpF、PhoE、MalE、OmpC、Lpp、LamB、OmpT、LTB及びTorA等に由来するシグナル配列又はバチルス属(Bacillus)由来のエンドキシラナーゼ等に由来するシグナル配列が挙げられる。これらのシグナル配列を融合した組み換えタンパク質は、大腸菌が有する内膜移行機構のSec経路又はTAT経路等を通してペリプラズムに移行される。しかし、大腸菌は内膜の外側にペプチドグリカン層や外膜を有しているため、通常は組み換えタンパク質は培養液中へ分泌されない。
そこで、組み換えタンパク質を培養液中へ分泌生産するために一連の方法が開示されている(非特許文献1〜7)。
上記の先行技術に記載された方法には以下の欠点の少なくとも1つを有する。
1.大腸菌が死にやすいため、高密度又は連続生産に適さない。
2.特定の組み換えタンパク質の生産にしか適用できない。
3.組み換えタンパク質が膜タンパク質等との融合タンパク質として発現しているため、融合タンパク質が活性の発現に影響を与える可能性がある。そのため、融合タンパク質を切断する工程を必要とするので費用がかかる。
4.組み換えタンパク質の発現量が十分でない。
Jang他, Bioproc. Eng., 21(1999)453−458 Yang他, Appl. Environ. Microbiol., 64(1998)2669−2874 Jeong他, Appl. Environ. Microbiol., 68(2002)4979−4985 Van der Wal他, Appl. Environ. Microbiol., 64(1998)392−398 Wan他, Protein Expr. Purif., 14(1998)13−22 Fernandez他, Appl. Environ. Microbiol., 66(2000)5024−5029 Li他, Gene, 25(2002)437−447
本発明が解決しようとする課題は、界面活性剤の存在下で大腸菌等の細菌を用いた工業規模での有用物質(タンパク質等)の生産方法及びこの有用物質生産方法で使用される界面活性剤を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は培養液中に含まれる細菌により有用物質を培養液中に分泌生産する有用物質生産方法であり、培養液中には、界面活性剤(A)が含まれており、培養液の体積を基準とした乾燥菌体密度が1.5g/L〜500g/Lである有用物質生産方法及びこの有用物質生産方法で使用する界面活性剤である。
本発明は以下の効果を奏する。
本発明の有用物質の生産方法は、有用物質の高生産量を達成することができる。
また、本発明の界面活性剤は、細菌を用いて有用物質(タンパク質等)を生産する際に添加することによって、生産量及び分泌量を増大させる事が可能である。
比較例1及び実施例1の結果について、菌体1g当たりのタンパク質生産量の時間ごとの推移を表したグラフである。 実施例7の結果について、培養液中の乾燥菌体密度と生産した組み換えタンパク質濃度の時間ごとの推移を表したグラフである。 培養液の濁度と乾燥菌体密度の比例関係を表したグラフであり、培養液の濁度から乾燥菌体密度を算出するための式を導くためのものである。
本発明の有用物質の生産方法は、培養液中に含まれる細菌により有用物質を培養液中に分泌生産する有用物質生産方法であり、培養液中には、界面活性剤(A)が含まれており、培養液の体積を基準とした乾燥菌体密度が1.5g/L〜500g/Lである有用物質生産方法である。
本発明における細菌として、以下に例を挙げるがこれに限定するものではない。細菌は、真正細菌及び古細菌が含まれる。真正細菌は、グラム陰性菌及びグラム陽性菌が含まれる。グラム陰性細菌としては、エシェリチア属(Escherichia)、サーマス属(Thermus)、リゾビウム属(Rhizobium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、シュワネラ属(Shewanella)、ビブリオ属(Vibrio)、サルモネラ属(Salmonella)、アセトバクター属(Acetobacter)、シネコシスティス属(Synechocystis)等が挙げられる。グラム陽性菌としては、バチルス属(Bacillus)、ストレプトマイセス属(Streptmyces)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ブレビバチルス属(Brevibacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、リューコノストック属(Leuconostoc)及びストレプトマイセス属(Streptomyces)等に含まれる細菌が挙げられる。
これらのうち、有用物質の生産性の観点から、グラム陰性菌が好ましく、さらに好ましくはエシェリチア属であり、より好ましくは大腸菌である。
本発明における有用物質は、特に限定されないが、タンパク質(酵素、ホルモンタンパク質、抗体及びペプチド等)、オリゴ糖及び核酸等が含まれる。
タンパク質としては、酵素{酸化還元酵素(コレステロールオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ及びペルオキシダーゼ等)、加水分解酵素(リゾチーム、プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ及びグルコアミラーゼ等)、異性化酵素(グルコースイソメラーゼ等)、転移酵素(アシルトランスフェラーゼ及びスルホトランスフェラーゼ等)、合成酵素(脂肪酸シンターゼ、リン酸シンターゼ及びクエン酸シンターゼ等)及び脱離酵素(ペクチンリアーゼ等)等}、ホルモンタンパク質{骨形成因子(BMP)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターロイキン1〜12、成長ホルモン、エリスロポエチン、インスリン、顆粒状コロニー刺激因子(G−CSF)、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ナトリウム利尿ペプチド、血液凝固第VIII因子、ソマトメジン、グルカゴン、成長ホルモン放出因子、血清アルブミン及びカルシトニン等}、抗体{1本鎖抗体、IgGラージサブユニット、IgGスモールサブユニット等}、抗原タンパク質{B型肝炎表面抗原等}、機能性タンパク質{プロネクチン(登録商標)、不凍ペプチド、抗菌ペプチド等}、蛍光タンパク質(GFP等)、発光タンパク質(ルシェラーゼ等)及びペプチド(特にアミノ酸組成を限定するものではなく、オリゴペプチド、ジペプチド及びトリペプチド等)等が挙げられる。
オリゴ糖としては、スクロース、ラクトース、トレハロース、マルトース、ラフィノース、パノース、シクロデキストリン、ガラクトオリゴ糖及びフラクトオリゴ糖等が挙げられる。
核酸としては、イノシン一リン酸、アデノシン一リン酸及びグアノシン一リン酸等が挙げられる。
これらの有用物質のうち、有用物質の作成の容易さの観点から、タンパク質が好ましく、さらに好ましくは酵素及びホルモンタンパク質である。
有用物質がタンパク質である場合、タンパク質が細菌内で発現した後、一部又は全てがペリプラズムへ移行する性質をタンパク質が有している事が好ましい。さらに好ましくはペリプラズムへの移行に必要なシグナル配列をORF中にコードしているタンパク質である。
ペリプラズムとは、細菌の細胞質膜より外側で細菌の最表面までの空間の事である。
ペリプラズムへの移行に必要なシグナル配列としては、Sec分泌シグナル配列やTAT分泌シグナル等が挙げられる。
本発明の有用物質の生産方法で使用される界面活性剤(A)は、両性界面活性剤(A1)、アニオン性界面活性剤(A2)、ノニオン性界面活性剤(A3)及びカチオン界面活性剤(A4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である。
両性界面活性剤(A1)としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤(A1−1)、硫酸エステル塩型両性界面活性剤(A1−2)、スルホン酸塩型両性界面活性剤(A1−3)及びリン酸エステル塩型両性界面活性剤(A1−4)等が含まれる。
カルボン酸塩型両性界面活性剤(A1−1)としては、アミノ酸型両性界面活性剤(A1−1−1)、ベタイン型両性界面活性剤(A1−1−2)及びイミダゾリン型両性界面活性剤(A1−1−3)等が挙げられる。
アミノ酸型両性界面活性剤(A1−1−1)としては、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する両性界面活性剤であり、下記一般式(1)で示される化合物等が挙げられる。
[R−NH−(CH−COOM (1)
一般式(1)中、Rは炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。nは1以上の整数である。mは1以上の整数である。Mはプロトン;又はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム(アミン及びアルカノールアミン等由来のカチオンを含む)及び第4級アンモニウム等の1価又は2価のカチオンである。
また、(A1−1−1)として具体的には、アルキルアミノプロピオン酸型両性界面活性剤(コカミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム及びラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等);アルキルアミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢酸ナトリウム等)及びN−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等が挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤(A1−1−2)は、分子内に第4級アンモニウム塩型のカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を持っている両性界面活性剤である。(A1−1−2)は下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。(A1−1−2)として具体的には、アルキルジメチルベタイン(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、アミドベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)及びラウリン酸アミドプロピルベタイン等)及びアルキルジヒドロキシアルキルベタイン(ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等)、硬化ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
R−N(CH−CHCOO (2)
一般式(2)中、Rは炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
イミダゾリン型両性界面活性剤(A1−1−3)としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
その他の両性界面活性剤としては、ナトリウムラウロイルグリシン、ナトリウムラウリルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシン塩酸塩及びジオクチルジアミノエチルグリシン塩酸塩等のグリシン型両性界面活性剤;ペンタデシルスルホタウリン等のスルホベタイン型両性界面活性剤;コールアミドプロピルジメチルアンモニオプロパンスルホン酸(CHAPS)、コールアミドプロピルジメチルアンモニオ2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(CHAPSO);ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド型両性界面活性剤等が含まれる。
アニオン性界面活性剤(A2)としては、エーテルカルボン酸(A2−1)及びその塩、硫酸エステル(A2−2)又はその塩、エーテル硫酸エステル(A2−3)及びその塩、スルホン酸塩(A2−4)、スルホコハク酸塩(A2−5)、リン酸エステル(A2−6)及びその塩、エーテルリン酸エステル(A2−7)及びその塩、脂肪酸塩(A2−8)、アシル化アミノ酸塩並びに天然由来のカルボン酸及びその塩(ケノデオキシコール酸、コール酸及びデオキシコール酸等)等が挙げられる。
エーテルカルボン酸(A2−1)又はその塩としては炭化水素基(炭素数8〜24)を有するエーテルカルボン酸及びその塩が含まれる。(A2−1)又はその塩として具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンオクチルエーテル酢酸ナトリウム塩及びラウリルグリコール酢酸ナトリウム塩等が挙げられる。
硫酸エステル(A2−2)及びその塩としては、炭化水素基(炭素数8〜24)を有する硫酸エステル及びその塩が含まれる。(A2−2)及びその塩として具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム塩及びラウリル硫酸トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
エーテル硫酸エステル(A2−3)及びその塩としては、炭化水素基(炭素数8〜24)を有するエーテル硫酸エステル及びその塩が含まれる。(A2−3)及びその塩として具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
スルホン酸塩(A2−4)としては、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩及びナフタレンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
スルホコハク酸塩(A2−5)としては、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸二ナトリウム塩、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム塩及びスルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミド二ナトリウム塩等が挙げられる。
リン酸エステル(A2−6)としては、オクチルリン酸二ナトリウム塩及びラウリルリン酸二ナトリウム塩等が挙げられる。
エーテルリン酸エステル(A2−7)としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸二ナトリウム塩及びポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸二ナトリウム塩等が挙げられる。
脂肪酸塩(A2−8)としては、オクチル酸ナトリウム塩、ラウリル酸ナトリウム塩及びステアリン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤(A3)としては、アルコールアルキレンオキサイド(以下、アルキレンオキサイドはAOと略記)付加物(A3−1)、アルキルフェノールAO付加物(A3−2)、脂肪酸AO付加物(A3−3)及び多価アルコール型ノニオン性界面活性剤(A3−4)等が含まれる。
ノニオン性界面活性剤の親水性及び疎水性を示す尺度としてHLBが知られている。HLBの値が高いほど親水性が高いことを意味する。本発明におけるHLBとは下記式(1)で計算される数値である(藤本武彦著、界面活性剤入門、142頁、三洋化成工業株式会社発行)。
HLB=20×{親水基の分子量/界面活性剤の分子量} (1)
ノニオン性界面活性剤(A3)のHLBは、分泌効率の観点から、0〜13が好ましく、さらに好ましくは5〜12であり、次にさらに好ましくは8〜12である。
アルコールAO付加物(A3−1)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが含まれる。(A3−1)として具体的には、炭素数8〜24の高級アルコール(デシルアルコール、ドデシルアルコール、ヤシ油アルキルアルコール、オクタデシルアルコール及びオレイルアルコール等)のエチレンオキサイド(以下、エチレンオキサイドはEOと略記)0〜20モル及び/又はプロピレンオキサイド(以下、プロピレンオキサイドはPOと略記)1〜20モル付加物(ブロック付加物及び/又はランダム付加物を含む。以下同様)[例えば、デシルアルコールのEO8モル/PO7モルブロック付加物]が含まれる。(A3−1)としてさらに具体的には、ラウリルアルコールEO7モル付加物(HLB=12.4)、オレイルアルコールEO5モル付加物(HLB=9.0)、オレイルアルコールEO6モル付加物(HLB=10.2)、オレイルアルコールEO7モル付加物(HLB=11.0)及びオレイルアルコールEO10モル付加物(HLB=12.4)、1,2−ドデカンジオールモノオキシエチレン付加物等が挙げられる。
アルキルフェノールAO付加物(A3−2)としては、炭素数6〜24のアルキル基を有するアルキルフェノールAO付加物が含まれる。(A3−2)として具体的には、オクチルフェノールのEO1〜20モル及び/又はPO1〜20モル付加物並びにノニルフェノールのEO1〜20モル及び/又はPO1〜20モル付加物等が挙げられる。また、TRITONTMX−114(HLB=12.4)、igepalTMCA−520(HLB=10.0)及びigepalTMCA−630(HLB=13.0)等が市場から容易に入手できる。
脂肪酸AO付加物(A3−3)としては、炭素数8〜24の脂肪酸(デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びヤシ油脂肪酸等)のEO1〜20モル及び/又はPO1〜20モル付加物が含まれる。(A3−3)として具体的には、オレイン酸EO9モル付加物(HLB=11.8)、ジオレイン酸EO12モル付加物(HLB=10.4)、ジオレイン酸EO20モル付加物(HLB=12.9)及びステアリン酸EO9モル付加物(HLB=11.9)等が挙げられる。
多価アルコール型ノニオン性界面活性剤(A3−4)としては、炭素数3〜36の2〜8価の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビット及びソルビタン等)のEO及び/又はPO付加物;前記多価アルコールの脂肪酸エステル及びそのEO付加物、並びに、ショ糖の脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド(ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等)及びこれらのAO付加物が含まれる。(A3−4)として具体的には、ソルビタンテトラオレイン酸エステルEO付加物(HLB=11.4)及びソルビタンヘキサオレイン酸エステルEO付加物(HLB=10.2)等が挙げられる。
カチオン界面活性剤(A4)としては、アミン塩型カチオン界面活性剤(A4−1)及び第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(A4−2)等が含まれる。
アミン塩型カチオン界面活性剤(A4−1)としては、1〜3級アミンを無機酸(塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸など)または有機酸(酢酸、ギ酸、蓚酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、アルキル燐酸など)で中和したものが含まれる。例えば、第1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミンなどの高級アミン)の無機酸塩または有機酸塩;低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸など)塩などが挙げられる。第2級アミン塩型のものとしては、例えば脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物などの無機酸塩または有機酸塩が挙げられる。また、第3級アミン塩型のものとしては、例えば、脂肪族アミン(トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど)、脂肪族アミンのエチレンオキサイド(2モル以上)付加物、脂環式アミン(N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセンなど)、含窒素ヘテロ環芳香族アミン(4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール、4,4’−ジピリジルなど)の無機酸塩または有機酸塩;トリエタノールアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミンなどの3級アミン類の無機酸塩または有機酸塩などが挙げられる。
第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(A4−2)としては、3級アミン類と4級化剤(メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸などのアルキル化剤;エチレンオキサイドなど)との反応で得られるものが含まれる。例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド、ステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェートなどが挙げられる。
界面活性剤(A)としては、分泌効率の観点から、両性界面活性剤、アニオン系界面活性剤及びHLBが0〜13のノニオン系界面活性剤が好ましく、さらに好ましくはカルボン酸塩型両性界面活性剤(A1−1)、エーテルカルボン酸(A2−1)、スルホン酸塩(A2−4)、高級アルコールAO付加物(A3−1)及び多価アルコール型ノニオン性界面活性剤(A3−4)であり、特に好ましくはポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム塩(ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸(A2−1)のナトリウム塩)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(A3−4)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(A1−1−2)、1,2−ドデカンジオールモノオキシエチレン付加物(A3−1)、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(A1−1−2)、硬化ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(A1−1−2)、コカミノプロピオン酸ナトリウム(A1−1−1)、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩(A2−4)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(A2−1)のナトリウム塩)、高級アルコールEO付加物(A3−1)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸(A2−3)のナトリウム塩)、デシルアルコールEO付加物(A3−1)である。
本発明において界面活性剤(A)は、界面活性剤(A)をそのまま使用してもよいし、必要により水と混合して、水性希釈液(水溶液状又は水分散液状)として用いてもよい。
水性希釈液における、界面活性剤(A)の合計濃度は、対象となる微生物、生理活性物質の種類及び抽出方法の種類によって適宜選択されるが、有用物質の分泌性及びハンドリング性の観点から、水性希釈液の重量を基準として、0.1〜99重量%が好ましく、より好ましくは1〜50重量%である。
本発明の界面活性剤を用いて有用物質の生産を行った場合の分泌効率(%)は、生産性の観点から、1〜100が好ましく、さらに好ましくは5〜100、次にさらに好ましくは10〜100、特に好ましくは50〜100である。
界面活性剤の分泌効率とは、界面活性剤により細菌内の有用物質が細菌外(培養液中)へ分泌されることを示している。
なお、本発明においては、下記式によって定義される。
分泌効率(%)=100×{(X/Y)−Z}
X:遠心分離による菌体除去後に残る培養液中の有用物質
Y:培養液中の全有用物質
Z:溶菌した細菌の割合を示し、下記の式によって定義される。
Z=Z1/Z2
Z1:遠心分離による菌体除去後に残る培養液中の細胞質内局在物質
Z2:培養液中の全細胞質内局在物質
なお細胞質内局在物質とは、細胞質内に存在している物質であり、溶菌によって培養液中に溶出される物質をさす。
分泌効率は、例えば細菌内で生産されたタンパク質がよりペリプラズム移行するようにすれば分泌効率は上がり、よりペリプラズム移行しないようにすれば分泌効率は下がる。また、スクリーニングによって分泌効率の高い界面活性剤を選定することにより分泌効率を上げることができる。
本発明の有用物質の生産方法で使用される界面活性剤(A)の使用量(重量%)は、対象となる微生物、生産される有用物質の種類及び抽出方法の種類によって適宜選択されるが、培養液の重量を基準として、分泌効率及びタンパク質の変性のさせにくさの観点から、0.0001〜10が好ましく、さらに好ましくは0.005〜10、次にさらに好ましくは0.1〜5である。
界面活性剤(A)はあらかじめ培養液と混合して使用する以外に、微生物を懸濁させた培養液に後から添加しても良い。培養液との混合は、4℃〜99℃で培養液に界面活性剤(A)を添加し、撹拌羽根又はスターラー等で撹拌することで行うことができる。後から混合する際は、撹拌羽根等で撹拌しながら添加することで行うことができる。
界面活性剤(A)の使用にあたっては、上記界面活性剤を単独で用いる以外に、数種類を混合して用いても良い。
本発明において乾燥菌体密度とは、有用物質の分泌生産において、培養開始時から培養終了時までのいずれかの時点における培養液1L中に含まれる細菌の重量を表す。なお、この細菌の重量は、乾燥させた状態の細菌の重量である。
乾燥菌体密度は、次の手順(1)〜(5)により求める。
手順(1):あらかじめ容器(遠心チューブ)の重量を測定しておく。
手順(2):培養液100mlを手順(1)で重量を測定した容器に入れ、遠心分離(4,000G、15分、4℃)して、上澄みを抜き取り、細菌を集菌する。
手順(3):容器中の集菌した細菌を、0.9重量%NaCl水溶液[手順(2)で使用した培養液と同じ体積]で洗い、再度遠心分離(4,000G、15分、4℃)して、上澄みを抜き取り、細菌を集菌する。
手順(4):手順(3)で得られた細菌を容器にいれたままの状態で、105℃で10時間乾燥させた後、容器と細菌の合計の重量を測定する。
手順(5):手順(4)の後さらに105℃で2時間乾燥させた後、容器と細菌の合計の重量を測定して重量変化が無いことを確認する。さらに重量が減少するなら重量変化が無くなるまで105℃で乾燥を持続する。
手順(5)と手順(1)の測定値と手順(2)で使用した培養液の体積(L)を下記式に当てはめることにより、乾燥菌体密度を求める。
乾燥菌体密度(g/L)=([手順(5)の測定値]−[手順(1)の測定値])/0.1
本発明の有用物質の生産方法における乾燥菌体密度は、培養液の体積を基準として1.5〜500g/Lであり、好ましくは3g/L〜200g/Lであり、さらに好ましくは4〜100g/Lである。乾燥菌体密度が1.5g/L未満では有用物質の生産量が悪くなり、500g/Lを超える値では有用物質の生産が実施困難である。
細菌が大腸菌である場合の乾燥菌体密度は、培養液の体積を基準として、有用物質の生産が実施可能な観点から、1.5〜500g/Lであり、好ましくは3〜100g/Lであり、さらに好ましくは10〜50g/Lであり、最も好ましくは12〜27g/Lである。
本発明の有用物質の生産方法において、上記範囲内であれば、乾燥菌体密度が大きければ大きいほど有用物質の生産量は増加する。
本発明の有用物質の生産方法において、有用物質の生産量の観点から、乾燥菌体密度が上記範囲内である時間が、有用物質を分泌させる工程に要する時間の10%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50%以上である。
乾燥菌体密度は、例えば十分な通気条件下で半回分培養法を用いて適切な速度で流加を行うことによって増加させることができ、制限した通気条件下で回分培養を行うことによって減らすことができる。また、培養開始から界面活性剤を入れるまでの時間を長くすることによって増加し、培養開始から界面活性剤を入れるまでの時間を短くすることによって減らすことができる。また、界面活性剤の投入速度を遅くすれば増加し、早くすれば減らすことができる。
本発明の有用物質の生産方法において、有用物質の分泌生産をする生産方法には、下記工程(a)及び(b)を含む細胞外分泌生産方法が含まれる。下記工程において、有用物質を分泌生産する工程は工程(a)である。
工程(a):有用物質を生産する細菌(グラム陰性細菌等)を培養する培養液と界面活性剤を同時に存在させて有用物質を細胞外(培養液中)に分泌させる工程。
工程(b):工程(a)の後、培養液から有用物質を分離する工程。
以下に本発明の界面活性剤を使用する有用物質の生産方法の一例を示す。
(i)遺伝子組み換え
(i−1)目的タンパク質を発現している細胞からメッセンジャーRNA(mRNA)を分離し、該mRNAから単鎖のcDNAを、次に二重鎖DNAを合成し、該二本鎖DNAをファージDNA又はプラスミドに組み込む。得られた組み換えファージ又はプラスミドを宿主大腸菌に形質転換しcDNAライブラリーを作成する。
(i−2)目的とするDNAを含有するファージDNA又はプラスミドをスクリーニングする方法としては、ファージDNA又はプラスミドと目的タンパク質遺伝子又は相補配列の一部をコードするDNAプローブとのハイブリダイゼーション法が挙げられる。
(i−3)スクリーニング後のファージ又はプラスミドから目的とするクローン化DNA又はその一部を切りだし、該クローン化DNA又はその一部を発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することによって、目的遺伝子の発現ベクターを作成することができる。内膜を移行させるシグナル配列(ペリプラズムに目的物質を発現させるシグナル配列)をコードするDNAを同時に連結することもできる。
(ii)培養
(ii−1)宿主細菌を発現ベクターで形質転換して組み換え細菌を作成し、組み換え細菌を前培養する。前培養は寒天培地上で通常15〜43℃で3〜72時間行う。
(ii−2)有用物質の生産に用いる培養液を121℃、20分間オートクレーブ滅菌を行い、ここに寒天培地で前培養した組み換え細菌を培養する。培養は、通常15〜43℃で12〜72時間行う。なお、培養開始と同時に界面活性剤(A)を使用する場合は、界面活性剤(A)と培養液を混合し均一化したものを、培養液として用いて同様の操作を行う。また、培養後6時間から72時間後に界面活性剤(A)を加える場合は、界面活性剤を加えてから1〜1000時間培養を継続する。
(iii)精製
(iii−1)培養液中に分泌されたタンパク質は、遠心分離、中空糸分離、ろ過等で微生物及び微生物残さと分離される。
(iii−2)タンパク質を含む培養液は、イオン交換カラム、ゲルろ過カラム、疎水カラム、アフィニティカラム及び限外カラム等のカラム処理を繰り返し、エタノール沈殿、硫酸アンモニウム沈殿及びポリエチレングリコール沈殿等の沈殿処理を必要に応じ適宜行うことによって分離精製される。
(iii−1)で分離された宿主細胞は、その後、新たに培養液を供給することにより、さらに培養することができる。その培養液等をさらに(iii)の工程に供し精製、培養を繰り返すことにより、有用物質の連続生産を行うことができる。
上記の(iii)のタンパク質の分離・取り出し工程におけるカラムクロマトグラフィーに使用される充填剤としては、シリカ、デキストラン、アガロース、セルロース、アクリルアミド及びビニルポリマー等が挙げられ、市販品ではSephadexシリーズ、Sephacrylシリーズ、Sepharoseシリーズ(以上、Pharmacia社製)、Bio−Gelシリーズ(Bio−Rad社製)等がある。
本発明の有用物質の生産方法を使用することにより、短時間で高い収量を得ることができるため、高生産量を達成することができる。また、本発明の有用物質の生産方法は、有用物質が培養液中に分泌されるため、有用物質の精製が容易である。
本発明の生産方法で得られる有用物質は、上記の方法で得られるため、従来よりも比活性が高い。
本発明の有用物質生産方法は、界面活性剤と細菌とを同時に存在させて、有用物質を培養液中に分泌させる工程を含む。この工程において、細菌が生存している限り、細菌が有用物質を作成し培養液中に分泌することができると推測される。さらに、細菌が有用物質を作成する能力を有していれば、作成する有用物質の種類は問わず本発明の生産方法が使用できると推測される。
本発明の有用物質生産方法は、細菌内で作成した有用物質が細菌のペリプラズムに移行している場合に特に有効である。有用物質がペリプラズムに移行していることによって、有用物質が培養液中に分泌されやすくなる。
本発明の別の態様は、本発明の有用物質生産方法で使用される界面活性剤である。
本発明の界面活性剤は、細菌を用いて有用物質(タンパク質等)を生産する際に添加する。
本発明の界面活性剤は、細菌を破壊しにくく、細菌が有用物質を連続的に生産することができ、生産量を飛躍的に向上することができる。
本発明の界面活性剤を用いて細菌の培養を行う事によって、細菌を死滅させることなく培養することが出来るので、工業レベルでの生産に十分な菌体密度を達成する事が可能になり、かつ、有用物質の分泌生産が可能になる。その結果、容易な精製かつ高生産量を達成することができる。
本発明の界面活性剤としては、上記の界面活性剤(A)である。
以下の実施例、比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を意味する。
株の作成、菌体重量の測定、ELISAアッセイ及びSDS−PAGE等は当業者が行う標準的な方法に基づいて行った。
<製造例1>
プライマー1と2(表4)を用いてPCR法により大腸菌株W3110のアルカリホスファターゼ(phoA)遺伝子を増幅した。PCR断片を制限酵素NdeIとBamHIで処理後、pET−22bプラスミド(Novagen社)のNdeI制限酵素サイトとBamHI制限酵素サイトに結合した。その後λDE3 Lysogenization Kit(Novagen社製)を用いて、大腸菌株AG1(ToYoBo(東洋紡績(株))社製)を改変して作成したAG1(DE3)大腸菌株にこのプラスミドを形質転換してアルカリホスファターゼ発現株(α)を作成した。発現したアルカリホスファターゼがペリプラズム画分に局在することをMETHODS IN ENZYMOLOGY 353巻 2002年 121頁の方法に基づいて解析し確認した。
<製造例2>
プライマー3と4(表4)を用いてPCR法により大腸菌株W3110のtorA遺伝子を増幅した。PCR断片を制限酵素NdeIとBamHIで処理後、pET−22bプラスミド(Novagen社製)のNdeI制限酵素サイトとBamHI制限酵素サイトに結合した。その後AG1(DE3)大腸菌株にこのプラスミドを形質転換してTorA発現株(β)を作成した。発現したTorAがペリプラズム画分に局在することをMETHODS IN ENZYMOLOGY 353巻 2002年 121頁の方法に基づいて解析し確認した。
<製造例3>
プライマー5と6(表4)を用いてPCR法により大腸菌株W3110のpdxA遺伝子を増幅した。PCR断片を制限酵素NdeIとBamHIで処理後、pET−22bプラスミド(Novagen社製)のNdeI制限酵素サイトとBamHI制限酵素サイトに結合した。その後AG1(DE3)大腸菌株にこのプラスミドを形質転換してPdxA発現株(γ)を作成した。発現したPdxAが細胞質画分に局在することをMETHODS IN ENZYMOLOGY 353巻 2002年 121頁の方法に基づいて解析し確認した。
<分泌効率のスクリーニング>
<A−0>
次の(1)〜(4)に従って界面活性剤を使用しない場合の大腸菌(α)及び(β)の分泌効率を求めた。
(1)製造例1〜3で得た大腸菌(α)、(β)及び(γ)をそれぞれLB培養液(バクトトリプトン10g/L、イーストエキストラクト5g/L、NaCl10g/L、クロラムフェニコール30mg/L)1mLに植菌して37℃で一夜振とう培養して培養液を作製した。
(2)遠心機を用いて集菌(4,000G、4℃、15分)を行いTB培養液(Difco社製)1mLに再懸濁し、クロラムフェニコール(30mg/L)とIPTG(100μM)を加えて37℃で3時間振とう培養を行うことによりphoA、torA又はpdxAの発現誘導を行なった。
(3)その後再び遠心機を用いて集菌(4,000G、4℃、15分)を行い2.5mLのTris−NaCl緩衝液(50mM Tris(pH7.5)、100mM NaCl)に再懸濁し、25μL分注を行い25μLのTris−NaCl緩衝液と混合した。
(4)その後、37度で1時間保温した。上清の液を取り出しTris−NaCl緩衝液で適切な濃度に希釈後、抗Hisタグ抗体を用いたELISAアッセイにより組み換えタンパク質量の定量を行った。(3)の遠心分離前のサンプルも超音波処理(200W、10分)後、同様にELISAアッセイを行って組み換えタンパク質の定量を行った。大腸菌(γ)を用いて溶菌した細菌の割合を算出し、大腸菌(α)と大腸菌(β)の組み換えタンパク質の分泌効率を下記式により算出し、表1にまとめた。なお、表1において、「0」は、分泌効率が0%であることを示しており、「−」は、分泌効率の測定を行わなかったことを示している。
分泌効率(%)=100×{(X/Y)−Z}
X:大腸菌(α)又は(β)を使用した場合の遠心分離による菌体除去後に残る培養液中の組み換えタンパク質の量
Y:大腸菌(α)又は(β)を使用した場合の培養液中の全組み換えタンパク質の量
Z:大腸菌(γ)によって求めた溶菌した細菌の割合
Z=Z1/Z2
Z1:大腸菌(γ)を使用した場合の遠心分離による菌体除去後に残る培養液中の組み換えタンパク質の量
Z2:大腸菌(γ)を使用した場合の培養液中の全組み換えタンパク質の量
<大腸菌(α)の分泌効率の測定>
“X”は、大腸菌(α)を用いて上記(1)〜(4)を行ったときの、上記(4)の上清の液を取り出し、Tris−NaCl緩衝液で適切な濃度に希釈後、抗Hisタグ抗体を用いたELISAアッセイ(分光光度計「SUNRISE THERMO」、Wako(和光純薬工業(株))社製を用いて定量を行った)により求めた組み換えタンパク質量の測定値であり、0.0であった。
“Y”は、大腸菌(α)を用いて上記(1)〜(4)を行ったときの、上記(3)の遠心分離を行う前のサンプルを超音波処理(200W、10分)後、“X”での操作と同様のELISAアッセイを行って求めた組み換えタンパク質量の測定値であり、2.5であった。
“Z1”は、大腸菌(γ)を用いて上記(1)〜(4)を行ったときの、上記(4)の上清の液を取り出し、Tris−NaCl緩衝液で適切な濃度に希釈後、“X”での操作と同様のELISAアッセイを行うことにより求めた組み換えタンパク質量の測定値であり、0.0であった。
“Z2”は、大腸菌(γ)を用いて上記(1)〜(4)を行ったときの、上記(3)の遠心分離を行う前のサンプルを超音波処理(200W、10分)後、“X”での操作と同様のELISAアッセイを行って求めた組み換えタンパク質量の測定値であり、1.1であった。
ELISAアッセイによって求められる測定値は、タンパク質量に比例する濃度範囲で測定を行った。ELISAアッセイの測定値から、タンパク質量の定量値を求めることもできる。
これらのタンパク質量の測定値から、界面活性剤を使用していない場合の大腸菌(α)の分泌効率を求めた。
大腸菌(α)の分泌効率=100×{(0.0/2.5)−(0.0/1.1)}=0
<A−1>
大腸菌(α)及び大腸菌(β)についてそれぞれ、A−0の(3)において、大腸菌を緩衝液へ再懸濁した直後に、界面活性剤(A)としてポリオキシエチレン(3モル)トリデシルエーテル酢酸ナトリウムを菌懸濁液の重量を基準として1重量%になるように加えたこと以外は上記と同様にして培養し、前述の定義に従って分泌効率を算出し、表1にまとめた。
<A−2〜A−82>
大腸菌(α)及び大腸菌(β)について、A−1において、ポリオキシエチレン(3モル)トリデシルエーテル酢酸ナトリウムを表1に記載の界面活性剤及び量に変更したこと以外はA−1と同様にして分泌効率を算出し、表1〜3にまとめた。
なお、表2及び表3において、「0」は、分泌効率が0%であることを示しており、「−」は、分泌効率の測定を行わなかったことを示している。
また、大腸菌(β)の分泌効率を測定したのは、大腸菌が生産するタンパク質の種類が変わっても、界面活性剤(A)の添加により大腸菌が同じような分泌効率の傾向を示すことを確認するためである。大腸菌(β)の分泌効率は、界面活性剤(A)としてA−1、A−3又はA−6の界面活性剤を使用した場合について、各々測定を行った。
Figure 0005764057
Figure 0005764057
Figure 0005764057
なお、上記の表1〜3において、界面活性剤は下記のものを使用した。
A−16:SIGMA社製
A−22:日本エマルジョン(株)製、「EMALEX 400di−ISEX」
A−29:日本エマルジョン(株)製、「EMALEX PE−12EX」
A−32:日本エマルジョン(株)製、「EMALEX GWIS 320」
A−34:日本エマルジョン(株)製、「EMALEX 1805」
A−38:日本エマルジョン(株)製、「EMALEX 600di−ISEX」
A−40:日本エマルジョン(株)製、「EMALEX PEIS−10EX」
<比較例1>
大腸菌(β)をLB培地10mlに植菌して37℃で一夜振とう培養して培養液を作製した。遠心機を用いて集菌を行いTB培地(Difco社製)10mlに再懸濁し、torAの発現誘導を行い37℃で振とう培養を行い振とう培養開始後から0、0.5、1、2時間後にサンプリングを行い、遠心分離機によって集菌を行った。集菌体を緩衝液(50mM Tris(pH7.5)、100mM NaCl)に懸濁して超音波破砕(200W、10分)を行った後SDS−PAGEによって解析し、生産した組み換えタンパク質バンドの定量を行った。得られたデータから菌体1g当たりのタンパク質量に換算してグラフを作製した。この結果を図1(界面活性剤無し)に示す。
<実施例1>
発現誘導時に界面活性剤(A)としてA−7の界面活性剤を培養液の重量を基準として1%になるように加えたこと、サンプリングの時間を0、2、4、15、19、21時間後に行い遠心分離後の上清の解析を行ったこと以外は比較例1と同様にして、同様にグラフを作成した。なお、培養21時間後の培養液中の乾燥菌体密度は1.72g/Lだった。この結果を図1(界面活性剤有り)に示す。
<製造例4>
プライマー9と10(表4)を用いてPCR法によりBacillus licheniformisのbglC遺伝子を増幅した。PCR増幅断片を制限酵素NcoIとBamHIで処理後、pET−22bプラスミド(Novagen社製)のNcoI制限酵素サイトとBamHI制限酵素サイトに結合した。その後、BL21(DE3)大腸菌株(Novagen社製)へ形質転換を行い、セルラーゼを発現する大腸菌(δ)を作成した。
<製造例5>
プライマー7と8(表4)を用いてPCR法によりBacillus licheniformisのsubtilisin Carlsberg遺伝子を増幅した。PCR増幅断片を制限酵素NcoIとBamHIで処理後、pET−22bプラスミド(Novagen社製)のNcoI制限酵素サイトとBamHI制限酵素サイトに結合した。その後、BL21(DE3)大腸菌株(Novagen社製)へ形質転換を行い、プロテアーゼを発現する大腸菌(ε)を作成した。
Figure 0005764057
<比較例2、比較例4>
比較例2として製造例4で得た大腸菌(δ)、比較例4として製造例5で得た大腸菌(ε)の終夜培養液1mlをそれぞれ作成し、0.5mlをLB培養液(アンピシリン 100mg/L含有)5mlに植菌して30℃3時間振とう培養を行い、前培養液を作成した。前培養液を50mLの培養液(酵母エキス(日本製薬社製)1.2g、ポリペプトン(日本製薬社製)0.6g、リン酸2カリウム0.47g、リン酸1カリウム0.11g、硫酸アンモニウム0.35g、リン酸2ナトリウム12水和物0.66g、クエン酸ナトリウム2水和物0.02g、グリセロール0.2g、ラクトアルブミン水解物1.5g、消泡剤(信越シリコーン製、「KM−70」)0.3g、1mM硫酸マグネシウム、微量金属溶液(塩化カルシウム18.9μg、塩化鉄(III)500μg、硫酸亜鉛7水和物9.0μg、硫酸銅5.1μg、塩化マンガン4水和物6.7μg、塩化コバルト4.9μg、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム200μg)、100mg/Lアンピシリン)に植菌し微生物培養装置(エイブル社製、製品名「BioJr.8」)を用いてpH6.8、30℃を維持したまま培養を開始した。培養開始後1M IPTGを0.15mL加えた。培養開始14時間後から、グリセリン/タンパク質溶液(50% グリセリン、50g/L ラクトアルブミン水解物、33g/L 消泡剤(信越シリコーン製、「KM−70」)、100mg/L アンピシリン)の滴下を開始した。培養開始後、48時間目に培養を終了し、培養液を回収して培養液中の総タンパク質をSDS−PAGEで解析をして、タンパク質バンドの定量から生産した組み換えタンパク質量の定量を行った。
<乾燥菌体密度の測定>
培養終了時の乾燥菌体密度は、次の手順(1)〜(5)により求めた。
手順(1):あらかじめ容器(遠心チューブ)の重量を測定した。
手順(2):培養液100mlを手順(1)で重量を測定した容器に入れ、遠心分離(4,000G、15分、4℃)して、上澄みを抜き取り、細菌を集菌した。
手順(3):容器中の集菌した細菌に、手順(2)で使用した培養液と等量の体積の0.9%NaCl水溶液で洗い、再度遠心分離(4,000G、15分、4℃)して、上澄みを抜き取り、細菌を集菌した。
手順(4):手順(3)で得られた細菌を容器にいれたままの状態で、105℃で10時間乾燥させた後、容器と細菌の合計の重量を測定した。
手順(5):手順(4)の後さらに105℃で2時間乾燥させた後、容器と細菌の合計の重量を測定して重量変化が無いことを確認した。さらに重量が減少するなら重量変化が無くなるまで乾燥を持続した。
手順(5)と手順(1)の測定値と手順(2)で使用した培養液の体積(L)を下記式に当てはめることにより、乾燥菌体密度を求めた。
乾燥菌体密度(g/L)=([手順(5)の測定値]−[手順(1)の測定値])/0.1
この方法は数回行い培養液の濁度と乾燥菌体密度が比例関係にあることが明らかになったので、比較例2〜4及び実施例2〜14では測定した濁度から乾燥菌体密度を算出した。
<培養液の濁度の測定>
乾燥菌体密度を測定した培養液と同じ培養液を用いて、濁度計((株)島津製作所社製、UV−1700)を用いて、1mlの石英セルを用いて濁度の測定を行った。
培養液は、適切な吸光度になるように生理食塩水で希釈して測定を行った。細菌を含まないこと以外は同じ培養液を、上記と同じ希釈率で希釈して吸光度を測定してブランクとした。培養液の濁度は下記式によって算出した。
培養液の濁度=[(希釈した培養液の濁度測定値)−(ブランクの濁度測定値)]×希釈倍率
乾燥菌体密度と培養液の濁度をプロットし、図3を得た。図3から、乾燥菌体密度と培養液の濁度の関係を表す次式を導いた。
乾燥菌体密度=0.28×(培養液の濁度)
<比較例3>
培養開始後、培養液の重量を基準として1重量%になるように界面活性剤(A)としてA−14の界面活性剤を加え、グリセリン/タンパク質溶液中にもグリセリン/タンパク質溶液を基準として1重量%になるようにA−14の界面活性剤を加えたこと以外は比較例2と同様に行った。
<実施例2>
培養開始後、培養液の重量を基準として1重量%になるように界面活性剤(A)としてA−14の界面活性剤を加え、グリセリン/タンパク質溶液中にもグリセリン/タンパク質溶液を基準として1重量%になるようにA−14の界面活性剤を加えたことと培養液の遠心上清のみを解析したこと以外は比較例2と同様に行った。なお、培養開始から界面活性剤を入れるまでの時間は、比較例3よりも長かった。
<実施例3〜11>
実施例2において、A−14の界面活性剤を表5に記載の界面活性剤及び量に変更したこと以外は同様にして得られた組み換えタンパク質の定量、乾燥菌体密度の測定を行った。結果を表5にまとめた。
<実施例12>
培養開始後、培養液の重量を基準として1重量%になるように界面活性剤(A)としてA−6の界面活性剤を加え、グリセリン/タンパク質溶液中にもグリセリン/タンパク質溶液を基準として1重量%になるようにA−6の界面活性剤を加えたことと培養液の遠心上清のみを解析したこと以外は比較例4と同様に行った。
<実施例13>
培養開始後、培養液の重量を基準として0.1重量%になるように界面活性剤(A)としてA−6の界面活性剤を加え、グリセリン/タンパク質溶液中にもグリセリン/タンパク質溶液を基準として0.1重量%になるようにA−6の界面活性剤を加えたことと、培養液の遠心上清のみを解析したこと以外は、比較例4と同様に行った。
<実施例14>
培養開始後、培養液の重量を基準として5重量%になるように界面活性剤(A)としてA−6の界面活性剤を加え、グリセリン/タンパク質溶液中にもグリセリン/タンパク質溶液を基準として5重量%になるようにA−6の界面活性剤を加えたことと、培養液の遠心上清のみを解析したこと以外は、比較例4と同様に行った。
実施例8については、界面活性剤A−6を加えてから3時間目、5時間目、8時間目、11時間目、21時間目、25時間目、30時間目、45時間目及び48時間目にそれぞれサンプリングを行い、乾燥菌体密度と組み換えタンパク質の定量を行った。その結果を図2に図示した。
Figure 0005764057
<比較例5>
Shewanella putrefaciensの終夜培養液10mlを作成し、培養液(ポリペプトン(日本製薬社製)10g、酵母エキス(日本製薬社製)2g、硫酸マグネシウム7水和物0.5g、Seawater(Daigo)750mL)1Lに植菌して30℃5時間振とう培養を行い、前培養液を作成した。前培養液を10Lの培養液(ポリペプトン(日本製薬社製)200g、酵母エキス(日本製薬社製)40g、硫酸マグネシウム7水和物10g、Seawater(Daigo)7.5L)に植菌し微生物培養装置(エイブル社製)を用いてpH7.3、30℃を維持したまま培養を開始した。培養開始後、48時間目に培養液を回収して遠心分離を行った培養液上清画分の総タンパク質をSDS−PAGEで解析をして、45kDa付近のタンパク質バンドの定量を行った。
<乾燥菌体密度の測定>
培養終了時の乾燥菌体密度は、次の手順(1)〜(5)により求めた。
手順(1):あらかじめ容器(遠心チューブ)の重量を測定した。
手順(2):培養液100mlを手順(1)の容器入れ、遠心分離(4,000G、15分、4℃)して、上澄みを抜き取り、細菌を集菌した。
手順(3):容器中の集菌した細菌に、手順(2)で使用した培養液と等量の体積の0.9%NaCl水溶液で洗い、再度遠心分離(4,000G、15分、4℃)して、上澄みを抜き取り、細菌を集菌した。
手順(4):手順(3)で得られた細菌を容器にいれたままの状態で、105℃で10時間乾燥させた後、容器と細菌の合計の重量を測定した。
手順(5):手順(4)の後さらに105℃で2時間乾燥させた後、容器と細菌の合計の重量を測定して重量変化が無いことを確認した。さらに重量が減少するなら重量変化が無くなるまで乾燥を持続した。
手順(5)と手順(1)の測定値と手順(2)で使用した培養液の体積(L)を下記式に当てはめることにより、乾燥菌体密度を求めた。
乾燥菌体密度(g/L)=([手順(5)の測定値]−[手順(1)の測定値])/0.1
<比較例6>
微生物培養装置での培養開始後に培養液の重量を基準として1重量%になるようにA−14の界面活性剤を加えたこと以外は比較例5と同様に行った。
<実施例15>
微生物培養装置での培養開始後に培養液の重量を基準として1重量%になるようにA−7の界面活性剤を加えたこと以外は比較例5と同様に行った。
Figure 0005764057
図2に示すように、実施例8において、A−6の界面活性剤を添加する前は乾燥菌体密度が2.3g/Lであったが培養終了時には19.7g/Lであった。この結果は、培養に用いた細菌が少なくとも一部は死なずに増殖し続けたことを示している。
大腸菌(α)、(β)、(γ)を用いて算出した分泌効率のスクリーニング結果(表1〜表3)を基に、大腸菌の分泌生産に用いる界面活性剤を決定した。
表1〜表3から、界面活性剤の中でもA−1〜A−61の界面活性剤は、分泌効率が1以上であることが分かった。これらの界面活性剤は、大腸菌のペリプラズム中のタンパク質を溶出させる効果が高く、分泌生産においても高い有効性が期待された。そこで実際に数種類の界面活性剤をもちいて分泌生産による生産性の確認を実施例1〜15で行った。
その結果、表5に示すように、界面活性剤を使用していない比較例2及び4と比較して、本発明の実施例2〜14は生産したタンパク質が培養液中に効率的に分泌されていることがわかる。
また、菌体1g当たりのタンパク質生産量の時間ごとの推移を表した図1において、界面活性剤無しの場合は、培養時間が1時間以降はタンパク質量がほとんど変化しなかった。一方、界面活性剤有りの場合は、タンパク質量が15時間経過しても増加し続けていることがわかる。
さらに、実施例8において、培養液中の乾燥菌体密度とタンパク質の量をプロットした図2から、本発明の界面活性剤の存在下でも、細菌が死滅することなく増殖しながら、タンパク質を生産しつづけていることが分かる。
これらのことから、界面活性剤を用いることで、細菌のタンパク質の生産を妨げることなく、長時間分泌生産をすることができ、生産したタンパク質を効率的に培養液中に取り出すことが可能であり、タンパク質の生産量が増加したことがわかる。
また、比較例3と実施例2の比較から、同じ細菌及び界面活性剤による分泌生産方法でも、乾燥菌体密度が大きい方が、タンパク質の生産量が多くなることがわかる。
さらに、実施例3〜9を比較した場合、界面活性剤の分泌効率が大きい実施例の方がタンパク質の生産量が多くなることがわかる。
なお、本明細書において、分泌効率が「0.0」であることは、必ずしも細菌内の有用物質が細菌外(培養液中)へ全く分泌されないことを示しているのではない。例えば、実施例3では、大腸菌(α)の分泌効率が「0.0」である界面活性剤A−76を使用しているが、大腸菌(δ)が分泌した組み換えタンパク質の生産量は0.07g/Lであった。
本発明の界面活性剤及び有用物質の製造方法は、タンパク質などの有用物質を生産菌から抽出する際に使用できる。タンパク質としては酵素、ホルモンタンパク質、抗体及びペプチド等が挙げられる。製造されるタンパク質が、酵素(プロテアーゼ、セルラーゼ、リパーゼ及びアミラーゼ等)の場合には、食品加工用、洗浄剤用、繊維処理用、製紙用途、酵素変換用途などとして好適に使用できる。
また、本発明の界面活性剤は、細菌のペリプラズム画分の抽出試薬としても使用できる。

Claims (6)

  1. 培養液中に含まれる細菌により有用物質を培養液中に分泌生産する有用物質生産方法であり、
    培養液中には、界面活性剤(A)が含まれており、
    培養液の体積を基準とした乾燥菌体密度が1.5g/L〜500g/Lであり、
    細菌はグラム陰性菌であり、
    界面活性剤(A)が両性界面活性剤、アニオン系界面活性剤及びHLBが0〜13のノニオン系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である有用物質生産方法。
  2. 有用物質がタンパク質である請求項1に記載の有用物質生産方法。
  3. 細菌内で発現したタンパク質がペリプラズムへ移行する性質を有するタンパク質である請求項2に記載の有用物質生産方法。
  4. 細菌が大腸菌である請求項1〜3のいずれかに記載の有用物質生産方法。
  5. 界面活性剤の使用量が、培養液の重量を基準として0.0001〜10重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の有用物質生産方法。
  6. 界面活性剤の分泌効率が1〜100%である請求項1〜5のいずれかに記載の有用物質生産方法
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