JP5759130B2 - 褥瘡洗浄装置 - Google Patents
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Description
されることにより、水中でストリーマ放電が行われる。ストリーマ放電が行われると、水中では水酸ラジカル等の活性種が生成される。この活性種は、水分子と反応することにより、多量の過酸化水素が生成される。その結果、タンク(20)内では、過酸化水素を含む洗浄水が簡便に得られる。タンク(20)内の洗浄水は、搬送部(32)によってタンク(20)から給水路(31)へ搬送される。給水路(31)を流れた洗浄水は、放出部(33,90,95)から褥瘡部へ供給される。その結果、褥瘡部の洗浄・除菌がなされる。
本発明の実施形態1に係る褥瘡洗浄装置(10)は、患者の褥瘡部を洗浄することにより、褥瘡部の洗浄・除菌を行うものである。本実施形態の褥瘡洗浄装置(10)は、褥瘡部へ供給される洗浄水として、過酸化水素(H2O2)を含む洗浄水が用いられる。
褥瘡洗浄装置(10)の全体構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。褥瘡洗浄装置(10)は、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)に収容される洗浄水タンク(20)とを備えている。マイクロコンピュータなどのCPUとCPUにより実行される装置全体の制御プログラムや各種データを記憶するROMとワークエリアとして測定データ
や各種データを一時的に記憶するRAMなどを備える制御部(図示省略)によって褥瘡洗浄装置(10)全体が制御される。
図3及び図4に示すように、褥瘡洗浄装置(10)は、洗浄水タンク(20)の水中内でストリーマ放電を行うための放電発生機(50)を備えている。放電発生機(50)は、放電ユニット(50a)と直流電源(65)とを有している。放電ユニット(50a)は、洗浄水タンク(20)内の底部寄りに設けられている。放電ユニット(50a)は、電極対(51,52)と、絶縁ケース(55)、及びアースカバー(60)を有している。
(51)は、板状の電極であり、対向電極(52)は、複数の孔(53)が形成されたメッシュ状の電極である。なお、対向電極(52)を放電電極(51)と同様に板状に形成しても良い。放電電極(51)と対向電極(52)とは、各々が水平な姿勢で保持されながら、互いに平行となるように対向している。放電電極(51)は、直流電源(65)の正極に接続し、対向電極(52)は、直流電源(65)の負極に接続している。直流電源(65)から電極対(51,52)に電圧が印加されると、両電極(51,52)の間でストリーマ放電が行われる。これにより、水中では、水酸ラジカル等の活性種が生成され、ひいては過酸化水素が生成される。
なお、対向電極(52)には、複数の孔(53)が形成されているため、生成された過酸化水素の拡散が促される。
に配置されている。具体的に、絶縁ケース(55)は、容器部材(56)と蓋部材(57)とを有している。容器部材(56)は、一側面(上面)が開放された箱状に形成されている。容器部材(56)の底面には、放電電極(51)が水平な状態で敷設される。蓋部材(57)は、容器部材(56)の上方の開放面を閉塞している。
)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部材として機能する。即ち、放電電極(51)は、絶縁ケース(55)で覆われる一方、ストリーマ放電時の電流経路が上記複数の開口(58)によって絞られる。このため、各開口(58)の近傍では、電流密度が増大する。これにより、ストリーマ放電時における活性種の生成量、ひいては過酸化水素の生成量が多くなる。
る。直流電源(65)の電源電圧は、数キロボルト以下(例えば7kV以下)に設定されている。このように、電源部を直流電源(65)とすることで、例えばパルス状の電圧を印加するパルス電源と比較して、電源部の簡素化、小型化、低コスト化を図ることができる。また、パルス電源であれば、放電に伴って水中内で衝撃波や騒音が生じやすいのに対し、電源部を直流電源(65)とすれば、このような衝撃波は騒音の生成も抑制できる。
褥瘡洗浄装置(10)の運転動作について説明する。褥瘡洗浄装置(10)の運転が開始されると、直流電源(65)から電極対(51,52)に電圧が印加される。これにより、放電電
極(51)から対向電極(52)に向かってストリーマ放電が進展する。この際、電極対(51,52)の間では、絶縁ケース(55)の開口(58)によって放電経路が絞られるため、開口
(58)の近傍の電流密度が集中する。これにより、洗浄水タンク(20)内の水中では、高濃度の活性種を生成することができる。
実施形態1では、洗浄水タンク(20)内の水中でストリーマ放電を行って過酸化水素を生成するようにしている。このため、洗浄水タンク(20)内に過酸化水素水を適宜補充する必要がなく、自動的に過酸化水素を含む洗浄水を得ることができる。また、ストリーマ放電では、例えば電気分解の方式と比較すると、過酸化水素の生成速度が極めて高い。具体的には、実施形態1のストリーマ放電では、電気分解の方式と比較して、約10倍程度の過酸化水素の生成速度が得られる。従って、実施形態1では、短時間で多量の過酸化水素を発生でき、褥瘡の洗浄・除菌効果を向上できる。
実施形態2に係る褥瘡洗浄装置(10)は、上記実施形態1の褥瘡洗浄装置(10)において、中継タンク(80)を付加したものである。より具体的に、図5及び図6に示す実施形態2の給水機構(30)では、洗浄水タンク(20)側からスポンジユニット(33)側へ向かって順に、中継流路(37)、中継タンク(80)、給水チューブ(31)が接続されている。
実施形態2においても、実施形態1と同様、洗浄水タンク(20)内の水中でストリーマ放電を行って過酸化水素を生成するようにしている。このため、洗浄水タンク(20)内に過酸化水素水を適宜補充する必要がなく、自動的に過酸化水素を含む洗浄水を得ることができる。また、ストリーマ放電によって、極めて速い生成速度で過酸化水素を得ることができる。
上述した実施形態1や2においては、以下のような他の構成とすることもできる。
上述した各実施形態では、褥瘡部へ洗浄水を放出する放出部として、スポンジ部(35)を有するスポンジユニット(33)を用いているが、放出部として他の構成を採用しても良い。
用いられるノズル(90)に、噴霧部(91)を設けてもよい。噴霧部(91)からは、図7に示すように、ミスト状の洗浄水が褥瘡部へ噴霧される。このように、ミスト状の洗浄水を褥瘡部へ噴霧することにより、褥瘡部へ急激に洗浄水が噴出されることによる患者の痛みを和らげることができるとともに、褥瘡部へ均一に洗浄水を供給することができる。
上述した各実施形態では、洗浄水タンク(20)に水を補給し、洗浄水タンク(20)内の水中でストリーマ放電を行って過酸化水素を生成している。しかしながら、洗浄水タンク(20)の水中に食塩水を添加するようにしても良い。食塩水を含む洗浄水中でストリーマ放電を行うと、食塩を含む水(被電解水)が電気分解されて、次亜塩素酸(HClO)が生成される。この次亜塩素酸は、過酸化水素と比較として殺菌力が高いため、洗浄水による褥瘡の洗浄・除菌効果を更に向上できる。
上述した各実施形態では、過酸化水素センサの検出値が目標値に近づくように、ストリーマ放電の制御を行い、所望とする過酸化水素濃度の洗浄水を得るようにしている。しかしながら、過酸化水素センサを省略し、ストリーマ放電を所定の設定時間だけ行うようにしても良い。なお、この設定時間は、所望とする過酸化水素濃度の洗浄水を得るよう経験的に求められた時間であり、例えば水道水の補給量に応じて変化する値であっても良い。
上述した各実施形態では、ストリーマ放電の放電電力を一定に制御する定電力制御部を用いている。しかしながら、定電力制御部に代えて、ストリーマ放電時の放電電流を一定に制御する定電流制御部を設けることもできる。この定電流制御を行うと、洗浄水の導電率によらず放電が安定するため、スパークの発生も未然に回避できる。
20 洗浄水タンク(タンク)
30 給水機構
31 給水チューブ(給水路)
32 給水ポンプ(搬送部)
33 スポンジユニット(放出部)
34 本体部
35 スポンジ部
36 流出口
50 放電発生機
50a 放電ユニット
51 放電電極(電極対)
52 対向電極(電極対)
55 絶縁ケース(絶縁部材、電流密度集中部材)
56 容器部材
57 蓋部材
58 開口
65 直流電源(電源部)
90 ノズル(放出部)
91 噴霧部
95 ノズル(放出部)
96 噴出部
Claims (3)
- 褥瘡部へ供給する洗浄水を貯留するタンク(20)と、
一端が上記タンク(20)に接続される給水路(31)と、該タンク(20)内の洗浄水を上記給水路(31)へ搬送する搬送部(32)と、上記給水路(31)の流出端に接続されて上記洗浄水を褥瘡部へ放出する放出部(33,90,95)とを含む給水機構(30)と、
上記タンク(20)内の水中でストリーマ放電を生起するための電極対(51,52)と、該電極対(51,52)に電圧を印加する電源部(65)とを有し、上記ストリーマ放電によって水中で過酸化水素を生成するように構成された放電発生機(50)とを備え、
上記放電発生機(50)は、上記タンク(20)内を、上記電極対(51,52)の一方の電極(51)が設けられる部分と他方の電極(52)が設けられる部分とに区画する絶縁部材(55)を有し、
上記絶縁部材(55)には、該絶縁部材(55)によって仕切られた上記タンク(20)内の二つの部分を連通させる直径が0.02mm以上0.5mm以下の開口(58)が形成され、
上記放電発生機(50)は、上記開口(58)内の電流密度の上昇に起因して発生したジュール熱により該開口(58)内の水を気化させて気泡を生成し、該気泡中で放電を行うように構成されていることを特徴とする褥瘡洗浄装置。 - 請求項1において、
上記放出部(33)は、上記洗浄水が放出される流出口(36)が形成される本体部(34)と、上記流出口(36)を覆うように上記本体部(34)に取り付けられるスポンジ部(35)とを含んでいることを特徴とする褥瘡洗浄装置。 - 請求項1又は2において、
上記放出部(90)は、上記洗浄水を噴霧する噴霧部(91)を含んでいることを特徴とする褥瘡洗浄装置。
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