JP5758927B2 - ホース継手 - Google Patents
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Description
これらの散水ノズル、ホースリール等のように散水に用いる装置を、以下では「散水装置」という。
装置側部材は上方からホース側部材に差し込まれるニップルを有し、他方、ホース側部材は、ニップルを受ける受け口を有する略円筒状に形成されるとともに周面にツメ用開口を形成したコネクター本体と、コネクター本体の外周に嵌合される部材であって径方向に弾性変形可能でツメ用開口からコネクター本体内に突出する抜止ツメ部を有する抜止部材と、コネクター本体の外周に軸方向にスライド可能に取り付けられる略円筒状のスライドリングと、スライドリングを所定の連結ポジションへ軸方向に付勢するコイルスプリングとを有していた。
コイルスプリングに抗してスライドリングを解除ポジションにスライドさせると、スライドリングの内周面と抜止ツメ部との間に空間が形成され、抜止ツメ部が径方向に弾性変形してニップルを抜き出すことができる。
特許文献1には、樹脂製のコイルスプリングを用いることも記載されているが、樹脂製のコイルスプリングは専用の治具や機械を用いなければ成形することができなかった。
また、汎用性の高いPP(ポリプロピレン)やPOM(ポリアセタール)等の樹脂を材料としたコイル(螺旋)形状のコイルスプリングを用いた場合、反発力が不足したり、繰り返しの使用による塑性変形や経年変化によって反発力が低下したりして、スライドリングを連結ポジションに十分に付勢できず、ホース継手の連結がひとりでに解除されてしまうおそれがあった。
第1の発明は、ホースに接続されるホース側部材と、他の装置に接続される装置側部材とを着脱可能に連結するホース継手において、上記装置側部材は上方から上記ホース側部材に差し込まれるニップルを有し、上記ホース側部材は、上記ニップルを受ける受け口を有する略円筒状に形成されるとともに周面にツメ用開口を形成したコネクター本体と、上記コネクター本体の外周に嵌合される部材であって径方向に弾性変形可能で上記ツメ用開口から上記コネクター本体内に突出する抜止ツメ部を有する抜止部材と、上記コネクター本体の外周に軸方向にスライド可能に取り付けられる略円筒状のスライドリングと、上記スライドリングを連結ポジションへ軸方向に付勢する付勢部材とを有し、上記スライドリングの連結ポジションで上記ニップルを上記受け口へ差し込むと、上記スライドリングが上記抜止ツメ部の弾性変形を阻止し、上記抜止ツメ部が上記ニップルを抜け止めし、上記付勢部材に抗して上記スライドリングを解除ポジションにスライドさせると、上記抜止ツメ部が径方向に弾性変形して上記ニップルを抜き出すことができ、上記付勢部材は、上記スライドリング側に当接するスライドリング側端部と、上記コネクター本体側に当接する本体側端部と、上記スライドリング側端部および上記本体側端部の間に張り渡された形状のばね部とを有する樹脂製の樹脂ばねであることを特徴とする。
ホース継手1は、ホースと他の装置とを接続して流体を通過させる器具であり、図9(a)に示すようにホースと蛇口等とを接続するもの、図9(b)に示すように散水ノズル40に設けられてホースに接続するもの、図9(c)に示すようにホースリール41のホースHと散水ノズル40とを接続するものなど、多種多様なものが含まれる。
このホース継手1は、図2に示すように、ホースに接続されるホース側部材2と、蛇口に接続される装置側部材3とからなり、両者を着脱可能に連結することができる。
装置側部材3の下部には、ホース側部材2に上方から差し込まれるニップル5が形成されている。ニップル5には、後述する抜止部材15の抜止ツメ部18が配置される抜止溝6と、抜止ツメ部18に係止して抜けを防止する係止突出部7とが形成されるとともに、その下の位置に、水漏れ防止用のゴム製のシールリング8が嵌合されている。
装置側部材3の内部には、蛇口取付部4からニップル5までを水が通過できる流路が形成されている。
コネクター本体9およびホース接続管32の内部には、水が通過できる流路が形成されている。
ロックナット34とホース接続管32とのネジ結合を緩めると、ロックナット34によるホース保持リング33の締め付けが解除されて、ホースをホース接続管32から取り外すことができる。
コネクター本体9の周面上部には、抜止部材15を嵌め込む環状溝部11に形成されるとともに、その上に抜止部材15の抜止ツメ部18をコネクター本体9内に突出させるためのツメ用開口12が周上4箇所に形成されている。
コネクター本体9の内周面には、ニップル5に接触して水漏れを防止する軟質ゴム製のパッキン13が配置されている(図2)。
また、コネクター本体9の周面下部には、樹脂ばね23を当接させるためにばね台座14を径方向外側に突出させている。
コネクター本体9は、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合)樹脂から形成されている。
抜止部材15の環状基部16はC字状に形成されているため、径方向に弾性変形しやすく、拡開させてコネクター本体9の環状溝部11に嵌合することができる。
抜止部材15をコネクター本体9に取り付けると、抜止ツメ部18がツメ用開口12を貫通してコネクター本体9内に突出する(図2)。この状態で装置側部材3を連結すると、ニップル5の係止突出部7が下方に傾斜した抜止ツメ部18を弾性変形させながらコネクター本体9内に進入し、抜止ツメ部18はニップル5の抜止溝6に配置される。
スライドリング19の材料には、各種樹脂、金属、ゴム類を用いることができるが、大量生産が容易な樹脂を用いることが好ましく、その中でも射出成形ができ、低コストで生産できる熱可塑性樹脂(ハードセグメントとソフトセグメントからなる熱可塑性エラストマーを含む)を用いるのが好ましい。スライドリング19には薄肉な部分があるため、さらにその中でも成形性に優れた樹脂を用いるのが好ましく、特に表面の美観や印刷性に優れるとの理由でABS樹脂を用いるのが好ましい。
第一実施形態では、スライドリング19は、ABS樹脂から形成されている。
変形阻止面21の上方には、変形阻止面21よりも内径の大きい逃がし凹部22が形成されている。スライドリング19が連結ポジションから下方に移動して解除ポジションになると、この逃がし凹部22が抜止部材15の外側に配置され、アーム部17および抜止ツメ部18が径方向外側に弾性変形させて、ニップル5をコネクター本体9から抜き取ることができる。
変形阻止面21および逃がし凹部22は、スライドツメ部20と互い違いになるように周上4箇所に形成される。
上端部24が当接するのは必ずしもスライドリング19である必要はなく、スライドリング19に一体に取り付けられた他の部品であってもよい。
また、下端部25が当接するのは必ずしもコネクター本体9である必要はなく、コネクター本体9に一体に取り付けられた他の部品であってもよい。
上記外径を20mm未満とすると、周長も短くなり、ばね部のジグザグ形状の折り返し部分間の距離が十分に確保できず、付勢部材としての反発力が不足してしまう。22mm以上にするのがより好ましく、25mm以上にするのが特に好ましい。
上記外径を50mmより大きくすると、ホース継手1が大型化しすぎて扱いにくくなってしまう。40mm以下にするのがより好ましく、35mm以下にするのが特に好ましい。
第一実施形態では、上端部24および下端部25の直径(外径)を、31.6mmとした。
第一実施形態の樹脂ばね23には、POMを採用した。
図6(a)に示すように、ばね部26は、樹脂ばね23の周上等間隔に4本設けられている。ばね部26の本数は、1本では樹脂ばね23の形状が安定しないこと、十分な反発力を得ること、および金型の構造上2方向のスライドで成形できることから、2本以上設けることが好ましい。ばね部26の本数を多くすると樹脂ばね23の反発力が強くなるが、成形に要する金型の構造が複雑になり、成形が難しくなるため、8本以下とするのが好ましく、6本以下とするのが特に好ましい。第一実施形態では、ばね部26を4本設けたことにより、樹脂ばね23の反発力を向上させ、かつ、比較的容易に成形することができる。
ばね部26の折り返し部分26aの円形状の半径は1.7mmであり、線状部分26bの幅は1.3mmに設定されている。
また、上端部24または下端部25と線状部分26bとの結合部分も、線状部分26bの幅以上の半径(1.75mm)を有する円形状の扇形(半円)状に形成されている。
なお、上端部24、下端部25およびばね部26の径方向の厚みは、1.3mmである。また、上端部24および下端部25の幅(高さ)は1.0mmである。
このため、第一実施形態では1つのばね部23に2つの折り返し部分26aを設けた。
そのため、第一実施形態では、樹脂ばね23の自由状態での高さを、連結ポジションにおける樹脂ばね23の高さと等しい12.3mmとした。
樹脂ばね23の最大反発力は3〜35Nとなるようにするのが好ましい。3N未満では反発力が不足し、使用者が意図せずにスライドリング19を押し下げる誤作動のおそれがある。8N以上になるようにするのがより好ましく、12N以上になるようにするのが特に好ましい。
また、35Nより大きくなってしまうと、女性や老人など力の弱い人にとって押し下げることが難しくなってしまう。30N以下になるようにするのがより好ましく、20N以下になるようにするのが特に好ましい。
また、樹脂ばね23が耐久しうる最大応力は101.1MPaになる。
また、図7(d)に示すように、連結ポジションでスライドツメ部20嵌入する誘導凹部27の下には、やや上方を向くように傾けた誘導面28が延設されている。この誘導面28も、軸方向(上下方向)に対して約22度の傾斜を有している。
この隙間は、0.01〜0.2mmに設定することが好ましい。0.01mm未満にすると、実質的に隙間がなくスライドツメ部20と誘導面28とが干渉してしまい、摩擦抵抗が発生してスライドリング19を連結ポジションに戻せなくなるおそれがある。0.05mm以上にするのがより好ましく、0.07mm以上にするのが特に好ましい。
また、0.2mmよりも大きくすると、スライドツメ部20を連結ポジションから下げ始めたときに後述のように付勢力を得ることができなくなるおそれがある。0.15mm以下とするのがより好ましく、0.12mm以下とするのが特に好ましい。
第一実施形態では、0.1mmの隙間を設けた。
誘導面28および誘導面28より下の外周面は、スライドツメ部20先端の径方向最も内側の部分よりも外側に膨出している。
スライドリング19を連結ポジションから2mm以上押し下げた位置では、スライドツメ部20が自由状態よりも径方向外側に0.7mm変形し、このときに当接面に働く弾性力は5.5Nとなる。
また、20Nより大きくなってしまうと、女性や老人など力の弱い人にとって押し下げることが難しくなってしまう。15N以下になるようにするのがより好ましく、10N以下になるようにするのが特に好ましい。
第一実施形態では、樹脂ばね23による反発力と、スライドツメ部20による反発力との協働により、SUS等の金属を材料とした従来のコイルスプリングと同等の反発力を、より安価な樹脂によって達成することができる。
ここで、コネクター本体9およびスライドリング19はともにABS樹脂から成形されるので、ABS樹脂材/ABS樹脂材間の動摩擦係数μ=0.4となり、tan−10.4=21.8度となる。
したがって、スライドツメ部20と誘導面28との当接面の角度が22度である第一実施形態では、スライドツメ部20が上方へスライドするときにスライドツメ部20と誘導面28との当接面に働く摩擦力を、スライドツメ部20の弾性変形によりスライドリング19を上方へ押し上げようとする力が上回る。
もっとも、第一実施形態のようにスライドリング19にスライドツメ部20を設け、コネクター本体9に誘導面28を形成したほうが、スライドリング19ならびにホース継手1を小型化することができるため、より好ましい。
このとき、スライドリング19の変形阻止面21によってアーム部17および抜止ツメ部18の変形が阻止されるため、ニップル5が抜け止めされる。
スライドツメ部20が誘導面28を通過するとき、樹脂ばね23の反発力に加えて、スライドツメ部20が径方向外側に弾性変形し、スライドリング19を上方の連結ポジションへ付勢する力が働く。
また、樹脂ばね23を、上端部24および下端部25の間にジグザグ形状のばね部26を張り渡した形状としたことにより、螺旋形状(コイル形状)に比べて、樹脂ばね23の反発力を大きくすることができる。さらに、射出成形により容易に製造することができ、加工コストを低減させることができる。
第一実施形態では、コネクター本体9の誘導面28が上を向くように傾斜させることで、スライドリング19を上方に付勢したが、樹脂ばねの反発力が強すぎる場合には、図8(a)に示すように、誘導面28の下方に延長誘導面29を設け、この延長誘導面29が下を向くように傾斜させてもよい。
この場合には、スライドリング19を上方にスライドさせると、スライドツメ部20が延長誘導面29の勾配に沿って次第に径方向外側に弾性変形させられ、元の形状に復帰しようとする弾性力が働く。これに対し延長誘導面29から受ける反作用の分力が、スライドリング19を解除ポジションへ押し下げようとする力となる。
この力が樹脂ばね23の反発力を相殺するため、使用者がスライドリング19を解除ポジションにスライドさせるために必要な力を軽減することができる。
この場合には、連結ポジションを除くスライドリング19の可動範囲の全域で、スライドツメ部20の弾性変形により、スライドリング19を連結ポジションへ押し上げようとする力が働く。
この場合には、スライドツメ部20の弾性変形により、スライドリング19の可動範囲の上半分では連結ポジションへ付勢する力が働くため、樹脂ばね23の変形量が小さく反発力が弱い連結ポジション付近において付勢力を補うことができる。また、スライドリング19の可動範囲の下半分では解除ポジションへ付勢する力が働くため、樹脂ばね23の変形量が大きく反発力が強い連結ポジション付近において、使用者がスライドリング19を解除ポジションにスライドさせるために必要な力を軽減することができる。
また、可動範囲の中間では、スライドリング19が連結ポジションか解除ポジションかのいずれかに付勢されるため、スライドリング19が半端な位置で停止してしまうことを防止することができる。
2 ホース側部材
3 装置側部材
4 蛇口取付部
4a ネジ孔
5 ニップル
6 抜止溝
7 係止突出部
8 シールリング
9 コネクター本体
10 受け口
11 環状溝部
12 ツメ用開口
13 パッキン
14 ばね台座
15 抜止部材
16 環状基部
17 アーム部
18 抜止ツメ部
19 スライドリング
20 スライドツメ部
21 変形阻止面
22 逃がし凹部
23 樹脂ばね
24 上端部
25 下端部
26 ばね部
26a 折り返し部分
26b 線状部分
27 誘導凹部
28 誘導面
29,30,31 延長誘導面
32 ホース接続管
33 ホース保持リング
34 ロックナット
40 散水ノズル
41 ホースリール
Claims (6)
- ホースに接続されるホース側部材と、他の装置に接続される装置側部材とを着脱可能に連結するホース継手において、
上記装置側部材は上方から上記ホース側部材に差し込まれるニップルを有し、
上記ホース側部材は、上記ニップルを受ける受け口を有する略円筒状に形成されるとともに周面にツメ用開口を形成したコネクター本体と、上記コネクター本体の外周に嵌合される部材であって径方向に弾性変形可能で上記ツメ用開口から上記コネクター本体内に突出する抜止ツメ部を有する抜止部材と、上記コネクター本体の外周に軸方向にスライド可能に取り付けられる略円筒状のスライドリングと、上記スライドリングを連結ポジションへ軸方向に付勢する付勢部材とを有し、
上記スライドリングの連結ポジションで上記ニップルを上記受け口へ差し込むと、上記スライドリングが上記抜止ツメ部の弾性変形を阻止し、上記抜止ツメ部が上記ニップルを抜け止めし、
上記付勢部材に抗して上記スライドリングを解除ポジションにスライドさせると、上記抜止ツメ部が径方向に弾性変形して上記ニップルを抜き出すことができ、
上記スライドリングまたは上記コネクター本体の一方から他方に向かって突出し、径方向に弾性変形可能な舌片状のスライドツメ部を形成し、
上記スライドリングまたは上記コネクター本体の他方には、上記スライドツメ部が当接して弾性変形しながら軸方向にスライド可能な誘導面を形成したことを特徴とするホース継手。 - 上記付勢部材が、上記スライドリング側に当接するスライドリング側端部と、上記コネクター本体側に当接する本体側端部と、上記スライドリング側端部および上記本体側端部の間に張り渡された形状のばね部とを有する樹脂製の樹脂ばねであることを特徴とする請求項1記載のホース継手。
- 上記ばね部が、上記スライドリング側端部および上記本体側端部の間に張り渡されたジグザグ形状に形成されることを特徴とする請求項2記載のホース継手。
- ジグザグ形状の上記ばね部の折り返し部分が、上記ばね部の線状部分の幅以上の半径を有する円形状を含む形状に形成されることを特徴とする請求項3記載のホース継手。
- 上記誘導面は、上記連結ポジションにおいて上記スライドツメ部が位置する部分が相対的に径方向内側に凹んでいるとともに、上記スライドリングを上記連結ポジションから上記解除ポジションへスライドさせる際に上記スライドツメ部が当接する上記誘導面の少なくとも一部が、当接する上記スライドツメ部を弾性変形させることにより上記スライドリングを上記連結ポジションの側へ付勢するように、軸方向に対して傾斜した勾配を有することを特徴とする請求項1記載のホース継手。
- 請求項1から請求項5までのいずれかに記載のホース継手を備えたことを特徴とする散水装置。
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