JP5757602B2 - 不斉選択性の切り替えが可能なクロマトグラフィー用充填剤 - Google Patents
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Description
R1及びR1’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1−6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、又は*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基又は−R7−(O−R8)n1−(ここで、R7は、C1−4アルキレン基を示し、R8は、C1−4アルキレン基を示し、n1は、1乃至3の整数を示す。)を示し、R6は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)を示し;
R2は、OR9、SR9、NHCOR9、CONHR9、OCOR9、OCON(R9’)(R9’’)又はCO2R9(ここで、R9は、置換されていてもよいC8−30アルキル基を示し、R9’は、水素原子又は置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、R9’’は、置換されていてもよいC1−30アルキル基を示す。)を示し;
R3、R3’、R4及びR4’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し;且つ
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物(以下、「化合物(I)」又は「光学不活性な化合物(I)」と称する場合がある。)を、光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去することにより、一方向巻きのらせん構造を誘起し、且つ記憶させることができることを見出すと共に、該ポリアセチレン化合物が有機化合物の光学異性体混合物の分離剤として有用であることを見出した。また、このようにして製造した一方向巻きのらせん状ポリアセチレン化合物を、先のらせんキラリティー誘起の際に使用した光学活性な低分子化合物の鏡像異性体又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させることにより、らせんの巻き方向を反転させることができることも初めて見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 一方向巻きのらせん構造を有するポリアセチレン化合物の製造方法であって、式(I):
R1及びR1’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1−6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、又は*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基又は−R7−(O−R8)n1−(ここで、R7は、C1−4アルキレン基を示し、R8は、C1−4アルキレン基を示し、n1は、1乃至3の整数を示す。)を示し、R6は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)を示し;
R2は、OR9、SR9、NHCOR9、CONHR9、OCOR9、OCON(R9’)(R9’’)、又はCO2R9(ここで、R9は、置換されていてもよいC8−30アルキル基を示し、R9’は、水素原子又は置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、R9’’は、置換されていてもよいC1−30アルキル基を示す。)を示し;
R3、R3’、R4及びR4’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し;且つ
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物を、光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去する工程を含むことを特徴とする、製造方法。
[2] 一方向巻きのらせん構造を有するポリアセチレン化合物の製造方法であって、式(I):
R1及びR1’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1−6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、又は*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基又は−R7−(O−R8)n1−(ここで、R7は、C1−4アルキレン基を示し、R8は、C1−4アルキレン基を示し、n1は、1乃至3の整数を示す。)を示し、R6は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)を示し;
R2は、OR9、SR9、NHCOR9、CONHR9、OCOR9、又はCO2R9(ここで、R9は、置換されていてもよいC8−30アルキル基を示す。)を示し;
R3、R3’、R4及びR4’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し;且つ
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物を、光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去する工程を含むことを特徴とする、製造方法。
[3] 上記[1]又は[2]に記載の製造方法により得られる一方向巻きのらせん構造を有するポリアセチレン化合物を、上記[1]又は[2]で使用する低分子化合物の鏡像異性体又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該鏡像異性体を除去することにより、らせんの巻き方向を反転させる工程を更に含む、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 低分子化合物が、(R)−(−)−1−フェニルエチルアルコール又は(S)−(+)−1−フェニルエチルアルコールである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 低分子化合物の光学純度が、99%ee以上である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 低分子化合物の光学純度が、40%ee以上である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[7] R1及びR1’が共に*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基を示し、R6は、C1−6アルキル基を示す。)であり、R2がOR9(ここで、R9は、C10−20アルキル基を示す。)であり、R3、R3’、R4及びR4’が共に水素原子である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8] R1及びR1’が共にメトキシメチル基であり、且つR2がドデシルオキシ基である、上記[7]に記載の方法。
[9] R1及びR1’が共に*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基を示し、R6は、C1−6アルキル基を示す。)であり、R2がOCON(R9’)(R9’’)(ここで、R9’は、水素原子を示し、R9’’は、C1−6アルキル基を示す。)であり、R3、R3’、R4及びR4’が共に水素原子である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[10] R1及びR1’が共にメトキシメチル基であり、且つR2がブチルカルバモイルオキシ基である、上記[9]に記載の方法。
[11] 低分子化合物又はその鏡像異性体の除去が、メタノール洗浄により行われる、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の方法により製造されることを特徴とする、一方向巻きのらせん構造を有するポリアセチレン化合物。
[13] 上記[12]に記載のポリアセチレン化合物からなる光学異性体分離剤。
[14] 上記[13]に記載の光学異性体分離剤を担体にコーティングしてなる充填剤。
[15] 担体がシリカゲルである、上記[14]に記載の充填剤。
[16] 上記[14]又は[15]に記載の充填剤を充填して調製されるキラルカラム。
[17] 光学異性体の混合物の純度測定用又は分離用として使用する、上記[16]に記載のキラルカラム。
[18] 充填剤を光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去することによる、上記[14]又は[15]に記載の充填剤中のポリアセチレン化合物のらせんの巻き方向を反転させる方法。
[19] キラルカラムに光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液を満たし静置した後、該低分子化合物を除去することによる、上記[16]又は[17]に記載のキラルカラムの充填剤中のポリアセチレン化合物のらせんの巻き方向を反転させる方法。
[20] 一方向巻きのらせん構造を有する式(I):
R1及びR1’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1−6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、又は*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基又は−R7−(O−R8)n1−(ここで、R7は、C1−4アルキレン基を示し、R8は、C1−4アルキレン基を示し、n1は、1乃至3の整数を示す。)を示し、R6は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)を示し;
R2は、OR9、SR9、NHCOR9、CONHR9、OCOR9、OCON(R9’)(R9’’)、又はCO2R9(ここで、R9は、置換されていてもよいC8−30アルキル基を示し、R9’は、水素原子又は置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、R9’’は、置換されていてもよいC1−30アルキル基を示す。)を示し;
R3、R3’、R4及びR4’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し;且つ
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物を、光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去することによる、該ポリアセチレン化合物のらせんの巻き方向を反転させる方法。
[21] 一方向巻きのらせん構造を有する式(I):
R1及びR1’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1−6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、又は*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基又は−R7−(O−R8)n1−(ここで、R7は、C1−4アルキレン基を示し、R8は、C1−4アルキレン基を示し、n1は、1乃至3の整数を示す。)を示し、R6は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)を示し;
R2は、OR9、SR9、NHCOR9、CONHR9、OCOR9、又はCO2R9(ここで、R9は、置換されていてもよいC8−30アルキル基を示す。)を示し;
R3、R3’、R4及びR4’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し;且つ
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物を、光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去することによる、該ポリアセチレン化合物のらせんの巻き方向を反転させる方法。
[22] 低分子化合物の光学純度が、99%ee以上である、上記[20]又は[21]に記載の方法。
[23] 低分子化合物の光学純度が、40%ee以上である、上記[20]又は[21]に記載の方法。
[24] 式(Ia):
R1a及びR1a’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1−6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、又は*−R5a−O−R6a(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5aは、C1−4アルキレン基又は−R7a−(O−R8a)n0−(ここで、R7aは、C1−4アルキレン基を示し、R8aは、C1−4アルキレン基を示し、n0は、1乃至3の整数を示す。)を示し、R6aは、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)を示し;
R2aは、OCON(R9a’)(R9a’’)(ここで、R9a’は、水素原子又は置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、R9a’’は、置換されていてもよいC1−30アルキル基を示す。)を示し;
R3a、R3a’、R4a及びR4a’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し;且つ
n’は、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物。
[25] R1a及びR1a’が共にメトキシメチル基であり、且つR2aがブチルカルバモイルオキシ基である、上記[24]に記載の化合物。
化合物(I)は、下記式(I):
で表されるポリアセチレン化合物である。
[化合物(I−0)]
R1及びR1’が、ともに*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基を示し、R6は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)であり;
R2が、OR9、NHCOR9、及びCONHR9(ここで、R9は、置換されていてもよいC10−20アルキル基を示す。)からなる群より選択される基であり;
R3、R3’、R4及びR4’が、全て水素原子であり;並びに
nが、10以上の整数である、化合物(I)。
R1及びR1’が、ともに*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基を示し、R6は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)であり;
R2が、OCON(R9’)(R9’’)(ここで、R9’は、水素原子を示し、R9’’は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)であり;
R3、R3’、R4及びR4’が、全て水素原子であり;並びに
nが、10以上の整数である、化合物(I)。
[化合物(I−1)]
R1及びR1’が、ともにメトキシメチル基であり;
R2が、ドデシルオキシ基であり;
R3、R3’、R4及びR4’が、全て水素原子であり;並びに
nが、10以上10000以下の整数である、化合物(I)。
R1及びR1’が、ともにメトキシメチル基であり;
R2が、n−ブチルカルバモイルオキシ基であり;
R3、R3’、R4及びR4’が、全て水素原子であり;並びに
nが、10以上10000以下の整数である、化合物(I)。
化合物(I)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下の製造法1又は製造法2に示されるような反応を経て合成することができる。
(製造法1)
当該工程は、鈴木−宮浦カップリング、根岸カップリング、熊田−玉尾カップリング、Stilleカップリング等の反応条件に従い、式1で表される化合物(以下、化合物1と略称する。)と式2で表される化合物(以下、化合物2と略称する。)とを縮合させることにより、式3で表される化合物(以下、化合物3と略称する。)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、金属触媒を用いて行われる。
該金属触媒の使用量は、化合物1(1当量)に対して、通常0.001〜1当量である。
該塩基の使用量は、化合物1(1当量)に対して、通常0.1〜10当量である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
当該工程は、化合物3のベンジルオキシ基を加水素分解することによりヒドロキシ基へと変換する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、水素雰囲気下、金属触媒を用いて行われる。
該金属触媒の使用量は、化合物3(1当量)に対して、通常0.01〜10当量である。
反応時間は、通常0.5〜100時間である。
当該工程は、化合物3の脱ベンジル体のヒドロキシ基をトリフルオロメタンスルホニル化することにより、化合物4へと変換する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、塩基存在下、トリフルオロメタンスルホン化剤を用いて行われる。
該トリフルオロメタンスルホン化剤の使用量は、化合物3(1当量)に対して、通常1〜5当量である。
該塩基の使用量は、化合物3(1当量)に対して、通常1〜10当量である。
反応時間は、通常0.5〜24時間である。
当該工程は、化合物4のトリフルオロメタンスルホニルオキシ基(以下、トリフラートと称する場合もある。)を薗頭カップリング条件下でトリメチルシリルエチニル基に置換して、化合物5へと変換する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、塩基存在下、金属触媒を用いて行われる。
該金属触媒の使用量は、化合物4(1当量)に対して、通常0.001〜1当量である。
該塩基は、溶媒として使用することもでき、該塩基の使用量は、化合物4(1当量)に対して、通常10〜1000当量である。
反応時間は、通常0.5〜24時間である。
当該工程は、化合物5のトリメチルシリル基を除去することにより、化合物6へと変換する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、塩基を用いて行われる。
該塩基の使用量は、化合物5(1当量)に対して、通常1〜10当量である。
反応時間は、通常0.5〜24時間である。
当該工程は、化合物6を重合させることにより、化合物(I)へと変換する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、窒素雰囲気下、塩基存在下で金属触媒を用いて行われる。
該金属触媒の使用量は、化合物6(1当量)に対して、通常0.00001〜0.1当量、好ましくは、0.001〜0.05当量である。
該塩基は、共溶媒として使用することもでき、該塩基の使用量は、化合物6(1当量)に対して、通常1〜1000当量である。
反応時間は、通常0.5〜24時間である。
(製造法2)
当該工程は、化合物7のヒドロキシ基をトリフルオロメタンスルホニル化することにより、化合物8へと変換する工程である。
本工程は、前記製造法1の工程3と同様の反応条件下で行うことができる。
当該工程は、化合物8のトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を薗頭カップリング条件下でトリイソプロピルシリル(TIPS)エチニル基に置換して、化合物9へと変換する工程である。
本工程は、前記製造法1の工程4と同様の反応条件下で行うことができる。
当該工程は、化合物9のX1をボロン酸ピナコールエステル基に置換して、化合物10へと変換する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、窒素雰囲気下、ビス(ピナコラト)ジボロン及び塩基存在下で金属触媒を用いて行われる。
該金属触媒の使用量は、化合物9(1当量)に対して、通常0.001〜1当量である。
該塩基の使用量は、化合物9(1当量)に対して、通常1〜10当量である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
当該工程は、鈴木−宮浦カップリングの反応条件に従い、化合物10と化合物11とを縮合させることにより、化合物12を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、金属触媒を用いて行われる。
該金属触媒の使用量は、化合物10(1当量)に対して、通常0.001〜1当量である。
該塩基の使用量は、化合物10(1当量)に対して、通常0.1〜10当量である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
当該工程は、化合物12のトリイソプロピルシリル基を除去する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、フッ化物塩を用いて行われる。
該フッ化物塩の使用量は、化合物12(1当量)に対して、通常1〜10当量である。
反応時間は、通常0.5〜24時間である。
当該工程は、化合物12の脱シリル体のヒドロキシ基を、塩基存在下でアルキル化、アシル化又はカルバモイル化することにより化合物6へと変換する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、塩基存在下、アルキル化剤、アシル化剤又はカルバモイル化剤を用いて行われる。
当該工程は、化合物6を重合させることにより、化合物(I)へと変換する工程である。
本工程は、前記製造法1の工程6と同様の反応条件下で行うことができる。
光学不活性な化合物(I)への固体状態での一方向巻きのらせんキラリティーの誘起は、例えば、以下の方法により行うことができる。
含浸させる時間は、使用する低分子化合物にもよるが、通常、数分間から1時間である。
本発明の化合物(I)のらせんの巻き方向を固体状態で反転させるには、前記した一方向巻きのらせんキラリティーの誘起方法と同様の方法により行うことができる。
本発明の化合物(I)は、それ自体を光学異性体分離剤として使用することもできるが、通常、多孔質有機担体又は多孔質無機担体等の担体に担持させることが好ましい。
1H及び13C−NMRスペクトルは、JEOL EX270、JEOL LA400、JEOL ECA500を用い、重クロロホルムを溶媒として測定した。1H−NMRについてのデータは、化学シフト(δppm)、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、quint=クインテット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット、brs=ブロードシングレット)、カップリング定数(Hz)、積分及び割当てとして報告する。
フラッシュクロマトグラフィーは、関東化学株式会社(日本、東京)のシリカゲル60Nを用いて行った。
平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(日本分光製高速液体クロマトグラフィーポンプ PU−2080、日本分光製紫外可視検出器 UV−970、日本分光製カラムオーブン CO−1560、Shodex製カラム KF−805L)によりポリスチレン換算で算出した。
調製した本発明の化合物(I)の分離能の測定には日本分光製高速液体クロマトグラフィーポンプPU−2080、日本分光製紫外可視検出器 MD−910、日本分光製旋光検出器 OR−990を用いた。円二色性(CD)測定は日本分光製円二色性分散計 J−725、紫外可視吸収測定は日本分光製紫外可視分光光度計 V−570、赤外吸収測定は、日本分光製赤外分光光度計 FT/IR−460を用いて行った。
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約25℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
化合物(I−1)の合成
1H−NMR(270MHz,CDCl3,rt):δ7.39(d,J=8.7Hz,1H,Ar−H),6.74(d,J=2.7Hz,1H,Ar−H),6.45(dd,J=2.7,8.7Hz,1H,Ar−H),5.23(s,2H,OCH2O),3.91(t,J=6.6Hz,2H,OCH 2 CH2),3.52(s,3H,OCH3),1.76(quint,J=6.6Hz,2H,OCH2 CH 2 ),1.22−1.50(m,18H,9CH2),0.88(t,J=6.3Hz,3H,CH3).
1H−NMR(270MHz,CDCl3,rt):δ7.75(d,J=8.4Hz,1H,Ar−H),6.68(d,J=2.4Hz,1H,Ar−H),6.61(dd,J=2.4,8.4Hz,1H,Ar−H),5.49(s,2H,OH),5.27(s,2H,OCH2O),3.97(t,J=6.6Hz,2H,OCH 2 CH2),3.51(s,3H,OCH3),1.78(quint,J=6.6Hz,2H,OCH2 CH 2 ),1.21−1.50(m,18H,9CH2),0.88(t,J=6.3Hz,3H,CH3).
1H−NMR(270MHz,CDCl3,rt):δ7.32−7.48(m,5H,Ar−H),7.14(d,J=5.1Hz,1H,Ar−H),7.11(d,J=5.1Hz,1H,Ar−H),6.90(d,J=2.7Hz,1H,Ar−H),6.79(d,J=2.1Hz,1H,Ar−H),6.67(dd,J=2.7,8.6Hz,1H,Ar−H),6.60(dd,J=2.7,8.6Hz,1H,Ar−H),5.07(s,2H,CH2Bn),5.05(s,2H,OCH2O),5.04(s,2H,OCH2O),3.96(t,J=6.6Hz,2H,OCH 2 CH2),3.35(s,6H,OCH3),1.79(quint,J=6.6Hz,2H,OCH2 CH 2 ),1.40−1.51(m,2H,CH2),1.19−1.39(m,16H,8CH2),0.88(t,J=6.9Hz,3H,CH3).
1H−NMR(270MHz,CDCl3,rt):δ7.11(d,J=8.4Hz,1H,Ar−H),7.07(d,J=8.4Hz,1H,Ar−H),6.78(d,J=2.4Hz,1H,Ar−H),6.73(d,J=2.4Hz,1H,Ar−H),6.60(dd,J=2.4,8.4Hz,1H,Ar−H),6.52(dd,J=2.4,8.4Hz,1H,Ar-H),5.53(brs,1H,OH),5.05(s,2H,OCH2O),5.04(s,2H,OCH2O),3.96(t,J=6.6Hz,2H,OCH 2 CH2),3.36(s,3H,OCH3),3.35(s,3H,OCH3),1.79(quint,J=6.6Hz,2H,OCH2 CH 2 ),1.40−1.51(m,2H,CH2),1.22−1.39(m,16H,8CH2),0.88(t,J=6.6Hz,3H,CH3).
1H−NMR(270MHz,CDCl3,rt):δ7.28(d,J=8.7Hz,1H,Ar-H),7.15(d,J=2.4Hz,1H,Ar-H),7.10(d,J=8.7Hz,1H,Ar-H),6.96(dd,J=2.4,8.4Hz,1H,Ar-H),6.80(d,J=2.4Hz,1H,Ar-H),6.61(dd,J=2.4,8.4Hz,1H,Ar-H),5.08(s,2H,OCH2O),5.06(s,2H,OCH2O),3.97(t,J=6.6Hz,2H,OCH 2 CH2),3.38(s,3H,OCH3),3.33(s,3H,OCH3),1.79(quint,J=6.6Hz,2H,OCH2 CH 2 ),1.40−1.52(m,2H,CH2),1.22−1.34(m,16H,8CH2),0.88(t,J=6.6Hz,3H,CH3).
1H−NMR(270MHz,CDCl3,rt):δ7.30(s,1H,Ar−H),7.09−7.17(m,3H,Ar−H),6.77(d,J=2.1Hz,1H,Ar−H),6.60(dd,J=2.7,8.4Hz,1H,Ar−H),5.06(s,2H,OCH2O),5.03(s,2H,OCH2O),3.96(t,J=6.6Hz,2H,OCH 2 CH2),3.36(s,3H,OCH3),3.32(s,3H,OCH3),1.79(quint,J=6.6Hz,2H,OCH2 CH 2 ),1.24−1.52(m,18H,9CH2),0.88(t,J=6.9Hz,3H,CH3),0.25(s,9H,TMS).
mp:37.8−38.6℃;
IR(KBr,cm−1):3241(≡CH),2106(C≡C);
1H−NMR(400MHz,CDCl3,rt):δ7.34(s,1H,Ar−H),7.19(s,2H,Ar−H),7.12(d,J=8.5Hz,1H,Ar−H),6.80(d,J=2.2Hz,1H,Ar−H),6.61(dd,J=8.5,2.4Hz,1H,Ar−H),5.06(s,2H,OCH2O),5.05(s,2H,OCH2O),3.97(t,J=6.5Hz,2H,OCH 2 CH2),3.36(s,3H,OCH3),3.34(s,3H,OCH3),3.08(s,1H,CH),1.79(quint,J=6.8Hz,2H,OCH2 CH 2 ),1.50−1.43(m,2H,CH2),1.24−1.39(m,16H,8CH2),0.88(t,J=6.8Hz,3H,CH3);
13CNMR(125MHz,CDCl3,rt):δ160.12,155.83,154.96,131.89,131.72,130.29,125.82,121.99,120.65,119.23,107.28,102.94,95.37(2C),83.81,77.12,68.23,56.10(2C),32.07,29.82,29.79,29.76,29.75,29.58,29.51,29.47,26.24,22.85,14.27.
化合物(I−2)の合成
IR(KBr,cm−1):3241(≡CH),2106(C≡C),1712(C=O);
1H−NMR(500MHz,CDCl3,rt):δ7.35(s,1H,Ar−H),7.21−7.16(m,3H,Ar−H),7.02(d,J=1.8Hz,1H,Ar−H),6.86(dd,J=8.5,2.1Hz,1H, Ar−H),5.06(s,4H,OCH2O),5.00(t,1H,NH),3.35(d,J=2.7Hz,6H,OCH3),3.29(dd,J=13.3,6.9Hz,2H,NCH2),3.08(s,1H,C≡C−H),1.61−1.54(m,2H,CH2),1.41(m,2H,CH2),0.96(t,J=7.3Hz,3H,CH3).
13C−NMR(125MHz,CDCl3,rt):δ155.22,154.70,154.40,151.37,131.51,131.30,129.53,125.60,125.02,122.22,118.85,114.80,109.08,95.09,95.08,83.52,77.13,55.95,53.42,40.95,31.87,19.89,13.72.
IR(KBr,cm−1):1720(C=O);
1H−NMR(500MHz,CDCl3,50℃):δ6.93−6.84(br,4H,Ar−H),6.58(br,1H,Ar−H),6.40(br,1H,Ar−H),5.97(br,1H,C≡C−H),5.23(br,1H,NH),4.74(br,4H,OCH2O),3.20(br,2H,NCH2),3.05(br,6H,OCH3),1.52−1.30(br,4H,2CH3),0.88(t,3H,CH3).
光学不活性な化合物(I−1)への一方向巻きのらせんキラリティーの誘起と記憶
化合物(I−1)のヘキサン溶液に光学的に純粋なアルコール((S)−(+)−1−フェニルエチルアルコール)を800当量添加し、当該溶液のCDおよびUVスペクトルを測定した(装置:日本分光(株)製JASCOJ−725、V−570、セル長:0.1cm、測定温度:−10℃、試料(化合物(I−1))濃度:1.0mM)(図2の(a))。その結果、主鎖の吸収領域に明確なコットン効果が観測され、これにより化合物(I−1)に一方向巻きのらせん構造が誘起されたことが示唆された。
前記処理により一方向巻きのらせん構造が誘起された化合物(I−1)のヘキサン溶液を−10℃以下の低温下でメタノールに再沈殿し、光学的に純粋なアルコールとの混合溶液から化合物(I−1)のみを回収した。回収した化合物(I−1)を再びヘキサンに溶解させ、CDおよびUVスペクトルを測定したところ、化合物(I−1)と光学的に純粋なアルコールとの混合溶液時と同様の誘起CDが観測された(図2の(b))。これにより、化合物(I−1)に誘起された一方向巻きのらせん構造は、光学的に純粋なアルコールの除去後も記憶として化合物(I−1)に保持されることが確認された。
(1)光学不活性な化合物(I−1)への固体状態での一方向巻きのらせんキラリティーの誘起
キラルカラムの調製と不斉識別能評価
(i−1)光学不活性な化合物(I−1)を担持させたカラムの調製
実施例1と同様の方法で合成した光学不活性な化合物(I−1)(480mg)をヘキサン(30mL)に溶解し、HPLC用のシリカゲル(ダイソー製:粒径3μm)に担持した(担持率:16wt%)。得られたポリマー担持ゲルをスラリー法(溶媒:メタノール)により長さ25cm、内径0.20cmのステンレスカラムに充填した。
(ii−1)充填剤への一方向巻きのらせん構造誘起
前記(i−1)により調製したカラムに光学的に純粋な(R)−(−)−1−フェニルエチルアルコール/アセトン(1/1(v/v))を送液し、カラム内を満たした。50℃で10分間、25℃で10分間静置した後、メタノールを流し、カラム内をメタノール置換して、光学的に純粋な(R)−(−)−1−フェニルエチルアルコールを除去することによりカラムAを調製した。
実施例2と同様の方法で合成した光学不活性な化合物(I−2)(200mg)をTHF(6mL)に溶解し、HPLC用のシリカゲル(800mg、ダイソー製:粒径7μm)に担持した(担持率:20wt%)。
(ii−2)充填剤への一方向巻きのらせん構造誘起
前記(i−2)により調製したポリマー担持シリカゲルを(R)−(−)−1−フェニルエチルアルコールに浸漬し、60℃で静置した。30分後、充填剤をエタノールで洗浄し、(R)−(−)−1−フェニルエチルアルコールを除去した。得られたキラル充填剤をスラリー法(溶媒:ヘキサン)により長さ25cm、内径0.20cmのステンレスカラムに充填し、カラムA’を作製した。
(i)上記(1)(ii−1)の操作で調製されたカラムAを用いて、trans−スチルベンオキシドの光学分割をHPLCにより行った(カラム温度:約0℃)。溶離液にはメタノール/水=75/25(v/v)を用いて、流速は0.025mL/分とした。また、溶離液がカラムを素通りする時間t0はアセトンの溶出時間から求めた。その結果、k1’=3.66(+)、α=1.10と見積もられた(図5)。
(ii)上記(1)(ii−2)の操作で得られたカラムA’を用いて、様々な化合物のラセミ体の光学分割をHPLCにより行った。その結果を表1にまとめて示した。図6に2,2’−ジヒドロキシ−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニルの分割クロマトグラムを示した。溶離液にはヘキサン/2−プロパノール=97/3(v/v)を用いて、流速は0.2mL/分とした。また、溶離液がカラムを素通りする時間t0は1,3,5−トリ−tert−ブチルベンゼンの溶出時間から求めた。
(i)上記(1)(ii−1)の操作で調製されたカラムAに光学的に純粋な(S)−(+)−1−フェニルエチルアルコール/アセトン(1/1(v/v))を送液し、カラム内を満たした。50℃で10分間、25℃で10分間静置した後、メタノールを流し、カラム内をメタノール置換して、光学的に純粋な(S)−(+)−1−フェニルエチルアルコールを除去することによりカラムBを調製した。カラムBを用いて、trans−スチルベンオキシドの光学分割をHPLCにより行った(カラム温度:約0℃)。溶離液にはメタノール/水=75/25(v/v)を用いて、流速は0.025mL/分とした。また、溶離液がカラムを素通りする時間t0はアセトンの溶出時間から求めた。その結果、k1’=3.59(−)、α=1.10と見積もられた(図7)。
(ii)上記(1)(i−2)の操作で調製されたキラル充填剤を(S)−(+)−1−フェニルエチルアルコールに浸漬し、80℃で静置した。3時間後、充填剤をエタノールで洗浄し、(S)−(+)−1−フェニルエチルアルコールを除去した。得られたキラル充填剤をスラリー法(溶媒:ヘキサン)により長さ25cm、内径0.20cmのステンレスカラムに充填し、カラムB’を作製した。カラムB’を用いて、2,2’−ジヒドロキシ−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニルの光学分割をHPLCにより行った。溶離液にはヘキサン/2−プロパノール=97/3(v/v)を用いて、流速は0.2mL/分とした。また、溶離液がカラムを素通りする時間t0は1,3,5−トリ−tert−ブチルベンゼンの溶出時間から求めた。その結果、k1=1.11(+)、α=1.17と見積もられ、各光学異性体の溶出順序が逆転したことが確認された。
低い光学純度の低分子化合物を用いる一方向巻きのらせんキラリティーの誘起と誘起されたらせんキラリティーの記憶(非線形効果の確認)
Claims (23)
- 一方向巻きのらせん構造を有するポリアセチレン化合物の製造方法であって、式(I):
R1及びR1’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1−6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、又は*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基又は−R7−(O−R8)n1−(ここで、R7は、C1−4アルキレン基を示し、R8は、C1−4アルキレン基を示し、n1は、1乃至3の整数を示す。)を示し、R6は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)を示し;
R2は、OR9、SR9、NHCOR9、CONHR9、OCOR9、OCON(R9’)(R9’’)、又はCO2R9(ここで、R9は、置換されていてもよいC8−30アルキル基を示し、R9’は、水素原子又は置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、R9’’は、置換されていてもよいC1−30アルキル基を示す。)を示し;
R3、R3’、R4及びR4’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し;且つ
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物を、光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去する工程を含むことを特徴とする、製造方法。 - 請求項1記載の製造方法により得られる一方向巻きのらせん構造を有するポリアセチレン化合物を、請求項1で使用する低分子化合物の鏡像異性体又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該鏡像異性体又は異なる種類の光学活性低分子化合物を除去することにより、らせんの巻き方向を反転させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
- 低分子化合物が、(R)−(−)−1−フェニルエチルアルコール又は(S)−(+)−1−フェニルエチルアルコールである、請求項1又は2に記載の方法。
- 低分子化合物の光学純度が、99%ee以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 低分子化合物の光学純度が、40%ee以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- R1及びR1’が共に*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基を示し、R6は、C1−6アルキル基を示す。)であり、R2がOR9(ここで、R9は、C10−20アルキル基を示す。)であり、R3、R3’、R4及びR4’が共に水素原子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- R1及びR1’が共にメトキシメチル基であり、且つR2がドデシルオキシ基である、請求項6に記載の方法。
- R1及びR1’が共に*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基を示し、R6は、C1−6アルキル基を示す。)であり、R2がOCON(R9’)(R9’’)(ここで、R9’は、水素原子を示し、R9’’は、C1−6アルキル基を示す。)であり、R3、R3’、R4及びR4’が共に水素原子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- R1及びR1’が共にメトキシメチル基であり、且つR2がブチルカルバモイルオキシ基である、請求項8に記載の方法。
- 低分子化合物又はその鏡像異性体の除去が、メタノール洗浄により行われる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法により製造されることを特徴とする、一方向巻きのらせん構造を有するポリアセチレン化合物。
- 請求項11に記載のポリアセチレン化合物からなる光学異性体分離剤。
- 請求項12に記載の光学異性体分離剤を担体に担持してなる充填剤。
- 担体がシリカゲルである、請求項13に記載の充填剤。
- 請求項13又は14に記載の充填剤を充填して調製されるキラルカラム。
- 光学異性体の混合物の純度測定用又は分離用として使用する、請求項15に記載のキラルカラム。
- 充填剤を光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去することによる、請求項13又は14に記載の充填剤中のポリアセチレン化合物のらせんの巻き方向を反転させる方法。
- キラルカラムに光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液を満たし静置した後、該低分子化合物を除去することによる、請求項15又は16に記載のキラルカラムの充填剤中のポリアセチレン化合物のらせんの巻き方向を反転させる方法。
- 一方向巻きのらせん構造を有する式(I):
R1及びR1’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1−6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、又は*−R5−O−R6(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5は、C1−4アルキレン基又は−R7−(O−R8)n1−(ここで、R7は、C1−4アルキレン基を示し、R8は、C1−4アルキレン基を示し、n1は、1乃至3の整数を示す。)を示し、R6は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)を示し;
R2は、OR9、SR9、NHCOR9、CONHR9、OCOR9、OCON(R9’)(R9’’)、又はCO2R9(ここで、R9は、置換されていてもよいC8−30アルキル基を示し、R9’は、水素原子又は置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、R9’’は、置換されていてもよいC1−30アルキル基を示す。)を示し;
R3、R3’、R4及びR4’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し;且つ
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物を、光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去することによる、該ポリアセチレン化合物のらせんの巻き方向を反転させる方法。 - 低分子化合物の光学純度が、99%ee以上である、請求項19に記載の方法。
- 低分子化合物の光学純度が、40%ee以上である、請求項19に記載の方法。
- 式(Ia):
R1a及びR1a’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1−6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、又は*−R5a−O−R6a(ここで、*は、酸素原子との結合位置を示し、R5aは、C1−4アルキレン基又は−R7a−(O−R8a)n0−(ここで、R7aは、C1−4アルキレン基を示し、R8aは、C1−4アルキレン基を示し、n0は、1乃至3の整数を示す。)を示し、R6aは、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示す。)を示し;
R2aは、OCON(R9a’)(R9a’’)(ここで、R9a’は、水素原子又は置換されていてもよいC1−6アルキル基を示し、R9a’’は、置換されていてもよいC1−30アルキル基を示す。)を示し;
R3a、R3a’、R4a及びR4a’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を示し;且つ
n’は、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物。 - R1a及びR1a’が共にメトキシメチル基であり、且つR2aがブチルカルバモイルオキシ基である、請求項22に記載の化合物。
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