JP5757483B2 - 抗体性拒絶反応抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、抗体性拒絶反応抑制剤に関する。
近年、医療技術の進歩から臓器移植が一般治療化されつつある。しかし、臓器提供者(ドナー)が圧倒的に不足しており、ABO式血液型の異なるドナーからの移植が安全に施行可能となればドナー不足解決の一助となりえる。
しかしながら、このようなABO式血液型不適合ドナーから臓器移植を行う場合、抗体性拒絶反応という大きな問題がある。すなわち、A型やB型の血液型糖鎖を有する抗原が標的となり抗原抗体反応により移植臓器が廃絶されるのである(これら血液型糖鎖を有する抗原を血液型糖鎖抗原ともいう)。
そのため、多剤併用の免疫抑制法が提案されてはいるが、いずれも治療効果は不確実、一時的なものであるうえ、非特異的であるため免疫機能全般が一様に抑制されてしまい、免疫機能の低下を招くという問題がある。
このような状況の下、抗原抗体反応では各種リンパ球細胞が重要な役割を果たしていることから、これらに着目した検討が行われている。例えば、抗HM1.24抗体がB細胞やT細胞の活性化を抑制するという知見に基づき、T細胞の幼若化やB細胞の抗体産生の抑制を可能にした、リンパ球の活性化抑制剤などが提案されている(特許文献1)。
本発明者らもまた、上述した血液型糖鎖に反応性を示すB細胞について研究を行っており、これまでに血液型糖鎖に反応するレセプター(受容体)はB細胞の中でもB-1細胞に帰属していることや、このB-1細胞の分化がカルシニューリン阻害剤で抑制されること、カルシニューリン阻害剤はペプチド抗原(微生物やウイルス等の一般的な外敵由来の抗原に相当する)に反応するB-2細胞の分化には影響しないことなどを確認している(非特許文献1〜4)。
特許第3552898号公報
Irei T, OhdanH, Ishiyama K, Tanaka Y, et al The persistent elimination of B cells responding to blood groupA carbohydrates by synthetic groupA carbohydrates and B-1 cell differentiation blockade: novel concept in preventing antibody-mediated rejection in ABO-incompatible transplantation. Blood. 110(13):4567-4575.2007. Ohdan H, Zhou W, Tanaka Y, Irei T, et al Evidence of immune tolerance to blood groupantigens in a case of ABO-incompatible pediatric liver transplantation. Am J Transplant. 7(9):2190-4.2007 Zhou W, OhdanH, Tanaka Y, Hara H, et al NOD/SCID mice engrafted with human peripheral blood lymphocytes can be a model for investigating B cells responding to blood groupA carbohydrate determinant. Transpl Immunol. 12(1):9-18.2003 Ohdan H, SwensonKG, Huw S. Gray K,et al Mac-1-Negative B-1b Phenotype of Natural Antibody-Producing Cells, Including ThoseResponding to Galα1,3Gal Epitopesinα1,3-Galactosyltransferase-Deficient Mice.The Journal of Immunology. 165:5518-5529.2000
上記研究結果に基づき、本発明者らは、B細胞を特異的に抑制する抗CD20抗体製剤を用いて既にB-1細胞に分化してしまった細胞を抑制し、B-1細胞の分化をカルシニューリン阻害剤で抑制するという、抗CD20抗体製剤とカルシニューリン阻害剤との併用について検討を進めている。
しかしながら、抗CD20抗体製剤は全てのB細胞に作用し、血液型糖鎖に反応性を示すB-1細胞だけでなく、ペプチド抗原に反応性を示すB-2細胞まで抑制してしまうことから、免疫機能の低下により感染症の増加は避けられないという問題があった。
かかる点に鑑み、本発明では、抗CD20抗体製剤等よりも効果的で、細胞性免疫機能の低下を軽減することのできる、抗体性拒絶反応抑制剤の提供を課題とする。
本発明者らは、natural killer T (NKT)細胞に着目して鋭意研究を行った結果、NKT細胞とB細胞との間のシグナル伝達を阻害することで有効な効果が得られることを見い出した。
すなわち、本発明は、NKT細胞とB細胞との間のシグナル伝達を阻害して抗体の産生を抑制する抗体性拒絶反応抑制剤であって、抗CD1d抗体を含む抗体性拒絶反応抑制剤である。具体的には、前記B細胞にはB-1細胞が含まれており、産生が抑制される前記抗体には糖鎖抗原に対する抗体が含まれている。より詳しくは血液型糖鎖抗原が含まれている。
従って、少なくともA型やB型の血液型糖鎖抗原に対する抗体の産生を抑制することができるので、臓器移植等の際に生じる抗体性拒絶反応を効果的に防ぐことができる。
その一方で、産生が抑制される前記抗体には、ペプチド抗原に対する抗体は含まれない。従って、一般的な外敵由来の抗原に対する抗体の産生は抑制されないので、免疫機能の過剰な低下を軽減できる。
更に、前記抗CD1d抗体がモノクローナル抗体であれば、より効率よく抗体性拒絶反応を抑制することができ、前記抗CD1d抗体がヒト型抗体であれば、ABO式血液型が不適合なドナーからの移植等であっても支障なく移植できるようになり、ドナー不足を大幅に解消できるようになる。
尚、「NKT細胞」とは、NK(ナチュラルキラー)細胞とT細胞の両方のマーカーを有し、自然免疫と獲得免疫を繋ぐ細胞として注目されているリンパ球細胞である。NKT細胞は、その抗原レセプター(invariant T cell antigen receptor:iTCR、ヒトではVα24TCR、マウスではVα14TCR)により、MHCクラスI様分子のCD1dに提示された抗原を認識するとされており、例えばその抗原として糖鎖抗原であるα-ガラクトシルセラミド(α galactosylceramide)が発見されている。NKT細胞は、活性化されるとIFN-γ(interferon-gamma)やIL-4(interleukin-4)を多量に産生し、各免疫系に影響を与えると考えられている。
「B細胞」とは、骨髄で分化成熟するリンパ球細胞であり、所定の刺激により抗体を産生するようになる抗体産生前駆細胞である。表面マーカーとしてCD19,20,21を持つ。B細胞は蛋白抗原に対する抗体産生にかかわる通常のB細胞(B−2細胞)と糖鎖抗原の抗体産生にかかわるB−1細胞に分類される。「B-1細胞」とは、主に腹腔内に存在し、IgMhighCD5+の表面マーカーを有し、T細胞に依存することなく糖鎖抗原に対する抗体の産生を司る細胞である。「抗CD1d抗体」とは、CD1d分子に対する抗体である。
「糖鎖抗原」とは、糖鎖抗原、蛋白抗原、脂質抗原のうちの糖鎖抗原である。糖鎖抗原に対する抗体産生は主にB−1細胞が担うと考えられ、その産生はT細胞非依存性である。「血液型糖鎖抗原」とは、赤血球上の同種抗原として発見された糖鎖抗原である。A、B、O型に分類され、A型はO型抗原にNアセチルガラクトサミンがB型はβガラクトースが結合したものである。血液型糖鎖抗原は赤血球以外の臓器内血管内皮にも発現し、臓器移植の際、血液型糖鎖抗原に対する自然抗体や活性化されたB細胞、形質細胞からの産生抗体により急性抗体性拒絶反応が惹起される。
「モノクローナル抗体」とは、単一の抗原に対する抗体のことである。ひとつのB細胞は、唯一の抗原に対するB細胞レセプターを持ち、抗原刺激後形質細胞に分化し、一種類のみの免疫グロブリンを産生する。抗原刺激により異種形質細胞腫に抗体を産生させた後精製し、モノクローナル抗体を得ることができる。「ヒト型(キメラ)抗体」とは、異種形質細胞腫に産生させたモノクローナル抗体の定常部をヒトの免疫グロブリンの定常部と置き換え、ヒトに投与する際の副作用を大幅に軽減させたものである。
このような抗体性拒絶反応抑制剤は、例えば、マウスの腹腔内に対象成分を投与してテストマウスを得るとともに、他のマウスの腹腔内に抑制すべき抗体成分を投与して対照マウスを得る工程と、前記テストマウス及び前記対照マウスのそれぞれを赤血球で免疫し、抗血液型抗体の産生を測定する工程と、を含むスクリーニング方法によって得ることができる。
以上説明したように、本発明の抗体性拒絶反応抑制剤であれば、例えば、移植時に生じる抗体性拒絶反応のみを特異的に抑制することが可能となるため、生体防御機能を大きく損なうことなく、ABO式血液型が不適合なドナーからの移植や自己免疫疾患の発生抑制などが可能になる。
図1は、本実施形態における作用を説明するための概念図である。 図2は、実施例1における試験結果を示すグラフである。(a)は免疫前を、(b)は免疫2週間後を表している。 図3は、実施例1における試験結果を示すグラフである。(a)は免疫前を、(b)は免疫6週間後を表している。 図4は、実施例2における試験結果を示すグラフである。 図5は、実施例3における試験結果を示すグラフである。(a)は免疫前を、(b)は免疫6週間後を表している。 図6は、実施例3における試験結果を示すグラフである。(a)は免疫前を、(b)は免疫6週間後を表している。 図7は、実施例4における試験結果を示すグラフである。
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本発明者らは、まず、NKT細胞が血液型糖鎖抗原に対する抗体(抗血液型抗体ともいう)の産生に対しても何らかの形で関与している可能性があると考え、その解析を行った。その詳細については実施例1で説明するが、CD1d分子が欠損しているマウス(ノックアウトマウスともいう)と正常なマウスとをヒト赤血球で免疫し、その後の抗血液型抗体の産生を比較した。
その結果、免疫後にはノックアウトマウスの抗血液型抗体の産生が正常なマウスに比べて低下することが確認された。また、正常なマウスでは抗体のクラススイッチ、すなわち免疫グロブリンM(IgM)の出現後にIgGなどの他のアイソタイプの抗体の産生が認められたが、ノックアウトマウスでは全く認められなかった(図2、図3参照)。
従って、NKT細胞は抗血液型抗体の産生に関与しており、抗体のクラススイッチに必須であることが確認された。
次に、このNKT細胞の抗血液型抗体の産生への関与が特異的なものであるか否かを確認するために、NKT細胞の通常のペプチド抗原に対する抗体産生への影響について解析を行った(詳細は実施例2に示す)。具体的には、ノックアウトマウスと正常なマウスとを同種マウス細胞で免疫し、抗アロ抗体産生を比較した。
その結果、ノックアウトマウス及び正常なマウスともに免疫後の抗アロ抗体の産生が認められ、また、抗体のクラススイッチも双方ともに確認された(図4参照)。
従って、NKT細胞のペプチド抗原に対する影響は少ないことが確認された。
以上の結果より、NKT細胞の活性を制御することによって抗血液型抗体の産生を特異的に抑制できる可能性が示唆されたことから、更に本発明者らは、NKT細胞とB細胞との間の最初のシグナル伝達はCD1d分子を介した抗原提示によりなされる点に着目し、NKT細胞とB細胞との間のシグナル伝達を抗CD1d抗体により阻害することによって抗血液型抗体の産生を抑制できるのではないかと考えた。
図1に、そのメカニズムを模式的に表す。図中、符号1はNKT細胞、符号2はB-1細胞、符号3は抗CD1d抗体である。
同図に示すように、B-1細胞2は、CD1d分子4や血液型糖鎖抗原5に反応して結合する抗原レセプター6をその表面に持っており、一方、NKT細胞1は、B-1細胞2のCD1d分子4と反応して結合する抗原レセプター(iTCR)7をその表面に持っている。NKT細胞1とB-1細胞2との間のシグナル伝達は、このiTCR7とCD1d分子4とを介して行われる。尚、CD1d分子4はB-1細胞2に固有のものではなく、B-2細胞にも存在する。
血液型糖鎖抗原5がB-1細胞2に結合すると、CD1d分子4上に抗原提示され、NKT細胞1に抗原情報が伝達され、その後、NKT細胞1とB-1細胞2との協働により抗血液型抗体8の産生が行われるものと考えられる。
そうであれば、同図に示すように、抗CD1d抗体3を付与してCD1d分子4に結合させ、NKT細胞1とB-1細胞2との間のシグナル伝達を阻害させれば、抗血液型抗体8の産生抑制が可能になるはずである。
そこで、本発明者らは、この仮説を検証すべく、抗CD1d抗体を投与したマウス、アイソタイプ抗体(isotype control)を投与したマウスをそれぞれヒトA型赤血球で免疫し、抗AIgM抗体や抗AIgG抗体の産生を経時的に比較した(詳細は実施例3に示す)。
その結果、アイソタイプ抗体を投与したマウスでは通常の抗体産生が認められ、抗CD1d抗体を投与したマウスでは、ノックアウトマウスと同様に抗血液型抗体の産生を抑制する効果や抗体のクラススイッチを抑制する効果が認められた(図5、図6参照)。
従って、抗CD1d抗体を含む抗体性拒絶反応抑制剤を用いてNKT細胞とB細胞との間のシグナル伝達を阻害し、抗体の産生を抑制すれば、通常のペプチド抗原に対する抗体産生を損なうことなく抗血液型抗体の産生を特異的に抑制することが可能になる。
マウスの場合であれば、例えば、既に抗CD1d抗体が市販されているため、その抗CD1d抗体を入手して適宜調整することで簡単にマウス用の抗体性拒絶反応抑制剤を得ることができる。
そして、そのマウス用の抗体性拒絶反応抑制剤を、例えば、マウス1匹当たり抗CD1d抗体が400〜600μg、好ましくは450μgとなるように投与すれば、そのマウスの抗血液型抗体の産生を特異的に抑制することができ、血液型にかかわらず臓器移植することが可能になる。
ヒトの場合であれば、ヒト型のモノクローナル抗体を作成する一連の公知技術を使用して、モノクローナルなヒト型の抗CD1d抗体を作製すればよい。そして、作製したモノクローナルなヒト型の抗CD1d抗体と、定法に従って保存剤や栄養剤等のその他の補助薬剤等とを混合し、例えば注射薬として調整することにより、ヒト用の抗体性拒絶反応抑制剤を得ることができる。
そしてその所定量(例えばマウス1匹を30gとして体重を基に換算すればよい)を投与すれば、A型やB型の抗血液型抗体の産生を特異的に抑制することができ、血液型にかかわらず通常の免疫反応を損なうことなく臓器移植することなどが可能になる。
なおその際には、この抗CD1d抗体は、既にB-1細胞に分化してしまった細胞に対して有効なものであるため、この抗CD1d抗体の投与と併せて、B-0細胞からB-1細胞の分化を抑制するカルシニューリン阻害剤を投与すれば、いっそう効果的であると考えられる。
以上説明したように、本発明の抗体性拒絶反応抑制剤であれば、比較的簡単に実用化できるうえ、その使用によりABO式血液型が不適合なドナー等からも安心して臓器移植ができるようになることが予想されるため、ドナー不足の解消に役立つと考えられる。
(実施例1)
NKT細胞の血液型糖鎖抗原に対する抗体産生への影響を解析するため、Balb/c CD1d−/−マウス(iTCRのリガンドであるCD1dを欠き、NKT細胞が顕著に減少していることが知られているマウス;ノックアウトマウス、n=4)と、比較対照のBalb/c野生種マウス(n=5)とをヒトA型赤血球(8×10/マウス)で免疫し、抗血液型A抗体産生をELISAを用いて測定した。
ヒトA型赤血球の免疫は、血液型がA型の健常人ボランティアから採血し、PBSで2回洗浄後、8×10/mlに希釈してその1mlをマウス腹腔内に投与し1週間隔で2回免疫した。
抗A抗体価のELISAを用いた検出は、ポリスチレン96wellフラットボトムプレート(costar)を5μg/ml A-BSA(bovin serum albumin)(Dextra)、もしくはバックグラウンドコントロールとして5μg/ml BSA(Roche)で4℃、8時間コーティングした。プレートを洗浄後、1%BSAでブロッキングし、希釈マウス血清を各wellに添加して、室温で2時間インキュベーションした。次に、0.25μg/ml抗マウスIgMもしくはIgG−HRP(Southern Biotech)を二次抗体として添加し、室温で1時間インキュベーションした。プレートの洗浄の後、0.1mg/ml O−phenylendiamine(SIGMA)を添加、発色し、マルチプレートリーダー(COLONA)で492nmでの吸光度を測定した。A−BSAコーティングプレートの吸光度より、BSAバックグラウンドプレートの吸光度を引き、その差を抗A抗体価とした(非特許文献1参照)。
その結果を図2、図3に示す。図2のグラフは抗AIgM抗体の抗体量の変化を表しており、(a)は免疫前、(b)は免疫2週間後である。グラフの縦軸は抗体量を、横軸は添加血清の希釈倍数を示している。
(a)のグラフに示されるように、免疫前ではノックアウトマウスと野生種マウスとで抗AIgM自然抗体の抗体量に差は認められなかった。しかし、(b)のグラフに示されるように、野生種マウスでは、免疫後に抗AIgM抗体の抗体量の増加が認められたのに対し、ノックアウトマウスでは、免疫の前後で抗AIgM抗体の抗体量にほとんど変化は認められなかった。
一方、図3のグラフは抗AIgG抗体の抗体量の変化を表しており、(a)は免疫前、(b)は免疫6週間後である。グラフの縦軸は図2と同様に抗体量を、横軸は添加血清の希釈倍数を示している。
(a)のグラフに示されるように、抗AIgG抗体は免疫前にはいずれのマウスでも認められないが、(b)のグラフに示されるように、野生種マウスでは抗AIgG抗体の産生が認められたのに対し、ノックアウトマウスでは抗AIgG抗体の産生は認められなかった。
(実施例2)
NKT細胞の通常のペプチド抗原に対する抗体産生の影響を解析するため、上記ノックアウトマウスと、Balb/c野生種マウス(MHCハプロタイプd)とをそれぞれC57BL/6野生型マウス(MHCハプロタイプb)の胸腺細胞(20×10/マウス)で免疫し、抗アロMHC抗体の産生量をフローサイトメーターを用いて測定した(n=6、比較対照として未処理群:n=3)。
同種MHC抗原の免疫は、C57BL/6野生型マウスの胸腺を摘出、ディッシュで胸腺をすりつぶし、ACK lysingsolution (155 mM NH4Cl, 10 mM KHCO3,1 mM EDTA-2Na, and PBS, pH 7.4)で赤血球を除去、胸腺細胞を単離し199mediumで20×10/mlに希釈、1mlをマウス腹腔内に投与し、1週間隔で2回免疫した。
抗同種MHC抗体(抗MHCハプロタイプb抗体)の検出は、上記方法によりC57BL/6野生型マウスの胸腺細胞を単離、flow cytometery(FCM)medium(PBS containing 0.1% BSA and 0.1% sodiumazide)で10×10/mlとした。1×10cellに対し、被検血漿10μlを添加して4℃で1時間インキュベートした。二次抗体としてanti−mouse IgMもしくはIgG1,2a/b,3−biotinを10μl添加し、4℃で30分インキュベートした。さらにstreptavidin−PEを添加、4℃で15分インキュベートし、FACSCalibur flow cytometer(Becton Dickinson)で解析、mean fluorescein intensity(MFI)を抗体量とした。
その結果を図4に示す。同図中、(a)はIgG1、(b)はIgG2a/b、(c)はIgG3のそれぞれサブクラス別のIgGの抗体量の変化を表しており、縦軸はmean fluorescein intensity(MFI)で抗体量を、横軸は経過期間を示している。
未処理区ではいずれも抗体量に経時的な変化は認められなかったが、抗アロIgG型抗体の産生はノックアウトマウス及び野生型マウスともに正常に認められた。また、各サブクラス間でのクラススイッチにも差は認められなかった。
(実施例3)
NKT細胞とB-1細胞との間のシグナル伝達を抗CD1d抗体で阻害することにより抗血液型抗体の産生を抑制できるか否かを解析するため、Balb/c野生型マウスに抗CD1d抗体(rat anti-mouse CD1d monoclonal antibody、clone:1B1)をマウス1匹当たり450μg腹腔内投与した(テストマウス、n=3)。また、同様にrat IgG2b抗体(isotype control)をマウス1匹当たり450μg腹腔内投与した(対照マウス、n=3)。
24時間後、これらマウスをそれぞれヒトA型赤血球で1週間隔で2回免疫し、抗血液型抗体の産生を前述のごとく、ELISAを用いて測定した。
その結果を図5、図6に示す。
図5のグラフは抗AIgM抗体の抗体量の変化を表しており、(a)は免疫前、(b)は免疫6週間後である。グラフの縦軸は抗体量を、横軸は添加血清の希釈倍数を示している。
(a)のグラフに示されるように、免疫前ではテストマウスと対照マウスとで抗AIgM自然抗体の抗体量に差は認められなかった。しかし、(b)のグラフに示されるように、対照マウスでは、免疫後に抗AIgM抗体の抗体量の増加が認められたのに対し、テストマウスでは、免疫の前後で抗AIgM抗体の抗体量にほとんど変化は認められなかった。
一方、図6のグラフは抗AIgG抗体の抗体量の変化を表しており、(a)は免疫前、(b)は免疫6週間後である。グラフの縦軸は図5と同様に抗体量を、横軸は添加血清の希釈倍数を示している。
同図の各グラフに示されるように、対照マウスでは抗AIgG抗体が免疫後に増加(産生)し、クラススイッチが認められたのに対し、テストマウスでは免疫後にも抗AIgG抗体は増加(産生)せず、クラススイッチは認められなかった。
(実施例4)
ヒトの場合においても上述したマウスの場合と同様の効果が得られることを確認するため、ヒトリンパ球キメラマウスを用いて試験を行った。
ヒトリンパ球キメラマウスは、重度複合免疫不全マウス(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Sug/Jic;財団法人 実験動物中央研究所製)を購入し、この重度複合免疫不全マウスに、O型ヒト健常ボランティアから採取した末梢血リンパ球をマウス1匹当たり20×10個腹腔内投与して作製した。
リンパ球投与6日後に、抗CD1d抗体(mouse anti-human CD1d monoclonal antibody、clone:CD1d42)をマウス1匹当たり500μg腹腔内投与した(テストマウス、n=3)。また同様に、mouse IgG1抗体(isotype control clone:107.3)をマウス1匹当たり500μg腹腔内投与した(対照マウス、n=4)。なお、本実験ではヒトを対象としているため、ヒトCD1d分子に特異的なモノクローナル抗体を作製して使用した。
リンパ球投与7日後に、ヒトA型赤血球で免疫した(マウス1匹当たり8×10個)。そして、リンパ球投与21日後に、各マウスから脾臓を採取し、脾臓内ヒトCD19B細胞中の抗A型レセプター表出B細胞の存在比率をフローサイトメーターで測定した。その結果を図7に示す。
図7は、ヒトリンパ球キメラマウスの脾臓中における、ヒトCD19B細胞中の抗A型レセプター表出B細胞の存在比率を表している。同図中、黒丸は各固体の値、白丸はその平均値である。
同図に示すように、抗CD1d抗体を投与したテストマウスの脾臓中におけるA型抗原を認識するヒトB細胞は、コントロール抗体を投与した対照マウスの脾臓中と比べ、有意に存在比率が低下していた。すなわち、抗CD1d抗体は、ヒトB細胞の血液型抗原に対する応答についても特異的かつ著明に抑制することが確認された。
マウスやヒト等の臓器移植の他、自己免疫疾患の発生抑制などにも利用できる。
1 NKT細胞
2 B-1細胞
3 抗CD1d抗体
4 CD1d分子
5 糖鎖抗原
6 抗原レセプター
7 iTCR
8 抗体

Claims (5)

  1. 異種移植を対象としない抗体性拒絶反応抑制剤であって
    抗CD1d抗体を含み、
    NKT細胞とB細胞との間のシグナル伝達を前記抗CD1d抗体で阻害することにより、ペプチド抗原に対する抗体の産生を抑制しないで、ヒト由来の血液型糖鎖抗原に対する抗体の産生を特異的に抑制することを特徴とする抗体性拒絶反応抑制剤。
  2. 請求項1に記載の抗体性拒絶反応抑制剤であって、
    前記B細胞がB-1細胞を含む抗体性拒絶反応抑制剤。
  3. 請求項1に記載の抗体性拒絶反応抑制剤であって、
    前記抗CD1d抗体がモノクローナル抗体である抗体性拒絶反応抑制剤。
  4. 請求項3に記載の抗体性拒絶反応抑制剤であって、
    前記抗CD1d抗体がヒト型抗体である抗体性拒絶反応抑制剤。
  5. 請求項1に記載の抗体性拒絶反応抑制剤であって、
    血液型の異なるドナーからの移植に用いられる抗体性拒絶反応抑制剤。
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