JP5757192B2 - 光ファイバ線引き炉 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバ母材を加熱溶融して光ファイバを線引きする光ファイバ線引き炉に関する。
光ファイバは、円柱状の光ファイバ用のガラス母材(以下、光ファイバ母材という)を線引き炉で加熱溶融して垂下延伸させて形成される。光ファイバ母材の加熱溶融には、通常、炉心管の外側に配された円筒状のヒータを用いて行われる。この場合、円筒状ヒータによって、炉心管内の光ファイバ母材を効率よく、且つ均一に加熱されることが要望されている。
例えば、特許文献1には、図4(A1)に示すように、光ファイバ母材2が炉心管3に挿入され、外側の円筒状ヒータ4により加熱される線引き炉において、光ファイバ母材の円錐状に縮径溶融された下端部2aに対応させて縮径させた縮径部3aとすることが開示されている。また、この変形例として、図4(A2)に示すように、光ファイバ母材2の下端部2aと炉心管3との間に、内周が漏斗状となった縮径部材3a’を配することが開示されている。
また、特許文献2には、図4(B)に示すように、光ファイバ母材2が炉心管3に挿入され、外側の円筒状ヒータ4により加熱される線引き炉において、光ファイバ母材の円錐状に縮径溶融された下端部2aが効果的に加熱されるように、炉心管3の加熱部分を縮径した縮径部3aとすることが開示されている。
特開2004−224587号公報 実開昭63−110536号公報
光ファイバの線引きにおいて、光ファイバ母材と炉心管との隙間は通常10mm程度としているが、炉心管の内径が光ファイバの出口の下端まで光ファイバ母材径に合わせた径で均一であると、ヒータで加熱された熱の放散が大きく、熱効率が悪い。このため、例えば図4に示したように、ヒータ近傍部の炉心管を縮径することにより、熱を炉心管内に閉じ込め、熱の放散を抑制し、加熱電力を低減することができる。しかしながら、光ファイバ母材を溶融し光ファイバに線引きする過程で、炉心管内に二酸化ケイ素やカーボンを主成分とする煤が堆積するため、炉心管の内径が小さいと、煤で閉塞しやすくなり、光ファイバの線引きに支障をきたすという問題がある。
本発明は、上述した実状に鑑みてなされたもので、ヒータ加熱による熱を炉心管内に効果的に閉じ込めて、熱放散を抑制すると共に、煤の堆積による影響を低減することができる光ファイバ線引き炉の提供を目的とする。
本発明による光ファイバ線引き炉は、光ファイバ母材を炉心管内に挿入し、炉心管の外側から加熱装置により加熱して光ファイバ母材を溶融して光ファイバを線引きする線引き炉であって、炉心管の内部には、加熱装置の中央位置より下方で内径が縮小され、続いて拡大される縮径部を備えており、縮径部の縮径段部は、内周が漏斗状となっていることを特徴とする。
本発明によれば、炉心管の縮径部により炉心管下方への熱放散を抑制することができると共に、縮径部の下方の拡径部分の内壁に煤が堆積するので、縮径部に煤が溜まりにくく、炉心管内を閉塞するのを防ぐことができる。この結果、加熱電力を軽減することができると共に、煤堆積による線引きへの支障の問題を解決することができる。
本発明による光ファイバ線引き炉の概略を説明する図である。 本発明による炉心管の縮径部について、従来構造との違いを説明する図である。 本発明による炉心管の縮径部についての具体例を説明する図である。 従来技術を説明する図である。
図により本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明が適用される線引き炉の一例を説明するための模式図で、図において、1は線引き炉、2は光ファイバ母材、2aは下端部、2bは光ファイバ、3は炉心管、3aは縮径部、4は円筒状ヒータ、5は断熱材、6は炉筐体、7aは上部筒、7bは下部筒、8はシャッター板を示す。
光ファイバの線引きは、図1に示すように、吊下げ支持される光ファイバ母材2の下部を加熱し、加熱溶融により縮径された下端部2aから光ファイバ2bを溶融垂下させて所定の外径となるように線引きして行われる。このための線引き炉1は、光ファイバ母材2が供給される炉心管3を囲むようにして、加熱用の円筒状ヒータ4を配し、この円筒状ヒータ4の熱が外部に放散されないように断熱材5で囲い、その外側全体を炉筐体6で囲って構成される。
光ファイバ母材2は、母材吊り機構(図示省略)により吊り下げ支持され、光ファイバの線引き進行にしたがって下方に順次移動制御される。炉筐体6は、ステンレス等の耐食性に優れた金属で形成され、中心部に高純度のカーボンで形成された後述する円筒状の炉心管3が配される。炉筐体6の上部には上部筒7aが設けられ、光ファイバ母材2と上部筒7aとの隙間を不活性ガスやシール部材で封止しながら、光ファイバ母材2が導入される。炉内には、炉内カーボン部品の酸化・劣化を防ぐためにヘリウムガスやアルゴンガス等の不活性ガスが流入され、この不活性ガスの大部分は、光ファイバ母材2と炉心管3の隙間を通って、炉筐体6の下部に設けられた下部筒7bを経てシャッター板8の隙間から排出される。
炉筐体6は、断熱材5により円筒状ヒータ4の熱で温度上昇しないようにする以外に、図では省略しているが、冷却水路等を設けて冷却することができる。これにより、炉筐体6は、稼動時においても熱膨張による寸法の変動は実質的にない状態とすることができる。
本発明は、上記構成の線引き炉において、炉心管3の内部に縮径部3aを備えていることを特徴とする。縮径部3aの詳細については後述するが、縮径部3aは、円筒状ヒータ4からなる加熱装置の中央位置より下方、すなわち、円筒状ヒータ4の最も高い温度となる位置より下方とし、さらに光ファイバ母材2が溶融して縮径された下端部2aに接触しない程度の下方に形成される。但し、この縮径部3aは、光ファイバ母材の下端部2aに接触しない範囲で、できるだけ加熱装置に近い上方側に位置する方が、炉心管下方への熱放散を抑制する点では好ましい。
図2は、上述した炉心管の縮径部について説明する図で、図2(A)は図4(A1)で説明した構造と類似した従来の縮径部の例、図2(B)は本発明による縮径部の例である。
円筒状ヒータ4による光ファイバ母材2の加熱は、円筒状ヒータ4により炉心管3が加熱され、その熱が炉心管3の内壁面からの放射熱(輻射熱)と、炉心管内の不活性ガスを媒体とした伝導熱により行われる。この場合、炉心管3の温度分布は、円筒状ヒータ4の中央位置(X−Xライン)の領域が最も高温となり、この領域を中心に光ファイバ母材が溶融される。
図2(A)の構成においては、加熱された炉心管からの放射熱は、炉心管3の径が縮小された縮径段部3bなどに当たって吸収又は反射し、炉心管3の下方への熱放散が抑制され、加熱電力が低減される。しかし、縮径段部3bから下部では、縮径された径で内壁3dが形成されているため、炉心管内で生じた煤9が縮径された内壁3dに沿って堆積し、炉心管内が閉塞しやすくなり、光ファイバの線引きに支障を生じる虞がある。
本発明による図2(B)の構成においても、加熱された炉心管からの放射熱が縮径部3aの径が縮小された縮径段部3bに当たって吸収又は反射し、炉心管3の縮径部3aの下方への熱放散が抑制される点は、図2(A)の場合と同様である。しかし、本発明では、縮径部3aの下方の径を拡大(上方の炉心管内径より小さくてもよい)して、拡径段部3cにより拡径された内壁3dとしている。炉心管内で生じた煤9は、温度の高い部分より、温度の低い部分に堆積し易く、炉心管の下方では、中心部に比べて温度が低くなるため、煤が堆積しやすい。しかし、図2(B)の構成では、炉心管の下方の径を大きくしているため、煤が堆積しても炉心管は詰まりにくく、光ファイバの線引きに支障を生じないようにすることができる。
図3は、本発明による縮径部の具体例を説明する図で、図3(A)は、炉心管の厚さを均一にした例を示し、図3(B)は炉心管の外径を均一にした例を示している。
図3(A)において、炉心管3の縮径部3aは、縮径段部3bと拡径段部3cを有し、その縮径内径Dは、小さいほど熱放散を抑制することができる。基本的には溶融垂下する光ファイバが接触しない径を有していればよいが、光ファイバ母材2の線引き開始時には、落とし種と呼ばれるガラスの塊を溶融落下させる必要があるため、ある程度の大きさの内径は必要である。落とし種の大きさは、光ファイバ母材の太さや形状(下端部を予め円錐状に加工したもの)等により異なるが、5〜30mm程度の径になる。したがって、使用する線引き用光ファイバ母材や熱放散性を考慮すると、縮径内径Dは、20〜100mm、好ましくは20〜50mm程度とされる。
縮径部3aの長さLは、円筒状ヒータの熱放散の抑制が縮径段部3bと縮径内径Dにより行われることから、それほど長くする必要はない。逆に、Lが長いと、下方部の温度が低くなった箇所で煤が堆積し、炉心管が詰まるという問題が生じる。したがって、縮径部3aの長さLは、20mm〜30mm程度とすることが好ましい。
また、縮径部3aの径を縮小する縮径段差3bは、図4(A2)で説明したのと同様な内周が漏斗状に形成され、その縮径開始角θは、熱放散をできるだけ抑制するという観点からは、大きい方が効率的である。すなわち、例えば、縮径開始角θは30°より45°の方が好ましい。しかし、光ファイバ母材の下端部は円錐形状でもあることから、その形状に合わせてもよい。光ファイバ母材の形状に合わせることで、炉内ガスの流れを乱すことなく流すことができる。なお、拡径段差3cの拡径開始角は、熱放散や煤堆積の観点からは特に重要ではなく、適宜設定することができる。
図3(B)は炉心管の外径を均一にし、内部を削り出して図の形状としたものである。図3(B)の場合も、縮径部の縮径内径D、縮径部の長さL、縮径開始角θについては、同じように考えることができる。但し、縮径部3aの部分が図3(A)の構造より肉厚になることから、保温性がよくなり、熱拡散をより抑制することができる。
また、図3(A)及び(B)は、炉心管3の全長を一体に形成した例で説明したが、縮径部3a以下を分割して形成してもよい。この場合、消耗し易い部分を交換することで、コストを抑制することができる。
1…線引き炉、2…光ファイバ母材、2a…下端部、2b…光ファイバ、3…炉心管、3a…縮径部、3b…縮径段部、3c…拡径段部、3d…内壁、4…円筒状ヒータ、5…断熱材、6…炉筐体、7a…上部筒、7b…下部筒、8…シャッター板、9…煤。

Claims (1)

  1. 光ファイバ母材を炉心管内に挿入し、炉心管の外側から加熱装置により加熱して前記光ファイバ母材を溶融して光ファイバを線引きする線引き炉であって、
    前記炉心管の内部には、前記加熱装置の中央位置より下方で内径が縮小され、続いて拡大される縮径部を備えており、前記縮径部の縮径段部は、内周が漏斗状となっていることを特徴とする光ファイバ線引き炉。
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