JP5753181B2 - 防汚性付与皮革 - Google Patents

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Description

本発明は、防汚性付与皮革に関するものである。
カーシートなどの自動車内装部品には表皮素材として天然皮革が用いられている。これは感触や視覚による顧客満足度が高い高級感のある素材として好まれていることによる。
カーシートとして用いられる皮革は、カーシートとして煩雑に使用される環境に耐えるためのカーシートの開発が行われた。皮をなめして皮革とした後に、ベースコート、カラーコート及びトップコート等の皮革の表面に塗装を施して、柔軟性を耐摩耗性などの特性を付与することにより、有効なカーシートなどの自動車内装部品がほぼ完成されているほどに充実したものとなっている。
自動車が多くの人により利用されるに従い、カーシートに対する要求も多様化している。自動車の利用者が着用する被服の染料によるカーシートに付着する汚れ、又は自動車の利用者による自動車内での飲食したコーヒーやケチャップ等による飛沫やこぼれた残渣、使用環境である空気中の塵や埃、自動車の排気ガスの煤(カーボンブラック)等による汚れなどが問題となっている。カーシートに対する対策が必要とされている。
このような要求や対策は皮革の表面を塗装すること、表面に柔軟性を耐摩耗性などの特性を付与することなどとは相違して、防汚性付与皮革として要求されることであり、別個に解決することが要求されている。
この要求に応えるために、防汚性付与皮革の開発が必要とされている。防汚性付与皮革の要求はカーシートに対する要求によっても生じている側面がある。具体的には、従来のカーシートでは維持管理上のために濃色系の色を使用してきた。しかし、最近デザイン上の要求から淡色系の色を用いたカーシートの人気が高く、その対策として汚れが付着しないこと及び汚れが目立たないようにすること、できる限り最初の状態を維持できることが必要となっている。
防汚性付与皮革は、前記したように付着物が付着しにくく、かつ付着したときに離れ易い状態に加工された皮革を意味する。
この防汚性付与皮革としては、トップコート層の表面を特定物質(親水性の強いリン脂質2−メタクリロイルオキシエチレルホスホリルコリン)にレベリング剤を加えた薬剤により、トップコート層の表面をオーバーコートする発明をあげることができる(特許文献10 特開2010−116488号公報)。これはトップコート層の表面を前記薬剤により保護することにより、トップコート層の表面に防汚性を付与するものである。
フッ素化合物によりトップコート層の表面に撥水性を付与する発明がある(特許文献11特開2000−054000号公報、特許文献12 特表2009−520087号公報、特許文献13 特開平08−113800号公報など)。これは付着した汚染物質を水洗浄することにより流して最初の状態に戻す発明である。防汚性付与皮革の特徴である前記の付着物が付着しにくく、かつ付着したときに離れ易い状態に加工されたものであるということができず、その点からは防汚性付与皮革であるということができない。
前記したように本発明では、従来開発した天然皮革のトップコート層に用いられる材料について以下に述べる。
カーシートのトップコート層を形成する材料としては、ポリウレタン樹脂が用いられている。またアクリル樹脂を用いることも検討されている。アクリル樹脂の材料の特性として、付着物が付着しにくく、かつ付着したときに離れ易い物質の特性を有するトップコート層とすることが期待されているものの、自動車内での汚れに対する防汚及び付着した汚れを除去できる特性を求めるトップコート層の発明は見当たらない。
天然皮革のトップコート層に用いられる樹脂としてはアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル又はこれらを含む共重合体を用いることが知られている(特許文献1 特表2008−501830号公報、特許文献2 特開2006−89725号公報、特許文献3 特開平8−48732号公報、特許文献4 特開平6−17100号公報、特許文献5 特開平4―165000号公報、特許文献6 特開昭60−141709号公報、特許文献7 米国特許第4314800号明細書、特許文献8 米国特許第4491645号明細書、特許文献9 米国特許第2746837号明細書)。
トップコート層に用いられる樹脂の塗料であるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル又はこれらを含む共重合体は、強度などの点で優れていることに注目され、この長所を活かしてきたものである。
汚れ付着の原因となるシリカつや消し剤を含まない組成物として含むアクリル系樹脂を利用する発明がある。
カーシートなどの自動車内装部品の表皮素材として天然皮革が用いられており、高級感のある素材として好まれている。
このようなトップコート層に用いられる樹脂である、アクリル樹脂、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなどに対して、防汚性付与皮革とすることが望まれている。
従来発明されてきた天然皮革のトップコート層に防汚性付の特性を与えることを目指した、新しい防汚性付与皮革とすることが必要とされている。
天然皮革は、使用時の条件及び維持管理に十分に注意しないと天然皮革の状態を維持することが困難な点にある。自動車の運転者及び使用者の皮脂が車内のカーシートなどに付着すること、着用している衣類の染料(ジーンズ染料等)がカーシートなどに付着することは避けることができない。車内での飲食物であるコーヒーやケチャップ等による飛沫、また、使用環境である空気中の塵や埃、自動車の排気ガスの煤(カーボンブラック)等による汚れの付着も避けることができない。これらの付着物は付着しやすい性質を有しており、付着した表面から離れ難いという性質を有している。特にカーシートでは維持管理上のために濃色系の色を使用せざるを得ず、デザイン上の要求を満足できない場合があった。淡色系のカーシートにする場合には維持管理の問題が課題となっており、濃色系と同じ程度に天然皮革の状態とすることができるようにすることが要求される。対策には以下の方法が検討されている。
本発明者らは、以下の発明を行った。
アクリル樹脂を中心に形成することを前提とし、自動車内部固有の汚れを対象とする防汚性を有するとともに、付着した汚れを除去しやすい特性を有する、耐摩耗性及び塗膜強度を付与したトップコート層として、アクリル樹脂、アクリルシリカ樹脂及びアクリルポリシロキサン樹脂をあわせて添加し、さらにポリウレタン樹脂成分、イソシアネート架橋剤成分及びシリコーン系触感剤を添加したトップコート層とすることにより、強度の他に自動車内部固有の汚れを対象とする防汚性を有するとともに、付着した汚れを除去しやすい特性を有する、耐摩耗性、及び柔軟性を付与したトップコート層を得ることができることを、本発明者らは実験により確認して発明した(特願2009−092344)。しかしながら、防汚性付与皮革としては、これで十分であるというができない。
特表2008−501830号公報 特開2006−89725号公報 特開平8−48732号公報 特開平6−17100号公報 特開平4―165000号公報 特開昭60−141709号公報 米国特許第4314800号明細書 米国特許第4491645号明細書 米国特許第2746837号明細書 特開2010−116488号公報 特開2000−054000号公報 特表2009−520087号公報、 特開平8−113800号公報
本発明が解決しようとする課題は、天然皮革のコーティング層中のトップコート層について、又従来知られてきたトップコート層又は従来知られていない、トップコート層の表面に新たに設けるオーバーコート層について、アクリル樹脂を中心に樹脂として形成することを前提とし、自動車内部固有の汚れに対して、さらに一層の防汚性を有するとともに、付着した汚れは、除去しやすい状態で付着している特性を有する、耐摩耗性、及び柔軟性を付与した天然皮革のコーティング層を提供することである。本発明者らの発明では、これでは十分でなく、(1)さらに防汚性能を改善すること、(2)自動車シート用皮革として必要な物性(耐摩耗性等)を維持することを提供することである。
(1)本発明者らは以下の点を改良して塗膜に防汚性を付与した新しい天然皮革を完成させた。この発明では、トップコート層では防汚性があるとされるアクリル樹脂の性能を十分に発揮させて、以下の二つの層を形成した。
(ア)アクリル樹脂(3〜15重量%、固形分)、アクリルシリカ樹脂(15〜20重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(15〜20重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(10〜15重量%、固形分)、ウレタン樹脂(8〜13重量%、固形分)、イソシアネート架橋剤(20〜30重量%、固形分)及びシリコーン系触感剤(8〜15重量%、固形分)(以上固形分合計100重量%)からなる塗膜層を天然皮革のトップコート層として設けたことを特徴とする防汚性付与皮革。
(イ)アクリル樹脂(3〜15重量%、固形分)、アクリルシリカ樹脂(15〜25重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(20〜40重量%、固形分)、ウレタン樹脂(5〜15重量%、固形分)、及びイソシアネート架橋剤(20〜35重量%、固形分)(以上固形分合計100重量%)からなる塗膜層を天然皮革のトップコート層として設けたことを特徴とする防汚性付与皮革天然皮革。
(2)天然皮革の表面にベースコート、及びカラーコートを行い、前記カラーコートの表面に前記のトップコートを形成し、トップコートに防汚性を付与すべく、防汚性のある塗膜を形成することによるものである。これは防汚性付与皮革という点では一定の評価を得ることができた。しかしながら以下の問題点の指摘を受けた。
(3)(ア)防汚性能のさらなる向上は期待できないかという点。
防汚性能の評価は、次のようにして行う。乾燥した状態(ドライ)および濡れた状態(ウェット)のジーンズ生地をサンプルに擦り付けて汚れを付着させ、その後にふき取る。汚れを付着させた後とふき取り後にグレースケールを用いて汚れ度合いを目視判定する。数値が大きいほど汚れていない(防汚性が高い)と判断される。ウェットの汚れ付着後は3級(最高評価は5級)であり、この点を改善してほしい。また、ウェットの拭き取り後の評価は4級から5級で極めて高い状態にあるが、より高い水準の防汚性能を持つ塗膜を開発するためには、さらに厳しい評価方法の導入が必要である。
(イ)耐摩耗性(ワイゼンビーク)の点が十分でない。具体的には、摩擦子を試験片に接触させて往復し、塗膜が剥がれ下地が見えるまでの回数で評価する。この値は防汚性を考えていない皮革と比較して十分ではないので、改善をして欲しい。
(4)前記(ア)の問題点の指摘に対しては、従来のトップコート層の成分及び成分量を改善することで新しいトップコート層を得て、問題の解決をはかることを考えた。
具体的には、ウレタン樹脂を用いることに替えて、防汚性のあるアクリル樹脂との混合であるアクリルウレタン樹脂を多用すること、アクリル樹脂を用いることを検討した。
また、つや消し剤として用いていたシリカつや消し剤は、鋭い凹凸があり汚れ付着の原因となるので、利用をさけ、平滑で防汚性のあるつや消し剤という点から、アクリルポリシロキサン樹脂の利用を検討した。はっ水性を付与することについてはシリコーン触感剤の利用により改善に努めた。
しかし、前記(イ)の問題点に対しては、防汚性を有する塗膜(防汚塗膜)は塗膜強度が弱いため、トップコートとして使うと、従来の高い耐摩耗性を主眼に開発されてきたトップコートに比較して、もろいということを避けることは困難であることがわかった。
そこで、従来通常に用いられている、防汚という点で作用を有していないものの、耐摩耗性という点では優れているトップコート層の表面にオーバーコート層を設けて、オーバーコート層を防汚塗膜とすれば、トップコート層により耐摩耗性を十分に保持すると共に、オーバーコート層は防汚性を有する塗膜とすることにより耐摩耗性が十分でないという点の解決を図ることができると考えた。この解決手段によれば、トップコートにより耐摩耗性は改善されるものの、防汚性能を担うオーバーコート層が摩擦により失われてしまい防汚性能が低下することが危惧されるが、オーバーコート層は、塗膜強度は弱く付着する形で一部が擦り取られずに残り防汚性能を発揮するため問題はない。柔らかいカラーコートの表面にトップコート層として防汚塗膜を形成した場合に比べると、防汚性能の耐久性という点でも有利である。
(5)塗膜成分及びその成分量は種々の組み合わせで解決を図るものであり、以下のタイプのコーティング層について効果があることを見出した。
(6)(ア)従来の架橋剤であるイソシアネート系架橋剤を用いる塗膜層は、以下の通りである。
請求項1のコーティング層は、アクリルシリカ樹脂(13〜19重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜31重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(9〜13重量%、固形分)、ウレタン樹脂(5〜9重量%、固形分)、イソシアネート系架橋剤(20〜26重量%、固形分)及びシリコーン系触感剤(8〜12重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(3〜8重量%)(以上固形分合計100重量%)からなる防汚性付与皮革コーティング層である。
(7)(イ)架橋剤にカルボジイミド系架橋剤を用い、アクリル樹脂を用いないオーバーコート層は、以下の通りである。
請求項2のコーティング層は、 アクリルシリカ樹脂(13〜22重量1%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜35重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(9〜15重量%、固形分)、ウレタン樹脂(6〜10重量%、固形分)、カルボジイミド系架橋剤(6〜15重量%、固形分)、シリコーン系触感剤(9〜13重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(3〜8重量%)(以上固形分合計100重量%)からなる防汚性付与皮革コーティング層。
(8)(ウ)架橋剤にカルボジイミド系架橋剤を用い、アクリル樹脂を用いるコーティング塗膜層は、以下の通りである。
請求項3のコーティング層は、アクリル樹脂(10〜16重量%、固形分)、アクリルシリカ樹脂(13〜22重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜35重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(6〜15重量%、固形分)、ウレタン樹脂(4〜10重量%、固形分)、カルボジイミド系架橋剤(5〜15重量%、固形分)、シリコーン系触感剤(8〜24重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(1〜5重量%)(以上固形分合計100重量%)からなることを特徴とする防汚性付与皮革コーティング層である。
(9)〜(11)前記(6)〜(8)の防汚性付与皮革コーティング層をトップコート層として用いることを特徴とする天然皮革。
(12)〜(14)前記(6)〜(8)の防汚性付与皮革コーティング層をオーバーコート層として用いることを特徴とする天然皮革。
(15)トップコート層の場合も、又オーバーコート層の場合も、従来用いてきたアクリル樹脂又はアクリル樹脂成分を含む樹脂による防汚皮革の防汚性能を改善し、耐摩耗性などの向上をはかることに成功した。具体的には、防汚革の防汚性能(ウェット)は従来の防汚革にくらべ3級から5級(拭き取り後では4級から5級)へ数値が向上し、耐摩耗性はドライ230回から300回以上、ウェット100回から230回へ改善された。
天然皮革のコーティング層としてカラーコート層の表面に新しいトップコート層を設けた。その結果、アクリル樹脂を中心に形成した樹脂からなる層による、従来の自動車内部固有の汚れを対象とする防汚性を発揮すると共に、新たにカルボジイミド架橋剤を用いたことにより、トップコート層に汚れが入りこみににくくすることができた。また、架橋の状態が向上し、膜強度を向上させることができた。シリコーン系触感剤の使用量を増加させることにより、撥水性を改善することができた。その結果、デニムの汚れの付着に対しては、汚れをはじき易くすることが可能となり、付着し難い状態とすることができ、又、付着した後でもふき取り易い構造とすることができた。
さらに、耐摩耗性に優れた従来のトップコートの表面に、前記組成のコーティング層をオーバーコート層として形成することによって、従来見られない優れた防汚性(汚れが付着し難いとともに、付着した汚れは、除去しやすい状態で付着している特性)を有し、加えて優れた耐摩耗性、及び柔軟性を付与した天然皮革のコーティング層を得ることができた。
[図1]使用する摩擦試験機を示す図である。
[図2]汚れ試験方法に使用する摩擦試験機の摩擦子を示す図である。
[図3]汚れが付着していない部分と汚れが付着している部分に対して、測色機により両者の色差を測定する試験片を示す図である。
[図4]汚れが付着している部分の一部の汚れを拭いて測色機により両者の色差を測定する試験片を示す図。
[図5]コーティング層の断面図
(a)防汚オーバーコートなしの図である。
(b)防汚オーバーコートなしの図である。
[図6]汚染後(ジーンズ、ウェット)のコーティング層の表面図であり、
(a)防汚オーバーコートなしの図である。
(b)防汚オーバーコートありの図である。
天然皮革製造工程は以下の通りである。
天然皮革を製造する工程は、皮をなめすための準備工程、クロム又はクロムフリーなめし剤によるなめし工程、芳香族スルホン酸(主としてナフタレン及びフェノールのスルホン酸)のホルムアルデヒド縮合物などの合成なめし剤による再なめし・染色・加脂工程とこれに続く乾燥工程、及び仕上げ工程からなる一連の工程を得て製造される天然皮革であって、再なめし・染色・加脂工程とこれに続く乾燥工程がセッター工程、がら干し乾燥工程、味取り工程、バイブレーション工程及びバフ工程からなり、裏のり工程を経た後、天然皮革をカーシートや自動車内装用部品に用いた場合の耐摩耗性の向上、色の調整などのために以下の三層の塗膜形成をおこなう。ベースコート層を形成する工程、型押しをする工程、カラーコート層を形成する工程、トップコート層を形成する工程、バイブレーション工程、空打ち工程を経て天然皮革を製造するための一連の工程は終了する。
これらの工程は、個々の条件及び工程の組合せについては改良が進められているものの、各工程で行う操作自体は、独立しており、ほぼ定まっているといってよく、公知の工程である。
本発明の対象となる塗膜はもっとも表面にあるトップコート層であり、トップコート層を形成する樹脂からなる塗料を、いかに形成するかということは技術のうえで重要なテーマである。
トップコート層はベースコート層及びカラーコート層の上に形成する。本発明の説明については、ベースコート層形成工程、カラーコート層形成工程、トップコート層形成工程について説明する。
(1)ベースコート層は、塗膜層の最下層にあたり、皮革の表面にある凹凸を平らにし、安定して上部に層を形成する準備のための層である。この層を形成するにあたっては、樹脂、顔料、助剤、架橋剤、触感剤及び水からなる組成物を皮革の表面に塗布する。固形分となる樹脂と顔料と助剤と架橋剤と触感剤の割合は、45〜75:10〜30:0〜15:0〜20:0〜10(合計100%、重量比)である。樹脂には、二液性ポリウレタン樹脂が用いられる。顔料には色付けしたい色の顔料を用いる。助剤には界面活性剤、増粘剤、調整剤、マット剤などが含まれる。樹脂、顔料、助剤、触感剤及レベリング剤と、水分の割合は20〜40:80〜60(合計100%.重量比)である。塗布方法には水溶液を含んだ状態で、はけ塗り、スプレー、カーテン塗装、ロール塗装が適宜選択して使用される。塗布量は40から150g/m、塗布後に温風を表面にあてて水分を蒸発させる。膜厚は10〜50μmである。
次いで、型押しを行う。型押しは、革表面に高圧プレスにより凹凸を出す加工で、革にさまざまな模様(シボ)をつけるものである。次に、空打ち工程そしてバイブレーション工程により、皮革繊維をほぐし風合いを調整する。
(2)カラーコート層は、塗装膜の中間層にあたり、皮革を着色するための顔料及び染料を存在させるための層であって、皮革から見てベースコートの上部に設けられている。この層を形成するにあたっても、樹脂、顔料、助剤、架橋剤、触感剤及び水からなる組成物を皮革の表面に塗布する。固形分となる樹脂と顔料と助剤と架橋剤と触感剤の割合は、45〜75:10〜30:0〜15:0〜20:0〜10(合計100%、重量比)である。樹脂には、二液性ポリウレタン樹脂が用いられる。顔料には色付けしたい色の顔料を用いる。助剤には界面活性剤(レベリング剤等)、増粘剤、調整剤などが含まれる。樹脂、顔料、助剤、触感剤及と、水分の割合は20〜40:80〜60(合計100%.重量比)である。塗布方法には水溶液を含んだ状態で、はけ塗り、スプレー、カーテン塗装、ロール塗装が適宜選択して使用される。塗布量は20〜70g/m、塗布後に温風を表面にあてて水分を蒸発させる。膜厚は5〜25μmである。
(3)トップコート層を、カラーコート層の表面に形成する。
以下のトップコート層を採用した。
「天然皮革の表面にベースコート層、その表面にカラーコート層、その表面に、ウレタン樹脂(45〜59重量%、固形分)、イソシアネート架橋剤(22〜30重量%、固形分)、シリカつや消し剤(10〜16重量%、固形分)、シリコーン系触感剤(5〜9重量%、固形分)、レベリング剤・増粘剤(1〜3重量%、固形分)(以上固形分合計100重量%)からなる塗膜層からなる防汚性付与が付与されている皮革」
具体的な内容及び性状については比較例1として示した。
本発明において、防汚塗膜をオーバーコートするためのトップコート層として求められる性能は、耐摩耗性であり、充分な耐摩耗性を持つものであれば、組成は上記組成に限定されない。トップコート層の耐摩耗性については、ワイゼンビーク法で測定した結果がドライ170回以上、ウェット100回以上であれば、カーシート用の皮革として良好に使用することができる。しかし、オーバーコート層として形成した防汚塗膜の耐摩耗性を改善するという目的からすれば、オーバーコート層の耐摩耗性よりも優れたものであることが要求される。
従来の、アクリル樹脂主体に構成して防汚性の改善をはかったトップコート層の例を、比較例2に示した。
従来の、アクリル樹脂主体に構成して防汚性の改善をはかったトップコート層の別の例を、比較例3に示した。
(ア)従来の架橋剤であるイソシアネート系架橋剤を用いるコーティング層は、以下の通りである。
請求項1のコーティング層は、アクリルシリカ樹脂(13〜19重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜31重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(9〜13重量%、固形分)、ウレタン樹脂(5〜9重量%、固形分)、イソシアネート系架橋剤(20〜26重量%、固形分)及びシリコーン系触感剤(8〜12重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(3〜8重量%)(以上固形分合計100重量%)からなるコーティング層である。
請求項1のコーティング層を、前記カラーコート層の表面にトップコート層として形成した場合、及び前記比較例1のトップコート層にオーバーコート層として形成した場合の具体的な性状については実施例1に示される。
(ア)架橋剤にイソシアネート系架橋剤を用い、アクリル樹脂を用いないコーティング層は、以下の通りである。
「(請求項1) アクリル樹脂を含む成分として、アクリルシリカ樹脂(13〜19重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜31重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(9〜13重量%、固形分)を用いることにより、アクリル樹脂による、つや消し状態の塗膜を得ることができる。」
同時に、カーシートなどの自動車の使用に伴う汚れ防止に役立ち、汚れが付着した場合でも除去しやすい結果となる。
アクリルウレタン樹脂(9〜13重量%、固形分)、ウレタン樹脂(6〜9重量%、固形分)として、アクリル樹脂のみを用いることに比べて塗膜強度の向上を図っている。イソシアネート系架橋剤(20〜26重量%、固形分)を用いることにより、架橋状態の改善を行っている。
シリカつや消し剤の使用は、鋭い凹凸があり汚れ付着の原因となるので、つや消し効果があり平滑で汚れの付着し難いアクリルポリシロキサン樹脂を採用して、防汚性を高めている。
シリコーン系触感剤(8〜24重量%、固形分)を用いることにより、アクリル樹脂を中心に形成する成分による問題点である触感や滑りやすさを向上させることができる。また、撥水性を付与して、汚れを付着し難くしている。
請求項1のコーティング層を、前記カラーコート層の表面にトップコート層として形成した場合の具体的な性状については実施例1に示される。
その結果、防汚性能(ドライ汚染後)について4〜5級、防汚性能(ドライ拭き取り後)について4〜5級、防汚性能(ウェット汚染後)について2級、防汚性能(ウェット汚染後)について3〜4級であり、同等又はそれ以上の効果を得ていることを確認した。
耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のドライ(回)170であり、耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のウェット(回)100である。
(イ)架橋剤にカルボジイミド系架橋剤を用い、アクリル樹脂を用いないコーティング層は、以下の通りである。
請求項2は、以下のとおりである。
アクリルシリカ樹脂(13〜22重量1%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜35重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(9〜15重量%、固形分)、ウレタン樹脂(6〜10重量%、固形分)、カルボジイミド系架橋剤(6〜15重量%、固形分)、シリコーン系触感剤(9〜13重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(3〜8重量%)(以上固形分合計100重量%)からなるコーティング層。
請求項2のコーティング層を、前記カラーコート層の表面にトップコート層として形成した場合、及び前記比較例1のトップコート層にオーバーコート層として形成した場合の具体的な性状については実施例2に示される。
その結果、防汚性能(ドライ汚染後)について4〜5級、防汚性能(ドライ拭き取り後)について4〜5級、防汚性能(ウェット汚染後)について3級、防汚性能(ウェット拭き取り後)について4級であり、同等又はそれ以上の効果を得ていることを確認した。
カルボジイミドを架橋剤として用いて密な状態を保ち水の浸入を防ぐことにより耐水性を向上させ、水に溶けた汚れ物質(染料など)の塗膜への侵入を抑えることを可能にしている。トップコートとして使用した場合のドライ(回)180であり、耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のウェット(回)110であった。
アクリル樹脂を含む成分として、アクリルシリカ樹脂(13〜22重量1%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜35重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(9〜15重量%、固形分)を用いることの効果については、実施例1と同様である。
また、アクリルウレタン樹脂(9〜15重量%、固形分)、ウレタン樹脂(6〜10重量%、固形分)とした点の効果についても実施例1と同様である。実施例2の大きな特徴は、カルボジイミド系架橋剤(6〜15重量%、固形分)を用いる点であり、これにより、架橋状態を改善し、汚れ物質が塗膜に入り難くしている。
シリカつや消し剤の使用は、汚れ付着の原因となる。アクリルポリシロキサン樹脂を採用して、防汚性のあるつや消し剤を用いている。
シリコーン系触感剤(8〜24重量%、固形分)を用いることにより、アクリル樹脂を中心に形成する成分による問題点である触感や滑りやすさを向上させることができる。また、撥水性を付与して、汚れを付着し難くしている。
(ウ)架橋剤にカルボジイミド系架橋剤を用い、アクリル樹脂を用いるコーティング層は、以下の通りである。
「(請求項3)
アクリル樹脂(10〜16重量%、固形分)、アクリルシリカ樹脂(13〜22重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜35重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(6〜15重量%、固形分)、ウレタン樹脂(4〜10重量%、固形分)、カルボジイミド系架橋剤(5〜15重量%、固形分)、シリコーン系触感剤(8〜24重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(1〜5重量%)(以上固形分合計100重量%)からなることを特徴とするコーティング層。」
請求項3のコーティング層を、前記カラーコート層の表面にトップコート層として形成した場合、及び前記比較例1のトップコート層にオーバーコート層として形成した場合の具体的な性状については実施例3及び4に示される。
実施例3では、防汚性能(ドライ汚染後)について5級、防汚性能(ドライ拭き取り後)について5級、防汚性能(ウェット汚染後)について3〜4級、防汚性能(ウェット拭き取り後)について4〜5級であり、同等又はそれ以上の効果を得ていることを確認した。
耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のドライ(回)170であり、耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のウェット(回)100であった。
実施例4では、防汚性能(ドライ汚染後)について4〜5級、防汚性能(ドライ拭き取り後)について5級、防汚性能(ウェット汚染後)について3〜4級、防汚性能(ウェット拭き取り後)について4級であり、同等又はそれ以上の効果を得ていることを確認した。
耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のドライ(回)180であり、耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のウェット(回)110であった。
アクリル樹脂を中心に形成する成分とは、アクリル樹脂(10〜16重量%、固形分)、アクリルシリカ樹脂(15〜22重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜35重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(6〜15重量%、固形分)を用いる点にある。
前記アクリル樹脂にアクリルシリカ樹脂及びアクリルポリシロキサン樹脂、アクリルウレタン樹脂を添加することにより、つや消し状態を得ることができ、同時に、アクリル樹脂のみを用いる場合に比較して、アクリル樹脂にアクリルシリカ樹脂及びアクリルポリシロキサン樹脂、アクリルウレタン樹脂を用いることにより、カーシートなどの自動車の使用に伴う汚れ防止に役立つこと、同時に汚れが付着した場合でも除去しやすい結果となる。
アクリルウレタン樹脂(9〜15重量%、固形分)、ウレタン樹脂(4〜10重量%、固形分)として、アクリル樹脂のみを用いることに比べて柔軟性の向上を図っている。カルボジイミド系架橋剤(5〜15重量%、固形分)を用いることにより、架橋状態の改善を行っている。
シリカつや消し剤の使用は、汚れ付着の原因となる。アクリルポリシロキサン樹脂を採用して、防汚性のあるつや消し剤を用いる。
シリコーン系触感剤(8〜24重量%、固形分)を用いることにより、アクリル樹脂を中心に形成する成分による問題点である触感や滑りやすさを向上させることができる。また、撥水性を付与して、汚れを付着し難くしている。
以上のコーティング層を、前記カラーコート層の表面にトップコート層として形成することによって、アクリル樹脂又はアクリル樹脂成分を含む樹脂による防汚皮革の防汚性能を改善することができた。さらに、以上のコーティング層を前記比較例1のトップコート層の表面にオーバーコート層として形成することによって、防汚性に加えて耐摩耗性などの向上をはかることに成功したものである。デニムの汚れの付着に対しては、汚れをはじき易くすることが可能となり、付着し難い状態とすることができ、又、付着した後でもふき取り易い構造とすることができた。カルボジイミド架橋剤を用いた場合には、架橋の形成に際しては、オーバーコート層は架橋速度が速く、架橋密度が高くすることができる結果、オーバーコート層に汚れが入りこみににくくすることができた。架橋の状態が向上し、塗膜強度を向上させることができた。また、カルボジイミド架橋剤を用いた塗膜は、塗膜の親和性が低くリコート(重ね塗り)が難しい難点があるが、オーバーコートとすることで、色修正はトップコートの段階で完了させてオーバーコート層には着色しないことにより、リコート(重ね塗り)の必要がなくなった。防汚革の防汚性能(ウェット)は従来の防汚革にくらべ2級から4級(拭き取り後では4級から5級)へ数値が向上し、耐摩耗性はドライ230回から300回以上、ウェット100回から230回へ改善された。
光学顕微鏡によるコーティング層の断面図を図5に示す。
左側は従来の防汚トップコートの状態を示している。右側は防汚塗膜によるオーバーコート層を示す。
光学顕微鏡による汚染後(ジーンズ、ウェット)のコーティング層の表面図(図6)を示す。
左側は防汚塗膜ではない従来の塗膜を形成したときの表面図である。右側は本発明の防汚塗膜により塗膜を形成したときの表面図である。左側は汚れが全体に多く付着していることが分かる。右側は汚れが全体に少なく、一部に汚れが集積されていることを示している。汚れは染料などであると考えられる。
以下に、トップコート層及びオーバーコート層を形成するには天然皮革塗膜形成用各成分について説明する。
アクリル樹脂成分について
アクリル樹脂成分は従来知られている公知のものを使用できる。
具体的には、(1)(a)アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルからなる成分、及び(b)アクリル酸及び/又はメタクリル酸からなる成分を含み、これらの成分を乳化重合させて得られる重合体である。このほかに以下に述べる(c)から(e)の成分に含まれる成分を任意の成分を含むことができる。
(c)グリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレートからなる成分、(d)ヒドロキシエチルアクリレート及び/又はヒドロキシエチルメタクリレートからなる成分、及び(e)ジメタクリル酸エチレングリコール及び/又はジメタクリル酸ジエチレングリコールからなる成分である。以上の成分を混合し乳化重合させて得られる重合体である。
(1)上記(a)から(e)成分を混合して乳化重合させる場合は以下の通りである。
(a)アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルからなる成分(エステル中にアルコール成分の炭素数は1〜8)、
(b)アクリル酸及び/又はメタクリル酸からなる成分、
(c)グリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレートからなる成分、
(d)ヒドロキシエチルアクリレート及び/又はヒドロキシエチルメタクリレートからなる成分、及び
(e)ジメタクリル酸エチレングリコール及び/又はジメタクリル酸ジエチレングリコールからなる成分。
得られる全体量のa成分の固形分は90〜99重量%、b、c、d及びe成分から選ばれる1成分の固形分として10〜1重量%を含有する(固形分合計100重量%)。これらを界面活性剤の存在下に,pH7未満で硫酸鉄(II)が存在し、又は存在しない状態で、過酸化水素及びアスコルビン酸や過硫酸アルカリの存在する水溶液の状態で乳化重合を行うことによりアクリル樹脂成分を得ることができる(特開昭60−141709号公報、特開平4−165000号公報)。
アクリル系モノマーについて説明する。アクリル系モノマーとしては、ラジカル重合が可能なものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、オクチル、2−エチルヘキシルなどの炭素1〜8アルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸エステルである。
(b)から(e)の原料物質は公知物質であり、その化合物を用いる。
(2)グラフト重合によるものの一例を挙げれば以下の通りである。
エチルアクリレート/メタクリル酸からなる基幹ポリマー上にエチルメタクリレートをグラフト重合しているグラフトポリマーであり、各重量比率が69.65:0.35:30であるもの。
エチルアクリレート300g、メタクリル酸1.51gを乳化剤として炭素数15のパラトルエンスルホナートのナトリウム塩3.1g、アンモニウムパーオキシスルホネート0.62g、FeSO0.84mg及び水566gからなる乳化液を、30℃に加温し、不活性ガスである窒素ガスの存在下にNaFe0.31gと混合する。温度は8〜10分間に103℃に上昇させる。次にエチルメタクリレート129gを15分以内にわたり滴加する。最終段階には60分90℃で攪拌し、冷却して分散液を取り出し、アンモニアを吹き込むと、透明なフィルム状のグラフと重合体を得ることができる。
同様にして、エチルアクリレート272g、メタクリル酸8gを乳化剤として炭素数15のパラトルエンスルホナートのナトリウム塩3g、アンモニウムパーオキシスルホネート0.62g、FeSO0.8mg及び水566gからなる乳化液を、30℃に加温し、不活性ガスである窒素ガスの存在下にNaFe0.31gと混合する。温度は8〜10分間に95℃に上昇させる。次にエチルメタクリレート129gを15分以内にわたり滴加する。最終段階では、エチルアクリレート/メタクリル酸からなる基幹ポリマー上にエチルメタクリレートをグラフト重合しているグラフトポリマーであり、各重量比率が68.25:2:30であるものを得る(特開平6−17100号公報、特開平8−48732号公報)。
これらはいずれも公知物質であり、適宜購入して使用することができる。具体的には、Clariant社製Merio ResinA−966、Merio ResinA−967、Aqualen.Top2005、Aqualen.Top2006、Lanxess社製、SB300、Hydrholac CR−15、BASF社製Corial
binder、LEPTON PROTECTOR SRなどを挙げることができる。
アクリルシリカ樹脂について
シリカとアクリル樹脂を混合させ均一化されたものを用いる。
一例を挙げると以下の通りである。
少なくとも1種の表面変性された二酸化ケイ素を、アクリレートをベースとして混合され、構造粘性に調節されている塗料配合物(特開2006−002152号公報、特開2006−002151号公報)。
二酸化ケイ素は、沈降シリカ、熱分解法シリカ、シリカゲル、変性された熱分解法シリカ並びに前記二酸化ケイ素の混合物から成る群から選択されたものを用いる。二酸化ケイ素の表面を少なくとも1種のポリマーで変性させ、これを表面変性された二酸化ケイ素と呼称する。熱分解法シリカをベースとして製造されたシリカとは、この場合、DE2414478に記載された熱分解法シリカをベースとして製造することができるシリカである。
表面変性とは、二酸化ケイ素粒子の表面に、有機成分の化学的により表面変性された二酸化ケイ素の場合、二酸化ケイ素粒子の少なくとも一部の表面の少なくとも一部が表面変性剤で被覆されている。
塗料配合物を製造し、表面変性された二酸化ケイ素を添加し、かつ完成された塗料配合物を23℃、相対湿度50%で1日貯蔵した後、わずかに攪拌し、剪断された状態(6回転/分)に処理する。わずかに剪断された状態とは、Haake粘度計6Rを用いて6回転/分で、室温で測定された動粘度に相当する。強力に剪断された状態とは、Haake粘度計6Rにより60回転/分で、室温で測定された動粘度に相当する。
塗料配合物は、塗料配合物を製造し、表面変性された二酸化ケイ素を添加し、かつ完成された塗料配合物を23℃、相対湿度50%で1日貯蔵した後の、わずかに剪断された状態(6回転/分)で測定された本発明による塗料配合物の粘度のもとで、塗料配合物を製造し、かつ完成された塗料配合物を23℃、相対湿度50%で1日貯蔵した後の、わずかに剪断された状態(6回転/分)で測定された、表面変性された二酸化ケイ素なしの同一の塗料配合物の粘度よりも、最高で15%低い二酸化ケイ素を含有する。
塗料配合物は、チキソトロープの、溶剤を含有する塗装工用塗料中で、2.4のチキソトロピー指数TI 6/60を有し、構造粘性に調節された水性分散液塗料中で有利には、1.6以上のチキソトロピー指数TI 6/60を有し、0.5〜15質量%、有利に1〜10質量%の割合の、少なくとも1種の表面変性された二酸化ケイ素を含有する。
本発明の意味における典型的な塗料配合物は、アルキド樹脂をベースとする、チキソトロープに調節された、溶剤を含有する塗料、並びに、アクリレート、アクリレート/ポリウレタン又はその混成物をベースとする、構造粘性に調節された、水性分散液塗料又は水性分散液透明塗料であり、艶消し塗料配合物である。
これらはいずれも公知物質であり、適宜購入して使用することができる。具体的には、Lanxess社製Hydrolac AD−1、Sthal社製RA−2398、RA−8895などを挙げることができる。
アクリルポリシロキサン樹脂の成分について
アクリル樹脂とポリシロキサンを混合し均一な状態なったものである。具体的な一例を挙げると以下の通りである。
例えば、以下のアクリルポリシロキサン樹脂が知られている(特開2007−099953号公報)
「下記一般式(I)
Figure 0005753181
〔式中、R,R,Rはそれぞれ炭素数1〜20の1価炭化水素基又は1価のハロゲン化炭化水素基であり、Yはラジカル反応性基又はSH基を含む有機基であり、Xは水素原子、1価の低級アルキル基又は式RSiで示される基(RはR又はYであり、R,R,Yは前記と同じである)であり、mは1〜10,000の整数、nは1以上の整数である。〕で表されるオルガノポリシロキサンの1種又は2種以上の水中油型エマルジョンに
(2)下記一般式(II)
Figure 0005753181
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜18のアルキル基又はアルコキシ置換アルキル基である。)で表されるアクリル系単量体及びメタクリル系単量体から選択される1種又は2種以上の単量体を、(2)成分全量の70質量%以上含む単量体又は混合単量体を、(1)成分のオルガノポリシロキサンと(2)成分の単量体又は混合単量体とが5:95〜95:5の質量比となるように添加して前記オルガノポリシロキサンに(2)成分を乳化グラフト共重合させてなるグラフト共重合エマルジョンとする。さらに以下のポリシロキサンと混合する。
下記平均組成式(III)
Figure 0005753181
Si(OH)(OX)(4−a−b−p−q)/2
(但し、Rは炭素数1〜10の非置換の1価炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜10の置換の1価炭化水素基を表し、Xは炭素数1〜6の1価炭化水素基を表す。a,b,p,qは各々0.50≦a≦1.80、0≦b≦1.00、0<p≦1.50、0≦q≦0.50、0.50≦a+b≦1.80、0<p+q≦1.50、0.50<a+b+p+q≦2.0の範囲を満たす正数を表す。)
で示されるシリコーン樹脂とラジカル重合性ビニルモノマーを混合し、乳化重合して得られるシリコーン樹脂含有エマルジョンを配合した塗料組成物。
これら公知物質であり、適宜購入して使用することができる。
具体的には、Lanxess社製、A−1000、A−2000などを挙げることができる。
アクリルウレタン樹脂について
アクリルウレタン樹脂の組み合わせは以下の場合の一例を挙げれば以下の通りである(特開平05−209150)。
アクリル樹脂とポリウレタン樹脂を混合し、均一化する。
アクリル樹脂は以下の通りである。
I. 20〜50重量部の、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、またはメタアクリル酸4−ヒドロキシブチルか、或はそれらの混合物;
II. 30〜70重量部の、スチレンまたはメタアクリル酸メチルか、或はそれらの混合物;
III. 9.5〜30重量部の、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、またはメタアクリル酸2−エチルヘキシルか、或はそれらの混合物;及び
IV. 0.5〜20重量部の、アクリル酸、メタアクリル酸、或はアルコール成分中に4〜8個の炭素原子を有するマレイン酸半エステル;或はI. 25〜60重量部の、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸2−ヒドロキシプロピル、或はそれらの混合物;及び
V. 0.1〜10重量部の、アクリル酸、メタアクリル酸、或はアルコール成分中に4〜8個の炭素原子を有するマレイン酸半エステル;或はI. 10〜30重量部の、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、或はメタアクリル酸4−ヒドロキシブチル、或はそれらの混合物;
ポリウレタン(a)(2)(これらには上述したプレポリマー類が含まれる)は、式Q(NCO)[式中、Qは、4〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する環状脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基か、或は7〜15個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を表す]を有するジイソシアネート類から製造される。好適な上記ジイソシアネート類の例には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、4,4′−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルプロパン−(2,2)、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−および2,6−ジイソシアナトトルエン、2,4′−および4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4−6−ジイソシアナト−ジフェニルプロパン−(2,2)、p−キシリレンジイソシアネート、およびα,α,α′,α′−テトラメチル−m−もしくは−p−キシリレンジイソシアネート、およびこれらの化合物の混合物が含まれる。
これら公知物質であり、適宜購入して使用することができる。
具体的には、Lanxess社製、Hydrholac TS、Sthal社製、WT−7371、CT−13−373、CT−13−372、中央理化株式会社、SU−U0603、SU−U0505などを挙げることができる。
ウレタン樹脂について
ニ液性脂肪族ポリウレタンについては以下の通りである。
ここで言うニ液性脂肪族ポリウレタンは水性であり、塗料として使用されるものである。
天然皮革に塗膜形成するに際しては使用時に水性のポリオールと硬化剤として水性ポリ脂肪族イソシネートを混合して反応させて用いる。
二液性脂肪族ポリウレタンは一定時間内に塗布作業などの処理を進めなければならないという、ポットライフの問題があるものの、本発明の場合には天然皮革の処理には6時間程度の間に処理すればよく、作業として問題を起こすことはない。できあがり塗膜は安定化したものが得られ、又、塗膜は黄色に変化しないのなどの利点を有している。
水性ポリ脂肪族イソシネートは、以下のようにして製造する。
脂肪族イソシアネートである、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカンなどのイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートを変性してウレトジオン基、イソシアヌレート基、ウレタン基、アロファネート基、ビューレット基および/またはオキサジアジン基を有するポリイソシアネートを含むものとし、エチレンオキシド単位を含むポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールと反応させてポリイソシアネート混合物を製造する(特許第2961475明細書などに記載がある)。
水性ポリオールとしては、カルボキシル基含有ジオールである、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールオクタン酸、ジメチロールノナン酸を用いることができる。中でも工業的コスト等の点からジメチロールブタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールノナン酸が好ましく、最も好ましいのはジメチロールブタン酸である。カルボキシル基含有ジオールは公知の合成方法により得られることができ通常はアルキルアルデヒドにホルマリンを塩基性触媒存在下でアルドール縮合させ、次いで過酸化物を作用させてアルデヒド基を酸化することによって得られる(特許3493796号明細書、特開平8−359884号公報などに記載がある)。
混合するときのNCO/OHは、1.3から1.5の範囲とする。
ポリイソシアネート成分を、ポリマーポリオールおよび低分子量連鎖延長剤と完全に反応させて、ポリウレタンを得る。その後に任意に分離することができる溶媒を使用する。
また、中和することができる基を塩の形態に転化させ、分散液を、水を用いて製造する。中和度およびイオン性基含有量に依存して、分散液を、実質的に溶液の外観を有するような非常に微細に分散させることができる。
これらはいずれも公知物質であり、適宜購入して使用することができる。具体的には、Lanxess社製、HAT、51UD、61UD、85UD、HydrholacHW、Stahl社製、RU−6125、RU−13045、RU−22063、RU−22063、WT−13−486、WT−13−985、WT−2524、WT−13−492、トウペ社製、UWクリヤー♯7、BASF社製、FinishPF、FinishPUM、FinishPFM、FinishPUMN、MattingHS、MattingMA、Clariant社製Promul95A,TopD−2017を挙げることができる。
イソシアネート架橋剤について
架橋剤には前記水性ポリ脂肪族イソシネートを用いることができる。この架橋剤についてよく知られており、たとえば、特許第2961475号明細書などに記載されている。
前記ジメチロールアルカン酸とポリテトラメチレンエーテルグリコールからなるOH基を用いることにより水性ポリウレタン樹脂として数平均分子量18000から35000程度の水性ポリウレタン樹脂塗料を得ている(特許3493796号明細書、特開平8−359884号公報)。ポリウレタン樹脂の数平均分子量は通常1,2000〜20000、更に35,000の範囲、70000程度の水性ポリウレタンを得ている。ここで数平均分子量とはテトラヒドロフランにポリウレタン樹脂を1重量%溶解してGPC(ゲルーミエーション・クロマトグラフ)で測定し、ポリスチレン換算した数値である。分子量の測定は、以後この測定方法を用いている。
最終のポリウレタンの分子量の目標にしたがって、反応に関与するポリ脂肪族イソシネート及びポリオールの分子量を調節することが行われる。
脂肪族イソシアネートである、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカンなどのイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートを変性してウレトジオン基、イソシアヌレート基、ウレタン基、アロファネート基、ビューレット基および/またはオキサジアジン基を有するポリイソシアネートを含むものとし、エチレンオキシド単位を含むポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールと反応させてポリイソシアネート混合物を製造することができる。
これらはいずれも公知物質であり、適宜購入して使用することができる。具体的には、Lanxess社製、XL−50、LS−3486、Stahl社製、XR−5350、WU−5336、RH−6677、トウペ社製、UWファインフィックスHD.を挙げることができる。
架橋剤であるカルボジイミドについては以下の通りである。
ポリウレタンに対して、5〜200mモル/kgである−N=C=−N−(I)のカルボジイミド構造単位が、1以上を含有するテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)であるポリイソシアネート(a1.1)によりポリウレタン中に導入されている水性分散液(特開2001−512154号公報)。
(I)Ia)水への分散性を生じさせる親水基に加えて、カルボジイミド基を有し、かつ実質的にカルボキシル基を有しないポリウレタン(Ia)又はIb)Ibi)水への分散性を生じさせる親水基を有し、かつ実質的にカルボジイミド又はカルボキシル基を有しないポリウレタン(Ibi)及びIbii)水への分散性を生じさせる親水基を実質的に有しないカルボジイミド(Ibii)からなる物理的混合物を含有する分散相(P.I)、及び(II)カルボジイミド基を有しておらず、かつ凝集性の水相P.II中で、25℃で少なくとも1g/lの水に対する溶解度を有するポリカルボン酸を溶解した形で含有する凝集性の水相(P.II)を含有する潜在架橋性の水性ポリウレタン分散液(特開2002−523538号公報)。
(1)下記を含む潜在架橋性水性ポリウレタン分散液:I)Ia)水分散性をもたらす親水性基の他にカルボジイミド基を有し、かつ実質的にカルボキシル基を有していないポリウレタン(Ia)またはIb)Ibi)水分散性をもたらす親水性基を有し、かつ実質的にカルボジイミドまたはカルボキシル基を有していないポリウレタン(Ibi)、およびIbii)実質的に水分散をもたらす親水性基を有していないカルボジイミド(Ibii)から成る物理的混合物を含む分散相(P.I.)、II)カルボキシル基を有し、かつ実質的にカルボジイミド基を有していないその他のポリマー(II)を含む分散層(P.II)(2001−512155号公報)。
これらはいずれも公知物質であり、適宜購入して使用することができる。具体的には、Lanxess社製、Baydem Fix UCL、Stahl社製、XR−5570、XR13−906を挙げることができる。
シリコーン系触感剤について
リコーン系触感剤は、トップコート塗膜が形成された仕上がりの状態で天然皮革皮膜の触感が好ましい状態であるようにするために添加される。例としてヒドロキシポリジメチルシロキサン、アミノポリジメチルシロキサン、ヒドロキシポリジエチルシロキサン、ポリジメチルポリエポキシドポリシロキサン、ヒドロキシポリジフェニルシロキサン、アミノポリジエチルシロキサン、ジアルキルシロキサン(アルキル基としては、炭素数1〜10の1価脂肪族炭化水素であり、例えば、メチル基、エチル基、デシル基等)が挙げられる等が挙げられる。反応性シリコーンの分子量は約200〜10000、好ましくは300〜9000、より好ましくは1000〜5000である。
シリコーンは以下の一般式(IV)で表される公知のシリコーン樹脂を用いることができる。
Figure 0005753181
RはCH、又はCである。
nは10以上100以下の整数である。
このシリコーンは改質したものを用いることができる。
改質されたシリコーンは2から3の官能性を有するポリジアルキル置換ポリシロキサンを意味する。このアルキル基は、それぞれ、1から10個の炭素を有し、官能基はカルビノール、アミノ、チオール、エポキシなどの基であってよい。ヒドロキシポリジメチルシロキサン(例えば、ダウ社のDC1248、QA−3667、信越化学株式会社のX−22−160C)、アミノポリジメチルシロキサン(ダウ社のDC−536ゲネシポリマー社のGP−4)、ポリジアルポリエポキシドポリシロキサンなどがある。
これらの分子量は200から10000 程度である。
これらはいずれも公知物質であり、適宜購入して使用することができる。具体的には、Lanxess社製RosilkLA2229W、AQUADERM addtiveSF、AQUADERM addtiveGF、Rosilk2000、Stahl社製HM183、HM51760、HM2812、HM21−720、HM182、HM13−362、HM18−639、HM18−843、トウペ社製、UWファインタッチSD、Clariant社製MelioWF−5233、WF−5226conc、を挙げることができる。
レベリング剤及び増粘剤については以下の通りである。 Lanxess社製、LevelerMA−1020、FluidH
Stahl社製LA−746、LA1653、RM−4442
トウペUW添加剤RO
ユニオンペイント株式会社 74−96レベラ−LV3
本発明の効果を確認するために、汚れ試験及び耐磨耗試験をおこなう。
汚れ試験方法は以下の通りである。
汚染用グレースケールによる防汚性能の評価は、JIS L 0805:2005.
(汚染用グレーススケールの規格に準拠したグレースケール)による。
使用する摩擦試験機は図1に示す通りである。
1 試験対象をとなる試験片を30mm×250mmの試験片を採取する。
2 試験片を摩擦試験機の試験台に固定する。
3 幅30mm×長さ50mmの形状の汚れ付着布(ジーンズ及び汚染布)を採取する。ジーンズは、米テストファブリック社製2550Yを使用する。このジーンズは、従来の試験(特願2009−092344)で用いていたものと異なり、汚れの付着度合いがより強いもので、従来の試験と同じ評価結果を得るには、より高い防汚性能が要求されることになる。
4 3で作成した汚れ付着布を、摩擦試験機の摩擦子に、図2に示されている状態で固定する。
5 汚れ付着布を摩擦子ごと水に浸す。余分な水分をガーゼ等でふき取って、水がたれない程度にすることが必要である。
6 水で濡らされた摩擦子は試験台の正面から見たときに水平に当たっている状態になっているように調節する。
7 摩擦子は500gの荷重をかけて、往復速度30回/分、移動距離100mmで100往復行う。
8 摩擦子による試験後、試験片を試験台より取り外して、汚れが付着していない部分と汚れが付着している部分に対して、測色機により両者の色差を測定する。測定時の試験片の状態は図3に示すとおりである。色差の比較により、試験片は汚れが付着しやすいか、付着しにくいか(防汚性)を判定することができる。
9 測色機は、Labを計測できるものを選定して用いる。Lab色差の規格はCIE色差式である。
10 付着した汚れが除去しやすいかどうかについては、汚れが付着した状態で、その半分の部分を、濡れた布(キムワイプを用いることでもよい)により、ふき取り、ふき取りを行った部分について、前記8と同じ操作により、測色機により両者の色差を測定する。測定時の試験片の状態は図4に示すとおりである。
11 色差は数値で表現している。数値が小さいほど、防汚性が高いことを意味している。
1.0以下は目視でほとんど汚れがわからない程度の範囲を意味している。
0〜1 5級
1〜3 4級
3〜6 3級
6〜10 2級
10以上 1級
一般メーカーで用いている方法は以下の通りである。
汚れが付着した汚染布を使用する点では同じである。この場合に汚れが付着し、乾いた状態の汚染布を使用している。一方、本発明の方法では汚れが付着し、濡れた状態の汚染布を使用している。本発明で得られる結果は汚れの測定方法として十分に信頼できるものとなっている。
汚れが付着し、濡れた状態の付着布を使用した理由は自動車内の汚れの付着が、この状態に近いことを想定して採用したものである。自動車内部に汚れが付着するときの状態は乾いた状態で付着することは少ない。汚れの付着しやすい場合は、雨で濡れた状態にある場合及び夏場などの汗をかいたときの場合を想定したことによるものである。
往復運動により汚れを付着させることについては以下の通りである。
自動車内の着席時、乗降時ともに、衣服や素肌とカーシートは擦れ合う状態で汚れが付着することを再現しようとしたものである。
デニム(染料)布を採用した理由は、ジーンズを着用している者の着座・乗降時のジーンズから染料が付着する場合を想定して採用した。
耐摩耗性について
耐摩耗性を有することは、自動車シート用革において特に重要視される性能である。耐摩耗性については、ワイゼンビーク摩耗試験により評価した。
(1)ワイゼンビーク摩耗試験
乾布を用いる場合と湿布を用いる場合がある。
乾布を用いる場合の耐摩耗性の評価は、以下の通りである。
長さ230mm×幅約60mmの試験片を、縦方向(頭―尻方向)と横方向(背―腹方向)からそれぞれ1枚ずつとる。その後、ワイゼンビーク摩耗試験機(Wyzenbeek Tester、SCHAP SPECIALTY MACHINE、INC.製)に固定し、摩擦子に乾布の綿帆布を用い、試験片と接触させる。
往復摩耗を行い、塗膜が剥がれ下地が見えた摩耗状態の摩耗回数で摩耗性能を評価する。170回以上であれば、経験に基づいて自動車シート用革として好適であると判断する。湿布を用いる場合の耐摩耗性の評価は、以下の通りである。
摩擦子に使用する綿帆布を水に十分に浸したあとで前記摩擦試験を行う。摩擦試験方法は、乾布試験と同じ。50回以上であれば、経験に基づいて自動車シート用革として好適であると判断する。
乾布及び湿布でテストする。
以下に実施例により具体的に説明する。本発明はこれに限定されるものではない。
参考例1
ベースコート層の形成について、
(1)天然皮革基材表面(バフ加工有り)の上に、ベースコートを形成した。手順は以下の例である。
ベースコート層は、塗膜層の最下層にあたり、皮革の表面にある凹凸を平らにし、安定して上部に層を形成する準備のための層である。この層を形成するにあたっては、樹脂、顔料、助剤、触感剤及レベリング剤及び水からなる組成物を皮革の表面に塗布した。
固形分となる樹脂と顔料と助剤の割合は、60:15:25(合計100%、重量比)であった。樹脂には、二液性ポリウレタン樹脂を用いた。顔料には色付けしたい色の顔料を用いた。助剤には界面活性剤、増粘剤、調整剤、マット剤、粘着防止剤などを用いた。樹脂、顔料、助剤、触感剤及レベリング剤と、水分の割合は35:65(合計100%.重量比)である。塗布方法には水溶液を含んだ状態で、はけ塗り、スプレー、カーテン塗装、ロール塗装が適宜選択して使用される。塗布量は100g/m、塗布後に温風を表面にあてて水分を蒸発させた。
要求されている各種シボをプレス処理にて施した(今回はベースコートの上に行ったが、以後のカラーコートまたはトップコート後に行うこともある)。
空打ち工程そしてステーキング工程により、皮革繊維をほぐし風合いを調整する(これらの工程においても、カラーコートまたはトップコート後に行うこともある)。
(2)カラーコートの形成を行った。
ベースコート表面上にカラーコートを形成した。カラーコート層は、塗装幕の中間層にあたり、皮革を着色するための顔料及び染料を存在させるための層であって、皮革から見てベースコートの上部に設けられている。この層を形成するにあたっても、樹脂、顔料、助剤、架橋剤及び水からなる組成物を皮革の表面に塗布する。固形分となる樹脂と顔料と助剤と架橋剤の割合は、60:20:10:10(合計100%、重量比)である。樹脂には、二液性ポリウレタン樹脂が用いられる。顔料には色付けしたい色の顔料を用いる。助剤には界面活性剤(レベリング剤等)、増粘剤、調整剤、マット剤、粘着防止剤などが含まれる。樹脂、顔料、助剤、触感剤及と、水分の割合は30:70(合計100%.重量比)である。塗布方法には水溶液を含んだ状態で、はけ塗り、スプレー、カーテン塗装、ロール塗装が適宜選択して使用される。塗布量は35g/m、塗布後に温風を表面にあてて水分を蒸発させた。
比較例1
前記で形成したカラーコート層表面上にトップコート層を形成した。トップコート層の塗布量は35g/mであった。
成分内容は以下の通りであった。
ウレタン樹脂(52重量%、固形分)、イソシアネート架橋剤(26重量%、固形分)、シリカつや消し剤(13重量%、固形分)、シリコーン触感剤(7重量%、固形分)、レベリング剤・増粘剤(2重量%、固形分)(以上合計100重量%)。
比較例2
前記で形成したカラーコート層表面上にトップコート層を形成した。トップコート層の塗布量は35g/mであった。
成分内容は以下の通りであった。
アクリルポリシロキサン樹脂(42重量%、固形分)、シリカつや消し剤(10重量%、固形分)、イソシアネート架橋剤(32重量%、固形分)及びシリコーン系触感剤(13重量%、固形分)、レベリング剤及び増粘剤(3重量%)(以上合計100重量%)。
比較例3
前記で形成したカラーコート層表面上にトップコート層を形成した。トップコート層の塗布量は35g/mであった。
成分内容は以下の通りであった。
アクリルシリカ樹脂(17重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(29重量%、固形分)、ウレタン樹脂(15重量%、固形分)、及びイソシアネート架橋剤(24重量%、固形分)及びシリコーン系触感剤(10重量%、固形分)、レベリング剤及び増粘剤(5重量%)(以上合計100重量%)。
参考例1で形成したカラーコート層の上に、トップコート層を形成した。塗布量は35g/mであった。成分内容は以下の通りであった。
アクリルシリカ樹脂(16重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(28重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(11重量%、固形分)、ウレタン樹脂(7重量%、固形分)、イソシアネート系架橋剤(23重量%、固形分)及びシリコーン系触感剤(10重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(5重量%)(以上合計100重量%)。
請求項1のコーティング層を、前記カラーコート層の表面にトップコート層として形成した場合の具体的な性状については実施例1に示される。
その結果、防汚性能(ドライ汚染後)について4〜5級、防汚性能(ドライ拭き取り後)について4〜5級、防汚性能(ウェット汚染後)について2級、防汚性能(ウェット拭き取り後)について3〜4級であり、同等又はそれ以上の効果を得ていることを確認した。 耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のドライ(回)170であり、耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のウェット(回)100であった。
これとは別に、比較例1で形成したトップコート層の上に、前記成分内容のオーバーコート層を形成した。塗布量は35g/mであった。
このときの効果についても前記実施例1の場合の効果と同様であることを確認した。
いずれにしても、トップコート層として用いても、又オーバーコート層として用いても防汚性能及び耐磨耗について効果を確認した。 耐摩耗性についてオーバーコートとして使用した場合のドライ(回)300以上であり、ウェット(回)250であった。この効果を確認した。
実施例1と同様に、参考例1のカラーコート層の上にトップコート層を形成した。塗布量は35g/mであった。
成分内容は以下の通りであった。
アクリルシリカ樹脂(19重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(32重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(13重量%、固形分)、ウレタン樹脂(8重量%、固形分)、カルボジイミド系架橋剤(11重量%、固形分)、シリコーン系触感剤(11重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(6重量%)(以上固形分合計100重量%)。
請求項2のコーティング層を、前記カラーコート層の表面にトップコート層として形成した場合の具体的な性状については実施例2に示される。
その結果、防汚性能(ドライ汚染後)について4〜5級、防汚性能(ドライ拭き取り後)について4〜5級、防汚性能(ウェット汚染後)について3級、防汚性能(ウェット拭き取り後)について4級であり、同等又はそれ以上の効果を得ていることを確認した。
耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のドライ(回)180であり、耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のウェット(回)110であった。
これとは別に、比較例1で形成したトップコート層の上に、前記成分内容のオーバーコート層を形成した。塗布量は35g/mであった。
このときの効果についても前記実施例2の場合の効果と同様であることを確認した。
いずれにしても、トップコート層として用いても、又オーバーコート層として用いても防汚性能及び耐磨耗について効果を確認した。耐摩耗性についてオーバーコートとして使用した場合のドライ(回)300以上であり、ウェット(回)300以上であった。この効果を確認した。
実施例1と同様に、参考例1のカラーコート層の上にトップコート層を形成した。
塗布量は35g/mであった。
成分内容は以下の通りであった。
アクリル樹脂(13重量%、固形分)、アクリルシリカ樹脂(19重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(28重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(12重量%、固形分)、ウレタン樹脂(7重量%、固形分)、カルボジイミド系架橋剤(9重量%、固形分)、シリコーン系触感剤(10重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(2重量%)(以上固形分合計100重量%)。
請求項3のコーティング層を、前記カラーコート層の表面にトップコート層として形成した場合の具体的な性状については実施例3に示される。
その結果、防汚性能(ドライ汚染後)について5級、防汚性能(ドライ拭き取り後)について5級、防汚性能(ウェット汚染後)について3〜4級、防汚性能(ウェット拭き取り後)について4〜5級であり、同等又はそれ以上の効果を得ていることを確認した。
耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のドライ(回)170であり、耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のウェット(回)100であった。 これとは別に、比較例1で形成したトップコート層の上に、前記成分内容のオーバーコート層を形成した。塗布量は35g/mであった。
このときの効果についても前記実施例3の場合の効果と同様であることを確認した。
いずれにしても、トップコート層として用いても、又オーバーコート層として用いても防汚性能及び耐磨耗について効果を確認した。耐摩耗性についてオーバーコートとして使用した場合のドライ(回)280以上であり、ウェット(回)300以上であった。この効果を確認した。
実施例1と同様に、参考例1のカラーコートの上にトップコート層を形成した。
塗布量は35g/mであった。
成分内容は以下の通りであった。
アクリル樹脂(12重量%、固形分)、アクリルシリカ樹脂(17重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(24重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(10重量%、固形分)、ウレタン樹脂(6重量%、固形分)、カルボジイミド系架橋剤(8重量%、固形分)、シリコーン系触感剤(21重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(2重量%)(以上固形分合計100重量%)。
請求項3のコーティング層を、前記カラーコート層の表面にトップコート層として形成した場合の具体的な性状については実施例4に示される。
その結果、防汚性能(ドライ汚染後)について4〜5級、防汚性能(ドライ拭き取り後)について5級、防汚性能(ウェット汚染後)について3〜4級、防汚性能(ウェット拭き取り後)について4級であり、同等又はそれ以上の効果を得ていることを確認した。
耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のドライ(回)180であり、耐摩耗性についてトップコートとして使用した場合のウェット(回)110であった。
これとは別に、比較例1で形成したトップコート層の上に、前記成分内容のオーバーコート層を形成した。塗布量は35g/mであった。
このときの効果についても前記実施例3の場合の効果と同様であることを確認した。
いずれにしても、トップコート層として用いても、又オーバーコート層として用いても防汚性能及び耐磨耗について効果を確認した。耐摩耗性についてオーバーコートとして使用した場合のドライ(回)300以上であり、ウェット(回)300以上であった。この効果を確認した。
実施例1〜4及び比較例1と2で得られたコーティング層を塗布した皮革について、防汚性能をテストした。結果を表2に示した。
実施例1〜4は比較例1〜3と比較していずれも良好であることを確認した。防汚性能については、それぞれのコーティング層をトップコート層として形成した場合も、オーバーコート層として形成した場合も同じであった。
実施例1〜4及び比較例1と2で得られたコート層を塗布した皮革について、耐摩耗性能についてワイゼンビークによりテストした。結果を表2に示した。
実施例1〜4で得られたコーティング層を塗布した皮革の耐摩耗性能について、それぞれのコーティング層をオーバーコート層として用いた場合には、トップコート層として用いた場合に比較していずれも良好であることを確認した。
上記の実施例1〜4と比較例1〜3の成分組成を表1に示した。
Figure 0005753181
表2に試験結果を示す。
Figure 0005753181
産業上の利用可能性について
本発明は、他のアクリル樹脂についても防汚性付与皮革できるものであり、防汚性付与皮革として利用することができる。

Claims (9)

  1. アクリルシリカ樹脂(13〜19重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜31重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(9〜13重量%、固形分)、ウレタン樹脂(5〜9重量%、固形分)、イソシアネート系架橋剤(20〜26重量%、固形分)及びシリコーン系触感剤(8〜12重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(3〜8重量%)(以上固形分合計100重量%)からなることを特徴とする防汚性付与皮革コーティング層。
  2. アクリルシリカ樹脂(13〜22重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜35重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(9〜15重量%、固形分)、ウレタン樹脂(6〜10重量%、固形分)、カルボジイミド系架橋剤(6〜15重量%、固形分)、シリコーン系触感剤(9〜13重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(3〜8重量%)(以上固形分合計100重量%)からなることを特徴とする防汚性付与皮革コーティング層。
  3. アクリル樹脂(10〜16重量%、固形分)、アクリルシリカ樹脂(13〜22重量%、固形分)、アクリルポリシロキサン樹脂(25〜35重量%、固形分)、アクリルウレタン樹脂(6〜15重量%、固形分)、ウレタン樹脂(4〜10重量%、固形分)、カルボジイミド系架橋剤(5〜15重量%、固形分)、シリコーン系触感剤(8〜24重量%、固形分)及びレベリング剤・増粘剤(1〜5重量%)(以上固形分合計100重量%)からなることを特徴とする防汚性付与皮革コーティング層。
  4. 請求項1記載の防汚性付与皮革コーティング層を、カラーコート層の表面にトップコート層として形成したことを特徴とする天然皮革。
  5. 請求項2記載の防汚性付与皮革コーティング層を、カラーコート層の表面にトップコート層として形成したことを特徴とする天然皮革。
  6. 請求項3記載の防汚性付与皮革コーティング層を、カラーコート層の表面にトップコート層として形成したことを特徴とする天然皮革。
  7. 請求項1記載の防汚性付与皮革コーティング層を、トップコート層の表面にオーバーコート層として形成したことを特徴とする天然皮革。
  8. 請求項2記載の防汚性付与皮革コーティング層を、トップコート層の表面にオーバーコート層として形成したことを特徴とする天然皮革。
  9. 請求項3記載の防汚性付与皮革コーティング層を、トップコート層の表面にオーバーコート層として形成したことを特徴とする天然皮革。
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