JP5749142B2 - 空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法 Download PDF

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本発明は、空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤの転がり抵抗を低減することは、自動車の燃費を改善するために有用である。タイヤの転がり抵抗を低減するため、例えばシリカ配合のゴムをトレッドに適用する等の技術がある。
土井昭政、「タイヤにおける最近の技術動向」、日本ゴム協会誌、1998年9月 Vol.71、p.588−594
特許文献1に記載されている空気入りタイヤの転がり抵抗を低減する手法は、材料に改良を加えるものであるが、空気入りタイヤの構造を変更することによって転がり抵抗を低減できる可能性もある。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、空気入りタイヤの転がり抵抗を低減する構造を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための手段は、円筒形状かつ複数の貫通孔を有する環状構造体と、前記環状構造体の外側に、前記環状構造体の周方向に向かって設けられてトレッド部となるゴム層と、前記ゴム層の径方向外側に設けられた溝と、ゴムで被覆された繊維を有し、前記環状構造体と前記ゴム層とを含む円筒形状の構造体の中心軸と平行な方向における両側に少なくとも設けられるカーカス部と、を含み、少なくとも、前記溝が設置された領域における前記貫通孔の開口率は、前記溝が設置された領域の周りの領域よりも低いことを特徴とする空気入りタイヤである。
上述した手段において、前記貫通孔の開口面積の合計は、前記環状構造体が前記貫通孔を有さない場合の径方向外側における表面積に占める割合が、周方向溝の周りの領域において1%以上30%以下であり、前記周方向溝が設置された領域では0.5%以上15%以下であることが好ましい。
上述した手段において、前記貫通孔は、1つの断面積が0.1mm以上100mm以下であることが好ましい。
上述した手段において、前記貫通孔の面積の総和は、前記環状構造体の径方向外側の表面積に対して0.5%以上30%以下であることが好ましい。
上述した手段において、前記ゴム層の外側と、前記環状構造体の外側とは、前記ゴム層の溝の部分を除き、前記中心軸と平行であることが好ましい。
上述した手段において、前記環状構造体は、前記カーカス部よりも前記構造体の径方向外側に配置されることが好ましい。
上述した手段において、前記環状構造体は、金属であることが好ましい。
上述した手段において、前記中心軸と平行な方向における前記環状構造体の寸法は、前記中心軸と平行な方向における前記空気入りタイヤの総幅の50%以上95%以下であることが好ましい。
上述した課題を解決するための手段は円筒形状の環状構造体の外側に設けられてトレッド部となるゴム層を有する空気入りタイヤを製造するにあたり、複数の貫通孔を有し、かつ前記トレッド部の溝が設置された領域における前記貫通孔の開口率は、前記溝の周りの領域よりも低い円筒形状の環状構造体を得る手順と、前記環状構造体の径方向外側及び径方向内側に、それぞれ加硫前のゴムを配置して、グリーンタイヤを作製する手順と、前記グリーンタイヤを加硫金型内に設置した後、前記グリーンタイヤの径方向内側から圧力及び熱を前記グリーンタイヤに与え、前記貫通孔を通って前記環状構造体の径方向内側のゴムを径方向外側へ通過させる手順と、を含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
本発明は、空気入りタイヤの転がり抵抗を低減する構造を提供できる。
図1は、本実施形態に係るタイヤの子午断面図である。 図2−1は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の斜視図である。 図2−2は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の変形例を示す斜視図である。 図3は、本実施形態に係るが有するカーカス部の拡大図である。 図4は、環状構造体とゴム層との子午断面図である。 図5は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の貫通孔の分布を示す説明図である。 図6は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の貫通孔の分布を示す説明図である。 図7は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の貫通孔の分布を示す説明図である。 図8は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の貫通孔の分布を示す説明図である。 図9は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の変形例を示す平面図である。 図10は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の変形例を示す平面図である。 図11−1は、本実施形態に係るタイヤを加硫金型内で加硫するときの状態を示す模式図である。 図11−2は、本実施形態に係るタイヤを加硫金型内で加硫するときの状態を示す模式図である。 図12−1は、本実施形態に係るタイヤを加硫金型内で加硫するときの状態を示す模式図である。 図12−2は、本実施形態に係るタイヤを加硫金型内で加硫するときの状態を示す模式図である。 図13−1は、本実施形態に係るタイヤを加硫金型内で加硫するときの状態を示す模式図である。 図13−2は、本実施形態に係るタイヤを加硫金型内で加硫するときの状態を示す模式図である。 図14−1は、本実施形態に係るタイヤを加硫金型内で加硫するときの状態を示す模式図である。 図14−2は、本実施形態に係るタイヤを加硫金型内で加硫するときの状態を示す模式図である。 図15は、貫通孔の開口率を求めるための説明図である。 図16は、貫通孔の開口率を求めるための説明図である。 図17は、貫通孔の開口率を求めるための説明図である。 図18は、貫通孔の開口率を求めるための説明図である。 図19は、開口率と破断力比との関係を示す図である。 図20は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の製造方法の手順を示すフローチャートである。 図21−1は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の製造方法の手順を示す説明図である。 図21−2は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の製造方法の手順を示す説明図である。 図21−3は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の製造方法の手順を示す説明図である。 図21−4は、溶接部の厚みを示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
空気入りタイヤ(以下、必要に応じてタイヤという)の転がり抵抗を低減するため、タイヤの偏心変形を極限まで高めると、タイヤと路面との接地面積が小さくなり接地圧が増加する。その結果、トレッド部の変形による粘弾性エネルギ損失が大きくなり、転がり抵抗が増加する。本発明者らは、この点に注目し、タイヤと路面との接地面積を確保し、かつ偏心変形を維持することによって、転がり抵抗を低減し、かつ操安性を向上させることを試みた。偏心変形とは、タイヤのトレッドリング(クラウン領域のこと)が円形を保ったまま垂直に変位する一次モードの変形である。タイヤと路面との接地面積を確保し、かつ偏心変形を維持するため、本実施形態に係るタイヤは、例えば、金属の薄板で製造される円筒形状の環状構造体の外側に、前記環状構造体の周方向に向かってゴム層を設け、このゴム層をトレッド部とする構造を採用する。
図1は、本実施形態に係るタイヤの子午断面図である。図2−1は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の斜視図である。図2−2は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の変形例を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係るタイヤが有するカーカス部の拡大図である。図1に示すように、タイヤ1は、環状の構造体である。前記環状の構造体の中心を通る軸がタイヤ1の中心軸(Y軸)となる。タイヤ1は、使用時において、内部に空気が充填される。
タイヤ1は、中心軸(Y軸)を回転軸として回転する。Y軸は、タイヤ1の中心軸かつ回転軸である。タイヤ1の中心軸(回転軸)であるY軸に直交し、かつタイヤ1が接地する路面と平行な軸をX軸、Y軸とX軸とに直交する軸をZ軸とする。Y軸と平行な方向がタイヤ1の幅方向である。Y軸を通り、かつY軸に直交する方向がタイヤ1の径方向である。また、Y軸を中心とする周方向が空気入りタイヤ1の周方向である。
図1に示すように、タイヤ1は、円筒形状の環状構造体10と、ゴム層11と、カーカス部12と、を含む。環状構造体10は、円筒形状の部材である。ゴム層11は、環状構造体10の外側10soに、環状構造体10の周方向に向かって設けられることで、タイヤ1のトレッド部となる。カーカス部12は、図3に示すように、ゴム12Rで被覆された繊維12Fを有する。本実施形態において、図1に示すように、カーカス部12は、環状構造体10の径方向内側を通って、両方のビード部13間を連結している。すなわち、カーカス部12は、両方のビード部13、13間で連続している。なお、カーカス部12は、環状構造体10の幅方向における両側に設けられて、両方のビード部13、13間で連続していなくてもよい。このように、カーカス部12は、図3に示すように、少なくとも環状構造体10とゴム層11とを含む円筒形状の構造体2の中心軸(Y軸)と平行な方向(すなわち幅方向)における両側に設けられていればよい。
タイヤ1は、構造体2の子午断面において、ゴム層11の外側11so(タイヤ1のトレッド面)と、環状構造体10の外側10soとが、トレッド面に形成された溝Sの部分を除いて同様の形状であり、平行(公差、誤差を含む)であることがより好ましい。
図2−1に示す環状構造体10は、金属の構造体である。すなわち、環状構造体10は、金属材料で造られている。環状構造体10に用いる金属材料は、引張強度が450N/以上2500N/以下であることが好ましく、600N/以上2400N/以下であることがより好ましく、さらには、800N/以上2300N/以下が好ましい。引っ張り強度がこのような範囲であれば、環状構造体10は、充分な強度及び剛性を確保できるとともに、必要な靱性を確保できる。環状構造体10に用いることができる金属材料は、引っ張り強度が前述した範囲であればよいが、ばね鋼、高張力鋼、ステンレス鋼又はチタン(チタン合金を含む)を用いることが好ましい。これらのうち、ステンレス鋼は耐食性が高く、また、前述した引っ張り強度の範囲のものを得やすいので好ましい。
環状構造体10の引っ張り強度(MPa)と厚み(mm)との積を耐圧パラメータとする。耐圧パラメータは、タイヤ1に充填される気体の内圧に対する耐性の尺度となるパラメータである。耐圧パラメータは、200以上1700以下、250以上1600以下とすることが好ましい。この範囲であれば、タイヤ1の使用圧力の上限を確保し、安全性を十分に確保することができる。また、前記範囲であれば、環状構造体10の厚みを増加させず、また、破断強度の高い材料を用いる必要がないので、量産に好適である。環状構造体10の厚みを増加させる必要がないため、環状構造体10は繰り返し曲げの耐久性を確保できる。また、破断強度の高い材料を用いる必要がないことから、低コストで環状構造体10及びタイヤ1を製造できる。乗用車用として、耐圧パラメータは、200以上1000以下が好ましく、250以上950以下がより好ましい。また、トラック/バス用タイヤ(TBタイヤ)として、耐圧パラメータは、500以上1700以下が好ましく、600以上1600以下がより好ましい。
環状構造体10をステンレス鋼で製造する場合、JIS G4303の分類における、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト二相ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼を用いることが好ましい。これらのステンレス鋼を用いることにより、引っ張り強度及び靱性が優れた環状構造体10とすることができる。また、前述したステンレス鋼のうち、特に、析出硬化ステンレス鋼(SUS631、SUS632J1)を用いるとより好ましい。
図2−1、図2−2に示すように、環状構造体10は、内周面と外周とを貫通する複数の貫通孔10Hを有する。環状構造体10の径方向外側と径方向内側との少なくとも一方にはゴム層11が取り付けられる。ゴム層11は、環状構造体10と化学的な結合により環状構造体に取り付けられる。貫通孔10Hは、環状構造体10とゴム層11との物理的な結合を強化する作用がある。このため、環状構造体10は、化学的及び物理的な作用(アンカー効果)により結合強度が向上するので、ゴム層11と確実に固定される。その結果、タイヤ1の耐久性が向上する。
環状構造体10は、図2−1に示すものに限定されない。例えば、図2−2に示す環状構造体10aのように、環状構造体10aの幅方向両側に、鋸の刃形状の凹凸部10Tを設けてもよい。環状構造体10aの径方向外側には、図3に示すゴム層が取り付けられるが、凹凸部10Tは、環状構造体10aとゴム層11との結合を強化する作用がある。このため、凹凸部10Tを有する環状構造体10aは、環状構造体10aとゴム層11とがより確実に固定され、耐久性が向上するため好ましい。また、凹凸部10Tは、環状構造体10aの幅方向両端部に作用する圧縮応力を緩和することができるので、タイヤ1の接地部で周方向のバックリングを抑制できる。その結果、タイヤ1の耐久性が向上する。凹凸の間隔は等間隔でもよいが、ユニフォミティーの次数成分が出る場合には不等間隔とすることが好ましい。
貫通孔10Hは、1つの断面積が0.1mm以上100mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.12mm以上80mm以下、さらに好ましくは0.15mm以上70mm以下である。このような範囲であれば、カーカス部12の凹凸を抑制し、かつ、接着による結合、すなわち、化学的な結合も十分に利用することができる。さらに、上述した範囲であれば、上述した物理的作用、すなわち、アンカー効果が最も効果的に発生する。これらの作用により、環状構造体10とゴム層との結合を強化することができる。
貫通孔10Hの形状は問わないが、円形か楕円形が好ましい(本実施形態では円形)。また、貫通孔10Hは、等価直径4×A/C(Cは貫通孔10Hの周長、Aは貫通孔4Hの開口面積)を0.5mm以上10mm以下とすることが好ましい。貫通孔10Hは、形状が円形かつ直径は1.0mm以上8.0mm以下がより好ましい。このような範囲であれば、物理的及び化学的結合を有効に利用できるので、環状構造体10とゴム層11とはより強固に結合される。なお、後述するように、貫通孔10Hの等価直径又は直径は、すべて同一でなくてもよい。
貫通孔10Hの面積の総和は、環状構造体10の径方向外側の表面積に対して0.5%以上30%が好ましく、より好ましくは1.0%以上20%以下、さらに好ましくは1.5%以上15%以下である。このような範囲であれば、物理的及び化学的結合を有効に利用しつつ、環状構造体10の強度も確保できる。その結果、環状構造体10とゴム層11とはより強固に結合されるとともに、環状構造体10に必要な剛性を確保できる。なお、後述するように、貫通孔10Hの間隔は不等間隔であってもよいし、等間隔であってもよい。このようにすることで、タイヤ1の接地形状の制御することもできる。
環状構造体10は、複数の貫通孔10Hが穿孔された長方形形状の板材の短辺投同士を突き合わせて溶接することにより製造することができる。このようにすれば、比較的簡単に環状構造体10を製造することができる。また、環状構造体10の製造方法はこれに限定されるものではない。例えば、円柱の外周部に複数の穴を形成した後、円柱の内部を削り出すことにより、環状構造体10を製造してもよい。
環状構造体10の外側10soとゴム層11の内側11siとは互いに接触している。本実施形態において、環状構造体10とゴム層11とは、例えば接着剤によって固定されている。このような構造により、環状構造体10とゴム層11との間で相互に力を伝達できる。環状構造体10とゴム層11とを固定する手段は、接着剤に限定されるものではない。また、環状構造体10は、ゴム層の径方向外側には露出しないことが好ましい。このようにすれば、環状構造体10とゴム層11とをより確実に固定できる。さらに、環状構造体10は、ゴム層11内に埋設されていてもよい。このようにしても、環状構造体10とゴム層11とをより確実に固定できる。
ゴム層11は、合成ゴムや天然ゴム又はこれらを混合したゴム材料と、当該ゴム材料に補強材として添加される炭素やSiO等を含む。ゴム層11は、無端のベルト状の構造体である。図1に示すように、本実施形態において、ゴム層11は、外側11soに複数の溝(主溝)Sを有している。ゴム層11は、溝Sの他にもラグ溝を有していてもよい。
カーカス部12は、タイヤ1に空気を充填した際に、環状構造体10とともに圧力容器としての役目を果たす強度メンバーである。カーカス部12及び環状構造体10は、内部に充填された空気の内圧によってタイヤ1に作用する荷重を支え、走行中にタイヤ1が受ける動的荷重に耐える。本実施形態において、タイヤ1のカーカス部12は、内側にインナーライナー14を有する。インナーライナー14によって、タイヤ1の内部に充填された空気の漏洩を抑制する。両方のカーカス部12は、径方向内側に、それぞれビード部13を有する。ビード部13は、タイヤ1が取り付けられるホイールのリムと嵌合する。なお、カーカス部12は、ホイールのリムと機械的に結合していてもよい。
図4は、環状構造体とゴム層との子午断面図である。環状構造体10の弾性率は、70GPa以上250GPa以下が好ましく、80GPa以上230GPa以下とすることがより好ましい。また、環状構造体10の厚みtmは、0.1mm以上0.8mm以下とすることが好ましい。この範囲であれば、耐圧性能を確保しつつ、繰り返し曲げに対して耐久性を確保できる。環状構造体10の弾性率と厚みtmとの積(剛性パラメータという)は、7以上200以下とすることが好ましく、8以上184以下とすることがより好ましい。
剛性パラメータを上記の範囲とすることにより、環状構造体10は、子午断面内の剛性が大きくなる。このため、タイヤ1に空気を充填したとき、及びタイヤ1が路面に接地したときにおいては、環状構造体10によってトレッド部となるゴム層11の子午断面内における変形が抑制される。その結果、タイヤ1は、前記変形にともなう粘弾性エネルギの損失が抑制される。また、剛性パラメータを上記の範囲とすることにより、環状構造体10は、径方向における剛性は小さくなる。このため、タイヤ1は、従来の空気入りタイヤと同様に、路面との接地部でトレッド部が柔軟に変形する。このような機能により、タイヤ1は、接地部における局所的な歪み及び応力の集中を回避しながら偏心変形するので、接地部における歪みを分散させることができる。その結果、タイヤ1は、接地部におけるゴム層11の局所的な変形が抑制されるので、接地面積が確保され、転がり抵抗が低減される。
さらに、タイヤ1は、環状構造体10の面内剛性が大きいこと及びゴム層11の接地面積を確保できる結果、周方向における接地長さを確保できることから、舵角が入力されたときに発生する横力が大きくなる。その結果、タイヤ1は、大きなコーナーリングパワーを得ることができる。また、環状構造体10を金属で製造した場合、タイヤ1の内部に充填された空気は環状構造体10をほとんど透過しない。その結果、タイヤ1の空気圧の管理が容易になるという利点もある。このため、長期にわたり、タイヤ1に空気を充填しないような使用態様に対しても、タイヤ1の空気圧低下を抑制できる。
環状構造体10の外側10soと、ゴム層11の外側11soとの距離tr(ゴム層11の厚み)は、3mm以上20mm以下であることが好ましい。距離trをこのような範囲とすることで、乗り心地を確保しつつ、コーナーリング時におけるゴム層11の過度な変形を抑制できる。環状構造体10の中心軸(Y軸)と平行な方向、すなわち幅方向における環状構造体10の寸法(環状構造体幅)Wmは、図1に示す中心軸(Y軸)と平行な方向におけるタイヤ1の総幅(JATMA規定リム幅のホイールに組んで300kPaの空気を充填した状態)Wの50%(W×0.5)以上95%(W×0.95)以下とすることが好ましい。WmがW×0.5よりも小さい場合、環状構造体10の子午断面内における剛性が不足する結果、タイヤ幅に対して偏心変形を維持する領域が減少する。その結果、転がり抵抗を低減させる効果及びコーナーリングパワーも減少してしまうおそれがある。また、WmがW×0.95を超えると、接地時においてトレッド部が環状構造体10を中心軸(Y軸)方向に座屈変形させ、環状構造体10の変形を招くおそれがある。W×0.5≦Wm≦W×0.95とすることで、転がり抵抗を低減させつつコーナーリングパワーを維持し、さらに、環状構造体10の変形も抑制できる。
タイヤ1は、図1に示す子午断面において、ゴム層11の外側11so、すなわちトレッド面のプロファイルは、溝の部分(この例では主溝Sc)を除き、環状構造体10の外側10soと同様の形状であることが好ましい。このような構造により、タイヤ1の接地時や転動時においては、トレッド部となるゴム層11と、環状構造体10とは略同様に変形する。その結果、タイヤ1は、ゴム層11の変形が少なくなるので、粘弾性エネルギの損失はより小さくなり、転がり抵抗もより小さくなる。
ゴム層11の外側11soと、環状構造体10の外側10soとが、タイヤ1の径方向外側に向かって突出したり、径方向内側に向かって突出したりすると、タイヤ1の接地部における圧力分布が不均一となる。その結果、接地部には局所的な歪み及び応力の集中が発生し、接地部においてゴム層11が局所的に変形するおそれがある。本実施形態において、タイヤ1は、図3に示すように、ゴム層11の外側11so(タイヤ1のトレッド面)と、環状構造体10の外側10soとは同様の形状(好ましくは平行)であり、さらに、ゴム層11及び環状構造体10(すなわち、構造体2)の中心軸(Y軸)と平行(公差、誤差を含む)であることが好ましい。このような構造により、タイヤ1の接地部を略平坦にすることができる。そして、タイヤ1は、接地部における圧力分布が均一になるので、接地部の局所的な歪み及び応力の集中が抑制され、接地部におけるゴム層11の局所的な変形が抑制される。その結果、タイヤ1は、粘弾性エネルギの損失は小さくなるので、転がり抵抗も小さくなる。また、タイヤは、接地部におけるゴム層11の局所的な変形が抑制されるので、接地面積を確保でき、同時に周方向の接地長さを確保できる。このため、タイヤ1は、コーナーリングパワーも確保できる。
本実施形態においては、子午断面におけるゴム層11の形状は、ゴム層11の外側11soと環状構造体10の外側10soとがこれらの中心軸(Y軸)と平行であれば、特に形状は限定されない。例えば、子午断面におけるゴム層11の形状は、台形や平行四辺形であってもよい。子午断面におけるゴム層11の形状が台形である場合、台形の上底と下底とのいずれがゴム層11の外側11soであってもよい。いずれの場合であっても、環状構造体10の部分のみ、タイヤ1のトレッド面のプロファイル(溝の部分を除く)と平行であればよい。
図5から図8は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の貫通孔の分布を示す説明図である。図中のWは環状構造体の幅方向を示し、Cは周方向を示す(以下の例でも同様)。本実施形態において、環状構造体10は、少なくとも、溝(図5、図6に示す例では主溝Sc)が設置された領域(溝設置領域)Asにおける貫通孔10Hの開口率は、溝の周りの領域(溝周辺領域)NAsよりも低い。図5はタイヤ1が3本の主溝(周方向溝)Scを有している例を示しており、図6は、タイヤ1が4本の主溝Scを有している例を示している。図7はタイヤ1が4本の主溝(周方向溝)Scと幅方向両側に複数のラグ溝Srとを有している例を示しており、図8は、タイヤ1が4本の主溝Scと幅方向両側及び中央部に複数のラグ溝Srを有している例を示している。これらの例では、環状構造体10は、溝設置領域Asには貫通孔10Hが設けられておらず、溝周辺領域NAsに貫通孔10Hが設けられている。このため、環状構造体10は、溝設置領域Asにおける貫通孔10Hの開口率は、溝周辺領域NAsよりも低くなっている。
一般に、タイヤは、溝が設けられる部分の曲げ剛性が低い。本実施形態において、環状構造体10は、溝の下に貫通孔10Hを設けない又は減らす、すなわち、溝設置領域Asにおける貫通孔10Hの開口率を溝周辺領域NAsよりも低くすることで、溝設置領域Asの曲げ剛性を溝周辺領域NAsよりも向上させることができる。その結果、タイヤ1全体の曲げ剛性の不均一を抑制できるので、耐久性及び走行安定性が改善される。開口率は、向上させたいタイヤの特性によって、開口率の変化量を任意に調整することが好ましい。
また、溝設置領域Asに貫通孔10Hを配置すると、加硫金型の溝に対応する突起に押されてトレッド部となるゴムが環状構造体10の径方向内側に流れてしまい、加硫の不良が発生する場合がある。溝設置領域Asにおける貫通孔10Hの開口率を溝周辺領域NAsよりも低くすることで前記ゴムが環状構造体10の径方向内側に流れてしまうことを抑止することができる。その結果、加硫の不良を抑制できるので、製造されたタイヤ1の品質向上及び歩留の向上を図ることができる。
なお、溝設置領域As、すなわち、溝の直下の領域(すなわち、溝を環状構造体10に投影した領域)のみでなく、溝設置領域の近傍で開口率が下がっているとよい。溝が主溝Scである場合、溝設置領域Asの近傍とは、主溝Scの幅に、幅方向両側に最大15mmを加算した幅の領域である。溝がラグ溝Srである場合、溝設置領域As近傍とは、ラグ溝Srの幅に、幅方向両側に最大10mmを加算した幅の領域である。
環状構造体10は、貫通孔10Hの開口面積の合計が、環状構造体10が貫通孔10Hを有さない場合の径方向外側における表面積に占める割合が、周方向溝、すなわち主溝Scの周りの領域(溝周辺領域NAs)において1%以上30%以下であり 、主溝Scが設置された領域(溝設置領域As)では0.5%以上15%以下であることが好ましい。主溝Scの溝周辺領域NAsで上述した範囲内であれば、環状構造体10の曲げ剛性を向上させる効果を確保しつつ、環状構造体10とゴム層11との結合をより強固なものにすることができる。その結果、タイヤ1の性能及び耐久性を確保することができる。
図9、図10は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の変形例を示す平面図である。図9は、主溝Scのみを有するタイヤに対応する環状構造体10aを示し、図10は、主溝Sc及びラグ溝Srの両方を有するタイヤに対応する環状構造体10bを示す。環状構造体10a、10bは、貫通孔10Hの配列間隔は同一であるが、溝設置領域Asの貫通孔10Hの面積は、溝周辺領域NAsの貫通孔10Hの面積よりも小さい。このようにすることで、環状構造体10a、10bは、溝設置領域Asにおける貫通孔10Hの開口率を、溝周辺領域NAsよりも低くしている。このようにしても、上述した環状構造体10と同様の作用、効果を得ることができる。
図11−1から図14−2は、本実施形態に係るタイヤを加硫金型内で加硫するときの状態を示す模式図である。これらを用いて、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法を説明する。まず、複数の貫通孔10Hを有する円筒形状の環状構造体10(図2−1参照)を得る。次に、環状構造体10の径方向外側及び径方向内側に、それぞれ加硫前のゴムを配置して、グリーンタイヤを作製する。径方向内側に配置される第2ゴム21は、主として環状構造体10との接着を目的としたゴムである。グリーンタイヤは、図11−1に示すように、第1ゴム20(加硫前)と、第2ゴム21(加硫前)と、環状構造体10と、カーカス22(加硫前)と、インナーライナー23(加硫前)との積層体である。加硫時には、グリーンタイヤは、加硫金型25の内側に配置される。第1ゴム20と第2ゴム21とは、加硫後に図1に示すゴム層11となる。第1ゴム20と第2ゴム21とは、環状構造体10が有する複数の貫通孔10Hで接触している。
この状態で、前記積層体をインナーライナー23側から加硫金型25に向かって加硫ブラダー等により圧力Pを付与して加圧するとともに加熱する。環状構造体10は弾性率が高いため、加硫の圧力で径方向に膨張しにくい。このため、前記積層体を加圧した場合、インナーライナー23側の加硫ブラダー等の圧力がトレッド部となる第1ゴム20まで伝達しにくくなり、加硫の不良等が発生するおそれがある。本実施形態においては、環状構造体10の径方向内側に第2ゴム21を配置し、図11−2に示すように、第2ゴム21を加硫ブラダー等の圧力により環状構造体10が有する貫通孔10Hを通過させ、環状構造体10の径方向外側に押し出すことで、トレッド部となる第1ゴム20に圧力を与えることができる。その結果、加硫の不良等を抑制し、製造されたタイヤ1の品質向上及び歩留の向上を図ることができる。また、加硫時には、環状構造体10の貫通孔10Hを第2ゴム21が通過して、第1ゴムと結合される。その結果、環状構造体10は、貫通孔10Hを通過した第2ゴム21のアンカー効果により、第1ゴム20及び第2ゴム21と強固に結合される。この方法は、環状構造体10の径方向内側の面のみに、主として接着を目的とした第2ゴム21を設置し、接着ゴム層が環状構造体10を挟むように加硫される。この方法は、第2ゴム21を環状構造体10との接着性に特化した配合にするとよい。
図11−1、図11−2は、第2ゴム21の一部が貫通孔10Hを通過して第1ゴム20側に移動し、加硫後は、第1ゴム20と第2ゴム21との間に環状構造体10が配置される例を示している。図12−1、図12−2は、第2ゴム21がすべて貫通孔10Hを通過して第1ゴム20側に移動し、加硫後は、第1ゴム20とカーカス22との間に環状構造体10が配置される例を示している。これは、第2ゴム21の厚みあるいは加硫時の圧力Pを調整することにより、第2ゴム21の移動量を調整することができる。このように、環状構造体10は、貫通孔10Hを有するので、環状構造体10とカーカス22との間に存在するゴム層の厚みを比較的容易に調整することができる。この方法は、主として環状構造体10との接着を目的とした第2ゴム21を、環状構造体10の径方向内側の面のみに設置し、第2ゴム21が環状構造体10の径方向外側に移動するように加硫される。この方法は、第2ゴム21を薄くできるため、タイヤ1を軽量化できる。
図13−1、図13−2は、加硫前に第2ゴム21に環状構造体10を埋め込んでから加硫するものである。具体的には、第2ゴム21を環状構造体10の径方向内側と径方向外側とに設置しておけばよい。この方法は、環状構造体10の径方向外側に第1ゴム20が接触して残留することを回避したい場合に有効である。また、この方法は、環状構造体10と第2ゴム21との接着力は最大になる。図14−1、図14−2は、第1ゴム20に環状構造体10を埋め込み、第2ゴム21を用いないで第1ゴム20の径方向内側にカーカス22を配置してから加硫するものである。具体的には、環状構造体10の径方向外側と内側とに、第1ゴムを配置してから加硫する。この方法は、ゴムの種類を増加させないため、製造コストが低減できる。
図15〜図18は、貫通孔の開口率を求めるための説明図である。図19は、開口率と破断力比との関係を示す図である。環状構造体10が有する貫通孔10Hの開口率について説明する。図2に示す環状構造体10は貫通孔10Hを有するが、この場合、隣接する貫通孔10H、10Hの間の距離に環状構造体10の厚みを乗じて得られる断面積Sで、引っ張り力Fを受けることになる。この部分が、引っ張り力Fによって破断が想定される部分である。図19に示すように、8個の貫通孔10Hで囲まれた貫通孔10Hを単位区間10Uとして、環状構造体10が貫通孔10Hを有さない場合と、環状構造体10が貫通孔10Hを有する場合とにおいて、破断強度を求める。単位区間10Uは、隣接する貫通孔10H間の距離をb、貫通孔10Hの半径をrとした場合、一辺が2×(b+r)=Lの正方形となる領域である。
単位区画10Uにおける想定破断面の断面積比と開口率(貫通孔10Hがない状態に対する面積比)の関係を求めた。なお、破断力と断面積Aとは比例すると仮定した。図17、図18の単位区間10Uにおいては、いずれも板の厚みをtとした。貫通孔10Hが存在しない場合(図17)、破断面の応力σLは、式(1)で表すことができる。また、貫通孔10Hが存在しない場合(図18)、破断面の応力σBは、式(2)で表すことができる。Bは、2×b=L−2×r=L−2×√(α/π)である。αは開口率であり、π/Lである。
σL=F/(L×t)・・(1)
σB=F/(B×t)・・(2)
破断力比σL/σBは、B/L=1−2×√(α/π)になる。この関係を図19に示す。図19から、開口率αが20%を超えると破断力(破断力比)は半分以下になり、圧力容器としての性能に不足が生じるおそれがある。この場合、環状構造体10の厚みを大きくする必要があるが、その場合には繰り返し曲げ変形に対する耐久性が低下する。したがって、貫通孔10Hを有する環状構造体10の開口率αは、20%以下に抑えることが好ましい。
以上、本実施形態に係るタイヤは、弾性率と厚みとの積で規定される剛性パラメータが以上200以下の環状構造体と、環状構造体の外側に配置されるゴム層とを有する。このような構造により、本実施形態に係るタイヤは、接地部におけるゴム層の局所的な歪み及び応力の集中を回避しながら偏心変形するので、接地部における歪みを分散させることができる。その結果、本実施形態に係るタイヤは、接地部におけるゴム層の局所的な変形が抑制されるので、接地部においては歪及び応力集中が分散されて、転がり抵抗が低減する。このように、本実施形態は、空気入りタイヤの転がり抵抗を低減する構造を提供できる。また、引張強度が450N/mm以上2500N/mm以下の環状構造体を用いることにより、環状構造体は、充分な強度及び剛性を確保できるとともに、必要な靱性を確保できる。その結果、環状構造体は、十分な耐圧性能を確保できる。
さらに、環状構造体に貫通孔を設けてゴム層と環状構造体とを結合させるので、化学的結合に加え、物理的結合も利用して、両者を確実かつ強固に固定できる。その結果、本実施形態に係る空気入りタイヤは耐久性が向上する。また、環状構造体は、少なくとも、タイヤのトレッド部に溝が設置された領域に対応する領域における貫通孔の開口率は、前記トレッド部に前記溝が設置された領域の周りの領域に対応する領域よりも低くする。このようにすることで、本実施形態に係るタイヤは、溝が設置された部分の曲げ剛性の低下を抑制し、タイヤの性能及び耐久性を確保することができる。
また、上述した構造により、本実施形態に係るタイヤは、ゴム層が摩耗した場合には、ゴム層を環状構造体から取り外し、新しいゴム層を環状構造体に取り付ければよいので、リトレッドも容易である。そして、本実施形態に係る空気入りタイヤは、不具合が発生しない限り、カーカス及び環状構造体を複数回使用できるので、廃棄部品が少なくなり、環境負荷を低減できる。さらに、本実施形態に係る空気入りタイヤは、板状の部材を円筒状に成型して環状構造体とし、空気が充填される空間を環状構造体が囲むようになっている。このため、本実施形態に係る空気入りタイヤは、踏面(ゴム層の外側)から空気が充填される空間に対する異物の侵入は、環状構造体によって阻止される。このため、本実施形態に係る空気入りタイヤは、パンクしにくいという利点もある。
図20は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の製造方法の手順を示すフローチャートである。図21−1〜図21−3は、本実施形態に係るタイヤが有する環状構造体の製造方法の手順を示す説明図である。図21−3は、板材の板面と直交する平面で前記板材を切った断面図である。図21−4は、溶接部の厚みを示す断面図である。環状構造体10を製造するにあたり、まず、図21−1に示すように、平面視が長方形形状、かつ短手方向(図21−1の矢印Sで示す方向)における両端部30TS、30TSの、長手方向(図21−1の矢印Cで示す方向)における両端部30TL、30TL側に、短手方向と平行な方向の外側に突出する凸32部を有する板材30を作成する(ステップS101、図21−1)。短手方向における両端部30TS、30TSは、平面視が長方形形状の板材30の長辺に相当し、長手方向における両端部30TL、30TLは、平面視が長方形形状の板材30の短辺に相当する。板材30は、例えば、大きな金属の板状部材を切断することにより得ることができる。本実施形態において、板材30は複数の貫通孔30Hを有している。
次に、板材30の長手方向における両端部30TL、30TLを突き合わせ、溶接によって接合する(ステップS102、図21−2)。長手方向における両端部30TL、30TLは、板材30の長手方向(図21−2の矢印Cで示す方向)と直交することが好ましい。このようにすれば、環状構造体10が径方向に繰り返し変形することにより溶接部に繰り返し曲げが作用した場合、繰り返し曲げが作用する溶接部の長さを短くすることができるので、環状構造体10の耐久性低下を抑制することができる。その結果、環状構造体10をタイヤ1に用いた場合に、耐久性低下を抑制することができる。
溶接は、ガス溶接(酸素アセチレン溶接)、アーク溶接、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接、プラズマ溶接、MIG(Metal Inert Gas)溶接、エレクトロスラグ溶接、電子ビーム溶接、レーザービーム溶接、超音波溶接等を用いることができる。このように、板材の両端部を溶接することにより、簡単に環状構造体10を製造することができる。なお、溶接後の板材20に、熱処理と圧延との少なくとも一方を施してもよい。このようにすることで、製造される環状構造体10の強度を向上させることができる。熱処理は、例えば、析出硬化ステンレス鋼を用いる場合、一例として、500℃で60分保持する。熱処理の条件は、得たい特性によって適宜変更することができるので、前述の条件に限定されるものではない。
次に、溶接後の凸部32を除去して、図2−1に示す環状構造体10を得る(ステップS103、図21−3)。なお、環状構造体10に熱処理等を施す場合、溶接された円筒形状の板材30の凸部32を切断した後に施すことが好ましい。熱処理等によって溶接された円筒形状の板材30(環状構造体10)の強度が向上するため、熱処理等を施す前に凸部32を切断することにより、凸部32の切断が容易になる。環状構造体10が得られたら、図3に示すゴム層11及びカーカス部12を環状構造体10に取り付け、また、ビード部13をカーカス部12に設けて、グリーンタイヤを作製する(ステップS104)。その後、グリーンタイヤを加硫して(ステップS105)、図1に示すタイヤ1が完成する。なお、環状構造体10の製造方法は、上述したものに限定されない。例えば、円柱を切削加工することにより環状構造体10を製造してもよいし、押出成形により環状構造体10を製造してもよい。
環状構造体10は、図21−3に示すように溶接部10Wを有する。図21−4に示すように、溶接部10Wは、その周辺よりも厚みが大きくなってもよい。溶接部10Wは、溶接部10Wを除く領域での厚みtが0.1mm以上0.8mm以下、さらには0.15mm以上0.7mm以下であることが好ましい。また、溶接部10Wは、溶接部10Wの周辺よりも厚みが大きい部分の厚みが、周辺の厚みの1.3倍以下、さらには1.2倍以下であることが好ましい。この範囲であれば、耐圧性能を確保しつつ、繰り返し曲げの耐久性を確保できる。溶接部10Wを除く領域とは、溶接前における板材20の厚みであり、環状構造体10においては、溶接部10W以外であり、かつ厚みが一定になっている領域である。
本実施形態においては、溶接した後に、溶接された円筒形状の板材30に対する熱処理と、溶接された円筒形状の板材30を円筒の軸方向に引張る処理とのうち少なくとも一方を行うことが好ましい。このような処理によって、溶接加工によって変化した溶接部の材料特性(金属組織)を、非溶接部に近いものとすることができるので、溶接部での破断強度が高くなる。なお、この処理を行う場合、幅方向の寸法が大きい板材を溶接して長い円筒の部材を製造し、これに上記処理を加えた後に、前記円筒の部材の軸と直角に環状構造体幅Wm(ベルト幅)で切断することで、複数の環状構造体10を同時に製造することができる。
1、1a、1b、1c、101、101a 空気入りタイヤ(タイヤ)
2 構造体
2S 両側
10、10a、110、110a 環状構造体
10so、110so、110soa 外側
10si 内側
10T 凹凸部
11、111、111a ゴム層
11so、111so、111so 外側
11si 内側
12、12a、12b、12c カーカス部
12F 繊維
12R ゴム
13 ビード部
13h ヒール部
14 インナーライナー
Sc 主溝(周方向溝)
Sr ラグ溝

Claims (9)

  1. 円筒形状かつ複数の貫通孔を有する環状構造体と、
    前記環状構造体の外側に、前記環状構造体の周方向に向かって設けられてトレッド部となるゴム層と、
    前記ゴム層の径方向外側に設けられた複数の溝と、
    ゴムで被覆された繊維を有し、前記環状構造体と前記ゴム層とを含む円筒形状の構造体の中心軸と平行な方向における両側に少なくとも設けられるカーカス部と、を含み、
    少なくとも、前記溝が設置された領域における前記貫通孔の開口率は、前記溝が設置された領域同士の間の領域よりも低く、
    前記環状構造体の弾性率と前記環状構造体の径方向の厚みとの積がGPa・mm以上200GPa・mm以下である、
    空気入りタイヤ。
  2. 前記貫通孔の開口面積の合計は、前記環状構造体が前記貫通孔を有さない場合の径方向外側における表面積に占める割合が、周方向溝の周りの領域において1%以上30%以下であり、前記周方向溝が設置された領域では0.5%以上15%以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記貫通孔の面積の総和は、前記環状構造体の径方向外側の表面積に対して0.5%以上30%以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記貫通孔は、1つの断面積が0.1mm以上100mm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ゴム層の外側と、前記環状構造体の外側とは、前記ゴム層の溝の部分を除き、前記中心軸と平行である請求項1から4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記環状構造体は、前記カーカス部よりも前記構造体の径方向外側に配置される請求項1から5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記環状構造体は、金属である請求項1から6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記中心軸と平行な方向における前記環状構造体の寸法は、前記中心軸と平行な方向における前記空気入りタイヤの総幅の50%以上95%以下である請求項1から7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 円筒形状の環状構造体の外側に設けられてトレッド部となるゴム層を有する空気入りタイヤを製造するにあたり、
    複数の貫通孔を有し、かつ前記トレッド部の溝が設置された領域における前記貫通孔の開口率は、前記溝が設置された領域同士の間の領域よりも低い円筒形状の環状構造体であって、前記環状構造体の弾性率と前記環状構造体の径方向の厚みとの積がGPa・mm以上200GPa・mm以下である環状構造体を得る手順と、
    前記環状構造体の径方向外側及び径方向内側に、それぞれ加硫前のゴムを配置して、グリーンタイヤを作製する手順と、
    前記グリーンタイヤを加硫金型内に設置した後、前記グリーンタイヤの径方向内側から圧力及び熱を前記グリーンタイヤに与え、前記貫通孔を通って前記環状構造体の径方向内側のゴムを径方向外側へ通過させる手順と、
    を含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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