JP5748441B2 - シトルリンを有効成分として含有する骨量低下改善剤 - Google Patents
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Description
骨粗鬆症には、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症などが知られている。また、骨軟化症、副甲状腺機能亢進症などの疾患により、低骨量をきたす場合もある。骨粗鬆症が進行すると、骨折や骨の変形がおこりやすくなる。例えば、股関節の骨折は患者の自立歩行を困難とし、椎骨の圧迫骨折は老人性の円背につながるなど、患者のQOLは著しく低下する。
従来、骨粗鬆症の予防又は改善のために、カルシウム、ビタミンD、ビスホスホネート製剤またはカルシトニン等の摂取や、適度な運動、エストロゲンの補充等の手段が取られているが、安全で長期継続が可能である更なる手段が求められていた。これまでに、グルタミン酸塩(特許文献1:特表2005−518353)、必須アミノ酸の混合物(特許文献2:特表2005−505500)、酸性アミノ酸誘導体(特許文献3:特表2007−534610)またはネギ属植物に由来するγ−グルタミル−ペプチド(特許文献4:特表2007−512284)等も骨粗鬆症の予防又は改善のために有効であると知られている。
[1] シトルリンを有効成分として含有する、不動性骨粗鬆症または廃用性骨粗鬆症による骨量低下の予防及び/又は改善剤、
[2] シトルリンおよび製剤化のための補助剤のみを含む、前記[1]に記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤、
[3] シトルリンとしての1日当たりの摂取量が0.1〜10.0gである、前記[1]又は[2]に記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤、
[4] シトルリンとしての含有量が0.2〜100w/w %である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤、
[5] 不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症が全身性又は局所性である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤、
[6] 宇宙飛行士、長期療養者、対麻痺患者、廃用症候群患者、高齢者、骨折者に用いられる、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤、
[7] シトルリンを有効成分として含有する、不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症の予防及び/又は改善剤、
[8] シトルリンおよび製剤化のための補助剤のみを含む、前記[7]に記載の不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症の予防及び/又は改善剤、
[9] シトルリンとしての1日当たりの摂取量が0.1〜10.0gである、前記[7]又は[8]に記載の不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症の予防及び/又は改善剤、
[10] シトルリンとしての含有量が0.2〜100w/w %である、前記[7]〜[9]のいずれかに記載の不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症の予防及び/又は改善剤、
[11] 不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症が全身性又は局所性である、前記[7]〜[10]のいずれかに記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤、
[12] 宇宙飛行士、長期療養者、対麻痺患者、廃用症候群患者、高齢者、骨折者に用いられる、前記[7]〜[11]のいずれかに記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤、からなる。
また、従来知られる骨量低下予防及び/又は改善効果を有する医薬品や食品と併用して用いてもよい。具体的には、カルシウム、ビタミンD、ビスホスホネート類、カルシトニン等を挙げることができるが、これらの例に限定されない。
(動物実験)
7週齢のWistar系雄性ラット(日本チャールズリバー(株))16匹を購入し、5日間の馴化を行った後、平均体重がなるべく均一になるように、4試験群(Normal群、Unload群(対照群、シトルリン(Citrulline)投与群、非必須アミノ酸(NEAA)投与群)、各n=4)に分けた。群分け後、Unload群は尾部を懸垂し、後肢が地面に付かない状態(ラット頭部を水平面から約30°下方に傾けた状態)を保持して試験を開始し(day0)、そのまま1週間飼育した。Normal群は尾部懸垂群と同じケージ内で尾部を懸垂せずに試験を開始し(day0)、1週間飼育した。全ての期間を通じて、各試験群にはUV殺菌水を自由摂取させた。試験開始から1週間は、各試験群に表1の試験飼料を給与した。試験飼料の作成に用いたNEAA mix, シトルリンmixの組成の組成を表2に示す。Normal群および対照群にはAIN-93M(オリエンタル酵母社製)とコーンスターチを混合して作製した飼料[改変AIN-93M飼料]を給与した。シトルリン投与群にはシトルリンを飼料中に5%添加した飼料[シトルリン飼料]を給与した。NEAA投与群にはシトルリン添加飼料と同じN量となるようにNEAA混合物(L-Proline, L-Alanine, L-Histidine, L-Glycine, L-Aspartic acid, L-Serineを等モルで混合)を添加した飼料[NEAA飼料]を給与した。また、試験期間中、各群には各試験飼料を摂取量が同じになるようにペアフィーディングし、試験開始から1週間(day0〜day7)に各群の個体が摂取した餌の重量を測定した。
なお、AIN-93Mは、米国国立栄養研究所(American Institute of Nutrition)から1993年に発表されたマウス・ラット用の栄養研究のための標準精製飼料組成である。
測定値は全て平均値±標準誤差で表した。統計解析は、Normal群と他群間の平均値の有意差検定をDunnett多重検定法によって行った。
結果を表3および図2に示す。表3に示された通り、シトルリン投与群が7日間に摂取したシトルリンの平均摂取量は8.07gであった(一日当たりのシトルリン平均摂取量は1.15g/day)。また、試験開始から7日後(day7)のシトルリン投与群の平均体重が287.5gであったから、一日当たりのシトルリン平均摂取量は4.01g/kg/dayに相当する。また、day7の体重および摂餌量については、各群に差は認められなかった。
図2に示された通り、対照群は、Normal群と比べ有意に骨密度が減少した(図2)。これによって、本実施例で用いた尾部懸垂モデルにおいて、不動性の骨粗鬆症が発生したことを確認できた。また、シトルリン投与群は骨密度が減少しなかったのに対し、非必須アミノ酸投与群では有意に骨密度が減少した。よって、シトルリンは不動性の骨量低下を抑制し、その効果は単に飼料中の窒素含量の効果ではないことが示された。
Claims (12)
- シトルリンを有効成分として含有する、不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症による骨量低下の予防及び/又は改善剤。
- シトルリンおよび製剤化のための補助剤のみを含む、請求項1に記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤。
- シトルリンとしての1日当たりの摂取量が0.1〜10.0gである、請求項1又は2に記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤。
- シトルリンとしての含有量が0.2〜100w/w %である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤。
- 不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症が全身性又は局所性である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤。
- 宇宙飛行士、長期療養者、対麻痺患者、廃用症候群患者、高齢者、骨折者に用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤。
- シトルリンを有効成分として含有する、不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症の予防及び/又は改善剤。
- シトルリンおよび製剤化のための補助剤のみを含む、請求項7に記載の不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症の予防及び/又は改善剤。
- シトルリンとしての1日当たりの摂取量が0.1〜10.0gである、請求項7又は8に記載の不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症の予防及び/又は改善剤。
- シトルリンとしての含有量が0.2〜100w/w %である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症の予防及び/又は改善剤。
- 不動性骨粗鬆症又は廃用性骨粗鬆症が全身性又は局所性である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤。
- 宇宙飛行士、長期療養者、対麻痺患者、廃用症候群患者、高齢者、骨折者に用いられる、請求項7〜11のいずれか1項に記載の骨量低下の予防及び/又は改善剤。
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