JP5745962B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、液冷媒を循環させて半導体パッケージを冷却する冷却器を用いた半導体装置の構造およびその製造方法に関する。
半導体装置は高温で動作するため、冷却器と一体に配置されることがある。
例えば特許文献1には、半導体素子を収納した半導体パッケージと冷却管を交互に積層配置し、冷却管の両側には各々の冷却管に液冷媒を分流して循環させるための分流器を設けた構成が示されている。各冷却管は積層方向に開口した突出管部を備えており、突出管部同士を嵌合させると共に突出管部の側壁同士を接合することにより、分流器が冷却管と一体として形成されている。
このような、いわば棚状に並んだ冷却管の間に半導体パッケージやその他の積層する必要のある部材を挿入し、組み立てることにより冷却器が構成される。ここで冷却器と半導体パッケージを固定するために、積層した複数の冷却管と半導体パッケージを押圧し、冷却管や分流器の一部を変形させることによって、半導体パッケージと冷却管を接触させて固定する。
特開2007−53307号公報
特許文献1に記載の半導体装置の冷却構造では、組立ての際に半導体パッケージを押圧する荷重によって冷却器が変形する。この荷重が過大であれば、冷却管が過度に変形して冷却構造が損なわれる懸念がある。例えば、冷却管内部のフィンが変形することによる伝熱性能の悪化、圧力損失の上昇、又は熱リーク等の発生が懸念される。
このような懸念を解消するべく冷却器の変形を抑制しようとすれば、半導体パッケージを冷却器に対して十分に固定することができ少しの荷重で半導体パッケージを冷却器に固定させようと冷ないという問題がある。又、冷却管同士の距離を小さくすると、半導体パッケージの組付けが困難になるという問題がある。
この発明は上述の問題点に鑑みてなされたもので、組み付け容易であると共に製造工程で変形することなく、半導体パッケージに固定可能な冷却器を備える半導体装置及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明の半導体装置は、内部に冷媒通路を有する複数の冷却管と、各前記冷却管の一主面に固定された半導体パッケージと、複数の前記冷却管を離間配置した棚状の冷却構造体として積層すると共に、前記冷却構造体の端部において気密を保つためのシールスペーサ部と、前記冷却構造体の一端および他端に設けられ、各前記冷却管に冷媒を出し入れする一つの開口が前記シールスペーサ部と気密状に接続されたヘッダとを備え、シールスペーサ部は、冷却管の両端において冷却管の積層方向に冷却管から突出した突出部である。
本発明の半導体装置の製造方法は、(a)長さ方向と垂直な方向に突出した突出部を両端に有する冷却管を用意する工程と、(b)冷却管の一主面に半導体パッケージを固定してパワーユニットアセンブリを形成する工程と、(c)工程(b)の後、前記突出部同士を接合することにより、複数の前記パワーユニットアセンブリを積層して冷却構造体を形成する工程と、(d)工程(c)の後、ヘッダを、その開口が前記冷却管の開口と連続するようにして前記突出部と当接して前記冷却構造体に組み付ける工程と、(e)前記組み付け箇所の周縁をシールする工程とを備える。
本発明の半導体装置は、内部に冷媒通路を有する複数の冷却管と、各前記冷却管の一主面に固定された半導体パッケージと、複数の前記冷却管を離間配置した棚状の冷却構造体として積層すると共に、前記冷却構造体の端部において気密を保つためのシールスペーサ部と、前記冷却構造体の一端および他端に設けられ、各前記冷却管に冷媒を出し入れする一つの開口が前記シールスペーサ部と気密状に接続されたヘッダとを備え、シールスペーサ部は、冷却管の両端において冷却管の積層方向に冷却管から突出した突出部であるので、組み付け容易であると共に冷媒通路の気密を確実かつ容易に保つことが出来る。
本発明の半導体装置の製造方法は、(a)長さ方向と垂直な方向に突出した突出部を両端に有する冷却管を用意する工程と、(b)冷却管の一主面に半導体パッケージを固定してパワーユニットアセンブリを形成する工程と、(c)工程(b)の後、前記突出部同士を接合することにより、複数の前記パワーユニットアセンブリを積層して冷却構造体を形成する工程と、(d)工程(c)の後、ヘッダを、その開口が前記冷却管の開口と連続するようにして前記突出部と当接して前記冷却構造体に組み付ける工程と、(e)前記組み付け箇所の周縁をシールする工程とを備えるので、組み付け容易であると共に冷媒通路の気密を確実かつ容易に保つことが出来る。また、冷却管の変形を要する工程がないので、変形に伴う機械的ダメージを避けることが出来る。
実施の形態1に係る半導体装置の構成図である。 実施の形態1に係るパワーユニットアセンブリの構成を示す断面図である。 図1のA−A断面図である。 実施の形態1に係る半導体装置の組立て工程を示す図である。 実施の形態2に係る冷却管の構成を示す要部断面図である。 実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す要部断面図である。 実施の形態3に係る半導体装置の構成図である。
(実施の形態1)
<構成>
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の構成図である。この半導体装置は、半導体パッケージ1と、半導体パッケージ1を冷却する冷却器とを備える。半導体パッケージ1は、電気的回路を構成するトランジスタやダイオードなどの半導体素子を内部に収納し保護している。半導体素子は通電時に発熱して高温になるので、半導体パッケージ1は冷却器により冷却されて所定以下の温度に保たれる。
冷却器は、複数の冷却管2、入口側ヘッダ3、出口側ヘッダ4、入口側パイプ5、出口側パイプ6を備える。
図2(a)は冷却管2の長手方向断面図、図2(b)は冷却管2を図2のB方向から見た図である。図2(a)に示すように、冷却管2は内部に冷媒通路が形成された中空形状であって、両端に開口部を有している。また図2(b)に示すように、冷却管2の短手方向断面形状は長方形である。冷却管2の一主面には半導体パッケージ1が固定される。以下、冷却管2と半導体パッケージ1の接合体をパワーユニットアセンブリと呼ぶ。
複数のパワーユニットアセンブリは図1に示すように積層され、冷却構造体を構成する。以下、パワーユニットアセンブリの積層体を冷却構造体と呼ぶ。図2(a)に示すように、冷却管2はその両端においてパワーユニットアセンブリの積層方向に冷却管2からフランジ状に突出した突出部2aを有しており、冷却構造体では隣接する冷却管2の突出部2a同士が、図1に示す接合部位で当接し、接合される。このように、複数の冷却管2は突出部2a以外の部分において離間配置されて棚状の冷却構造体として積層することにより、半導体パッケージ1が高密度に配置され、半導体装置の小型化が可能になる。
図1に示すように、冷却構造体は入口側ヘッダ3及び出口側ヘッダ4と接合する。各冷却管2の一端が入口側ヘッダ3と接合し、他端で出口側ヘッダ4と接合する。入口側ヘッダ3及び出口側ヘッダ4は中空形状であって開口部を有しており、当該開口部が各冷却管2の開口と連続するようにして冷却管2と接合する。また、入口側ヘッダ3は入口側パイプ5に接続し、入口側パイプ5はポンプ(図示せず)に接続する。同じく出口側ヘッダ4は出口側パイプ6に接続し、出口側パイプ6は前記ポンプに接続する。
以上の要素で構成される冷却器はポンプを循環動力源とする冷媒通路を形成する。入口側パイプ5を通った冷媒は入口側ヘッダ3に流れ込み、さらに入口側ヘッダ3から各冷却管2に分流して冷却管2で半導体パッケージ1を冷却する。冷却管2を通過した冷媒は出口側ヘッダ4に集められ、出口側ヘッダ4から出口側パイプを通って再び入口側パイプへと流れ込む。
冷却管2は突出部2aを有しているので、冷却管2内部の冷媒通路を曲線にすることなく隣接する冷却管2同士を接続することが可能である。冷媒通路はほぼ直線状に形成されることから、冷却管2における圧力損失が小さくなり高い冷却性能が得られる。また、冷却管2が直線形状であることは、製造の簡単化の点でも有利である。
冷却器の外部に冷媒が漏れないよう、冷却管2と入口側ヘッダ3及び出口側ヘッダ4との接合部分において気密性を確保する。図1に示すように、隣接する冷却管2間で突出部2a同士が線状に当接し、当該当接箇所を接合することにより気密性が確保されている。すなわち、突出部2aは、冷却管2を離間配置して棚状の冷却構造体として積層すると共に、冷却構造体の端部における気密性を保つためのシールスペーサ部としての役割を果たす。
ここでシール方法には、溶接、ろう付、圧接など様々な方法があるが、溶融溶接やろう付によりシールする方法が信頼性は高い。例えば、レーザなどのビーム源を熱源とする溶接やろう付であれば、溶接箇所が3次元的に入り組んだ構造でも容易に溶接することができる。
図3は図1のA−A断面図である。図3には、冷却構造体と出口側ヘッダ4との接合箇所を示しているが、入口側ヘッダ3との接合箇所もこれと同様である。出口側ヘッダ4と冷却構造体の取り付け箇所の周縁を図3のようにシールする。このシール方法にも、溶接、ろう付、圧接などの方法があるが、溶融溶接やろう付によりシールする方法が信頼性は高い。例えば、レーザなどのビーム源を熱源とする溶接やろう付であれば、溶接箇所が3次元的に入り組んだ構造でも容易に溶接することができる。突出部2aの周縁をシールするので、シール箇所に十分な面積が確保されて信頼性が向上すると共に、シールの作業性も向上する。
半導体素子を収納する半導体パッケージ1は、図2に示すように冷却管2の上に搭載されてパワーユニットアセンブリを構成する。半導体素子は冷却管2によって冷却される必要があるため、半導体パッケージ1は冷却管2に固着され機械的に保持される。固着方法については例えば、グリス、接着剤、粘着剤を用いる方法や金属接合などがあり、これらを用いて半導体パッケージ1を簡単に冷却管2へ固着することが出来る。グリスなどが介在するだけでは十分な固着強度が保てない場合には、例えば締結などの方法で強度確保を行う。
各パワーユニットアセンブリを構成する半導体パッケージ1や冷却管2には、同一のものを用いることが出来るので、半導体パッケージ1と冷却管2を大量製造することによって生産性の向上とコストの低減を図ることができる。
<製造工程>
次に、図4を用いて実施の形態1の半導体装置の組み上げ手順を説明する。まず、冷却管2に半導体パッケージ1を固着したパワーユニットアセンブリを複数用意し、これらを積層して冷却構造体を形成する(図4(a))。隣接する冷却管2同士の突出部2aを当接し、当接部を溶接などで接合することにより、複数のパワーユニットアセンブリが一つの冷却構造体に組み上げられる。
その後、入口側ヘッダ3と出口側ヘッダ4を冷却構造体に組み付け(図4(b))、組付箇所を溶接する(図4(c))。図3に示したように、組み付け箇所の周縁を溶接などでシールする。このように、組み付け箇所の周縁及び突出部2aの当接部をしっかりとシールすることによって、冷媒通路の気密性を確保する。
以上の工程では、半導体パッケージ1を冷却管2に固着した後にパワーユニットアセンブリの積層やヘッダの取り付けを行う。そのため、半導体パッケージ1を冷却管2に固定するべく冷却管2やヘッダ3,4を変形させる必要がない。そのため、当該変形によって冷却効率が低減したり、シール箇所の信頼性が低減したりすることを抑制できる。
また、パワーユニットアセンブリや冷却構造体は、一方向組立で製造できるので、生産しやすいという利点がある。
図1、4では、半導体パッケージ1と冷却管2が交互に並ぶようにパワーユニットアセンブリを積層する様子を示しているが、冷却管2の半導体パッケージ1が接続される面とは反対側の面同士が対向するようにパワーユニットアセンブリを積層しても良い。
また、冷却管2は冷媒との接触面積を増加させるべく、内部に波板状などの構造体を含むことが好ましい。また、当該構造体を冷却管2の半導体パッケージ1と接続する面及び反対側の面の内壁に接合すれば、冷却管2の剛性が向上して形状のばらつきが低減する。例えば、冷媒通路を開口した1枚以上のプレートを冷却管2の内壁間に積層すると、冷却管2の剛性が向上する。
なお、冷却管2と隣接する冷却管2に搭載された半導体パッケージ1との間の空間に伝熱部材を挿入しても良い。半導体パッケージ1は半導体素子の動作時の発熱により昇温するが、その温度は半導体素子の損失ばらつきや半導体パッケージ2の熱抵抗のばらつきによって各半導体パッケージ1間で異なり、半導体装置の冷却性能は最も高温になる半導体パッケージ1との関係で定まる。しかし、冷却管2と隣接する冷却管2に搭載された半導体パッケージ1との間の空間に伝熱部材を挿入することによって、半導体パッケージ1の冷却を、これが搭載された冷却管2のみならず隣接する冷却管2によって効率良く冷却することが出来る。伝熱部材には熱伝導性の高い金属やセラミックからなるプレート部材を用いることが好ましい。あるいは、樹脂を用いれば隙間に充填し易いので作業性の観点から好ましい。樹脂を用いる場合には、金属や無機材料からなる粒子を樹脂に混合すると、より伝熱性が高くなり好ましい。さらには、上述のプレート部材と樹脂を組み合わせて用いても良い。また、半導体素子から隣接する冷却管にいたる半導体パッケージ本体に伝熱部材をモールドなどの方法で一体化して形成すれば、組み付ける手間を省くことができる。
なお、半導体パッケージ1が収納する半導体素子に、耐熱性が高いSiCを主成分とするものを採用すれば、冷却能力をより小さくしても実用できるため、冷却器をよりコンパクトにすることができる。
<効果>
実施の形態1の半導体装置は、内部に冷媒通路を有し外部に主面を有する複数の冷却管2と、各冷却管2の前記主面に固定された半導体パッケージ1と、複数の冷却管2を離間配置した棚状の冷却構造体として積層すると共に、前記冷却構造体の端部において気密性を保つためのシールスペーサ部と、前記冷却構造体の一端および他端に設けられ、各冷却管2に冷媒を出し入れする一つの開口が前記シールスペーサ部と気密状に接続されたヘッダ3,4とを備える。複数の冷却管2を棚状に配置することにより、半導体パッケージ1を高密度に配置することが可能になり、半導体装置の小型化に貢献する。また、シールスペーサ部を設け、ヘッダ3,4をシールスペーサ部と気密状に接続することにより、冷媒通路の気密化を確保する。
また、前記シールスペーサ部は、冷却管2の両端において冷却管2の積層方向に冷却管2から突出した突出部2aであり、冷却構造体において隣接する冷却管2の突出部2a同士が接合されるので、冷却管2内部の冷媒通路を曲線にせずに隣接する冷却管2同士を接続できる。冷媒通路はほぼ直線状に形成されることから、冷却管2における圧力損失が小さくなり高い冷却性能が得られる。また、冷却管2が直線形状であることは、製造の簡単化の点でも有利である。
さらに、一の冷却管2に固定された半導体パッケージ1と、これに隣接した冷却管2との間のギャップを伝熱部材で埋めることにより、半導体パッケージ1の冷却を、これが搭載された冷却管2のみならず隣接する冷却管2によって効率良く冷却することが出来る。
また、SiCを主成分とする半導体素子を用いれば、冷却能力をより小さくしても実用可能なため、冷却器をよりコンパクトにすることができ、半導体装置の小型化に貢献する。
実施の形態1の半導体装置の製造方法は、(a)長さ方向と垂直な方向に突出した突出部2aを両端に有する冷却管2を用意する工程と、(b)冷却管2の一主面に半導体パッケージ1を固定してパワーユニットアセンブリを形成する工程と、(c)工程(b)の後、突出部2a同士を接合することにより、複数の前記パワーユニットアセンブリを棚状に積層して冷却構造体を形成する工程と、(d)工程(c)の後、1つの開口を有するヘッダ3,4を、その開口が複数の冷却管2の開口と連続するように突出部2aと当接して前記冷却構造体の一端および他端に組み付ける工程と、(e)前記組み付け箇所の周縁をシールする工程とを備える。予め半導体パッケージ1を冷却管2に固着した状態で冷却器の組立てを行っていくので、半導体パッケージ1を冷却管2に固着する過程で冷却管2やヘッダ3,4を変形させることがない。そのため、当該変形によって冷却効率が低減したり、シール箇所の信頼性が低減したりすることを抑制できる。
また、実施の形態1の半導体装置の製造方法は、(f)半導体パッケージ1と、前導体パッケージ1が固定された冷却管2に隣接する冷却管2の間に伝熱部材を挿入する工程をさらに備えるので、半導体パッケージ1の冷却を、これが搭載された冷却管2のみならず隣接する冷却管2によって冷却する、冷却効率の高い半導体装置を製造出来る。
また、工程(b)は、冷却管2の一主面にSiCを主成分とする半導体素子を収納した半導体パッケージ1を固定する工程であるので、冷却器を小型化することによって半導体装置の小型化が可能である。
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2の半導体装置における冷却管2の突出部2bの構成を示す要部拡大図である。この突出部2bでは、冷却管2の一方向に突出した部分が、他方向に突出した部分よりも冷却管2の長さ方向に突出部2bの厚みだけずらして形成される。
複数の冷却管2の突出部2bが全てこのように構成されることにより、隣接する冷却管2の突出部2b同士は、図5に示すようにその側面で当接する。側面で当接することにより、突出部2bに一定の寸法ばらつきがあってもなお当接することが可能である。そして、当接部分を溶接することにより冷媒通路の気密性を確保する。
このように、パワーユニットアセンブリを積層する際に冷却管2の寸法ばらつきを吸収する手段を設けることにより、冷却管2の寸法に高い精度を求めなくても冷却構造体を形成することが可能となり、製造コストが低減する。なお、寸法ばらつきの吸収手段は図5に示すものに限定しない。
冷却管2の寸法公差により、パワーユニットアセンブリの積層体である冷却構造体の寸法にもばらつきが生じる。そこで、図6に示すように冷却構造体と組み付ける出口側ヘッダ4の側にも寸法ばらつきの吸収手段を設ける。出口側ヘッダ4の開口部の周縁をその外側よりも一段低い受け部とし、受け部に冷却構造体を組み付けるが、ここで受け部の幅を冷却構造体の寸法よりも若干大きく形成する。これにより、冷却構造体の寸法が多少変動しても、出口側ヘッダ4の受け部に冷却構造体を組み付けることができ、当接部分を溶接することにより冷媒通路の気密性を確保することが出来る。各部材の寸法を厳格に揃えなくとも、組み付け箇所の気密性を確保できることから、信頼性の確保と製造コストの抑制が可能である。なお、入口側ヘッダ3も出口側ヘッダ4と同じように構成する。
これ以外の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
<効果>
実施の形態2の半導体装置において、突出部2bのうち一方向に突出した部分は、他方向に突出した部分よりも突出部2bの厚みだけ冷却管2の長手方向にずらして設けられるので、隣接する冷却管2の突出部2b同士は側面で当接する。そのため、冷却管2に一定の寸法ばらつきがあっても突出部2b同士はなお当接する。当接部分を溶接することにより、冷媒通路の気密性を確保することが出来る。これにより、冷却管2の寸法に高い精度を必要としないので、製造コストを低減できる。
また実施の形態2の半導体装置において、ヘッダ(入口側ヘッダ3、出口側ヘッダ4)の開口の周縁部は、その外側より一段低い受け部として形成され、冷却構造体は当該受け部に接合されるので、冷却構造体やヘッダに一定の寸法ばらつきがあっても、ヘッダの受け部に冷却構造体を組み付けることができ、当接部分を溶接することにより冷媒通路の気密性を確保することが出来る。冷却管2やヘッダの寸法に高い精度を必要としないので、信頼性の確保と製造コストの抑制が可能である。
また、実施の形態2の半導体装置の製造方法において、突出部2bのうち一方向に突出した部分が他方向に突出した部分よりも突出部2bの厚みだけ冷却管2の長手方向にずらして形成された冷却管2を用意する工程を備えるので、冷却管2に一定の寸法ばらつきがあってもなお、突出部2b同士を互いの側面に当接させることができ、当接部分を溶接することにより冷媒通路の気密性を確保することが出来る。これにより、冷却管2の寸法に高い精度を必要としないので、製造コストを低減できる。
また、実施の形態2の半導体装置の製造方法において、外側より一段低く形成された入口側ヘッダ3及び出口側ヘッダ4の開口の周縁部を、突出部2aと当接して冷却構造体に組み付けるので、冷却構造体やヘッダに一定の寸法ばらつきがあっても、ヘッダの受け部に冷却構造体を組み付けることができ、当接部分を溶接することにより冷媒通路の気密性を確保することが出来る。冷却管2やヘッダの寸法に高い精度を必要としないので、信頼性の確保と製造コストの抑制が可能である。
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係る半導体装置の構成図である。この半導体装置は冷却構造体をその積層方向に押圧する押圧機構を備える。押圧機構は、冷却構造体の上方で入口側ヘッダ3と出口側ヘッダ4間に亘る支持部材7と、支持部材7に取り付けられたばね8を備える。なお、押圧機構は冷却構造体の上方のみならず下方に設けても良い。押圧機構以外の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
支持部材7は、冷却構造体に入口側ヘッダ3と出口側ヘッダ4を組み付ける際あるいは異なるタイミングで、入口側ヘッダ3と出口側ヘッダ4に組み付けられる。支持部材7とこれに相対する半導体パッケージ1間に設けられたばね8は、当該半導体パッケージ1を押圧する。
隣接するパワーユニットアセンブリ同士は、伝熱部材や緩衝部材を介し、あるいは直接に隙間無く接触している。冷却構造体の最上段に位置する半導体パッケージ1の主面を押圧すると、半導体パッケージ1と冷却管2の間の接合層に圧縮方向の力が加わり、接合層の機械的信頼性が向上する。特に、金属接合や接着剤などで接合している場合、半導体パッケージ1と冷却管2の線膨張係数差に起因する引張応力により接合層に亀裂が発生する場合があるが、圧縮方向に力を加えることで引張応力を小さくすることができ、亀裂に対して強くなる。
また、パワーユニットアセンブリ間に伝熱部材を設けている場合には、押圧することによって接触部位の伝熱性能が顕著に良くなるため、特に半導体パッケージ1から隣接する冷却管2への放熱が容易となり、装置全体としての冷却性能が格段に向上する。
ばね8による加圧が1点に集中しないよう、ばね8と半導体パッケージ1間に緩衝プレートを介在させても良い。しかし、半導体パッケージ1がトランスファーモールドやインジェクションモールドで半導体素子を収納する構成であれば、緩衝プレートを設けずに直接半導体パッケージ1を押圧しても、半導体パッケージ1表面の硬質なモールド構造体がばねの圧力を分散する役割を果たす。
<効果>
実施の形態3の半導体装置は、冷却構造体を積層方向に押圧する押圧機構を備えるので、半導体パッケージ1と冷却管2の接合層の信頼性を高める。また、パワーユニットアセンブリ間に伝熱部材を設けている場合には、押圧することによって接触部位の伝熱性能が顕著に向上するため、半導体パッケージ1から隣接する冷却管2への放熱が容易となり、装置全体としての冷却性能が格段に向上する。
また、実施の形態3の半導体装置において、半導体パッケージ1はトランスファーモールド又はインジェクションモールドで半導体素子を収納するので、押圧機構は緩衝プレートを介さずに直接半導体パッケージ1の主面を押圧することが可能になる。
実施の形態3の半導体装置の製造方法は、(g)前記冷却構造体を積層方向に押圧する押圧機構を形成する工程を備えるので、半導体パッケージ1と冷却管2の接合層の信頼性を高める。また、パワーユニットアセンブリ間に伝熱部材を設ける場合には、押圧することによって接触部位の伝熱性能が顕著に向上するため、半導体パッケージ1から隣接する冷却管2への放熱が容易となり、装置全体としての冷却性能が格段に向上する。
また、実施の形態3の半導体装置の製造方法では、トランスファーモールド又はインジェクションモールドで半導体素子を収納した前記半導体パッケージを採用するので、押圧機構は緩衝プレートを介さずに直接半導体パッケージ1の主面を押圧することが可能になる。
1 半導体パッケージ、2 冷却管、2a 突出部、3 入口側ヘッダ、4 出口側ヘッダ、5 入口側パイプ、6 出口側パイプ、7 支持部材、8 ばね。

Claims (15)

  1. 内部に冷媒通路を有し外部に主面を有する複数の冷却管と、
    各前記冷却管の前記主面に固定された半導体パッケージと、
    複数の前記冷却管を離間配置した棚状の冷却構造体として積層すると共に、前記冷却構造体の端部において気密性を保つためのシールスペーサ部と、
    前記冷却構造体の一端および他端に設けられ、各前記冷却管に冷媒を出し入れする一つの開口が前記シールスペーサ部と気密状に接続されたヘッダとを備え
    前記シールスペーサ部は、前記冷却管の両端において前記冷却管の積層方向に前記冷却管から突出した突出部である、
    半導体装置。
  2. 記冷却構造体において隣接する前記冷却管の前記突出部同士が接合される、
    請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記突出部のうち一方向に突出した部分は、他方向に突出した部分よりも前記突出部の厚みだけ前記冷却管の長手方向にずらして設けられる、
    請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 前記ヘッダの開口の周縁部は、その外側より一段低い受け部として形成され、
    前記冷却構造体は前記受け部と接合する、
    請求項3に記載の半導体装置。
  5. 一の前記冷却管に固定された前記半導体パッケージと、これに隣接した前記冷却管との間のギャップに形成された伝熱部材をさらに備える、
    請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
  6. 前記冷却構造体を積層方向に押圧する押圧機構をさらに備える、
    請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置。
  7. 前記半導体パッケージはトランスファーモールド又はインジェクションモールドで半導体素子を収納している、請求項6に記載の半導体装置。
  8. 前記半導体パッケージは、SiCを主成分とする半導体素子を収納する、
    請求項1〜7のいずれかに記載の半導体装置。
  9. (a)長さ方向と垂直な方向に突出した突出部を両端に有する冷却管を用意する工程と、
    (b)前記冷却管の一主面に半導体パッケージを固定してパワーユニットアセンブリを形成する工程と、
    (c)前記工程(b)の後、前記突出部同士を接合することにより、複数の前記パワーユニットアセンブリを棚状に積層して冷却構造体を形成する工程と、
    (d)前記工程(c)の後、1つの開口を有するヘッダを、その開口が複数の前記冷却管の開口と連続するようにして前記突出部と当接して前記冷却構造体の一端および他端に組み付ける工程と、
    (e)前記組み付け箇所の周縁をシールする工程とを備える、
    半導体装置の製造方法。
  10. 前記工程(a)は、前記突出部のうち一方向に突出した部分が他方向に突出した部分よりも前記突出部の厚みだけ前記冷却管の長手方向にずらして形成された冷却管を用意する工程である、
    請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
  11. 前記工程(d)は、外側より一段低く形成された前記ヘッダの開口の周縁部を、前記突出部と当接して前記冷却構造体に組み付ける工程である、
    請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
  12. (f)前記半導体パッケージと、前記半導体パッケージが固定された前記冷却管に隣接する前記冷却管の間に伝熱部材を挿入する工程をさらに備える、
    請求項9〜11のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  13. (g)前記冷却構造体を積層方向に押圧する押圧機構を形成する工程をさらに備える、
    請求項9〜12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記工程(b)は、トランスファーモールド又はインジェクションモールドで半導体素子を収納した前記半導体パッケージを固定する工程である、
    請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
  15. 前記工程(b)は、前記冷却管の一主面にSiCを主成分とする半導体素子を収納した前記半導体パッケージを固定する工程である、
    請求項9〜14のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
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