JP5743521B2 - 光学機器およびその制御方法 - Google Patents
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Description
大きな手ブレに対して補正制御を行う光学機器では、撮影モード(静止画撮影モードや動画撮影モードなど)に応じて、手ブレ補正用のシフトレンズの駆動範囲及び制御分解能を変更する。これにより撮影状態に応じて、目立つ揺れを対象として手ブレ補正を行える。
一方、画面の方位角によって画像劣化の度合が異なる、いわゆる片ボケと称する現象が知られ、撮影レンズの光学特性である片ボケ量については、シフトレンズの中心位置をずらすことで補正する、片ボケ補正が行われる。レンズ特性が個々に異なるため、光学機器の生産時に片ボケ量を計測し、装置ごとに調整することで片ボケ補正を個別的に行っている。
本発明の目的は、防振制御機能をもつ光学機器において、補正部材の駆動に係る制御分解能を切り替えて可動範囲を変更しても、画角変化が目立たない光学機器およびその制御方法を提供することである。
図1において、ズームユニット101は変倍用のズームレンズを含む。ズーム駆動制御部102はズームユニット101を駆動制御する。補正レンズユニット103は、撮像光学系の光軸に対して垂直な方向に移動可能な補正レンズ(シフトレンズ)を含む。補正レンズは光軸に対して直交する方向に駆動されることで、光学像のブレ量を低減する補正部材である。防振制御部104は補正レンズユニット103を駆動制御する。絞り・シャッタユニット105は露光制御に使用し、絞り・シャッタ駆動制御部106が駆動制御する。フォーカスユニット107はピント調節を行うフォーカスレンズを含み、フォーカス駆動制御部108が駆動制御する。
操作部115は、振れ補正(防振)モードを選択する不図示の防振スイッチを含む。ユーザ操作により防振スイッチで振れ補正モードが選択されると、システム制御部118は防振制御部104に防振動作を指示し、これを受けた防振制御部104は防振動作のオフ指示がなされるまで防振動作を行う。また操作部115は、ユーザが静止画撮影モードまたは動画撮影モードを選択するための撮影モード選択スイッチを含む。各撮影時モードにおいて補正レンズユニット103を駆動するアクチュエータの動作条件が変更される。なお、デジタルカメラの場合では操作部115に撮影モード選択スイッチが含まれるが、たとえばデジタル一眼レフカメラ用の交換レンズのような光学機器の場合は、レンズ側で撮影モード選択は行わない。そのため、本実施形態をデジタル一眼レフカメラ用の交換レンズに適用する場合は、カメラ本体からの撮影モード選択スイッチの情報を受ける受信部が撮影モード切替の指示を受信し、レンズに指示する手段としての働きをする。
操作部115はシャッタレリーズボタンを含み、その押し込み量に応じて第1スイッチ(SW1)および第2スイッチ(SW2)が順にオンする構成を有する。シャッタレリーズボタンが約半分押し込まれたときに第1スイッチSW1がオン状態となり、シャッタレリーズボタンが最後まで押し込まれたときに第2スイッチSW2がオン状態となる。SW1がオン状態になると、システム制御部118はフォーカス駆動制御部108、絞り・シャッタ駆動制御部106に指示を出す。この指示に従ってフォーカス駆動制御部108がフォーカスユニット107を駆動してピント調節を行うとともに、絞り・シャッタ駆動制御部106が絞り・シャッタユニット105を駆動して適正な露光量に設定する。さらに、SW2がオン状態になると、システム制御部118の制御下で、撮像部109に露光された光像から得た画像データが記憶部116に記憶される。
防振制御部104は、光学機器の振れの検出信号とシフトレンズの位置検出信号に基づき、振れ補正の目標位置を算出する。そして防振制御部104は、シフトレンズの位置が目標位置に収束するように指令信号を生成してシフトレンズ駆動部206に出力し、シフトレンズの駆動制御を行う。
角速度検出部201はジャイロセンサなどを用いて光学機器の振れを検出する振れ検出手段であり、本例では角速度データを検出し、検出電圧を出力する。角速度検出AD変換部202は、角速度検出部201の出力データをデジタルデータに変換する。ジャイロゲイン部203は角速度検出部201の出力のばらつきを揃える為の出力調整部であり、調整後の出力信号をキャンセル量算出部204に送る。キャンセル量算出部204は、角速度データを積分して角度データに変換し、手ブレ角度データとは逆方向のデータを手ブレキャンセルデータとする。キャンセル量算出部204はシフトレンズの駆動範囲に応じた特性変更を行い、揺れキャンセル量を算出する。キャンセル量算出部204の出力データはシフトレンズ位置制御部205へ送出される。
シフトレンズ位置制御部205は、キャンセル量算出部204からの揺れキャンセル量と、シフトレンズ位置AD変換部208からの位置データとの差分をとって偏差を算出し、この偏差がゼロに近づくようにフィードバック制御を行う。シフトレンズ位置制御部205は補正レンズユニット103の駆動制御信号をシフトレンズ駆動部206に出力する。シフトレンズ駆動部206は駆動制御信号に従って補正レンズユニット103を駆動する。
ホールゲイン部210とホールオフセット部209からなる調整手段は、撮影モードの切替時にシフトレンズ位置検出部207の制御分解能を変更するともに、シフトレンズの駆動中心をずらして片ボケを調整する。ホールオフセット部209は撮影モードの切替時に片ボケの調整量を変更する調整量変更手段である。本例ではホール素子207aの後段に設けた増幅部207bの一方の入力端子に電圧を印加することで、増幅後のホール出力に電圧オフセットを与え、シフトレンズ位置が調整される。つまり増幅部207bの基準電圧を変更することで、シフトレンズの検出位置が調整される。またホールゲイン部210は、撮影モードの切替時に制御分解能を変更する制御分解能変更手段であり、本例ではホール素子207aの入力部に所定の電圧を印加することによってホール素子207aの出力を制御する。姿勢検出部211は、本実施形態においては、シフトレンズ位置制御部205の情報から機器の姿勢を判定するが、加速度センサや姿勢検出センサのようなセンサを用いて機器の姿勢を判定してもよい。
ホールオフセット部209を用いたメカ中心の算出処理では、シフトレンズを駆動制御範囲にて水平方向および垂直方向の限界点まで駆動させる移動指令がシステム制御部118からホールオフセット部209へ通知され、シフトレンズを駆動させる。このときの駆動制御範囲における各限界点を結んだ線分の中点がメカ的な中心となる。このメカ中心出しをホールオフセット部209で行うことを「ホールオフセット調整」という。この調整結果で得られたシフトレンズの中心位置を「メカ中心」と呼ぶ。図3(A)は、左側にシフトレンズ駆動の限界点の測定例を示し、UPおよびDPは垂直方向の限界点を示し、LPおよびRPは水平方向の限界点を示す。図3(A)の右側に示すメカ中心CPは、UPとDPを結ぶ線分およびLPとRPを結ぶ線分の中点として算出される。
ホールオフセット部209への移動指令により、メカ中心からシフトレンズを移動させてその駆動中心をずらし、片ボケがなくなるように調整することを片ボケ調整という。
キャンセル量算出部204の出力信号は減算部DECに正入力として送られる。減算部DECの負入力にはシフトレンズ位置AD変換部208の出力信号が供給される。減算部DECの出力は3つに分岐して、積分補償器(Ki)301、比例補償器(Kp)302、微分補償器(Kd)303にそれぞれ送られる。括弧内の記号は各補償器のゲインを表す。積分補償器301の前段には積分演算部が配置され、微分補償器303の前段には微分演算部が配置され、「Z−1」は遅延器を示す。これらの補償器の出力は加算器ADDに送られて合算された後、ゲイン調整部305に出力される。ゲイン調整部305は加算器ADDの出力を増幅して得られる駆動制御信号をシフトレンズ駆動部206のDA変換部に出力する。積分補償値読み出し部304には積分補償器301の出力値である積分補償値(Eviと記す。下式(1)の右辺第3項参照)が入力され、姿勢検出部211に送られて姿勢判定に用いられる。
ここでPID制御について目標位置と現在位置との差分を偏差量eとすると、出力となるフィードバック量(PIDoutと記す)は下式(1)のように表される。
ワイド端でのAD分解能はテレ端とワイド端での所定画角変化量当たりのシフトレンズ移動量の差で決定される。以下、この移動量をシフトレンズ敏感度と呼び、その値はレンズの構造および種類によって異なる。例えば、ある低倍率レンズの場合にテレ端とワイド端のシフトレンズ敏感度比を2:1とすると、テレ端での画角変化量0.4度に対応するAD分解能を200LSBとしたとき、ワイド端ではAD分解能が100LSBとなる。この時、ADレンジの制限によりワイド端ではシフトレンズの可動範囲が±1.2度となる。この設定では動画撮影モード時に大ブレ防振を行う場合、ADレンジが不足する。つまり、ワイド端でのシフトレンズの可動範囲が狭くなるため、歩き撮りなどの大きな振れに対して対応出来ない。
図5(A)に示すように、静止画撮影モードを基準にしたAD分解能の設定では、静止画撮影モードは動画撮影モードよりもAD分解能が高いため、動画記録時の可動範囲が確保出来なくなる。また図5(B)に示すように動画撮影モードでの大ブレ防振に合わせたAD分解能の設定では、静止画撮影時の手ブレ補正効果が低下してしまう。
AD分解能の切り替え方法としてはホールゲイン部210がホールゲイン値を変更する。以下、図7のフローチャートを用いて処理例について説明する。ここでは、工場出荷時に、テレ端における静止画撮影モードと動画撮影モードのそれぞれに適したホールゲイン値およびホールオフセット調整値が予め得られているものとする。本例ではテレ端で0.4度あたり、静止画撮影モードで200LSBとし、動画撮影モードで50LSBとする。また片ボケ調整値に関しては、静止画撮影モードでの最適値が予め得られているものとする。
S103でシステム制御部118は静止画撮影モードか動画撮影モードかを判定する。静止画撮影モードの場合、S104に進み、動画撮影モードの場合、S108に進む。なお、撮影モード選択スイッチではなく、単にレリーズスイッチ(静止画撮影スイッチ)と動画撮影スイッチによって静止画撮影と動画撮影を切り替えるような場合でも、本実施形態は適用可能である。この場合、動画撮影スイッチが押された場合に本実施形態の動画撮影モードに移行するなどの処理が実行される。
S104でシステム制御部118は防振制御部104に指令を出し、ホールオフセット部209、ホールゲイン部210は静止画撮影用のホール調整値(ホールオフセット調整値およびホールゲイン調整値)に設定する。つまり、AD分解能は静止画撮影モード用に設定されることになる。
ここでAD分解能の切替時にホールゲイン調整値だけでなくホールオフセット調整値も切り替える理由を説明する。ホールオフセット調整値を1LSB変化させた時のホール出力電圧値の変化は回路構成上、一定値となる。ホールゲイン調整により0.4度あたりのシフトレンズAD幅が設定された時、画角0.4度あたりのホール出力電圧幅も決定される。例えば0.4度あたりのAD幅を200LSBとした時と50LSBとした時とでは、その電圧幅が4倍異なる。それ故、ホールオフセット値1LSBあたりの補正画角量も4倍異なることになる。よってホールゲイン値を変更した場合、この変更に対応するホールオフセット値も異なってくるので、AD分解能の変更にはホールゲイン値とホールオフセット値の両方の変更が必要となる。
次にS106に進み、シフトレンズ位置制御部205は、静止画撮影用の指令値換算および設定を行う。動画撮影モードから静止画撮影モードに切り替わった場合、指令値の換算は下式(2)に従って行われる。ここで指令値のレンジはシフトレンズAD値と等価である。
前記S103で動画撮影モードと判別された場合には、S108に進み、防振制御部104は動画撮影用のホール調整値を設定する。そして、S109では動画撮影用の片ボケ調整値が下式(3)に従って算出され、これがホールオフセット値として加算される。
次にS112で動画撮影用の防振パラメータ設定が行われる。設定項目はS107の静止画撮影の場合と同様である。その後、S113でシステム制御部118は電源スイッチのオン/オフ状態を判定する。電源スイッチがオン状態の場合、S102に戻って処理を続行する。一方、電源スイッチがオフ状態の場合、処理を終了する。
本実施形態によれば、撮影モードに応じてシフトレンズ駆動の制御分解能を切り替えて可動範囲を変更することにより、静止画と動画の撮影にそれぞれ最適な手ブレ補正処理を実行しつつ、撮影モードの切替時に画角変化が起きないように防止できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、これに限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えばシフトレンズの代わりに撮像素子を駆動する機構であってもよい。また、図7のS104およびS108(ホール調整値の設定)にて調整値を一度に変更した場合、検出出力がステップ応答状になってしまうことが懸念される。その場合には、ホール調整値を一定時間間隔(例えば10ミリ秒毎)で微小量ずつ変更することにより、モード切替時の変化が目立たなくすればよい。
本実施形態では光学機器としてデジタルカメラを例にとったが、デジタルビデオカメラや、デジタル一眼レフ用の交換レンズ、振れ補正機構を搭載した携帯電話やゲーム機などの電子機器であってもよい。
104 防振制御部
115 操作部
118 カメラシステム制御部
201 角速度検出部
205 シフトレンズ位置制御部
206 シフトレンズ駆動部
207 シフトレンズ位置検出部
209 ホールオフセット部
210 ホールゲイン部
Claims (5)
- 像振れ補正手段と、前記像振れ補正手段の位置を検出する位置検出手段と、振れを検出する振れ検出手段から出力される振れ検出信号に基づいて前記像振れ補正手段を制御する制御手段と、片ボケ調整量を変更して前記像振れ補正手段の駆動中心をずらして撮像光学系に係る片ボケを調整する調整手段と、を有する光学機器であって、
前記調整手段は、動画撮影時の前記位置検出手段の分解能が静止画撮影時の前記位置検出手段の分解能よりも低くなるように制御された場合、前記動画撮影時の前記像振れ補正手段の駆動中心と前記静止画撮影時の前記像振れ補正手段の駆動中心が一致するように前記片ボケ調整量を調整することを特徴とする光学機器。 - 前記像振れ補正手段は、前記撮像光学系の光軸に対して直交する方向に駆動される光学手段であることを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
- 前記像振れ補正手段は、前記撮像光学系の光軸に対して直交する方向に駆動される撮像素子であることを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
- 前記片ボケ調整量を所定時間間隔で複数回に分けて変更することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学機器。
- 像振れ補正手段の位置を検出する位置検出工程と、振れを検出する振れ検出手段から出力される振れ検出信号に基づいて前記像振れ補正手段を制御する制御工程と、片ボケ調整量を変更して前記像振れ補正手段の駆動中心をずらして撮像光学系に係る片ボケを調整する調整工程と、を有する光学機器の制御方法であって、
前記調整工程では、動画撮影時の前記位置検出工程の分解能が静止画撮影時の前記位置検出工程の分解能よりも低くなるように制御された場合、前記動画撮影時の前記像振れ補正手段の駆動中心と前記静止画撮影時の前記像振れ補正手段の駆動中心が一致するように前記片ボケ調整量を調整することを特徴とする光学機器の制御方法。
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