JP5743415B2 - 溶融金属めっき用ロール - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウムや亜鉛等の溶融金属中に浸漬して鋼板に金属めっきを施す溶融金属めっき装置で用いられるシンクロールやサポートロールと呼ばれるセラミックス製の溶融金属めっき用ロールに関する。
自動車のボディ等は、金属めっきを施した鋼板を加工して形成されており、表面を活性化させた鋼板をアルミニウムや亜鉛等の溶融金属中に浸漬して金属めっきを施すのに溶融金属めっき装置が用いられている。
図7は、溶融金属めっき装置の例を示す概略構成図である。
この溶融金属めっき装置41は、溶融金属45を入れる溶融金属槽44と、鋼板42の表面を清浄するスナウト43と、溶融金属45中で鋼板42を外周に沿わせて回転することにより鉛直方向に鋼板42の向きを変えて送るシンクロール46と、鋼板42の幅方向の反りの矯正等を図りながら、さらに鉛直方向に鋼板42を送るサポートロール47と、溶融金属45から引き上げられた鋼板42にガスを吹き付けることによって、鋼板42の表面の金属めっきの厚さを調整するガスノズル48とから構成されている。
そして、還元雰囲気の連続焼鈍炉から送り出された鋼板42は、スナウト43の中を通して溶融金属45の中に送り出されるため、大気雰囲気に曝されることなく溶融金属45に浸漬される。溶融金属45に浸漬された鋼板42は、溶融金属槽44の底部付近に備えられたシンクロール46の外周に沿わされてシンクロール46が回転することによって、進行方向が溶融金属槽44の底部方向から溶融金属45の液面方向へと変えて送られる。次に、回転する2つのサポートロール47の間を鋼板42が通過することによって、鋼板42の幅方向の反りの矯正等が行なわれ、さらに鉛直方向に鋼板42が送られ、溶融金属45から引き上げられた鋼板42にガスノズル48からガスを吹き付けることによって、金属めっきの厚みが均一に調整された鋼板42を得ることができる。そして、金属めっきが施された鋼板42に塑性加工を施すことにより、自動車のボディ等を形成することができる。
ここで、溶融金属めっき装置41を構成するシンクロール46およびサポートロール47の材質としては、従来はクロム鋼やステンレス鋼などの金属材料が用いられていたが、長時間溶融金属45に浸漬されて用いられるため、これらの金属材料からなるシンクロール46やサポートロール47は、表面が溶融金属45に浸食されて磨耗しやすいという問題があった。
また、シンクロール46やサポートロール47の表面が溶融金属45に浸食されて摩耗すると、シンクロール46やサポートロール47は回転時に微振動が生じて、この微振動によって均一な厚みの金属めっきを施した鋼板42を得ることが困難となるため、溶融金属めっき装置41を停止させて、磨耗したシンクロール46やサポートロール47を交換しなければならず、メンテナンスコストが増大するとともに、生産効率が低下するという問題があった。
この問題に対し、耐食性に優れる超硬合金やセラミックス等を金属材料の表面に溶射して、溶射保護層を形成したシンクロール46やサポートロール47が種々提案されていた。この溶射保護層を形成したシンクロール46やサポートロール47は、金属材料のみからなるシンクロール46やサポートロール47よりも耐食性に優れているものの、溶射保護層は密度が低く、溶射保護層と金属材料からなるシンクロール46やサポートロール47との熱膨張係数が異なることから、溶射保護層に亀裂を生じやすく、この亀裂に入り込んだ溶融金属45に
浸食されて金属材料が磨耗するという問題は依然として解消されていなかった。
そのため、さらに耐食性や耐磨耗性に優れたシンクロール46やサポートロール47として、例えば特許文献1には、中空状のセラミックスからなるロール胴部とロール軸部を有し、ロール胴部の片方の端部に駆動側のロール軸部を焼結により一体に形成し、ロール胴部の他方の端部に別体の従動側のロール軸部をねじ接合または焼嵌めの嵌合により接合して構成され、駆動側のロール軸部を駆動装置により駆動させた連続溶融金属めっき用ロールが提案されている。
この特許文献1の連続溶融金属めっき用ロールであれば、耐食性,耐熱性および耐磨耗性等に優れているので耐用寿命が長くなり、中空状に形成されているのでロールの軽量化を図ることができるため、鋼板の走行速度の変化に良好に追従して回転させることができるというものである。
特許第4088885号公報
しかしながら、特許文献1に記載された連続溶融金属めっき用ロールは、使用時に鋼板42を送る際の鋼板42との摩擦熱により連続溶融金属めっき用ロールがロール胴部の表面から加熱されると、ロール胴部が熱膨張してロール軸部との接合に緩みを生じ易く、接合されたロール胴部とロール軸部とが外れるおそれがあった。
本発明は上記課題を解決すべく案出されたものであり、使用時において胴部と軸部との熱膨張差に起因する嵌合に緩みを生じにくく、かつ緩みを生じた場合にも胴部と軸部とが容易に外れることのない溶融金属めっき用ロールおよびこれを用いた溶融金属めっき装置を提供することを目的とする。
本発明の溶融金属めっき用ロールは、セラミックス製の筒状の胴部の端部に、支持部と嵌合部とからなるセラミックス製の軸部が接続された溶融金属めっき用ロールにおいて、前記胴部となる仮焼体における凹部と、前記軸部である焼結体における凸部とを組み合わせる形で焼成し、前記胴部となる仮焼体の焼成時の収縮により、前記胴部と前記軸部とが嵌合され接合されていることを特徴とするものである。
また、本発明の溶融金属めっき用ロールは、上記構成において、前記軸部の前記嵌合部の表面および前記凸部の表面に連なる溝を設けたことを特徴とするものである。
また、本発明の溶融金属めっき用ロールは、上記いずれかの構成において、前記軸部に貫通孔を設けたことを特徴とするものである。
また、本発明の溶融金属めっき用ロールは、上記いずれかの構成において、前記凹凸部の表面に無機系接着剤を塗布して前記軸部と前記胴部とを接合したことを特徴とするものである。
また、本発明の溶融金属めっき用ロールは、上記いずれかの構成において、前記無機系接着剤が、Y,AlおよびSiOを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の溶融金属めっき用ロールの製造方法は、上記いずれかの構成の本発明の溶融金属めっき用ロールの製造方法であって、セラミックス原料にバインダおよび溶媒を混合してスラリーとし、噴霧造粒法によりセラミックス2次原料を得る工程と、
該セラミックス2次原料を用いて成形した後に切削加工を施して、セラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凸部または凹部を互いに対応させて設けた胴部となる成形体および軸部となる成形体を得る工程と、
前記胴部となる成形体を熱処理して前記胴部となる仮焼体を得る工程と、
前記軸部となる成形体を焼成して焼結体である前記軸部を得る工程と、
前記凸部または凹部を設けた前記胴部となる仮焼体および対応する前記凸部または凹部を設けた焼結体である前記軸部とを組み合わせる形で焼成して、前記胴部となる仮焼体の焼成時のセラミックスの収縮により、前記胴部と前記軸部とを嵌合して接合する工程とからなることを特徴とするものである。
また、本発明の溶融金属めっき装置は、上記いずれかの構成の本発明の溶融金属めっき用ロールを、溶融金属中で被めっき体を取り扱うためのロールとして用いることを特徴とするものである。
本発明の溶融金属めっき用ロールによれば、セラミックス製の筒状の胴部の端部に、支持部と嵌合部とからなるセラミックス製の軸部が接続された溶融金属めっき用ロールにおいて、前記胴部となる仮焼体における凹部と、前記軸部である焼結体における凸部とを組み合わせる形で焼成し、前記胴部となる仮焼体の焼成時の収縮により、前記胴部と前記軸部とが嵌合され接合されていることにより、使用時に鋼板を送る際の鋼板との摩擦熱により溶融金属めっき用ロールが胴部の表面から加熱され、胴部が熱膨張したとしても、胴部と軸部との嵌合に緩みを生じにくく、かつ緩みを生じたとしても、セラミックスのその使用時の熱膨張よりも大きい高さの凹凸部を設けているので、胴部と軸部とが外れにくい溶融金属めっき用ロールとすることができる。
また、本発明の溶融金属めっき用ロールによれば、軸部の嵌合部の表面および凸部の表面に連なる溝を設けたときには、溶融金属槽内で用いるときに溝から胴部内の空間に溶融金属が入り込み、溶融金属めっき用ロールの固定によって軸部にかかる負荷および鋼板を搬送するために回転させるときの駆動力によって軸部にかかる負荷を小さくすることができる。また、メンテナンス等のために溶融金属から引き上げたときには、溶融金属めっき用ロールの中の溶融金属を溝から排出することができるので、溶融金属中で膨張していた溶融金属めっき用ロールの温度低下による収縮と、残存している溶融金属の凝固とによって胴部の内面に引っ張り応力が生じて胴部が破損するおそれを少なくすることができる。
また、本発明の溶融金属めっき用ロールによれば、軸部に貫通孔を設けたときには、軽量化が可能となり、溶融金属めっき用ロールの駆動に必要な駆動力を省力化して駆動源の消費電力を削減することができる。また、その結果、ランニングコストを低く抑えることができる。さらに、溶融金属めっき用ロールの自重を軽量化できて、より回転し易くすることが可能であるため、鋼板の送り速度を早めても、溶融金属めっき用ロールを追従して回転させることができ、高い品質の鋼板を効率よく生産することができる。
また、本発明の溶融金属めっき用ロールによれば、凹凸部の表面に無機系接着剤を塗布して軸部と胴部とを接合したときには、凹凸部に存在する微少な隙間までを完全に閉塞することができるので、接合強度をより高めることができる。
また、本発明の溶融金属めっき用ロールによれば、無機系接着剤が、Y,Al
およびSiOを含むときには、接合するセラミック材料との反応性が低く、機械的特性の低下を招くおそれを少なくすることができる。
また、本発明の溶融金属めっき用ロールの製造方法によれば、セラミックス原料にバインダおよび溶媒を混合してスラリーとし、噴霧造粒法によりセラミックス2次原料を得る工程と、セラミックス2次原料を用いて成形した後に切削加工を施して、セラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凸部または凹部を互いに対応させて設けた胴部となる成形体および軸部となる成形体を得る工程と、胴部となる成形体を熱処理して胴部となる仮焼体を得る工程と、軸部となる成形体を焼成して焼結体である軸部を得る工程と、凸部または凹部を設けた胴部となる仮焼体および対応する凸部または凹部を設けた焼結体である軸部とを組み合わせる形で焼成して、胴部となる仮焼体の焼成時のセラミックスの収縮により、胴部と軸部とを嵌合して接合する工程とを含むことにより、胴部と軸部とに緩みを生じにくく、胴部と軸部とが外れにくい溶融金属めっき用ロールを得ることができる。
また、本発明の溶融金属めっき装置によれば、本発明の溶融金属めっき用ロールを、溶融金属中で被めっき体を取り扱うためのロールとして用いることにより、溶融金属めっき用ロールを構成する胴部と軸部とに使用時に緩みを生じにくく、外れにくいため、長期間にわたってめっき厚みのばらつきやめっき剥がれが少なく、良好に鋼板にめっきすることが可能となる。
本発明の溶融金属めっき用ロールを用いた溶融金属めっき装置の実施の形態の一例を示す概略構成図である。 本発明の溶融金属めっき用ロールの実施の形態の一例を示す、(a)は溶融金属めっき用ロールの軸方向の断面図であり、(b)は軸部の正面図および軸方向の断面図であり、(c)は胴部の正面図および軸方向の断面図である。 本発明の溶融金属めっき用ロールを構成する軸部の実施の形態の他の例を示す正面図および軸方向の断面図であり、(a)は周方向に複数の凸部を有する軸部であり、(b)は軸方向に複数の凸部を有する軸部であり、(c)は高さの異なる複数の凸部を有する軸部である。 本発明の溶融金属めっき用ロールを構成する軸部の実施の形態の他の例を示す斜視図である。 本発明の溶融金属めっき用ロールの実施の形態の他の例を示す軸方向の断面図である。 本発明の溶融金属めっき用ロールの焼成過程における収縮の状態を示す概略図である。 溶融金属めっき装置を示す概略構成図である。
以下、本発明の溶融金属めっき用ロールおよびこれを用いた溶融金属めっき装置の実施の形態の例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の溶融金属めっき用ロールを用いた溶融金属めっき装置の実施の形態の一例を示す概略構成図である。
この溶融金属めっき装置1は、溶融金属5を入れる溶融金属槽4と、鋼板2の表面を清浄するスナウト3と、溶融金属5中で鋼板2を外周に沿わせて回転することにより鉛直方向に鋼板2の向きを変えて送るシンクロール6と、鋼板2の幅方向の反りの矯正等を図りながらさらに鉛直方向に鋼板2を送るサポートロール7と、溶融金属5から引き上げられた鋼板2にガスを吹き付けることによって、鋼板2の表面の金属めっきの厚さを調整する
ガスノズル8とから主に構成されている。
そして、還元雰囲気の連続焼鈍炉から送り出された鋼板2は、スナウト3の中を通して溶融金属5の中に送り出されるため、大気雰囲気に曝されることなく溶融金属5に浸漬される。溶融金属5に浸漬された鋼板2は、溶融金属槽4の底部付近に備えられたシンクロール6の外周に沿わされてシンクロール6が回転することによって、進行方向が溶融金属槽4の底部方向から溶融金属5の液面方向へと変えて送られる。次に、回転する2つのサポートロール7の間を鋼板2が通過することによって、鋼板2の幅方向の反りの矯正等が行なわれ、さらに鉛直方向に鋼板2が送られ、溶融金属5から引き上げられた鋼板2にガスノズル8からガスを吹き付けることによって、金属めっきの厚みが均一に調整された鋼板2を得ることができる。この溶融金属めっき装置1を構成するシンクロール6やサポートロール7に本発明の溶融金属めっき用ロール10が適用される。
図2は、本発明の溶融金属めっき用ロールの実施の形態の一例を示す、(a)は溶融金属めっき用ロールの軸方向の断面図であり、(b)は軸部の正面図および軸方向の断面図であり、(c)は胴部の正面図および軸方向の断面図である。
図2に示す例の本発明の溶融金属めっき用ロール10は、セラミックス製の筒状の胴部11と、筒状の胴部11の両端に接続される嵌合部12aと支持部12bとからなるセラミックス製の軸部12とによって構成されており、軸部12の一方はロールの回転の駆動源となる駆動側の回転軸に接続されて、もう一方は駆動源から与えられた駆動力に従って回転する従動側の軸受に接続されるものである。そして、従動側または駆動側の胴部11または軸部12の嵌合部12aの表面には、胴部11または軸部12に用いられるセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凹凸部13が設けられており、対応する凹凸部13を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮により、筒状の胴部11と軸部12とを嵌合して接合することが重要である。なお、図2(a)において、図の左側の部分では、右側の部分と同様の箇所についての参照符号を省略している。
従来から用いられている焼嵌めによる接合は、比較的容易な接合方法として胴部11と軸部12とを接合可能なものの、胴部11が使用時に受ける熱により膨張して、胴部11の内周径が軸部12の最大外周径よりも大きくなると、胴部11と軸部12との嵌合が外れることとなる。これに対し、嵌合部12aの表面および胴部11の表面に、胴部11または軸部12に用いられるセラミックスの使用時に熱膨張よりも大きい高さの凹凸部13をそれぞれ対応させて設け、対応するこれら凹凸部13を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮により胴部11と軸部12とを嵌合して接合した構成の溶融金属めっき用ロール10であることにより、溶融金属めっき装置1において、使用時に鋼板2を送る際の鋼板2との摩擦熱により溶融金属めっき用ロール10が胴部11の表面から加熱され、胴部11が熱膨張したとしても、胴部11と軸部12との嵌合に緩みを生じにくく、かつ緩みを生じたとしてもセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凹凸部13を設けているので、胴部11と軸部12とが容易に外れることがない。
また、図2(b)に示す例の軸方向の断面図における軸部12の凸部13aの高さH1、図2(c)に示す例の軸方向の断面図における胴部11の凹部13bの深さH2については、少なくともそれぞれの下限値は、胴部11あるいは軸部12に用いられているセラミックスの材質の使用時の熱膨張よりも大きくし、上限値は胴部11の肉厚の1/2以下であることが好適である。
図3は、本発明の溶融金属めっき用ロールを構成する軸部の実施の形態の他の例を示す正面図および軸方向の断面図であり、(a)は周方向に複数の凸部を設けた軸部であり、(b)は軸方向に複数の凸部を設けた軸部であり、(c)は高さの異なる複数の凸部を設
けた軸部である。
図3(a)に示す例の軸部12は、周方向に複数の凸部13aを設けた軸部12であり、この周方向に複数の凸部13aに対応する凹部13bを設けた胴部11と焼成時のセラミックスの収縮により嵌合して接合すれば、軸部12に回転の駆動力が加わったときに胴部11が周方向にすべりを生じることが少ないので、鋼板2を良好に搬送することのできる溶融金属めっき用ロール10とできる。
また、図3(b)に示す例の軸方向に複数の凸部13aを設けた軸部12および図3(c)に示す例の軸方向に高さの異なる複数の凸部13aを設けた軸部12であれば、それぞれの凸部13aに対応する凹部13bを設けた胴部11と焼成時のセラミックスの収縮により嵌合して接合すれば、胴部11と軸部12との嵌合に多少の緩みを生じたとしても胴部11から軸部12が外れるおそれの少ない溶融金属めっき用ロール10とすることができる。
なお、軸部12の凸部13aの構成については、図3(a),(b)および(c)に示す例のいずれか2種以上の構成を複合した凸部13aとすることが可能であり、その場合の胴部11については、これに対応する凹部13bを設ければよい。
図4は、本発明の溶融金属めっき用ロールを構成する軸部の実施の形態の他の例を示す斜視図である。
図4に示す例のように、本発明の溶融金属めっき用ロール10は、軸部12に、軸部12の嵌合部12aの表面および凸部13aの表面に連なる溝15を設けることが好適である。このように、溝15を設けていることにより、溶融金属槽4内で溶融金属めっき用ロール10を用いるときに、溝15から胴部11内の空間に溶融金属5が入り込み、図2および図3に示す溶融金属めっき用ロール10よりも浮力が小さくなるので、溶融金属めっき用ロール10の固定によって軸部12にかかる負荷および鋼板2を搬送するために回転させるときの駆動力によって軸部12にかかる負荷を小さくすることができる。また、溶融金属5中に浸漬されているときに溶融金属めっき用ロール10は熱により膨張しており、メンテナンス等のために溶融金属5から引き上げられると温度低下とともに収縮する。このとき、溶融金属めっき用ロール10の胴部11と軸部12との隙間などに溶融金属5が残存していると、溶融金属めっき用ロール10の温度低下による収縮と残存している溶融金属5の凝固とによって胴部11の内面に引っ張り応力が生じて胴部11が破損するおそれがあるが、軸部12の嵌合部12aの表面および凸部13aの表面に連なる溝15を軸部12に設けていることにより、溶融金属めっき用ロール10の中の溶融金属5を溝15から排出することができるので、引っ張り応力の発生を抑制し、胴部11の破損を少なくすることができる。なお、軸部12の嵌合部12aの表面および凸部13aの表面に連なる溝15は、軸部12に複数設けることが可能である。
図5は、本発明の溶融金属めっき用ロールの実施の形態の他の例を示す軸方向の断面図である。
図5に示す例のように、本発明の溶融金属めっき用ロール10の軸部12に、貫通孔16を設けたときには、軽量化が可能となり、溶融金属めっき用ロール10の駆動に必要な駆動力を省力化して駆動源の消費電力を削減することができる。また、その結果、ランニングコストを低く抑えることができる。さらに、溶融金属めっき用ロール10の自重を軽量化できて、より回転し易くすることが可能であるため、鋼板2の送り速度を早めても、溶融金属めっき用ロール10を追従して回転させることができ、高い品質の鋼板2を効率よく生産することができる。
本発明の溶融金属めっき用ロール10を構成する胴部11および軸部12の材質としては、ア
ルミナ,ジルコニア,窒化珪素,炭化珪素またはコージェライトなど種々のセラミックスを適用可能であるが、機械的強度に優れており、溶融金属5との濡れ性が低い特性を有している点で、軸部12が窒化珪素質焼結体からなることが好ましい。本発明の溶融金属めっき用ロール10を構成する胴部11および軸部12が窒化珪素質焼結体からなることにより、溶融金属めっき用ロール10自体の自重による荷重や溶融金属めっき用ロール10を回転させて鋼板2を送るときの駆動力に耐え得る機械的強度を有し、溶融金属5の濡れ性が低いことから、本発明の溶融金属めっき用ロール10からなるシンクロール6およびサポートロール7を溶融金属5中から取り出したときに、胴部11および軸部12への溶融金属5の付着が極めて少なく、容易にメンテナンスを実施することができる。また、胴部11および軸部12が同じ材質の窒化珪素質焼結体からなるときには、胴部11と軸部12との熱膨張差によって嵌め合いが緩んだり亀裂や破損が生じたりすることが少なくなり好ましい。
また、本発明の溶融金属めっき用ロール10は、凹凸部13の表面に無機系接着剤を塗布して軸部12と胴部11とを接合することが好ましい。接合前に予め軸部12の凸部13aの表面および胴部11の凹部13bの表面に無機系接着剤を塗布した後、凹凸部13を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮により軸部12と胴部11とを嵌合して接合したときには、軸部12の凸部13aと胴部11の凹部13bとに塗布した無機系接着剤によって、凹凸部13に存在する微少な隙間までを完全に閉塞することができるので、接合強度をより高めることができる。
また、無機系接着剤が、Y,AlおよびSiOを含むものを用いることが好ましい。これは、接合するセラミック材料との反応性が低く、機械的特性の低下を招かないためである。特に、本発明の溶融金属めっき用ロール10を構成する軸部12および胴部11が窒化珪素質焼結体からなるときには、Y,AlおよびSiOを含む無機系接着剤を用いれば、接合時の1800〜2000℃の温度において、窒化珪素質焼結体と無機系接着剤とが反応することが少なく、接合部の強度が劣化するおそれが少ないので好ましい。
次に、本発明の溶融金属めっき用ロール10の製造方法の一例として、図2乃至図5に示す形状の筒状の胴部11および軸部12について窒化珪素質焼結体を用いた例の詳細を説明する。
まず、1次原料として平均粒径が1μmの窒化珪素粉末を用意して所定量秤量し、バインダと溶媒とを加えてスラリーとする。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒して2次原料を得る。そして、この2次原料を所定の成形型に入れて静水圧プレス成形装置(ラバープレス装置)を用いて、筒状の胴部11となる筒状の成形体と、軸部12となる円柱状の成形体とをそれぞれ成形する。その後、これらの成形体に切削加工を施して、それぞれ対応する凹凸部13を有した所定形状とする。軸部12に溝15や貫通孔16を形成する場合は、さらに旋盤や万能研削盤を用いて、軸部12となる成形体に切削加工を施せばよい。
次に、軸部12となる成形体を還元雰囲気炉に入れて、1800〜2000℃の温度にて焼成し、軸部12(焼結体)を得る。また、胴部11となる成形体については、同じく還元雰囲気炉に入れて1000〜1500℃の温度で熱処理(仮焼)して、胴部11となる仮焼体を得る。
ここで、図6を用いて焼成時のセラミックスの収縮により胴部10と軸部11とを嵌合して接合する例について説明する。図6(a)に示すように、胴部11となる仮焼体の凹部13bと、焼結体である軸部12の凸部13aとを組み合わせる形で配置して、還元雰囲気炉内に入れる。そして、1800〜2000℃の温度にて焼成する。このとき胴部11となる仮焼体が図6(b)から図6(c)に示すように収縮して、胴部11の凹部13bと軸部12の凸部13aとが組
み合わされて、胴部11と軸部12とを嵌合して接合することで図2乃至図5に示す例の本発明の溶融金属めっき用ロール10を得ることができる。なお、接合後に必要に応じて研削加工を施してもよい。
このようにして得られた本発明の溶融金属めっき用ロール10は、胴部11または軸部12に用いられるセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凹凸部13を設け、それぞれ対応する凹凸部13を組み合わせる形で焼成時のセラミックスの収縮により胴部11と軸部12とを嵌合して接合していることから、胴部11と軸部12と溶湯金属中に浸漬したときおよび使用時の熱膨張によって接合部の嵌合に緩みを生じにくく、かつ緩みを生じても胴部11と軸部12とが外れにくい溶融金属めっき用ロール10となり、長時間にわたって安定して使用することができる。また、本発明の溶融金属めっき用ロール10を、溶融金属5中で被めっき体である鋼板2を取り扱うためのシンクロール6やサポートロール7として用いれば、長時間にわたってめっき厚みのばらつきやめっき剥がれが少なく、良好に鋼板2に金属めっきを施すことができるため、メンテナンスコストを削減できるとともに、交換頻度が少なくなるので生産効率を向上させることができる。
また、このように胴部11となる仮焼体と焼結体である軸部12とを凹凸部13を組み合わせる形で焼成して、胴部11となる仮焼体の焼成時のセラミックスの収縮により、胴部11と軸部12とを嵌合して接合しているので、軸部12は二度焼成することとなり、二度目の焼成前に生じていた微細なクラックであれば、二度目の焼成時の粒成長により閉塞することができるとともに、二度目の焼成により緻密化が進むので、軸部12の強度を高めることができるという効果も得ることができる。
以上、本発明の溶融金属めっき用ロールについて、胴部11に凹部13bを、軸部12に凸部13aを形成した場合の例について主に説明したが、胴部11に凸部13aを形成し、軸部12に凹部13bを形成して、焼成時のセラミックスの収縮により両者を嵌合して接合することも可能であることはいうまでもない。
本発明の溶融金属めっき用ロールの実施例を以下に示す。
本発明の実施の形態の一例である、図2に示す溶融金属めっき用ロール10を製造し、図1に概略構成を示す溶融金属めっき装置1のサポートロール7としてこれを設置し、鋼板2に金属めっきを施す試験を実施した。以下に詳細を示す。
<胴部11となる仮焼体の作製>
図2(c)に示す、セラミックス製の筒状の胴部11となる仮焼体の作製を実施した。まず、1次原料として平均粒径が1μmの窒化珪素粉末を用意してこれを所定量秤量し、バインダと溶媒とを加えてスラリーとした。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒して2次原料を得た。そして、筒状の成形品を得ることのできるゴム型にこの2次原料を入れて、静水圧プレス成形装置(ラバープレス装置)を用いて筒状の胴部11となる筒状の成形体を複数得た。そして、この筒状の成形体の内周や外周等に必要な切削加工を施し、さらに胴部12となる成形体の表面である内周部に、用いたセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凹部13bを設けた筒状の胴部11となる成形体を得た。そして、この胴部11となる成形体を還元雰囲気炉に入れて1350℃で熱処理(仮焼)して、胴部11となる仮焼体を得た。
<軸部12(焼結体)の作製>
図2(b)に示す、セラミックス製の軸部12(焼結体)の作製を実施した。まず、筒状の胴部11となる仮焼体の作製に用いた同様の窒化珪素の2次原料を用意し、円柱形状の成
形品を得ることのできるゴム型にこの2次原料を入れて、静水圧プレス成形装置(ラバープレス装置)を用いて円柱形状の成形体を複数得た。そして、円柱形状の成形体に切削加工を施して、嵌合部12aの表面に、用いたセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凸部13aを設けて、嵌合部12aと支持部12bとからなる軸部12となる成形体を得た。なお、この軸部12となる成形体において、凸部13aの高さH1および凸部13aを除く部分の外径は、胴部11となる仮焼体を焼成した後の孔の内径および凹部13bの深さH2と等しくなるように、用いる材料である窒化珪素の焼成時の収縮を考慮した寸法である。そして、凸部13aを設けた軸部12となる成形体を還元雰囲気炉に入れて1950℃の温度で焼成することにより、軸部12(焼結体)を得た。
<胴部11となる仮焼体と軸部12(焼結体)との接合>
次に、図6(a)に示すように、胴部11となる仮焼体の内周部に設けた凹部13bと、焼結体である軸部12の凸部13aとを組み合わせる形で配置した。なお、このとき、焼結体である軸部12の配置状態を維持できるように、中子や断熱材等を用いることも可能である。そして、還元雰囲気炉内に載置し、還元雰囲気中1950℃の最高温度で焼成した。焼成後、焼結体の表面に研削加工を施して、外径が300mm,内径が220mm,長さが2000mmであり、筒状体端面から50mmの内周部に幅50mmの凹部13bを設けた胴部11と、支持部12bの外径が150mmであり嵌合部12aの長さが100mmであり、凸部13a以外の嵌合部12aの外径が220mmであり、凸部13aの外径が、嵌合部12aの外径よりも大きく、胴部11と
なる仮焼体の内径よりも小さい軸部12とからなり、胴部11となる仮焼体の焼成時のセラミックスの収縮により、胴部11と軸部12とを嵌合して接合した窒化珪素質焼結体からなる本発明の溶融金属めっき用ロール10を得た。
<ガスリーク試験>
接合後の本発明の溶融金属めっき用ロール10について、複数のうちの1本を、胴部11の中央部から研削加工により割断し、割断された胴部11の開口部から胴部11内にヘリウムガスを注入してガスリーク試験を実施した。試験はJIS Z 2331に基づき加圧法により実施した。その結果、ガスのリークは見られず、胴部11と軸部12との嵌合部にガスリークが生じる隙間がないことが確認された。
<鋼板2への金属めっき試験>
図1に示す溶融金属めっき装置1のサポートロール7として、本発明の溶融金属めっき用ロール10を用いて、実際に溶融金属めっき装置1を連続運転させて鋼板2へ金属めっきする試験を実施した。試験は、板厚が2mmで、幅が1300mm,1500mmおよび1800mmの3種類のステンレス製の鋼板2を用いて、溶融金属5として亜鉛を用いた。
また、試験には、胴部と軸部とを焼嵌めにより嵌合させた比較例のロールも準備した。なお、比較例のロールは、胴部の内周部に凹部を設けず、軸部の嵌合部に凸部を設けないこと以外は、本発明の溶融金属めっき用ロール10と同様の原料を用いて焼嵌めにより作製したものを用いた。
<試験結果>
比較例のロールについては、幅が1300mmの鋼板2の亜鉛めっきを行なったところ、1週間の連続運転で駆動側の胴部と軸部の嵌合が緩み、交換を余儀なくされた。また、幅が1500mmおよび1800mmの鋼板2の亜鉛めっきを行なったところ、いずれも1週間以内に、駆動側の胴部と軸部の嵌合が緩んで軸部が胴部から外れた。
これに対し、本発明の溶融金属めっき用ロール10は、板厚が2mmで、幅を1300mm,1500mmおよび1800mmの3種類のステンレス製の鋼板2へ亜鉛めっきを行なったところ、胴部11と軸部12との接合に緩みや外れを生じることはなく、いずれも2週間を超える溶融金属めっき装置1の連続運転ができた。これにより、大型で長尺のロールにおいても、
荷重が軸部12に確実にかかり、胴部11と軸部12との嵌合に緩みや外れが発生することの少ない溶融金属めっき用ロール10であることが確認された。
次に、実施例1と同様の作製方法にて、図3(a),(b)および(c)に示す形状の凸部13aを有する焼結体である軸部12を作製し、これらの凸部13aを有する軸部12の形状に対応し、焼成時の収縮を考慮した寸法の凹部13bを設けた胴部11となる仮焼体を作製して、実施例1と同様に両者を還元雰囲気炉内で焼成することにより接合して、3本の本発明の溶融金属めっき用ロール10を得た。なお、凸部13aおよび凹部13bの形状を除く、各部の形状や寸法は実施例1と同様とした。
そして、3本の本発明の溶融金属めっき用ロール10を、実施例1と同様に図1に示す溶融金属めっき装置1のサポートロール7として用いて、板厚が2mmで幅が1800mmのステンレス製の鋼板2へ亜鉛めっきを行なったところ、胴部11と軸部12との嵌合に緩みや外れを生じることはなく、2週間を超える連続運転においても問題なく鋼板2に亜鉛めっきを施すことができた。
その後、3週間まで継続運転を実施したところ、図3(b)および(c)に示す凸部13aを用いた溶融金属めっき用ロール10において、若干の周方向のすべりが確認されたものの、図3(a)に示す凸部13aを用いた溶融金属めっき用ロール10では、周方向のすべりは確認されなかった。なお、これら3本の本発明の溶融金属めっき用ロール10はいずれも、3週間の継続運転後も、胴部11と軸部12とが外れることなく鋼板2に亜鉛めっきを施すことができた。
次に、実施例1と同様の作製方法にて、図4に示す形状の溝15を嵌合部12aの表面および凸部13aの表面に連なるように設けた焼結体である軸部12と、この溝15を除く凸部13aを有する軸部12の形状に対応し、焼成時の収縮を考慮した寸法の凹部13bを設けた胴部11となる仮焼体を作製して、実施例1と同様に両者を還元雰囲気炉内で焼成することにより接合して、本発明の溶融金属めっき用ロール10を得た。
そして、軸部12の嵌合部12aの表面および凸部13aの表面に連なる溝15を設けた本発明の溶融金属めっき用ロール10を、実施例1と同様に図1に示す溶融金属めっき装置1のサポートロール7として用いて、板厚が2mmで幅が1800mmのステンレス製の鋼板2へ亜鉛めっきを行なったところ、溝15から溶融金属5が溶融金属めっき用ロール10内に入り込み、実施例1および実施例2で作製した溶融金属めっき用ロール10よりも浮力が小さいことから、サポートロール7の固定にかかる負荷が小さく、鋼板2を回転させるときに軸部12かかる負荷を小さくすることができて、駆動源の消費電力が低減していることが確認された。そして、1週間連続で実施した後、メンテナンスのためにサポートロール7を溶融金属槽4から引き上げた。その際、溝15からサポートロール7内の溶融金属5が良好に排出され、溶融金属めっき用ロール10の胴部11に破損は見られなかった。その結果、溶融金属5中で膨張していたサポートロール7を引き上げたときに、胴部11と軸部12との隙間などに残存している溶融金属5が少なく、溶融金属めっき用ロール10の温度低下による収縮と内部に残存している溶融金属5の凝固とによって胴部11の内面にかかる引っ張り応力を抑制できていることが確認された。
次に、凹凸部13に無機系接着剤を塗布して接合したこと以外は実施例1と同様の作製方法により、本発明の溶融金属めっき用ロール10を作製した。そして、実施例1と同様に図1に概略構成を示す溶融金属めっき装置1に設置し、鋼板2に金属めっきを施す試験を実
施した。
以下に、無機系接着剤の作製方法および塗布工程の詳細を示す。まず、市販のイットリア粉末(純度が98%,平均粒径が1μm),アルミナ粉末(純度が95%,平均粒径が1μm),酸化珪素粉末(純度が99%,平均粒径が0.5μm)を準備し、各粉末をそれぞれ40
,20,40質量%の割合で合計100質量%となるように混合した。そして、溶媒(イソパラ
フィン)およびバインダを適量加えてスラリーとし、このスラリーをアルミナボールとともにプラスチック容器内で24時間攪拌し、粘度1Pa・sの無機系接着剤を作製した。なお、無機系接着剤の粘度については、市販のE型粘度計にて測定した。
そして、無機系接着剤を、胴部11となる仮焼体の凹部13bの表面と、軸部12(焼結体)の凸部13aの表面とに、刷毛などを用いて1mm以下の厚さで塗布し、実施例1と同様の方法にて配置して焼成することにより、胴部11となる仮焼体の焼成時のセラミックスの収縮により、胴部11と軸部12とを嵌合して接合した本発明の溶融金属めっき用ロール10を得た。
次に、無機系接着剤により接合した本発明の溶融金属めっき用ロール10を、実施例1と同様に、図1に示すサポートロール7として設置し、実施例1と同様の運転条件にて鋼板2に亜鉛めっきを施す試験を実施したところ、胴部11と軸部12との接合に緩みや外れを生じることはなく、1カ月を超える溶融金属めっき装置1の連続運転ができた。
次に、実施例1と同様の2次原料を用いて図5に示す貫通孔16を設けた軸部12となる成形体を作製した。まず、実施例1と同様の作製方法にて、円柱形状の成形体を得た。そして、円柱形状の成形体に切削加工を施して、嵌合部12aの表面に、用いたセラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凸部13aを設けて、嵌合部12aと支持部12bとからなる成形体を得た。さらに、軸方向に貫通する貫通孔16を設ける切削加工を施して、軸部12となる成型体を得た。そして、還元雰囲気炉に入れて1950℃で焼成することにより、焼結体である軸部12を得た。次に、実施例1と同様の方法で胴部11となる成形体を作製した。そして、胴部11となる仮焼体の内周部に設けた凹部13bと、焼結体である軸部12の凸部13aとを組み合わせる形で配置して焼成することにより、胴部11となる仮焼体の焼成時のセラミックスの収縮により、胴部11と軸部12とを嵌合して接合した窒化珪素質焼結体からなる本発明の溶融金属めっき用ロール10を得た。
そして、この本発明の溶融金属めっき用ロール10を、実施例3と同様に図1に示す溶融金属めっき装置1のサポートロール7として用いて、板厚が2mmで幅が1800mmのステンレス製の鋼板2へ亜鉛めっきを1週間連続で実施したところ、実施例1〜4の溶融金属めっき用ロール10を用いたときと比較して、消費電力量が少なかった。これにより、サポートロール7の重量が軽量化されていることから、溶融金属めっき用ロール10の駆動に必要な駆動源の消費電力を低減できることが確認され、ランニングコストを低く抑えることができることがわかった。
1:溶融金属めっき装置
2:鋼板
3:スナウト
4:溶融金属槽
5:溶融金属
6:シンクロール
7:サポートロール
8:ガスノズル
10:溶融金属めっき用ロール
11:胴部
12:軸部
13:凹凸部
13a:凸部
13b:凹部
14:接合部
15:溝
16:貫通孔

Claims (7)

  1. セラミックス製の筒状の胴部の端部に、支持部と嵌合部とからなるセラミックス製の軸部が接続された溶融金属めっき用ロールにおいて、前記胴部となる仮焼体における凹部と、前記軸部である焼結体における凸部とを組み合わせる形で焼成し、前記胴部となる仮焼体の焼成時の収縮により、前記胴部と前記軸部とが嵌合され接合されていることを特徴とする溶融金属めっき用ロール。
  2. 前記軸部の前記嵌合部の表面および前記凸部の表面に連なる溝を設けたことを特徴とする請求項1に記載の溶融金属めっき用ロール。
  3. 前記軸部に貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶融金属めっき用ロール。
  4. 前記凹凸部の表面に無機系接着剤を塗布して前記軸部と前記胴部とを接合したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の溶融金属めっき用ロール。
  5. 前記無機系接着剤が、Y,AlおよびSiOを含むことを特徴とする請求項4に記載の溶融金属めっき用ロール。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の溶融金属めっき用ロールの製造方法であって、セラミックス原料にバインダおよび溶媒を混合してスラリーとし、噴霧造粒法によりセラミックス2次原料を得る工程と、
    該セラミックス2次原料を用いて成形した後に切削加工を施して、セラミックスの使用時の熱膨張よりも大きい高さの凸部または凹部を互いに対応させて設けた胴部となる成形体および軸部となる成形体を得る工程と、
    前記胴部となる成形体を熱処理して前記胴部となる仮焼体を得る工程と、
    前記軸部となる成形体を焼成して焼結体である前記軸部を得る工程と、
    前記凸部または凹部を設けた前記胴部となる仮焼体および対応する前記凸部または凹部を設けた焼結体である前記軸部とを組み合わせる形で焼成して、前記胴部となる仮焼体の焼成時のセラミックスの収縮により、前記胴部と前記軸部とを嵌合して接合する工程と
    を含むことを特徴とする溶融金属めっき用ロールの製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の溶融金属めっき用ロールを、溶融金属中で被めっき体を取り扱うためのロールとして用いることを特徴とする溶融金属めっき装置。
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