JP5171308B2 - 焼成用治具及びハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

焼成用治具及びハニカム構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、焼成用治具及びハニカム構造体の製造方法に関する。
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含有されるパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
この排気ガスを多孔質セラミックに通すことにより、排気ガス中のパティキュレートを捕集して排気ガスを浄化するセラミックフィルタが種々提案されている。
セラミックフィルタでは、例えば、多孔質セラミック体であるハニカム焼成体がシール材層を介して複数個結束され、その周囲にシール材層が形成されている。また、このハニカム焼成体では、長手方向に多数のセルが形成されており、これらセル同士を隔てるセル壁がフィルタとして機能するようになっている。
このようなハニカム焼成体を製造する一般的な手順として、まず、炭化ケイ素粉末とバインダと分散媒液とを混合して成形体製造用の混合物を調製した後、この混合物の押出成形等を行うことにより、ハニカム成形体を作製する。
次に、熱風乾燥機等を用いて得られたハニカム成形体を乾燥させることにより、一定の強度を有し、取り扱いが容易なハニカム成形体の乾燥体を製造する。
この乾燥工程の後、酸素含有雰囲気下、乾燥したハニカム成形体を300〜650℃で加熱して、バインダ中の溶剤を揮発させ、樹脂成分を分解消失させる脱脂工程を行う。次いで、不活性ガス雰囲気下、ハニカム成形体を2000〜2200℃で加熱することにより上記成形体中の炭化ケイ素粒子を焼結させる焼成工程を経て、焼結体であるハニカム焼成体を製造する。
このハニカム成形体の焼成工程では、下記反応式(1)に示す反応が右側に進行して、炭化ケイ素粒子の焼結が進行することとなる。
Figure 0005171308
ここで、反応式(1)中のSiOは、炭化ケイ素粒子の焼結に重要な役割を果たしている。炭化ケイ素粒子を焼結させる際に必要なSiOを供給することができる焼成用治具として、例えば、焼成用治具の表面の少なくとも一部に、コート層が形成されている焼成用治具が開示されている(特許文献1)。この焼成用治具によると、反応式(1)の進行に必要なSiOを充分量供給することができ、焼結体の生成反応を確実に進行させることができる。
WO2007/015550 A1
しかし、特許文献1の焼成用治具では、炭化ケイ素粒子の焼結は進行するものの、焼成工程を繰り返すうちにハニカム成形体の載置面においてコート層の剥離が生じることがあった。そして、コート層の剥離が生じた場合には、もはや焼成用治具として使用することができないことから、新たな焼成用治具に交換する必要があり、これによりランニングコストの増大を招いていた。
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、一連の焼結体の生成反応を充分に進行させつつ、ハニカム成形体の焼成に繰り返し用いてもコート層の剥離を防止することができ、長期間使用可能でランニングコストの削減を達成することができる焼成用治具を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の焼成用治具では、炭化ケイ素を主成分とするハニカム成形体をその側面を下にして載置するための収容体と、この収容体の少なくとも上記ハニカム成形体を載置する載置面に形成されたコート層とからなる焼成用治具において、上記コート層の主成分を炭化ケイ素とし、上記コート層の算術平均高さRaを10μm以下としている。
請求項1に記載の焼成用治具では、収容体の載置面に形成されたコート層のJIS B 0601(2001)に準拠して求められる算術平均高さRa(以下、単に表面粗さともいう)が10μm以下であるので、ハニカム成形体を焼成するために高温にさらされても、表面での凹凸の存在による局所的な応力の発生が抑制される。その結果、コート層において、局所的な応力による微細なひびや割れ等の発生が抑制されるので、本発明の焼成用治具を長期間使用してもコート層の剥離が生じることがない。これにより、焼成用治具を頻回に交換する必要がないので、長期にわたるランニングコストの低減を図ることができる。さらに、請求項1に記載の焼成用治具は長期間にわたり安定して使用可能であるので、焼成用治具を頻回に交換することで焼成条件が不安定となることを防止することができる。
また、請求項1に記載の焼成用治具では、コート層の表面粗さが10μm以下であるので、ハニカム成形体を載置したとしてもその表面に凹凸が生じることがない。特に、従来に比して、セラミックフィルタに用いられるハニカム焼成体の薄壁化が進んでいることから、ハニカム成形体の表面は、焼成用治具表面の凹凸の影響を受けやすくなっている。しかし、請求項1に記載の焼成用治具では、コート層の表面粗さが10μm以下であり、ハニカム成形体の表面は焼成用治具表面の凹凸の影響をほとんど受けることがないことから、焼成工程後のハニカム焼成体では良好な表面状態が得られる。
請求項1に記載の焼成用治具では、コート層の主成分が炭化ケイ素であるので、下記反応式(2)に従い、焼成を行う系内に充分量のSiOを供給することができる。これにより、炭化ケイ素粒子の焼結が充分進行し、所定の品質を持つハニカム焼成体を作製することができる。
Figure 0005171308
なお、反応式(2)のCOは、焼成温度が低い段階(およそ1200℃以下)での下記反応式(3)に従った反応等により生じると考えられる。また、反応式(3)のSiOの供給源は、炭化ケイ素を主成分とする原料混合物中に含まれる不純物等である。
Figure 0005171308
請求項2に記載の焼成用治具のように、緻密なコート層を気相法により形成することにより、コート層の強度を向上させることができ、ひいては焼成用治具としての耐久性を向上させることができる。
他方、従来ではコート層を形成するために、焼成炉に残留していた炭化ケイ素が収容体の載置面に析出するまで、ハニカム成形体を載置しないまま収容体を高温の焼成炉に通すという作業(いわゆる空焼き)を繰り返し行っており、焼成用治具を作製するのにかかる手間や費用が大きかった。しかし、請求項3に記載の焼成用治具のように、コート層の形成に気相法を採用することで、1回の作業で緻密なコート層を均一に形成することができるとともに、手間や費用を抑えることができる。また、空焼きでコート層を形成する場合、焼成条件の安定化まで相当期間必要であったが、気相法により1回でコート層を形成することで、焼成条件の安定化までの期間を大幅に短縮することができる。
請求項3に記載の焼成用治具のように、気相法として化学気相浸透法を採用することで、SiC純度の高いコート層を形成することができるので、不純物に起因した焼結体の生成反応に不必要な反応を極力回避することができる。
請求項4に記載の焼成用治具のように、収容体の表面全体に緻密なコート層を形成することで、収容体を構成する材料がコート層を抜けて焼成反応が行われている系内に漏れにくくなる。これにより、コート層を抜け出た収容体を構成する材料が原因となって炭化ケイ素粒子の焼結反応に不必要な反応が生じることを防止することができる。
また、収容体を構成する材料が焼結反応にほとんど影響しないので、収容体を構成する材料として選択可能な材料の幅を広くすることができる。
請求項5に記載の焼成用治具のように、コート層をSiCコート層形成材料からなるSiCコート層を研磨して形成してもよい。研磨して得られたSiCコート層は、表面粗さが所定の値を有する緻密層なので、コート層の剥離やクラック、凹凸の発生を防止することができる。
請求項6に記載の焼成用治具では、SiCコート層形成材料としてハイドライドポリカルボシランを主成分とするポリマー、SiC粒子とSiO粒子と含む混合物、表面にSiO膜が形成されたSiC粒子を含む原料、又は、SiとCとを含む混合物を用いてもよい。このような材料を用いると、形成されたSiCコート層において、表面付近では粗に形成され、内部では緻密に形成されることになる。このようなSiCコート層について、SiCコート層のうち内部の緻密な部分が表面に現れるように粗に形成された表面部分を研磨しているので、研磨後においては剥離やクラック等の発生を防止することができる。
請求項7に記載の焼成用治具のように、コート層の具体的な組成として再結晶SiC又は反応焼結SiCからなるコート層であってもよい。
請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法は、炭化ケイ素を主成分とするセラミック原料を成形することで、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に形成された柱状のハニカム成形体を作製し、このハニカム成形体を脱脂して、脱脂したハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製することで、ハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造する方法であって、
上記ハニカム成形体を焼成用治具に載置して上記ハニカム成形体を焼成し、
上記焼成用治具は、上記ハニカム成形体をその側面を下にして載置するための収容体と、
上記収容体の少なくとも上記ハニカム成形体を載置する載置面に形成されたコート層とからなり、
上記コート層の主成分は、炭化ケイ素であり、
上記コート層のJIS B 0601(2001)に準拠して求められる算術平均高さRaは10μm以下である。
請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法によると、焼成用治具の載置面に形成されたコート層は炭化ケイ素を主成分とするので、反応式(1)における炭化ケイ素粒子の焼結に必要なSiOを充分に供給することができ、これにより、焼結反応が充分に進んだハニカム焼成体を作製することができる。また、焼結が充分に進んだハニカム焼成体を用いてハニカム構造体を製造することから、得られるハニカム構造体では圧力損失が低く、曲げ強度が高いといった優れた品質を達成することができる。
加えて、請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法では、コート層の表面粗さが10μm以下であるので、ハニカム成形体を焼成用治具に載置して焼成しても、ハニカム焼成体の表面にはコート層の凹凸が原因となった凹凸がほとんど生じることがない。従って、得られるハニカム焼成体を用いたハニカム構造体では、このような微小な凹凸に起因したセル欠けや強度の低下等が起こることがないことから、製品のロスを防止することができ、また、製品の品質を長期間保つことができる。
さらに、請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法によると、コート層の表面粗さが10μm以下であるので、微小な凹凸に起因した応力が生じにくい。従って、コート層表面にひびや割れが生じにくくなることから、長期間安定して焼成用治具を使用することができる。また、焼成用治具の長期間の使用が可能であることから、焼成に必要なランニングコストを低く抑えることができる。
請求項9に記載のハニカム構造体の製造方法によると、緻密なコート層を気相法により形成しているので、コート層の強度を向上させることができ、ひいては焼成用治具としての耐久性を向上させることができる。
また、そのようなコート層を1回の作業で収容体に形成することができるので、コート層の安定化までの時間を短縮することができ、これにより、焼成条件を速やかに安定化させることができる。従って、準備期間も含めたハニカム構造体を製造するための期間を短縮することができる。
請求項10に記載のハニカム構造体の製造方法では、気相法として化学気相浸透法を採用しているので、SiC純度の高いコート層を形成することができる。これにより、不純物に起因した焼結体の生成反応に不必要な反応を極力回避することができ、高い品質を有するハニカム構造体を製造することができる。
請求項11に記載のハニカム構造体の製造方法のように、収容体の表面全体に緻密なコート層を形成することで、収容体の構成材料がコート層を抜けて漏出しにくくなる。これにより、漏出した収容体の構成材料が、炭化ケイ素粒子の焼結反応に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
また、収容体を構成する材料が焼結反応にほとんど影響しないので、収容体を構成する材料として選択可能な材料の幅を広くすることができる。
請求項12に記載のハニカム構造体の製造方法では、カーボン製のスペーサを介してハニカム成形体を焼成用治具に載置しているので、反応式(1)や反応式(3)におけるCを充分に供給することができ、焼結体の生成反応を充分に進行させることができる。
ところで、反応式(1)や反応式(3)におけるCは、原料混合物中に含まれていた有機分の脱脂後における残留分を供給源としているところ、その量はごくわずかであることから、焼結体の生成反応が進行するにつれて、ついには尽きてしまう。このような場合であっても、カーボンからなるスペーサを用いると、このカーボンを供給源として反応式(1)や反応式(3)が進行するので、炭化ケイ素粒子の焼結を進行させることができる。
請求項13に記載のハニカム構造体の製造方法によると、ハニカム成形体を脱脂する際にも所定の焼成用治具を用いており、この焼成用治具にハニカム成形体を載置して脱脂し、脱脂したハニカム成形体を上記焼成用治具に載置したまま、ハニカム成形体を焼成している。こうすることで、ハニカム成形体を脱脂した後、ハニカム成形体を焼成するために別途焼成用治具に移し替えるという手順を必要としない。ここで、脱脂後のハニカム成形体は水分が少なく、焼結もしていないことから、脆く扱いにくいという性質を有するが、ハニカム成形体を脱脂した後そのまま焼成することができるので、焼成用治具への移し替えによるハニカム成形体の損傷を防止することができる。
さらに、スペーサを介してハニカム成形体を収容体に載置すると、ハニカム成形体と収容体の載置面との間に空間が生じることになるので、ハニカム成形体の周囲の雰囲気をより均一にすることができる。これにより、ハニカム成形体の部位によって脱脂の進行状態にバラツキが生じるのを防止することができる。
さらに、ハニカム成形体の載置の際にスペーサを用いることで、ハニカム成形体は焼成用治具に接触しないこととなり、ハニカム成形体側面を形成するセル壁の焼成ムラに起因する強度不足、焼成用治具との接触に起因する凹み、セル壁の破損、クラック等の不具合を防止することができる。また、ハニカム成形体を直接載置する代わりにスペーサを用いた場合には、焼成用治具のコート層表面の凹凸の影響を少なくするという効果を代替的に得ることができる。
請求項14に記載のハニカム構造体の製造方法のように、コート層をSiCコート層形成材料からなるSiCコート層を研磨して形成しても、所定の値の表面粗さを有する緻密層が得られる。従って、焼成用治具におけるコート層の剥離やクラック、凹凸の発生が防止されることから、得られるハニカム焼成体の表面にも凹凸等が生じにくく、ひいては所定の品質を有するハニカム構造体を製造することができる。
請求項15に記載のハニカム構造体の製造方法では、SiCコート層形成材料としてハイドライドポリカルボシランを主成分とするポリマー、SiC粒子とSiO2粒子と含む混合物、表面にSiO2膜が形成されたSiC粒子を含む原料、又は、SiとCとを含む混合物を用いてもよい。このような材料を用いると、形成されたSiCコート層において、表面付近では粗に形成され、内部では緻密に形成されることになる。このようなSiCコート層について、SiCコート層のうち内部の緻密な部分が表面に現れるように粗に形成された表面部分を研磨しているので、研磨後においては剥離やクラック等の発生を防止することができる。ゆえに、表面に凹凸等のない所定の品質を有するハニカム焼成体、ひいてはハニカム構造体を製造することができる。
請求項16に記載のハニカム構造体の製造方法のように、コート層の具体的な組成として再結晶SiC又は反応焼結SiCからなるコート層であってもよい。
(第一実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一実施形態の焼成用治具を模式的に示す一部断面斜視図である。
焼成用治具10は、底板12と枠材14とからなり、枠材14が底板12上に載せられることで両者は一体となっている。枠材14の下面に形成された凸部と底板12の上面に形成された凹部とを互いに嵌め合わせることで、枠材14は底板12に固定される。
底板12は、カーボン製の底基材13と底基材13の表面に形成されたコート層16とからなり、また、枠材14は、カーボン製の枠基材15と枠基材15の表面に形成されたコート層16とからなる。図1に示した焼成用治具10では、底基材13と枠基材15とで収容体11が構成されていることになる。
なお、本実施形態では、底基材13と枠基材15とが一体となって収容体11が構成され、その一体として構成された収容体にコート層16が形成されていてもよい。
コート層16は、後述するように、炭化ケイ素を主成分とする緻密層であり、収容体11を構成する底基材13及び枠基材15の表面全体に均一に形成されている。コート層16の表面粗さは10μm以下であるので、コート層16は良好な平坦性を有する。また、コート層16は、底基材13のハニカム成形体の載置面のみに形成されていてもよいし、枠基材15のハニカム成形体に対向する表面にも形成されていてもよい。底基材13及び枠基材15の表面全体に形成されていてもよい。
焼成用治具10は、上面が開放した箱形状を有しており、所定数のハニカム成形体20を収容することができるようになっている。ハニカム成形体20を焼成用治具10に載置する際には、ハニカム成形体20の側面24bを下にして焼成用治具10の載置面17に載置する。
また、焼成の際には、ハニカム成形体20は、カーボン製のスペーサ40を介して載置面17に載置される。図1の焼成用治具10では、2本のスペーサ40を介してハニカム成形体20が載置面17に載置されている。ここで、スペーサ40を介することなくハニカム成形体20を載置面17に載置しても、コート層16の表面粗さは10μm以下であることから、ハニカム成形体20の表面(側面24b)は、載置面17の凹凸の影響を受けにくい。
コート層16は、収容体11(底基材13及び枠基材15)の表面全体に化学気相浸透法で形成された緻密層である。この化学気相浸透法によると、コート層16は、炭化ケイ素がカーボン製の収容体11のごく表面に浸透することにより、厚さ70〜120μmの緻密層として形成される。このように形成されたコート層16も本発明にいうコート層に含まれる。この他、化学蒸着法により、収容体11の表面上に炭化ケイ素を析出させるように形成してもよい。こうして化学気相浸透法により形成した緻密なコート層16が収容体11の表面全体に形成されているので、焼成用治具10がハニカム成形体20の焼成の際の高温に曝されても、表面の剥がれや亀裂が生じにくく、長期間安定して焼成用治具10として使用することができる。
コート層16は、上述のように、反応式(2)に示した炭化ケイ素粒子の焼結反応に必要なSiOの供給源として機能する。ここで、反応式(1)の右側への反応により炭化ケイ素粒子の焼結が進行するにつれてCOが生成され、焼成炉内のCOの分圧は高くなる。COの分圧が高くなるにつれて、反応式(1)は平衡反応であることから、反応式(1)の左側への反応が生じるようになり、SiCの生成反応が進行しない、すなわち、炭化ケイ素粒子の焼結反応が阻害されるようになる。そのような場合でも、コート層16が炭化ケイ素からなると、コート層16において反応式(2)の右側への反応が進行して過剰なCOが消費されることから、焼結反応が良好に進行することになる。このようにコート層16は、焼結反応に必要なSiO源として機能するとともに、焼結反応の進行に伴って過剰に生成されたCOの消費源としても機能する。
ハニカム成形体20は、炭化ケイ素を主成分とする原料を押出成形することにより得られる成形体であり、通常は、焼成を行う前には有機分等を消失させるための脱脂処理が施されている。図2に示したように、ハニカム成形体20では、多数のセル21がセル壁22を隔てて、ハニカム成形体20の長手方向(図2中、矢印aの方向)に形成されている。また、セル21の各々は、セル21のいずれかの端部で封止材ペースト23により封止され、これにより多数のセル21は両端面24aにおいて市松模様状に開口する。なお、本明細書では、セル21が開口する面を端面24aといい、それ以外の面を側面24bという。
次に、本実施形態のハニカム構造体の製造方法を説明する。
まず、本製造方法により得られるハニカム構造体について簡単に説明し、その後、製造方法について説明する。
図3は、ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図4(a)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、そのA−A線断面図である。
ハニカム構造体60では、図3に示すようにハニカム焼成体50がシール材層(接着剤層)61を介して複数個結束されてセラミックブロック63が構成され、さらに、このセラミックブロック63の外周にシール材層(コート層)62が形成されている。
また,ハニカム焼成体50は、ハニカム成形体20と同様の形状を有しており、図4(a)に示すように、長手方向(図4(a)中、矢印aの方向)に多数のセル51が形成されている。
ハニカム焼成体50に形成されたセル51は、図4(b)に示すように、排ガスGの流入側又は流出側の端部のいずれかが封止材53により封止され、一のセル51に流入した排ガスGは、セル51を隔てるセル壁52を通過した後、他のセル51から流出するようになっており、排ガスGがセル壁52を通過する際、パティキュレートがセル壁52部分で捕捉され、排ガスが浄化される。すなわち、セル51同士を隔てるセル壁52がフィルタとして機能するようになっている。
次に、本実施形態のハニカム構造体の製造方法を説明する。
まず、セラミック原料として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と有機バインダとを乾式混合して混合粉末を調製するとともに、液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合して混合液体を調製し、続いて、上記混合粉末と上記混合液体とを湿式混合機を用いて混合することにより、成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入する。
上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、湿潤混合物を押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を形成する。このハニカム成形体を乾燥機により乾燥させ、乾燥させたハニカム成形体とする。
乾燥させたハニカム成形体の両端を切断装置を用いて切断し、所定の長さのハニカム成形体を得る。次いで、各セルの排ガスの流入側及び流出側のいずれかの端部に、封止材ペーストを所定量充填し、セルを封止する。セルを封止する際には、ハニカム成形体の端面(すなわち両端を切断した後の切断面)にセル封止用のマスクを当てて、封止の必要なセルにのみ封止材ペーストを充填する。このような工程を経て、セルを封止したハニカム成形体を作製する。
次に、セルを封止したハニカム成形体を脱脂炉中で加熱して脱脂する。
ハニカム成形体の脱脂は、ハニカム成形体を焼成用治具に載置した後、脱脂炉に搬入し、酸素含有雰囲気下、300〜650℃に加熱することで行う。これにより、有機バインダ等が揮散し、ほぼ炭化ケイ素粉末のみが残留する。この場合、ハニカム成形体の周囲の雰囲気を均一にするために、図1に示した焼成用治具10における底板12から枠材14を取り外し、スペーサ40を介して底板12に載置した状態でハニカム成形体20の脱脂を行う。
その後、脱脂したハニカム成形体20を底板12に載置したまま焼成炉に搬送し、ハニカム成形体20を焼成する。ハニカム成形体20の焼成は、図1に示すように、脱脂したハニカム成形体20が載置された底板12に枠材14を取り付けた状態で行う。ハニカム成形体20を底板12に載置したままハニカム成形体20を焼成するので、脱脂に用いる治具から焼成用治具へ移し替える必要がなく、これによりハニカム成形体20の損傷を防止することができる。
次に、ハニカム成形体20を収容した焼成用治具10を、図5に示したように、複数段積み重ね、最上部に蓋33を載置する。積み重ねた焼成用治具10を搬送機32上に載置し、焼成炉内を移動させながら連続的にハニカム成形体20を焼成する。焼成条件としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、脱脂したハニカム成形体20を1400〜2200℃で焼成を行う。
そして、得られたハニカム焼成体の側面に、シール材ペーストを塗布してシール材ペースト層を形成し、このシール材ペースト層を介して順次他のハニカム焼成体を積層する。この手順を繰り返して所定数のハニカム焼成体が結束されたハニカム焼成体の集合体を作製する。なお、シール材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維及び/又は無機粒子とからなるものを使用することができる。
次に、このハニカム焼成体の集合体を加熱してシール材ペースト層を乾燥、固化させてシール材層(接着剤層)とする。その後、ダイヤモンドカッター等を用いてハニカム焼成体の集合体に切削加工を施してセラミックブロックとし、セラミックブロックの外周面にシール材ペーストを塗布して乾燥固化させることによりシール材層(コート層)を形成する。このようにしてハニカムフィルタを製造する。
以下、本実施形態の焼成用治具及びハニカム構造体の製造方法についての作用効果について列挙する。
(1)収容体の載置面に形成されたコート層の表面粗さが10μm以下であるので、ハニカム成形体を焼成するために高温にさらされても、局所的な応力による微細なひびや割れ等の発生が抑制され、長期間の使用でもコート層の剥離を防止することができる。また、焼成用治具を頻回に交換する必要がないので、長期にわたるランニングコストの低減を図ることができる。さらに、本実施形態の焼成用治具は長期間にわたり安定して使用可能であるので、焼成条件の安定化を図ることができる。
(2)コート層の表面粗さが10μm以下であるので、ハニカム成形体の表面は焼成用治具表面の凹凸の影響をほとんど受けることがなく、焼成工程後のハニカム焼成体では良好な表面状態を達成することができる。
(3)コート層の主成分が炭化ケイ素であるので、焼結反応に必要なSiOを充分に供給することができる。これにより、炭化ケイ素粒子の焼結が充分進行し、所定の品質を持つハニカム焼成体を作製することができる。
(4)緻密なコート層を気相法により形成することにより、コート層の強度を向上させることができ、ひいては焼成用治具としての耐久性を向上させることができる。
また、コート層を化学気相浸透法により形成することでSiC純度の高いコート層を形成することができ、不純物に起因した焼結体生成の阻害反応を防止することができる。
(5)収容体の表面全体に緻密なコート層を形成することで、収容体を構成する材料の漏れを防止し、焼結反応に不必要な反応が生じることを防止することができる。
(6)焼成用治具に形成されたコート層は炭化ケイ素を主成分とするので、炭化ケイ素粒子の焼結に必要なSiOを充分に供給することができ、これにより、焼結反応が充分に進んだハニカム焼成体を作製することができる。また、焼結が充分に進んだハニカム焼成体を用いてハニカム構造体を製造することから、得られるハニカム構造体では圧力損失が低く、曲げ強度が高いといった優れた品質を達成することができる。
(7)緻密なコート層を気相法により1回の作業で収容体に形成することができるので、コート層の安定化までの時間を短縮することができ、これにより、焼成反応をも速やかに安定化させることができる。従って、準備期間も含めたハニカム構造体を製造するための期間を短縮することができる。
(8)気相法として化学気相浸透法を採用することで、SiC純度の高いコート層を形成することができる。これにより、不純物に起因した焼結体の生成反応に不必要な反応を防止することができ、高い品質を有するハニカム構造体を製造することができる。
(9)ハニカム成形体を脱脂する際にも所定の焼成用治具を用いており、この焼成用治具にハニカム成形体を載置して脱脂し、脱脂したハニカム成形体を上記焼成用治具に載置したまま、ハニカム成形体を焼成している。こうすることで、ハニカム成形体を脱脂した後、ハニカム成形体を焼成するために別途焼成用治具に移し替えるという手順を必要としない。また、焼成用治具への移し替えによるハニカム成形体の損傷を防止することができる。
(10)さらに、スペーサを介してハニカム成形体を収容体に載置すると、ハニカム成形体と収容体の載置面との間に空間が生じることになるので、ハニカム成形体の周囲の雰囲気をより均一にすることができる。これにより、ハニカム成形体の部位によって脱脂の進行状態にバラツキが生じるのを防止することができ、強度のバラツキを小さくすることができる。
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
カーボン(株式会社エスイーシー製 DSG−332)製で底基材と枠基材とからなる上部が開放した箱状の収容体表面のうち、底基材のハニカム成形体の載置面と枠基材表面とに化学気相浸透法(CVI)によりSiCからなる緻密なSiCコート層を形成した。SiCコート層の形成は、反応器内に上記底基材を置き、気相原料としてメチルトリクロロシランを用い、温度1500℃で減圧にした反応器内に気相原料を流入させて、厚さ90μm程度のSiCを析出させることで行った。SiCの析出回数は1回にて行った。
(実施例2)
60gの炭化ケイ素粉末、3gのテトラブトキシチタン、17gのシリコン樹脂及び20gのキシレンを混練してSiC層形成材料を調製した。カーボン(株式会社エスイーシー製 DSG−332)製で底基材と枠基材とからなる上部が開放した箱状の収容体表面のうち、底基材のハニカム成形体の載置面と枠基材表面とにスプレーガンを用いてSiCコート層形成材料を吹き付けて(吹き付け重量25g)、乾燥機を用い80℃で20分、230℃で20分乾燥することにより、治具表面にSiCコート層を形成した。
(比較例1)
カーボン(株式会社エスイーシー製 DSG−332)製の底基材と枠基材とを、ハニカム成形体を焼成する条件(常圧のアルゴン雰囲気下、2200℃で3時間)とした焼成炉内に10回通すことで(いわゆる空焼き)、底基材のハニカム成形体の載置面と枠基材表面とに厚さ300μm程度のSiC再結晶からなるSiCコート層を形成した。
(ハニカム焼成体の製造)
実施例1、2及び比較例1において作製した焼成用治具を用いハニカム焼成体を製造した。
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを湿式混合し、得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形を行い、押出成形された成形体を切断することで、図2に示したハニカム成形体と略同形状であってセルの封止がされていない生のハニカム成形体を作製した。
次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記ハニカム成形体を乾燥し、乾燥したハニカム成形体の所定のセルに上記生成形体と同様の組成の封止材ペーストを充填してセルの封止を行い、再び乾燥機を用いて乾燥させた。
次に、カーボン製で板状の脱脂用の治具(図1に示す底板12;すなわち、実施例1、実施例2又は比較例1の焼成用治具)に、封止材ペーストが充填された10個のハニカム成形体をカーボン製のスペーサを介して載置し、ハニカム成形体を400℃で脱脂した。
続いて、ハニカム成形体を底板12に載置した状態のまま枠材14を底板12に取り付けて焼成用治具10とし(図1参照)、この状態で、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成を行うことにより、気孔率が45%、平均気孔径が12μm、高さ34.3mm×幅34.3mm×長さ150mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)の炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体(図4(a)参照)を製造した。
(焼成用治具の評価)
(1.表面粗さの測定)
JIS B 0601(2001)に基づき、焼成用治具の載置面において、表面粗さ・輪郭形状統合測定機:サーフコム E−MD−S39A(東京精密社製)を用い、トレース速度0.3mm/s、カットオフ2.5mm、基準長さ2.5mm、縦倍率500倍にて水平方向に走査し、算術平均高さ(表面粗さ)Raを測定した。
(2.SiCコート層の厚さ測定)
SiCコート層の厚さは、電気伝導式膜厚測定計により測定した。
(3.SiCコート層のクラック、剥離の有無)
SiCコート層のクラックの有無は、ハニカム成形体の焼成条件と同じ条件(常圧のアルゴン雰囲気下、2200℃で3時間)の焼成炉に焼成用治具を通過(1回)させ、通過させた後の焼成用治具の表面を拡大鏡(倍率5倍)を用いて目視観察することで評価した。
また、SiCコート層の剥離の有無は、クラックの有無の評価と同様に、焼成炉に焼成用治具を10回通過させ、通過させた後の焼成用治具の表面を拡大鏡(倍率5倍)を用いて目視観察することで評価した。
(4.SiCコート層の凹凸の有無)
SiCコート層の見かけ上の大きな凹凸の有無は、ハニカム成形体の焼成条件と同じ条件(常圧のアルゴン雰囲気下、2200℃で3時間)の焼成炉に焼成用治具を10回通過させ、通過させた後の焼成用治具の載置面を定盤に当て、載置面と定盤の隙間の大きさをノギスで測定することで評価した。この隙間の最大値が2.0mm以上である場合にコート層に凹凸が発生していると判断した。凹凸は、いわゆる反りや変形のことであり、凹凸には、凸形状、凹形状、波形状等の反りや変形が含まれることとする。
(5.平均気孔径の安定化までの期間の評価)
実施例1、2及び比較例1において、焼成用治具を作製してから、これらの焼成用治具を用いて製造したハニカム焼成体の気孔径が安定するまでの期間を評価した。気孔径が安定したことの判断としては、目標とする平均気孔径の値を10μmと設定し、この値の±2μmの範囲に測定した平均気孔径が入ることを基準として行った。
また、平均気孔径は、JIS R 1655に準じ、水銀圧入法による細孔分布測定装置(島津製作所社製、オートポアIII 9405)を用い、ハニカム焼結体5個について、それぞれの中央部分を1cmの幅の立方体となるように切断してサンプルとし、細孔直径0.2〜500μmの範囲で細孔分布を測定し、そのときの平均細孔径(すなわち平均気孔径)を(4V/A)とすることで算出した。
以上の評価の結果を表1にまとめて示すとともに、図6(a)〜(c)に、それぞれ実施例1、2及び比較例1で作製した焼成用治具のSiCコート層の表面のSEM写真(150倍)を示す。また、図7(a)〜(c)に、それぞれ実施例1、2及び比較例1で作製した焼成用治具のSiCコート層の断面のSEM写真(90倍)を示す。
Figure 0005171308
実施例1で作製した焼成用治具では、表面粗さが4.5μmであり、SiCコート層の厚さが87〜94μmの緻密なSiCコート層が形成されていた。また、SiCコート層の剥離やクラック、凹凸もなく、ハニカム焼成体の平均気孔径の安定化については作製直後から安定した値を示した。実施例2で作製した焼成用治具では、SiC層の表面粗さは8.9μmであり、SiC層の剥離や凹凸は生じず使用には問題なかったものの、SiC層のクラックが生じていた。これは、実施例1では表面粗さが4.5μmと緻密なSiCコート層となっているのに対し、実施例2では、表面粗さが8.9μmで若干表面が粗くなっているために、SiCコート層のごく表面で微小な熱応力が生じ、それによりクラックが発生したと考えられる。なお、実施例2で作製した焼成用治具ではSiCコート層にクラックが発生しているが、剥離するまでには至っていないので、ハニカム焼成体の特性に影響を及ぼすことなく使用することができる。
一方、比較例1で作製した焼成用治具では、SiCコート層の表面粗さは26.3μmであり、クラック及び剥離が発生しており、また、SiCコート層の凹凸が生じていた。これは、表面粗さが26.3μmと大きいことから、実施例2と同様に、SiCコート層の表面で微小な熱応力が生じることでクラックが発生し、さらに発生したクラックが熱によって進展して剥離が生じるまでに至ったと考えられる。加えて、比較例1では、SiCコート層を形成するには底基材や枠基材を焼成炉に繰り返し通す必要があることから、SiCコート層形成過程の再結晶の形成ムラや熱履歴の影響で凹凸が生じたと考えられる。
実施例1、2及び比較例1の結果から、SiCコート層の表面粗さは10μm以下が望ましく、さらに耐久性や焼成用治具の交換頻度等の観点から5μm以下が望ましいことが判った。また、ハニカム焼成体の平均気孔径の安定化については、実施例1で作製した焼成用治具では作製直後から安定した値を示し、実施例2で作製した焼成用治具では2週間で安定した値を示した。一方、比較例1で作製した焼成用治具では平均気孔径の安定化までに1カ月を要した。以上のことより、ハニカム焼成体の平均気孔径の安定化の観点からも実施例1、2で作製した焼成用治具は比較例1で作製した焼成用治具より優れていることが判明した。
(第二実施形態)
次に、本発明の一実施形態である第二実施形態について説明する。
第二実施形態では、SiCコート層形成材料を用いてSiCコート層を形成し、SiCコート層の表面を研磨することで所定の表面粗さを有するSiCコート層を形成している。このような実施形態も本発明に含まれる。以下、SiCコート層を形成する方法(A)〜(D)を列記し、次いで、形成したSiCコート層を研磨する方法について簡単に説明する。
(SiCコート層の形成)
(A)ハイドライドポリカルボシランを主成分とするポリマーを焼成用治具のSiCコート層を形成する領域に塗布し、その後、乾燥処理及び焼成処理を行ってSiCコート層を形成する。
上記ポリマーを治具に塗布する方法としては、例えば、スプレーコーティング、ウォッシュコーティング、刷毛塗り、滴下、印刷等が挙げられる。
方法(A)を採用した場合には、下記反応式(4)に示す反応が進行して、焼成用治具にSiC層が形成されることとなると考えられる。なお、この方法では、形成したSiC層の分だけ焼成用治具の厚さが増加することとなる。
Figure 0005171308
(B)SiC粒子とSiO粒子とを含む混合物を、焼成用治具のSiCコート層を形成する領域に塗布又は載置し、その後乾燥処理及び焼成処理を行ってSiCコート層を形成する。上記混合物を塗布する方法としては、方法(A)と同様の方法を用いることができる。
上記SiC粒子とSiO粒子と含む混合物を塗布又は載置する場合、上記混合物の塗布又は載置を容易に行うため、混合物に有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ベンゼン、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
方法(B)を採用した場合には、下記反応式(5)、(6)に示す反応が右側に進行して、焼成用治具にSiC層が形成されることとなると考えられる。なお、この方法では、焼成用治具を構成するカーボンとの反応によりSiC層が形成されるため、焼成用治具の厚さは、殆ど変化しない。
Figure 0005171308
Figure 0005171308
(C)焼成炉内をSiOガス、COガス雰囲気とし、SiC粒子とSiO粒子とを含む再結晶用原料を焼成用治具上に載置した状態で、焼成処理を行うことにより、焼成用治具の表面に再結晶SiCからなるコート層を形成する。
上記再結晶SiCからなるコート層を形成する場合には、SiC粒子とSiO粒子とを含む再結晶用原料に代えて、表面にSiO膜が形成されたSiC粒子を含む再結晶用原料を使用し、これ以外は、上述した方法と同様の方法を用いて焼成用治具の表面に再結晶SiCからなるコート層を形成してもよい。
上記再結晶用原料を用いて、焼成処理を行うことにより、再結晶SiCからなる層を形成する場合、上記焼成処理は、1400〜2300℃で行えばよい。また、上記焼成処理前に、上記再結晶用原料に、乾燥処理や脱脂処理(200〜500℃)を行ってもよい。
方法(C)を採用した場合には、上記再結晶用原料由来のSiCが、上記焼成処理において、焼成用治具の表面に再結晶SiCとして付着し、再結晶SiCからなるコート層が形成されることとなる。
(D)Si(シリコン)とC(カーボン)とを含む混合物を焼成用治具のSiCコート層を形成する領域に塗布又は載置し、その後、例えば、約1800℃で焼成処理を行うことにより、反応焼結SiCからなるコート層を形成する。
方法(D)を採用した場合には、焼成用治具の表面に反応焼結によりSiCコート層が形成され、反応焼結SiCからなる層が形成されることとなる。
(SiCコート層の研磨)
こうして形成したSiCコート層を研磨する方法としては、例えば、バフ研磨や砥石による研磨、シートによる研磨、スクラブ研磨、ブラスト研磨、ブラスト処理、ポリッシング等が挙げられる。
上記バフ研磨で使用するバフとしては、例えば、ディスク型バフ、フラップ型バフ、渦巻き型バフ等の砥粒含有バフ、ポリプロピレン不繊布等の無砥粒バフ等が挙げられる。上記砥粒含有バフに用いられる砥粒としては、例えば、アルミニウムシリケート、酸化アルミニウム、シリコンカーバイド等が挙げられる。
上記砥石の種類としては、例えば、レジノイド砥石(樹脂系)、マグネシア砥石(セメント系)、ダイヤモンド砥石、レジンボンドダイヤモンド砥石、ラバーコントロール砥石、エポキシコントロール砥石等が挙げられる。
また、シートとしては、例えば、粒度が#A60〜A240のシート研磨材を含んだものを使用することができ、具体的には、例えば、ウレタンスポンジ、ナイロン不繊布、アクリル(スポンジ)等にアルミニウムシリケート、酸化アルミニウム、シリコンカーバイド等の砥粒を付着させたもの等が挙げられる。
スクラブ研磨としては、ジェットスクラブ研磨やブラシスクラブ研磨等が挙げられる。
また、ブラスト研磨としては、マイクロブラスト研磨やサンドブラスト研磨等が挙げられる。
以下、本発明の第二実施形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例3)
カーボン(株式会社エスイーシー製 DSG−332)製で底基材と枠基材とからなる上部が開放した箱状の収容体を用意し、底基材のハニカム成形体の載置面と枠基材表面とにアリルヒドリドポリカルボシランを主成分とするSiCコート層形成用ポリマー(Starfire−Systems社製、SP−MATRIX Polymer)を塗布し、100℃で、12時間乾燥後、2200℃で、2.5時間焼成する工程を7回繰り返すことにより、その載置面にSiCコート層を形成した。その後、ディスク型バフを用いたバフ研磨により載置面を研磨することで表面粗さを10μm以下となるように調整してSiCコート層を形成し、焼成用治具を作製した。
(実施例4)
比較例1で作製した焼成用治具のSiCコート層に対して、その表面粗さが10μm以下となるように実施例3と同様にバフ研磨を行い、焼成用治具を作製した。図8は、実施例4で研磨を行う前の焼成用治具の断面のSEM写真である。
(比較例2)
バフ研磨を行わなかったこと以外は、実施例3と同様に焼成用治具を作製した。
(ハニカム焼成体の製造)
実施例3、4及び比較例2で作製した焼成用治具を用い、第一実施形態においてハニカム焼成体を製造した方法と同様にしてハニカム焼成体を製造した。
(焼成用治具の評価)
実施例3、4及び比較例2で作製した焼成用治具の評価を、第一実施形態において評価した項目について評価することで行った。
結果を表2に示す。
Figure 0005171308
実施例3では、研磨前のSiCコート層の表面粗さが27.5μmであり、研磨後のSiCコート層の表面粗さは9.5μmであった。また、実施例4では、研磨前のSiCコート層の表面粗さが26.3μmであり、研磨後のSiCコート層の表面粗さは6.6μmであった。実施例3、4においてはともに、コート層の剥離やクラック、凹凸は発生せず、また、平均気孔径の安定化は1カ月の期間で達成された。
一方、比較例2では、SiCコート層の表面粗さが28.1μmと大きかった。また、SiCコート層のクラックが生じ、剥離も発生していた。平均気孔径の安定化は、実施例3と同様、1カ月の期間で達成されたが、SiCコート層の凹凸が発生していた。これは、SiCコート層形成用ポリマーを収容体表面に均一に塗布することができなかったこと、及び、SiCコート層の形成するのにSiCコート層形成用ポリマーの塗布、乾燥、焼成を複数回繰り返したためにバラツキが生じたことが主な原因であると考えられる。
実施例3、4における研磨前のSiCコート層は、表面付近では粗に形成され、内部では緻密に形成されている。クラックはSiCコート層の表面付近の粗に形成された部分で生じやすくなっているのに対し、実施例3、4では、SiCコート層のうち内部の緻密な部分が表面に現れるように粗に形成された表面部分を研磨しているので、研磨後においては剥離やクラック等の発生を防止することができる。また、研磨前にSiCコート層表面に凹凸が存在していても、その凹凸部分は研磨されることになるので、SiCコート層の表面を平滑化することができる。
(他の実施形態)
SiCコート層を形成する方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、CVT(Chemical Vapor Transportation)法、CVI(Chemical Vapor Infiltration)法等の化学気相法、PVD(Physical Vapor Deposition)法、液相エピタキシー(Liquid Phase Epitaxy)法、ゾルゲル法、DLC(Diamond Like Carbon)コーティング法、スプレー等の液相法、固相エピタキシー法、再結晶化法等の固相法等が挙げられる。
上記SiCコート層を形成する方法のうち、CVD法、CVI法、DLCコーティング法、スプレー法、再結晶化法が望ましく、特に、CVD法、CVI法が望ましい。
CVD法やCVI法では、SiCコート層の表面粗さを小さくすることができるからである。また、DLCコーティング法、スプレー法、再結晶化法では、SiCコート層の表面粗さが大きくなりやすいが、厚いコート層を形成しておき、表面を研磨することによりSiCコート層の表面粗さを小さくすることができるからである。
例えば、気相法でSiCコート層を形成する場合には、CHSiCl及びHの存在下、1000℃程度で加熱する方法や、SiCl及びCCHの存在下、1500〜1800℃で加熱する方法を用いることができる。
スペーサの材料は、焼成工程時の高温に耐え得る材料であれば、特に限定されるものではなく、カーボン以外にも、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等を使用することができる。
スペーサの形状としては、特に限定されないが、カーボン繊維を組み合わせて布状にしたカーボンフェルトや糸状のカーボン繊維を組み上げたものが好ましい。これらは固すぎることがなくハニカム成形体を傷つけにくいからである。
本発明において製造されるハニカム構造体は、所定のセルが封止されたハニカム構造体に限定されるものではない。所定のセルが封止されたハニカム構造体は、ハニカムフィルタとして好適に使用することができ、また、セルが封止されていないハニカム構造体は、触媒担体として好適に使用することができる。
従って、本発明のハニカム構造体の製造方法においては、必ずしも封止材ペーストの充填を行う必要はなく、必要に応じて充填を行えばよい。
また、炭化ケイ素粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程を経て作製されたハニカム焼成体の大きさが、脱脂処理を施したハニカム成形体の大きさに比べて小さくなる場合が少ないものが好ましく、例えば、1.0〜50μmの平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μmの平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
ハニカム焼成体の気孔径等を調節するためには、焼成温度を調節する必要があるが、無機粉末の粒径を調節することにより、気孔径を調節することができる。
湿潤混合物における有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。有機バインダの配合量は、通常、無機粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
湿潤混合物における可塑剤は、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。また、潤滑剤は特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、混合原料粉末に含まれていなくてもよい。
また、湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
さらに、湿潤混合物には必要に応じ、造孔剤として、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
また、炭化ケイ素粉末を用いた湿潤混合物は、その温度が28℃以下であることが望ましい。温度が高すぎると、有機バインダがゲル化してしまうことがあるからである。
また、湿潤混合物中の有機分の割合は10重量%以下であることが望ましく、水分の含有量は8〜20重量%であることが望ましい。
セルを封止する封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て製造される封止材の気孔率が30〜75%となるものが望ましく、例えば、湿潤混合物と同様のものを用いることができる。
また、ハニカム焼成体の集合体を作製する際には、予めハニカム焼成体同士をスペーサを介して組み上げておき、その後、ハニカム焼成体同士の間隙にシール材ペーストを注入することにより、ハニカム焼成体の集合体を作製してもよい。
シール材ペーストにおける無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
シール材ペーストにおける有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
シール材ペーストにおける無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナファイバ、ムライトファイバ、アルミナファイバ、シリカファイバ等のセラミックファイバー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
シール材ペーストにおける無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなる無機粉末等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
さらに、シール材ペーストには、必要に応じて湿潤混合物と同様の造孔剤を添加してもよい。
押出成形によりハニカム成形体を作製した後には、必ずしも乾燥処理を行う必要はなく、必要に応じて行えばよい。また、封止材ペーストをセルの端部に充填した後に乾燥処理を行ってもよい。
また、ハニカム成形体の乾燥処理を行う際には、マイクロ波と熱風とを組み合わせた乾燥機以外に、例えば、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、減圧乾燥機、誘電乾燥機、凍結乾燥機等を用いてもよい。
なお、脱脂工程と焼成工程は、必ずしも同一の焼成用治具を用いて行う必要はなく、脱脂工程の際には焼成用治具とは別の脱脂用治具を用いてもよい。この場合、脱脂されたハニカム成形体を脱脂用治具から取り出し、焼成用治具に配置したスペーサ上に載置して、焼成工程を行うことができる。
本発明で製造したハニカム構造体には、必要に応じて触媒を担持させてもよい。また、触媒の担持はハニカム集合体を作製する前のハニカム焼成体に対して行ってもよい。
触媒を担持させる場合には、ハニカム構造体の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒、及び、白金等の触媒を付与することが望ましい。
本発明の第一実施形態の焼成用治具を模式的に示す一部断面斜視図である。 被焼成体であるハニカム成形体を模式的に示す斜視図である。 ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 (a)は、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。 ハニカム成形体がスペーサを介して焼成用治具に収容された状態を示す部分拡大正面図である。 (a)は、実施例1で作製した焼成用治具のSiCコート層表面のSEM写真を示し、(b)は、実施例2で作製した焼成用治具のSiCコート層表面のSEM写真を示し、(c)は、比較例1で作製した焼成用治具のSiCコート層表面のSEM写真を示す。 (a)は、実施例1で作製した焼成用治具の断面のSEM写真を示し、(b)は、実施例2で作製した焼成用治具の断面のSEM写真を示し、(c)は、比較例1で作製した焼成用治具の断面のSEM写真を示す。 実施例4で研磨を行う前の焼成用治具の断面のSEM写真を示す。
符号の説明
10 焼成用治具
11 収容体
16 コート層
17 載置面
20 ハニカム成形体
21 セル
22 セル壁
24b 側面
40 スペーサ
60 ハニカム焼成体

Claims (16)

  1. 炭化ケイ素を主成分とする柱状のハニカム成形体をその側面を下にして載置するための収容体と、
    前記収容体の少なくとも前記ハニカム成形体を載置する載置面に形成されたコート層とからなるハニカム成形体焼成用治具であって、
    前記コート層の主成分は、炭化ケイ素であり、
    前記コート層のJIS B 0601(2001)に準拠して求められる算術平均高さRaは10μm以下であることを特徴とする焼成用治具。
  2. 前記コート層は、気相法により形成された緻密層である請求項1に記載の焼成用治具。
  3. 前記気相法は、化学気相浸透法である請求項2に記載の焼成用治具。
  4. 前記コート層は、前記収容体の表面全体に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の焼成用治具。
  5. 前記コート層は、SiCコート層形成材料からなるSiCコート層を研磨して形成されている請求項1又は4に記載の焼成用治具。
  6. 前記SiCコート層形成材料は、ハイドライドポリカルボシランを主成分とするポリマー、SiC粒子とSiO粒子と含む混合物、表面にSiO膜が形成されたSiC粒子を含む原料、又は、SiとCとを含む混合物である請求項5に記載の焼成用治具。
  7. 前記コート層は、再結晶SiC又は反応焼結SiCからなる請求項1、4、5、6のいずれかに記載の焼成用治具。
  8. 炭化ケイ素を主成分とするセラミック原料を成形して、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に形成された柱状のハニカム成形体を作製し、
    前記ハニカム成形体を脱脂し、
    脱脂した前記ハニカム成形体を焼成することによりハニカム焼成体を作製して、前記ハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造する方法であって、
    前記ハニカム成形体を焼成用治具に載置して前記ハニカム成形体を焼成し、
    前記焼成用治具は、前記ハニカム成形体をその側面を下にして載置するための収容体と、
    前記収容体の少なくとも前記ハニカム成形体を載置する載置面に形成されたコート層とからなり、
    前記コート層の主成分は、炭化ケイ素であり、
    前記コート層のJIS B 0601(2001)に準拠して求められる算術平均高さRaは10μm以下であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  9. 前記コート層は、気相法により形成された緻密層である請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法。
  10. 前記気相法は、化学気相浸透法である請求項9に記載のハニカム構造体の製造方法。
  11. 前記コート層は、前記収容体の表面全体に形成されている請求項8〜10のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  12. 前記ハニカム成形体をカーボンからなるスペーサを介して前記焼成用治具に載置する請求項8〜11のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  13. 前記ハニカム成形体を脱脂する際にも前記焼成用治具を用い、
    前記ハニカム成形体を前記焼成用治具に載置して前記ハニカム成形体を脱脂し、
    脱脂した前記ハニカム成形体を前記焼成用治具に載置したまま、前記ハニカム成形体を焼成する請求項8〜12のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  14. 前記コート層は、SiCコート層形成材料からなるSiCコート層を研磨して形成されている請求項8、11、12、13のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  15. 前記SiCコート層形成材料は、ハイドライドポリカルボシランを主成分とするポリマー、SiC粒子とSiO粒子と含む混合物、表面にSiO膜が形成されたSiC粒子を含む原料、又は、SiとCとを含む混合物である請求項14に記載のハニカム構造体の製造方法。
  16. 前記コート層は、再結晶SiC又は反応焼結SiCからなる請求項8、11、12、13、14、15のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
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