JP4123457B2 - 連続溶融金属めっき用ロール - Google Patents

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    • F16C13/00Rolls, drums, discs, or the like; Bearings or mountings therefor

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  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
  • Coating With Molten Metal (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板に亜鉛めっき等の金属めっきを施す際に溶融金属浴中に浸漬して用いられるシンクロールやサポートロール等の連続溶融金属めっき用ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
連続溶融金属めっき装置は、表面を清浄、活性化した鋼板を亜鉛等の溶融金属浴中に浸漬、走行させながら連続的にめっきを行うものである。その際、シンクロールやサポートロール等の連続溶融金属めっき用ロールが溶融金属浴中に浸漬されて用いられる。シンクロールは、溶融金属浴中の底部に配置され、浴中に送られてきた鋼板の進行方向を上方の浴面側に変えるものである。通常、シンクロールの回転動力は、鋼板の走行移動によって駆動トルクが付与される。また、サポートロールは、一対のロールからなりシンクロールを通過した後の浴面に近い位置に設けられ、外部のモーターによりスピンドルを介して駆動され、鋼板を挟み込み、鋼板のパスラインを保ち、シンクロールを通過した際に生じる鋼板の反りを矯正する。
【0003】
従来の連続溶融金属めっき用ロールには、耐食性に優れるステンレス鋼やクロム系耐熱鋼等の鉄鋼材料が用いられていた。しかしながら、このロールは長時間、溶融金属浴中に浸漬されると、表面が侵食されて摩耗しやすかった。さらに耐食性、耐摩耗性を向上させるために鉄鋼材料からなるロール母材表面に、耐食性Co基合金を肉盛溶接したり、WC−Co系超硬合金やAl23等のセラミックスを溶射したものがあるが、母材と溶射被膜との熱膨張率の差により薄い被膜にクラックを生じそこから侵食されて摩耗を避けられなかった。
【0004】
摩耗が著しくなると、ロールの真円度、円筒度を維持できなくなり、ロールや鋼板に振動が起こり、均一なめっき特性の鋼板が得られなくなる。このため、従来は1〜2週間の連続使用の後に、一旦めっき作業を中止して摩耗したロールを交換する必要があった。これは生産性を著しく低下させ、ロール交換費用がかさむことにより製品のコスト高を招く問題があった。
【0005】
そこで、これを解決するために、鋼板が接触するロール胴部(通板部)を耐食性、耐熱性、耐摩耗性に優れるセラミックスにより構成した連続溶融金属めっき用ロールが知られている。例えば、従来例として特開平5−271887号には、SUH309の耐熱鋼からなる軸にサイアロン製のセラミックススリーブを保持する黄銅製の止めリングを挿入してから、軸の両端から耐熱鋼製の押さえリングをはめて、軸とセラミックススリーブを固定したサポートロールが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
シンクロールやサポートロール等の連続溶融金属めっき用ロールは、鋼板と接触した状態となるので鋼板と同一速度で回転する必要がある。このため、連続溶融金属めっき用ロールはできるかぎり回転しやすく、起動および鋼板の走行速度の変化に追従しやすいことが望まれる。しかしながら、前記従来例の場合、耐熱鋼からなる中実の軸を有するのでロール自重が重くなり、走行する鋼板に追従して回転し難い問題があった。
【0007】
また、ロール軸とセラミックススリーブとの隙間に溶融金属が侵入した状態で、ロールを浴中から引き揚げると、溶融金属が隙間に封入されたまま溜まって、温度の降下とともに凝固する。一方、浴中使用時に熱膨張していたロールは温度の降下により冷却され収縮し始める。そのため、隙間に溜まって凝固した金属によりセラミックススリーブが圧縮作用を受けて割れを生じる問題があった。
【0008】
また、前記従来例はロール胴部のみがセラミックスで構成され、ロールの軸と押さえリングは耐熱鋼、止めリングは黄銅を採用しているので溶融金属浴に対する耐食性、耐摩耗性は未だ十分でなかった。そこで、ロール全体をセラミックスで構成できればよいが、焼結製のセラミックスは、例えばセラミックスの原料粉末等を型の中に入れ、冷間静水圧プレス装置により成形した後、焼成して製造されるため、大きさや形状に限界がある。特に、ロールのような長尺品の場合、ロール全体をセラミックスにより一体的に製造するには、長さ寸法の制約を多く受けざる得なかった。
【0009】
本発明は、このような問題を解消することを目的としており、耐食性、耐熱性、耐摩耗性に優れ、ロールを軽量化して回転しやすい、ロールを浴中から引き揚げた際の割れを防止でき、ロール全体をセラミックスにより長尺化できる連続溶融金属めっき用ロールを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決する手段について種々検討した結果、連続溶融金属めっき用ロールにおいて、耐食性、耐熱性、耐摩耗性に優れるセラミックスにより、中空状のロール胴部と軸部を別個に作製した後、ロール胴部の片端部に一つの軸部を、ロール胴部の他端部に別の軸部を接合させて組立てることによりロールを構成し、軸部の外周に溶融金属を排出するための孔を形成することが有効であることを見い出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明の連続溶融金属めっき用ロールは、ロール胴部と軸部をそれぞれセラミックスにより中空状に形成し、ロール胴部の両端部に軸部を接合して構成され、軸部の外周に溶融金属を排出するための孔を形成したことを特徴とする。
【0012】
本発明において、軸部のロール胴部に接合される側の端部に、回転軸方向に切り欠いた切り欠き部を設けることにより、溶融金属を排出するための孔を形成することが比較的加工が容易なので好ましい。また、溶融金属を排出するための孔は、軸部の円周均等割りで複数箇所に設けることが均一な回転をさせるために好ましい。さらに、ロール胴部の端部に接合した部分の軸部の回転軸方向長さが、ロール胴部の端部から突出した軸部の回転軸方向長さより短いほうが、軽量化をより一層図れる、また溶融金属が侵入する可能性のある接合部分が少なくなりロール胴部と軸部の割れを防ぐことができるので望ましい。また、本発明において、ロール胴部の両端部に軸部を嵌合または螺合により接合することが好ましい。さらに、ロール胴部と軸部を窒化ケイ素やサイアロン等の窒化ケイ素系セラミックスにより形成するのが好ましい。
【0013】
【作用】
本発明の連続溶融金属めっき用ロールは、ロール胴部と軸部がセラミックスからなるので、溶融金属浴に対して十分な耐食性、耐熱性、耐摩耗性を有する。セラミックスのなかでも窒化ケイ素やサイアロン等の窒化ケイ素系セラミックスは、熱膨張係数が約3×10-6/℃と小さく耐熱衝撃性に優れ、高温高強度を有するので好ましい。
【0014】
ロール胴部と軸部は、それぞれ回転軸方向に貫通孔を有する中空体であるため、ロール全体の自重が軽くなる。したがって、ロールの回転慣性力が小さくなり、運転起動および鋼板の走行速度の変化に良好に追従して回転できる。
【0015】
本発明では、溶融金属が侵入する隙間を生じる可能性のある部分が、ロール胴部と軸部を接合した部分のみと少なく、また、ロールを浴中から引き揚げた際に、軸部の外周に設けた溶融金属を排出するための孔、および中空のロール胴部と軸部により形成された貫通孔の両端の開口部から溶融金属が円滑に排出されるので、隙間に溶融金属が溜まって凝固することによるロールの割れを防ぐことができる。溶融金属を排出するための孔は、円、楕円、角状等いかなる形状でも構わず、後述する細径側または太径側の軸部の外周に形成できる。軸部の円周上に均等割り、あるいは千鳥配列で多数の孔を穿設してよい。
【0016】
また、ロール胴部と軸部を別個に作製した後、ロール胴部の片端部に一つの軸部を、ロール胴部の他端部に別の軸部を嵌合または螺合させて組立てるため、全体がセラミックスからなるロールを容易に長尺化できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、連続溶融金属めっき装置のサポートロールにサイアロンセラミックスを適用した実施例について説明する。図1は連続溶融金属めっき装置の概略を示す。図1において、焼鈍炉から送出された鋼板1は、酸化防止のスナウト2を通り、亜鉛の溶融金属浴3の中に浸漬される。そして、鋼板1は溶融金属浴3中の底部に懸架されたシンクロール4により進行方向を変えられ浴面側に上昇する。次いで、浴面に近い位置に浸漬、支持された一対のロールからなるサポートロール5で鋼板1を挟み込み、鋼板1の反りや振動を防止する。続いて、溶融金属浴3面の上方にあるガスワイピング6によって高速ガスを吹き付け、そのガス圧、吹き付け角度により付着めっきの厚さを均一に調整する。このようにして、めっきが施された鋼板1は次の工程に送られる。この連続溶融金属めっき装置に、本発明の特徴を有するサポートロール5を装備した。
【0018】
図2は本発明のサポートロール5の断面図を示す。図2において、サポートロール5は、ロール胴部7の両端部に軸部8、軸部9を各々ねじ接合することにより構成される。サポートロール5は、溶融金属浴に対して優れた耐食性、耐熱衝撃性、高温高強度特性を有するサイアロンセラミックスにより形成した。
【0019】
本実施例では、次のようにサポートロール5のロール胴部7を作製した。まず、平均粒径0.8μmのα−Si34粉末:87重量%、平均粒径0.5μmのAl23粉末:5重量%、平均粒径0.5μmのAlN固溶体粉末:3重量%、平均粒径1.0μmのY23粉末:5重量%を配合し、バインダーとしてポリビニルブチラールを原料粉末100重量部当たり0.5重量%を加えて撹拌して得た混合物を、1000kg/cm2の圧力でCIP成形した。次に、常圧、窒素雰囲気下、1750℃で5時間焼結してサイアロンセラミックス焼結体を得た。
【0020】
得られたサイアロンセラミックス焼結体は理論密度の99.1%の密度を有し、常温におけるビッカース硬度Hvが1580、常温における3点曲げによる曲げ強さが100kgf/mm2であった。この焼結体を所定の形状に機械加工して中空円筒状のロール胴部7を作製した。また、ロールの軸部8および軸部9も、ロール胴部7と同様にサイアロンセラミックス焼結体で作製した。
【0021】
ロール胴部7は、外径210mm、内径165mm、長さ1400mmの中空円筒体からなる。ロール胴部7の外周面は鋼板1が接触して通板される面である。ロール胴部7の両端部の内周に、おのおの端面から奥行き約60mmの範囲に雌ねじを設けた。
【0022】
一方の軸部8は中空体からなり、溶融金属浴の外部に設けられた駆動モータ(図示せず)によりスピンドル(図示せず)を介して回転される駆動側の軸部である。軸となる細径側(図2では軸部8の右側)は、最大外径140mm、内径80mmである。ロール胴部7と接合される太径側(図2では軸部8の左側)は、外径175mm、内径130mmである。細径側と太径側の長さを合わせた軸部8の全長は470mmである。太径側の軸部8の端部外周に、ロール胴部7と接合させるための雄ねじを設けた。また、ロール胴部に接合される太径側の軸部8の端部には、軸部8の円周を90度毎に4個所、回転軸方向に幅20mm、長さ90mmに切り欠いた切り欠き部10を設けた。なお、細径側の軸部8の端部には、スピンドルと結合させるためのクラッチ部材(図示せず)を取り付けた。この場合、クラッチ部材もサイアロンセラミックス焼結体により作製した。
【0023】
他方の軸部9は中空体からなり、すべり軸受で支持される従動側の軸部である。軸となる細径側(図2では軸部9の左側)は、外径120mm、内径80mmである。ロール胴部7と接合される太径側(図2では軸部9の右側)は、外径175mm、内径130mmである。細径側と太径側の長さを合わせた軸部9の全長は420mmである。太径側の軸部9の端部外周に、ロール胴部7と接合させるための雄ねじを設けた。また、ロール胴部に接合される太径側の軸部9の端部には、軸部9の円周を90度毎に4個所、回転軸方向に幅20mm、長さ90mmに切り欠いた切り欠き部11を設けた。
【0024】
このようなロール胴部7、軸部8、軸部9を用意した後、ロール胴部7の両端部に軸部8、軸部9を、ロール胴部7の回転軸と同軸におのおの螺合させることにより、本発明のサポートロール5を組立てた。ロール胴部7に軸部8および軸部9を強固に固定するために、また溶融金属がねじ接合箇所に侵入しないように、ねじ部に耐熱性接着剤を塗布した後、螺合するのが好ましい。このように組立てたサポートロール5には、回転軸方向に、軸部8、ロール胴部7、軸部9を貫いた貫通孔が形成されることになる。また、ロール胴部7の端部からはみ出て覗くことができる軸部8の切り欠き部10が溶融金属を排出するための孔10aとなり、同様にロール胴部7の端部からはみ出て覗くことができる軸部9の切り欠き部11が溶融金属を排出するための孔11aとなる。サポートロール5を溶融金属浴中に浸漬したとき、溶融金属を排出するための孔10a、11aおよび前記貫通孔から溶融金属が侵入し充たされる。一方、サポートロール5を溶融金属浴中から引き揚げた際には、溶融金属を排出するための孔10a、11aおよび貫通孔両端の開口部から溶融金属が円滑に排出され、接合の隙間に溶融金属が溜まることがないのでロールの割れを防ぐことができる。
【0025】
また、ロール胴部7の端部に螺合された部分の軸部8の回転軸方向長さL1が、ロール胴部7の端部から突出した軸部8の回転軸方向長さL2より短いすなわちL1<L2であるほうが、軸部8の全長が短い分軽量化を一層図ることができ、また溶融金属が侵入する可能性のある嵌合または螺合した接合部分が少なくなるので望ましい。これは軸部9についても同じである。
【0026】
このように構成した本発明のサポートロール5を図1に示す連続溶融金属めっき装置において、板厚が2mm、板幅が1300mmのSUS300系ステンレス鋼板を亜鉛めっき処理したところ、約1ヶ月の連続使用後、サポートロール5は侵食、摩耗が殆ど見られなく耐用寿命が著しく向上したことを確認できた。また、ロール自重が軽いので回転しやすく、起動および鋼板の走行速度の変化に良好に追従し、さらに摩耗によるロールや鋼板の振動の発生を抑えられるので高品質なめっき特性の鋼板が得られた。
【0027】
以上、サポートロールの実施例について述べたが、本発明はシンクロールなど各種の連続溶融金属めっき用ロールに適用できることは言うまでもない。また、
【0028】
【発明の効果】
本発明の連続溶融金属めっき用ロールは、耐食性、耐熱性、耐摩耗性等に優れ耐用寿命が永くなる。ロール自重が軽量なので鋼板の走行速度の変化に良好に追従して回転する。ロールを浴中から引き揚げた際に隙間に溶融金属が侵入しにくくロールの割れを防止できる。したがって、高品質なめっき特性の鋼板を安定して生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続溶融金属めっき装置の概略を示す図である。
【図2】本発明のサポートロールの断面図を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼板、 2 スナウト、 3 溶融金属浴、 4 シンクロール、
5 サポートロール、 6 ガスワイピング、 7 ロール胴部、
8 軸部、 9 軸部、
10 切り欠き部、 10a 溶融金属を排出するための孔、
11 切り欠き部、 11a 溶融金属を排出するための孔、
L1 ロール胴部に接合した部分の軸部の回転軸方向長さ、
L2 ロール胴部の端部から突出した部分の軸部の回転軸方向長さ

Claims (6)

  1. ロール胴部と軸部をそれぞれセラミックスにより中空状に形成し、ロール胴部の両端部に軸部を接合して構成され、軸部の外周に溶融金属を排出するための孔を形成したことを特徴とする連続溶融金属めっき用ロール。
  2. 軸部のロール胴部に接合される側の端部に、回転軸方向に切り欠いた切り欠き部を設けることにより、溶融金属を排出するための孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の連続溶融金属めっき用ロール。
  3. 軸部の円周均等割りで複数箇所に、溶融金属を排出するための孔を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の連続溶融金属めっき用ロール。
  4. ロール胴部の端部に接合した部分の軸部の回転軸方向長さが、ロール胴部の端部から突出した軸部の回転軸方向長さより短いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続溶融金属めっき用ロール。
  5. ロール胴部の両端部に軸部を嵌合または螺合により接合したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の連続溶融金属めっき用ロール。
  6. ロール胴部と軸部を窒化ケイ素系セラミックスにより形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の連続溶融金属めっき用ロール。
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