JP5743274B2 - 電車線路用監視システム - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、電車線路設備に大がかりな装置を設けることなく、無線タグの信号から監視対象設備の位置や変位を推定することにより電車線路設備の総合的な監視を簡単で正確に、低コストで行える電車線路用監視システムを提供することを課題としている。
相対変位を伴う部材を備えた対象設備の各部材に無線タグを取り付け、これらの無線タグの取付位置を制御装置で算出して特定し、対象設備の部材間の相対変位を推定することとした。
図1において、電車線路用監視システム1は、監視対象設備に取り付けられる無線タグ2と、この無線タグ2が発した信号を受信して受信時刻を取得する測定ユニット3と、測定ユニット3からの受信時刻データを演算処理して無線タグ2の取付位置及び監視対象設備の変位を推定する制御装置であるロケーションサーバ4とで構成される。測定ユニット3は、無線タグ2が発する信号を受信する受信アンテナ5aを備えたタグリーダ5と、タグリーダ5が一体的に組み込まれ無線タグ2の信号の受信時刻を内蔵の時計6aで記録する測定器6とを一組とする、各受信アンテナ5aが互いに異なる位置に配置された四組を備えている。
この電車線路用監視システム1の監視対象設備を電車線路近辺の設備とする場合、図5に示すように、線路L上を移動可能な軌道台車Tbに測定ユニット3を搭載し、軌道台車Tbを線路上で移動させて測定地点で停止させてから、監視処理を実行する。すなわち、測定地点で無線タグ2からの信号を各受信アンテナ5aを通じてタグリーダ5で受け、信号が到着する時刻を測定器6が測定する。ロケーションサーバ4は、各測定器6からの時刻情報を受けて、各受信アンテナ5aでの受信時刻の時間差に信号の伝播速度を乗じて無線タグ2から各受信アンテナ5aまで距離の差を算出し、無線タグ2の位置を推定する到達時間差法(TDoA)により、無線タグ2の取付位置を推定する。なお、ロケーションサーバ4は測定器6の時刻情報を解析するものであるから、測定器6と一体的に軌道台車Tbに搭載されていなくてもよい。無線タグ2の取付位置に基づいて対象設備の位置が推定され、その変位が規定の許容範囲を越える場合には、電車線路用監視システムを含む電車線路設備監視システムが警報を発する等の必要な対応動作を行う。また、これらの情報は区所等の保全管理システムに保全情報として送られ有効活用される。
なお、軌道台車Tb上の各タグリーダ5のアンテナ5aの固定位置は予め既知であり、また各測定器3の時計は時刻同期していることを前提とする。
また、無線タグ2は、アクティブ型のほか、パッシブ型又はセミパッシブ型を適用できる。パッシブ型及びセミパッシブ型を適用する場合には、図2に示すように、無線タグ2の送信起電用の給電アンテナ5bを備える。
さらに、測定ユニット3は、四組のタグリーダ5及び測定器6に代えて、4個以上の受信アンテナ素子から構成されるアレイアンテナを備えた単一のタグリーダと単一の測定器6から構成してもよい。この場合、図3,図4に示すように、無線タグ2から発せられる信号に対して、タグリーダ5の受信アレイアンテナ5aの各アンテナ素子に到着する時刻が測定器6で測定される。
ロケーションサーバ4においては、無線タグ2の取付位置の推定に関して上記実施形態における到達時間差法(TDoA)のほか、各アンテナが受信した電波の位相差に基づき、各アンテナの位置から共通の特定方向を基準とする信号の伝播方向を検出する到達角度法(AoA)等の各種位置検出法を採用できる。特にタグリーダ5にアレイアンテナを適用する場合には、信号の位相差の検出に有効なため、到達角度法(AoA)が適する。
無線タグ2の信号は位置検出のために利用されるが、これに加えて、例えば温度センサによる温度などの位置検出以外の状態検出用の各種センサによるセンシングデータを同時に送ることに利用してもよい。
これらの実施例の変更は、以下の実施形態においても同様に適用できる。
なお、第3,第4実施形態では測定ユニット3を電車Trに搭載して営業運行中に無線タグ2の信号を読み取ることとしたが、これに代えて検測車に搭載して営業運行時間外に測定作業を行うこととしてもよい。
2 無線タグ
2a 第1無線タグ
2b 第2無線タグ
2c 第3無線タグ
3 測定ユニット
4 ロケーションサーバ
5 タグリーダ
5a 受信アンテナ
5b 給電アンテナ
6 測定器
6a 時計
Tb 軌道台車
L レール
C 保守用作業車
B1 滑車式テンションバランサ
P 支柱
W 重錘
B2 ばね式テンションバランサ
P1 外筒
R1 ロッド
B3 ガス式テンションバランサ
Cr シリンダ
R2 ロッド
Cv カバー
H ホルダ
K 曲線引金具
S 支持部材
T トロリ線
T1 トロリ線
T2 トロリ線
M ちょう架線
G がいし
F き電線
Claims (10)
- 電車線路設備内の相対変位を伴う部材を備えた対象設備の当該各部材にそれぞれ取り付けられて信号出力可能な無線タグと、
これらの無線タグの信号を互いに異なる位置で受信する複数の受信アンテナを備えたタグリーダと、
このタグリーダの各受信アンテナが受信した信号の受信時刻を取得する測定器と、
測定器により取得した受信時刻を基に無線タグの取付位置を算出して特定し、対象設備の部材間の相対変位を推定し、対象設備の状態を監視する制御装置とを具備することを特徴とする電車線路用監視システム。 - 前記無線タグは、電車線の支持位置におけるトロリ線上の対応位置とトロリ線の径間中央位置とに取り付けられ、
前記制御装置は、トロリ線の径間中央位置に基づく線路間中心位置を基準とするトロリ線の水平方向の偏位を推定することを特徴とする請求項1に記載の電車線路用監視システム。 - 前記無線タグは、テンションバランサの固定位置と可動位置とに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の電車線路用監視システム。
- 前記無線タグは、曲線引金具の両端部に取り付けられ、
前記制御装置は、曲線引金具の傾斜角を推定することを特徴とする請求項1に記載の電車線路用監視システム。 - 前記無線タグは、電車線の支持位置に対応するトロリ線とトロリ線の径間中央とに取り付けられ、
前記制御装置は、電車線の高さ又は弛みを推定することを特徴とする請求項1に記載の電車線路用監視システム。 - 前記無線タグは、電車線のオーバーラップ部の電車線の移行点と碍子を結合して引き上げた電車線の当該碍子付近に取り付けられ、
前記制御装置は、電車線の引き上げ高さを推定することを特徴とする請求項1に記載の電車線路用監視システム。 - 前記無線タグは、本線とこれに交差するわたり線との間隔が900mm付近の本線及びわたり線のトロリ線にそれぞれ取り付けられ、
前記制御装置は、本線とわたり線とのトロリ線の高低差を推定することを特徴とする請求項1に記載の電車線路用監視システム。 - 前記無線タグは、き電線の支持位置と径間中央にそれぞれ取り付けられ、
前記制御装置は、き電線の弛みを推定することを特徴とする請求項1に記載の電車線路用監視システム。 - 前記測定器が線路上を走行可能な軌道台車又は車両に搭載され、その走行状態又は停止状態でタグリーダによる読み取りが行われることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の電車線路用監視システム。
- 前記車両が通常の運行時の営業車両であることを特徴とする請求項9に記載の電車線路用監視システム。
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