JP5741900B2 - 光子検出回路およびノイズ除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は光子受信器に係り、特に受光素子に周期的に印加されるパルスバイアスに起因するパルスノイズを除去するノイズ除去方法およびそれを用いた光子検出回路に関する。
光子受信器において、単一光子を検出する素子としては、一般にアバランシェフォトダイオード(以下APDと記す。)が用いられている。APDに対してそのブレークダウン電圧(VBd)以上の逆バイアス電圧を印加し、APDの増倍率を極めて大きくすることで光子1個から生成する光電流を十分に大きな信号振幅まで増幅し、外部回路で処理可能にするのが基本的な光子受信技術である。
周知のように、VBd以上の逆バイアス電圧を印加したAPDは、光子信号かダークノイズかに依らず、一旦ブレークダウンして増倍電流が流れるとブレークダウン状態が継続する。そこで、一般には、光子がAPDへ到達するタイミングに同期するように、定期的にVBd以上の逆バイアス電圧をパルス状に印加している。この逆バイアスパルス印加方式を用いることで、周期が規定され、明らかに光子信号が到達しない時間には、逆バイアス電圧がVBd以下になり、ブレークダウン状態を、停止させることができる。
しかしながら、パルス状の逆バイアス電圧をAPDに印加すると、APD素子の寄生容量と逆パルスバイアスの電圧の時間変化とに従った微分波形の信号が出力される。この微分波形信号が出力されると、後段の信号識別処理回路がこれを信号と誤って識別し、最終的な信号の誤り率を劣化させる原因となる。そこでパルスノイズ対策がいくつか提案されている。
たとえば、Kosaka等(非特許文献1)によれば、2個のAPDに対して同時に逆バイアスパルスを印加することで同じ形状の微分波形が出力されることに着目し、ハイブリッド結合器を用いた差分回路でこれら微分波形の出力を相殺する除去方式が提案されている。
また、Ivan Prochazka(非特許文献2)によれば、APDの寄生容量に相当するコンデンサを並列に配置し、同一のパルスバイアスを印加することで同等のパルスノイズ波形を作成し、差分回路により微分波形を除去している(Fig.2参照)。
このように、差分回路を用いることでパルスバイアスの微分波形をノイズとして誤識別することなく、APDからの光電流の信号出力だけを後段の信号識別処理回路で識別処理することができる。
H. Kosaka et al. "Single-photon interference experiment over 100km for quantum cryptography system using balanced gated-mode photon detector" ELECTRONICS LETTERS 7th August 2003, Vol.39, No.16, p 1200) Ivan Prochazka "Peltier-cooled and actively quenched operation of InGaAs/InP avalanche photodiodes as photon counters at a 1.55-μm wavelength" (APPLIED OPTICS /Vol. 40, No. 33 /20 November 2001, pp. 6012-6018)
しかしながら、上記従来のパルスノイズ除去方法では、ハイブリッド結合器やオペアンプなどの差分回路を必要とするために高速化が困難であった。ハイブリッド結合器は複数のコイルを用いた回路であり、その物理的な構造と製作精度から、高速化、広帯域化が困難である。例えば、パルス幅1ナノ秒の逆バイアスパルスを用いた光子受信回路の場合には、APDからの出力信号のパルス幅もほぼ1ナノ秒となり、これは約1GHz程度の信号帯域を必要とする。
ハイブリッド結合器を用いた回路方式に限らず、オペアンプなどの電子回路を用いた回路方式においても、高速化の問題が同様に存在する。光子検出で必要とされる差分回路の処理は電子回路の場合には同相モード処理であり、同相モード処理は一般的な高速回路設計手法において帯域の上昇に従い劣化する傾向があるからである。市販されているオペアンプでは、一般的にデータシート中の同相成分除去比(CMRR: Common-mode Rejection Ratio)として記載されている。
また、上記従来のパルスノイズ除去方法では、ハイブリッド結合器やオペアンプなどの差分回路を用いて信号波形のアナログ的な減算を行いパルスノイズの除去を行っている。したがって、2個のAPDから出力されるパルスノイズの形状が等しいことが前提となり、2個一組のAPD素子の特性を揃える必要がある。回路に使用するAPDおよび周辺回路の特性が異なるとパルスノイズを完全に除去できなくなるからである。
このような特性の差としては、たとえば、APD素子の寄生容量の違いによるパルスノイズの振幅の差、量子効率の差、印加する逆バイアスパルスの振幅の差、電気回路実装に起因するものとしてアンプの非線形性、利得・損失の差、信号の反射による波形の乱れの差、などがある。このような原因により、2個のAPDから出力されるパルスノイズ波形に差異が発生することは十分にあり得る。この差異を解消するには、APDの素子特性を揃えるための選別作業が必要となり、また実装の高精度化も必要となるため、コスト増加と歩留まりの悪化要因となる。
本発明の目的は、光子受信器の高速化を可能にする新規なパルスノイズ除去方法およびそれを用いた光子検出回路を提供することにある。
本発明の他の目的は、使用するAPD等の特性を特別に揃えることなく有効なパルスノイズ除去が可能となる方法および光子検出回路を提供することにある。
本発明者等は、光子検出に関する次の2つの特性に着目した。
特性1)パルスノイズの波形は、常にほぼ同一の形状であり、そのタイミングは受信器にとって明かであるから、後段でパルスノイズのマスク処理が可能である。逆バイアスパルスの印加するタイミングは受信器内部で保持するタイミングであるから、パルスノイズが発生するタイミングも受信器にとっては既知である。
また、パルスノイズの平均的な波形形状は、次の2つの理由により急激に変化しない。第1に、光子信号あるいはダークノイズに起因する信号の発生確率が実用上は非常に小さいために、無信号のパルスノイズが大半である。第2に、パルスノイズの形状は光子検出器を構成する各素子の経時劣化と温度変化にのみ依存するため、回路の動作周期と比較して十分に遅い。
特性2)光子信号の受信頻度に比べてダークノイズの発生頻度は比較的少ない。これは、APD素子の温度を下げることでダークノイズの発生する確率を制御することができるからである。例えば、現実的な量子暗号通信システムにおいては、APDで光子信号を受信する頻度は10%であるが、APDを冷却することで光子受信した信号中のダークノイズ発生率は1%以下という、完全とは言えなくとも十分に低い確率に制御可能である。
これらの特性に着目することで、上記従来の課題を次の手段により解決した。
本発明の第1の側面によれば、受光素子に流れる電流に基づいて光子の入射を検出する回路において、前記受光素子に逆バイアスパルス電圧を所定期間印加するタイミング信号を生成するタイミング生成手段と、前記タイミング信号に従って前記受光素子に逆バイアスパルス電圧を順次印加する電圧印加手段と、前記逆バイアスパルス電圧の印加により順次得られる前記受光素子の出力信号波形を前記タイミング信号に同期して所定回数分だけ逐次的に平均化して1周期前までの平均化信号波形を生成する平均化手段と、前記受光素子の最新の出力信号と前記平均化信号波形との位相を整合させ、前記最新の出力信号波形から前記平均化信号波形を減算する減算手段と、を有することを特徴とする。
本発明の第2の側面によるノイズ除去方法は、前記受光素子に逆バイアスパルス電圧を所定期間印加するタイミング信号を生成し、前記タイミング信号に従って前記受光素子に逆バイアスパルス電圧を順次印加し、前記逆バイアスパルス電圧の印加により順次得られる前記受光素子の出力信号波形を前記タイミング信号に同期して所定回数分だけ逐次的に平均化して1周期前までの平均化信号波形を生成し、前記受光素子の最新の出力信号と前記平均化信号波形との位相を整合させ、前記最新の出力信号波形から前記平均化信号波形を減算する、ことを特徴とする。
また、本発明の第1および第2の側面によれば、光子信号あるいはダークノイズに起因する信号の発生確率が実用上は非常に小さいために無信号のパルスノイズが大半であることを利用して、受光素子の出力電流信号を予め取り出しておき、最新の出力電流信号から減算することでノイズを除去する。
したがって、コイルやオペアンプを用いた差分回路を用いることなく、したがって特性の個体差のないAPDを選別することなく、パルスノイズを有効かつ高速に除去することができる。言い換えれば、光子受信器の高速化と、APD素子特性の特に寄生容量および寄生インダクタンスの不均一および電気回路実装に起因する不均一の許容とが実現される。
図1は本発明に用いられる光子受信回路の概略的構成を示すブロック図である。 光子受信回路の信号処理回路の一例を示すブロック図である。 ノイズマスク処理を説明するために光子検出回路の主な信号の波形を模式的に示したタイムチャートである。 本発明の一実施例による光子受信回路の構成を示すブロック図である。 本実施による平均化処理を用いたパルスノイズ除去方法を説明するための信号波形の模式図である。 実施例の変形例を示すブロック図である。 本発明を適用した2個のAPDを有する光子受信器のブロック図である。
1.光子受信回路
(回路構成)
図1は本発明に用いられる光子受信回路の概略的構成を示すブロック図である。電源回路1、APD2および電流電圧変換回路3に加えて、サンプリング回路4、信号処理回路6、基準クロック発生回路70およびタイミング生成回路71が設けられている。
電源回路1は逆バイアス電圧s4を生成してAPD素子2に印加する。この逆バイアス電圧は、APDのブレークダウン電圧VBd以下の直流成分と、VBd以上の逆バイアスパルス成分とからなる。逆バイアスパルス成分は、タイミング生成回路71から与えられた逆バイアスパルスタイミング信号s20に同期して生成される。
逆バイアスパルス成分がAPD2に印加されているタイミングで、光子がAPD2の受光面に入射すると、生成された光電子によるアバランシェ(電子雪崩)効果による増倍され、電流s5として出力される。ただし、光子が入射しないときでも、ダークノイズとして電流s5が出力されており、これらの出力電流s5には上述したように逆バイアスパルスによるパルスノイズが含まれている。
出力電流s5は、電流電圧変換回路3により電圧信号(以下、出力電流信号s51という。)に変換され、サンプリング回路4へ出力される。電流電圧変換回路3として、ここではトランスインピーダンスアンプ(以下TIA)を用いる。
サンプリング回路4は、基準クロックs1に従って、出力電流信号s51を振幅方向に対して2レベル以上のサンプリング粒度でサンプリングし、離散的な出力電流信号s6を信号処理回路6へ出力する。サンプリング回路4は、2値で識別するサンプリングであってもよいし、アナログ−デジタル(AD)変換を用いた多値サンプリングでもあってもよい。ここでは、AD変換器(ADC)を用いる。
信号処理回路6は、後述するように、逆バイアスパルスタイミング信号s20を利用して離散的な出力電流信号s6からパルスノイズを除去する信号処理を行う。信号処理回路6の動作も基準クロックs1に従って行われる。
サンプリング回路4および信号処理回路6が従う基準クロックs1は、基準クロック70により生成され、逆バイアスパルスタイミング信号s20や出力電流信号s51に比べて十分な時間精度を有する高速クロック信号である。
(信号処理回路)
図2は光子受信回路の信号処理回路6の内部をより詳細に記載したブロック図である。ただし、ここではパルスノイズのマスク処理に関係する構成のみを示している。
信号処理回路6は離散値信号処理系であり、その全体的な動作はカウンタによってタイミングが取られている。カウンタは、基準クロックs1に従ってカウント動作し、逆バイアスパルスタイミング信号s20によってリセットされる。すなわち、カウンタは逆バイアスパルスタイミングs20に同期して動作する。
タイミング生成回路71から入力する逆バイアスパルスタイミング信号s20は、サンプリング回路41によって離散的なタイミング信号に変換される。このサンプリング回路41も、サンプリング回路4と同様に、2値で識別するサンプリングであってもよいし、アナログ−デジタル(AD)変換を用いた多値サンプリングでもあってもよい。ただし、逆バイアスパルスタイミング信号s20は、出力電流信号s51とは異なり、2値信号であるから、サンプリング回路41も2値でサンプリングする方が適している。サンプリング回路41のサンプリング動作もカウンタからの基準クロックs1に従って行われる。
サンプリングされた逆バイアスパルスタイミング信号はパルスノイズを除去するためのマスクを生成するマスク生成部61に入力する。このパルスノイズマスク信号は、例えば、サンプリングされた逆バイアスパルスタイミング信号の立ち上がりから立ち下がりまでの系列をマスクの時間幅に相当するクロック数だけ遅延させ、遅延のない系列と遅延した系列との排他的論理和(XOR)を計算することで生成することができる。
生成されたパルスノイズマスク信号s8は、遅延回路51により離散的な出力電流信号s6と位相を合わせてパルスノイズ除去回路62に入力する。なお、遅延回路51はパルスノイズマスク信号および離散的な出力電流信号s6の位相を合わせるために設けられたものであるから、逆に離散的な出力電流信号s6の方が早い位相関係であれば、遅延回路51は離散的な出力電流信号s6の経路に挿入すればよい。
パルスノイズ除去回路62は、離散的な出力電流信号s6のパルスノイズの時間領域に対してパルスノイズマスク信号を用いてマスク処理を行い、パルスノイズを除去する。パルスノイズ除去は、例えば論理積(AND)のような簡単な処理で実現可能である。ここでは、両信号のANDによりパルスノイズ除去を行っている。
パルスノイズが除去された離散的出力電流信号s61は信号識別変換回路68によって離散データ系列から連続的な電圧信号に変換され、光子受信信号s9として出力する。信号識別変換回路68はサンプリング回路4の逆変換であり、ここではデジタル−アナログ変換(DAC)である。
なお、後段の処理のためにクロック信号を併走させることも可能である。すなわち、サンプリング回路41によってサンプリングされた逆バイアスパルスタイミング信号に対して、パルスノイズが除去された離散的出力電流信号s61と整合するように遅延調整し、信号識別変換回路69を介してクロック信号s91を生成する。
またサンプリング回路4および41でサンプリングしたデータは、メモリなど記憶媒体を経由してから信号処理してもよい。
(ノイズマスク処理)
図3はノイズマスク処理を説明するために、光子検出回路の主な信号の波形を模式的に示したタイムチャートである。まず、基準クロックs1に基づいて、タイミング生成回路71が逆バイアスパルスタイミング信号s20を生成し、それに従って電源回路1は逆バイアス信号s4をAPD2へ印加する。逆バイアス信号s4は、電源回路1内部の回路遅延により、タイミング信号s20から若干遅延している。
図3における出力電流信号s51は、逆バイアスパルスs4がAPD2に印加されている時に光子が矢印のタイミングでAPDに到達したものとする。すなわち、出力電流信号s51は、逆バイアスパルスs4の立ち上がりで、微分波形としての細いパルスが現れ、暫くして矢印のタイミングで光子入射によるブレークダウンによる正の振幅が続き、最後に、逆バイアスパルスの停止による振幅低下と、その立ち下がりに伴う微分波形による負の振幅が現れている。
この出力電流信号s51をサンプリング回路4でサンプリングした信号が離散的な出力電流信号s6である。ここでは、サンプリングにより、黒丸で表した離散的なデータ系列になり、サンプリングによる遅延が現れている。
次に、サンプリング回路41により逆バイアスパルスタイミング信号s20がサンプリングされ、マスク生成部61によりパルスノイズマスク信号s8が生成される。ここでは、サンプリングされた逆バイアスパルスタイミング信号s20を遅延させて排他的論理和XORを取ることで、パルスノイズマスク信号s8はマスクすべき時間領域が0、通過させるべき時間領域が1に設定される。
パルスノイズ除去回路62により離散的な出力電流信号s6とパルスノイズマスク信号s8との論理積を取ることで、マスク処理が完了し、パルスノイズをマスクされた離散的な出力電流信号s61が得られる。これを、論理識別し、離散データ系列から連続的な電圧信号に変換して光子受信信号s9が出力される。
上述したように、APD2に逆バイアスパルスを印加するタイミングを示す逆バイアスパルスタイミング信号s20からパルスノイズマスク信号を生成し、それを用いることで光電流信号からパルスノイズ部分除去する。したがって、コイルやオペアンプを用いた差分回路を用いることなく、パルスノイズを有効かつ高速に除去することができる。さらに、パルスノイズマスク信号は逆バイアスパルスタイミング信号s20の時間幅の変更に従って変化するので、パルスノイズの時間位置に対応する調整も容易になる。
2.一実施例
図4は本発明の一実施例による光子受信回路の構成を示すブロック図である。本実施例によれば、信号処理回路6内に平均化処理部64および減算回路63を設け、カウンタの周期に従って離散的な出力電流信号s6の平均値を求め、今回出力された離散的な出力電流信号s6から平均値を減算する。この平均化処理によってカウンタの周期に従ったパルスノイズの平均的波形を取り出すことができ、減算処理によりパルスノイズを出力電流信号から除去することができる。なお、その他の構成および動作は図2と同様であるから同一参照符号を付して説明は省略する。
図4において、平均化処理部64は、基準クロック信号s1に従ったクロックで動作し逆バイアスタイミング信号s20でリセットされるカウンタに従って動作し、離散的な一連の出力電流信号s6の系列を平均化する。このときの平均化は、ある有限の複数の波形を平均化するものである。
平均化された出力電流信号s6aと今回出力された離散的な出力電流信号s6とが遅延回路で位相整合され、減算回路63にてパルスノイズの消去が行われる。遅延回路の遅延量は、平均化処理に必要な時間に相当する量でもよく、あるいは、1周期前までの離散的な出力電流信号s6の平均化信号に整合させる遅延量に設定してもよい。
またサンプリング回路4でサンプリングしたデータは、メモリなど記憶媒体を経由してから後段の信号処理を行ってもよい。
なお、平均化処理と同時に、出力信号に対するクロック信号s91を生成することもできる。クロック信号s91の位相は、後段の回路からの要求により、光子受信信号s9に対して、ある特定の位相範囲に調整されている必要がある。
図5は、本実施例による平均化処理を用いたパルスノイズ除去方法を説明するための信号波形の模式図である。ここでは説明の都合上、現在よりj周期前の離散化出力電流信号をs6(j)と表し、s6(0)を最新の離散化出力電流信号、s6(n)を平均処理に関係する最も古いn周期前の離散化出力電流信号とする。
最新の離散化出力電流信号s6(0)を基準として、平均化処理部64は、1回前の離散化出力電流信号s6(1)から連続したn回前の離散化出力電流信号s6(n)までの波形を平均化して、平均波形(AVG)を求める。上述したように離散化出力電流信号には常にパルスノイズが含まれているために、平均波形(AVG)はこのパルスノイズを反映した波形となっている。したがって、最新の離散化出力電流信号s6(0)からこの平均波形(AVG)を減算(Subtract)することにより最新波形の信号からパルスノイズを消去することができる。
この連続n回の離散化出力電流信号s6(1)〜s6(n)の中には、到達した光子の受信波形s6(i)も含まれる可能性がある。しかしながら、周知のように、光子送信器から送信される光子は、伝搬の過程において伝送媒体の損失により確率的に消滅するために、光子受信器に到達する確率は非常に低くなる。APDから出力される信号パルスとしてみると、そのマーク率は通常の光受信器に比べて格段に低い。実用的な伝送媒体の損失を仮定すると、たとえばAPD出力信号のマーク率は10%〜1%程度と非常に低い値ともなり得る。このように、全タイムスロットに対する光子の受信およびダークノイズ発生の割合は非常に低いために、n回の平均処理によって信号波形やダークノイズ波形が平均波形に影響を及ぼす量を非常に小さく設定することは十分に可能である。
また、到達した光子の受信波形s6(i)には、s6(i−1)〜s6(i−1+n)の同じくn回の波形の平均を求めているのであるから、離散化出力電流信号s6(i)からそれまでの平均波形を減算することで、パルスノイズが除去された信号波形の検出が可能となる。なお、この光子受信信号を検出した場合には、その離散的出力電流信号s6(i)を以後の平均化処理に使用しないことも可能である。
なお、平均化処理と同時に生成されるクロック信号s91は、逆バイアスパルスタイミング信号s20に従属する信号であるため、図5で説明したように信号処理回路6の内部のカウンタから適切に調整された遅延を通過させるか、あるいは、図6に示すように逆バイアスパルスタイミング信号s20から同様に生成することが適当である。
図6は本実施例の変形例を示すブロック図である。クロック信号s91は、逆バイアスパルスタイミング信号s20を遅延し、信号識別変換回路69を通して生成されてもよい。
以上述べたように、本実施例による光子受信回路は、出力電流信号の平均化処理により生成された平均波形がパルスノイズ波形をほぼ反映していることを利用して、平均化処理により推定したパルスノイズを出力電流信号から除去する。したがって、コイルやオペアンプを用いた差分回路を用いることなく、パルスノイズを有効かつ高速に除去することができる。
3.適用例
上述した実施例による光子検出回路は、2個のAPDの各々に独立に適用することが可能であり、APDの特性や、その電気回路実装に差異があっても、相互の影響を受けることなく個別に処理することが可能である。
図7は本発明を適用した2個のAPDを有する光子受信器のブロック図である。ここでは、2個のAPD2a、2bのそれぞれについて図1と同様の回路が構成されている。したがって、図1と同様のブロックには同じ参照番号にaおよびbを付加して示し詳細な説明は省略する。
このように、各APDの出力処理の流れでパルスノイズの除去を行うため、従来、バラントランスで実現していた波形のアナログ的な差分で障害となったAPDの特性の差に依存する問題が無くなる。すなわち、2個のAPDをペアで使用することに起因する高速性の制限、選別や歩留まりの低下を排除することができる。
本発明による光子検出回路は、量子暗号通信の光子受信器に適用される他に、光通信全般や光計測の光子受信器にも適用可能である。
1 電源回路
2 アバランシェフォトダイオード(APD)
3 電流電圧変換回路(TIA)
4 サンプリング回路
41 サンプリング回路
6 信号処理回路
61 マスク生成部(XOR)
62 パルスノイズ除去部
68,69 信号識別変換部
64 平均化処理部
63 減算回路

Claims (10)

  1. 受光素子に流れる電流に基づいて光子の入射を検出する回路において、
    前記受光素子に逆バイアスパルス電圧を所定期間印加するタイミング信号を生成するタイミング生成手段と、
    前記タイミング信号に従って前記受光素子に逆バイアスパルス電圧を順次印加する電圧印加手段と、
    前記逆バイアスパルス電圧の印加により順次得られる前記受光素子の出力信号波形を前記タイミング信号に同期して所定回数分だけ逐次的に平均化して1周期前までの平均化信号波形を生成する平均化手段と、
    前記受光素子の最新の出力信号と前記平均化信号波形との位相を整合させ、前記最新の出力信号波形から前記平均化信号波形を減算する減算手段と、
    を有することを特徴とする光子検出回路。
  2. 前記出力信号波形は離散データ列に変換されてから前記平均化手段および前記減算手段に入力することを特徴とする請求項1に記載の光子検出回路。
  3. 前記受光素子はアバランシェフォトダイオード(APD)であり、前記減算手段が前記APDの寄生容量に起因する前記逆バイアスパルス電圧の微分波形に相当するパルスノイズを除去することを特徴とする請求項1−2のいずれか1項に記載の光子検出回路。
  4. 受光素子に流れる電流に基づいて光子の入射を検出する回路におけるノイズ除去方法において、
    前記受光素子に逆バイアスパルス電圧を所定期間印加するタイミング信号を生成し、
    前記タイミング信号に従って前記受光素子に逆バイアスパルス電圧を順次印加し、
    前記逆バイアスパルス電圧の印加により順次得られる前記受光素子の出力信号波形を前記タイミング信号に同期して所定回数分だけ逐次的に平均化して1周期前までの平均化信号波形を生成し、
    前記受光素子の最新の出力信号と前記平均化信号波形との位相を整合させ、前記最新の出力信号波形から前記平均化信号波形を減算する、
    ことを特徴とするノイズ除去方法。
  5. 前記出力信号波形は離散データ列に変換されてから平均化されることを特徴とする請求項4に記載のノイズ除去方法。
  6. 前記受光素子はアバランシェフォトダイオード(APD)であり、前記APDの寄生容量に起因する前記逆バイアスパルス電圧の微分波形に相当するパルスノイズが前記減算により除去されることを特徴とする請求項4または5に記載のノイズ除去方法。
  7. コンピュータに、逆バイアスパルスを印加した受光素子に流れる電流に基づいて光子の入射を検出する回路におけるノイズの除去を実行させるためのプログラムにおいて、
    タイミング信号に従って前記受光素子に所定パルス幅の逆バイアスパルス電圧を順次印加することで得られる前記受光素子の出力信号波形を前記タイミング信号に同期して所定回数分だけ逐次的に平均化して1周期前までの平均化信号波形を生成することでノイズ除去用信号を生成する平均化手段と、
    前記受光素子の最新の出力信号と前記ノイズ除去用信号との位相を整合させ、前記最新の出力信号波形から前記ノイズ除去用信号を減算する減算手段と、
    をそれぞれコンピュータに実現するためのステップを有することを特徴とするプログラム。
  8. 請求項1ないし3のいずれかに記載の光子検出回路を有する光子受信器。
  9. 請求項1ないし3のいずれかに記載の光子検出回路を有する量子暗号通信の光子受信器。
  10. 請求項1ないし3のいずれかに記載の光子検出回路を有する光計測器。
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