JP5740666B2 - 眼科用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、眼科用組成物に係り、特に優れた消毒効果を有すると同時に、眼に対する安全性を高め、例えばコンタクトレンズの洗浄・保存・消毒用液として好適に使用することができる液剤に関するものである。
点眼剤、コンタクトレンズ用液剤等の眼科用組成物にはユニットドーズ(開封したら一度に使い切るタイプ)で適用する場合以外には、防腐剤或いは殺菌剤(以下「抗菌剤」という)が添加されて使用期限内の微生物の増殖を抑える事が一般的である。このような抗菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、メチルパラベン、チメロサールなどがある。これらは広い抗菌スペクトルを有し、多くの商品に繁用されている。
しかし、点眼剤は鋭敏な眼組織に直接投与されることから、これらの抗菌剤は、既にいくつかの報告(例えば非特許文献1)があるように、アレルギー疾患や、眼粘膜に刺激を与えることがあり、角膜表面に傷を負っている場合や過度の使用によって角膜上皮障害を起こすおそれがあるとも言われている。また、コンタクトレンズ用液剤として使用する場合には、レンズ素材に対してこれらの抗菌剤が過濃度に吸着し、変形・変色などが生じたり、当該レンズを装用することにより間接的に角膜に悪影響を与えることが懸念されている。さらに前記抗菌剤に対する耐性菌がいつ現れるとも限らず、新規な抗菌剤を予め準備しておくことが将来への備えとして望まれるところである。
本発明では、眼科用組成物に適用しうる抗菌剤として、これまでに他の分野での実績を有する薬剤群の中から取捨選択することとした。全く新規に抗菌剤を合成することから検討する場合に比較して、効果的に絞り込むことが可能だからである。最終的には、香粧品工業で使用されている慣用名「ピロクトンオラミン」というピリドン誘導体に着目した。この化合物はこれまでシャンプーやリンス或いは毛髪化粧料などに主に使用されている。例えば、フケ止め剤としてピロクトンオラミンを使用しこれを封入及び放出する多重ラメラ小胞を含むシャンプー組成物(特許文献1)、粘土鉱物との複合体を作ることにより、皮膚保護作用に優れ、しかも抗菌力の持続性に優れた殺菌剤組成物(特許文献2)、ビタミンEとの共存下で従来品より、ふけやかゆみを改善しうる皮膚外用剤(特許文献3)、汗や皮脂の量や比率が異なる様々な肌状態でも特定の化合物を組み合わせてそれぞれが有する抗菌活性を相乗的に増強できる抗菌性組成物(特許文献4)、ピロクトンオラミンの頭皮に対する吸着を促進させることで、フケ改善・痒み抑制効果を向上させることを目的とする毛髪化粧料(特許文献5)などがある。これらはいずれも頭皮を対象とするものであり、眼科用剤を目的とするものではない。
一方、多目的な抗菌剤組成物(特許文献6)や抗菌性組成物(特許文献7)に関する発明において、これらの組成物に添加可能な一成分としてピロクトンオラミンが一言記載され、同発明の明細書中には前記組成物を各種用途に使用する場合の一例として点眼剤或いはコンタクトレンズ用という言葉が記載されている文献がある。しかし、前者の文献は、粘土鉱物を含めることで粘膜滞留性に優れた抗菌剤組成物に関し、特に口腔用に使用されるものであり、点眼剤に使用する場合には依然としてソルビン酸を配合した組成を提案している。また後者の文献については、酸化亜鉛、硫酸バリウムおよび結合銀イオンを含む組成物で特に化粧品・インクなどに使用するものであり、「コンタクトレンズ」という文字が記載されていても、レンズ素材そのものとして用いるものである。従って、いずれの文献においてもピロクトンオラミンを含む眼科用組成物を意図するものでなく、眼科用組成物に適用できるとの示唆すらされているものではない。
特表2002−528481号公報 特開平10−265408号公報 特開2003−2833号公報 特開2008−110999号公報 特開2010−90049号公報 特開2001−10941号公報 特表2010−516719号公報
水谷聡:コンタクトレンズとケア溶液、点眼薬−問題点とその対策−、37巻(1号)、35頁−39頁、1995年
本発明の課題は、眼科用組成物に適用でき、当該分野で従来繁用されている抗菌剤に代替しうる新規な抗菌剤を提示すること、特に抗菌力に優れることは言うまでもなく、安全性、安定性などの特性を有する組成物を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明においては、医薬部外品におけるフケ・かゆみの防止用主剤として実績のあるピロクトンオラミンが、眼粘膜に対する刺激性が低く、眼科用組成物として使用することで良好な抗菌力を付与しかつ高い安全性を有することを見出し、本発明を完成した。
本発明の眼科用組成物は、抗菌有効量のピロクトンオラミンを含有することを特徴とする。ピロクトンオラミンとは化学名:1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)ピリドン・モノエタノールアミン塩で、ヘテロ環化合物であるピリドン誘導体である。構造式は下記に示す通りである。
Figure 0005740666
本発明では前記化合物を0.0001〜0.1w/v%の濃度範囲で使用することが好ましい。所望の抗菌効果を付与するためである。この濃度は、従来技術におけるシャンプー・リンスなどに配合されている量よりも比較的低濃度となっている。使用対象(従来は頭皮、本発明では眼科分野)が異なるからである。
本発明の組成物にはさらに炭素数5〜6のポリオールを含むことが好ましい。ピロクトンオラミン単独でもある程度水に溶解するが、当該ポリオールを併存させることによって水に溶解させ易くし、取り扱いや組成物の製造を簡易化できるとともに、抗菌効果をより増進することができるからである。
また、非イオン性界面活性剤を含むことがより好ましい。この成分の作用も前記ポリオールと同様の水溶性向上効果の他、本発明の組成物に対象物(例えばコンタクトレンズ等)を洗浄する機能を付加することができる。
さらに本発明の眼科用組成物は、前記のように適用対象としてコンタクトレンズに好適な液剤として使用することができる。使用できるコンタクトレンズの種類としてはハード系コンタクトレンズやシリコーン系ソフトコンタクトレンズを含むソフトコンタクトレンズの何れのコンタクトレンズにも使用することができる。
本発明の眼科用組成物は、医薬部外品としてシャンプーに配合した使用実績のある成分を用いているので、安全性に関するハードルを極めて下げることができる。特に本発明で使用するピロクトンオラミンは、経口急性毒性、経皮急性毒性、皮膚一次刺激性、ウサギ眼刺激性などの各種毒性試験データを取得済なので、商品化への道程が短縮できるのである。このような高い安全性に加えて、本発明の組成物は、前記成分によって幅広い抗菌スペクトル、安定した抗菌効果を有する。また、従来眼科用の分野において常用されている抗菌剤を代替しうる新規な抗菌剤を含む組成物であるために、従来品に対する耐性菌の出現に備えることができるのである。
さらに、本発明の眼科用組成物をコンタクトレンズ用液剤に適用することで、点眼剤として直接人体へ投与する場合に比べて、安全性に関してのリスクがより低減されるので、開発に係る費用・時間等を短縮でき、結果として需用者に対して低価格・高機能な商品を提供することができるのである。
本発明は、異なる技術分野で既に使用実績のある薬剤の中から、新たに眼科用に転用することが可能か否かに着目して候補物質を絞り、当該物質を眼科用組成物として処方を組み立て、その機能・効果を確認した結果に基づき成されたものである。
本発明の眼科用組成物は、上述の通り抗菌有効量のピロクトンオラミンを含むことを特徴とする。ピロクトンオラミンは医薬部外品表示名称で、化学名は1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)ピリドン・モノエタノールアミン塩である。1984年に厚生省(現:厚生労働省)より薬用シャンプーのフケ防止成分として承認された。フケは皮膚に常在する好脂性真菌の関与が大きいことが明らかになってきており、毛嚢内の常在真菌であるPityrosporum ovale(P.ovale)が皮疹の発症に関与している可能性(杏林大学医学博士;六郷正和氏)が示唆されている。厚生省申請時には、当該真菌に対するピロクトンオラミンの抗菌効果が認められての承認となった。
また、ピロクトンオラミンは、平成20年11月5日の薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会で審議され、化粧品基準のポジティブリストに収載されることとなり、その際に提出された安全性に関する資料については、単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験、皮膚一次刺激性試験、連続皮膚刺激試験、皮膚感作性試験、光毒性試験、光感作性試験、眼刺激性試験、遺伝毒性及びヒトパッチ試験が実施されており、特段の問題となる所見は観察されていない( 平成20年11月5日薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会議事録参照)。
このように安全性の確認された薬剤でありながら、現在までのところ確認できる範囲において眼科用組成物については使用されたことがないのが実態である。本発明者らは、この薬剤を含有させることによって新規な眼科用組成物を処方し、本発明を完成するに至った。
ピロクトンオラミンは広い抗菌スペクトルを有し、文献(医薬品・香粧品 防腐・殺菌剤の科学:564頁−565頁、1990年、フレグランスジャーナル社)によれば黄色ブドウ球菌(S.a.:Staphylococcus aureus)に対する24時間での最小発育阻止濃度(MIC:minimum inhibitory concentration)は32(μg/ml)、緑膿菌(P.a.:Pseudomonas aeruginosa)に対しては625〜1250(μg/ml)、カンジダ・アルビカンス(C.a.:Candida albicans)に対しては64(μg/ml)などである。従って前記MICを目安として、眼科用組成物に適合するような抗菌有効量を添加し、十分な抗菌効果を付与することができる。ピロクトンオラミンは、商品名「オクトピロックス」としてクラリアントジャパン株式会社が製造している。
本発明の眼科用組成物に含まれるピロクトンオラミンの濃度は0.0001〜0.1w/v%、より好ましくは0.002〜0.02w/v%である。前記濃度未満の場合には十分な抗菌効果が得難く、前記濃度を超えて使用すると必要以上の抗菌効果となり却って安全性が低下するおそれがあるからである。また眼科用組成物としては、一般点眼薬、抗菌性点眼薬、眼軟膏、洗眼剤、コンタクトレンズ用液剤などがあるが、前記「軟膏」等を除いては基本的に液状(特に水溶液)で提供されることが多いので、ピロクトンオラミンが水等の溶媒に対して溶解するような濃度範囲での使用が上限と成る。
ピロクトンオラミンの溶解度は、溶媒および共存する他の成分により異なり、例えば、水に0.2w/w%、油に0.05〜0.1w/w%、アルコールに10w/w%、水を含有する界面活性剤に1〜10w/w%程度溶解する。本発明では、アルコール成分の添加を検討した。
アルコールとしては代表的なメタノール、エタノール等の低級アルコールはソフトコンタクトレンズを膨潤させたり、ハード系コンタクトレンズを変形させるなどするため使用することができない。そこで本発明では炭素数5〜6のポリオールを好適に使用することで、コンタクトレンズへの影響を抑え、ピロクトンオラミン自体の溶解性を高め、さらに抗菌力を相乗的に高めることができるのである。
また、眼科用組成物の一態様として、タンパク分解酵素を含む場合には該酵素が液体中で安定化されるという副次的な効果をも奏する。前記ポリオールとしては例えば、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロペンタン1,2−ジオールまたは1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、メチルシクロヘキサン−1,2,4−トリオール、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトロールなどが挙げられる。これらのポリオールのなかでは、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールが安定性等の面で特に好ましい。これらのポリオールは、本発明の眼科用組成物をコンタクトレンズ用液剤として使用した場合に、レンズ素材への吸着等の影響がなく、レンズ適合性に優れた液剤を提供することができる。
前記ポリオールの使用濃度は、0.1〜5.0w/v%の範囲が好ましく、1.0〜4.0w/v%がより好ましい。ポリオールの濃度が0.1w/v%より低いと、添加による効果が不十分となって添加する意味がなくなり、5.0w/v%より多くなると液剤の浸透圧が高くなって、眼が滲みる等の悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
また、本発明の眼科用組成物には、非イオン性界面活性剤を含ませることができる。非イオン性界面活性剤についても、アルコール成分の添加と同様にピロクトンオラミンの水への溶解性を向上させる他、例えばコンタクトレンズ用液剤として使用する場合に、洗浄効果を付加し、レンズ表面に適度な濡れ性を付与するといった効果を期待できる。前記非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンステロール類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンラノリンアルコール類、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド類等を挙げることが出来るのであり、中でも、好ましくはポリオキシエチレン鎖構造を含有しているものやポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーが採用される。より具体的には、日光ケミカルズ(株)製「ニッコールBC−40TX」、「ニッコールHCO−60」、BASF Co.社製「ルートロールF127」などがある。
前記非イオン性界面活性剤の使用濃度は、0.01〜5.0w/v%の範囲が好ましく、0.05〜2.0w/v%がより好ましい。この界面活性剤の濃度が0.01w/v%より低いと、添加による効果が不十分となって添加する意味がなくなり、5.0w/v%より多くなっても洗浄その他の効果向上にそれ程影響がないからである。
眼科用組成物を液剤として使用する場合には、直接眼に入る場合を考慮して、刺激を和らげるために、等張化剤を用いることが望ましく、一般に150〜650mOsm程度、好ましくは200〜350mOsm程度の浸透圧に調整される。そのような等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム等を用いることができる。
さらに液剤には、安定したpHを維持するために従来から用いられている緩衝剤を含ませることもできる。製造されてから使用されるまで、または使用期間内に外気との接触等によるpH変化を抑えることができる。緩衝剤の具体例としては、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリス緩衝剤、クエン酸緩衝剤などが挙げられ、中でも、ホウ酸緩衝剤との組み合わせで用いることにより、より有効な消毒効果が得られることから、特に好ましい。このような緩衝剤の濃度は、一般に0.05〜3.0w/v%とされ、好ましくは0.1〜1.5w/v%、特に好ましくは0.3〜1.0w/v%とされる。緩衝剤の濃度が、0.05w/v%より低い場合には、液剤のpHを一定に保つ効果が低くなって添加する意味が希薄になり、また3.0w/v%より高くても、pHの安定性がより向上せしめられるというわけではないからである。なお、液剤のpHは、涙液に近い方が好ましく、従って5〜9の範囲が好ましい。このpHは、前記緩衝剤により容易に維持されることとなり、保存、使用期間を通じて品質の安定した状態を保つことができるのである。
また他の成分として、増粘剤を添加することができる。増粘剤は液剤の粘度を調整して、点眼時の滞留時間を長くしたり、コンタクトレンズのケアに使用する際にレンズ表面などにキズがつかないようにしたり、或いはレンズ装用時に角膜との間のクッション作用を発揮することができる。用いられる増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド及びその加水分解物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、前記各共重合体の開環生成物およびその塩、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム、ガールガム等の粘性基剤が挙げられる。
その他、眼科用組成物には、医薬品、医薬部外品において使用される有効成分を1種または2種以上組み合わせて配合することができる。これらの各成分としては、眼科用に用いられる薬効成分であれば特に制限されず、例えば、清涼化剤、抗酸化剤、着色剤、充血除去剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、ビタミン類、アミノ酸類、サルファ剤、抗アレルギー剤、ステロイド剤、散瞳剤、縮瞳剤、緑内障治療剤、白内障治療剤などを任意に使用することができる。
前記の通り、本発明の眼科用組成物はコンタクトレンズ用液剤として用いることが好ましい。そこで、以下にはコンタクトレンズ用液剤として使用した場合を例に、他の態様について説明する。
コンタクトレンズ用液剤は、コンタクトレンズの装着、洗浄、保存、消毒などの一つ以上の用途に用いられるものである。より具体的には、継続的かつ安全にレンズを装用するためのケアを目的とし、レンズに付着した汚れ除去のための洗浄、保存中のレンズの形状・規格等の保持、微生物の増殖を抑えあるいは殺菌する消毒、レンズ表面の水濡れ性の維持・増進、装用時の違和感を軽減するクッション作用付与など多様なケアがある。これらのいずれを目的としても、1回使い切りタイプでない限り、使用・保存期間における液剤中での微生物の増殖を抑える必要がある。そのため、本発明のピロクトンオラミンが抗菌剤として有効なのである。
そして前記多様なケアを実現するために、必要に応じて他の成分を添加することができる。例えば、脂質汚れに対する洗浄効果を発現する様に、前記非イオン性界面活性剤だけでなく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などのいずれをも添加することができる。
アニオン性界面活性剤は、眼に対する安全性の高いものであれば特に制限はなく、例えば、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル塩硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エーテル、N−アシルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、硬化ヤシ油グリセリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは単独でも、また二種以上を組み合わせて用いることもできる。これらのアニオン性界面活性剤のなかでも、α−オレフィンスルホン酸塩、硬化ヤシ油グリセリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が特に好ましく用いられ、それぞれ具体的には、日光ケミカルズ(株)製「ニッコールOS−14」、日光ケミカルズ(株)製「ニッコールSGC−80N」、ライオン(株)製「ライポン LS−250」などがある。本発明では、コンタクトレンズ用液剤分野で多用されるカチオン性抗菌剤を抗菌主成分として用いていないために、アニオン性物質との共存による抗菌力の低下を考慮する必要がないことも優位な点である。アニオン性界面活性剤はハード系コンタクトレンズ用液剤に多用されており、ピロクトンオラミンはこの点からもハード系コンタクトレンズ用のケア用品にも好適といえる。
一般に、アニオン性界面活性剤は脂質汚れに対して非常に優れた洗浄力を示し、コンタクトレンズの装用中に生じた眼脂由来の汚れはもとより、レンズの装脱着に際して手指からの汚れに対しても洗浄効果が高いので、通常のレンズの処理に際しては擦り洗いを必要とせず、浸漬するのみで充分な洗浄効果が得られる。本発明における使用濃度は、0.005〜1.0w/v%の範囲が好ましく、0.1〜1.0w/v%がより好ましい。前記濃度が0.005w/v%より低いと、所望の洗浄効果を発揮しえず、また1.0w/v%よりも高くなると、洗浄効果として充分な上に必要以上の界面活性剤による眼刺激が生じるおそれがあるからである。
また、カチオン性界面活性剤の例としては、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニムエトサルフェートおよびN−ココイル−L−アルギニンエチルエステル−DL−ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。両性界面活性剤の例としては、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインおよびアルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。その他、眼科的に許容できるものであれば、如何なるものをも使用することができる。
一方、コンタクトレンズに付着する蛋白質汚れを効果的に除去するために、タンパク分解酵素を配合することができる。本発明に使用されるタンパク分解酵素としては、パパイン、ブロメライン、フィシン等の植物由来のプロテアーゼ、トリプシン、キモトリプシン、パンクレアチン等の動物由来のプロテアーゼ、バチルス属等の細菌が生産する細菌プロテアーゼ等の微生物由来のプロテアーゼ等、何れも使用することができる。具体的には、「ビオプラーゼ」(ナガセケムテックス(株)製)、「アルカラーゼ」,「エスペラーゼ」,「サビナーゼ」,「デュラザイム」,「ズブチリシンA」(ノボザイムズ・ジャパン(株)製)、「プロテアーゼN『アマノ』」,「プロテアーゼS『アマノ』」(天野製薬(株)製)、「ビオソーク」(大和化成(株)製)等を挙げることができる。液剤として初めから配合する場合のタンパク分解酵素濃度は、得ようとする洗浄効果や使用時間等に応じて適宜決定されるが、少なすぎると、洗浄効果が不充分となり、長期間の保存によるある程度の酵素活性の低下も起きて、酵素を添加する意味がなくなる。また、多すぎても汚れに作用する酵素量が限られているので必要充分量以上となる。従って、前記液剤中に、0.01〜5w/v%が適当である。特に、配合されたタンパク分解酵素の安定化は、前記炭素数5〜6のポリオール成分の存在によって有利に図られるのである。また、従来より酵素の安定化剤として知られている、グリセリンやプロピレングリコールなどのポリオールについても添加することができる。本発明の液剤は、このように1液タイプとして提供する場合以外にも、タンパク分解酵素が安定な状態に維持されたポリオールを多量に含む液体酵素の希釈液として、さらには錠剤・顆粒・粉末等の固形タンパク分解酵素剤の溶解液としても使用可能である。
本発明の液剤に金属イオン封鎖剤を添加すると、レンズ素材に対して涙液成分中のカルシウムイオンなどが複合して不溶性塩として沈着した汚れを除去することができる。金属イオン封鎖剤としては、眼科的に許容される化合物であれば特に制限はなく、例えばエチレンジアミン四酢酸、クエン酸、酒石酸等の多価カルボン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩等の塩などを挙げることができる。中でも、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、酒石酸等の多価カルボン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。金属イオン封鎖剤の使用濃度は、0.001〜1.0w/v%の範囲が好ましく、0.01〜0.1w/v%がより好ましい。金属イオン封鎖剤濃度が0.001w/v%より少ないと、多価金属イオンを除去する効果が不十分となって添加する意味が希薄となり、1.0w/v%より多くても必要充分以上であるからである。
また、保存中のレンズの形状・規格等の保持には、前記の等張化剤や緩衝剤が効果的であり、微生物の増殖を抑えあるいは殺菌する消毒には、ピロクトンオラミンの他にコンタクトレンズ用液剤に一般的に使用されているビグアニド系またはポリクワテリウム系殺菌剤、5,5−ジメチルヒダントイン・ホルムアルデヒド縮合物、ソルビン酸塩、安息香酸塩等のうち1種以上を更に含有させても良い。その他、レンズ表面の水濡れ性の維持・増進、装用時の違和感を軽減するクッション作用付与のためには前記非イオン性界面活性剤や増粘剤等の添加が効果的である。
前記各種成分を含むコンタクトレンズ用液剤の調整方法については、通常の水溶液を調製する様に、所定量の滅菌精製水ないし脱イオン化された水中に各成分を添加後、均一に溶解させることにより容易に得られるものである。そのようにして得られるコンタクトレンズ用液剤は澄明であり、必要に応じてオートクレーブによる滅菌あるいは無菌濾過等を行うこともできる。
こうして得られた本発明に従うコンタクトレンズ用液剤を用いた、コンタクトレンズのケア方法は、例として以下のようにして行われることとなる。先ず、眼から外したコンタクトレンズに対して、本発明に従うコンタクトレンズ用液剤を数滴滴下し、かかるコンタクトレンズを親指と人差し指の間で、あるいは手の平の上に保持しながら、数秒から数十秒こすり洗いする。次いで、かかるコンタクトレンズ用液剤で濯いだのち、該液剤を充たしたケース中に10分から24時間、好ましくは30分から8時間浸漬することにより、保存・消毒を行う。これはあくまでも例示であって、本発明の液剤を用いたケア方法は前記に限定されるものではない。例えば、タンパク分解酵素を併用するに際しては、保存後のコンタクトレンズを水道水等ですすいでから再び装用する場合や、汚れのひどいコンタクトレンズに対しては、特殊な酸化剤等を含む洗浄剤で処理した後に、本発明の液剤に保存するなど、必要に応じた使用方法が採用される。
以下本発明をより具体的に明らかにするために、本発明に係る眼科用組成物について、幾つかの実施例を示す。なお、表に示す各成分は(w/v%)で示す。
(実施例1)
−抗菌効果試験−
供試菌として黄色ブドウ球菌(S.a.:Staphylococcus aureus ATCC6538)、大腸菌(E.c.:Escherichia coli ATCC8739)、緑膿菌(P.a.:Pseudomonas aeruginosa ATCC9027)を用い、SCD寒天培地で33℃×24時間培養したものを用いて、それぞれ滅菌済ダルベコリン酸緩衝剤(以後、DPBSTという)に懸濁し、10〜10cfu/mlの供試菌液となるように調製した。
一方、No.1〜No.9の各種眼科用組成物を液剤として、下記表1に示される成分組成において調製した。なお、
ピロクトンオラミンは(商品名「オクトピロックス」クラリアントジャパン(株)製)を、
ポリオールとして、1,2−ペンタンジオール(商品名「ハイドロライト−5」:(株)感光社製)、1,2−ヘキサンジオール(商品名「KMO−6」:(株)感光社製)を、
ノニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(商品名「ニッコールBC−40TX」:日光ケミカルズ(株)製)、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)アルキルエーテル(商品名「ルートロールF127」:BASF Co.製)、およびポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(商品名「ニッコールHCO−60」:日光ケミカルズ(株)製)を、
金属イオン封鎖剤としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(商品名「クレワットN」:ナガセケムテックス(株)製)を、
ホウ酸緩衝剤、等張化剤(NaCl)をそれぞれ添加した。
この調製された各種液剤の10mlを、それぞれ、別の滅菌済試験管に取り、そこへ各種の供試菌液の0.05mlを加えた。その後、それら各種の供試菌液配合液を、23℃の恒温槽中にて保管し、そして該配合液の調製から4時間後および24時間後に各配合液の一定量を取り出し、それぞれの配合液について、滅菌済DPBSTを用いて希釈し、寒天平板混釈法によって生菌数を調べた。この寒天平板混釈法における培養には、SCDLP寒天培地を用いて33℃×5日間の条件で培養した。
上記の方法により、接種直後の生菌数と、配合液の調製から4時間後および24時間後の生菌数を求め、そして、かかる測定にて得られた生菌数から、下記の計算式に従って、対数に換算した菌減少量を求めた。
菌減少量〔対数換算〕=LOG(調製直後の菌懸濁1ml中の生菌数)−LOG(処理後の菌懸濁液1ml中の生菌数)
その結果を合わせて表1に示した。
Figure 0005740666
表1の液剤No.1乃至5は人工涙液型の眼科用組成物として使用可能な処方であり、これに例えばl−メントールなどを0.001〜0.005w/v%程度添加すれば清涼感を与える点眼剤となり、アラントインを0.1w/v%程度添加すれば消炎・収斂効果を与える点眼剤に、マレイン酸クロルフェニラミンを0.03w/v%添加すれば抗ヒスタミン効果を有する点眼剤に、パルミチン酸レチノールを0.02w/v%程度添加すれば脂溶性ビタミン補給型の点眼剤へと調製することができるのである。また液剤No.5乃至9は界面活性剤を含み、コンタクトレンズの洗浄剤としての利用が可能である。そして表に示す通り、いずれも各種菌に対して優れた抗菌力を有することが分かる。
(実施例2)
前記実施例1で使用した成分に加えて、
アニオン性界面活性剤として、αオレフィンスルホン酸ナトリウム(商品名「ニッコールOS−14」:日光ケミカルズ(株)製)、硬化ヤシ油グリセリル硫酸ナトリウム(商品名「ニッコールSGC−80N」:日光ケミカルズ(株)製)、および直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名「ライポン LS−250」:ライオン(株)製)を、
増粘剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名「メトローズ60SH−4000」:信越化学工業(株)製)を、
追加した他は、前記同様の抗菌効果試験を行った。その結果を下記表2に示した。
Figure 0005740666
表2の液剤No.10乃至15はアニオン性界面活性剤を含むコンタクトレンズの洗浄液として使用可能な処方であり、後述の洗浄効果試験においても高い洗浄効果を有する。また、いずれも表に示す通り、優れた抗菌力を有するものである。
(実施例3)
−洗浄効果試験−
前期液剤No.6、10、14について、コンタクトレンズの洗浄液としての効果を調べるために、以下のようにして試験を行った。先ず、洗浄効果試験に用いるために、牛脂0.1g及びオリーブ油0.1gを量り、100mL生理食塩水を加え、加温溶解した後、オートホモミキサー(M型、特殊機化工業(株)製)で5000rpm×5分間懸濁させ、人工脂質懸濁液を調製した。
酸素透過性ハードコンタクトレンズ(商品名「メニコンEX」:(株)メニコン製)を供試レンズとして用意し、前記人工脂質懸濁液5mLに供試レンズ1枚を10分間浸漬した後、取り出して、乾燥させ人工脂質汚れ付着レンズを得た。そして、この得られた人工脂質汚れ付着レンズを液剤No.6、10、14の2mL中に1枚入れ、4時間浸漬した後、取り出して、同液剤を2~3滴レンズに滴下し、指先で5秒間こすることにより、コンタクトレンズの洗浄処理を行った。
かかる洗浄処理の後、コンタクトレンズの外観を観察したところ、いずれの液剤を使用したものであっても、コンタクトレンズに付着した人工汚れは完全に除去されていた。この結果から明らかなように、本発明に従うコンタクトレンズ用液剤にあっては、その優れた消毒効果に加えて、優れた洗浄効果も有しているのである。
(実施例4)
−蛋白除去効果試験−
液剤No.10、14について、これに液体酵素を混合して得られるコンタクトレンズ用溶液の蛋白除去効果試験を以下のようにして行った。まず、かかる蛋白除去効果試験に用いるために、牛製アルブミン:0.388w/v%、牛製γ−グロブリン:0.161w/v%、卵白リゾチーム:0.12w/v%、塩化ナトリウム:0.9w/v%、塩化カルシウム二水和物:0.015w/v%、リン酸二水素ナトリウム二水和物:0.104w/v%を水に溶解して調製し、1N水酸化ナトリウムを用いてpH7.0にした人工涙液を準備した。
試験用の前記ハードコンタクトレンズを用意し、このコンタクトレンズを前記人工涙液10ml中に浸漬したまま、80℃×30分の熱処理を施し、その後、水道水で擦り洗いした。この操作を5回繰り返した後、レンズ表面が完全に白濁しているのを確認して、これらの人工白濁レンズを試験レンズとし、以下の実験に用いた。
酵素を含む液剤は、タンパク分解酵素(商品名:ビオプラーゼ:ナガセケムテクス(株)製)を2.0w/w%、ホウ砂を10.0w/w%、グリセリンを60.0w/w%、水を38.0w/w%混合調製したもので、前記各液剤10mLに対して0.3mL添加した。この混合溶液に、前記人工白濁レンズを浸漬し、室温で4時間保存したのち、レンズを取り出し、水道水で擦り洗いをし、乾燥させ、レンズに残存した白濁汚れの度合いを、暗視野実体顕微鏡を用いて10倍に拡大して観察したところ、蛋白質の汚れが完全に除去されていることが確認された。
(実施例5)
−酵素の安定性試験−
液剤No.14に、前記酵素を0.12%になるように混合し、当該液剤の酵素活性を、下記の手法に従って測定する一方、25℃で6ヶ月保存した後、又は35℃で6ヶ月保存した後に、同様にしてそれぞれの酵素活性を測定し、下式に従って、残存酵素活性を算出した。
−タンパク分解酵素の活性測定(TNBS法)−
各液剤(サンプル)0.6mlに1%亜硫酸ナトリウム溶液0.9mlを添加し、50℃で約2分放置する。そののち0.4%DMC基質溶液(20mlの精製水をバイアルビンに入れ、ホットプレートで80〜100℃に加温し、ジメチルカゼイン(ノボザイムズ・ジャパン(株)製)を0.20g加え20分程スターラーで撹拌して完全に溶かす。溶解後、ホウ酸緩衝液(ホウ砂4.28gとリン酸2水素ナトリウム・2水和物4.15gを精製水100mlに溶解したもの)20mlを加え、さらに精製水で全容50mlとした溶液)0.6ml添加し50℃で1分後、0.1%2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(TNBS)溶液を0.15ml加えてさらに50℃で25分置く。反応後、1.5mlの冷水を加えて、室温で25分置き、波長425nmにて吸光度(対照としてはサンプルの代わりに1%亜硫酸ナトリウム溶液0.6mlを使用したものをおいて)を測定する。酵素濃度既知の溶液を予め前記同様の方法により測定して検量線を作成しておき前記測定結果の吸光度からサンプルの酵素濃度を決定する。
残存酵素活性(%)=(保存後のタンパク分解酵素活性/調製時のタンパク分解酵素活性)×100
本例の液剤について、25℃で6ヶ月保存した酵素の残存活性は100%、35℃で6ヶ月保存した酵素の残存活性は85%であった。この結果より、本発明の液剤により酵素活性を高く維持した状態で長期間の保存・使用が可能であることがわかる。
(実施例6)
液剤No.14に関し、コンタクトレンズに対する影響について以下の試験により確認した。
−レンズ適合性試験−
各液剤2mlに酸素透過性ハードコンタクトレンズ(商品名「メニコンZ」:(株)メニコン製)1枚を8〜12時間浸漬した後、取り出して、同液剤を2〜3滴レンズに滴下し、指先にて5秒間こすり洗浄後、水道水にて5秒間すすぎ、再び新しい液剤2mL中に浸漬するサイクルを30サイクル繰り返した。処理後、当該レンズ(n=3)の外観、規格(ベースカーブ、パワー、サイズ)、表面の水濡れ性を測定し、試験前のレンズと比較した。なお、対照として現在市販されているコンタクトレンズ用洗浄保存液(商品名「オーツーケア」:(株)メニコン製)を使用した。その結果、本発明例、対照ともに外観、規格、水濡れ性に関し、試験前のレンズのそれとの間に差が無かった。従って、本発明例の液剤はレンズに対し、悪影響を与える物ではなく、良好な適合性を有していることが判る。
本発明の眼科用組成物は、当該分野で従来繁用されている抗菌剤に代替しうる新規な抗菌剤を提示し、特に抗菌力に優れることは言うまでもなく、安全性、安定性などの特性を有する組成物を提供することができる。従って、一般点眼薬、抗菌性点眼薬、眼軟膏、洗眼剤、コンタクトレンズ用液剤など各種用途に展開でき、多様なニーズに応えうる製品開発に大きく貢献できる。

Claims (5)

  1. 抗菌有効量のピロクトンオラミンを含有することを特徴とするコンタクトレンズ用組成物。
  2. 前記ピロクトンオラミンの濃度が0.0001〜0.1w/v%である請求項1記載のコンタクトレンズ用組成物。
  3. 前記組成物が、炭素数5〜6のポリオールを更に含む請求項1または2に記載のコンタクトレンズ用組成物。
  4. 前記組成物が、非イオン性界面活性剤を更に含む請求項1乃至3のいずれかに記載のコンタクトレンズ用組成物。
  5. コンタクトレンズ用液剤である請求項1乃至4のいずれかに記載の組成物。





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