JP5739793B2 - 被汚染物を除染して除染チップを回収する方法 - Google Patents

被汚染物を除染して除染チップを回収する方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射性物質等の汚染物質にて汚染された被汚染物を除染して除染チップを回収する方法に関するものである。
去る2011年3月11日に発生した東日本大震災によって東京電力福島第一、第二原子力発電所が被害を受け、これにともなって飛散等した放射性物質の人体への影響や周辺環境への影響が懸念されている。
上記原子力発電所の周辺をはじめとする東北各県、関東各県では、放射性物質にて汚染された被汚染物の対処法や処理後の残渣処分地の選定など、未解決の課題が山積しているのが現状である。
このような放射性物質以外にも、船舶からの重油流出等に起因した海洋汚染物質の処理の問題なども過去に存在しており、このように様々な汚染物質にて汚染された被汚染物から汚染物質を効果的に除染する技術の開発は我が国において急務の課題となっている。
ここで、従来の公開技術に目を転じるに、特許文献1には、放射性物質で汚染した施設や設備、機器、配管等に除染ガスを曝露させることにより、放射性汚染物質を気体状で除去することができる気相ガス化反応を利用した放射性汚染物の除染方法とその装置が開示されている。より具体的には、放射性物質で汚染した施設や設備、機器、配管等に収着(付着/沈着/吸着)した放射化生成物、核分裂生成物及び超ウラン元素等の放射性物質を、化学的に活性な励起状態である酸素及び/あるいはフッ素と反応させ、放射性汚染核種を揮発性の酸化物及び/あるいはフッ素化合物に変換して気体として汚染物から分離除去する方法であり、除染ガスとして気体の状態で汚染物に導入し、処理することが可能であることから、除染のために汚染物を切断や解体する必要もなく、細く入り組んだ配管内部の汚染や放射能汚染レベルが高く近づけない汚染などのような従来の方法では除染処理が困難な放射性汚染物の除染処理が可能であるというものである。
しかし、この除染ガスを曝露させることによる放射性汚染物の除染方法では、除染ガスを曝露するという手段を適用することから除染されたはずの放射性汚染物を十分に回収することは極めて困難であり、除染後の放射性物質の飛散を回避できず、これでは、完全に除染したとは言い切れない。
ここで、被汚染物として、宮城県や福島県の海岸沿いで問題となっている汚染された木質瓦礫(伐採樹木や津波瓦礫等)について、その除染方法を考察する。
まず、汚染された木質瓦礫を除染しないでチップ化する方法が挙げられるが、この方法では、充てん効率の向上によってみかけ体積の減容は可能であるものの、汚染物の除去ができないという課題や、チップの利用が望めないという課題がある。
その他の方法として、汚染された木質瓦礫をチップ化後に水洗する方法があるが、この方法では、排水処理が大きな問題であり、汚染物質が水に溶解して移動や再拡散する危険性がある。
その他の方法として、汚染された木質瓦礫をチップにする前に皮や表面を剥ぐ方法があるが、この方法では、汚染物質が固定されていないために作業時に飛散や再拡散する恐れがあり、そのための対策が必要となるといった問題があり、また、所定形状の木材は皮剥ぎが自動化できるものの(丸太等の製材が一例)、枝等の不定形のものの皮剥ぎ等は人力でおこなう必要があり、多大な労力と時間を要することになる。
その他の方法として、汚染された木質瓦礫をチップにして焼却し、熱エネルギーとして回収する方法があるが、この方法では、汚染物質を廃棄しない装置を装備した施設を準備しなければならないこと、汚染物質が飛灰やスラグに濃集し易いことからその処理や処分に細心の注意が必要になること、焼却炉が汚染されると耐火物等に溶融・固着することがあり、その除染や洗浄が困難であるといった様々な問題がある。
その他の方法として、汚染された木質瓦礫に有機系の薬剤を塗布し、乾燥後に剥ぎ取って表面を除染する方法があるが、この方法では、枝等の不定形のものに対して漏れなく塗布するのが困難であること、床や壁面では剥ぎ取ることができるものの、対象物が不定形の場合には剥ぎ取り作業が煩雑になり、凹凸面(松等の樹皮をイメージ)に塗布した場合も剥ぎ取りの際にちぎれるなどして剥ぎ取りが極めて困難であるといった問題がある。
このように、公開技術をはじめとして様々な除染方法が存在するものの、いずれも固有の課題を有する技術であり、汚染物質にて汚染された被汚染物を効果的に除染でき、望ましくは除染後の除染チップを再利用できる画期的な技術の発案が急務の課題となっている。
特開2002−162498号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、放射性物質等の汚染物質にて汚染された被汚染物を効果的に除染でき、除染後の汚染物質を確実に回収するとともに、除染後の除染チップの再利用を図ることのできる、被汚染物を除染して除染チップを回収する方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による被汚染物を除染して除染チップを回収する方法は、汚染物質にて汚染された被汚染物にセメント系の固化材を塗工し、汚染物質を固化材に吸着もしくは固定して除染前駆体を生成する第1のステップ、除染前駆体を破砕して、汚染物質が固化材で吸着もしくは固定された汚染固化物と、被汚染物の表面から汚染物質が除染されてチップ化された除染チップと、に分画して双方を回収する第2のステップからなるものである。
本発明の被汚染物を除染して除染チップを回収する方法は、セメント系の固化材を使用してこれを被汚染物に塗布もしくは散布して汚染物質を固化材にてまず吸着もしくは固定することを特徴の一つとしており、さらに、このことによって生成された除染前駆体を破砕することにより、除染前駆体から汚染固化物と被汚染物から汚染物質が取り除かれ、さらにチップ化された除染チップとを分画することを特徴の一つとするものである。この2つのステップを経ることにより、汚染物質を飛散や再拡散させることなく、また、その処理に多大な労力と時間を要することなく、また、高価な処理設備を要することなく、汚染物質と除染チップの双方を個別に回収することのできる方法である。
ここで、汚染物質とは、放射性物質、海洋汚染物質である重油等、工場等から排出されるVOC等、排ガス中のダイオキシン類や揮発性有機化合物など、環境影響のある物質全般であって、本発明の方法にて回収可能なものがその対象である。
また、汚染物質にて汚染された被汚染物としては、既述する木質瓦礫(伐採樹木や津波瓦礫等)をはじめとして、本発明の方法が適用できるもの全般がその対象である。
セメント系の固化材は、その水セメント比を調整することで所望の強度発現を図ることができ、汚染固化物を除染チップよりも小寸法として破砕の際に剥がれ易くするのが好ましい。
また、水セメント比を大きくすると流動性が高くなり、凹凸の激しい表面であっても塗工が容易となり、均一で薄い固化体が得やすくなる一方で固化までに垂れて落ちる量が増えるといった課題がある。そこで、水セメントを小さくすると垂れ落ちる量は低減できるものの、凹凸面への浸透が難しくなり、固化材自体の厚さも増すことから除染後の廃棄物量が増加する。
すなわち、水セメント比を調整することで剥離特性のみならず、除染対象物に合わせて表面の付着性能も調整することが好ましい。
セメント系の固化材には,ポルトランドセメントや高炉水砕スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石微粉末を混合したポルトランドセメントが含まれる。なお、これらポルトランドセメント系の材料に限定するものでなく、刺激剤を混合した高炉水砕スラグやアルミナセメント、超早強セメント、超速硬セメント等、再水浸によって崩壊しないものであれば使用が可能である。
また、第1のステップにおけるセメント系の固化材(セメントミルク等)の「塗工」には、被汚染物に対してセメント系の固化材を散布する方法や塗布する方法のほか、セメント系の固化材内に被汚染物を浸漬(ディップ)する方法などが含まれる。
汚染物質の吸着や固定に際してセメント系の固化材を使用するため、セルロースとリグニンを主成分とする木材からセルロース等の糖類が染み出ることによってセメントの凝結阻害が生じ(木材表面ではセメントのアルカリによって糖類が抽出され、セメントの固化不良が生じる)、被汚染物から汚染物質を剥離し易くできる。
セメント系の固化材には、増粘剤、磁性材料、密度調整材のいずれか一種もしくは複数を添加することができる。これらの添加剤は第1のステップの「塗工」と第2のステップの分画方法にも関連するものである。
増粘剤にはコンクリート用化学混和剤のうち、分離低減剤として知られているものが使用でき、セルロースエーテルなどのセルロース系水溶性高分子、ポリアクリルアミドなどのアクリル系水溶性高分子、β-グルカンや水溶性ポリサッカライドなどのバイオポリマー(生物が生産する高分子)、アニオン系アクリル樹脂が使用できる。
磁性材料には、鉄粉などの金属材料や、磁鉄鉱、磁硫鉄鉱、磁赤鉄鉱などの磁性鉱物が使用でき、ザクロ石、斜方輝石、単斜輝石、角閃石、黒雲母など弱磁性鉱物も使用することができる。
鉄粉を使用する場合には、セメントに対する質量比率が大きくなるにつれて硬化過程での発泡が顕著になり、密度調整材としても使用することができる。
密度調整材を用いて、主に密度を増加させる目的においては、モルタル・コンクリートに用いられる川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂等の砂系細骨材、重量コンクリートに用いられる重晶石、磁鉄鉱、赤鉄鉱、褐鉄鉱、砂鉄、かんらん岩、及びスケールや粒鉄等の鉄鋼副産物等の細骨材、各種スラグ骨材、再生細骨材、もしくはこれらの混合物等を用いることができる。
密度調整材を用いて、密度を低下させる目的においては、火山礫を破砕して粒度調整した天然軽量骨材、膨張頁岩を用いて製造された人工軽量骨材など、軽量コンクリート用軽量骨材のほか、コンクリート用化学混和剤のうち起泡剤、発泡剤として知られるものが使用でき、具体的には合成界面活性剤系起泡剤、樹脂石鹸系起泡剤、タンパク系起泡剤、金属アルミニウム、過酸化水素と次亜塩素酸カルシウム、カーバイト、炭酸水素ナトリウムと塩酸、塩化アンモンと消石灰、をそれぞれ主成分とする発泡剤を使用することができる。
また、固化材の凝結時間を制御する凝結・硬化調整剤や急結剤、固化前の流動性を調整する減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤などのコンクリート用化学混和剤を併用して固化材の性状を調整することができる。
第1のステップでは、被汚染物の表面に、セメント系の固化材にて汚染物質が吸着もしくは固定された除染前駆体が生成される。
次に、第2のステップにおいて、除染前駆体の破砕と、これによる汚染固化物と除染チップの分画がおこなわれる。ここで、破砕に際しては、汎用のチッパーや破砕機を使用すればよく、特別な設備は不要である。除染前駆体をチッパー等で破砕することによって汚染固化物と除染チップの剥離(分離)が容易に実行できる。また、この除染チップから汚染固化物を分離することで汚染物質の減容化を図ることができる。
また、分画の方法形態としては、篩分け、水簸、風簸、磁力選別などのいずれか一種、もしくはこれらのうちの二種以上を組み合わせた方法を挙げることができ、これらの分画方法は破砕された物の性状に応じて好適な方法が選択される。
分画のうち、「風簸」とは、送風を利用した分画方法であり、除染前駆体が粉砕されたものを送風管内に導入し、送風管にたとえば水平方向の送風を提供することで汚染固化物と除染チップを個別に回収するものである。このような分画に用いる装置は水平流型の重力式分級器と呼ばれるもので、上昇流型や遠心式分級器であってもよい。
この分画では、送風の状態によって以下の式(1)〜(3)のようにそれぞれの粒子の終末沈降速度が異なることを利用している。
Figure 0005739793
ここで、Re:レイノルズ数(送風の状態)、v:終末沈降速度、ρ:粒子密度、ρ:流体の密度(送風した空気)、g:重力加速度、μ:流体の粘性係数(空気の粘性係数)である。
汚染固化物と除染チップの終末速度が類似すると「風簸」では分画ができなくなるが、粒子径と密度は破砕の程度、樹種、固化材の配合等によって適宜選択することができる。このような設計的な対応を加えても分画が不可能な場合に、他の方法や、他の方法との組み合わせることにより分画が可能となる。
また、分画のうち、「水簸」とは、液体と除染前駆体が粉砕されたものとの比重差を利用した分画方法であり、除染前駆体が粉砕されたものを水等の液体中に投下することにより、水等の分画用の液体より比重の大きい汚染固化物は液中に沈降し、水等の分画用の液体より比重の小さい除染チップは液上に浮遊等させてそれらを個別に回収するものである。
また、分画のうち、「磁力選別」とは、磁石等を利用して汚染固化物のみを吸引して回収する方法であり、セメント系の固化材に既述する磁性材料を添加しておくことで汚染固化物のみを磁性体とすることができる。「磁力選別」にはドラム型磁選機、吊下型磁選機などの選別機を使用することができ、また、磁石は永久磁石であっても電磁石であっても使用できる。粉砕された除染前駆体をそのまま磁選機に投入しても良いし、水を加えてスラリーとしても良い。
さらに、この分画では、除染前駆体が粉砕されたものをまず篩分けし、次いで水簸、風簸、磁力選別などをおこなう方法や、除染前駆体が粉砕されたものをまず風簸し、次いで水簸する方法などであってもよい。除染チップが大径のものと小径のものが存在する場合に、大径の除染チップ、小径の除染チップおよび汚染固化物を精緻に分画する上でこのような多段的な分画方法は有効となる。
分画により、汚染固化物と除染チップが個別に回収される。回収された汚染固化物に対し、再水和反応させて塊状の物質としたり、回収した汚染固化物が樹皮とセメントの混在物の場合にはこれを炭化して放射性セシウムなどの除染や減容を図ることもできる。
再水和反応させる場合は、汚染固化物を圧密させ、水分を付与することで再水和反応(再固結)させて塊状の物質を形成するものであり、このような塊状の物質は土嚢に収容しても漏れ出ないし、風で飛散することもないし、降雨や散水で流れ出して地下へ溶出することもない。
また、炭化によれば、塩水を被った瓦礫であってもダイオキシンが生成することがなく、さらに焼却とは異なって飛灰が発生することがなく、この観点からの管理が容易になる。
汚染固化物の減容に関しては、たとえば被汚染物の全体を焼却によって減容しようとすると、放射性物質等の汚染物質が濃集してしまい、その後の処理や処分が困難になるといった問題があるが、被汚染物から除染前駆体を生成し、これを粉砕して汚染固化物と除染チップに分画し、分画された汚染固化物のみを炭化して汚染物質の減容を図ることにより、このような問題を解消することができる。
一方、回収された除染チップは、集積して再利用を図ることもできるし、廃棄処分されてもよいが、本発明の方法により、被汚染物から汚染物質が効果的に除去されることから、除染チップの再利用化を実現でき、このことによっても廃棄物の減容を図ることに繋がる。
以上の説明から理解できるように、本発明の被汚染物を除染して除染チップを回収する方法によれば、被汚染物にセメント系の固化材を塗工し、汚染物質を固化材に吸着もしくは固定して除染前駆体を生成した後にこれを粉砕し、汚染固化物と除染チップに分画して双方を回収することにより、汚染物質を飛散や再拡散させることなく、また、その処理に多大な労力と時間を要することなく、さらには、高価な処理設備を要することなく、汚染物質と除染チップの双方を効果的に回収することができる。
本発明の被汚染物を除染して除染チップを回収する方法のフロー図である。 本発明の方法の実施の形態1を説明する模式図である。 本発明の方法の実施の形態2を説明する模式図である。 本発明の方法の実施の形態3を説明する模式図である。 本発明の方法の実施の形態4を説明する模式図である。 本発明の方法の実施の形態5を説明する模式図である。 本発明の方法の実施の形態6を説明する模式図である。 本発明の方法の実施の形態7を説明する模式図である。
以下、図面を参照して本発明の被汚染物を除染して除染チップを回収する方法の実施の形態を説明する。
まず、図1のフロー図を参照して、被汚染物を除染して除染チップを回収する方法を概説する。
本発明の方法は、第1のステップ(S1)として、汚染物質にて汚染された被汚染物にセメント系の固化材を塗工し、汚染物質を固化材に吸着もしくは固定して除染前駆体を生成する。
ここで、塗工には、被汚染物に対してセメント系の固化材を散布する方法や塗布する方法、セメント系の固化材内に被汚染物を浸漬する方法などが挙げられる。塗工においては一方向から固化材を適用した後、固化材の凝結を待って被汚染物を反転し、逆方向から再度塗工を行うことによって全体を漏れなく均一に覆うことができる。
塗工終了後、固化材が所定の硬さになるまで降雨などに曝されることを防ぐとともに固化材の良好な水和反応を促すために、風よけを設けたり、加温や加湿を行うことも有効である。
汚染物質は、放射性物質、海洋汚染物質である重油等、工場等から排出されるVOC等、排ガス中のダイオキシン類や揮発性有機化合物など、環境影響のある物質全般が挙げられるが、ここでは放射性物質を例に取り上げるものとする。
また、被汚染物も本発明の方法が適用できるもの全般がその対象であるが、ここでは木質瓦礫(伐採樹木や津波瓦礫等)を取り上げるものとする。セメント系の固化材(セメントミルク等)は、セメントを母材として各種の有効成分を添加したものであり、増粘剤や磁性材料、密度調整材のいずれか一種もしくは複数の添加剤を添加したものを使用できる。
第1のステップでは、被汚染物にセメント系の固化材を塗工することにより、木質瓦礫を構成する木材の主成分であるセルロースとリグニンからセルロース等の糖類が染み出ることによってセメントの凝結阻害が生じ(木材表面ではセメントのアルカリによって糖類が抽出され、セメントの固化不良が生じる)、被汚染物から汚染物質を剥離し易くすることができる。
被汚染物の表面に、セメント系の固化材にて汚染物質が吸着もしくは固定されて、除染前駆体が生成される。すなわち、第1のステップにて汚染物質の飛散や再拡散が効果的に抑制される。
さらに固化材が強アルカリ性を示すため、塗工後の被汚染物は腐敗の進行が抑制されることにより、悪臭の発生や発火などの問題を回避することができる。すなわち、除染したチップは再利用することができるが、用途によりチップの大きさや製造時期を調整しなければならないため、再利用先が決定するまで被汚染物を野積みにすることがあり、その間に生じ得る問題の解決を図ることができる。
次に、第2のステップ(S2)として、除染前駆体を破砕して、汚染物質が固化材で吸着もしくは固定された汚染固化物と、被汚染物の表面から汚染物質が除染され、チップ化された除染チップと、に分画して双方を回収する。
除染前駆体を破砕機等で破砕することにより、汚染固化物と除染チップの剥離(分離)が容易に実行でき、このように除染チップから汚染固化物を分離することで汚染物質の減容化を図ることができる。
除染前駆体が破砕されて汚染固化物と除染チップに分離された後、これらを分画する方法として篩分け、水簸、風簸、磁力選別のうちのいずれか一種、もしくは二種以上の組み合わせを適用することができる。
回収された除染チップは、集積して再利用を図ることもできるし、廃棄処分されてもよい。また、回収された汚染固化物は、再水和反応によって塊状の物質とされたり、炭化して減溶が図られ、その再拡散や流出、溶出などの危険性のない状態で廃棄処理されることになる。
以下、図2〜7を参照して、本発明の被汚染物を除染して除染チップを回収する方法の実施の形態を具体的に説明する。
(方法の実施の形態1)
図2は、本発明の方法の実施の形態1を説明する模式図であり、分画方法として篩分けを適用するものである。まず、放射性物質が吸着した木質瓦礫の伐採樹木からなる被汚染物にセメントミルクを塗工して除染前駆体1を生成し、この除染前駆体1を破砕機2に投入(X1方向)して破砕をおこなう。
破砕機2の下方にはローラ間を回転する(X2方向)移動式の篩3が配されており、破砕機2で破砕されてできた放射性物質がセメントミルクで吸着もしくは固定された汚染固化物1Bと、除染前駆体1から放射性物質が除染され、さらにチップ化された除染チップ1Aが下方に自由落下する(X4方向)。
移動式の篩3の網目は適宜の寸法に調整されるが、図示例では、除染チップ1Aは通過させないが汚染固化物1Bは通過させることのできる大きさに篩3の網目が調整されており、汚染固化物1Bは篩3を通過して下方の汚染固化物回収容器5に収容される(X3方向)。
一方、篩3上に堆積した除染チップ1Aは篩3の移動によって除染チップ回収容器4に収容される(X4方向)。
この篩分け方法では、図示する篩にさらに振動機を設けたものを適用することもできる。いずれにしても、篩分けによる分画は装置構成もその操作もともに簡便であるという利点を有している。
(方法の実施の形態2)
図3は、本発明の方法の実施の形態2を説明する模式図であり、分画方法として風簸を適用するものである。この方法形態も、方法の実施の形態1と同様、放射性物質が吸着した木質瓦礫の伐採樹木からなる被汚染物にセメントミルクを塗工して除染前駆体1を生成し、この除染前駆体1を破砕機2に投入(X1方向)して破砕をおこなう。
破砕機2の下方には送風管6が配されており、この送風管6には、汚染固化物が落下する汚染固化物回収ホッパー6aと除染チップが落下する除染チップ回収ホッパー6bが設けてある。
送風管6の本管に水平方向に所定の風速および風量のエア(圧縮エア等)が流れ(Z方向)、このエアの流れによって終末沈降速度が相対的に速い汚染固化物1Bが破砕機2の下方に位置する汚染固化物回収ホッパー6aを介し、その下方に配された汚染固化物回収容器5に落下(X5方向)して回収される。
一方、相対的に終末沈降速度が遅い除染チップ1Aはエアによって流され、汚染固化物回収ホッパー6aよりも下流側に位置する除染チップ回収ホッパー6bを介し、その下方に配された除染チップ回収容器4に回収される。
この気流式の分級方法は除染チップと汚染固化物双方の粒子径と密度に着目したものであり、双方が同一の粒子径であっても密度差によって精度よく双方の個別回収を図ることができる。
(方法の実施の形態3)
図4は、本発明の方法の実施の形態3を説明する模式図であり、分画方法として水簸を適用するものである。この方法形態も、方法の実施の形態1,2と同様、放射性物質が吸着した木質瓦礫の伐採樹木からなる被汚染物にセメントミルクを塗工して除染前駆体1を生成し、この除染前駆体1を破砕機2に投入(X1方向)して破砕をおこなう。
破砕機2の下方には水簸用容器7が配されており、破砕されて自由落下してきた除染チップ1Aと汚染固化物1Bのうち、水よりも比重の小さな除染チップ1Aは水面に浮遊し、水よりも比重の大きな汚染固化物1Bは水中に沈降し、汚染固化物1Bの沈降が落ち着いた段階で双方が個別に回収される。
この沈降式の分級方法は主として除染チップと汚染固化物双方の比重に着目したものであり、装置構成もその操作もともに簡便であり、さらに、双方が同一の粒子径であっても比重差によって精度よく双方の個別回収を図ることができる。
(方法の実施の形態4)
図5は、本発明の方法の実施の形態4を説明する模式図であり、分画方法として、磁選機を利用したものである。
この方法は、除染前駆体1に予め磁性材料を添加しておき、これを破砕機2にて破砕するものであり、破砕機2の下方にはその半分の領域に磁石8aを非回転状態でその内部に収容する回転ドラム8が回転自在に配されており、粉砕された磁性材料を含む汚染固化物1Cと除染チップ1Aのうち、磁性材料を含む汚染固化物1Cは回転ドラム8の磁石8aで吸引され、汚染固化物回収容器9に導くものである(X8方向)。
一方、磁性を帯びておらず、したがって回転ドラム8の磁石8aにて吸引されない除染チップ1Aは別途の除染チップ回収容器4に導かれることになる。
(方法の実施の形態5)
図6は、本発明の方法の実施の形態5を説明する模式図であり、分画方法として、図2で示す篩分けと図4で示す水簸を組み合わせたものである。
この方法は、たとえば除染チップに大片1A’と小片1A”が存在する場合に好適であり、大片1A’は篩分けにて除染チップ回収容器4にて回収され、一方で、除染チップの小片1A”と汚染固化物1Bは篩を通過してその下方に自由落下し(X3方向)、下方に配された水簸用容器7にて水面に浮遊する除染チップの小片1A”と沈降する汚染固化物1Bに分離され、双方が回収されるものである。
(方法の実施の形態6)
図7は、本発明の方法の実施の形態6を説明する模式図であり、分画方法として、図3で示す風簸と図4で示す水簸を組み合わせたものである。
この方法も、方法の実施の形態5と同様、たとえば除染チップに大片1A’と小片1A”が存在する場合に好適であり、風簸によって相対的に重量が重い汚染固化物1Bが破砕機2の下方に自由落下して(X5方向)汚染固化物回収容器5にて回収され、除染チップの大片1A’と小片1A”のうち、相対的に重量の重い大片1A’と汚染固化物回収容器5にて回収されずに残っている汚染固化物1Bが送風管6内でエアによって流され、下流に位置するホッパーを介してそれらの混合物が落下し(X6方向)、このホッパー下方に配された水簸用容器7に落下し、ここで双方が分離回収される。
一方、このホッパーを介して自由落下しなかった、最も軽量な除染チップの小片1A”はさらに下流のホッパーを介してその下方に配された除染チップ回収容器4にて回収されることになる。
(方法の実施の形態7)
図8は、本発明の方法の実施の形態7を説明する模式図であり、分画方法として、図2で示す篩分け用の一方のローラに図5の回転ドラム8を適用し、篩分けと磁選分別を組み合わせたものである。
この方法は、除染前駆体1に予め磁性材料を添加しておき、これを破砕機2にて破砕するものであり、移動式の篩3の一端側(下側)には、図5に示す構造と同じ磁石8aを収容した回転ドラム8が配されている。篩3を通過しなかった磁性材料を含む汚染固化物の大片1C’は篩3の上を除染チップ1Aとともに移動して、磁性材料を含む汚染固化物の大片1C’は回転ドラム8の磁石8aで吸引され、汚染固化物回収容器9’に導くものである。
一方、磁性を帯びておらず、したがって回転ドラム8の磁石8aにて吸引されない除染チップ1Aは別途の除染チップ回収容器4に導かれることになる。
このように、上記するいずれの方法形態であっても、除染前駆体が破砕されて形成された除染チップと汚染固化物を精度よく分画することができ、双方を個別に回収することができる。
すなわち,除染チップの再利用の形態にあわせてチップの粒径を設計した場合において、固化材とは密度、粒径、密度と粒径の組合せのいずれかについて、あるいは磁性の有無について相違させることで分画を確実におこなうことができ、チップ製造に関する設計上の制限を排除でき、チップの除染とともに再利用を効果的に推進することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…除染前駆体、1A…除染チップ、1A’…除染チップの大片、1A”…除染チップの小片、1B…汚染固化物、2…破砕機、3…移動式の篩、4…除染チップ回収容器、5…汚染固化物回収容器、6…送風管、6a…汚染固化物回収ホッパー、6b…除染チップ回収ホッパー、7…水簸用容器、8…回転ドラム、8a…磁石、9…汚染固化物回収容器、9'…汚染固化物回収容器

Claims (4)

  1. 汚染物質である放射性物質で汚染された被汚染物である木質瓦礫(伐採樹木や津波瓦礫)にセメント系の固化材を塗工し、放射性物質を固化材に吸着もしくは固定して除染前駆体を生成する第1のステップ、
    除染前駆体を破砕して、放射性物質が固化材で吸着もしくは固定された汚染固化物と、木質瓦礫の表面から放射性物質が除染されてチップ化された除染チップと、に分画して双方を回収する第2のステップからなる、被汚染物を除染して除染チップを回収する方法。
  2. 前記セメント系材料に、増粘剤、磁性材料、密度調整材のいずれか一種もしくは複数が添加されている請求項1に記載の被汚染物を除染して除染チップを回収する方法。
  3. 前記分画が、篩分け、水簸、風簸、磁力選別のうちのいずれか一種、もしくは二種以上の組み合わせからなる請求項1または2に記載の被汚染物を除染して除染チップを回収する方法。
  4. 回収した前記汚染固化物を再水和反応によって塊状の物質にする請求項1〜3のいずれかに記載の被汚染物を除染して除染チップを回収する方法。
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