JP5737607B2 - 機能性シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、皮膚に貼付して使用する冷却シート、化粧シート、美容シート等の機能性シート及びその製造方法に関する。
体温の上昇を緩和する製品として含水ゲルからなる冷却シートが販売されている。
この種の含水ゲルは体温によりゲル中の水分が蒸発し、その気化熱で冷却するものであるために体温(皮膚温)が下がり冷却が必要でなくなっても、そのまま冷却し続ける問題がある。
また、特許文献1に清涼剤を配合した冷却シートを開示するが、体温が下がっても冷却し続ける問題はそのままであり、肌の美白効果、抗酸化作用等の化粧効果が生じるものではない。
特許文献2は眼及びその周辺を冷却する冷却シートを開示するが、やはり化粧効果を生じるものではない。
特許文献3は温度応答性高分子化合物と粘着性高分子とからなる皮膚用粘着剤を開示するが、発汗による水分を吸収し、シートが剥がれるのを防止するのが目的であり、冷却や化粧効果を得るものではない。
特開2010−284519号公報 特開2007−229175号公報 特開平5−184658号公報
本発明は高熱時に冷却作用が強く、体温が低下した場合、過度の冷却を抑える機能性シート及びその製造方法の提供を目的とする。
また、化粧薬剤等の有効成分の経皮吸収性に優れる機能性シート及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明に係る機能性シートは、皮膚に貼付するためのシート基材に、所定の温度以下で親水性を有し、当該所定の温度を超えると疎水性に変化する温度応答性ポリマーの架橋生成物をそれ以外の含水性ゲルに混合し定着させたことを特徴とする。
ここで、温度応答性ポリマーの架橋生成物とそれ以外の含水性ゲルとに加えて化粧薬剤又は/及び清涼剤を混合してもよい。
温度応答性ポリマーの架橋生成物は、所定の応答温度以下で含水ゲル化するので、本明細書は、この温度応答性ポリマーの架橋生成物以外のゲル剤を「それ以外の含水性ゲル」と表現する。
温度応答性ポリマーの架橋生成物はそれ以外の含水性ゲル剤に分散させて用いるのが好ましく、この温度応答性ポリマーの架橋生成物の配合割合は、ゲル剤全量に対して1〜20wt%の範囲が好ましい。
本発明で機能性シートと表現したのは、単に体温を冷却するだけの従来の冷却シートに対して、体温の変化によって冷却作用が変化し、さらにはゲル剤にヒアルロン酸、コラーゲン、ビタミンC等の皮膚有効成分、美白効果のある成分、白金ナノ粒子、銀ナノ粒子等の抗酸化作用成分等の薬剤を混合することで有効成分の経皮吸収性に優れる等の機能性を有するシートの提供を目的とするからである。
このような機能性シートの製造方法としては、所定の温度以下で親水性を有し、当該所定の温度を超えると疎水性に変化する温度応答性ポリマーと架橋剤との反応により温度応答性ポリマーの架橋生成物を合成し、
当該架橋生成物を粉砕した微粉をそれ以外の含水性ゲルに分散混合した混合物、又は、さらに化粧薬剤又は/及び清涼剤を混合した混合物をシート基材に塗布することで得られる。
また、温度応答性ポリマーと架橋剤との混合物をシート基材に塗布し、シート基材とともに加熱し、温度応答性ポリマーの架橋生成物を合成し、さらにそれ以外の含水性ゲルを塗布する、又は、それ以外の含水性ゲルに化粧薬剤又は/及び清涼剤を混合したものを塗布する、ことでも得られる。
ここで、シート基材は皮膚に貼り付けるためのもので従来から冷却シート等に採用されている各種シート材、例えば、不織布、織布等の繊維シート等を用いることができ、不織布が好ましい。
本発明で温度応答性ポリマーとは、ある所定の温度以下では親水性を有するが、その所定温度以上になると疎水性に変化する温度応答性があるポリマーをいい、例えばN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)の共重合体等が代表例であり、温度応答性ポリマーは一般式(1)で表現できる。
ここで、R,Rは同一又は異なっても良く、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは架橋剤にて架橋する官能基を有する炭化水素であり、x及びyはx+y=1となる共重合体の混合比を示す。
yの値は0.05〜0.50の範囲が好ましい。
の例としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等を有する炭化水素である。
具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸スクシンイミドエステル、γ−ヒドロキシ酸(メタ)アクリレート、γ−ヒドロキシ酸(メタ)アクリルアミド、2−カルボキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
架橋剤は、例えば、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、グリコール系架橋剤、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アジド基またはビニルエーテル基を2つ以上有する化合物であることができる。
エポキシ系架橋剤は、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、1,2−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、1,3−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、1,6−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、1,7−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、1,8−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、2,3−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ビス[4−(2,3−エポキシ プロピルチオ)フェニル]サルファイド、または1,4−ビス(グリシジルオキシ)ベンゼンであることができる。
メラミン系架橋剤は、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミンまたはヘキサプロポキシメチルメラミンであることができる。
グリコール系架橋剤は、例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコール、1,3,4,6−テトラキス(エトキシメチル)グリコール、または1,3,4,6−テトラキス(プロポキシメチル)グリコールであることができる。
ヒドロキシル基、カルボキシル基、アジド基またはビニルエーテル基を2つ以上有する化合物は、例えば、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,3−シクロペンタンジオール、2,6−キノリンジオール、2,3−ジヒドロキシキノキサリン、1,4−ジオキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリビニルアルコール、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、2,5−チオフェンジカルボン酸、2−メチル−3,4−キノリンジカルボン酸、9,10−アントラセンジカルボン酸、ジヒドロアントラセン−9,10−ジカルボン酸、クエン酸、こはく酸、酒石酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、ビス(4−ビニロキシブチル)テレフタレートまたはビス(4−ビニロキシブチル)アジペートであることができる。
架橋剤の含有量は、温度応答性高分子膜の架橋密度、膨潤度を考慮して適宜決定でき、例えば、温度応答性ポリマー100重量部に対して、0.5〜50重量部の範囲とすることができる。
さらには、架橋触媒を加えると低温、単時間で反応が進行するので好ましい。
触媒としては、硫酸又はドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸一水和物等の有機酸が例として挙げられる。
本発明でそれ以外の含水性ゲルとは、温度応答性ポリマーの架橋生成物以外のポリアクリル酸類、ポリメタアクリル酸類を挙げることができる。
なお、ここでポリアクリル酸類とは、ポリアクリル酸のみならずその塩を包含する趣旨で用いられる。
また、ポリメタアクリル酸類とは、ポリメタアクリル酸のみならずその塩を包含する趣旨で用いられる。
ポリアクリル酸又はポリアクリル酸塩としては、直鎖状又は分枝状の別を問わず、またその分子量も特に制限されないが、通常分子量1万〜1000万のものが用いられる。
ゲル強度を高めてより多くの水分を安定的に保持させるという観点からは、特に100万〜700万の分子量のものが望ましい。
なお、ポリアクリル酸として、通常のアクリル酸を重合して得られる重合体のほか、カルボキシビニルポリマー等のアクリル酸重合体を一部架橋したものや、ポリビニルアルコール等も好適に使用し得る。
ポリアクリル酸の塩としては、特に制限はないが、好適にはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムなどのポリアクリル酸の一価金属塩、ポリアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のポリアクリル酸のアミン類、ポリアクリル酸のアンモニウム塩等が例示される。
これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて用いることもできる。より好ましくは、ナトリウム塩である。
また、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、タラガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチン、プルラン、グァーガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、アルギン酸ナトリウム、マンナン、ゼラチン、寒天等の天然ガム類を組み合せて用いることができる。
この他に保湿剤又は賦形剤としてグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等を加えても良い。
本発明で化粧薬剤とは化粧料として使用されている各種薬剤をいい、皮膚栄養成分、美白効果成分、抗酸化成分等が挙げられる。
皮膚栄養成分としては、例えば、繊維芽細胞コラーゲン産生能促進因子、コラーゲン等のタンパク質、ヒアルロン酸等の糖類、麦芽エキス、カミツレエキス等の植物抽出物、ビタミンB、ビタミンC等ビタミン類、プラセンタエキス、アラントイン、レシチン、アミノ酸類、コウジ酸、ホルモン類、カフェイン酸、スクワラン等が挙げられる。
美白成分としては、例えば、アルブチン等のハイドロキノン誘導体、コウジ酸、L−アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体、パントテニールエチルエーテル、トラネキサム酸およびその誘導体、プラセンタエキス、カミツレエキス等など植物抽出物、AMP等のアデノシン類、レゾルシン誘導体、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
抗酸化成分としては、例えば、白金・銀ナノ粒子、アントシアニン、カテキン、緑茶ポリフェノール、りんごポリフェノールなどのポリフェノール類、β−カロチン、アスタキサンチンなどのカロテノイド、トコフェロール類、グルタチオン、カフェ酸、クロロゲン酸、エラグ酸等が挙げられる。
また、清涼剤にはメントール及びその誘導体、ハッカ油が例として挙げられる。
温度応答性ポリマーを架橋により三次元架橋生成物にしたことにより、例えば32℃前後に温度を上げると親水性の含水ゲル(自重の約12倍の水を含む)から疎水性の収縮樹脂に変化する(95%以上の水を放出する)。
この際に大量の水を放出する。
従って、本発明は温度応答性ポリマーの架橋生成物を5μm〜50μmの微細粉にしてポリアクリル酸類のゲルや寒天等の多糖類のゲル中に分散させたシートにすると、皮膚に貼り付けた際に体温が高温の場合にはその体温により大量の水を放出し速やかに冷却作用を示し、体温が下がると温度応答性ポリマーの架橋生成物が親水性ゲルの方向に戻り、必要以上に冷却されるのを抑えるように作用する。
この時の温度応答性ポリマーの架橋生成物の微細粉の粒径を制御することで、温度応答速度を制御することができる。体温が高温の場合、皮膚に貼り付けた際に水を放出するが、粒径が小さいほど素早く、粒径が大きいほど緩やかに水を放出する。
温度応答性ポリマーの架橋生成物の微細粉の粒径は、50nm〜5mmの範囲とすることができるが、これらの範囲は、実用的な温度応答速度を考慮して、好ましくは、5μm〜50μmの範囲である。
また、単一の粒径の微細粉を単独で、または、2種類以上の粒径の微粉末を組み合わせで用いることができる。
本発明の機能性シートを冷却シートとして用いる場合に、不織布等のシート基材からの水分の蒸発による気化熱で体温が冷却される。
また、温度応答性ポリマーの架橋生成物は応答温度以下の低温で、ゲル化した三次元の網目構造を有しているために白金ナノ粒子、銀ナノ粒子等の固形成分であってもその網目構造の中に取り込むことができ、応答温度以上になると架橋生成物が収縮し、その際に上記固形成分が放出される。
従って、本発明に係る機能性シートは目元に貼り付ける目元シートや顔面に貼り付けるフェイスシート等にすることで化粧用シートに応用できる。
この場合には、有効成分と水分が皮膚側に放出されるので、経皮吸収性に優れる。
不織布上に合成した架橋生成物の水再放出試験結果を示す。 架橋生成物の膨潤状態と水分放出状態を示す。 目元シートの外観例を示す。 化粧用シートの拡大写真を示す。 架橋生成物の温度変化を示す。 皮膚温度の測定比較結果を示す。
以下本発明に係る機能性シートの製造例と評価結果について説明する。
まず初めに温度応答性ポリマー(共重合体)及びその架橋生成物の合成方法を検討した。
N-isopropylacrylamideと2-hydroxyethylacrylateを80:20のモル比でラジカル共重合し、架橋サイトとして働く水酸基を有する温度応答性ポリマーを合成した。
次に、架橋剤として酒石酸を、架橋前のNIPAAmポリマーに対して3wt%となるように加え、加熱により架橋反応を進行させることによって、温度応答性ポリマーの3次元架橋体を得た。
その合成スキームを下記に示す。
その結果、架橋反応に180℃×6時間の高温、長時間必要であることが明らかになった。
そこで次に低コスト化を目的に架橋触媒の添加を検討した。
触媒として、硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸一水和物の3種類を選択した。
架橋前のNIPAAmポリマーに対して3wt%となるように架橋触媒を添加し、種々の温度・時間で架橋反応を進行させ、それぞれの収率を比較した。
その結果を表1に示す。
触媒を加えなかった場合、充分な合成収率を得るためには180℃×6時間の反応温度と時間が必要であったのに対し、硫酸やp−トルエンスルホン酸一水和物を加えた場合には、より低温・短時間の160℃×1時間で充分な合成収率が得られた。
次に、架橋触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物を加えた条件で、架橋剤として用いている酒石酸の添加量の検討を行った。
架橋前のNIPAAmポリマーに対して、3wt%となるようにp−トルエンスルホン酸一水和物を添加した上で、1〜9wt%となるように架橋剤である酒石酸を加え、種々の温度・時間で架橋反応を進行させ、それぞれの収率を比較した。
その結果を表2に示す。
表2の結果から、架橋触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物を加えた条件において、架橋剤としての酒石酸の添加量は3wt%〜9wt%の範囲が好ましい。
架橋触媒を用いて合成した温度応答性ポリマーの3次元架橋体に、例えば、触媒のp−トルエンスルホン酸一水和物が残存した場合、冷却シート化・化粧用シート化する際に、多量のアクリル酸ナトリウムゲル中に分散・接触するため、p−トルエンスルホン酸一水和物は、p−トルエンスルホン酸ナトリウムに変換され、そのまま界面活性剤として利用される。
本発明に係る機能性シートにする場合、この架橋生成物を5μm〜50μmの微粉末に粉砕してポリアクリル酸類等の他のゲル剤中に分散させた後、シート基材に塗布する。
分散方法は、温度応答性樹脂の3次元架橋体の微粉末に水を加え、水懸濁液とした後、ポリアクリル酸ソーダ・グリセリン膨潤液との混合攪拌を行う方法、もしくは、温度応答性樹脂の3次元架橋体の微粉末を直接ポリアクリル酸ソーダ・グリセリン膨潤液に加え、混合する方法がある。
機能性シートにする方法は、上記の他に、例えば、シート材上で直接架橋生成物を合成する以下の方法でも良い。
架橋剤を含む温度応答性ポリマーを不織布に直接塗布し、180℃×6時間の加熱処理によって架橋反応を進行させ、不織布の上で3次元架橋体を合成した。
次に、合成した温度応答性ポリマーの3次元架橋体に水を含ませ、体温付近に温度を上げた時に、水を再放出できるか実験を行った。
その結果を図1に示す。
温度応答性ポリマーの3次元架橋体を不織布表面で合成したもの(中、右)では、温度を体温付近(37℃)まで上げた時、表面に大量の水が浮き出ていることが確認された。
これは、温度応答性ポリマーの3次元架橋体の内部に取り込まれていた水が、温度変化によって外部に放出されたことによる。
180℃×6時間の加熱処理によって、不織布の上での架橋反応を進行させた場合、ポリエステル製の不織布は、茶色に変色してしまうが、架橋触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物を加えた場合には、より低温・短時間の160℃×1時間で反応が行えるため、不織布の変色を抑えられることができる。
次に、温度応答性ポリマーの架橋生成物の薬剤の放出機能に関して検討を行った。
温度応答性ポリマーの3次元架橋体(以下、単に架橋生成物と表現する。)は、室温において、自重の約12倍の水を吸収し、体温付近の温度で、吸収し取り込んだ水の95%以上を外部に再放出することを確認した。
その様子を図2の写真に示した。
この時、化粧薬剤として有効なビタミンCや美白効果のあるヒドロキノン、抗酸化作用のある白金・銀ナノ粒子などをあらかじめ配合することで、放出される水分と同時に、有効成分を皮膚上に大量に供給できる。
そこで、水溶性の有効成分としてヒドロキノン、固形の有効成分として白金ナノ粒子(平均粒径3nm)、銀ナノ粒子(平均粒径10nm)、シリカナノ粒子(平均粒径200nm)を配合した架橋生成物について、架橋生成物の再放出機能を検討した。
室温において、架橋生成物に取りこませたヒドロキノン水溶液もしくはナノ粒子分散液の光透過率と、体温付近の温度で再放出された水溶液もしくは分散液の光透過率の測定結果から、各々の濃度を求めて、再放出率を算出した。
その結果を表3に示す。
水溶性の有効成分であるヒドロキノン、固形の有効成分である白金ナノ粒子(平均粒径3nm)、銀ナノ粒子(平均粒径10nm)、シリカナノ粒子(平均粒径200nm)ともに、体温付近の温度で水と一緒に再放出できる。
温度応答性ポリマーの3次元架橋体の網目構造の大きさは、含水時には数百nm程度に拡がっていることから、固形成分であっても、充分小さなナノ粒子であれば、網目構造をすり抜け外部に放出することができる。
次に、実際に温度応答性ポリマーの3次元架橋体を用いて化粧用シート(目元シート)を作製した。
具体的には、温度応答性ポリマーの3次元架橋体を微粉砕した後、架橋体が3wt%になるようにポリアクリル酸ソーダと混合攪拌し含水ゲルとし、不織布に塗布し化粧用シート(目元シート)を作製した。
作製した化粧用シート(目元シート)の外観図を図3に示す。
また、作製した化粧用シート(目元シート)の室温(皮膚に貼る前)における温度応答性樹脂の微粉体の様子をマイクロスコープにより観察した。
その結果を図4に示す。
約30μmの大きさの温度応答性ポリマーの微粉体が、ポリアクリル酸ゲル内にほぼ均一に分散していた。
更に、室温(皮膚に貼る前)と体温付近(皮膚に貼った状態)における化粧用シート(目元シート)内の温度応答性ポリマーの微粉体の状態をマイクロスコープにより拡大観察し、その比較を行った。
その結果を図5に示す。
室温では、微粉体は水を含むことによって膨張しており約30μmの大きさであるのに対し、体温付近の温度では、内部の水を放出し一回り小さな微粉体(約15μm)へと収縮していた。
作製した化粧用シート(目元シート)を人皮膚(前腕など)に20分間貼付し、剥離直後の皮膚表面の水分をスカラ製皮膚水分測定機により測定した。
その結果を表4に示す。
何も貼付しない場合の皮膚水分量は34.3%であり、そのまま1時間置いて測定した場合でも35%とほとんど変化は無かった。
ブランク実験として、温度応答性ポリマーを含まない従来型の化粧用シート(目元シート)を20分間貼付した場合は、皮膚水分量は39.7%まで上昇した。
そのまま1時間放置すると、皮膚表面は乾燥していき33%へと減少した。
それに対して、表中にNIPAAm 3%と表示した温度応答性ポリマーの架橋生成物を3wt%含ませた化粧用シート(目元シート)、及び、表中にNIPAAm 3%+Ptナノと表示した架橋生成物3wt%と白金ナノ粒子を両方配合した化粧用シート(目元シート)では、20分間貼付した場合は、皮膚水分量はそれぞれ42.2%、43%まで大きく上昇し、高い保湿効果を示した。
そのまま1時間放置すると、皮膚表面は徐々に乾燥していくものの、測定結果は36.1%、35.8%となり、貼付なしの状態よりは皮膚水分量を高く保持できていた。
表中にPtナノと表示した温度応答性ポリマーを含まず白金ナノ粒子だけを配合した化粧用シート(目元シート)では、従来型の化粧用シート(目元シート)とほぼ同じ傾向を示し、20分間貼付した場合は、皮膚水分量は39.6%まで上昇し、そのまま1時間放置すると、皮膚表面は乾燥していき35.5%へと減少した。
次に、温度応答性ポリマー(NIPAAmポリマーの架橋生成物3wt%)を配合した化粧用シート(目元シート)を用いて、人での有効性試験を実施した(皮膚温度の測定)。
また、温度応答性ポリマーの架橋生成物を配合した化粧用シート(目元シート)を用いて、アレルギーパッチ試験を行った。
<試験対象としたシート剤>
温度応答性ポリマーの架橋生成物3wt%配合目元シート(重量:1.3g)(本発明品)
市販目元シート(重量:1.3g)(比較品)
<実験方法>
サーモグラフィー(日本電気三栄製6T67)による皮膚温度の測定を行った。
健常人5人の両前腕外側に目元シートを貼付し貼付前から80分後まで20分毎にはがした直後、計5回測定する。
貼付部中心部1cm×3cmの範囲の平均温度を測定した。
なお、人の体表温度には日内変動があるとされていることから、より正確に評価するために検査時間帯は一定にした。
測定環境は室温24℃±1℃、相対湿度50%±10%で行った。
その結果を図6のグラフに示す。
比較品と比較して、本発明シートでは、貼付後20分では2群の温度差はあまりないが、40分以降は比較品との温度差が有意に認められた。
温度応答性ポリマー架橋生成物は、32℃を超える温度でゲル内部に大量に吸蔵した水分を放出する特徴を有している。
そのため、貼付40分以降、ポリアクリル酸類含水ゲルによる冷却効果が弱まり皮膚温度が32℃を超え始めた時点から、温度応答性ポリマーの架橋生成物は内部の水を放出し始め、市販品よりも冷却効果を向上させることができた。
また、皮膚温度が充分冷えている貼付20分まで(32℃付近までの状態)は、通常のポリアクリル酸類含水ゲルによる冷却効果のみとなっており、架橋生成物によって過剰に冷やされ過ぎることは無いことも確認できた。
次に、アレルギーパッチ試験を実施した。
<試験条件>
・試験人数 n=10 男性6人、女性4人
・試料はパッチテスト48時間後で判定した。
・平均年齢:男性47.3歳, 女性29.8歳 全体平均40.3歳
表中、サンプル(1)は架橋生成物3.5wt%、サンプル(2)は架橋生成物4.0wt%になるようにアクリル酸ゲル中に分散されたものである。
比較品はタック化成(株)の商品名「熱とりタックん」を使用した。
表5に示すように、全ての人で陰性であった。
72時間以降も発赤、痒みは認められなかった。

Claims (4)

  1. 皮膚に貼付するためのシート基材に、
    所定の温度以下で親水性を有し、当該所定の温度を超えると疎水性に変化する温度応答性ポリマーの架橋生成物をそれ以外の含水性ゲルに混合し定着させたことを特徴とする機能性シート。
  2. 前記温度応答性ポリマーの架橋生成物とそれ以外の含水性ゲルとに加えて化粧薬剤又は/及び清涼剤を混合したことを特徴とする請求項1記載の機能性シート。
  3. 所定の温度以下で親水性を有し、当該所定の温度を超えると疎水性に変化する温度応答性ポリマーと架橋剤との反応により温度応答性ポリマーの架橋生成物を合成し、
    当該架橋生成物を粉砕した微粉をそれ以外の含水性ゲルに分散混合した混合物、又は、さらに化粧薬剤又は/及び清涼剤を混合した混合物をシート基材に塗布することを特徴とする機能性シートの製造方法。
  4. 所定の温度以下で親水性を有し、当該所定の温度を超えると疎水性に変化する温度応答性ポリマーと架橋剤との混合物をシート基材に塗布し、
    シート基材とともに加熱し、温度応答性ポリマーの架橋生成物を合成し、さらにそれ以外の含水性ゲルを塗布する、又は、それ以外の含水性ゲルに化粧薬剤又は/及び清涼剤を混合したものを塗布することを特徴とする機能性シートの製造方法。
JP2011006431A 2011-01-14 2011-01-14 機能性シート及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5737607B2 (ja)

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