JP5735383B2 - 調節弁の異常診断方法および装置 - Google Patents

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Description

この発明は、流体の流れを調節する調節弁の異常診断方法および装置に関するものである。
従来より、化学プラント等においては、その流量プロセスに用いられる調節弁に対してポジショナを設け、このポジショナによって調節弁の開度を制御するようにしている。このポジショナは、上位装置から送られてくる開度設定値と調節弁からフィードバックされてくる実開度値との偏差を求め、この偏差に応じた電気信号を制御出力として生成する演算部と、この演算部が生成した制御出力を空気圧信号に変換する電空変換器と、この電空変換器が変換した空気圧信号を増幅し増幅空気圧信号として調節弁の操作器へ出力するパイロットリレーとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
図23にポジショナと調節弁とを組み合わせたシステムにおける入出力信号の流れを示す。同図において、100はポジショナ、200は調節弁であり、ポジショナ100はエレキモジュール1と、EPM(電空変換モジュール)2と、パイロットリレー(空気圧増幅モジュール)3とを備えている。
エレキモジュール1は、開度設定信号Iinおよび調節弁200からフィードバックされてくる弁の開度Xを入力とし、制御出力としてEPM駆動信号Dutyを生成する。EPM2は、エレキモジュール1からのEPM駆動信号Dutyを入力とし、このEPM駆動信号Dutyをノズル背圧Pnに変換する。パイロットリレー3は、EPM2からのノズル背圧Pnを入力とし、このノズル背圧Pnから操作器圧Poを生成する。調節弁200は、ポジショナ100からの操作器圧Poを入力とし、この操作器圧Poに応じてその弁の開度Xを調節する。
図24にポジショナ100内の各モジュールおよび調節弁200の正常時の静的な入出力関係を線形近似した図を示す。図24(a)はエレキモジュール1の入出力関係(開度信号IinとEPM駆動信号Dutyとの関係)を示し、図24(b)はEPM2の入出力関係(EPM駆動信号Dutyとノズル背圧Pnとの関係)を示し、図24(c)はパイロットリレー3の入出力関係(ノズル背圧Pnと操作器圧Poとの関係)を示し、図24(d)は調節弁200の入出力関係(操作器圧Poと開度Xとの関係)を示す。なお、この例において、調節弁200は空気を入れるに従って開度が大きくなる正動作型(Air To Open)であるものとする。
〔調節弁の異常診断〕
調節弁200では、操作器圧Poと開度Xとの関係から、弁軸にかかる流体反力(プロセス流体による力)を検知することができる。図25に流体反力発生時の調節弁200の入出力関係の変化を示す。同図において、Iは正常時の静的な入出力関係を示す特性(無負荷時の特性)であり、流体反力発生によってその入出力関係が特性I’で示すように変化する。
無負荷時は、操作器圧Poと開度Xの関係は、スプリング力、空気圧による力のバランスを表している。流体反力が発生することでそのバランスに差異が生じる。したがって、流体反力の発生していない状態(無負荷時)と比較することで、操作器圧Poの差異を検知することができる。この差異をモニタリングすることにより、使用範囲外の流体圧力の検知が可能となる。
また、操作器圧Poと開度Xとの関係から、弁軸にかかる摩擦力の異常を検知することができる(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。図26(a)に正常時の操作器圧Poと開度Xとの入出力関係のヒステリシス特性を示す。操作器圧Poを上昇方向へ変化させた場合と下降方向へ変化させた場合とで入出力関係が異なり、上昇方向の特性と下降方向の特性との間にヒステリシスの幅Wが生じる。このヒステリシスの幅Wが、図26(b)に示すように、摩擦力によって変化する。したがって、このヒステリシスの幅Wを正常時と比較することによって、異常と判断できる。なお、ヒステリシスの幅Wの1/2に操作器ダイアフラム面積を乗じれば静摩擦力となり、この静摩擦力を指標値としてもよい。
実開昭62−28118号公報 特表2006−520038号公報 特表2005−538462号公報 特開平07−77488号公報
しかしながら、上述したような調節弁の異常診断方法では、プロセス運転中、そのプロセス運転中のデータを利用して調節弁の異常診断を行おうとした場合、調節弁の異常をうまく診断することができない場合がある。
例えば、図25に示した調節弁の異常(流体反力大)の場合を考える。この場合、プロセス運転中、調節弁を速く動かすと、遅れのせいで、その入出力関係が正常時の静的な入出力関係を示す特性I(静的モデル)から大きく外れてしまう(図27参照)。このため、調節弁の異常と誤診断してしまうことがある。
また、図26の調節弁の異常(摩擦力大)を考える。この場合、特許文献2や特許文献3で示された技術では、開度Xと操作器圧Poのどちらか、あるいは両方が速く動いているときのデータも利用する。そのようなデータが増えると、実際には摩擦力は変化していなくても、算出されるヒステリシスの幅Wが大きくなってしまう(図28参照)。このため、調節弁の異常と誤診断してしまうことがある。
なお、調節弁の遅れを含んだ動的なモデルを作成し、この作成した動的なモデルに基づいて異常診断を行うことが考えられる。しかし、この方法では、運動方程式を作成するなど(例えば、特許文献4参照)、精度の高い動的なモデルの作成に過大な労力を要し、運用時の計算量も多くなって、簡易に異常診断を行うことができない。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、プロセス運転中、簡易にかつ正確に、調節弁の異常診断を行うことが可能なポジショナの異常診断方法および装置を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明は、流体の流れを調節する調節弁の異常診断を行う調節弁の異常診断方法において、調節弁への入力信号および調節弁からの出力として弁開度を定期的にサンプリングするステップと、サンプリングされた入力信号の変化速度を求めるステップと、サンプリングされた弁開度の変化速度を求めるステップと、予め定められている重み関数に基づいて入力信号の変化速度と弁開度の変化速度との組み合わせに応じた重みを求めるステップと、サンプリングされた入力信号と弁開度と求められた重みとに基づいて調節弁の異常診断を行うステップとを備え、重み関数は、入力信号の変化速度および弁開度の変化速度の絶対値が閾値以下の範囲の重みをそれ以外の重みよりも大とする関数であり、異常診断を行うステップは、予め定められた所定の期間を異常診断判断期間とし、重みが所定値以上として求められた入力信号および弁開度を有効なデータとし、異常診断判断期間内の有効なデータとされた入力信号および弁開度に基づいて調節弁の流体反力の異常診断に際して使用する異常診断指標値および調節弁の摩擦力の異常診断に際して使用する異常診断指標値の少なくとも一方を求め、この求めた異常診断指標値が予め定められた閾値を超えた場合に異常を報知することを特徴とする。
例えば、本発明において、調節弁への入力信号を操作器圧とした場合、調節弁への入力信号として操作器圧が定期的にサンプリングされ、調節弁からの出力として弁開度が定期的にサンプリングされ、サンプリングされた操作器圧の変化速度と、サンプリングされた弁開度の変化速度とが求められる。そして、予め定められている重み関数に基づいて、操作器圧の変化速度と弁開度の変化速度との組み合わせに応じた重みが求められ、サンプリングされた操作器圧と弁開度と求められた重みとに基づいて調節弁の異常診断が行われる。
例えば、本発明において、操作器圧の変化速度と弁開度の変化速度のどちらも小さい場合にのみ重みを1とし、他は重みを0とすると、変化速度の小さい操作器圧と弁開度とを用いて調節弁の異常診断が行われるものとなる。このようにすると、プロセス運転中、正常時の静的な入出力関係を示す特性から大きく外れるデータを除去したり、正常時のヒステリシスの幅から大きく外れるデータを除去したりして、調節弁の異常診断を行うようにすることが可能となる。
本発明では、予め定められている重み関数に基づいて入力信号の変化速度と弁開度の変化速度との組み合わせに応じた重みを求めるが、この重みは入力信号の変化速度に応じた重み成分と弁開度の変化速度に応じた重み成分とに分けた重み関数としてもよいし、入力信号の変化速度に応じた重み成分と弁開度の変化速度に応じた重み成分とを合成した重み関数としてもよい。また、その重みは必ずしも0,1の2値でなくてもよく、変化速度が小さくなるほど大きくなるような重みであっても構わない。
また、本発明において、調節弁の概念にはポジショナを組み合わせたシステムも含まれる。すなわち、ポジショナと調節弁とを組み合わせたシステム全体を1つの調節弁とみなすこともできる。この場合、ポジショナへの入力信号である開度設定信号が調節弁への入力信号に相当するものとなる。
本発明によれば、調節弁への入力信号および調節弁からの出力として弁開度を定期的にサンプリングし、サンプリングされた入力信号の変化速度と、サンプリングされた弁開度の変化速度とを求め、予め定められている重み関数に基づいて入力信号の変化速度と弁開度の変化速度との組み合わせに応じた重みを求め、サンプリングされた入力信号と弁開度と求められた重みとに基づいて調節弁の異常診断を行うようにしたので、プロセス運転中、正常時の静的な入出力関係を示す特性から大きく外れるデータを除去したり、正常時のヒステリシスの幅から大きく外れるデータを除去したりして、簡易にかつ正確に、調節弁の異常診断を行うことが可能となる。
本発明に係る調節弁の異常診断方法を適用した異常診断装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部の構成を示す図である。 調節弁の設計仕様がない場合などに調節弁の正常時の静的な入出力関係を求める方法を説明する図である。 実施の形態1の異常診断装置で用いる重み関数の一例を示す図である。 実施の形態1の異常診断装置においてCPUが行う異常診断処理のフローチャートである。 図4に示したフローチャートにおいて重みw1(k)を求める処理のサブルーチンを示す図である。 図4に示したフローチャートにおいて開度X(k)の属するカテゴリを定める処理のサブルーチンを示す図である。 図4に示したフローチャートにおいてカテゴリiの操作器圧の最大値,最小値を更新する処理のサブルーチンを示す図である。 図4に示したフローチャートにおいてカテゴリi毎の流体反力を求める処理のサブルーチンを示す図である。 図4に示したフローチャートにおいて全てのカテゴリiの操作器圧の最大値,最小値を初期値にリセットする処理のサブルーチンを示す図である。 重みw1(k)によって除外されるデータおよび有効なデータとして抽出されるデータを示す図である。 カテゴリiにおける正常時のデータと収集された入出力関係を示すデータ(代表値)との間のPo軸での差異が求められる様子を示す図である。 カテゴリi毎に算出された流体反力を示す図である。 実施の形態1の異常診断装置で用いる重み関数の他の例を示す図である。 本発明に係る調節弁の異常診断方法を適用した異常診断装置の他の実施の形態(実施の形態2)の要部の構成を示す図である。 調節弁の設計仕様がない場合などに調節弁の正常時の入出力特性のヒステリシスの幅を求める方法を説明する図である。 実施の形態2の異常診断装置で用いる重み関数の一例を示す図である。 実施の形態2の異常診断装置においてCPUが行う異常診断処理のフローチャートである。 図17に示したフローチャートにおいてカテゴリi毎のヒステリシスの幅を求める処理のサブルーチンを示す図である。 カテゴリiのヒステリシス幅が算出される様子を示す図である。 カテゴリi毎に算出されたヒステリシスの幅を示す図である。 カテゴリi毎に算出された摩擦力を示す図である。 流体反力によってヒステリシスの幅が大きく変わらない様子を示す図である。 ポジショナと調節弁とを組み合わせたシステムにおける入出力信号の流れを示す図である。 ポジショナ内の各モジュール(エレキモジュール、EPM、パイロットリレー)および調節弁の正常時の静的な入出力関係を線形近似した図である。 流体反力発生時の調節弁の入出力関係の変化を示す図である。 摩擦力によって変化する調節弁の入出力特性のヒステリシス幅を説明する図である。 プロセス運転中、調節弁が速く動いた場合に、遅れのせいで、その入出力関係が正常時の静的な入出力関係から大きく外れてしまう様子を示す図である。 プロセス運転中、調節弁が速く動いた場合に、遅れのせいで、算出される入出力特性のヒステリシスの幅が大きくなってしまう様子を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、先ず、実施の形態1として、調節弁の入出力信号(操作器圧Po,開度X)から流体反力を異常診断指標値として求めて異常診断を行う例を説明し、次に、実施の形態2として、調節弁の入出力信号(操作器圧Po,開度X)からヒステリシスの幅を異常診断指標値として求めて異常診断を行う例を説明する。
〔実施の形態1〕
図1に流体反力を異常診断指標値として調節弁200の異常診断(流体反力の異常診断)を行う異常診断装置300の要部の構成を示す。この異常診断装置300は、CPU4と、ROMやRAMなどの記憶部5と、インタフェース6および7とを備えている。なお、この異常診断装置300は、ポジショナ100や調節弁200の内部に設けてもよいし、ポジショナ100や調節弁200の外部に設けるようにしてもよい。図1はポジショナ100や調節弁200の外部に設けた例を示している。
CPU4には、インタフェース6を介して調節弁200への入力信号である操作器圧Poが分岐して入力され、インタフェース7を介して調節弁200からの出力である開度Xが分岐して入力される。また、CPU4は、記憶部5に格納されているプログラムPGに従って動作する。
記憶部5には、上述したプログラムPGの他、調節弁200の正常時の静的な入出力関係(操作器圧Poと開度Xとの関係(無負荷時))を示す線形近似式F1、操作器圧Poの変化速度と開度Xの変化速度との組み合わせに応じた重みを求めるための重み関数G11,G12が格納されている。
〔線形近似式F1〕
この実施の形態1において、調節弁200の正常時の静的な入出力関係を示す線形近似式F1は、調節弁200の設計仕様により求められている。この例では、スプリングレンジ80〜240kPaで開度0〜100%とした場合の線形近似式F1をX=a1×Po+b1として定め(a1=0.625,b1=−50)、記憶部5に格納している。
なお、調節弁200の設計仕様がない場合等には、メンテナンス直後等の正常状態において、例えば開度設定信号Iinを25%、50%、75%の状態で一定時間静止させて、操作器圧Poと開度Xの平均値をとり(図2参照)、3点から最小二乗法で求めるなどすればよい。この場合、静止させるのは3点でなくともよい。また、線形近似ではなく、非線形近似(多項式近似やサポートベクターマシンなどの非線形回帰式)であってもよい。
〔重み関数G11,G12
この実施の形態1において、操作器圧Poの変化速度と開度Xの変化速度との組み合わせに応じた重みを求めるための重み関数G11,G12は、操作器圧Poの変化速度から第1の重み成分wPoを得るための重み関数としてG11が、開度Xの変化速度から第2の重み成分wXを得るための重み関数としてG12が定められている。この重み関数G11,G12より得られる重み成分wPo,wXから、後述するように、w1=wPo×wXとして、操作器圧Poの変化速度と開度Xの変化速度との組み合わせに応じた重みw1を求める。
図3(a)に重み関数G11の一例を示す。この実施の形態1では、図3(a)に示されるように、操作器圧Po〔kPa〕の変化速度をvPo〔kPa/sec〕とし、この変化速度vPoの絶対値が閾値Poth以下の範囲のwPoを1とし、それ以外は0とする。
図3(b)に重み関数G12の一例を示す。この実施の形態1では、図3(b)に示されるように、開度X〔%〕の変化速度をvX〔%/sec〕とし、この変化速度vXの絶対値が閾値Xth以下の範囲のwXを1とし、それ以外は0とする。
ここで、閾値Poth,Xthは、操作器圧Poの変化速度vPoの許容値をPothとし、操作器圧PoをPothまで上昇させた時の遅れて生じる開度Xの変化速度vXをXthとして定めている。なお、操作器圧Poの変化速度vPoの許容値Pothは、遅れによって調節弁の異常と誤判断されてしまう虞のない変化速度vPoの許容値を示している。この許容値Pothは実験を繰り返すことによって求められている。
〔プロセス運転中の異常診断〕
プロセス運転中、CPU4は、定期的に、調節弁200への操作器圧Poおよび調節弁200からの開度Xを取り込んで、調節弁200の異常診断を行う。図4にCPU4が行う異常診断処理のメインのフローチャートを示す。
CPU4は、操作器圧Po(k)および開度X(k)を取り込むと、その取り込んだ操作器圧Poの変化速度と開度Xの変化速度とを求め、その求めた操作器圧Poの変化速度と開度Xの変化速度との組み合わせに応じた重みw1(k)を求める(ステップS101)。図5にステップS101で行われる処理のサブルーチンを示す。
CPU4は、今回のサンプリング周期(k番目のサンプリング周期)で、操作器圧Po(k)および開度X(k)を取り込むと(ステップS201,S202)、今回の操作器圧Po(k)と前回の操作器圧Po(k−1)とから操作器圧Po(k)の変化速度をvPo(k)として求める(ステップS203)。また、今回の開度X(k)と前回の開度X(k−1)とから開度X(k)の変化速度をvX(k)として求める(ステップS204)。
この場合、サンプリング周期をT〔sec〕とすると、vPo(k)〔kPa/sec 〕は下記(1)式によって計算でき、vX(k)〔%/sec〕は下記(2)式によって計算できる。
vPo(k)=(Po(k)−Po(k−1))/T ・・・・(1)
vX(k)=(X(k)−X(k−1))/T ・・・・(2)
次に、CPU4は、操作器圧Po(k)の変化速度vPo(k)から、記憶部5に格納されている重み関数G11(図3(a))に従って、その変化速度vPo(k)に応じた重み成分wPo(k)を求める(ステップS205)。この場合、変化速度vPo(k)の絶対値が閾値Poth以下であれば、wPo(k)=1とし、変化速度vPo(k)の絶対値が閾値Pothを超えていれば、wPo(k)=0とする。
また、開度X(k)の変化速度vX(k)から、記憶部5に格納されている重み関数G12(図3(b))に従って、その変化速度vX(k)に応じた重み成分wX(k)を求める(ステップS206)。この場合、変化速度vX(k)の絶対値が閾値Xth以下であれば、wX(k)=1とし、変化速度vX(k)の絶対値が閾値Xthを超えていれば、wX(k)=0とする。
そして、CPU4は、ステップS205で求めた重み成分wPo(k)とステップS206で求めた重み成分wX(k)とから、w1(k)=wPo(k)×wX(k)として、操作器圧Po(k)の変化速度vPo(k)と開度X(k)の変化速度vX(k)との組み合わせに応じた重みw1(k)を求める(ステップS207)。
この場合、w1(k)をw1(k)=wPo(k)×wX(k)として求めることから、下記の条件式(3)を満たす場合にのみ、重みw1(k)が1となり、それ以外では重みw1(k)が0となる。
If(|vPo(k)|≦Poth)AND(|vX(k)|≦Xth) ・・・・(3)
すなわち、操作器圧Po(k)の変化速度vPo(k)の絶対値がPoth以下で、かつ開度X(k)の変化速度vX(k)の絶対値がXth以下である場合にのみ、重みw1(k)が1となり、それ以外では重みw1(k)が0となる。
〔w1(k)=0の場合〕
次に、CPU4は、重みw1(k)が1であるか否かをチェックし(ステップS102(図4))、重みw1(k)が1でなければ(ステップS102のNO)、kをインクリメントして(ステップS105)、予め定められている算出単位期間(異常診断判断期間)にまだ到達していないことを確認のうえ(ステップS106のNO)、ステップS101に戻る。なお、この例では、ステップS106での異常診断判断期間を1日としている。
〔w1(k)=1の場合〕
重みw1(k)が1であれば(ステップS102のYES)、CPU4は、開度X(k)が属するカテゴリiを定める(ステップS103)。図6にステップS103で行われる処理のサブルーチンを示す。
CPU4は、先ず、開度X(k)がX(k)≧100%であるか否かをチェックする(ステップS301)。ここで、開度X(k)が100%以上であれば(ステップS301のYES)、カテゴリiをi=20とする(ステップS302)。開度X(k)が100%以上でなければ(ステップS301のNO)、カテゴリiをi=X(k)/5+1とする(ステップS303)。但し、i=X(k)/5+1の算出値において、小数点以下は切り捨てる。これにより、開度X(k)が0〜100%の値を取ると仮定すると、0〜100%が5%の開度幅で20のカテゴリに分けられる。
次に、CPU4は、開度X(k)が属するカテゴリiにおいて、操作器圧Poの最大値と最小値を更新する(ステップS104(図4))。図7にステップS104で行われる処理のサブルーチンを示す。なお、このサブルーチンにおいて、Max_p〔i〕はカテゴリi内の操作器圧Poの最大値、Min_p〔i〕はカテゴリi内の操作器圧Poの最小値を示す。Max_p〔i〕およびMin_p〔i〕の初期値については後述する。
CPU4は、先ず、操作器圧Po(k)がPo(k)>Max_p〔i〕か否かをチェックする(ステップS401)。ここで、Po(k)がMax_p〔i〕よりも大きければ(ステップS401のYES)、Po(k)を新たなMax_p〔i〕とする(ステップS403)。Po(k)がMax_p〔i〕以下であれば(ステップS401のNO)、Po(k)<Min_p〔i〕か否かをチェックする(ステップS402)。ここで、Po(k)がMin_p〔i〕よりも小さければ(ステップS402のYES)、Po(k)を新たなMin_p〔i〕とする(ステップS404)。Po(k)がMax_p〔i〕以下でかつMin_p〔i〕以上であれば(ステップS402のNO)、Max_p〔i〕およびMin_p〔i〕の更新は行わない。
そして、CPU4は、このMax_p〔i〕およびMin_p〔i〕の更新処理後、kをインクリメントして(ステップS105(図4))、異常診断判断期間にまだ到達していないことを確認のうえ(ステップS106のNO)、ステップS101に戻る。
このステップS101〜S106の繰り返しによって、重みw1(k)が0の時の操作器圧Po(k)および開度X(k)が除外され、重みw1(k)が1の時の操作器圧Po(k)および開度X(k)のみが抽出され(図10参照)、この抽出されたデータを有効なデータ(抽出対象データ)として、カテゴリi毎に、そのカテゴリi内の操作器圧Poの最大値Max_p〔i〕および最小値Min_p〔i〕が求められるものとなる。
〔異常診断判断期間に達した場合〕
CPU4は、異常診断判断期間に達すると(ステップS106のYES)、すなわちステップS105でのkのインクリメント値が異常診断判断期間に到達したことを示すと、カテゴリi毎に流体反力を異常診断指標値として求める(ステップS107)。図8にステップS107で行われる処理のサブルーチンを示す。
CPU4は、先ず、i=1とする(ステップS501)。そして、Fq〔i〕をi=1番目のカテゴリの流体反力とし、そのカテゴリiにおける操作器圧Poの最大値Max_p〔i〕および最小値Min_p〔i〕を下記の(4)式に代入して、i=1番目のカテゴリの流体反力Fq〔i〕を算出する(ステップS502)。但し、Xi=2.5+(i−1)×5。
Fq〔i〕=(Xi−b1)/a1−(Max_p〔i〕+Min_p〔i〕)/2 ・・・・(4)
上記(4)式は、記憶部5に格納されている線形近似式F1で示される調節弁200の正常時の静的な入出力関係と、カテゴリiにおける収集された入出力関係を示すデータ(代表値)との間のPo軸での差異を示している。すなわち、カテゴリiにおける操作器圧Poの最大値Max_p〔i〕と最小値Min_p〔i〕との間の中央値((Max_p〔i〕+Min_p〔i〕)/2)をカテゴリi内の操作器圧Poの代表値とし、カテゴリiの開度範囲の中央値(Xi)をカテゴリi内の開度Xの代表値とし、この代表値と正常時のデータとの間のPo軸での差異を示している(図11参照)。この差異をカテゴリiの流体反力Fq〔i〕として算出する。なお、Fq〔i〕は圧力〔kPa〕であるが、操作器ダイアフラム面積〔m2〕×10-3を乗ずることで、単位を圧力〔kPa〕から力〔N〕に変換できる。
CPU4は、i=1番目のカテゴリの流体反力Fq〔i〕を算出した後、i=20となるまで(ステップS503のYES)、iをインクリメントしながら(ステップS504)、ステップS501〜S504の処理動作を繰り返す。これにより、全てのカテゴリiについて、そのカテゴリiの流体反力Fq〔i〕が算出される(図12参照)。
そして、CPU4は、このカテゴリi毎の流体反力Fq〔i〕を算出した後、この求めたカテゴリi毎の流体反力Fq〔i〕を異常診断指標値とし、その流体反力Fq〔i〕と予め定められている閾値とを比較し(ステップS108(図4))、1つでもその流体反力Fq〔i〕が閾値を超えていれば(ステップS108のYES)、異常報知を行う(ステップS109)。
CPU4は、ステップS109での異常報知後、あるいはステップS108でのNOに応じて、全てのカテゴリiの操作器圧Poの最大値Max_p〔i〕と最小値Min_p〔i〕を初期値にリセットし(ステップS110)、ステップS101の処理へと戻り、同様の処理動作を繰り返す。
図9にステップS110で行われる処理のサブルーチンを示す。CPU4は、先ず、i=1とする(ステップS601)。そして、Max_p〔i〕=−INF、Min_p〔i〕=INFとする。なお、INFは操作器圧Poが通常取り得る範囲を超える非常に大きな値(正の値)とする。これにより、Min_p〔i〕は操作器圧Poが通常取り得る範囲を超える正の値(初期値)とされ、Max_p〔i〕はMin_p〔i〕とは逆の負の値(初期値)とされる。
CPU4は、i=1番目のカテゴリのMax_p〔i〕および最小値Min_p〔i〕を初期値とした後、i=20となるまで(ステップS603のYES)、iをインクリメントしながら(ステップS604)、ステップS601〜S604の処理動作を繰り返す。これにより、全てのカテゴリiについて、そのカテゴリiのMax_p〔i〕および最小値Min_p〔i〕が初期値とされる。
ステップS110において、全てのカテゴリiについて、そのカテゴリiのMax_p〔i〕を−INF(負の値)とし、最小値Min_p〔i〕をINF(正の値)とすることによって、ステップS101への処理へと戻り、ステップS104においてMax_p〔i〕および最小値Min_p〔i〕の更新処理が行われる場合に、操作器圧Po(k)にどのような値が来たとしてもMax_p〔i〕,Min_p〔i〕がPo(k)に更新されるものとなる。
なお、異常診断判断期間に達した時点で、i番目のカテゴリのMax_p〔i〕,Min_p〔i〕が一度も更新されていなかった場合、すなわち初期化時の値が残っていた場合には、ステップS107での流体反力の計算は行わず、i番目のカテゴリの流体反力は算出不能とみなして閾値判定を行わないようにする。
このようにして、この実施の形態1では、プロセス運転中、正常時の静的な入出力関係を示す特性Iから大きく外れるデータを除外するようにして、簡易な静的モデルを用いて、正確に、調節弁200の異常診断が行われるものとなる。
なお、この実施の形態1では、操作器圧Poの変化速度と開度Xの変化速度との組み合わせに応じた重みを求めるための重み関数G11,G12として、図3(a),(b)に示すような矩形状の重み関数を用いたが、図13(a),(b)に示すような三角形状の重み関数を用いるようにしてもよい。
図13(a)に示した重み関数G11’では、vPoが0の場合のwPoを1とし、vPoの絶対値が閾値Poth以下の範囲のwPoをvPo=0に向かって徐々に大きくし、それ以外のwPoを0としている。図13(b)に示した重み関数G12’では、vXが0の場合のwXを1とし、vXの絶対値が閾値Xth以下の範囲のwXをvX=0に向かって徐々に大きくし、それ以外のwXを0としている。
また、例えば、図13(a)に示した重み関数G11’において、vPoの正方向および負方向のさらに離れた位置から徐々にvPo=0に向かってwPoを大きくしたり、図13(b)に示した重み関数G12’において、vXの正方向および負方向のさらに離れた位置から徐々にvX=0に向かってwXを大きくしたりするようにしてもよい。
また、操作器圧Poの変化速度と開度Xの変化速度との組み合わせに応じた重みを求めるための重み関数は、必ずしも重み関数G11とG12とに分けなくてもよく、G11とG12とを合成した1つの重み関数(3次元の関数)としてもよい。三角形状の重み関数G11’とG12’についても同様であり、G11’とG12’とを合成した1つの重み関数(3次元の関数)としてもよい。
この実施の形態1の異常診断装置300において、調節弁200の異常診断はプログラムPGに従うCPU4の処理動作として行われるが、このCPU4での処理動作を行う機能をブロック化して表した場合、CPU4は、調節弁200への操作器圧Poを定期的にサンプリングする操作器圧サンプリング部411と、調節弁200からの開度Xを定期的にサンプリングする開度サンプリング部421と、操作器圧サンプリング部411によってサンプリングされた今回の操作器圧Po(k)と前回の操作器圧Po(k−1)とから操作器圧Po(k)の変化速度vPo(k)を求める操作器圧変化速度算出部431と、開度サンプリング部421によってサンプリングされた今回の開度X(k)と前回の開度X(k−1)とから開度X(k)の変化速度vX(k)を求める開度変化速度算出部441と、記憶部5に格納されている重み関数G11,G12に基づいて操作器圧Po(k)の変化速度vPo(k)と開度X(k)の変化速度vX(k)との組み合わせに応じた重みw1(k)を求める重み算出部451と、操作器圧サンプリング部411によってサンプリングされた操作器圧Po(k)と開度サンプリング部421によってサンプリングされた開度X(k)と重み算出部451で求められた重みw1(k)と記憶部5に格納されている線形近似式F1とから異常診断判断期間中の調節弁200のカテゴリi毎の異常診断指標値Fq〔i〕を求める異常診断指標値算出部461とで表される。
なお、この実施の形態1では、今回の操作器圧Po(k)と前回の操作器圧Po(k−1)とから操作器圧Po(k)の変化速度vPo(k)を求め、今回の開度X(k)と前回の開度X(k−1)とから開度X(k)の変化速度vX(k)を求めるようにしたが、過去の一定時間の信号を用いて最小二乗法で線形近似計算を行い、近似式の傾きを変化速度とすることも可能である。
〔実施の形態2〕
図14にヒステリシスの幅を異常診断指標値として調節弁200の異常診断(摩擦力の異常診断)を行う異常診断装置400の要部の構成を示す。この異常診断装置400も、実施の形態1と同様、CPU4と、ROMやRAMなどの記憶部5と、インタフェース6および7とを備えている。なお、この異常診断装置400についても、ポジショナ100や調節弁200の内部に設けてもよいし、ポジショナ100や調節弁200の外部に設けるようにしてもよい。図14はポジショナ100や調節弁200の外部に設けた例を示している。
CPU4には、インタフェース6を介して調節弁200への入力信号である操作器圧Poが分岐して入力され、インタフェース7を介して調節弁200からの出力である開度Xが分岐して入力される。また、CPU4は、記憶部5に格納されているプログラムPGに従って動作する。
記憶部5には、上述したプログラムPGの他、調節弁200の正常時の入出力関係を示す特性(操作器圧Poと開度Xとのヒステリシス特性)におけるヒステリシスの幅W1、操作器圧Poの変化速度と開度Xの変化速度との組み合わせに応じた重みを求めるための重み関数G21,G22が格納されている。
〔ヒステリシスの幅W1〕
この実施の形態2において、調節弁200の正常時のヒステリシスの幅W1は、調節弁200の設計仕様により求められ、記憶部5に格納されている。なお、調節弁200の設計仕様がない場合には、メンテナンス直後等の正常状態において、図15(a)に示すように、ポジショナ100に全開度領域で低速ランプ入力を往復で与え、図15(b)に示すように、操作器圧Poと開度Xのデータを取得し、その結果から正常時のヒステリシスの幅W1を求めるようにしてもよい。
〔重み関数G21,G22
この実施の形態において、重み関数G21,G22は、図16(a),(b)に示すように、実施の形態1で示した重み関数G11,G12(図3(a),(b))と同じものを使用するので、ここでの説明は省略する。
〔プロセス運転中の異常診断〕
プロセス運転中、CPU4は、定期的に、調節弁200への操作器圧Poおよび調節弁200からの開度Xを取り込んで、調節弁200の異常診断を行う。図17にCPU4が行う異常診断処理のメインのフローチャートを示す。
このフローチャートにおいて、ステップS111〜S116の処理は、実施の形態1で説明したステップS101〜S106(図4)の処理と同じなので、省略する。
〔異常診断判断期間に達した場合〕
CPU4は、異常診断判断期間に達すると(ステップS116のYES)、カテゴリi毎にヒステリシスの幅を異常診断指標値として求める(ステップS117)。図18にステップS117で行われる処理のサブルーチンを示す。
CPU4は、先ず、i=1とする(ステップS511)。そして、Ft〔i〕をi=1番目のカテゴリのヒステリシスの幅とし、そのカテゴリiにおける操作器圧Poの最大値Max_p〔i〕および最小値Min_p〔i〕を下記の(5)式に代入して、i=1番目のカテゴリのヒステリシスの幅Ft〔i〕を算出する(ステップS512、図19参照)。
Ft〔i〕=Max_p〔i〕−Min_p〔i〕 ・・・・(5)
CPU4は、i=1番目のカテゴリのヒステリシスの幅Ft〔i〕を算出した後、i=20となるまで(ステップS513のYES)、iをインクリメントしながら(ステップS514)、ステップS511〜S514の処理動作を繰り返す。これにより、全てのカテゴリiについて、そのカテゴリiのヒステリシスの幅Ft〔i〕が算出される(図20参照)。
そして、CPU4は、このカテゴリi毎のヒステリシスの幅Ft〔i〕を算出した後、記憶部5に格納されている正常時のヒステリシスの幅W1を読み出し、このヒステリシスの幅W1に所定値αを加算した値を閾値とし、この閾値とカテゴリi毎のヒステリシスの幅Ft〔i〕とを比較し(ステップS118(図17))、1つでもそのヒステリシスの幅Ft〔i〕が閾値を超えていれば(ステップS118のYES)、異常報知を行う(ステップS119)。
CPU4は、ステップS119での異常報知後、あるいはステップS118でのNOに応じて、全てのカテゴリiの操作器圧Poの最大値Max_p〔i〕と最小値Min_p〔i〕を初期値にリセットし(ステップS120)、ステップS111の処理へと戻り、同様の処理動作を繰り返す。ステップS120での初期値へのリセットは、実施の形態1におけるステップS110(図4)での処理動作と同じであるので、ここでの説明は省略する。
このようにして、この実施の形態2では、プロセス運転中、正常時のヒステリシスの幅から大きく外れるデータを除去するようにして、ヒステリシスの幅を用いて、正確に、調節弁200の異常診断が行われるものとなる。
なお、実施の形態1に示した通り、運転中に、弁軸が流体反力を受けることで、操作器圧Poと開度Xとの関係は変化する。しかし、ヒステリシスの幅Wは摩擦力に依存しており、図22に示すように、流体反力によって大きく変わることはない。そのため、流体圧力の影響下でも、実施の形態2の有効性は失われない。
この実施の形態2の異常診断装置400において、調節弁200の異常診断はプログラムPGに従うCPU4の処理動作として行われるが、このCPU4での処理動作を行う機能をブロック化して表した場合、CPU4は、調節弁200への操作器圧Poを定期的にサンプリングする操作器圧サンプリング部412と、調節弁200からの開度Xを定期的にサンプリングする開度サンプリング部422と、操作器圧サンプリング部412によってサンプリングされた今回の操作器圧Po(k)と前回の操作器圧Po(k−1)とから操作器圧Po(k)の変化速度vPo(k)を求める操作器圧変化速度算出部432と、開度サンプリング部422によってサンプリングされた今回の開度X(k)と前回の開度X(k−1)とから開度X(k)の変化速度vX(k)を求める開度変化速度算出部442と、記憶部5に格納されている重み関数G21,G22に基づいて操作器圧Po(k)の変化速度vPo(k)と開度X(k)の変化速度vX(k)との組み合わせに応じた重みw2(k)を求める重み算出部452と、操作器圧サンプリング部412によってサンプリングされた操作器圧Po(k)と開度サンプリング部422によってサンプリングされた開度X(k)と重み算出部452で求められた重みw2(k)とから異常診断判断期間中の調節弁200のカテゴリi毎の異常診断指標値Ft〔i〕を求める異常診断部462とで表される。
なお、この実施の形態2では、今回の操作器圧Po(k)と前回の操作器圧Po(k−1)とから操作器圧Po(k)の変化速度vPo(k)を求め、今回の開度X(k)と前回の開度X(k−1)とから開度X(k)の変化速度vX(k)を求めるようにしたが、過去の一定時間の信号を用いて最小二乗法で線形近似計算を行い、近似式の傾きを変化速度とすることも可能である。
また、この実施の形態2では、ステップS117において、Ft〔i〕=Max_p〔i〕−Min_p〔i〕としてカテゴリi毎のヒステリシスの幅を求めるようにしたが、Ft〔i〕=(Max_p〔i〕−Min_p〔i〕)/2としてカテゴリi毎の摩擦力を求めるようにしてもよい(図21参照)。
Ft〔i〕を摩擦力とする場合、ステップS118では、記憶部5に格納されている正常時のヒステリシスの幅W1を読み出し、このヒステリシスの幅W1の半値(W1/2)を求め、このヒステリシスの幅W1の半値(W1/2)に所定値βを加算した値を閾値とし、その閾値と摩擦力Ft〔i〕と比較するようにすればよい。或いは、記憶部5に正常時のヒステリシスの幅W1の半値(W1/2)を格納しておき、この正常時のヒステリシスの幅W1の半値(W1/2)に所定値βを加算した値を閾値とし、この閾値と摩擦力Ft〔i〕と比較するようにすればよい。この場合のFt〔i〕は圧力〔kPa〕であるが、操作器ダイアフラム面積〔m2〕×10-3を乗ずることで、単位を圧力〔kPa〕から力〔N〕に変換できる。
また、上述した実施の形態では、調節弁200の異常診断を行う場合について説明したが、ポジショナ100と調節弁200とを組み合わせたシステム全体を1つの調節弁とみなし、上述と同様にして異常診断を行うようにしてもよい。この場合、ポジショナ100への入力信号である開度設定信号Iinが調節弁への入力信号に相当するものとなり、この開度設定信号Iinと弁開度Xとを用いてシステム全体(調節弁)の異常診断を行うようにする。
本発明の調節弁の異常診断方法および装置は、流体の流れを調節する調節弁の異常診断方法として、化学プラント等においてその流量プロセスに用いられる調節弁の異常診断に利用することが可能である。
1…エレキモジュール、2…EPM(電空変換器)、3…パイロットリレー、4…CPU、5…記憶部、6,7…インタフェース、411…操作器圧サンプリング部、421…開度サンプリング部、431…操作器圧変化速度算出部、441…開度変化速度算出部、451…重み算出部、461…異常診断指標値算出部、412…操作器圧サンプリング部、422…開度サンプリング部、432…操作器圧変化速度算出部、442…開度変化速度算出部、452…重み算出部、462…異常診断指標値算出部、100…ポジショナ、200…調節弁、300,400…異常診断装置。

Claims (6)

  1. 流体の流れを調節する調節弁の異常診断を行う調節弁の異常診断方法において、
    前記調節弁への入力信号および前記調節弁からの出力として弁開度を定期的にサンプリングするステップと、
    前記サンプリングされた入力信号の変化速度を求めるステップと、
    前記サンプリングされた弁開度の変化速度を求めるステップと、
    予め定められている重み関数に基づいて前記入力信号の変化速度と前記弁開度の変化速度との組み合わせに応じた重みを求めるステップと、
    前記サンプリングされた入力信号と弁開度と前記求められた重みとに基づいて前記調節弁の異常診断を行うステップとを備え、
    前記重み関数は、
    前記入力信号の変化速度および前記弁開度の変化速度の絶対値が閾値以下の範囲の重みをそれ以外の重みよりも大とする関数であり、
    前記異常診断を行うステップは、
    予め定められた所定の期間を異常診断判断期間とし、前記重みが所定値以上として求められた前記入力信号および前記弁開度を有効なデータとし、前記異常診断判断期間内の前記有効なデータとされた入力信号および弁開度に基づいて前記調節弁の流体反力の異常診断に際して使用する異常診断指標値および前記調節弁の摩擦力の異常診断に際して使用する異常診断指標値の少なくとも一方を求め、この求めた異常診断指標値が予め定められた閾値を超えた場合に異常を報知する
    ことを特徴とする調節弁の異常診断方法。
  2. 請求項1に記載された調節弁の異常診断方法において、
    前記入力信号は、前記調節弁への操作器圧であり、
    前記異常診断を行うステップは、
    前記異常診断判断期間内の前記有効なデータとされた操作器圧と弁開度から、予め定められた開度カテゴリ毎に操作器圧の最大値と最小値との間の中央値を求め、この開度カテゴリ毎の操作器圧の中央値と前記調節弁の正常時の静的な入出力関係との差異を示す値を前記調節弁の流体反力の異常診断に際して使用する異常診断指標値として求める
    ことを特徴とする調節弁の異常診断方法。
  3. 請求項1に記載された調節弁の異常診断方法において、
    前記入力信号は、前記調節弁への操作器圧であり、
    前記異常診断を行うステップは、
    前記異常診断判断期間内の前記有効なデータとされた操作器圧と弁開度から、予め定められた開度カテゴリ毎に操作器圧の最大値と最小値との差を求め、この開度カテゴリ毎の操作器圧の最大値と最小値との差を示す値を前記調節弁の摩擦力の異常診断に際して使用する異常診断指標値として求める
    ことを特徴とする調節弁の異常診断方法。
  4. 流体の流れを調節する調節弁の異常診断を行う調節弁の異常診断装置において、
    前記調節弁への入力信号および前記調節弁からの出力として弁開度を定期的にサンプリングする手段と、
    前記サンプリングされた入力信号の変化速度を求める手段と、
    前記サンプリングされた弁開度の変化速度を求める手段と、
    予め定められている重み関数に基づいて前記入力信号の変化速度と前記弁開度の変化速度との組み合わせに応じた重みを求める手段と、
    前記サンプリングされた入力信号と弁開度と前記求められた重みとに基づいて前記調節弁の異常診断を行う手段とを備え、
    前記重み関数は、
    前記入力信号の変化速度および前記弁開度の変化速度の絶対値が閾値以下の範囲の重みをそれ以外の重みよりも大とする関数であり、
    前記異常診断を行う手段は、
    予め定められた所定の期間を異常診断判断期間とし、前記重みが所定値以上として求められた前記入力信号および前記弁開度を有効なデータとし、前記異常診断判断期間内の前記有効なデータとされた入力信号および弁開度に基づいて前記調節弁の流体反力の異常診断に際して使用する異常診断指標値および前記調節弁の摩擦力の異常診断に際して使用する異常診断指標値の少なくとも一方を求め、この求めた異常診断指標値が予め定められた閾値を超えた場合に異常を報知する
    ことを特徴とする調節弁の異常診断装置
  5. 請求項4に記載された調節弁の異常診断装置において、
    前記入力信号は、前記調節弁への操作器圧であり、
    前記異常診断を行う手段は、
    前記異常診断判断期間内の前記有効なデータとされた操作器圧と弁開度から、予め定められた開度カテゴリ毎に操作器圧の最大値と最小値との間の中央値を求め、この開度カテゴリ毎の操作器圧の中央値と前記調節弁の正常時の静的な入出力関係との差異を示す値を前記調節弁の流体反力の異常診断に際して使用する異常診断指標値として求める
    ことを特徴とする調節弁の異常診断装置。
  6. 請求項4に記載された調節弁の異常診断装置において、
    前記入力信号は、前記調節弁への操作器圧であり、
    前記異常診断を行う手段は、
    前記異常診断判断期間内の前記有効なデータとされた操作器圧と弁開度から、予め定められた開度カテゴリ毎に操作器圧の最大値と最小値との差を求め、この開度カテゴリ毎の操作器圧の最大値と最小値との差を示す値を前記調節弁の摩擦力の異常診断に際して使用する異常診断指標値として求める
    ことを特徴とする調節弁の異常診断装置。
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