JP5734067B2 - 真空バルブ用接点材料の製造方法及び真空バルブ - Google Patents
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Description
上記特許文献1のように、台金31につば部31aを設けることで、成形体が焼結作業時に治具等に接触した場合、接点部材32に与えるA方向の機械的衝撃を緩和することができる。しかしながら、接合面31b付近に発生する隙間は、治具等との接触時の機械的衝撃のみでなく、輸送運搬時の振動等に起因する衝撃でも発生する場合があり、つば部31aのみで二層間の剥離を完全に防ぎきることは困難であるという問題点があった。
また、この発明に係る真空バルブは、上記の真空バルブ用接点材料の製造方法により製造された真空バルブ用接点を備えたものである。
また、この発明の真空バルブによれば、上記の真空バルブ用接点材料の製造方法により製造され接点材料を備えたので、接点部材と台金との密着性を向上させた真空バルブを得ることができる。
図1は、この発明の実施の形態1による真空バルブ用接点材料を示す側面断面図であり、図4は、その接点材料を使用した真空バルブを示す側面断面図である。図1の接点材料を説明する前に、まず図4により、真空バルブの構成について説明する。
図4において、真空バルブは、例えばアルミナセラミックスなどからなる円筒状の絶縁容器11の両端面に、固定側端板12と、可動側端板13がろう付等により同軸上に固着されて、真空容器が形成されている。固定側端板12には固定側電極棒14が、可動側端板13にはベローズ15を介して可動側電極棒16がろう付接合されている。両電極棒14,16の対向側の、固定側電極棒14には固定側接点17が、可動側電極棒16には可動側接点18が、それぞれろう付接合されて互いに対向配置されている。
れたガイド取付板22にネジ等によって取り付けられている。
図示の方向に見て、接点部材1の上面側は、図4で説明したような固定側接点17又は可動側接点18となったとき両接点が接触する面となるので、便宜上、接触面と呼ぶことにし、以下、接触面1bとする。台金2の下面側は、一点鎖線で示すように、製品となったとき固定側電極棒14又は可動側電極棒16がろう付けされる面となるので、便宜上、ろう付け面2aと呼ぶことにする。また、台金2のろう付け面2aの反対側の平面部は、接点部材1と接合されるので、接合面2bと呼ぶことにする。そして、台金2の外周側の側面を外周側面2cと呼ぶことにする。
すなわち、台金2の外周側面2cを、接合面2b側の外径よりろう付け面2a側の外径が小さくなるようにして、外周側面2c全体をテーパ面に形成している。テーパ面の外面側がろう付け面2aに対してなす角度θは、90°より小さい角度である。角度θの具体的な数値については後述する。
接点部材1を構成する原材料は、例えば、Cu又はAg又はそれらの合金等の高導電性金属粉末と、Cr,W,WC等の耐弧性金属粉末とに、耐溶着性能及び低サージ性能改善にすぐれたBi,Te,Sb,Se及びその酸化物又は炭化物粉末を10重量%以上加えたものを混合した混合粉末材料を使用する。
台金2の材料は、例えば、CuやAg等の高導電性材料、又はそれらの合金である。
まず、成形金型の底部に台金2を設置し、その接合面2b及び外周側面2cを覆うように、上述した接点部材1の混合粉末材料を充填し、例えば、一般的には19.6kN/cm2以上の圧力で圧縮する。この型押工程により、接点部材1の混合粉末材料は所定の密度に調整され、また、接点部材1は台金2に密着されて、一体となった成形体が形成される。
その後、この接点材料を、機械加工により図4に示すような、固定側接点17及び可動側接点18の形状に成形する。この成形の段階で、接点部材1の側部1aは削られて取り除かれ図4に示すような接点17,18となる。更に、固定側接点17には固定側電極棒14を、可動側接点18には動側電極棒16をろう付けにより接合して、これを真空バルブに組み込んで使用する。
上述のように、台金2のろう付け面2aの外径が、接合面2bの外径より小さくなるように、90°より小さい角度θのテーパ面を外周側面2cに形成し、接点部材1と台金2との、軸方向の接触部は、テーパ面で接触するようにしている。角度θを設けることにより、型押した成形体の接点部材1が図で上方に動きにくくなり、接点部材1と台金2の平面接触部分である接合面2bに隙間が発生することを抑制することが可能となる。
図2は、角度θの異なる多数の試料を用いて、接合面2bにおける、接点部材1と台金2と密着度合いを検証した結果を示す図表である。
図表中の二層剥離数とは、焼結後に接合面2b部において、接点部材1の裏面と台金2の上面の二層間に剥離が確認された数である。
その結果、図表に示すように、角度θは50〜87度の範囲が良好な結果であった。好ましくは75〜85度の範囲である。角度θが50度未満の領域では、成形時の押圧力が接点部材1の側部1aの内側全体まで伝わらず、側部1a部が密度不足により割れてしまうという事象が多発した。
図3は、図1の変形例であり、図1と同様に側面断面図を示している。図3に示すように、台金3の接合面3bと外周側面3cとが交わる角部3d近傍の外周側面3cは、接合面3bに垂直な円筒部3eを有し、円筒部3eに続いてテーパ面3fを形成たものである。すなわち、外周側面3c全てをテーパ面とするのではなく、ろう付け面3aに近い側の一部をテーパ面3fとしたものである。
角度θは、図1及び図2で説明したものと同様である。また、接点部材1と台金3の接合方法も、図1の場合と同様である。
先に説明した図1のような形状では、角度θを小さくすると、当然ながら台金2の接合面2bと外周側面2cのなす角度も同時に小さくなる。この角度が小さくなり鋭角の度合い大きくなると、成形体にして焼結するときに角部に応力が集中して、接点部材1は、角部を起点として割れが発生し易くなる。
そこで、図3のように、台金3の角部3dから少し離れた位置よりテーパ面3fを開始することにより、角部3dは鋭角にならず、このため、角部3bで接点部材1に亀裂が生じるのを抑制しながら、図1の場合と同様の効果を得ることができる。
又は導電性金属合金からなり電極棒にろう付けされる円盤状の台金と、複数種の金属粉末からなり台金のろう付け面の反対側の接合面に設けられる接点部材とを、焼結により一体に形成する真空バルブ用接点材料の製造方法において、台金の外周側面に、ろう付け面側の外径が接合面側の外径より小さくなるようなテーパ面を形成しておき、接点部材を構成する複数種の金属粉末の混合材料で台金の接合面と外周側面とを覆って型押した後、焼結により台金と接点部材とを密着させて一体化したので、製造過程において接点部材を構成する材料と台金の剥離を防ぎ、接点部材と台金との密着性を向上させることができる。
図5はこの発明の実施の形態2の真空バルブ用接点を示す側面断面図である。接点材料が使用される真空バルブの構成は図4と同様である。また、図3の変形例であるので、図3と同等部分は同一符号で示し説明は省略し、相違点を中心に説明する。図3との相違点は、台金の外周側面部の形状である。
背景技術の項で説明した図6の場合と同様に、台金4に接点部材1の混合粉末材料を型押して成形体にした状態で移動するときや、焼結時に成形体が治具等に接触したとき等に、A方向の力が掛かる場合があるが、図5のようなつば部4gを有することにより、接点部材1に直接力が加わらないため、この機械的衝撃を緩和することができ、作業途中において接合面4bで剥離が発生しにくいという効果を得られる。
また、成形作業時に台金4を金型に設置するときに、センター出しの必要がなくなるという効果も期待できる。
また、実施の形態1及び2において、台金の角部先端をR形状にしたり面取りを行ったりすることにより割れを起こりにくくできることは言うまでもない。同様に、円筒部4eからテーパ面4fに変わる部位や、テーパ面4fからつば部4gに変わる部位も、R形状
にすることにより、接点部材1の材料密度を均一にして、密着性を上げるために有効である。
また、成形作業時に台金を金型に設置するときに、センター出しの必要がなくなる効果も得られる。
1b 接触面 2,3,4 台金
2a,3a,4a ろう付け面 2b,3b,4b 接合面
2c,3c,4c 外周側面 3d,4d 角部
3e,4e 円筒部 3f,4f テーパ面
4g つば部
11 絶縁容器 12 固定側端板
13 可動側端板 14 固定側電極棒
15 ベローズ 16 可動側電極棒
17 固定側接点 18 可動側接点
19 シールド 20 ベローズシールド
21 樹脂ガイド 22 ガイド取付板。
Claims (5)
- 導電性金属又は導電性金属合金からなり電極棒にろう付けされる円盤状の台金と、複数種の金属粉末からなり前記台金のろう付け面の反対側の接合面に設けられる接点部材とを、焼結により一体に形成する真空バルブ用接点材料の製造方法において、
前記台金の外周側面に、前記ろう付け面側の外径が前記接合面側の外径より小さくなるようなテーパ面を設け、
前記テーパ面が前記ろう付け面に対してなす角度を、50度から87度の範囲に形成し、前記接点部材を構成する前記複数種の金属粉末の混合材料で前記台金の前記接合面と前記外周側面とを覆って型押した後、焼結により前記台金と前記接点部材とを密着させて一体化することを特徴とする真空バルブ用接点材料の製造方法。 - 請求項1に記載の真空バルブ用接点材料の製造方法において、
前記台金の前記接合面と前記外周側面とが交わる角部近傍の前記外周側面は、前記接合面に垂直な円筒部を有し、前記円筒部に続いて前記テーパ面を形成したことを特徴とする真空バルブ用接点材料の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の真空バルブ用接点材料の製造方法において、
前記台金の前記ろう付け面側の外周に、前記接点部材の外径とほぼ同径のつば部を設けたことを特徴とする真空バルブ用接点材料の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の真空バルブ用接点材料の製造方法において、
前記台金の材料は、Cu,Ag又はそれらの合金とし、前記接点部材を構成する前記複数種の金属粉末には、Bi,Te,Sb,Se及びその酸化物又は炭化物粉末を10重量%以上含むことを特徴とする真空バルブ用接点材料の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の真空バルブ用接点材料の製造方法により製造された真空バルブ用接点を備えたことを特徴とする真空バルブ。
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