JP5733845B2 - 入力デバイスおよびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、静電容量の変化を利用して入力を検知するタッチパネル用の入力デバイス、および当該入力デバイスに用いるアプリケーションプログラムに関するものである。
近年、タブレット型端末、スマートフォンといった画像を表示するディスプレイが操作入力に用いるタッチパネル兼ねた携帯型の電子機器が多く用いられている。このような電子機器には、特許文献1に記載の指示された画面上の複数のポイントを同時に感知できるタッチ・スクリーン(以下、当該タッチ・スクリーンおよびこれと同様のデバイスを「タッチパネル」という)が用いられている。このようなタッチパネルは、液晶パネル等の画像表示面に近接させた層に静電容量の変化を検知する容量感知デバイスを微細間隔で複数配列して設けたものである。このように設けたタッチパネルは、画面に近接した複数の物体の位置座標や、画面上を移動する複数の物体の位置座標を同時に検知できるように構成されたものである。
上記タッチパネルは、特許文献1および特許文献2等にも記載されているように、画像が表示されるパネル上の一点を指先で触ったり、指先をスライドさせたり、タッチパネルに触れた二本の指先の間隔を連続的に検知することで、指示された座標の静的な座標のみならず、指示された座標の変化、指示された複数の座標の位置関係の変化を取得し電子機器内のプロセッサによって演算処理されるようになっている。指先等の接触位置に関する情報は、プロセッサによって特許文献1の図17A〜Cで図示されたフィルタリング処理によってノイズが除去され、指先で指示された位置の検出精度を高めている。
特表2007−533044号公報 特表2008−508600号公報
近年多くの電子機器に用いられている上記静電容量式のタッチパネルは、キーボードやマウス等の入力デバイスを要することなく、指先や、指先と電気的に導通させた接触部を有するペン状の指示具等を用いて操作入力できることが大きな特徴である。
そして、具体的な操作入力の方法としては、電子機器上で実行されるアプリケーションに応じて画面上に表示したGUIを選択したり、指示された位置を画像情報等として認識するような用途に用いるものである。
近年の電子機器に用いられている上記タッチパネルは、前記容量感知デバイスの配置間隔が狭いことにより分解能が高く、高い位置精度で座標を検知することができるようになっている。しかしながら、その用途は前述した通り指先で指示したり、指示した指先の間隔を拡幅して画面の拡大や縮小をさせたり、画面を回転させたりという限られた利用にとどまるものである。
本願発明は、当該事情に鑑み発明したものであって、静電容量式のタッチパネルを用いた種々の情報を入力する方法および当該情報入力に用いる入力デバイスの提供を課題とするものである。また、当該入力デバイスを利用して実行されるアプリケーションや、当該入力デバイスの使用に関連した種々の物や方法の提供を課題とするものである。
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成を有する。
本発明は画像表示面近傍に配置された検出素子によって静電容量に変化を及ぼす物体の近接を検知する静電容量検知式のタッチパネルに用いる入力デバイスである。
すなわち、前記検出素子に対して静電容量の変化を及ぼす一又は複数の部位又は物体を有するとともに、当該部位又は物体の平面的な一側面(対向面)を形状の安定した被検出部として直接又は遮蔽物を介して前記タッチパネルの表面に対向して配置し、当該被検出部を導電体によって構成したものである。被検出部を導電体によって形成した場合には、人体が触れることができる接触部と電気的に接続することにより、接触部に人が触れた場合に、タッチパネルに対して被検出部の位置や形状を認識させるものである。
静電容量検知式のタッチパネルは、指先などによる接触(近接)を検知することを想定して作られたものであるが、指先の形状はタッチパネルに接する角度や圧力によって常に変化するため接触部位の形状を一定に保つことはできない。このため、タッチパネルの検出素子に生じる静電容量は常に変動する。さらに、タッチパネルに接した指先周囲の未接触の部分であっても、検出素子からの距離が比較的近いと検出素子に対して静電容量の変化を及ぼすため、タッチパネルで検知される情報は常に変動したものとなる。
これに対して本発明に係る入力デバイスは、被検出部の形状が変動しない固定化的なもの若しくは変形素材を用いても検出時に荷重を及ぼさないようにすることで形状の安定した被検出部を形成することができるので、情報のある部分(検出素子によって検知される部分)と情報の無い部分の識別が明確になって誤認識の少ない安定した入力を行うことができるものである。さらに、本発明に係る入力デバイスは、同一タッチパネル上に被検出部によって構成した情報の単位を複数設けることがでる。
これにより、指先で一カ所若しくは二カ所を指示して電子機器を動作させるのとは異なり、入力する情報自体に電子機器によって解釈可能な情報を含めることができるので、タッチパネルを用いた電子機器の用途を格段に増やすことができるものである。
また、本発明は、人体の一部と接触可能に形成した接触部を前記被検出部を設けた面以外に設けたことを特徴とするものである。接触部を設けることによって、被検出部を帯電させて情報入力部としての機能をアクティブあるいは非アクティブに切り替えるような機能を持つ入力デバイスを構成することができるものとなっている。
なお、タッチパネル上に載置する入力デバイスの形状は人形等の立体造形物に限らず、機械的な動作機構や電気的な制御を伴うものであっても差し支えのないものである。また、被検出部を設けた面(被検出面)とは、被検出部を露出させたもののみならず、被検出部を露出させずにタッチパネルによって検出可能に構成した側面も含むものである。
また、カード型に形成した入力デバイスであれば、裏面にタッチパネルに対する情報入力部を構成し、前記裏面と異なる表面に被検出部を帯電させて情報入力部としての機能をアクティブにする接触部を設けるように構成することができる。ゲーム用のカードとして形成したり、アプリケーションプログラムに対する情報や特定のウェブサイトにアクセスするための認証情報等を保持した持ち運びや所持に適した用途に利用することができる。
また、本発明は、接触部と当該接触部に導通した前記被検出部からなる一つの情報単位を複数設けたことを特徴とするものである。例えば、一組の被検出部を平面上に複数組配置した形態や、一組の被検出部を有する情報保持面を絶縁して多数層に積み重ねる等の構造を形成することができる。一個の入力デバイスが複数の情報を保持することになり、入力デバイスの利用方法が多岐に亘り利用範囲が広がるものである。
また、本発明にかかる入力デバイスは、静電容量検知式タッチパネルの検出面に対向して配置される被検出部を有し、当該被検出部を導電性のある板状体を表裏貫通させた抜き部と当該抜き部以外の部分によって形状し、若しくは当該被検出部を導電性のある立体物表面に形成した孔若しくは溝等の凹所と当該凹所以外の部分によって構成したことを特徴とするものである。
また、本発明にかかるプログラムは以下の構成を有したことを特徴とする。
すなわち、画像表示面近傍に配置された検出素子によって、静電容量に変化を及ぼす物体の近接を検知するタッチパネルを設けた電子機器用のプログラムであって、
物体の近接を検知した前記検出素子の位置情報に基づいて、前記タッチパネルに対向した前記物体の表面形状若しくは個数および配置を取得するステップと、
前記取得した物体の表面形状若しくは個数および配置を、当該物体を特定する情報として記憶するステップを有したものである。
前記記憶した物体を特定する情報自体若しくは当該情報を二値データとして符号化した情報に基づいて、表示する動画の選択若しくは画像の変化、音声の発生、その他当該電子機器を動作させるプログラムを実行させるよう構成することができるものである。
静電容量検知式のタッチパネルは、指先の当接等を検知することができるが、従来一般の使用方法は、指先の当接や移動によって実行しているプログラムに対して指示や選択を行い所定の動作を行わせるものである。しかしながら、当該タッチパネルは、指先等の当接を同時に複数箇所検出できる機能を有しているものの、従来は上記のように指示や選択といった用途でしか用いていなかった。本発明は上記指示や選択といった単純な操作指示に用いるものとは異なり、タッチパネルからの入力情報を他の入力情報との識別が可能なデータとして取り扱うことができる一かたまり情報として取得することを可能とするものである。
また、本発明にかかるプログラムは以下の構成を有したことを特徴とする。
すなわち、画像表示面近傍に配置された検出素子によって、静電容量に変化を及ぼす物体の近接を検知するタッチパネルを設けた電子機器用のプログラムであって、
物体の近接を検知した前記検出素子の位置情報に基づいて、前記タッチパネルに対向した前記物体の表面形状若しくは個数若しくは配置を取得するステップと、
前記取得した物体の表面形状若しくは個数若しくは配置を、当該物体を特定する情報として記憶するステップを有し、
前記記憶した物体を特定する情報を用いて、前記物体のタッチパネル上で移動した物体の挙動を検出するステップを有した特徴とする。
前記記憶した物体を特定する情報自体若しくは当該情報を二値データとして符号化した情報の前記物体の移動に伴う変化に基づいて当該物体の挙動を検出し、表示する動画の選択若しくは画像の変化、音声の発生、その他当該電子機器を動作させるプログラムを実行させるよう構成することができるものである。
本発明は、上記の発明と同様にタッチパネルからの入力情報を他の入力情報との識別が可能な一かたまり情報として取得することに加え、この一かたまり情報を利用してタッチパネル上での移動を認識可能にするものである。
本願発明にかかる入力デバイスおよびプログラムは、タッチパネルを用いた電子機器の新たな用途を提供するものである。
入力デバイスは、タッチパネル上の複数位置において同時に静電容量の変化を与え、この変化を一かたまりの入力情報として当該タッチパネルを有する電子機器に入力させることができるものである。この入力デバイスを用いた方式を利用すると、タッチパネルの利用方法を大きく拡大させることができるという効果を有している。
また、プログラムはタッチパネルを有した電子機器において、当該タッチパネルが検出した複数の情報を、他の入力情報との識別が可能な一かたまり情報として取得することができるものであり、このプログラムを用いることによって、タッチパネルの利用方法を大きく拡大させることができるものである。
本発明に係る入力デバイスの使用例を表した説明図である。 本発明に係る入力デバイスの一例であるカードの分解斜視図である。 本発明に係る入力デバイスが有する被検出部の説明図である。 本発明に係る入力デバイスの他の例であるカードの分解斜視図である。 本発明に係る入力デバイスの他の例であるカードの外観図である。 本発明に係る入力デバイスの他の例であるカードの分解斜視図である。 本発明に係る入力デバイスの他の例であるカードの外観図である。 本発明に係る入力デバイスのさらに他の実施例に関する分解斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
本発明は、前述した特許文献1に記載されているような静電容量検知式のタッチパネルを備えた機器に用いるものであって、タッチパネルに対する情報の入力を行う入力デバイス、各種の入力方法およびこれら入力デバイスや入力方法に用いるアプリケーションプログラムに関するものである。
入力デバイスには、以下に説明する人体を接触させることによってタッチパネルに対する入力情報がアクティブになる導通式のものからなる。入力デバイスの形態はカード状に形成したものや、人形その他の高さのある立体造形物、動作機構を有する機構品等各種の形態が適用可能である。
また、タッチパネルに対して静的な情報を認識(検知)させるもの、および動的な情報を付与する(検知させる)ものがある。静的な情報とは、詳細には以下の実施例で説明するが、入力デバイスが有する一または複数の被検出部の組み合わせによって形成した一かたまりの情報であって、他の情報との識別が可能な一個のデータとして形成されたものである。
一方、動的な情報とは入力デバイスが有する一または複数の被検出部の組み合わせによって形成した上記のような一かたまりの情報が、その情報単位ごとタッチパネル上で移動したり回転したりする際の変化をデータとして取得可能にしたものである。
本願発明は、上記のようにタッチパネルを単なる操作パネルとして用いるのではなく、データや識別可能な情報の入力手段として利用することに意義があるものである。
以下、本願発明の具体的な実施例を説明するが、本願発明は玩具やゲーム、遊戯といった遊びの分野に限らず、セキュリティー認証の分野、ファイナンスの分野、家電製品、広告等、業種や業界に限らず種々の分野の製品や技術に利用可能なものである。
(第1実施例)
以下、本発明の具体的な実施例について図を用いて説明する。
図1(a)は本発明を適用したゲーム用カード1と当該ゲーム用カード1を入力デバイスとして使用する電子機器である携帯端末4を表している。図1(b)は当該ゲーム用カード1を携帯端末4の画像表示領域(画面)5上に重ねた状態を表している。タブレット型に掲載された携帯端末4の画像表示領域5には、前述した特許文献1に記載されているものと同様の静電容量の変化を検知することができるタッチパネルが設けられている。
このような静電容量検知式のタッチパネルは、タッチパネル表面に対する指先等の直接的な接触や近接を検知するのみならず、内蔵した検出素子に静電容量の変化をもたらす物の近接も検出することができる機能を有している。
本実施例に係るゲーム用カード1は、一般的な遊技用のトランプカード、トレーディングカード、対戦ゲーム用カードとして販売されているものと同程度の外形形状に形成されたものであり、紙、合成樹脂、プリント基板に用いる絶縁素材、若しくはこれらの複合品等適宜の材質や素材によって形成されるものである。
図1に示したゲーム用カード1は、一例として紙を素材とした対戦ゲーム用カードとして形成している。このため、ゲーム用カード1の表面には、ゲームに登場するキャラクター画像や、そのキャラクターに関する情報やパラメーターが印刷によって表示されている。印刷される情報等は、ゲームその他のコンテンツに応じた内容である。
ゲーム用カード1は、詳細には後述するように導電部を内蔵した2層若しくは複数層を成す肉厚1mm程度の積層体として形成されたものである。ゲーム用カード1の表層部6には丸穴状の開口2が設けられており、当該開口2を介して中間層部分に設けた導電部3に対して人体の一部である指先等によって触れることができるようになっている。すなわち、導電部3は指先等が触れる接触部であるが、不用意に触れることがないように表層部6の表面よりも低い位置に配置されている。そして、図1(b)に示すように携帯端末4の画像表示領域5上にゲーム用カード1を重ね、指先を前記導電部3に触れることによって、ゲーム用カード1が有する一定の情報を携帯端末4に検出させることができるようになっている。
なお、表出させた導電部の代わりに押圧式スイッチのキートップ状の突部や機構を設け、当該キートップ状の突部を押圧したり、機構の操作によって人体が導電部3に触れるのと同様に人体と後に説明する被検出部9と導通させるように構成してもよいものである。
図2は、上記ゲーム用カード1の内部構造の一例を表している。ゲーム用カード1は紙を素材としたベースシート7と、同じく紙を素材とした表層シート8の積層体として形成されている。紙は絶縁性のある素材である。ゲーム用カード1の中間層となるベースシート7の表面には、導電性のあるインクや顔料を用いた印刷又は金属箔等の貼り付け等により形成された一定以上の面積を有する小領域が複数形成されている。当該小領域は、人体との接触によって帯電する部位であり、タッチパネルが有する静電容量の検出素子によって検出可能な被検出部9として機能する部分である。
本実施の形態における被検出部9は、直径5mmの円形の小領域として形成されており、同様の形状を成す複数の被検出部9が、被検出部9を設けない部位を混在させてカード1の略半分の領域(検出領域10)にマトリクス状に配置されている。被検出部9は導電性を有する幅の狭い導通路11によって前記導電部3と電気的に接続されている。なお、被検出部9はカード1の略半分のみならず、略全面に亘って設けても差し支えがないものである。
上記の例では、複数の被検出部9と導電部3を接続するために、各被検出部9と導電部3を接続する幅の狭い導通路11をオフセット印刷若しくはシルクスクリーン印刷、インクジェットその他の印刷方法によってこれらを形成している。この例で重要なのは、導通路11を狭く形成し、導通路11自体が保持する電荷を少なくして、被検出部9を検出する際にノイズとして作用しないようにすることである。
指先の接触を検知するタッチパネルの場合、手指と導通させていても先の尖ったペンのようなものを接触させても入力と見なさない処理が行われる。これは検出した情報がノイズであるのか正しい入力であるのかを判定するのが難しいからであり、機器の誤動作を防止するためにタッチパネルに対して一定面積以上の接触があった場合に正しい入力であると判断する処理を行っている。
最近主流のスマートフォンやタブレット端末では、指先の接触する形状や面積にあわせて約直径5mm程度の円形領域が認識された場合、これを正しい入力として判定するようになっている。本実施の形態における被検出部9は、このような現在主流の機種に合わせて直径を約5mm程度の円形に形成している。
電子機器4によっては入力と見なすことができる領域の大きさに差があり、機器の演算速度や処理プログラム等によっても判定精度の差が生じる場合がある。また、将来的に検出精度が向上した場合には被検出部9の形状や大きさの見直しが図られることになるが、上記直径5mmの円形というのは現時点の携帯端末4が有する平均的なスペックにあわせた大きさである。
要するに、静電容量の変化を入力として受け付けることができる大きさに合わせて被検出部9および導通路11の形状と大きさを設定する。そして、これら被検出部9等の配置や組み合わせを一かたまりの情報として取得し、ゲーム用カード1が有する固有の識別情報若しくはデータとして各種のプログラムで利用できるようにすることが本実施の形態の技術的な趣旨である。
したがって、上記直径5mmの円形というのは一つの例であり固定的なものではない。なお、導通路11は認識されることを意図していないためできるだけ狭く形成されるが、被検出部9と導通路11を合わせて一つの被検出部と見なすようにすることもできる。これらの被検出部や導通路の形状は、実行するアプリケーションプログラムに合わせて決定されるものである。
図2に示したゲーム用カード1の場合、ベースシート7の肉厚が厚くなり過ぎないように配慮される。これは、ベースシート7の肉厚が厚いと被検出部9と静電容量を検出する素子との距離が遠くなり検出精度が低くなるからである。これは、被検出部9と検出素子との距離が遠くなると、一定の形状と面積を有する被検出部9の輪郭が次第に不鮮明となり、被検出部9であるのかないのかという判定が難しくなることによる。
したがって、両者の距離は、コンデンサに用いる電極と同様に、電気的な導通を起こさないことを条件にできるだけ近接して配置されることが望ましい。
図3は、導電部3、被検出部9および導通路11の配置例に関する説明図である。図3(a)は検出領域10に縦列と横列に整列配置した被検出部9を表したものである。すなわち、検出領域10に保持可能な情報のパターンとして、縦列8行(abcdefgh)と横列6段(ijklmn)の組み合わせを有していることを表している。検出領域10とは、被検出部9を配置した領域のことであり、被検出部9の配置を一かたまりの情報として電子機器4に読み取らせる領域のことである。
本実施例の場合、中央に設けた導電部3を除けば検出領域10内の44カ所に被検出部の配置可能箇所が設けられる。そうすると、被検出部の有無によって2の44乗通りの組み合わせができ、この組み合わせを一かたまりの固有の情報として保持させることができる。
図3(b)は、矩形に設定した検出領域10の四隅に被検出部9を設けたパターンを示している。すなわち、検出領域10の輪郭を成す4カ所のポイント(a,n)(a,i)(h,n)(h,i)に被検出部9を設け、4箇所分のポイントに相当する中央領域に導電部3を設けたパターンを表している。
携帯端末4によって検出領域10を読み取らせる場合、専用の処理プログラムを実行するが、この場合タッチパネルには手指の接触その他の要因によって不要な情報がノイズとして発生する場合がある。このようなノイズと必要な情報とを識別するために、図3(b)に示したような各カードに共通する情報として4隅の被検出部9と中央の導電部3を基本情報として有する場合に、正規のゲーム用カード1がタッチパネル上に正しく配置されていると見なして、検出された情報をデータとして取得するようにすることができる。そして、この基本情報を骨格として4隅の被検出部9に囲まれた他の被検出部9の位置を相対的に割り出し、縦列8行と横列6段のどの位置に情報を構成する被検出部9が設けられているのかという座標情報を検出する。
図3(c)は、上記基本情報に加え、4隅の被検出部9に囲まれた任意の位置に他のパターンの被検出部9を配置した例を表している。なお、この例では不要な導通路11は省いている。
以上の例のように、ゲーム用カード1に縦列8行と横列6段で構成される各位置に被検出部9の有/無という二値の情報が付与され、電子機器では検出領域10内の被検出部9の配置を一かたまりの情報として固有の識別情報やデータを得ることができるものである。当然ながら、不正使用防止や誤認識防止のために、被検出部9の配置情報を演算して一定の条件を満たさなければ情報として受け付けない等、データの偽造防止や信頼性を高めるための処置を行うことは適宜行われる。
上記の例では、被検出部9はカードの内部に収容されているので、カードを破壊しなければ見ることはできないようになっている(もちろん、被検出部9およびこれに相当する電極部位を目視可能に露出させることは差し支えない)。使用者が被検出部9を目視できなければ、電子機器で読み取るまでカードが所持している情報を知ることができないので、秘密性がありゲームであれば進行の予測をつけにくくするなどの効果がある。
本実施例のゲーム用カード1は、中央の導電部3を指先などで触れると、導電部3に接続されている他の被検出部9に人体と同様の静電的な電荷を保持させることになり、指先で触れたのと同様に各被検出部9を検出させることができるようになる。
本実施例にかかるゲーム用カード1は、被検出部9の配置に応じてほぼ固有の識別情報を保持し、電子機器に対して認識させることができるものである。また、導電部3を検出領域10のアクティブ/非アクティブを切り替えるスイッチのように用いることができるという特徴も有しているものである。
(実施例2)
以上説明したように、上記の例は、導電部、被検出部および導通路を一平面上に単層として形成したものである。しかしながら、一平面(一層)上に互いに絶縁され独立した一かたまりの情報単位を複数設けてもよい。
図4に示したカード20は、紙を素材としたベースシート21と表層シート22を貼りあわせて一枚に構成したものである。ベースシート21には、前述した被検出部9、導通路11、導電部3からなる検出領域10と同様の検出領域を、ベースシート21上に2個設けている。すなわち、ベースシート21の略半分の領域に、被検出部23a、導通路24a、導電部25aからなる検出領域26aが設けられ、被検出部23b、導通路24b、導電部25bからなる検出領域26bが設けられている。そして、表層シート22には導電部25aおよび導電部25bに対応した位置に、それぞれ開口27aおよび開口27bが設けられている。
図5は、上記構成のベースシート21と表層シート22を一枚に貼りあわせて形成したカード20を表している。表層シート22上には、それぞれ開口27aおよび開口27bが設けられ、当該開口27a、開口27bを介して導電部25aおよび導電部25bに触れることができるようになっている。
当該構成のカード20は、開口27aに触れると検出領域26aに設けられた被検出部23aの配列によって形成された一かたまりの情報が電子機器によって読み取り可能になる。また、開口27bに触れると検出領域26bに設けられた被検出部23bの配列によって形成された一かたまりの情報が電子機器によって読み取り可能になる。
このように、本実施例のカードは一枚のカードでありながら、複数組の情報を保持し、かつ読み取らせることができるようになっているものである。
(実施例3)
上記実施例のカードは、一枚のカードでありながら、一つの層に複数組の情報を保持しかつ読み取らせることができるように構成したものである。図6に示した実施例は、上記の例と同様に一枚のカードに複数組の情報を保持したものであるが、その方式を異ならせたものである。
図6に示したカード30は、紙を素材としたベースシート31と中間層シート32と表層シート33を貼りあわせて一枚に構成したものである。ベースシート31には、前述したものと同様の被検出部34a、導通路35a、導電部36aからなる検出領域37aが設けられている。中間層シート32には、前述したものと同様の被検出部34b、導通路35b、導電部36bからなる検出領域37bが設けられている。また、導電部36aに対応する位置に、表裏貫通した開口38が設けられている。
表層シート33には、中間層シート32に形成した導電部36bと対応する位置には表裏貫通した開口39が設けられ、ベースシート31の導電部36aおよび中間層シート32の開口38と対応する位置には表裏貫通した開口40が設けられている。
上記ベースシート31、中間層シート32および表層シート33を全て貼りあわせると図7に示す一枚のカード30が形成され、カード30の表面には2つの開口39,40が形成される。そして、表層シート33の開口39の内部には導電部36bが接触可能に配置され、表層シート33の開口40の内部には、中間層シート32の開口38を介して導電部36aが接触可能に配置される。
ベースシート31の被検出部34aによって構成される検出領域37aと中間層シート32の被検出部34bによって構成される検出領域37bは、積層方向において一致している。タッチパネル上の同一部位において、検出領域37aと検出領域37bの双方に設けられている情報をそれぞれ取得できるようになっている。
上記構成によって、開口40を介して導電部36aに触れるとベースシート31上に設けた被検出部34aが帯電してタッチパネルで認識可能になり、上記構成によって、開口39を介して導電部36bに触れると中間層シート32上に設けた被検出部34bが帯電してタッチパネルで認識可能になる。
そして、開口40を介した導電部36aと開口39を介した導電部36bを同時に触れると、被検出部34aと被検出部34b双方を合成した情報が、一かたまりの情報としてタッチパネルで認識可能になる。
本実施例は、このように一枚のカード(一個の入力デバイス)であっても、複数の情報を保持させることができるものとなっている。
(実施例4)
図8に示したカード50は、導電体の形状によって情報体を形成する入力デバイスの他の実施例を表したものである。カード50は、導電体の形状自体によって図柄を形成した薄板状の金属板として形成されている。図示したカード50には、説明を容易にするために図柄51として「Ab」の文字を形成した例を示している。そして、「Ab」の文字がカード50の輪郭部を形成する所定幅のフレーム部52に対して適所に配置された連結部53によって接続されている。
フレーム部52内に設けられた図柄51や連結部53は、薄い金属板を表裏貫通させた抜き部54以外の部分によって形状され、抜き部54はエッチングなどで形成することができるので複雑な模様や図柄であっても容易に形成することができる。
上記カード50をタッチパネル上に裁置し、人体の一部がカード50に触れるとタッチパネルに近接している部位の形状を認識することができる。この認識した形状と、あらかじめ記憶した形状データとの照合をすることにより、カード50を特定するような使い方が可能になる。
また、同様の作用を発揮するものを薄型のカードではなく、肉厚のある板や高さのある立体物によって形成してもよい。この場合、抜き部54に相当する部位は表裏貫通させる必要はなく、溝等の凹部によって形成することができる。タッチパネルに設けられている検出素子によって、形状や配置などの情報が取得可能であれば、入力デバイスの外形形状はどのようなものであっても差し支えがない。
上記カード50をタッチパネル上に置きその一部に人体が触れると、視覚的に認識できる形状と近似した形状を、タッチパネルによって認識させることができる。前述したカード1、20、30は、所定位置に配置される被検出部9の有無の組み合わせによって情報を形成するものであるが、カード50は図柄そのものが他との識別が可能な情報を形成するものである。タッチパネルの表面部には細かい間隔で静電容量の変化を認識できる容量感知デバイスが多数配置されているが、この容量感知デバイスの識別能力に応じて、タッチパネル上に置かれた導電体の形状を認識することができる。したがって、認識精度の高いタッチパネルであれば、タッチパネルのスペックに応じてより細かい図柄が認識できることになる。
前述したカード50は、原理をわかりやすく説明するために図柄として「Ab」の文字を示しているが、この図柄は導電体の有る部分と無い部分によって表現できるものであれば、動物、植物、人の顔、幾何学模様などそのデザインに制限は無い。また、QRコード(株式会社デンソーウェーブの登録商標)のような、アルゴリズムで形成されたドットを表現したような模様を表してもよい。また、当然ながら前記カード1、20に搭載した導電部、被検出部および導通路をそのままカードの形状として形成しても良い。
カード50に搭載した図柄は、専用のアプリケーションプログラムによって情報として取得されるが、図柄が有する特徴的な線(若しくは空白部)の形状や配置、所定の面積を有する部位(若しくは空白部位)の形状、輪郭部を有している場合には(輪郭部を設けない場合もある)輪郭部と図柄との配置関係などから、これらを他のカード50と識別可能な固有の情報として使用することができるものである。形状の識別や符号化には様々な方式があるが、ゲーム、セキュリティー、その他の目的に応じて種々のアルゴリズムが用いられる。
(実施例5)
上記人体の接触によりアクティブになる被検出部9は、タッチパネル上に静的に配置するのみならず、検出される部分を移動させる等動的に配置してもよい。
例えば、タッチパネル表面でルーレットのような回転体を回転させるような機構体を形成した場合、回転体に磁石を設けて回転体の停止位置を検出し、アプリケーションプログラムとの連携によって停止した位置に応じて数字や符号を出力するようにすることができる。このような機構やアプリケーションプログラムを形成すると、数字の大小を競うゲームや、双六等のゲームに本発明を利用することができる。また、回転体であれば回転速度を演算によって求めたり、回転した回数をカウントしたりすることも可能であり、このような情報を利用した種々のアプリケーションプログラムを形成することができる。
(実施例6)
また、上記人体の接触によりアクティブになる被検出部9を用いて、物理的な機構で動作するタブレット型端末用の入力デバイスを構成することができる。例えばゲーム機用のコントローラーが有する押しボタンや十字キーと呼ばれる方向指示キーを備えた入力手段を構成すると、これら押しボタンや十字キーの操作によって電子機器を操作できる入力デバイスを形成することができる。
(実施例7)
上記入力デバイスを用いた情報の入力には、電子機器ごとに適合した読み取り用のプログラムが用いられる。当該プログラムは、電子機器を動作させる基本プログラムに組み込まれた一つの処理として設けられるものであったり、電子機器を動作させる基本プログラム上で動作するアプリケーションプログラムに組み込まれた一つの処理として用いられるものである。そして、CPU機能を備えた制御装置、記憶装置、表示装置、タッチパネルとして形成された入力装置、その他コンピュータ手段として必要な各手段を有した電子機器の制御に使用するものである。
本発明にかかるプログラムは、電子機器のメインプログラムやアプリケーションプログラムに連携した処理プログラムとして、前記各種形態の入力デバイスを用いたタッチパネルに対する入力を所定の情報若しくはデータとして受け付けるものである。
本プログラムは、第一にタッチパネル上の検出領域を設定する。例えば、タッチパネルの全域あるいは特定の領域を検出領域として設定し、当該検出領域内にある検出素子によって静電容量の変化を検出する。
検出した情報は、必要に応じてノイズを除去するフィルター処理を行い、正常であると見なした情報を取得する。そして、正常であると見なした物体の近接を検知する検出素子の位置情報に基づいて、前記タッチパネルに対向した前記物体の表面形状若しくは個数および配置を取得する。
前記取得した情報は、物体があると見なした個々の検出素子の位置情報をそのままデータとして記憶する場合の他、物体があると見なした一定の範囲にある検出素子群を一つの検出単位として二値化(0あるいは1等に符号化)し記憶する。実施例1に示した入力デバイスのようなものが被検出対象であれば、被検出部が配置される位置は前述した行列配置のように定められているので、行列上の各位置における0或いは1の二値の検出情報を固定長のデータとして記憶する。
検出した情報を検出素子ごとに二値化するとビットマップデータのような図形的なデータとして取得が可能であり、各被検出部を検出素子群によって検出すると二値化された前記固定長のデータとして取得される。このように検出されたデータは、コンテンツに応じて形成されるゲームその他のアプリケーションプログラム等に対して出力され、表示する動画の選択若しくは画像の変化、音声の発生、その他当該電子機器の動作に利用されるものである。
また、アプリケーションプログラムによっては、タッチパネル上に置いた入力デバイスを移動させたり、回転させるなど動的に使用する場合もある。この場合、入力デバイスの移動や回転の検出は、検出した入力デバイスの前記図形的なデータ若しくは二値化した固定長データによって構成される一かたまりの情報単位の姿勢や、一定時間毎の位置を判定し、当該判定の前後における位置の差や想定され位置に到達しているか否か等を検出することによって入力デバイスの移動の有無、移動量等を検知する。
これは、前述したルーレットのような回転体を使用する場合や、トレーディングカードゲームにおいてカードの向きを正常姿勢から90度回転させたりするような入力デバイスの動作検知に使用することができるものである。
本発明は、静電容量検知式のタッチパネルを有した種々の電子機器に利用することが可能である。
1 ゲーム用カード
2 開口
3 導電部
4 携帯端末
5 画像表示領域(画面)
6 表層部
7 ベースシート
8 表層シート
9 被検出部
10 検出領域
11 導通路
20 カード
21 ベースシート
22 表層シート
30 カード
31 ベースシート
32 中間層シート
33 表層シート
39 開口
40 開口
50 カード
51 図柄
54 抜き部

Claims (3)

  1. ベースシートの表面に、静電容量検知式タッチパネルの検出面に対向して配置される対向面を有した被検出部を複数配置した検出領域を設け、
    前記被検出部を導電体によって形成し、
    導電部として形成した接触部を前記検出領域内に設けるとともに当該接触部の周囲に前記被検出部を配置し、
    前記被検出部と前記接触部を幅の細い導通路を介して電気的に導通させ、
    前記検出領域の表面を絶縁性の表層部によって覆うとともに、前記接触部人体と導通できるように構成し
    前記被検出部を、前記検出領域内を縦列と横列によって座標位置が特定される行列状の配置可能位置の何れかに設けるとともに、
    前記接触部を前記配置可能位置の4箇所分を占有する位置に配置したことを特徴とする入力デバイス。
  2. 前記表層部を一部に開口を設けた表層シートによって構成し、当該表層シートの開口を介して前記接触部を人体の一部と接触可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の入力デバイス。
  3. 前記接触部と当該接触部に導通した前記被検出部によって構成される一つの情報単位を複数有したことを特徴とする請求項1または2記載の入力デバイス。
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