WO2015008828A1

WO2015008828A1 - 画像表示システムおよび入力デバイス

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Publication number: WO2015008828A1
Application number: PCT/JP2014/069029
Authority: WO
Inventors: 信行千葉
Original assignee: Chiba Nobuyuki
Priority date: 2013-07-17
Filing date: 2014-07-17
Publication date: 2015-01-22
Also published as: US20160147338A1; EP3023868A1; EP3023868A4; CN105408842A

Abstract

シミュレーションやゲームにおいて、タッチパネルの特徴を生かした従来に無い新たな入力手段を提供する。画像表示手段として複数のタッチ位置を検知することができる静電容量検知式タッチスクリーンパネルを備えた電子機器によって実行されるプログラム、電子機器装置、入力デバイスである。これらは、前記画像表示手段に、設定されたパラメータの変動に基づいて形態が変化するオブジェクト画像を表示し、前記画像表示手段によって検出されるタッチ位置の組み合わせに基づいて前記オブジェクトに設定されたパラメータを変動させるように構成したことを特徴とする。タッチ位置の組み合わせは、入力デバイスに設けた被検出部によって構成される。

Description

画像表示システムおよび入力デバイス

　本発明は、静電容量検知式タッチスクリーンパネルを備えた電子機器により実行される画像表示システムおよび入力デバイスに関するものである。

従来より、画像表示機能を有した各種端末上において、仮想的に表示した人間、動植物、実在しない仮想的なオブジェクトを、時間の経過と使用者による操作に基づいて変化させて表示させる成長シミュレーション装置がある。このようなものとして、特許文献１等に記載されている携帯型電子ゲーム装置及び画像表示制御方法等がある。
　当該成長シミュレーションには様々な形態のものがあり、成長主体となるオブジェクトに設定されているパラメータを変動させることによって、主としてオブジェクトが成長するような表示を行うようになっている。パラメータを変動させる方法は多様であり、キーボードや操作スイッチ等を用いた入力、他の機器との通信による情報の取得、メモリーカード等の記録媒体を介した情報の取得などに基づく方法がある。

また、近年タブレット型端末、スマートフォンといった画像を表示するディスプレイが操作入力に用いるタッチパネル兼ねた携帯型の電子機器が多く用いられている。このような電子機器には、特許文献１に記載の指示された画面上の複数のポイントを同時に感知できるタッチ・スクリーン（以下、当該タッチ・スクリーンおよびこれと同様のデバイスを「タッチパネル」という）が用いられている。このようなタッチパネルは、液晶パネル等の画像表示面に近接させた層に静電容量の変化を検知する容量感知デバイスを微細間隔で複数配列して設けたものである。このように設けたタッチパネルは、画面に近接した複数の物体の位置座標や、画面上を移動する複数の物体の位置座標を同時に検知できるように構成されたものである。
上記タッチパネルは、特許文献２および特許文献３等にも記載されているように、画像が表示されるパネル上の一点を指先で触ったり、指先をスライドさせたり、タッチパネルに触れた二本の指先の間隔を連続的に検知することで、指示された座標の静的な座標のみならず、指示された座標の変化、指示された複数の座標の位置関係の変化を取得し電子機器内のプロセッサによって演算処理されるようになっている。指先等の接触位置に関する情報は、プロセッサによって特許文献２の図１７Ａ～Ｃで図示されたフィルタリング処理によってノイズが除去され、指先で指示された位置の検出精度を高めている。

特開平１０－２０７３４２号公報特表２００７－５３３０４４号公報特表２００８－５０８６００号公報

　上述した従来のシミュレーション装置は、植物を成長させるための複数種類の要素データ（水，光，肥料）を、テンキーを操作して数値指定することにより当該選択量に応じた各要素を植物に与えるようになっている。そして、このような操作に基づいて予め用意した成長段階毎の画像を表示するようになっている。その他、画面上に表示したオブジェクトの形態を変化させる各種のシミュレーションゲーム等が知られているが、その操作は概ねスイッチ操作によるものである。また、一般的なゲームも、コントローラー等の操作手段を使用して各種の入力を行うようになっている。
　一方、上記のように画面（タッチパネル）に触れることによって各種の操作を行うことができるスマートフォンやタブレット端末等の電子機器装置が一般的に使用されるようになってきた。このような画面タッチによって操作ができる電子機器装置でゲーム等を行う場合でも、画面上に画像表示されたＧＵＩ画像をスイッチとして使用し、これを使用者に操作させることでゲームを進行させるようになっている。しかしながら、機械的なスイッチが画像に変化しただけで、操作者によって行われる入力は、依然スイッチを用いたものであることに変わりはない。

　上記のように、タッチパネル上に表示したＧＵＩスイッチを操作するゲームは多々存在するが、タッチパネルに対する入力をある一定の情報を保持した入力デバイスによって行い、これによってゲームを進行するようなものは無い。
　本発明は当該事情に鑑み発明したものであって、シミュレーションや各種ゲームの進行を単なる操作入力ではなく、一定の命令や操作として認識させることができる情報を保持した入力デバイス、この入力デバイスを使用したプログラム、当該プログラムを実行し入力デバイスによってゲーム等の処理を進行することができる電子機器を提供することを課題とするものである。また、シミュレーションやゲームにおいて、タッチパネルの特徴を生かした従来に無い新たな入力手段の提供を課題とするものである。

　上記課題を解決するために本発明は以下の手段を有する。すなわち、画像表示手段として複数のタッチ位置を検知することができる静電容量検知式タッチスクリーンパネルを備えた電子機器を用いたシステムであって、
　前記画像表示手段に、設定されるパラメータの変動に基づいて表示するオブジェクト画像の形態を変化若しくは他の画像に置き換える制御手段を有し、
前記パラメータの変動を、前記静電容量検知式タッチスクリーンパネルによって検出される複数の被検出部を有した入力デバイスによって行うことを特徴とする。

　また、本発明は以下の手段を有する。すなわち、
静電容量検知式タッチスクリーンパネルによって検出される複数の被検出部を有した入力デバイスであって、
　前記静電容量検知式タッチスクリーンパネルに対して直接若しくは間接的に接触する平面的な被検出領域を設けるとともに当該被検出領域中に前記被検出部を配置し、
　前記被検出領域中に配置した被検出部は、他より面積の大きな第１の被検出部と当該第１の被検出部の周囲に配置した当該第１の被検出部よりも面積の小さな他の被検出部を複数個配置し、
　前記第１の被検出部と前記他の被検出部を幅の細い導線部で接続したことを特徴とする。
　また、前記第１の被検出部および他の被検出部をカード状の基材上に配置するとともに、前記第１の被検出部を除く他の被検出部をシート、インク若しくは塗料により被覆したことを特徴とする。

　本発明は、映像（画像）表示シミュレーション若しくはゲームにおいて、表示されるオブジェクトの画像、動作、表現に影響を与える操作や指示等を、ボタン操作では無くタッチスクリーンパネルによって検出可能な入力デバイスによって行うことができるという効果を有している。
　例えば、鰯の絵が描かれている入力カードをタッチスクリーンパネルに接触させると、オブジェクトに対する餌として鰯を与えるような指令を、実際に餌を与えるかのような動作を伴って行うことができるものである。鰯を与えた結果は、プログラム処理によりパラメータの変動という内部処理を経て、画面上に表示するオブジェクトの映像（画像）の変更や変動という視覚的な表現として使用者に伝えることができるものである。
　本発明に係る入力デバイスおよび関連する他の手段は、上記のようにボタンの操作などを必要とせずタッチスクリーンパネルに接触させるだけで所定の命令を電子機器に実行させることができるものである。これは電子機器をゲーム器具や玩具として使用する使用者（特に子供）にとっては非常に不思議な現象であり、興味を抱かせるのに十分な手段を提供できるものとなっている。本発明は、シミュレーション若しくはゲームという分野において新たな手段を提供することができるという効果を有している。

　また、本願発明にかかる入力デバイスは、タッチパネルによって検出される導体（被検出部）として、大きさの異なるものを配置している。好ましくは、検出限度を超えない程度に面積の大きな被検出部と、これよりも面積小さい被検出部を設けてこれらを細い導線部で接続している。
これにより、人体が被検出部に接触しなくても、面積の大きな被検出部が保持する静電容量を他の被検出部と共有することができ、検出の精度を高めることができるという効果を有している。また、面積の大きな被検出部に人体が直接接触できるように構成すると、人体との接触部がタッチパネルに対する被検出部を兼ねつつ、各被検出部を精度良く検出させることができるようになるという効果を有している。
なお、被検出部を被覆した場合であっても、人体（指）を面積の大きな被検出部に近接そせると、人体が保持する静電容量の影響が各被検出部に影響して各被検出部を精度良く検出させることができるという効果を有している。

本発明に係るカード型の入力デバイスと当該入力デバイスの使用状態を示した説明図である。入力カードの内部に積層した導電性の素材から構成された導電部の説明図である。入力カードに対する印刷例である。本発明に係る電子機器装置およびシステムの概略図である。画像表示手段３上に表示される画像の一例である。オブジェクト画像の一例に関する説明図である。本発明に係るプログラムの一例を表したフローチャートである。パラメータの一例を表した説明図である。属性値の一例を表した説明図である。コード情報の一例を表した説明図である。本発明に係る入力デバイスの使用例を表した説明図である。本発明に係る入力デバイスの一例であるカードの分解斜視図である。本発明に係る入力デバイスが有する被検出部の説明図である。本発明に係る入力デバイスの他の例であるカードの分解斜視図である。本発明に係る入力デバイスの他の例であるカードの外観図である。本発明に係る入力デバイスの他の例であるカードの分解斜視図である。本発明に係る入力デバイスの他の例であるカードの外観図である。本発明に係る入力デバイスが有する被検出部の他の例に関する説明図である。

　以下、本発明を実施するための形態について説明する。
　図１は、本発明に使用する所謂スマートフォンとして形成した電子機器装置１と、当該電子機器装置１に情報を入力するカード型に形成した入力デバイス（以下「入力デバイス」若しくは「入力カード」という）２の外観図を表している。
　図１は、入力カード２の使用状態として、当該入力カード２を電子機器装置１の画像表示手段３上に重ね合わせた状態を示している。
　図２は、入力カード２の内部に積層した導電性の素材から構成された被検出部となる導電部の説明図である。入力カード２は、一例として０．５ｍｍ程度の肉厚に形成された薄いシート状を成し、その外形形状は略矩形であり、その大きさはクレジットカード、トランプカード程度の指先で持つことが出来る程度の大きさに形成されている。導電部（被検出部）は、金属箔や導電性インク等によって形成されたものであり、入力カード２の先端側（被検出領域４）に配置されている。被検出領域４内には、他より面積の大きい１個の被検出部（第１の被検出部）５と、当該第１の被検出部よりも面積の小さい４個の被検出部６（６ａ、６ｂ、６ｃ、６ｄ）を設けている。各被検出部６は、それぞれ細幅の導線部７によって第１の被検出部５と電気的に接続されている。入力カード２自体は紙や合成樹脂によって形成されるものであり、適宜表裏両面に各種の情報が印刷されるものである。

　被検出部５、６は表出していても機能上差し支えないが（むしろ機能上は好ましい）、ゲーム用途に用いる場合には印刷層若しくはシート片の重ね合わせによって隠蔽されている。被検出部５は、被検出部５単体がタッチパネルＴによって検出可能な限度内において他の被検出部より大きく形成される。例えば、被検出部タッチパネルＴの半分以上を占める被検出領域４程度の大きさを有した場合には、電子機器が有する一般的な機能として有効な入力（タッチ入力）とはみなされない。被検出部５は、直径１１ｍｍ～２０ｍｍ程度の円形若しくは円形に近似した形状に形成している。
被検出部６は、タッチパネルＴによって検出可能な面積を有するものであり、概ね直径５ｍｍ～１０ｍｍ程度の円盤状の箔片として形成している。なお、被検出部６の形状は同一である必要はなく、多少大きさが異なっていたり、丸型と四角型を混在させるなど外形形状が異なっていてもよい。

被検出部５は導線部７を介して電気的に結合した被検出部６との間において、タッチパネルＴによる検出（検出素子部との容量結合）に必要な電荷の受給を行うようになっている。なお、タッチパネルＴの性能により被検出部５と人体を接触させることが好ましい場合もあるが、電子機器が有するタッチパネルＴの性能がよければ人体との接触は不要である。なお、導線部７もタッチパネルによる検出対象となり得るものであるから、できるだけ細いことが好ましく、本実施の形態では他の部位を含めた導電部を形成する一つの箔版によって０．５ｍｍ幅に形成している。タッチパネルＴに接触させる部分は内部に被検出領域４を形成した入力カード２の略半分程度の部分である。被検出領域４を設けた側とは反対側の領域は使用者が入力カード２をつかむ部分である。
　なお、図１に示した例は、タッチパネルＴの長手方向とカード２の長手方向を直交させるようにしているが、両者の長手方向を揃えても差し支え無いものである。

図３は、入力カード２に対する印刷例を表している。入力カード２ａには、その表面に「アジ」の写真と当該カードの用途（エサ）が記載されている。また、入力カード２ｂには、その表面に「イワシ」の写真と当該カードの用途（エサ）が記載されている。薄く着色した部分は、内層した広域導電部６の位置を示している。これらのカードは、後述するシミュレーションにおいて使用するものであり、タッチパネルに表示したオブジェクトに対する処置する（例えば「えさを与える」）際に使用するものである。

　電子機器装置１は、一例として前述したようにスマートフォンとして形成されており、成される記憶手段、電話やインターネットＩと通信を行うための通信インターフェイス（Ｉ／Ｆ）１ｄ、ＧＰＳ信号受信機等１ｅを備えたハードウエア手段を備えている。
　本実施の形態の一つであるアプリケーションプログラム（以下「プログラム」という）は、前記通信Ｉ／Ｆを介して接続したアプリケーション提供サーバー８から取得するようになっている。また、プログラムの仕様に応じて、適宜通信Ｉ／Ｆを介してコード管理サーバー９若しくはコンテンツ提供サーバー１０と通信を行い、後述するコード情報に対応する情報や関連するコンテンツ（画像、動画、音楽、その他各種のデータや情報）を取得する。

　画像表示手段３は、指などの接触を検出できる静電容量検知式のタッチパネルとして形成されたものである。電子機器装置１は、当該タッチパネル３の機能を用いて５カ所～１０カ所程度の指による接触位置をほぼ同時（短時間）に検出できる機能を有しており、検出した複数の接触位置をタッチパネル上における座標位置として取得するようになっている。本発明に係るシステムは、このような多点検出機能を有した電子機器装置１を用いたものであり、前記検出した複数の座標位置の組み合わせを一つの情報（コード情報）として取得し、当該取得したコード情報に基づいて後述するオブジェクトのパラメータを変更するようになっている。
　前述した被検出部６は、一例として被検出領域４内に５行×６列のマトリクス状の配置として設定された３０カ所の配置可能位置から選択した４カ所に設けている。被検出部６は、被検出部５とこの周囲を除いた前記マトリクス状の配置に従って配置される。被検出部５はこのマトリクスで設定される配置可能位置の複数個を占有しており、その中心は前記行列配置の中間位置に配置される。

　本実施の形態では、複数個の被検出部５、６によって構成される配置の組み合わせを一つのコード情報として電子機器装置１に取得させ、これを電子機器装置１上で実行するプログラムによって認識して所定の処理するようになっている。被検出部５、６の検出位置は、各被検出部５、６の略中央位置の座標として取得され、その後前述したマトリクス配置のどの部位に被検出部が存在しているかを判定する。
　本実施の形態に係るシステムは、一例として世話をすることで生物を成長させるような育成シミュレーションとして形成することができる。図５は、画像表示手段３上に表示される画像の一例を表している。画像表示手段３上には、一例としてオブジェクト１１として設定されたペンギンの第一段階のステージである卵１１ａを表している。同時に、当該第一段階のステージに対応した背景画像として、海の上に浮かぶ陸地、雲、太陽、空等の画像が表示されている。また、画像表示手段３の下縁付近には、オブジェクトに対する世話（操作）等を行うためのＧＵＩスイッチ１３ａ、１３ｂ、１３ｃが表示されている。また、オブジェクトに対する世話や処置を操作者に対して要求するメッセージ表示部１４を有している。

　オブジェクト画像として表示された生物は、一例として図６に示すように、その成長段階の各ステージ毎に卵１１ａ、子供１１ｂ、大人１１ｃの画像を表すようになっている。また、各ステージ毎に別個の背景画像が用意されており、雲、太陽等の画像は日中の時間帯（例えば朝、昼、夕方、夜）や、天候（例えば晴天、曇り、雪、吹雪）というシチュエーションを操作者に伝えるようになっている。オブジェクトに対する世話（操作）の一部は、これらの背景画像に対応しものとして設けられている。例えば、朝であれば「おはよう」と挨拶をする操作をしたり、夜であれば「お休み」というような挨拶をするような操作である。
　本システムでは、ペンギンをモチーフにした育成対象について、成長ステージ毎に卵１１ａ、子供１１ｂ、大人１１ｃのような成長段階を表す画像やアニメーションを表示する画像および動画データを有している。これらの画像および動画データは、別個独立したデータとして設けられているものである。しかしながら、本願明細書ではペンギンをモチーフにした操作対象を一つのオブジェクトとして取り扱い、一つの生物が成長しているかのようなイメージとして各成長ステージ毎に対応する画像や動画を表示するようになっている。また、プログラムに基づいて、画像自体を変化させるような処理を行ってもよい。

　育成対象となるオブジェクトは、出生（プログラム開始）からの時間経過によって変動するパラメータと、使用者による操作（オブジェクトに対する世話、処置）等によって変動するパラメータを有している。これらのパラメータには、給餌の有無、給餌の回数と時間間隔、プログラムの起動回数、要求メッセージに対する対応の仕方等がある。また、オブジェクトの成長段階に対応したステージを有しており、当該ステージに前述した背景画像が対応するようになっている。
　オブジェクトは前述したパラメータの変動によって表示される画像や動画が適宜変更されるようになっており、これに伴い関連した背景画像や、ＧＵＩスイッチ１３ａ、１３ｂ、１３ｃに設定される機能も変更されるようになっている。

　パラメータの変動は、前述した時間の経過やＧＵＩスイッチ１３ａ、１３ｂ、１３ｃ等の操作の他に、電子機器装置１に入力カード２を認識させることによっても行うことができるようになっている。
　入力カード２は、前述したように３０カ所の配置可能位置から選択した４カ所の被検出部６および被検出部５を有している。これによって構成されるコード情報を２進数的に表すと(100000 010000 0100010 000100 00000)のような形式で表すことができる。
　そして、このようなコード情報を電子機器装置１によって実行するプログラムによって取得させることで、入力カード２をオブジェクトに対する餌やりを行う命令であったり、一緒に遊ぶ命令であったり、オブジェクトからの要求に答える命令である等の、ＧＵＩスイッチ１３の操作に変わる命令を入力することができるようになっている。

　また、入力カード２自体に電子機器装置１（プログラム）に対して新たなオブジェクトを提供する機能を持たせたり、背景画像を提供したり、２つのオブジェクト同士をペアリングさせて子供を産ませるような機能を持たせても良い。これらの機能は、コード情報を取得したプログラムの機能によって実行されるものであるが、入力カード２を使用することによって所定の命令、機能、情報を電子機器装置１に入力できるようにしてもよい。

　図７は、電子機器装置１によって実行されるプログラム例の概略を表したフローチャートである。電子機器装置１は汎用性のあるスマートフォンであり、所定のサーバーから本実施の形態に必要なプログラムをダウンロードして実行する。前述したペンギンをモチーフにした育成シミュレーションを行うプログラムを実行すると、育成対象のオブジェクトや背景などの各種パラメータを初期化する（Step1）。
　次いで、当該プログラムに関する情報を記憶している電子機器装置１内のメモリ若しくは接続されたサーバーから、育成対象となるオブジェクト、当該オブジェクトに関連づけられたステージ、背景情報、画像等の諸データが読み込まれる（Step2）。読み込まれたパラメータおよび諸データは、当該プログラム実行時点における育成状況を定義するデータとして設定される（Step3）。当該パラメータは、シミュレーションの進行に伴って変動する情報であり、プログラムの終了時に電子機器装置１若しくは前述したサーバーの何れか記憶され、起動時に再び読み込まれるものである。

　パラメータの読み込みおよび設定が終了すると、その時点における諸条件に基づいて図５に示したような背景画像とオブジェクト画像が画像表示手段３上に表示される（Step4、Step5）。また、これらオブジェクト等とともに当該プログラムに対する操作手段の一つであるＧＵＩスイッチが表示され、プログラムは当該ＧＵＩスイッチの操作入力を待機する（Step6）。
　ＧＵＩスイッチの一つは、例えばオブジェクトの状態を表すパラメータを知る手段として設定することができる。メッセージ表示部１４に表示される要求や指示以外に、このようなＧＵＩスイッチの操作によってオブジェクトの状態や必要な操作を知ることができる。
　パラメータには、使用者に対して開示されるものと使用者に開示しないものがある。開示する情報にはオブジェクト誕生からの経過時間、卵、子供、大人等の状態（画像によって代替する場合にはパラメータとして表示しない場合がある）、お腹が空いているあるいは満腹である等の欲求や生存に関する情報、ご機嫌であるあるいは不満である等の情緒に関する情報がある。

　オブジェクトに対する処置は、ＧＵＩスイッチに設定される機能を用いて行うことができる（Step7）。ＧＵＩスイッチが操作された場合には、当該ＧＵＩスイッチに設定された処置内容に基づいてパラメータの変動が行われる（Step8）。
　これに加えて本願発明では、前述した入力デバイスである入力カード２を用いてオブジェクトに対する操作や処置を行うことができ、これによりオブジェクトに設定されているパラメータを変動させることができるようになっている（Step9、Step10）。
　例えば、入力カード２に「鰯」「鰺」等の食べ物に対応させたコード情報を所持させておく。そして、入力カード２に設定されているコード情報と、プログラムが記憶している「鰯」「鰺」等の情報が対応する場合に、入力カード２を使用してオブジェクトに対して「鰯」「鰺」等の食べ物を与えたという状態になるようパラメータを変更する。また、このような処置に連動して、オブジェクトに設定されている欲求や生存、情緒に関するパラメータを変更する。このように、時間の経過とともに減少、悪化等の好ましくない方向に向かって変動するパラメータを設けるとともに、入力カード２を用いることでこれらを是正する処理を行うようになっている。

　前記各種の操作によって変更されたパラメータは、記憶手段若しくはサーバー等に記憶され、パラメータの変動によってオブジェクトや背景を変更する場合には、これらに対応する情報を読み出して画面上に表示する（Step11、Step12）。一例としては、前述した図６に示すように、時間の経過と世話の状況に応じた画像を表すようになっている。以降、終了、若しくはオブジェクトの死亡まで同様の操作をすることができる。

　オブジェクトは、使用者による操作や時間の経過等によって変動する前述したパラメータと、使用者による操作や時間の経過によって影響を受けない属性情報を有している。
　図８にパラメータの一例を示す。パラメータは、数値や大・中・小等の定量的な情報として把握できるものや、有る／無し等の二値的な情報として設けられているものがある。例えば、オブジェクトの年齢は、実際の一日をオブジェクトの１年として換算し、一日ごとに年齢が一歳増えるような処理を行う。属性として設定されている寿命を上限として、適切な世話（操作）を続けることでオブジェクトは生存を続けることができる。また、各パラメータは最低値～最高値までの間で変動し、適切な処置を行うことでパラメータは上昇し、放置若しくは不適切な操作によって減少する。何によってパラメータが上昇し、何によってパラメータが減少するのかは、アプリケーションの種類、コンテンツの違いによって適宜設定されるものである。

　操作者に対してどのような要求を行い、それに対してどのような対処をしたか（対処しなかったか）によって、パラメータをどのように変動させるのかは、アプリケーションによって表現するコンテンツに応じて適宜異なるものである。また、通常では適切なタイミングと操作を繰り返すことでオブジェクトは正常に成長（画像変化）するが、ある確率で突然変異的に変化したオブジェクトを表示するようなことも演出効果として適宜行われる。
　本実施の形態に係るオブジェクトを成長させるような画像表示をするシミュレーションは、入力カード２を用いた操作者自身の行為による操作と、操作者の行為に依存しない時間要素（一定時間の経過）が予め定めた一定の条件を満たした場合に、次世代のオブジェクト画像を表示するようになっている。この一定の条件とは、各世代毎に定められているものであるが、例えば、健康度、体力、泳ぐ早さ等のパラメータが１０段階の５以上であることを要件としている。また、一定時間とは各世代毎に定められているものであるが、誕生から２日（プログラム内の年齢では２歳）を超えたときであり、これ以降は５日単位で設定される。
　また、上記オブジェクトの成長タイミング（画像の遷移時期）は、上記の条件を満たした時から換算して、１時間～２４時間の間でランダムに設定されるようになっている。これにより繰り返し当該プログラムを使用しても、オブジェクトの成長（画像遷移）タイミングは全て異なるので、飽きの来ないシミュレーションを提供できるという効果を有している。

　図９に属性値の一例を示す。属性値は、パラメータとは異なって使用者の操作によって変動しない固定的な情報である。当該情報には、種別、名前、生年月日等がある。これらの情報は、アプリケーションが自動的に生成するものの他、データテーブルとして予め設定されているものがある。また、名前などはプログラム開始時に使用者によって命名させるようにしてもよい。

　入力カード２を認識して得られた被検出部の位置情報は、前述したようにコード情報として取り扱われる。
　図１０にコード情報の一部を示す。同図に示すように、一つのコード情報はオブジェクトに対する一つの命令、処置に対応しており、入力カード２を使用することで一つの命令、処置をオブジェクトに対して行うことができるようになっている。
　また、カード２の表面には、後述する他の例のようにオブジェクトを表すイメージ画やパラメータとして設定されている数値や属性が印刷されている。

　上述した例は、本システムを育成シミュレーションとして形成した例を表している。しかしながら、本システムは当該育成シミュレーションのみならず、他のシミュレーションにも利用できるものである。例えば、画面上に表示した人間を表すオブジェクトに対して、シャツ、スカート、ズボン、ドレス、アクセサリー、帽子、靴等の様々な着用品を装着可能に構成する。そして、入力カードに着用品を対応させることで、使用した入力カードに応じてオブジェクトに着替えをさせる等のシミュレーションをすることができる。また、各種アイテムの組み合わせに評価を表す点数を設定しておくことで、ファッションセンスの良い組み合わせには高評価を与える等の処理を併用することができるようになる。
　このように、本発明に係る入力デバイスとしての入力カードを用いることにより、様々なシミュレーションや画像表示ゲームを提供することができるようになっている。その他、カードを用いた対戦ゲームにも利用可能である。

（実施例１）
　次に、入力デバイスに関する他の例を図を用いて説明する。入力デバイスには様々な形態があり被検出部に人体を接触させる方式と、被検出部に人体を接触させない方式がある。また、被検出部に人体を近接させるが接触させない方式がある。また、入力デバイスの形態はカード状に形成したものや、人形その他の高さのある立体造形物、動作機構を有する機構品等各種の形態が適用可能である。
　図１１の右側に示した図は、本発明を適用したゲーム用カード２ａと当該ゲーム用カード２ａを入力デバイスとして使用する電子機器としての携帯端末１を表している。図１１左側に示した図は当該ゲーム用カード２ａを携帯端末１の画像表示領域（画面）３上に重ねた状態を表している。タブレット型に掲載された携帯端末１の画像表示領域３には、前述した特許文献２に記載されているものと同様の静電容量の変化を検知することができるタッチパネルが設けられている。
　このような静電容量検知式のタッチパネルは、タッチパネル表面に対する指先等の直接的な接触や近接を検知する。

　本実施例に係るゲーム用カード２ａは、一般的な遊技用のトランプカード、トレーディングカード、対戦ゲーム用カードとして販売されているものと同程度の外形形状に形成されたものであり、紙、合成樹脂、プリント基板に用いる絶縁素材、若しくはこれらの複合品等適宜の材質や素材によって形成されるものである。
　また、図１１に示したゲーム用カード２ａは、一例として紙を素材とした対戦ゲーム用カードとして形成している。このため、ゲーム用カード２ａの表面には、ゲームに登場するキャラクター画像１９ａや、そのキャラクターに関する情報１９ｂやパラメータ１９ｃが印刷によって表示されている。印刷される情報等は、ゲームその他のコンテンツに応じた内容である。

　ゲーム用カード２ａは、詳細には後述するように導電部を内蔵した２層若しくは複数層を成す肉厚１ｍｍ程度の積層体として形成されたものである。ゲーム用カード２ａの表層部２ｃには丸穴状の開口２ｄ設けられており、当該開口２を介して中間層部分に設けた導電部５に対して人体の一部である指先等によって触れることができるようになっている。すなわち、導電部５は指先等が触れる接触部であるが表層部２ｃの表面よりも紙の肉厚分低い位置に配置されている。そして、図１１右側の図に示すように携帯端末１の画像表示領域３上にゲーム用カード２ａを重ね、指先を前記導電部５に触れることによって、ゲーム用カード１が有する一定の情報を携帯端末１に検出させることができるようになっている。
　なお、前述のように感度の良い電子機器の場合、指先を前記導電部５に触れなくても全ての被検出部を検出することができる。この場合、丸穴状の開口２ｄは必要ないので設けなくてもよい。この場合、被検出部５および被検出部６を全て被覆したカードを形成することができる。

　図１２は、上記ゲーム用カード２ａの内部構造の一例を表している。ゲーム用カード２ａは紙を素材としたベースシート１７と、同じく紙を素材とした表層シート１８の積層体として形成されている。紙は絶縁性のある素材である。ゲーム用カード２ａの中間層となるベースシート１７の表面には、導電性のあるインクや顔料を用いた印刷又は金属箔等の貼り付け等により形成された一定以上の面積を有する小領域（被検出部）６が複数形成されている。当該被検出部６は、人体との接触によって帯電する部位であり、タッチパネルが有する静電容量の検出素子によって検出される部分である。
　本実施の形態における被検出部６は、直径５mmの円形の小領域として形成されており、同様の形状を成す複数の被検出部６が、被検出部６を設けない部位を混在させてカード１の略半分の領域（検出領域４）にマトリクス状に配置されている。被検出部６は導電性を有する幅の狭い導通路７によって前記導電部５と電気的に接続されている。導電部５は直径１２ｍｍ程度の円形領域として形成しており、人体との接触等を目的として設けたものであるが被検出部としての機能も発揮する部分である。

　上記の例では、複数の被検出部６と導電部５を接続するために、各被検出部６と導電部５を接続する幅の狭い導通路７をオフセット印刷若しくはシルクスクリーン印刷、インクジェットその他の印刷方法によってこれらを形成している。この例で重要なのは、導通路７を狭く形成し、導通路７自体が保持する電荷を少なくして、導電部５および被検出部６を検出する際にノイズとして作用しないようにすることである。
　指先の接触を検知するタッチパネルの場合、手指と導通させていても先の尖ったペンのようなものを接触させても入力と見なさない処理が行われる。これは検出した情報がノイズであるのか正しい入力であるのかを判定するのが難しいからであり、機器の誤動作を防止するためにタッチパネルに対して一定面積以上の接触があった場合に正しい入力であると判断する処理を行っている。また、大きすぎる面積の接触があった場合、すなわちタッチパネルの広範囲を占めるような導電物や人体の接触があった場合には入力とはみなさない処理を行っている。
　最近主流のスマートフォンやタブレット端末では、指先の接触する形状や面積にあわせて約直径５mm程度の円形領域が認識された場合、これを正しい入力として判定するようになっている。本実施の形態における被検出部６は、このような現在主流の機種に合わせて直径を約５mm程度の円形に形成している。

　電子機器１によっては入力と見なすことができる領域の大きさに差があり、機器の演算速度や処理プログラム等によっても判定精度の差が生じる場合がある。また、将来的に検出精度が向上した場合には被検出部６の形状や大きさの見直しが図られることになるが、上記直径５mmの円形というのは現時点の携帯端末１が有する平均的なスペックにあわせた大きさである。したがって、上記直径５mmの円形というのは一つの例であり固定的なものではない。
　要するに、静電容量の変化を入力として受け付けることができる大きさに合わせて被検出部５，被検出部６および導通路７の形状と大きさを設定する。そして、これら被検出部５，６等の配置や組み合わせを一かたまりの情報として取得し、ゲーム用カード２ａが有する固有の識別情報若しくはデータとして各種のプログラムで利用できるようにすることが本実施の形態の技術的な趣旨である。導通路７は認識されることを意図していないためできるだけ狭く形成される。

　図１２に示したゲーム用カード２ａの場合、ベースシート１７の肉厚が厚くなり過ぎないように配慮される。これは、ベースシート１７の肉厚が厚いと被検出部５，６と静電容量を検出部との距離が遠くなり検出精度が低くなるからである。検出部と被検出部間で保持される電荷量は距離の二乗に反比例して減少するので、遠ざかると被検出部の近接を判定しにくくなる。したがって、両者の距離は、コンデンサに用いる電極と同様に、電気的な導通を起こさないことを条件にできるだけ近接して配置されることが望ましい。

　図１３は、被検出部（導電部）５、被検出部６および導通路７の配置例に関する説明図である。図１３の上段に示した被検出領域４ａは、中央に被検出部５を配置するとともに縦列と横列に整列配置した被検出部６を有している。すなわち、検出領域４ａに保持可能な情報のパターンとして、中央部分を除いた縦列８行（ａｂｃｄｅｆｇｈ）と横列６段（ｉｊｋｌｍｎ）の組み合わせを有していることを表している。検出領域４ａとは、被検出部５、６を配置した領域のことであり、被検出部５，６の配置を一かたまりの情報として電子機器１に読み取らせる領域のことである。なお、図は説明のために配置可能な全ての位置に被検出部６を表示している。
　本実施例の場合、中央に設けた導電部５を除けば検出領域４ａ内の４４カ所に被検出部６の配置可能箇所が設けられる。同時に検出可能なタッチ数が５個の電子機器に合わせてカード２ａを形成する場合、中央に設けた導電部５と前記４４カ所として示された配置可能位置から選択した４カ所に被検出部６を配置する。これにより、カード２ａに５カ所の被検出部が設けられる。

　図１３の中段に示した被検出領域４ｂは、矩形に設定した検出領域４ｂの中央に被検出部５を配置するとともに四隅に被検出部６を設けたパターンを示している。すなわち、検出領域４ｂの輪郭を成す４カ所のポイント（ａ，ｎ）（ａ，ｉ）（ｈ，ｎ）（ｈ，ｉ）に被検出部６を設け、４箇所分のポイントに相当する中央領域に導電部５を設けた場合を表している。なお、図面上に示した導通路７の内、被検出部６に接続していない導通路７はできるだけ削除されることが望ましい。

　図１３の下段に示した被検出領域４ｃは、４隅の被検出部６に囲まれた任意の位置に被検出部６を配置した例を表している。なお、この例では不要な導通路７は省いている。
　以上の例のように、ゲーム用カード１に縦列８行と横列６段で構成される各位置に被検出部６の有／無という二値の情報が付与され、電子機器では検出領域４ｃ内の被検出部５、被検出部６の配置を一かたまりの情報として固有の識別情報やデータを得ることができるものである。当然ながら、不正使用防止や誤認識防止のために、被検出部６の配置情報を演算して一定の条件を満たさなければ情報として受け付けない等、データの偽造防止や信頼性を高めるためのチェック処置を行うことは適宜行われる。

　上記の例では、被検出部６はカードの内部に収容されているので、カードを破壊しなければ見ることはできないようになっている（もちろん、被検出部６およびこれに相当する電極部位を目視可能に露出させることは差し支えない）。使用者が被検出部６を目視できなければ、電子機器で読み取るまでカードが所持している情報を知ることができないので、秘密性がありゲームであれば進行の予測をつけにくくするなどの効果がある。
　本実施例のゲーム用カード２ａは、中央の導電部５を指先などで触れると、導電部５に接続されている他の被検出部６に人体と同様の静電的な電荷を保持させることになり、指先で触れたのと同様に導電部５および各被検出部６を検出させることができるようになる。このように本実施例にかかるゲーム用カード２ａは、被検出部５、６の配置に応じて固有の識別情報を保持し、電子機器に対して認識させることができるものである。

（実施例２）
　以上説明したように、上記の例は、導電部、被検出部および導通路を一平面上に単層として形成したものである。図１４に示したカード２０は、紙を素材としたベースシート２１と表層シート２２を貼りあわせて一枚に構成したものである。ベースシート２１には、前述した被検出部６、導通路７、導電部５からなる検出領域４と同様の検出領域を、ベースシート２１上に２個設けている。すなわち、ベースシート２１の略半分の領域に、被検出部２３ａ、導通路２４ａ、導電部２５ａからなる検出領域２６ａが設けられ、被検出部２３ｂ、導通路２４ｂ、導電部２５ｂからなる検出領域２６ｂが設けられている。そして、表層シート２２には導電部２５ａおよび導電部２５ｂに対応した位置に、それぞれ開口２７ａおよび開口２７ｂが設けられている。

　図１５は、上記構成のベースシート２１と表層シート２２を一枚に貼りあわせて形成したカード２０を表している。表層シート２２上には、それぞれ開口２７ａおよび開口２７ｂが設けられ、当該開口２７ａ、開口２７ｂを介して導電部２５ａおよび導電部２５ｂに触れることができるようになっている。
　当該構成のカード２０は、開口２７ａに触れると検出領域２６ａに設けられた被検出部２３ａの配列によって形成された一かたまりの情報が電子機器によって読み取り可能になる。また、開口２７ｂに触れると検出領域２６ｂに設けられた被検出部２３ｂの配列によって形成された一かたまりの情報が電子機器によって読み取り可能になる。
　このように、本実施例のカードは一枚のカードでありながら、複数組の情報を保持しかつ読み取らせることができるようになっているものである。

（実施例３）
　上記実施例のカードは、一枚のカードでありながら、一つの層に複数組の情報を保持しかつ読み取らせることができるように構成したものである。図１６に示した実施例は、上記の例と同様に一枚のカードに複数組の情報を保持したものであるが、その方式を異ならせたものである。
　図１６に示したカード３０は、紙を素材としたベースシート３１と中間層シート３２と表層シート３３を貼りあわせて一枚に構成したものである。ベースシート３１には、前述したものと同様の被検出部３４ａ、導通路３５ａ、導電部３６ａからなる検出領域３７ａが設けられている。中間層シート３２には、前述したものと同様の被検出部３４ｂ、導通路３５ｂ、導電部３６ｂからなる検出領域３７ｂが設けられている。また、導電部３６ａに対応する位置に、表裏貫通した開口３８が設けられている。
　表層シート３３には、中間層シート３２に形成した導電部３６ｂと対応する位置には表裏貫通した開口３９が設けられ、ベースシート３１の導電部３６ａおよび中間層シート３２の開口３８と対応する位置には表裏貫通した開口４０が設けられている。

　上記ベースシート３１、中間層シート３２および表層シート３３を全て貼りあわせると図１７に示す一枚のカード３０が形成され、カード３０の表面には２つの開口３９，４０が形成される。そして、表層シート３３の開口３９の内部には導電部３６ｂが接触可能に配置され、表層シート３３の開口４０の内部には、中間層シート３２の開口３８を介して導電部３６ａが接触可能に配置される。
　ベースシート３１の被検出部３４ａによって構成される検出領域３７ａと中間層シート３２の被検出部３４ｂによって構成される検出領域３７ｂは、積層方向において一致している。タッチパネル上の同一部位において、検出領域３７ａと検出領域３７ｂの双方に設けられている情報をそれぞれ取得できるようになっている。

　上記構成によって、開口４０を介して導電部３６ａに触れるとベースシート３１上に設けた被検出部３４ａが帯電してタッチパネルで認識可能になる。この際、導電部３６ｂも被検出部としてタッチパネルによって認識される。
また、開口３９を介して導電部３６ｂに触れると中間層シート３２上に設けた被検出部３４ｂが帯電してタッチパネルで認識可能になる。この際、導電部３６ａも被検出部としてタッチパネルによって認識される。
　そして、開口４０を介した導電部３６ａと開口３９を介した導電部３６ｂを同時に触れると、被検出部３４ａと被検出部３４ｂ双方を合成した情報が、一かたまりの情報としてタッチパネルで認識可能になる。
　本実施例は、このように一枚のカード（一個の入力デバイス）であっても、複数の情報を保持させることができるものとなっている。なお、図示したものは例示として多数の被検出部を設けているが、同時に取得できるマルチタッチ個数が５個～１０個の電子機器が多い。このため、このような電子機器用に用いる場合には、電子機器の性能に応じた個数の被検出部を設けることになる。

　（実施例４）
　上記入力デバイスを用いた情報の入力には、電子機器ごとに適合した読み取り用のプログラムが用いられる。当該プログラムは、電子機器を動作させる基本プログラムに組み込まれた一つの処理として設けられるものであったり、電子機器を動作させる基本プログラム上で動作するアプリケーションプログラムに組み込まれた一つの処理として用いられるものである。そして、ＣＰＵ機能を備えた制御装置、記憶装置、表示装置、タッチパネルとして形成された入力装置、その他コンピュータ手段として必要な各手段を有した電子機器の制御に使用するものである。

　本発明にかかるプログラムは、電子機器のメインプログラムやアプリケーションプログラムに連携した処理プログラムとして、前記各種形態の入力デバイスを用いたタッチパネルに対する入力を所定の情報若しくはデータとして受け付けるものである。
　本プログラムは、第一にタッチパネル上の検出領域を設定する。例えば、タッチパネルの全域あるいは特定の領域を検出領域として設定し、当該検出領域内にある検出素子によって静電容量の変化を検出する。
　検出した情報は、必要に応じてノイズを除去するフィルター処理を行い、正常であると見なした情報を取得する。そして、正常であると見なした物体の近接を検知する検出素子の位置情報に基づいて、前記タッチパネルに対向した前記物体の表面形状若しくは個数および配置を取得する。

　前記取得した情報は、物体があると見なした個々の検出素子の位置情報をそのままデータとして記憶する場合の他、物体があると見なした一定の範囲にある検出素子群を一つの検出単位として二値化（０あるいは１等に符号化）し記憶する。実施例１に示した入力デバイスのようなものが被検出対象であれば、被検出部が配置される位置は前述した行列配置のように定められているので、行列上の各位置における０或いは１の二値の検出情報を固定長のデータとして記憶する。
　検出した情報を検出素子ごとに二値化するとビットマップデータのような図形的なデータとして取得が可能であり、各被検出部を検出素子群によって検出すると二値化された前記固定長のデータとして取得される。このように検出されたデータは、コンテンツに応じて形成されるゲームその他のアプリケーションプログラム等に対して出力され、表示する動画の選択若しくは画像の変化、音声の発生、その他当該電子機器の動作に利用されるものである。

　また、アプリケーションプログラムによっては、タッチパネル上に置いた入力デバイスを移動させたり、回転させるなど動的に使用する場合もある。この場合、入力デバイスの移動や回転の検出は、検出した入力デバイスの前記図形的なデータ若しくは二値化した固定長データによって構成される一かたまりの情報単位の姿勢や、一定時間毎の位置を判定し、当該判定の前後における位置の差や想定され位置に到達しているか否か等を検出することによって入力デバイスの移動の有無、移動量等を検知する。
　これは、前述したルーレットのような回転体を使用する場合や、トレーディングカードゲームにおいてカードの向きを正常姿勢から９０度回転させたりするような入力デバイスの動作検知に使用することができるものである。

（実施例５）
　入力デバイスの他の構造例を説明する。
　図１９は、カード形の入力デバイス６０（６０ａ、６０ｂ、６０ｃ）の構成例を表している。符号６０を付けた入力デバイスの図には、矩形のカードと当該カード上に形成可能な被検出部の配置可能位置６１を表している。被検出部の基本的な配置可能位置６１は、１～３０の符号を付けて表した破線による円として表している。これら各配置可能位置は、６行５列からなる行列状の配置として設定されており、被検出部はこれらの中から選択した箇所に配置されるものである。この例では、直径８mmの円形領域が導電性のある被検出部として形成される。配置可能位置６１は、上記の配列で矩形の被検出領域の中に配置される。

　入力デバイス６０ａは、前記１～３０で示した配置可能位置の中から選択した４カ所の被検出部６２ａ、６２ｂ、６２ｃ、６２ｄと、これら４個の被検出部よりも面積の大きい一つの被検出部６３を有している。被検出部６３は、直径８mmの被検出部６２に対して略２倍の直径を有する直径１６mmの円形領域として形成したものである。図示した例では、被検出部６３は配置可能位置として示した９番、１０番、１５番、１６番の４カ所の中央位置を中心とした位置に配置されており、他の被検出部６２の略４個分の配置可能位置を占有している。そして、被検出部６３を中心とした配置可能位置との１番、１７番、２０番、２８番に他の被検出部６２ａ、６２ｂ、６２ｃ、６２ｄを配置し、被検出部６３と他の被検出部６２ａ、６２ｂ、６２ｃ、６２ｄをそれぞれ細い導線部６４で接続している。

　他より面積の大きな前記一つの被検出部６３と、当該被検出部６３よりも面積の小さな被検出部６２は、図示した外形のカード基材の上に設けられ、同様の紙、合成樹脂シート、印刷層の形成等により隠蔽される。この場合、被検出部６３および当該被検出部６３に接続した被検出部６２は、外部と絶縁される状態になるが面積の大きな被検出部６３を設けることによって、タッチパネルによって検出可能な程度の電荷（静電容量）を保持するようになっている。これにより、タッチパネルによって被検出部６３および被検出部６２の検出が可能となる。
タッチパネルは、被検出部６３の面積が大きくても、その中央位置を被検出部６３が存在している座標として認識することができる。また、他の被検出部６２も同様に、タッチパネルはその中央位置を被検出部６２が存在している座標として認識する。
　電子機器は、上記被検出部６３と被検出部６２の検出座標に基づき、入力デバイス６０ａが有するコード情報を取得し、前述した育成シミュレーションや各種動作プログラムに対する入力情報として利用することができる。

　入力デバイス６０ｂは、前記１～３０で示した配置可能位置の中から選択した１番、２１番、２５番、３０番の位置に被検出部６５ａ、６５ｂ、６５ｃ、６５ｄを設けている。また、これら４個の被検出部よりも面積の大きい一つの被検出部６６を配置可能位置の５番、６番、１１番、１２番の位置に設けている。被検出部６６を中心として４個の被検出部６５ａ、６５ｂ、６５ｃ、６５ｄを配置し、被検出部６６と被検出部６５ａ、６５ｃ、６５ｄを細い導線部６７によって接続している。また、この例では被検出部６６と被検出部６５ｂを結ぶ直線の中間近くに被検出部６５ｄがあるので、被検出部６６と被検出部６５ｄを導線部６７によって接続し、さらに被検出部６５ｂと被検出部６５ｄ導線部６７によって接続するという形態を採用している。
面積の大きな被検出部６６とこれより面積の小さな他の被検出部６５ｄは、原則として導線部６７によって直接接続されることが好ましいものである。しかしながら、導線部６７が極めて近接して隣り合うような場合には、一本に併合しても差し支えない。

　入力デバイス６０ｃは、前記１～３０で示した配置可能位置の中から選択した１番、１５番、３０番の位置に被検出部６７ａ、６７ｂ、６７ｃを設けている。また、これら３個の被検出部よりも面積の大きい被検出部６８ａ、６８ｂを配置可能位置の５番、６番、１１番、１２番の位置および１９番、２０番、２５番、２６番の２カ所に設けている。この例では、面積の大きな被検出部６８ａ、６８ｂを、矩形の被検出領域内の対角を成す位置にそれぞれ配置している。そうすると、面積の小さい他の被検出部６７ａ、６７ｂ、６７ｃは面積の大きな被検出部６８ａ、６８ｂによって挟まれるような配置になる。また、被検出部６７ａ、６７ｂ、６７ｃは、被検出部６８ａ、６８ｂの一方若しくは双方と導線部６９によって接続される。
　当該例を含め、前記１～３０で示した配置可能位置の中に、４カ所の配置可能位置を占有するような被検出部を設けると、その被検出部の中心位置は前述した配置可能位置とは合致しない異なる位置になる。これにより、前記１～３０で示した配置可能位置と、当該配置可能位置に該当しない位置との組み合わせが可能になり、識別可能な固有の配置の組み合わせを多く形成できるようになる。また、面積の大きな被検出部の配置を基準にすると、入力デバイスが適切な位置に配置されていないなどの検出が可能になり、必要に応じて使用者にメッセージを表示する等の対処ができるようになる。

上述した各入力デバイスは、何れも被検出部をカード内部に設けるなどの方法で外部からの接触ができなくなるように形成されている。しかしながら、外部と絶縁されていても、面積の大きな被検出部の位置を表面に施した印刷などで表示し、その位置を指によってタッチパネルに押しつけるよう指示をすることができる。絶縁されていても、人体による電気的な影響を与えることができるので、このような対処をすることで、検出の確実性を高めることができる。
また、図１１、１２に示した入力デバイスのように、各入力デバイス６０の表面を覆う部位に面積の大きな被検出部を表出させる開口を設けてもよい。開口を介して被検出部に人体が触れることで、人体が触れた被検出部に加えて、この被検出部に接続された他の被検出部の検出の確実性を向上させることができるものとなっている。

　本発明はタッチパネルによって認識可能な入力デバイスを、プログラムに対する操作、命令、情報を設定する手段として用いることができるものであり、上記育成シミュレーションの他、各種のゲーム、遊び、知育的装置に利用することができるものである。また、本発明の入力デバイスは、様々な用途の電子機器に対して利用可能である。

　１　電子機器装置
　２　入力デバイス（入力カード）
　３　画像表示手段
　４　被検出領域
　５　被検出部（導電部）
　６　被検出部
　７　導線部
　８　アプリケーション提供サーバー
　９　コード管理サーバー
　１０　コンテンツ提供サーバー
　１１ａ、１１ｂ、１１ｃ　オブジェクト
　１３ａ、１３ｂ、１３ｃ　ＧＵＩスイッチ
　１４　メッセージ表示部

Claims

　画像表示手段として複数のタッチ位置を検知することができる静電容量検知式タッチスクリーンパネルを備えた電子機器を用いたシステムであって、
　前記画像表示手段に、設定されるパラメータの変動に基づいて表示するオブジェクト画像の形態を変化若しくは他の画像に置き換える制御手段を有し、
前記パラメータの変動を、前記静電容量検知式タッチスクリーンパネルによって検出される複数の被検出部を有した入力デバイスによって行うことを特徴とする画像表示システム。
静電容量検知式タッチスクリーンパネルによって検出される複数の被検出部を有した入力デバイスであって、
　前記静電容量検知式タッチスクリーンパネルに対して直接若しくは間接的に接触する平面的な被検出領域を設けるとともに当該被検出領域中に前記被検出部を配置し、
　前記被検出領域中に配置した被検出部は、他より面積の大きな第１の被検出部と当該第１の被検出部の周囲に配置した当該第１の被検出部よりも面積の小さな他の被検出部を複数個配置し、
　前記第１の被検出部と前記他の被検出部を幅の細い導線部で接続したことを特徴とする入力デバイス。
　前記第１の被検出部および他の被検出部をカード状の基材上に配置するとともに、前記第１の被検出部を除く他の被検出部をシート、インク若しくは塗料により被覆したことを特徴とする請求項２記載の入力デバイス。