JP5733513B2 - 金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物及びその利用 - Google Patents
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Description
さらに、上記金属フィラー(A)は、上記金属微粒子(a−1)、および平均粒径0.1μm以上10μm以下の金属粉末(a−2)を含有することが好ましい。また、金属フィラー(A)は、金属微粒子(a−1)、および金属粉末(a−2)を含有し、金属フィラー(A)中の金属微粒子(a−1)の重量が5重量%以上であることが好ましい。
また、本発明によれば、(1):上記の金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物を基材上に塗布する塗布工程、
(2):上記(1)の工程で形成された塗膜を乾燥させた後、回路パターンが描かれたマスクを介して活性エネルギー線を塗膜へ照射してパターン形成する露光工程、
(3):上記(2)の工程で露光後の塗膜の未露光部分の金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物を現像液で除去する現像工程、
(4):上記(3)の工程で得られた回路パターンを120度以下で乾燥させる工程を
含むことを特徴とする電気配線回路パターンの形成方法を提供する。
更には、本発明によれば、上記電気配線回路パターンの形成方法を用いて、製造されるタッチパネル用基板、表示装置用基板、情報処理端末装置用基板などの電気配線回路基板を提供する。
また、本発明の金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物は(1)塗布、(2)露光、(3)現像、および(4)乾燥の各工程を経ることで、印刷法に比べ高繊細な回路パターンを形成できる。さらに、フォトリソグラフィー法に比べ製造工程が短く、かつエッチング工程を行う必要がないため低コストで回路パターンが形成可能であり、高繊細な電気配線回路基板を安価に製造することができる。
また、本発明の回路形成方法は、回路パターンを形成させる各工程において、120℃を超える温度で長時間の処理を必要としないので、耐熱性が高くない基板材料にも応用可能であり、目的に応じた基板材料の選択枝を広げることが可能となる。
以下、本発明の金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明で用いる金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物は、基材上に塗膜を形成することができ、かつ活性エネルギー線が照射された部分は重合して現像液に不溶となり、光が照射されなかった部分(非露光部分)は、現像液に溶解するものであればよい。
さらに、金属フィラー(A)は、上記金属微粒子(a−1)と金属粉末(a−2)を組合せることで、金属微粒子(a−1)を単独で用いた場合より、高い導電性が得られる。
本発明に用いる金属フィラー(A)は、平均粒径5nm以上100nm未満の導電性を有する金属微粒子(a−1)を単独で含むものを用いてもよく、上記金属微粒子(a−1)、および平均粒径0.1μm以上10μm以下の金属粉末(a−2)の両方を含有するものを用いてもよい。
本発明に用いる導電性を有する金属微粒子(a−1)は、平均粒径が5nm以上100nm未満の導電性材料であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、金、銀、銅、白金族金属などの貴金属、もしくはニッケル、アルミニウムなど導電性の高い単体の金属微粒子、もしくはこれらの合金の金属微粒子などを例示することができる。また、単体の金属微粒子、もしくはこれらの合金の金属微粒子を2種類以上を組合せて用いてもよい。中でも導電性の点で、金、銀、銅、もしくはその合金の金属微粒子が好ましく、銀、もしくはその合金の金属微粒子がより好ましい。
本発明の金属フィラー(A)に用いる金属粉末(a−2)は、平均粒径が0.1μm以上10μm以下の金属粉末であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、金、銀、銅、白金族金属などの貴金属、もしくは、ニッケル、アルミニウムなど導電性の高い単体の金属粉末、もしくはこれらの合金の金属粉末などを例示することができる。また、単体の金属粉末、もしくはこれらの合金の金属粉末を2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、導電性の点で、金、銀、銅、もしくはその合金の金属粉末が好ましく、銀、もしくはその合金の金属粉末がより好ましい。
本発明に用いる光硬化性樹脂組成物(B)は、電子線、紫外線、可視光線などの活性エネルギー線を照射することにより光硬化性を示すものであれば、特に制限無く使用することができる。例えば、代表的なものとしては光反応性基を有するポリマーやオリゴマーであり、それらと光反応性モノマーとの混合物であってもよい。また、光反応性基を有さないポリマーやオリゴマーであっても、光反応性モノマーと混合することで光硬化性樹脂組成物としての要求特性を充足するものであれば、当該混合物も使用可能である。また、光反応性モノマー、オリゴマー、及びポリマーは2種以上を混合して使用することもでき、又は単独で使用することも可能である。
光硬化性樹脂組成物(B)に使用するバインダーポリマー(b−1)としては、現像工程において現像液に可溶な高分子化合物であればよく、特に限定されないが、一般に現像液としてアルカリ水溶液を用いるため、分子中にカルボキシル基やスルホン基などを有する高分子化合物を用いることが好ましい。
また、共重合可能なエチレン性不飽和単量体成分(ii)は、上記以外にも例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリルなどを用いてもよい。
具体的には、不飽和多塩基酸無水物(例えば、無水マレイン酸など)と、ビニル基を有する芳香族炭化水素(例えば、スチレンなど)、又はビニルアルキルエーテルなどとの共重合体に、分子中に光反応性のエチレン性不飽和基と1個のヒドロキシル基とを有する化合物とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリマー、カルボキシル基を有さないエチレン性不飽和単量体とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とからなる共重合体中のカルボキシル基の一部を、エポキシ基を1個のみ有するエチレン性不飽和化合物と反応して得られるカルボキシル基を有するポリマー、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を重合単位として含む重合体、又は共重合体にエチレン性不飽和モノカルボン酸、および飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有するポリマーなどを例示することができる。
光重合性の多官能モノマー(b−2)として、多価アルコールとα、β―不飽和カルボン酸との反応生成物も用いることができる。例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレングリコール付加物トリアクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを例示することができ、これらは単独であるいは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
光反応開始剤(b−3)は、活性エネルギー線の波長に吸収帯を有し、硬化(重合)反応の開始種を生成する化合物であればよい。一般には、活性エネルギー線としてはランニングコストの面から紫外線が用いられることが多い。また、光反応開始剤としては、開始剤の種類が豊富、かつモノマーの反応性が高いことからラジカル反応開始剤が用いられる。
ラジカル反応開始剤の具体例としては、ベンゾイン、アセトフェノン、2−メチルアントラキノン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、2,4−ジイソプロピルキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などを例示することができる。
さらに、光硬化性樹脂組成物(B)には必要に応じて、溶媒(b−4)を含んでいてもよい。使用することができる溶媒としては、上記バインダーポリマー、光重合性の多官能モノマー、光反応開始剤などを溶解させる液媒体であれば、特に制限なく使用することができる。なお、光硬化性樹脂組成物を溶媒に完全に溶解させる必要はなく、本発明の光硬化性樹脂組成物を全体として、ペースト状体を維持できるものであれば、該全成分を溶解させる能力は必ずしも要求されない。
溶媒(b−4)として、例えば、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−ブチルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコールなどの直鎖、分岐、2級あるいは多価のアルコール類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、スワゾールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)などの石油系芳香族系混合溶剤、セロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類、プロピレングリコールメチルエーテルなどのプロピレングリコールアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールメチルエーテルなどのポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル類、N−メチルピロリドン、およびジアルキルグリコールエーテル類などを例示することができる。なお、これらはそれぞれを単独であるいは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
その他の添加剤として、反応性希釈剤、重合禁止剤、光重合促進剤、および増感剤などを用いることができる。
本発明における電気配線回路形成パターン形成方法は、
(1):上記金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物を基材上に塗布する塗布工程、
(2):上記(1)の工程で形成された塗膜を乾燥させた後、回路パターンが描かれたマスクを介して活性エネルギー線を塗膜へ照射してパターン形成する露光工程、
(3):上記(2)の工程で露光後の塗膜の未露光部分の金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物を現像液で除去する現像工程、
(4):上記(3)の工程で得られた回路パターンを120度以下で乾燥させる工程を
含むことを含むことを特徴とする。
本発明の塗布工程に用いることのできる基材は、耐熱性のあるガラス、セラミックス以外の基材も使用することができる。例えば、樹脂基材、フィルム状樹脂基材などを例示することができ、この場合耐熱温度が200℃以下のものを使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などの耐熱性が低い基板を用いることができる。また、密着性の点で、基材表面が、易接着処理されたものを用いることが好ましい。また、基材表面にITO(酸化インジウムスズ)、もしくはZnO(酸化亜鉛)などでスパッタリングされたもの用いてもよい。
塗布後に乾燥を行う場合は、50〜120℃で、5〜30分間の範囲内で行うことができる。なお、乾燥温度と乾燥時間は、使用する基材の耐熱性、あるいは金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物中の感光性成分の露光感度に応じて適宜決定すればよい。また、乾燥方法は、溶媒が容易に蒸散できれば特に限定されず、乾燥装置としては、ホットプレート、オーブンのほかに減圧乾燥装置なども使用可能である。
金属微粒子M1:銀微粒子(平均粒径33nm、徳力化学研究所製)
金属粉末M2:銀粉末(擬球形状、平均粒径2.5μm、福田金属箔粉工業株式会社製)
光硬化性樹脂R1:エポキシ系光硬化型樹脂(モノマー、ポリマー混合、互応化学株式会社製、Z561)
光硬化性樹脂R2:アクリル系光硬化型樹脂(モノマー、ポリマー混合、互応化学株式会社製、SK1672)
光反応開始剤I1:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(東京化成工業株式会社製)
光反応開始剤I2:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製)
金属フィラーとして金属微粒子M1のみを用い、以下(1)〜(3)に示す方法で回路パターンを形成した。
組成物の重量の合計が20gとなるように、金属微粒子M1を95重量%、光硬化性樹脂R2を4重量%、光反応開始剤I2を1重量%それぞれ秤量した。これを遊星ミル(シンキー製あわとり練太郎AR−100)にて10分間混練を行った。この際、樹脂組成物が熱を持ち過ぎないよう、1分おきに取り出して室温まで冷却した後、再び混練を行うことで、ペースト状の金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物を作製した。
厚さ100μmの片面易接着処理済みPETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製O3)を基材とし、この処理面側の表面に上記の金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物を塗膜の厚さが10μmとなるように、アプリケーターにて塗布を行った。次いで塗膜の乾燥を行うために、80℃で10分間の乾燥を行った後、ライン/スペースを50/50(μm)のパターンをフォトマスクに描いたものを介して、メタルハライドランプを用いて積算値で700mJ/cm2となるように紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化させた。
次いで、1%炭酸ナトリウム水溶液を現像液に用いて、未露光部分を除去し、水洗により不要な現像液を除去した。この後水分除去の為、80℃で20分間の乾燥を行った。
得られた回路パターンについて、比抵抗、現像による解像度、基材との密着性の評価を下記に記載の方法で実施した。
比抵抗の測定は四探針法抵抗率計ロレスタ−AX(株式会社三菱化学アナリテック製)を用い、JIS K7149に準じて測定した。導電性が得られなかったものは×と示す。
解像度の評価は、現像処理後の回路パターンを落射照明型の光学顕微鏡を用いて倍率100倍にて観察し、スペース部分の樹脂組成物残渣の有無で評価した。樹脂組成物残渣が確認されなかったものを○、確認されたものを×と示す。
基材との密着性の評価は、JIS H8504テープ試験方法に準じて引きはがし試験を実施した。回路パターンの剥離の有無について確認した。塗膜が剥離しなかったものを○と示す。
Claims (6)
- 平均粒径が10nm以上50nm未満の導電性を有する銀微粒子(a−1)と平均粒径0.1μm以上10μm以下の銀粉末(a−2)を含有する金属フィラー(A)と、
バインダーポリマー(b−1)、光重合性の多官能モノマー(b−2)、光反応開始剤(b−3)を含有する活性エネルギー線照射で硬化する光硬化性樹脂組成物(B)とを含有し、
金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物中の金属フィラー(A):光硬化性樹脂組成物(B)の重量比が80:20以上98:2未満の範囲であることを特徴とするフィルム状樹脂基板用金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物であって、
金属フィラー(A)中の銀微粒子(a−1)の重量が10重量%以上である。 - さらに、光硬化性樹脂組成物(B)中に溶媒(b−4)を含有する請求項1に記載のフィルム状樹脂基板用金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物。
- 光硬化性樹脂組成物(B)中の組成比が、バインダーポリマー(b−1):光重合性の多官能モノマー(b−2):光反応開始剤(b−3):溶媒(b−4)=8〜95:1〜50:0.01〜20:0〜90重量%である請求項1または2に記載のフィルム状樹脂基板用金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物。
- (1):請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム状樹脂基板用金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物を基材上に塗布する塗工工程、
(2):上記(1)の工程で形成された塗膜を乾燥させた後、回路パターンが描かれたマスクを介して活性エネルギー線を塗膜へ照射してパターン形成する露光工程、
(3):上記(2)の工程で露光後の塗膜の未露光部分のフィルム状樹脂基板用金属微粒子含有光硬化性樹脂組成物を現像液で除去する現像工程、
(4):上記(3)の工程で得られた回路パターンを40℃〜120℃で乾燥させる工程を含むことを特徴とする電気配線回路パターンの形成方法。 - 上記基材が、PET上にITO(酸化インジウムスズ)、もしくはZnO(酸化亜鉛)をスパッタリングしたものを用いることを特徴とする請求項4に記載の電気配線回路の形成方法。
- 請求項4、又は5に係る電気配線回路の形成方法を用いて製造した電気配線回路基板。
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