JP5731598B2 - 荒れ肌の評価方法 - Google Patents

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本発明は、荒れ肌の評価方法に関する。
ヒトの皮膚は常に外界と接触しており、さまざまな刺激を受けている。その刺激の代表的なものは紫外線である。紫外線は、外見上は大きな変化を肌に与えていない場合であっても、皮膚細胞のDNAの切断やコラーゲンの変性などを誘発し、皮膚老化の原因となっている。紫外線は常に肌にストレスを与え続けている。また女性にとっては、洗顔や化粧といった日常的な行為も皮膚に刺激を与えており、このような皮膚の外的刺激が蓄積されると肌荒れとして認識される状態となる。肌荒れは一時的な症状を指すが、これが持続した状態を「荒れ肌」という。
「荒れ肌」とは、乾燥しカサカサした皮膚の症状が持続した状態の総称であり、その最も顕著な臨床所見は鱗屑である。このような荒れ肌状態と皮膚のバリア機能との間には密接な関係があり、荒れ肌状態が大きいほどバリア機能の客観的な指標である経皮水分蒸散量(以下、TEWLという)が高いことが知られ、物理的・化学的要因によって生じた肌荒れ状態の指標としてTEWLが測定されている(非特許文献1:日皮会誌、第92巻、第1001頁−1003頁、1982年)。
この荒れ肌は、前述のとおり紫外線、化学物質やその他様々な刺激が、皮膚内部環境に影響を及ぼし、表皮のバリア機能が阻害された結果生じるものと考えられている。このような状況を皮膚が呈するようになると、皮膚内部では細胞の増殖・分化に影響を及ぼすプ
ロスタグランジンやサイトカイン濃度の上昇(非特許文献2:J.Invest.Dermatol、Vol.81、519-523、1983)、核酸(DNA)合成能の亢進(非特許文献3:Journal of Clinical Investigation、Vol.87、1668−1673、1991)、バリアー機能と密接な関係があるTEWLの上昇(非特許文献4:J. Lipid. Res.、Vol.26、418−427、1985、Vol.30、323-333、1989)等の変化が生じる。しかしながら、これらの現象の関連性についての報告は少なく、その詳細なメカニズムは不明である。このため、荒れ肌の指標はこれまで、本人の申告や、肉眼的な所見に頼っており、明確な指標がなかった。
また潜在的な荒れ肌状態の者も存在するが、このような表面に出現しない潜在的な荒れ肌を検出することは困難であった。この潜在的な荒れ肌状態の肌質の一つが所謂敏感肌であるともいえる。
化粧料及び医薬部外品等の皮膚外用剤に配合する有効成分の有用性評価は、in vitro試験による1次スクリーニング、動物を用いた試験による2次スクリーニング、ヒトを用いた使用試験の順に進められる。しかし、荒れ肌の様にメカニズムが複雑でその要因を特定出来ない場合には、各メカニズムに関与するステップに着目した生体外試験を実施するのは非常に困難であり、最終的な評価は、荒れ肌の程度を指標としたヒトで試験するしかないが、このときの指標はあくまで官能的な評価と、肉眼や顕微観察(マイクロスコープ観察)など非定量的な方法が主流であった。
近年上記の課題を解決するために幾つかの提案がなされている。特許文献1(特開平11−76168号公報)には、皮膚をジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)のアルコール溶液に接触させ、着色の程度をはかる方法が提案されている。特許文献2(国際公開第2006/098523号)には皮膚角層の扁平上皮細胞癌関連抗原を指標とする方法が開示されている。また特許文献3(国際公開第98/40045号)には、真皮コラーゲン線維束の秩序度合いの変化量を指標とする方法が開示されている。さらにまた特許文献4(特開2010−71917号公報)には皮膚から水を用いてピロリドンカルボン酸を抽出して、その抽出量で評価する方法が提案されている。
本発明は、従来全く着目されていなかったガレクチン−7の新しい機能を見出し、それを初めて利用する提案である。ガレクチンとは、ガラクトース(β−ガラクトシド構造)を認識し結合あるいは糖鎖同士を架橋する蛋白質の総称である。発生、分化、形態形成、腫瘍転移、アポトーシス(細胞死)といった生命現象に関与することが明らかになっている。現在、哺乳類のガレクチンとしてガレクチン−1から−15まで15種類) が知られている。ヒトの場合、−5,−6,−14,−15に相当するものがなく、現在のところ10種類であるが、今後さらに増える可能性がある。ガレクチンは、その形から大きく3つのサブグループに分けられている。第1のグループは、糖鎖と結合する部分(糖鎖結合ドメイン2):carbohydrate recognition domain, CRD)を1つ持っているプロトタイプ(proto−type)、2番目は1個の糖鎖結合ドメインに糖鎖とは結合しない別のドメインが繋がった構造を持つキメラタイプ(chimera−type)、3番目は2つの糖鎖結合ドメインから成るタンデムリピートタイプ(tandem−repeat−type)である。プロトタイプとキメラタイプは糖鎖結合ドメインを1つしか持っていないが、2つの分子が結合すること(ダイマー形成)によって、実質的にタンデムリピートタイプと同じように2つの糖鎖と結合する。
ガレクチン−7は哺乳動物重層上皮で検出され、ケラチノサイトでは基底層から角質層まで検出される。重層上皮分布は表皮、食道上皮、扁平上皮化した気道上皮、子宮外頸部上皮、下咽頭から喉頭上皮、肛門上皮などが属する。ケラチノサイトにおけるガレクチン−7の発現はCa2+濃度に影響されないことから角質化の程度により制御されないことがわかった(非特許文献5:Differetiation、1998、63、159-168)。一方、繊維芽細胞には発現は確認されていない。また、ガレクチン−7はレチノイン酸によりわずかに減少することがわかっている(非特許文献6:Developmental Biology 168、259-271(1995))。
ガレクチン−7はp53(癌抑制遺伝子)によって誘導され、PIG1(P53−induced gene1)に指定されて、アポトーシスに関与していると報告がある。ガレクチン-7の発現が強化されたカスパーゼ−3活性とポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの開裂を引き起こす(非特許文献7:J Biol Chem. 2002 Feb 1;277(5):3487−97. Epub 2001 Nov 8.)。ケラチノサイトをUVBで照射するとガレクチン−7の発現が急増し、JNK−BaX経路を経て、ケラチノサイトのアポトーシスを引き起こすことが知られている(非特許文献8:Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 Sep 28;96(20):11329-34)。
また、特許文献5(特開2006−182744号公報)にはガレクチン−7発現促進物質のスクリーニング方法及びガレクチン−7成分配合の組成物を塗ることで保湿作用や皮膚症状改善作用が開示されている。さらに特許文献6(特開平9−216833号公報)にはガレクチンの1種又は2種以上を含む外用剤が皮膚のしわ、弾力低下といった老化症状の予防、改善および創傷治癒効果を有することが開示されている。
特開平11−76168号公報 国際公開第2006/098523号 国際公開第98/40045号 特開2010−71917号公報 特開2006−182744号公報 特開平9−216833号公報
日皮会誌、第92巻、第1001頁−1003頁、1982年 J.Invest.Dermatol、Vol.81、519-523、1983 Journal of Clinical Investigation、Vol.87、1668−1673、1991 J. Lipid. Res.、Vol.26、418−427、1985、Vol.30、323-333、1989 Differetiation、1998、 63、159-168 Developmental Biology 168、259-271(1995) J Biol Chem. 2002 Feb 1;277(5):3487-97. Epub 2001 Nov 8. Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 Sep 28;96(20):11329-34
上述したように、荒れ肌の程度を評価し客観的に評価する方法が望まれている。本発明は、外科的に皮膚を摘出し皮膚に刺激を与えることがない方法であって、荒れ肌かどうかを簡便かつ確実に評価することができる生化学的指標を用いた新規の評価方法を提供することを課題とする。
本発明は以下の構成である。
(1)皮膚角層のガレクチン−7の発現量を測定し、測定結果が500pg/μg全蛋白を超える値を示す場合を、荒れ肌と評価することを特徴とする荒れ肌の評価方法。
(2)皮膚角層をテープストリッピング法又は擦過法により採取する採取工程と、前記採取工程で採取された角層細胞におけるガレクチン−7の発現量を測定する測定工程と、あらかじめ設定した基準値と比較する比較工程とを備えたことを特徴とする(1)に記載の荒れ肌の評価方法。
本発明の評価方法によれば、荒れ肌の程度を角層におけるガレクチン−7の発現量を測定することで評価できる。またこのガレクチン−7発現量を指標として、簡便に潜在的な荒れ肌を検出することができる。さらに、本発明の評価方法は、テープストリッピング法など簡便な操作方法で評価試料を採取するため、被験者の負担が少なく、だれでも簡単に評価することが可能となる。また生化学的な試験方法であり、誰が測定しても同一の結果が得られるため、従来のような専門家の面談方式によるカウンセリングが必要なくなる。
また本発明の方法によって化粧料などの効果を客観的に評価することが可能となる。
ヒトの部位別のガレクチン−7の発現量を測定した図である。 SDSによる強制荒れ肌モデルのガレクチン−7の発現量を測定した図である。 アセトンによる強制荒れ肌モデルのガレクチン−7の発現量を測定した図である。 健常肌の608名のガレクチン-7発現量と発言頻度のグラフであるである。 ガレクチン−7とTEWLの相関を確認した図である。 保湿性の高いクリーム14日間連用前後のガレクチン−7の発現量の変化を示す図である。 保湿性の高いクリーム14日間連用前後のTEWL値、角層水分量値の変化を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の評価方法は、皮膚角層におけるガレクチン−7の存在量を指標とすることを特徴としている。
本発明における荒れ肌とは、乾燥し、カサカサした状態で、鱗屑が出現する症状が持続する肌質をいう。また敏感肌とは、明らかな皮膚病変はないが不利、有害な反応が起こりやすい肌であって、潜在的な荒れ肌である肌質をいう。また、健常肌より外界刺激に対する抵抗性が低く、容易に皮膚トラブルが生ずる肌ともいえる。一方、健常肌とは、上記のような荒れ肌や敏感肌の性質を示さない健康で正常な肌である。敏感肌においては、TEWLが高くなる、高周波伝導度(角層水分量)が低くなる等の傾向があることが知られている。また、敏感肌と呼ばれる肌質では、かぶれや肌荒れが起こる場合がある。
角層は、皮膚の一番上にある組織であり、体の外からの異物や刺激から皮膚を守る働きを有している。
本発明における評価対象部位は、角層を得られる部分であれば、いかなる部位をも包含しうるが、主な部位としては顔面、頚部、上腕部を挙げることができる。従来の方法に従い、これらの部位の皮膚由来の角層を得ることができる。しかし、前述のように、外科的に皮膚を摘出する等の方法は、ユーザーに負担を与えるため、テープストリッピング、擦過等の簡便に角層を得られる方法が好ましい。
こうして用意した各試料におけるガレクチン−7の発現量は、従来から知られている方法で測定することができる。例えば、ガレクチン−7に対する抗体との反応に基づくエンザイムイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、ウエスタンブロッティング等の方法を用いることができる。このような測定手段はすでに市販されており、代表的なガレクチン−7のエンザイムイムノアッセイキットとしてはアブカム社(Abcam)製のGalectin 7 Human ELISA KitやR&D systems社製のELISA Kitを例示することができる。
各試料からガレクチン−7をそれ自体既知の生化学的方法、たとえば凍結融解法、超音波破砕法、ホモジュネート法等を介して可溶性画分を調製する。なお、抽出後は速やかに測定する。
荒れ肌は、健常肌にくらべて角層におけるガレクチン−7の発現量が有意に高いため、角層におけるガレクチン−7の発現量の多寡を指標として、簡便にストレスの蓄積度又は肌が荒れ肌であるかどうかを評価できる。本発明に用いる角層は、テープストリッピングといった角層の表層部分のみを角質テープで採取する簡単な方法で採取することができる。また、本発明は、皮膚に紫外線や化学物質等の刺激を与えることなくガレクチン−7の発現量を測定できる。このため、ユーザーに負担を与えることなく、ユーザーの肌が荒れ肌であるかどうかを評価することができる。特に、ユーザーの肌により適した化粧品やケミカルピーリング剤を簡単に選択することができ、それによって、皮膚の炎症等の肌トラブルや副作用を回避し、化粧品によるスキンケア効果をより発揮させることができる。
本発明の評価方法は、角層を採取する採取工程と、前記採取工程で採取された角層におけるガレクチン−7の発現量を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたガレクチン-7の発現量を健常肌の角層におけるガレクチン−7の発現量と比較する比較工程から構成される。以下にこの評価方法について説明する。
まず、上記のようにして測定されたガレクチン−7の発現量を被験者自身の健常肌の角層におけるガレクチン−7の発現量と比較する。また、被験者のある評価対象部位の角層におけるガレクチン−7の発現量を測定し、測定されたガレクチン−7の発現量を、健常肌を有する人の同一評価対象部位の角層におけるガレクチン−7の発現量と比較してもよい。健常肌を有する人の角層のガレクチン−7の発現量は、複数人の健常肌を有する人からのデータの平均値を使用することによって、より客観的な評価ができる。より具体的には、無作為に抽出した被験者のガレクチン−7の発現量分布から、健常肌の分布を設定できる。
このように比較した結果、測定されたガレクチン−7の発現量が、健常肌のガレクチン−7の発現量より有意に大きい場合には、ストレスの蓄積が大きいと評価し、荒れ肌を呈していなくとも、敏感肌である可能性が高いと判断することができる。この健常肌の試料は、ガレクチン−7を測定する者から採取してもよく、ガレクチン−7を測定する者と異なる者から採取してもよい。
また、被験者のある評価対象部位の角層におけるガレクチン−7の発現量が、健常肌を有する人の同一評価対象部位の角層におけるガレクチン−7の発現量より有意に大きい場合にも、ストレスの蓄積が大きいと評価する。そして、所見では荒れ肌を呈していない場合であってもこの数値が顕著に高い場合に敏感肌を有すると評価する。
すなわちストレス蓄積が高いと評価する場合、測定されるガレクチン−7の発現量の程度により、ストレスの蓄積度合の程度を評価できる。測定されるガレクチン−7の発現量が健常肌のそれと比較して著しく多い場合は、その肌は、荒れ肌の性質を強く示す、と評価する。そして、健常肌より外界刺激に対する抵抗性が顕著に低く、きわめて容易に皮膚トラブルを生ずる可能性が高い、と判断する。また、測定されるガレクチン−7の発現量が健常肌のそれと比較して少量だけ増加している場合は、その肌はストレスの蓄積が健常肌よりあり、外界刺激に対する抵抗性が低く皮膚トラブルを生ずる可能性は低いものの軽度の敏感肌である可能性がある、と評価できる。
以下、具体的な実施例について説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
1.ヒトの部位別のガレクチン-7の発現量の測定
<被験者>
健常肌の男女35名(アトピー性皮膚炎(AD)既往者含む)の頬、前腕内側部、臀部からサンプルを採取した。
<角層サンプル抽出方法、タンパク定量>
被験者の頬、腕、臀部に角層チェッカー(アサヒバイオメッド社)を貼り付け、角層を採取した。角層チェッカーからビーズ法(容器に検体と直径約2mmのガラスビーズと抽出液を入れて振盪抽出する方法)にてT-PER抽出バッファー(Tissue Protein Extraction Reagent Thermo Scientific製(product# 78510)))500μlを用いて角層タンパク質の抽出を行った。各サンプルのタンパク質量はPierce BCA protein Assay Kit (Thermo Scientific #23225)で測定した。測定には前記角層タンパク質抽出液10μlにPierce BCA protein Assay Kitの反応試薬液200μlを加え、60℃で30分間インキュベーションしたのち、562nmの吸光度を測定した。同時にBSAで検量線をひき、吸光度の値からタンパク質量を算出した。
<角層中のガレクチン−7の測定>
同様にテープから抽出した角層タンパク質抽出液をR&D systems社製のELISAキット(galectin-7:DY1339E)を用いてガレクチン−7の発現量を測定した。まず、costar社製の96wellプレート(#3590)に1次抗体となる固相化抗体をキット指定の濃度で20℃、overnightで固相化した。次に1%BSA、37℃で1時間プレートをブロッキングし、0.01% Tween-PBSでプレートを洗浄したのち、検量線となるスタンダードおよびサンプルを100μlずつアプライし、25℃で2時間インキュベーションした。0.01% Tween-PBSでプレートを洗浄したのち、2次抗体をキット指定濃度で25℃で2時間インキュベーションした。さらに、0.01% Tween-PBSでプレートを洗浄したのち、Streptavidin-HRPをキット指定濃度で25℃で30分間インキュベーションした。最後に、0.01% Tween-PBSでプレートを洗浄したのち、発色基質であるTMB solution (Promega, G7431))を100μl/wellで加え、キット指定の時間の後、stop solution (0.5M 硫酸)を100μl加え、450nmの吸光度を測定し、発現量を算出した。
<結果>
測定結果を図1に示す。
図1から明らかなように、日常的に外界刺激に晒されている頬は、いわゆる荒れ肌が通常出現しない腕や臀部(お尻)に比して顕著にガレクチン−7の発現量が高まっていることが確認できた。この試験結果から、荒れ肌、敏感肌の指標としてガレクチン−7が有用であることが明らかとなった。
2.人工的荒れ肌モデルにおけるガレクチン−7の発現量の変化
<SDSによる荒れ肌モデル作成>
<被験者>
健常肌の女性14名を被験者として試験を実施した。
左前腕内側部に界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、以下SDS)10%溶液を2プッシュとり、100回往復する。お湯(35℃、1L)をかけ流し、界面活性剤を洗い流した。また対照として右前腕内側部にもお湯(35℃、1L)をかけ流した。この操作を1日4回、1回の操作に1時間以上開けた状態で繰り返した。これを2日間続け、荒れ肌モデルを人工的に作成した。
<角質採取>
SDS洗浄なし、洗浄ありのそれぞれの部分の角層を深さ方向に4枚ずつ採取した。角層を採取した日は洗浄前と洗浄後4、8、12日目に採取した。
<角層サンプル抽出方法、タンパク定量、ガレクチン−7の測定>
上記1.の方法と同様に測定した。
<結果>
被験者の個別測定結果を図2に示した。荒れ肌作成処理後8〜12日目にガレクチン−7の測定結果が顕著に上昇することが確認された。
<アセトンによる荒れ肌モデル作成>
<被験者>
健常肌の女性3名を被験者として試験を実施した。
上下があいたガラス製ロート(径3cm)をゴムバンドで固定し、アセトン(WAKO特級)/ジエチルエーテル (WAKO特級)等量混液をロート内にピペットマンで2ml注入し、シェーカーの上に両腕を置いて20分間処置した。
次にロート内のアセトン/ジエチルエーテル混液をスポイトで除いた後、水道水を注入し、シェーカーの上に両腕を置き5分間処置した(脱脂処置)。翌日、同一部分に同様に操作して再度脱脂処置を行い、乾燥皮膚を作成した。また、水道水のみで処理した部位を対照とした。
<角質採取>
アセトン無処理、処理部位の角層を深さ方向にそれぞれ4枚ずつ採取した。採取した日はアセトン処理前日であり、アセトン処理後1、5、8、12、16、20日目に採取した。
<角層サンプル抽出方法、タンパク定量、ガレクチン−7の測定>
上記1.の試験方法と同様に操作した。
<結果>
被験者の個別測定結果を図3に示した。荒れ肌作成処理後8〜12日目にガレクチン−7の測定結果が顕著に上昇することが確認された。
以上の荒れ肌モデル作製試験の結果から荒れ肌の発生に伴ってガレクチン−7が上昇することが確認された。
3.健常肌のガレクチン−7の測定
<被験者>
健常肌の男女608名(アトピー性皮膚炎既往者を含む)の頬サンプルを採取しガレクチン−7の分布を確認した。またうち35名の被験者については、従来の荒れ肌の評価指標であるTEWLを測定し、ガレクチン−7の測定結果との相関関係の有無を確認した。
<角層サンプル抽出方法、タンパク定量>
上記1.と同様に被験者の頬に角層チェッカー(アサヒバイオメッド社製)を貼り付け、角層を採取した。
<角層中のガレクチン−7の測定測定>
上記1.と同様にテープから抽出した角層タンパク質抽出液をR&D systems社製のELISAキット(galectin-7:DY1339E,)を用いてガレクチン−7の発現量を測定した。
<TEWL値>
TEWLはキーストン社製のDelfinを用いて2回ずつ測定した平均値を解析に用いた。
<結果>
608名のガレクチン−7測定結果を表1及び図4に示す。
図4によると、健常肌の頬皮膚のガレクチン−7は、435pg/μg以内に80%が属することがあきらかとなった。また被験者の聞き取り調査から、アトピー性皮膚炎の既往者や肌荒れしやすいなどの自覚を持つ者は、大半が500pg/μg以上のガレクチン−7を示すことが確認された。したがって、例えばガレクチン−7の測定値500pg/μgを荒れ肌の指標とすることができる。
またTEWLとの相関を図5に示す。
ガレクチン−7とTEWLには一定の相関関係が存在することが確認できた。
以上の試験結果からガレクチン−7の測定は、荒れ肌の指標として有用であり、さらにTEWLでは検出できない潜在的な荒れ肌の検出が可能であるものと判断した。
4.荒れ肌改善に伴うガレクチン−7の変動
<試験内容>
ガレクチン−7の発現量の高い人は荒れ肌の傾向にあるため、ガレクチン−7の発現量の高い人に保湿性の高いクリーム(ファンケル社製 FDRクリーム)を塗布することにより、荒れ肌が改善し、ガレクチン−7が低下するか確認し、併せてガレクチン−7の荒れ肌指標としての有用性を確認した。
<被験者>
ガレクチン−7の発現量の高い(平均約1400pg/μg protein)10名を被験者とした。
<クリームの連用>
被験者に、14日間、朝晩1回ずつ、日常使用している保湿化粧料を塗布した上から、保湿性の高いクリーム(ファンケル社製 FDRクリーム)を塗布させた。
<角層サンプル抽出方法、タンパク定量>
上記1.と同様に角層チェッカー(アサヒバイオメッド社製)を用いて、保湿性の高いクリーム連用前後の頬の角層を採取した。上記1.と同様に角層のタンパク質量を測定した。
<角層中のガレクチン-7の測定>
上記1.と同様にテープから抽出した角層タンパク質抽出液をR&D systems社製のELISAキット(galectin-7:DY1339E,)を用いてガレクチン−7の発現量を測定した。
<TEWL値>
TEWLはキーストン社製のDelfinを用いて、保湿性の高いクリーム連用前後に、洗顔し乾燥させた頬を2回ずつ測定して、平均値を解析に用いた。
<角層水分量値>
角層水分量はI.B.S社製のSkicon-200EXを用いて、保湿性の高いクリーム連用前後に、洗顔し乾燥させた頬を5回ずつ測定して、平均値を解析に用いた。
<結果>
保湿性の高いクリーム連用前後のガレクチン−7の発現量を図6に、TEWL値、角層水分量値を図7に示す。
保湿性の高いクリームを14日間連用することにより、ガレクチン−7の発現量が顕著に低減した。一方、角層水分量は有意に上昇しており、荒れ肌が改善していることが明らかであった。TEWL値は若干低下しており、荒れ肌改善の傾向を示している。
以上から、ガレクチン−7の発現量は、荒れ肌の指標として有効であることがわかった。

Claims (2)

  1. 皮膚角層のガレクチン−7の発現量を測定し、測定結果が500pg/μg全蛋白を超える値を示す場合を、荒れ肌と評価することを特徴とする荒れ肌の評価方法。
  2. 皮膚角層をテープストリッピング法又は擦過法により採取する採取工程と、前記採取工程で採取された角層細胞におけるガレクチン−7の発現量を測定する測定工程と、あらかじめ設定した基準値と比較する比較工程とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の荒れ肌の評価方法。
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