以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図7は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は表示装置および光学モジュールの概略構成を示す斜視図である。図2は、光学モジュールの作用を説明する図である。図3は、光学モジュールの偏光板に含まれる光学フィルムを示す平面図である。図4〜7は、光学フィルムの製造方法の一例を説明するための図である。
図1に示された表示装置10は、液晶表示装置であって、液晶表示パネル15と、液晶表示パネル15の背面側(観察者側とは反対側)に配置された光源25と、光源25を背面側から覆う反射板21と、を有している。光源25は、複数の発光体26を含んでおり、液晶表示パネル15を背面側から照明する。一方、液晶表示パネル15は、光源25の発光体26で発光された光の透過または遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、画像を形成する装置である。
液晶表示パネル15は、詳しくは後述するように、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板間に配置された液晶セル11と、を有している。そして、液晶表示パネル15の一対の偏光板のうちの入光側の偏光板40と、光源25をなす発光体26と、によって、光学モジュール20が形成されている。なお、以下においては、液晶表示パネル15に含まれる一対の偏光板を区別するため、表示装置10の配置状態に関係なく、入光側の偏光板40を下偏光板と呼び、出光側の偏光板12を上偏光板と呼ぶ。
この表示装置10は、直下型の液晶表示装置として構成されており、光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15と正面方向ndに直面する位置に、配置されている。すなわち、光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40と正面方向ndに直面する位置に、配置されている。したがって、光源25をなす発光体26と、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40と、の間には、他の部材が介在しておらず、発光体26で発光された光は、直接、下偏光板40に入射することが可能となっている。
光源25をなす発光体26として、種々の既知な発光体、例えば冷陰極管を用いることができる。ただし、図示する例では、複数の発光ダイオード(LED)26によって光源25が構成されている。図1から理解され得るように、多数の発光体26は、仮想平面上に二次元的に配置されている。すなわち、多数の発光体26が、仮想平面上において、一方向のみに配列されているのではなく、平面的な広がりを持って配置されている。とりわけ、図1に示す例において、光源25をなす発光体26は、第1の配列方向d1に並べられるとともに、当該第1の配列方向と直交する第2の配列方向d2にも並べられるようにして、配置されている。
また、反射板21は、光源25の発光体26で発光された光を液晶表示パネル15の側へ向けるための部材である。反射板21の少なくとも内側表面は、例えば金属等の高い反射率を有する材料からなっている。
なお、本明細書において、「出光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25の発光体26から液晶表示パネル15を経て観察者へ向かう光の進行方向における下流側(観察者側、図1においては紙面の上側)のことであり、「入光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25の発光体26から液晶表示パネル15を経て観察者へ向かう光の進行方向における上流側のことである。
また、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「光学フィルム」には、「光学シート」と呼ばれる部材も含まれる。
さらに、本明細書において、「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。そして、本実施の形態においては、液晶表示パネル15のパネル面、下偏光板40の板面、後述する下偏光板40の光学フィルム50のフィルム面等は、互いに平行となっている。また、本明細書において、「正面方向」とは、表示装置10の表示面10aへの法線方向ndと平行な方向のことを指し、本実施の形態においては、下偏光板40の板面への法線方向と平行となっている。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「対称」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
次に、液晶表示パネル15について説明する。液晶表示パネル15は、上述したように、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板12,40の間に配置された液晶セル11と、を有している。このうち偏光板12,40は、入射した光を直交する偏光成分に分解し、一方の偏光成分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収する機能(吸収型の偏光分離機能)を有している。
一方、液晶セル11は、一対の透明基板と、この透明基板間に設けられた液晶層と、を有している。液晶層に対して、一つの画素を形成する領域毎に、電界印加がなされ得るようになっている。そして、電界印加された液晶層の配向は変化するようになる。入光側に配置された下偏光板40を透過した特定方向(透過軸と平行な方向)の偏光成分は、一例として、液晶セル11のうちの電界印加されている液晶層の領域を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、電界印加されていない液晶層を通過する際にその偏光方向を維持する。このため、液晶層の各領域への電界印加の有無によって、下偏光板40を透過した特定方向の偏光成分が、下偏光板40の出光側に配置された上偏光板12をさらに透過するか、あるいは、上偏光板12で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。
ここで、図2および図3を参照して、下偏光板40についてさらに詳述しておく。下偏光板40は、吸収型の偏光分離機能を発揮し得る偏光子41と、偏光子41と接着された光学フィルム50と、を有している。図3に示すように、光学フィルム50は、液晶セル11に対面しない側から、言い換えると入光側から偏光子41に積層されており、偏光子41を外部から保護フィルムとして機能するようになっている。
また、偏光子41および光学フィルム50に隣接するようにして偏光子41および光学フィルム50の間に位置し、偏光子41および光学フィルム50を互いに接着する接着層(図示せず)を、設けるようにしてもよい。偏光子41および光学フィルム50の密着性を高めるための接着層は、従来からある種々の接着剤を用いて形成され得る。一具体例として、例えばポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水性接着剤を用いて接着層を形成することができる。なお、本明細書における接着は、粘着や糊付けを含む概念であり、同様に、本明細書における接着剤とは、粘着剤や糊を含む概念である。
今日まで種々の偏光子が開発されてきており、これらの任意の偏光子を偏光子41として用いることができる。一具体例として、ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41を用いることができる。ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や染料などの二色性色素を吸着あるいは染色させ、その後、一軸延伸して配向させることによって、光の吸収異方性がポリビニルアルコール系フィルムに付与され得る。
次に、光学フィルム50について説明する。ここで説明する光学フィルム50は、光の進行方向を変化させる光制御機能を有している。さらに、光学フィルム50の光制御機能の強さ(程度)は、光源25をなす複数の発光体26の配列パターンに対応して、光学フィルム50のフィルム面と平行な方向に沿って当該光学フィルム50の面内で変化する。
図2に示すように、本実施の形態では、下偏光板40の入光側面40bをなす光学フィルム50の入光側面50bが、凹凸面として形成され、単位拡散要素として機能する凸部65を含んでいる。すなわち、光学フィルム50の入光側面50bは、光を拡散させる光拡散機能を発現し得る光学要素面として構成されている。そして、凸部65が設けられている領域の割合および凸部65の断面形状の少なくとも一方が、光学フィルム50の面内で変化している。この結果、光学フィルム50の光拡散機能の強さ(程度)は、光源25をなす複数の発光体26の配列パターンに対応して、光学フィルム50のフィルム面と平行な方向に沿って当該光学フィルム50の面内で変化するようになっている。以下、本実施の形態における光学フィルム50の構成について、さらに詳述する。
図2によく示されているように、光学フィルム50は、一対の平行な主面を有したシート状の本体部55と、本体部55の入光側面となる一方の主面55bに並べて配置された単位形状体60と、を有している。図2に示すように、単位形状体60によって凹凸面が形成され、この凹凸面をなす各凸部65は一つの単位形状体60からなっている。
図3に示すように、凸部65(単位形状体60)は、本体部55の入光側面55b上の全領域に設けられているのではなく、本体部55の入光側面55b上に分散して配置された配置領域SA内に設けられている。
ここで図3は、正面方向、すなわち偏光板40の板面への法線方向ndに沿って光学フィルム50を観察した場合における光学フィルム50の平面図であり、また、各発光体26の配置中心CPの投影位置も示されている。この図3から明らかなように、配置領域SAは、各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域(本体部55の入光側面55b上の領域)に偏って配置されている。このため、凸部65(単位形状体60)が設けられている配置領域SAの割合は、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域よりも、各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域において、大きくなる。結果として、各発光体26に直面する位置を含む光学フィルム50内の領域に付与された光拡散機能は、隣り合う二つの発光体26の中間点に直面する位置を含む光学フィルム50内の領域に付与された光拡散機能よりも、強くなっている。
なお、凸部65(単位形状体60)が設けられている配置領域SAの割合とは、凸部65(単位形状体)が設けられている配置領域SAの、本体部55の入光側面55bに対する、割合のことであり、言い換えると、正面方向から観察した場合における配置領域SAが占めている領域の割合のことである。
また図2から理解され得るように、本実施の形態においては、一つの発光体26に対して複数の配置領域SAが設けられている。そして、本実施の形態では、凸部65(単位形状体60)が設けられている複数の配置領域SAの大きさは、同一とはなっていない。凸部65(単位形状体60)が設けられている配置領域SAの大きさは、本体部55の入光側面55b上において発光体26の配置中心CPに直面する位置から離間するに連れて、小さくなっていっている。図示された例における具体的な構成として、本体部55の入光側面55b上において発光体26の配置中心CPに直面する位置に、最も大きさの大きい大領域SAlが設けられ、この大領域SAlの周囲に、大領域SAlよりも面積の小さい九つの中領域SAmが設けられ、この中領域SAmの外方に、中領域SAmよりも面積の小さい四つの小領域SAsが設けられている。
次に、各凸部65(単位形状体60)の形状について説明する。図2および図3に示すように、各配置領域SA内において、複数の凸部65は一方向に配列され、各凸部65は、当該配列方向に交差する方向に線状に延びている。とりわけ本実施の形態においては、各配置領域SA内において、各凸部65は、当該配列方向に直交する方向に直線状に延びている。また、複数の配置領域SAの間で、凸部65の配列方向は互いに平行となっており、結果として、光学フィルム50に設けられた多数の凸部65の長手方向は互いに同一となっている。さらに図3に示すように、本実施の形態において、下偏光板40の板面への法線方向と平行な方向から観察した場合、単位形状体60(凸部65)の配列方向は、複数の発光体26の第1の配列方向d1と平行となっている。
ところで、液晶表示パネル15は、多数の画素を画成する。液晶表示パネル15は、この画素毎に光の透過および遮断を制御することによって、映像を形成する。そして、単位形状体60(凸部65)の配列方向は、下偏光板40の板面への法線方向と平行な方向から観察した場合、液晶表示パネル15の液晶セル11の画素の配列方向と交差、すなわち、画素の配列方向に対して傾斜または直交していることが好ましい。具体的には、下偏光板40の板面への法線方向と平行な方向から観察した場合に、単位形状体60(凸部65)の配列方向と液晶セル11の画素の配列方向とが、1°以上45°以下の角度で傾斜していることが好ましく、2°以上15°以下の角度で傾斜していることがさらに好ましい。この場合、画素の規則的な配列に起因した周期性と、単位形状体60(凸部65)の規則的な配列に起因した周期性と、の干渉によって生じるモアレ(干渉縞)を効果的に目立たなくさせることができる。また、モアレを目立たなくさせる観点からすれば、単位形状体60(凸部65)の配列ピッチが、30μm以下となっていることが好ましい。
図2は、凸部65の配列方向と平行であり且つ偏光板40の板面への法線方向と平行な断面での断面図(以下において、主切断面とも呼ぶ)である。図2に示すように、光学フィルム50に設けられた凸部65の断面形状は、互いに同一ではなく、異なっている。各凸部65の主切断面における断面形状は、各配置領域SA内において、当該配置領域SAの中心から周辺に向かうに連れて小さくなっていっている。より厳密には、各凸部65の主切断面における断面形状は、各配置領域SA内の中心において最も大きな所定の形状を有し、各配置領域SA内の中心から周辺側へずれると、当該所定の形状から、本体部55から最も離間した頂部の部分を、削り取ってなる形状となっている。そして、当該所定の形状から削り取られる部分の形状が、各配置領域SA内の中心から周辺側へずれるにしたがって、大きくなっていく。このような凸部65の主切断面における断面形状の変化は、二次元的に生じており、すなわち、凸部65の配列方向に沿っても凸部65の断面形状は変化し、凸部65の長手方向に沿っても凸部65の断面形状は変化する。
図2に示すように本実施の形態において、凸部65の主切断面における断面形状は、最も大きい状態において、すなわち上述した所定の形状において三角形形状、より正確には、法線方向ndを中心として対称的に配置された二等辺三角形形状となっている。そして、凸部65の主切断面における断面形状は、各配置領域SA内の中心から周辺側へずれると、当該二等辺三角形形状の頂角を面取りしてなる形状となっている。
なお、図2に示すように、凸部65の主切断面における断面形状は、光学フィルム50の法線方向(偏光板40の法線方向)ndに沿った高さHaにおいて変化するが、光学フィルム50のフィルム面(偏光板40の板面)に沿った幅Waにおいては、変化しない。したがって、偏光板40への法線方向ndに沿った断面における凸部65の幅Waに対する高さHaの比(アスペクト比)は、一つの配置領域SA内において、当該配置領域SAの中心から周辺に向かうに連れて小さくなっていっていく。
ところで、偏光板40への法線方向ndに沿った断面における凸部65の幅Waに対する高さHaの比(アスペクト比)が小さくなるにつれて、言い換えると、凸部65が平坦化されるにしたがって、光の進行方向を変化させる強さ(度合い、程度)が小さくなる。すなわち、偏光板40への法線方向ndに沿った断面における凸部65の幅Waに対する高さHaの比(アスペクト比)が小さくなるにつれて、光制御機能としての光拡散機能が弱くなる。
また、上述したように、凸部65(単位形状体60)が設けられている配置領域SAの割合は、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域よりも、各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域において、大きくなっている。したがって、平坦面の高さを0と考えて、偏光板40への法線方向ndに沿った断面における凸部65の幅Waに対する高さHaの比(アスペクト比)は、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域よりも、各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域において、全体的に大きくなる。結果として、主切断面における凸部65の幅Waに対する高さHaの比(アスペクト比)の観点からも、各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域に付与された光拡散機能が、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域に付与された光拡散機能よりも、強くなっている。
さらに、上述したように本実施の形態では、一つの発光体26に対して複数の配置領域SAが設けられ、各配置領域SAの面積は、発光体26から離間するにつれて、小さくなっていく。加えて本実施の形態では、偏光板40への法線方向ndに沿った断面における凸部65の幅Waに対する高さHaの比(アスペクト比)の各配置領域SA内での平均値も、発光体26から離間するにつれて、小さくなっていっている。結果として、光学フィルム50の光拡散機能の強さ(程度)は、一つの発光体26に直面する位置において最も強く、一つの発光体26に直面する位置から、当該一つの発光体と、当該一つの発光体26に隣り合う別の発光体26との中間点MPに直面する位置まで、概ねしだいに低下していくようになる。
なお、一例として、主切断面における単位形状体60の具体的な寸法は、発光体26の配置中心CPに直面する位置での最大の単位形状体60をなす三角形形状における幅Waを20μm〜120μmとすることができ、発光体26の配置中心CPに直面する位置での最大の単位形状体60をなす三角形形状における高さHaを2μm〜60μmとすることができる。また、発光体26の配置中心CPに直面する位置での最大の単位形状体60をなす三角形形状の本体部55から突出した頂角の角度θaを45°〜120°とすることができる。
ところで、下偏光板40の入光側面、さらには液晶表示パネル15の入光側面をなす光学フィルム50の入光側面50bは、凹凸を有した凹凸面(光学要素面)として形成されている。一方、光学フィルム50の出光側面50a(本体部50の出光側面55a)は、平坦面として形成されている。これにより、空気等の混入を防止しながら、光学フィルム50と偏光子41とを安定して積層および接着することが可能となる。
なお、本明細書において、光学フィルム50の偏光子41に対面する側の面50aに対して用いる「平坦」とは、光学フィルム50と偏光子41との安定した積層および接着を確保し得る程度の平坦を指す。例えば、光学フィルム50の偏光子41に対面する側の面50aの表面粗さが、JISB0601(1982年)に準拠して十点平均粗さRzとして測定された場合に、1.0μm以下であれば平坦と言える。
このように光学フィルム50の出光側面50aが平坦であることから、いわゆる「水貼り」によって、光学フィルム50および偏光子41を積層および接着することができる。具体的には、水、或いは、界面活性剤等の好適な添加剤が混合された水溶液(または、懸濁液)を間に介在させた状態で、光学フィルム50および偏光子41を互いに重ね合わせていく。これにより、空気等の異物の混入を防止しながら、光学フィルム50および偏光子41を積層することができる。またこの際、水あるいは水溶液(または懸濁液)に接着剤(例えば糊等)を混合しておくことにより、あるいは、光学フィルム50および偏光子41の少なくとも一方に接着層を予め設けておき、光学フィルム50および偏光子41を積極的に接着するようにしてもよい。
なお、「水貼り」後に、光学フィルム50および偏光子41からの水分の除去を促進するため、光学フィルム50の透湿度が、温度40℃、湿度90%RHでの状況下で、10g/m2・24hr以上となっていることが好ましい。ただし、透湿度が高すぎると、吸湿に起因した反りや曲がりが発生し得るため、透湿度が、温度40℃、湿度90%RHで測定して400g/m2・24hr以下であることが好ましい。なお、本明細書における透湿度とは、JISZ0208に準拠してカップ法を用いて測定された数値を指す。
ここで、主に図4〜図7を参照して、以上のような構成からなる光学フィルム50の製造方法の一例について説明する。なお、以下の説明では、図4に示すような成型装置(製造装置)70を用いた賦型によって、単位形状体60(凸部65)を基材フィルム82上に形成することによって、光学フィルム50を作製している。
まず、成型装置70について説明する。図4に示すように、成型装置70は、略円柱状の外輪郭を有した成型用型74と、成型用型74へ搬送される基材フィルム(成型用基材シート)82上に電離放射線硬化型樹脂組成物を塗布する塗布装置(コーター)72と、基材フィルム82上の電離放射線硬化型樹脂組成物を硬化させる硬化装置76と、を有している。このうち、塗布装置(コーター)72は、電離放射線硬化型樹脂組成物を所望のパターンで基材フィルム82上に塗布し得る種々の塗布装置を用いることができる。本実施の形態において、塗布装置72はグラビアコーターとして構成されている。また、硬化装置76は、硬化対象となる電離放射線硬化型樹脂組成物84の硬化特性に応じて適宜構成され得る。
成型ロール74は、円柱状の外輪郭を有し、成型用型74をなす円柱の外周面(側面)に該当する部分に円筒状の型面(凹凸面)74aが形成されている。円柱状からなる成型用型74は、円柱の外周面の中心を通過する中心軸線CA、言い換えると、円柱の横断面の中心を通過する中心軸線CAを有している。そして、成型用型74は、中心軸線CAを回転軸線として回転しながら、成型品としての光学フィルム50を成型するロール型として構成されている。
型面74aには、基材フィルム82上に賦型すべき単位形状体60の形状に対応した形状を有する多数の溝からなる凹部75が形成されている。凹部75をなす溝は、型面74aの中心軸線CAを中心として円周状に延びている、あるいは、型面74aの中心軸線CAを中心として螺旋状に延びており、中心軸線CAと平行な方向に隙間無く配列されている。とりわけ、図7に示すように、この溝からなる凹部75は、発光体26の配置中心CPに直面する光学フィルム50上の位置での最大の単位形状体60をなす三角形形状に対応した断面形状を有している。そして、図7に示すように、中心軸線CAに沿った断面において、中心軸線CAと平行な方向に並ぶ多数の溝からなる凹部75は、全て同一の断面形状を有している。
次に、このような成型装置70を用いて光学フィルム50を作製する方法について説明する。まず、透光性を有した樹脂からなる基材フィルム82が、塗布装置72へ向けて供給される。塗布装置72は、基材フィルムの長手方向と平行な機械方向(流れ方向)に搬送される基材フィルム82上に、電離放射線硬化型樹脂組成物84を所望のパターンで塗布する。なお、基材フィルム82は、光学フィルム50の本体部55をなすようになり、また、電離放射線硬化型樹脂組成物84は、単位形状体60(凸部65)をなすようになる。このような基材フィルム82として、例えばポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いることができ、電離放射線硬化型樹脂組成物84として、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。
ここで図5は、電離放射線硬化型樹脂組成物84を塗布された基材フィルム82を、そのフィルム面への法線方向から、示している。図5に示すように、電離放射線硬化型樹脂組成物84は、光学フィルム50の本体部55をなすようになる基材フィルム82上に分散された塗布領域CSAに塗布される。なお、塗布領域CSAは、光学フィルム50の本体部55上における上述した多数の配置領域SAと同一の位置関係で、基材フィルム82上に設けられている。したがって、塗布領域CSAは、使用時に発光体26に直面する位置に配置されるようになる大塗布領域CSAlと、大塗布領域CSAlの周囲に配置された中塗布領域CSAmと、中塗布領域CSAmの外方に位置する小塗布領域CSAsと、を含んでいる。結果として、電離放射線硬化型樹脂組成物84は、複数の発光体26の配列パターンに対応したパターンで、塗布装置72から基材フィルム82上に塗布され、電離放射線硬化型樹脂組成物84の基材フィルム82上への塗布量は、機械方向に沿って変化するとともに機械方向に直交する方向に沿っても変化することになる。
ここで、図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図である。すなわち、図6に示された断面は、基材フィルム82の法線方向に沿った断面である。図6において基材フィルム82上に塗布された塗布液の最大高さが、塗布領域CSAの間で、大きく異なっていることから理解され得るように、塗布装置72から基材フィルム82上の各塗布領域CSAに塗布される電離放射線硬化型樹脂組成物84の単位面積当たりの塗布量は、各塗布領域CSAの間で異なっている。具体的には、単位面積当たりの電離放射線硬化型樹脂組成物84の塗布量は、大塗布領域CSAlで最も多く、小塗布領域CSAsで最も少なくなっている。
その後、電離放射線硬化型樹脂組成物84を塗布された基材フィルム82は、成型用型(成型ロール)74へと搬送される。図4に示すように、成型用型(成型ロール)74へと送り込まれた基材フィルム82は、成型用型74と一対のローラ78とによって、型74の凹凸面74aと対向するようにして保持されるようになる。この際、基材フィルム82の電離放射線硬化型樹脂組成物84を塗布されている側が、成型用型の型面74aと接触するように、基材フィルム82と成型用型74が重なる。この結果、型面74aに形成された凹部75内に、電離放射線硬化型樹脂組成物84が充填されることになる。
図7にはこの時の状況が示されている。ここで図7は、電離放射線硬化型樹脂組成物84を塗布された基材フィルム82が接触している成型用型74の、中心軸線CAと平行な方向に沿った、断面を示している。また、図7に示された断面は、図6に示された断面と同一の断面であり、光学フィルム50として用いられる際に発光体26に直面するようになる基材フィルム82の位置を通過する断面である。
図7に示すように、基材フィルム82上に塗布された電離放射線硬化型樹脂組成物84は、成型用型74の型面74aをなす多数の凹部75のすべてを埋めるように充填されているわけでない。すなわち、基材フィルム82上に塗布された電離放射線硬化型樹脂組成物84の塗布量は、成型用型74の型面74aをなす多数の凹部75のすべてを埋めることができない量となっている。したがって、一つの塗布領域CSAに対面する成型面74の複数の凹部75のうち、当該塗布領域CSAの中心位置に対面する凹部75への充填量が最も多くなり、凹部75の位置が塗布領域CSAの周辺部側にずれるしたがって、当該凹部75への充填量は少なくなくなる。すなわち、成型面74aの複数の凹部75の断面形状は互いに同一であるが、複数の凹部75への電離放射線硬化型樹脂組成物84の充填量は同一とはならない。図7に示す例においては、大塗布領域CSAlに対面する位置にある型面74aの凹部75の一部は、完全に電離放射線硬化型樹脂組成物84で埋められるようになるが、大塗布領域CSAlの端部に対面する位置にある型面74aの凹部75は、完全に電離放射線硬化型樹脂組成物84で埋められることなく、一部空隙Vが形成されるようになっている。
また、上述したように、各塗布領域CSAに塗布される電離放射線硬化型樹脂組成物84の単位面積当たりの塗布量は、一つの発光体26に対応して設けられた塗布領域CSAの間でも異なっており、具体的には、大塗布領域CSAlで最も多く、小塗布領域CSAsで最も少なくなっている。この結果、大塗布領域CSAlに対面する位置にある型面74aの凹部75の一部は、完全に電離放射線硬化型樹脂組成物84で埋められるようになっているが、中塗布領域CSAmおよび小塗布領域CSAsに対面する位置にある型面74aのすべての凹部75が、電離放射線硬化型樹脂組成物84によって完全には埋められていない。
その後、基材フィルム82は、成型用型74に重ね合わされた状態で、硬化装置76に対向する位置を通過する。このとき、図7に示すように、硬化装置76からは、電離放射線硬化型樹脂組成物84の硬化特性に応じた電離放射線が放射されており、電離放射線は基材フィルム82を透過して電離放射線硬化型樹脂組成物84に照射される。この結果、型面74aの凹部75内に充填されていた電離放射線硬化型樹脂組成物84が硬化して、硬化した電離放射線硬化型樹脂組成物84からなる単位形状体60が基材フィルム82上に形成されるようになる。
次に、図4に示すように、基材フィルム82が型74から離間し、これにともなって、型面74aの凹部75内に成型された単位形状体60が基材フィルム82とともに型74から引き離される。この結果、上述した光学フィルム50が得られる。
以上のようにして、基材フィルム82上に、電離放射線硬化型樹脂組成物84を所望のパターンで塗布する工程と、成型用型74と基材フィルム82とを重ね合わせ、成型用型74の成型面74aの凹部75内に電離放射線硬化型樹脂組成物84を充填する工程と、成型用型74と基材フィルム82とを重ね合わせた状態で、成型用型74の成型面74aの凹部75内に充填された電離放射線硬化型樹脂組成物84を硬化させる工程と、が順次実施されていき、光学フィルム50が得られる。
次に、主として図2を参照しながら、光学フィルム50に起因した表示装置10の作用について説明する。
図2において、光源25の発光体26で発光された光は、直接または反射板21で反射した後に観察者側に進み、液晶表示パネル15に入射する。液晶表示パネル15の最入光側には下偏光板40が設けられている。そして、下偏光板40の光学フィルム50が、液晶表示パネル15の最入光側面を形成している。
光学フィルム50は、上述したように、光の進行方向を積極的に変化させる光制御機能を有しており、且つ、光学フィルム50の光制御機能の強さ(程度)は、複数の発光体26の配列パターンに対応して、当該光学フィルム50の面内で変化している。本実施の形態においては、光学フィルム50は、光を拡散させる光拡散機能を有しており、且つ、光学フィルム50の光拡散機能の強さ(程度)は、複数の発光体26の配列パターンに対応して、当該光学フィルム50の面内で変化している。さらに、本実施の形態においては、各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域に付与された光拡散機能が、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域に付与された光拡散機能よりも強くなっており、とりわけ本実施の形態では、全体的な傾向として、光学フィルム50の各位置または各領域に付与された光拡散機能は、一つの発光体26の配置中心CPに直面する位置から、当該一つの発光体26と、当該一つの発光体26に隣り合う他の発光体26と、の中間点MPに直面する位置まで、低下していくように変化する。
このため、図2に示すように、光学フィルム50は、最も明るさが明るくなる傾向のある発光体26に直面する位置において、透過光を最も拡散し、明るさが明るくなり過ぎることを防止することができる。同時に、光学フィルム50は、最も明るさが暗くなる傾向のある隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置において、光の進行方向を最も維持するようにし、十分な明るさを確保することができる。すなわち、光学フィルム50は、従来の乳白板のように光源25をなす発光体26からの光を一様に強く拡散させることなく、言い換えると、発光体26からの光を必要以上に拡散させることなく、第1配列方向d1および第2配列方向d2に沿った発光体26の配列に起因した明るさのむらを効果的に解消することできる。これにより、輝度の面内分布を効果的に均一化して、発光体26の像(ライトイメージ)が視認されてしまうことをより確実に防止することが可能となる。
光学フィルム50におけるこのような光拡散機能の程度は、隣り合う二つの発光体26の配置ピッチ、光学フィルム50のフィルム面への法線方向に沿った発光体26と光学フィルム28との離間距離、凸部65の形状、凸部65をなす単位形状体60の形状、凸部65の屈折率(単位形状体600の屈折率)等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で調節可能である。
光学フィルム50で拡散された光は、その後、光学フィルム50の出光側に配置された下偏光板40の偏光子41、液晶セル11および上偏光板12に向かうことになる。この際、液晶セル11は、画素毎に光を選択的に透過させ、これにより、表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
以上のような本実施の形態によれば、表示パネル15の入光側面をなす偏光板(下偏光板)40に直面する位置に、光源25をなす発光体26が配置されている。したがって、発光体26で発光された光は、直接あるいは最低限の反射を行い、偏光板(下偏光板)40へ入射するようになる。そして、偏光板40の入光側面をなす光学フィルム50は、光の進行方向を変化させ得る優れた光制御機能を有しており、且つ、この光学フィルム50の光制御機能は、複数の発光体26の配列パターンに対応して、当該光学フィルム50の面内で変化している。したがって、発光体26からの光に対して必要以上に光学作用を及ぼすことなく、発光体26の構成(配列)に応じて発生する明るさのむらを緩和して、発光体26の像を目立たなくさせることできる。
一方、従来の表示装置に組み込まれていた光学シート類は、光の進行方向を補正するための部材であったが、その反面、入射光の一部を吸収してしまっていた。加えて、従来の表示装置においては、多くの光が、いずれかの光学シートにおいて反射し、その進行方向を一回以上折り返した後に表示パネル内に入射していた。結果として、光源25となる発光体26で発光された光の多くが、いずれかの光学シートに吸収され、映像の表示に使用され得なかった。
この点に関して、本実施の形態によれば、発光体26からの光に対して及ぼす光学作用を著しく減少させることができ、このため、発光体26からの光の利用効率を格段に上げることができる。結果として、図15に示された従来の表示装置1の面光源装置内に組み込まれていた拡散板A、下拡散シートB、集光シートCおよび上拡散シートD等の光学シート類を削除しても、或る程度の正面方向輝度の確保および視野角の著しい拡大を実現することが可能となる。
この場合、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)の数量を大幅に減じることができ、表示装置の製造コストを直接的に大幅に低減することができる。また、表示装置あるいは面光源装置の組み立て時に必要となる光学シート類の位置決めといった煩雑な作業を省くことが可能となり、この点からも表示装置の製造コストを低減することができる。さらに、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)を省くことにより、表示装置の薄型化も可能となる。とりわけ、優れた光学機能を付与され表示装置10の輝度特性や視野角特性について大きな自由度を付与する光学フィルム50は、偏光子41を保護する保護フィルムとして機能し、この保護フィルムは、従来、偏光板に必須の要素と考えられていた部材である。この点から、本実施の形態による製造コストの低減や薄型化といった効果は極めて有用であると考える。
また、本実施の形態によれば、光源25をなす発光体26と偏光板40の光学フィルム50との間に光学シートが配置されていないので、光学シートの曲がり、撓み、反り等の変形に起因した表示画質の劣化といった不具合を回避することができる。なお、従来の表示装置では、図15に示すように、発光体に直面する部材(拡散板A)の厚みは、発光体からの発熱で変形してしまわないように、さらには、当該部材の出光側に位置する部材(拡散シートや集光シート)へ向けた熱移動を遮断できるよう、厚くなっていた。このように、拡散板Aの厚みが増すと、拡散板Aの材料費や重量が嵩み、結果として、表示装置の製造コストが上昇してしまうといった不具合が生じていた。また、或る程度の厚みを有した拡散板Aを面光源装置に組み込もうとすると、それなりの支持機構を設置する必要も生じていた。一方、本実施の形態によれば、発光体26に直面する光学フィルム50は、偏光板40の一部として、液晶表示パネル15に積層されている。すなわち、光学フィルム50は液晶表示パネル15に直接支持されているので、光学フィルム50を支持するための特別の支持機構は不要であるとともに、液晶表示パネル15によって光学フィルム50の変形が拘束される。したがって、光学フィルム50の厚みは、光学フィルム50に期待される光学作用および偏光子の保護作用の観点から決定され得り、結果として、表示装置10の製造コストを低減することができる。
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、光学モジュール20の光源25をなす発光体26が、二次元配列された点状の発光体、典型的には発光ダイオードからなる例を示した。しかしながら、発光体26は、上述した例に限られることなく、種々の既知な発光体、例えば、冷陰極管や、面状に発光するEL(電場発光体)等を用いることもできる。図8には、発光体26として線状の冷陰極管を用いた例が開示されている。図8に示された例において、発光体26をなす線状の冷陰極管は、互いに平行となるように、所定の配列方向d1に配列されている。
図8に示された配列で配置された発光体26に対して、図9に示す配列で凸部65が配置された光学フィルム50を用いることができる。図9に示された光学フィルム50は、図3に示された上述の実施形態の光学フィルム50における発光体26の直上に位置して第1配列方向d1へ延びる領域内の構成を、冷陰極管26の長手方向に連続的に設けてなる構成を有している。この光学フィルム50の光拡散機能は、冷陰極管26の配列方向に沿って変化するものの、冷陰極管26の長手方向に沿って概ね一定となる。このような光学モジュール20によっても、第1方向d1に沿った冷陰極管26の配列に応じて発生する明るさのむらを効果的に均一化させることができる。
なお、図9に示す光学フィルム50を図1に示す二次元配列された発光体26と組み合わせて用いることもできる。図9に示された光学フィルム50の光制御機能の強さ(程度、度合い)は、少なくとも図1に示された複数の発光体26の第1配列方向d1に沿った配列パターンに応じて変化しており、第1配列方向d1に沿った発光体26の配列に起因した明るさのむらを目立たなくさせることができる。本発明はこのような態様を含むものであり、「複数の発光体の配列パターンに応じて」とは、複数の発光体の配列パターンの一部のみに応じていることも含む。
また、上述した実施の形態で説明した光学フィルム50は一例に過ぎない。単位形状体60およびこれにともなって凸部65が、本体部55上の配置領域SA内に、並列配列(一次元配列)される例を示したが、これに限られない。例えば、単位形状体60およびこれにともなって凸部65が、線状ではなく点状の要素として、本体部55上の配置領域SA内に二次元配列されるようにしてもよい。また、単位形状体60およびこれにともなって凸部65が、本体部55上の配置領域SA内に、隙間無く配列される例を示したが、これに限られない。さらに、上述した実施の形態において、一つの発光体26に対応して、本体部55上に複数の配置領域SAが設けられている例を示したが、これに限られず、一つの発光体26に対応して一つの配置領域SAのみが本体部55上に設けられるようにしてもよい。さらに、凸部65および単位形状体60の主切断面における断面形状を、上述した三角形形状以外の形状にしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、光学フィルム50内の各区域の間で、凸部65が設けられている領域の割合および凸部65の断面形状の両方が変化する例を示したが、これに限られない。光学フィルム50内の各区域の間で、凸部65が設けられている領域の割合のみが変化するようにしてもよい。この例では、上述した実施の形態と同様に、光拡散機能を有する凸部65が設けられている領域の割合が、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域よりも各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域において、大きくなっていれば、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
一方、光学フィルム50の各区域の間で、凸部65の断面形状のみが変化する態様においては、単に、凸部65(単位系状体60)の幅Waあるいは凸部65(単位系状体60)のピッチを、光学フィルム上にて発光体26に直面する位置からの距離に応じて、変化させることにより、発光体26に配列に応じて光拡散機能を変化させるようにしてもよい。一般的に、単位形状体60および凸部65の幅Waあるいはピッチが、或る程度よりも小さくなる場合、具体的には、押し出し成型による場合には、30μm以下となる場合、電離放射線硬化型樹脂組成物を用いた賦型による場合には、20μm以下となる場合、作製された実際の単位形状体60および凸部65の寸法が予定したものよりも平坦化してしまう傾向がある。したがって、単位形状体60および凸部65の幅Waあるいはピッチを、十分に小さくしておき且つ光学フィルム50上にて発光体26に直面する位置からの距離に応じて変化させることにより、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。具体的には、単位形状体60および凸部65の幅Waあるいはピッチが、各発光体26の配置中心CPに直面する光学フィルム50内の位置から隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する光学フィルム50内の位置へ向けて、小さくなっていくようにすればよい。この場合、各発光体26に直面する光学フィルム50内の領域において凸部65が期待された光拡散機能を発揮し、その一方で、隣り合う二つの発光体の中間点に直面する光学フィルム50内の領域においては、凸部65が平坦化して光学フィルム50の光拡散機能が弱くなり、多量の光が透過するようになる。
さらに、上述した実施の形態では、単位形状体60自体からなる凸部65の形状が同一でない例を示したが、これに限れない。例えば、光学フィルムに含まれる単位形状体60自体からなる凸部65が、互いに同一の形状を有する場合であっても、既に説明したように、凸部65が設けられている領域の割合や凸部65のピッチを、発光体26の配列に応じて変化させることにより、光学フィルム50の光拡散機能を発光体26の配列に応じて変化させることができる。
さらに、上述した実施の形態において説明した光学フィルム50の製造方法は一例に過ぎない。例えば、成型用型74の型面74aをなす複数の凹部75が互いに異なる断面形状を有するようにしてもよいし、凸部65が形成されない型面74a内の位置に凹部75を形成する必要もない。そもそも、電離放射線硬化型樹脂組成物84を用いた賦型によって光学フィルム50を作製することに限られず、押し出し成型や射出成型等のその他の製造方法によって光学フィルム50を作製してもよい。
さらに、図10には、光学フィルム50の一変形例が示されている。図10に示された光学フィルム50は、本体部55と、本体部55上に設けられた単位形状体60と、単位形状体60上に塗布された充填部61と、を有している。図10に示された例において、本体部50上に設けられた多数の単位形状体60は、すべて同一に構成されている。ただし、充填部61は、発光体26の構成(配列)に応じ、光学フィルム50の面内において異なる構成を有しており、この結果、光学フィルム50の光制御機能が、光学フィルム50の面内で変化している。
図10に示された例では、互いに同一形状からなる単位形状体60が、本体部50上に隙間無く配列されており、充填部61は、隣り合う二つの単位形状体60の間に形成された谷部を埋めるように設けられている。そして、図10に示すように、各充填部61の大きさは、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する光学フィルム50上の位置で最も大きくなり、発光体26の配置中心CPに直面する光学フィルム50上の位置に向けて小さくなっていく。図示する例では、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50上の領域において、充填部61は、隣り合う二つの単位形状体60の間を完全に埋めており、凸部65が存在しないようになっている。一方、発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50上の領域には、充填部61が設けられておらず、凸部65は単位形状体60自体から構成されている。一方、この二つの間の領域では、隣り合う二つの単位形状体60の間に形成された谷部の一部が、充填部61によって埋められ、凸部65の幅に対する高さの比は、単位形状体60のそれよりも小さくなっている。
結果として、図10に示された例においても、凸部65が設けられている領域の割合は、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域よりも、各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域において、大きくなる。さらに、偏光板40への法線方向ndに沿った断面における凸部65の幅Waに対する高さHaの比(アスペクト比)は、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域よりも、各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域において、大きくなる。したがって、上述した実施の形態と同様に、図10に示された例においても、各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域に付与された光拡散機能が、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域に付与された光拡散機能よりも、強くなっている。これにより、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、図10に示された光学フィルム50は、図11に示された製造装置90を用いて、次のように作製され得る。なお、図11に示された製造装置90は、樹脂組成物88を塗布する塗布装置92と、塗布装置92から塗布された樹脂組成物88を硬化させる硬化装置94と、を有している。このうち、塗布装置(コーター)92は、樹脂組成物88を所望のパターンで塗布し得る種々の塗布装置(コーター)、例えば、グラビア印刷機、グラビアオフセット印刷機、フレキソ印刷機等を用いることができる。また、硬化装置94は、硬化対象となる樹脂組成物88の硬化特性に応じて適宜構成され得る。
まず、基材フィルムと、基材フィルム上に形成された複数の単位形状体60と、を有するフィルム材86、すなわち図10に示された光学フィルム50に対して未だ充填部61が形成されていない状態のフィルム材86を準備する。この様なフィルム材86は、公知の種々の方法、例えば、電離放射線硬化型樹脂組成物84を用いた賦型、押し出し成型、射出成型等によって作製され得る。
次に、塗布装置92を用いて、フィルム材86の単位形状体60が形成されている側の面上に、所定のパターンで樹脂組成物88を、塗布する。この際、樹脂組成物88は、複数の発光体26の配列パターンに対応したパターンで、フィルム材86上に塗布されるようになる。すなわち、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに対面するようになるフィルム材86(光学フィルム50)上の位置に最も多くの樹脂組成物88が塗布され、当該位置から発光体26に対面するようになる位置に向け、樹脂組成物88の塗布量を減少されていく。また、樹脂組成物88として、その後にフィルム材86上で硬化する樹脂、例えば、電離放射線硬化型樹脂組成物を用いることができる。そしてその後、硬化装置94によって、フィルム材86上の樹脂組成物88を硬化させて、樹脂組成物88からなる充填部61をフィルム材86上に形成することによって、図10に示された光学フィルム50を作製することができる。
さらに、上述した実施の形態において、光フィルム50が、本体部55と、本体部55上に設けられた単位形状体60と、を有し、単位形状体60からなる凸部65での光学作用によって、光拡散機能を発現する例を示したが、これに限られない。偏光板40の発光体26に対向する入光側面40bをなす光学フィルム50の入光側面50bに拡散性インキが塗布されており、拡散性インキが塗布されている領域の割合が、光学フィルム50の面内で変化し、これにより、光学フィルム50の光拡散機能の強さが光学フィルム50の面内で変化するようにしてもよい。一具体例として、拡散性粒子を含有した白色インキを、密度や大きさが変化するドットとして、光学フィルム50の入光側面50bに印刷することによって、発光体26の配列パターンに応じて面内で強さ(程度)が変化する光拡散機能を光学フィルム50に付与することができる。具体的には、拡散性インキが塗布されている領域の割合が、隣り合う二つの発光体26の中間点MPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域よりも各発光体26の配置中心CPに直面する位置を含む光学フィルム50内の領域において、大きくなるようにすればよい。
さらに、上述した実施の形態において、光学フィルム50の本体部55が単なる透光性樹脂フィルムからなる例を示したが、これに限られない。例えば、図12に示すように、本体部55が、主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を含むようにしてもよい。なお、拡散成分59bを含有した本体部55は、押し出し加工によって、得られ得る。この際、主部59aをなす材料として、優れた光学特性を有する種々の樹脂材料、例えば、ポリカーボネート系樹脂を用いることができる。ポリカーボネート系樹脂は、低リタデーションである点においても、下偏光板40に用いられる材料として好適である。一方、拡散成分59bは、主部59aとは異なる屈折率を有した粒状物、あるいは、それ自体が反射性を有した粒状物等から構成され得る。この拡散成分をなす粒状物は、金属化合物であってもよいし、気体を含有した多孔質物であってもよいし、さらには、単なる気泡であってもよい。また、粒状物からなる拡散成分59bの形状は、特に問われることはない。したがって、拡散成分は、図示された例のように球状(粒子状)である必要はなく、例えば回転楕円体形状や線状等の種々の形状を有することができる。また、このように内添された拡散成分に起因した本体部55の光拡散機能の程度は、主部59aをなす樹脂材料、主部59aの厚み、拡散成分59bの構成(形状、大きさ(粒径)、屈折率等)、拡散成分59bの濃度等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で調節可能である。
さらに、光学フィルム50の本体部55に付与される光拡散機能は、等方性光拡散機能であってもよいし、異方性光拡散機能であってもよい。一例として、図12に示すように、長手方向ldを有する拡散成分59bを、所定の方向odへの配向を持つようにして、光学フィルム50の本体部55内に配置することにより、異方性光拡散機能を光学フィルム50の本体部55に付与することができる。ここで、拡散成分59bの長手方向とは、対象となる拡散成分59bの最も長さが長くなる方向として特定することができる。また、「長手方向ldを有する拡散成分59bが、所定の方向odへの配向を持つ」とは、各拡散成分59bの長手方向ldが所定の方向odに対してなす角度が、0°以上45°以下となることであり、拡散成分59bが、所定の方向odを基準とした方向的な規則性を持って配置されることを意味している。
図12に示された光学フィルム50の本体部55は、一例として、長手方向を有する拡散成分59bを、主部59aをなすようになる樹脂材料とともに、原料として用いた押し出し加工によって、作製され得る。長手方向を有する拡散成分59bは、押し出し機のダイを樹脂材料とともに通過する際に、高圧下でその長手方向ldが押し出し方向(機械方向)に沿うように、向けられる。これにより、押し出し材中の拡散成分59bが、特定の方向odへの配向を持つようにして、本体部55内に分散されるようになる。なお、長手方向ldを有する拡散成分59bは、その長手方向と平行な方向よりも、その長手方向に直交する方向へ、強い光拡散機能を呈するようになる。
図1〜7に示された光学フィルム50において、凸部65は長手方向を有していることから、この凸部65に起因した光拡散機能は、凸部65の長手方向と平行な方向よりも凸部65の配列方向と平行な方向に、より強く発揮されるようになる。したがって、本体部55の異方性光拡散機能が、凸部65の長手方向と平行な方向により強く発揮されるよう、長手方向ldを有する拡散成分59bの配向方向odが、凸部65の配列方向と平行となっている場合、光学フィルム50の凸部65に起因した光拡散機能が特に第1の配列方向d1に沿った明るさのむらを均一化し、光学フィルム50の本体部55に起因した異方性光拡散機能が主として第2の配列方向d2に沿った明るさのむらを均一化するようになる。すなわち、第1の配列方向d1に沿った明るさのむら及び第2の配列方向d2に沿った明るさのむらの両方を、過度で一様な光拡散に頼ることなく極めて適量の光拡散によって、目立たなくさせることができる。この態様によれば、光源25をなす発光体26で発光される光の利用効率を、上述した実施の形態から、さらに向上させることも可能となる。
一方、図8に示すように、光源25が線状の冷陰極管26を並列配置してなる場合には、冷陰極管26の配列方向に沿って光を拡散することのみによって、発光体26の配列に起因した明るさのムラを解消することができる。したがって、本体部55の異方性光拡散機能が、凸部65の配列方向と平行な方向により強く発揮されるよう、長手方向ldを有する拡散成分59bの配向方向odが、凸部65の長手方向とともに、第1配列方向d1に対して直交していることが好ましい。
なお、長手方向ldを有する拡散成分59bの形状としては、一例として、板状、粒状(米粒状)、針状、鱗状、微細板状等の種々の形状を採用することができる。また、具体的な例として、平均アスペクト比(長手方向ldに沿った拡散成分59bの長さの、長手方向ldに直交する方向に沿った当該拡散成分59bの長さに対する比の平均値)が、1.5以上50以下であって、拡散成分59bの平均粒径(体積相当法で算出された粒径、すなわち体積相当径の算術平均、以下同様)が0.5μ以上100μm以下の気泡を、長手方向ldを有した拡散成分59bとして、用いることができる。また、有機繊維からなる拡散成分59b、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維等の耐熱性有機繊維からなる拡散成分59bを用いることもできる。また、無機繊維からなる拡散成分59b、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維等の繊維状フィラーからなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、薄板状フィラー(マイカ)からなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、不定形フィラーからなる拡散成分59b、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等の無機系白色顔料からなる拡散成分59bを用いることもできる。
さらに、上述した実施の形態において、光学フィルム50が、発光体26の配列パターンに応じて当該光学フィルム50の面内で強さ(程度、度合い)の変化する光拡散機能を、光制御機能として有する例を示したが、これに限られない。例えば、光学フィルム50が、光の進行方向が正面方向ndに対してなす角度を小さくする集光機能を有し、当該集光機能の程度(強さ、度合い)が、発光体26の配列パターンに応じて当該光学フィルム50の面内で変化するようにしてもよい。具体的な構成としては、光学フィルム50が、シート状の本体部と、本体部から入光側に突出するとともに集光機能を有した複数の単位プリズムと、を含み、複数の単位プリズムが設けられている領域の割合が、本体部上の各区域において、変化するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、光学フィルム50が水貼りによって偏光子41に接合される例を示したが、これに限られない。例えば、図13に示すように、接着剤49aと、接着剤49a内に分散された拡散成分49bと、を含有した接着層49が、光学フィルム50と偏光子41との間に配置されるようにしてもよい。図13に示された態様によれば、光学フィルム50の本体部55における光拡散機能の有無あるいは光学フィルム50の光拡散機能の程度から独立して、接着層49による光拡散機能の程度を適宜調節することができる。これにより、下偏光板40が発揮し得る光拡散機能の程度をより自由に設計することができる。なお、接着層49に含有される拡散成分49bは、光学フィルム50の本体部55に含まれ得る拡散成分59bとして例示したものを同様に用いることができる。また、接着層49による光拡散機能の程度は、光学フィルム50の本体部55における光拡散機能の程度と同様の手法により、適宜調節され得る。さらに、接着層49の光拡散機能は、等方性であってもよいし、異方性であってもよい。
さらに、上述した実施の形態において、下偏光板40が、偏光子41と、偏光子41に入光側から接合された光学フィルム50と、からなる例を示したが、これに限られず、偏光子41の出光側にも、他のフィルム(中間フィルム)、例えばTAC製フィルムからなる保護フィルムが設けられていてもよい。また、光の位相差を補償するための位相差板が下偏光板40と液晶セル11との間に設けられることもがあるが、この場合、下偏光板40の出光側の保護フィルムが、位相差板の入光側の保護フィルムを兼ねるようにしてもよい。
また、図14に示す例においては、光学フィルム50と偏光子41との間の中間フィルム48として、特定の偏光成分を透過させるとともに、その他の偏光成分を反射して再び光源側へ戻す機能を有した偏光分離フィルム48が設けられている。すなわち、偏光分離フィルム48を設けることによって、偏光子41を透過し得る偏光成分の光を選択的に偏光子41へ入射させ、その他の光を光源側に戻すことができる。光源側に戻された光は、その後の反射等によって、偏光状態を変化させて偏光分離フィルム48へ再度入射し得る。輝度の向上に役立ち得る偏光分離フィルム48として、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、韓国Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」や、あるいは、ワイヤーグリッド偏光子等を、偏光分離フィルム48として用いることができる。
さらに、下偏光板40の偏光子41と光学フィルム50との間の中間フィルム48として、光拡散機能を有した光拡散シートが設けられていてもよいし、或いは、単なる樹脂フィルム、例えば、一対の平行な主面を有するトリアセチルセルロース製フィルム(TAC製フィルム)が設けられてもよい。
以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。