JP5727254B2 - 紙袋 - Google Patents
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Description
この従来の紙袋は、通常、紙袋を構成する各層の筒状体を互いに重ね合わせてなる筒状部を用いて製造される。なお、この筒状部は、将来紙袋の袋本体となるところである(先行技術文献1参照)。
図14及び図15で示すように、従来の紙袋101は、筒状部2を具えて構成される。この筒状部2は、紙層の筒状体4と、紙層の筒状体4の内側に配置されるヒートシールされる筒状体3(以下、「最内層の筒状体」という。)を具えている。
なお、図14及び図15はいずれも、紙袋の口部から収容物を充填して口部を封緘した様子を示す図であり、図14乃至図16いずれも同一部分を同一符号で示している。また、図14乃至図16では、従来の紙袋の構造を理解しやすくするため、その構造を概念的に図示している。
この両端の開口のうち、一方の開口には、紙の第一筒状体5と最内層の筒状体3との間に糊部12が介在している。この糊部12は紙の第一筒状体5と最内層の筒状体3とを接着する糊から構成されている。この糊部12の糊は、図15で示すように紙袋101の幅方向に沿って点状に配置されている。
なお、底部2bに位置する、紙の筒状体4と最内層の筒状体3の間には両者を接着する糊などの接着材は何ら介在されておらず、両者は接着されていない。
また底部2bに位置する最内層の筒状体3の内周面同士は、符号10で示すように、ヒートシールによって接着されている。なお、第一の開封テープ付きの封緘紙8および後述する第二の開封テープ付き封緘紙7についての詳細は、上記特許文献1等に開示されている。
また、このように、ヒートシールされた部分(以下、ヒートシール部という。)10のうち一方の開口側である口部2a側のヒートシール部10が形成されると、最内層の筒状体3によって収容物61を収容する内袋3aが封緘される。
なお、図14で示すように糊部12、ヒートシール部10およびホットメルト接着剤9は紙袋101の表面に表れないが、図15ではこれらを実線等によって図示している。
次に口部2aの、第一の開封テープ付きの封緘紙8の開封テープ8aを引いて口部2aを開封して、口部2aの折り曲げを解除する。
次に口部2aの糊部12を剥がす。そして次に、図16の矢印Fで示すように、外袋4aを形成している紙の筒状体4を、内袋3aから引き離す。すると、この紙の筒状体4と内袋3aとを分離できる。
なお、上記図16は、図14の紙袋の紙の筒状体と内袋とを分離する動作を説明する概念図である。
この従来の紙袋のうち口部2aを封止帯112を用いて封緘する紙袋111(図10(b))では、口部2aの封緘の際、口部2aの端を可及的に水平にしてミシン糸による縫合を確実にするため、口部2aをトリミング(切除)し、その後、トリミングした口部2aを封止帯112で覆い、封止帯112の上から口部2aの筒状部2をミシン糸で縫合している。なお、このトリミングによって、糊部12は、筒状部2から取り除かれる。
この従来の紙袋111(図10(b))では、スコアカット溝115はミシン糸113よりもやや少し筒状部2の中央寄りに配置されており、口部2aの封止帯112の両端が持ち上げられると、内袋3aに収容された収容物61の重力によってスコアカット溝115からヒートシール部がスコアカット溝115に沿って2つに分離し、これにより外袋4aを構成する紙の筒状体4と内袋3aとが分離される。
2層以上の筒状体の層を有する両端開口の筒状部を有し、
該筒状部は、内周面同士がヒートシールにより接着される最内層の筒状体と、該最内層の筒状体の外周に配置される紙の筒状体とを有し、
前記筒状部の各開口に位置する前記最内層の筒状体の内周面同士をヒートシールによって接着してなるヒートシール部を具え、
前記筒状部の一方の開口および他方の開口には、それぞれ第一の開封テープ付きの封緘紙、第二の開封テープ付きの封緘紙が取り付けられるとともに、前記一方の開口には前記紙の筒状体と前記最内層の筒状体とを接着する糊部が配置され、
前記他方の開口は、前記筒状部が一回折り曲げられた後に前記第二の開封テープ付きの封緘紙によって封緘される紙袋において、
前記一方の開口側のヒートシール部の中間には、前記紙袋の収容物の重力によって、前記一方の開口側のヒートシール部を分断し、該分断により前記外袋を形成している紙の筒状体と、前記内袋とを分離させるスコアカット溝が形成され、
さらに前記一方の開口側のヒートシール部の形成により前記最内層の筒状体によって収容物を収容する内袋が封緘され、さらに前記一方の開口は、筒状部が一回折り曲げられた後に前記第一の開封テープ付きの封緘紙によって封緘され、これにより前記紙の筒状体によって前記内袋を覆う外袋が封緘され、
前記筒状部の前記一方の開口での前記一回の折り曲げの基準である折り筋は、前記一方の開口側の前記ヒートシール部より前記一方の開口の先端側に配置され、
前記糊部は、前記折り筋よりも前記一方の開口の先端側に配置され、
前記第二の開封テープ付きの封緘紙の開封テープが引かれて前記他方の開口が開封され、さらに前記第一の開封テープ付きの封緘紙の開封テープが引かれ、その後、前記折り筋に沿って折り曲げられていた前記折り筋より前記一方の開口側の筒状部の折り曲げが解除されたときに、前記折り筋より前記一方の開口側の筒状部が持ち上げられると、前記外袋を形成している紙の筒状体と前記内袋とが分離されることを特徴とする。
第二の発明は、第一の発明において、
前記外袋を形成している紙の筒状体と前記内袋とが分離された場合に、前記外袋を形成している紙の筒状体には、前記内袋と分離された前記最内層の筒状体の一部が前記糊部によって取り付けられており、前記最内層の筒状体の一部は、前記第一の開封テープ付き封緘紙の開封テープを引いたことにより形成された開封口から、前記外袋を形成している紙の筒状体と分離されることを特徴とする。
図1及び図2で示すように、この紙袋1は、ひだ無しの袋である。
なお、筒状部2は、従来の紙袋の筒状部と同様、紙袋を構成する各層に対応するシート状の層をその幅方向両端を互いに接着して筒状体をそれぞれ形成するとともに、これら筒状体を互いに重ね合わせたものである。
この筒状部2は、紙層の筒状体4と、紙層の筒状体4の内周に配置されるヒートシールされる最内層の筒状体3とを具えている。
なお、図1及び図2は口部から収容物を充填して口部を封緘した様子を示す図である。また図1乃至後述する図13では、図14乃至図16と同一部分を同一符号で示しており、発明の理解をしやすくするため、紙袋の構造を概念的に図示している。
紙の筒状体4のうち、紙の第二筒状体6は、口部2a又は底部2bを形成する端6a、6bが直線切りされたシート状の紙から形成されている。このシート状の紙では幅方向両端6c、6dも直線切りされているので、この両端6c、6dを重ね合わせて胴張り部6eを形成するとともに、その重ね合わせの際に、最内層の筒状体3の外周を覆う紙の第一筒状体5を、さらにその外周から覆うと、図3の紙の第二筒状体6を作ることができる。
また、紙の第一筒状体5も、紙の第二筒状体6と同様のシート状の紙から形成されており、上述した紙の第二筒状体6と同様の方法によって作ることができるが、最内層の筒状体3のみをその外周から覆う点が紙の第二筒状体6と異なる。なお、この紙の第一筒状体5と紙の第二の筒状体6は筒状部2を作る際に糊16(図2)によって接着されている。
また、最内層の筒状体3は、その内周面同士がヒートシールにより接着する筒状体であり、上述のように、ヒートシールされる素材、たとえば不燃材料又は焼却不適材料で形成されるか又はこれを含む材料により構成され、より具体的にはポリエチレンにより構成されている。
この両端開口のうち、一方の開口には、紙の第一筒状体5と最内層の筒状体3とを接着する糊部12が配置されている。
この実施例では、図2で示すように、糊部12は、将来の口部2aとなる一方の開口のみに配置されており、糊部12は、この一方の開口に位置する紙の第一筒状体5と最内層の筒状体3との間に介在している。 また、この糊部12は糊からなり、図1で示すように紙袋1の幅方向に沿って線状に配置されている。
なお、第二の開封テープ付き封緘紙7には開封テープ7aが設けられている。
また底部2bに位置する最内層の筒状体3の内面同士は、符号10で示すように、ヒートシールによって接着されている。
なお、第一の開封テープ付きの封緘紙8および後述する第二の開封テープ付きの封緘紙7についての詳細は、上記特許文献1等に開示されている。
なお、符号17は、底部2bの封緘前の第二の開封テープ付きの封緘紙7と筒状部2との間に介在され両者を接着する糊又は、口部2aの封緘前の第一の開封テープ付きの封緘紙8と筒状部2との間に介在され両者を接着する糊である。
図4で示すように、この紙袋1では、矢印Aで示すように口部2aを広げ、矢印Bで示すように口部2aから収容物61を充填する。なお、図4の一点鎖線は、口部2aが広げられた様子を図示している。
収容物61が収容された後、口部2a側の端部の、互いに対向する最内層の筒状体3の内周面同士がヒートシール(熱による接着)される。このように、ヒートシールされた部分(以下、ヒートシール部という。)10のうち一方の開口側である口部2a側のヒートシール部10が形成されると、図2で示すように、最内層の筒状体3によって内袋3aが封緘される。この内袋3a内には収容物61が収容され密封状態となる。
このヒートシールによって糊部12よりも筒状部2の中央寄りに位置する最内層の筒状体3の内周面同士が接着する。なお、ヒートシールは、紙袋1(図1)の幅方向に沿って線状に形成され、紙袋1の外面から行われる。
なお、図4で示すようにヒートシール部10は、その幅Wが約10mmである。このヒートシールは、従来のヒートシール用治具30によって行うことができる。
なお、スコアカットとは、刃又は突起を素材に直接又は間接的に素材に押し当てることにより該素材に溝(スリット)を形成する技術である。
このスコアカットは、ヒートシールの熱が冷却する前に行われ、最内層の筒状体3に対し紙の第二筒状体6及び紙の第一の筒状体5を介して行われる。
なお、スコアカットは、図5で示すように、周面に突起を具えた回転自在なロール31と、周面に突起のない回転自在なロール32とを互いに対向させてなり、ロール31を、ロール32に接する紙袋1の、第二筒状体6の外面に押し当ててスコアカット溝11を形成する従前の装置によって形成する。
なお、上記した図5は、図4の紙袋の口部から収容物を充填した後、口部を封緘するためスコアカット溝を形成する様子を示す要部拡大概念断面図である。また、図6は、図1の紙袋の概念平面図で、口部を封緘する途中の、スコアカット溝形成直後様子を示す図である。
なお、図6では糊部12、口部側のヒートシール部10、底部側のヒートシール部10は紙袋1の表面に表れないが、発明理解のためこれらを図示している(図1も同様である)。図6で示すように、折り筋L(後述)は、一方の開口側のヒートシール部10よりも一方の開口(口部2a)の先端側に配置されている。また、糊部12は、折り筋Lよりも一方の開口(口部2a)の先端側に配置されている。
折り曲げられる筒状部2及び第一の開封テープ付きの封緘紙8は、すなわち折り曲げ部41は折り筋Lから折り筋Lより口部2aの先端側の縁(先端)までであり、この折り曲げられる筒状部2には、紙袋1の糊部12が形成されている。なお、この一回折り曲げによって、筒状部2には、断面逆U字形状の折り曲げ部2dが形成される。この折り曲げ部41には、折り筋Lより一方の開口側の筒状部42(後述)が含まれる。また、折り筋Lは、紙袋1の幅方向に沿って線状に形成される。
なお、図7(a)は図2の要部拡大断面図であり、図7(b)は折り筋が一方の開口側のヒートシール部よりも筒状部の中央寄りに形成された比較例の紙袋の要部概念断面図で図7(a)に対応する箇所の様子を示す図である。また、図7(c)は、図14の従来の紙袋の要部拡大断面図で図7(a)に対応する箇所の様子を示す図である。
この分離を行うには、図8で示すように、まず底部2bを開封する。この底部2bの開封を行うには、第二の開封テープ付きの封緘紙7の開封テープ7aをひき、次に底部2bの折り曲げ(1回折り曲げ)を解除する。
次に、図8で示すように、口部2aを開封する。口部2aを開封するには、第一の開封テープ付きの封緘紙8の開封テープ8aをひく。
すると、この開封テープ8aが引かれて形成された第一の開封テープ付き封緘紙8には、開封口8bが形成される。また、この開封口8bから、折り筋Lを一端とし、折筋Lから一回折り曲げられた一方の開口の先端(縁)までの筒状部2(以下、「折り筋より一方の開口側の筒状部」という。)42が露出する。
次に、図9及び図10(a)で示すように、口部2aの封緘の際に折れ筋Lに沿って一回折り曲げられていた、折り筋Lより一方の開口側の筒状部42の、この折り曲げが、開封口8bを介して解除され(いいかえると折りが開封口8bを介して開かれ)、そして、この折り曲げの解除後、図9及び図10(a)の各矢印Dで示すように、折り筋Lより一方の開口側の筒状部42が、持ち手として作業者の手に掴まれ鉛直上方に持ち上げられる。
すると、図11で示すように一方の開口(口部2a)側のヒートシール部10は、収容物61の重力によって、糊部12側のヒートシール部10aと、収容物61側のヒートシール部10bに分断されるとともに、この分断によって、糊部12を有しスコアカット溝11に対し糊部12側のヒートシール部10aを具えた紙の筒状体4と、スコアカット溝11に対し収容物61側のヒートシール部10bを具えた最内層の筒状体3からなる内袋3aとが引き離されて、内袋3aと、外袋4aを形成している紙の筒状体4とが分離される。なお、ヒートシール部10の分断はスコアカット溝11に沿って行われる。
このようにして内袋3aを、外袋4aを形成していた紙の筒状体4から取り出すことができる。
なお、図9及び図10(a)では、折り筋Lより一方の開口側の筒状部42の高さを符号Hで示している。
なお、上述した図10(a)は図2の紙袋の紙の筒状体と内袋とを分離する動作を説明する図であって特に紙袋の持ち上げ部である持ち手を示す概念斜視図であり、図10(b)は図10(a)に対応する従来の紙袋の持ち上げ箇所を示す概念斜視図である。また、図10(c)は、図10(a)に対応する特願2010−180478号の紙袋の持ち上げ箇所、すなわち折り曲げ部の凹部を示す概念斜視図である。上述した図8、図9及び図11の符号Gは、紙袋1を載せた台または地面である。
したがって、紙の筒状体4から分離した後の内袋3aの外面に、紙の第一筒状体5と最内層の筒状体3とを接着する糊が付着し、この糊に粉末状の収容物61又は紙粉等やほこり等の収容物61以外のもの(異物)が付着するおそれは可及的に防止される。そのため、この糊に食品である粉末状の収容物61が付着して、カビが発生し、食品衛生上好ましくない事態を引き起こすおそれも可及的に防止される。
なお、糊部12は、従来の紙袋101(図15)では、接着力を可及的に小さくして上記分離の作業をしやすくするため、点状に糊を配置していたが、この発明の紙袋1では、糊部12の配置に際し、上記分離の作業を考慮する必要がないから、糊部12を、図1で示すように紙袋1の幅方向に沿って線状に配置される糊から構成することができる。また、糊部12を紙袋1の幅方向に沿って線状に配置された糊から構成すると、従来の紙袋101に比し最内層の筒状体3と紙の筒状体4との接着力を大きくできるので、収容物61の充填又は収容の際に、最内層の筒状体3と紙の筒状体4とが互いに位置ずれすることを可及的に防ぐことができるとともに、紙の第一筒状体5と最内層の筒状体3の間に収容物61が混入することも防止できる。
また、この紙袋1は、従来の紙袋111(図10(b))のように口部2a、底部2b又はその双方の封緘をミシン糸113による縫合により行うものではないから、紙の筒状体4と内袋3aを分離する際に、口部2a、底部2bの少なくとも一方を封緘している縫合されたミシン糸113を解く必要がなく、この縫合を解く手間や経験も必要がない。そのため、この紙袋1では、上記分離の作業が従来の紙袋111(図10(b))に比し、単純で、極めて容易にでき、これにより、この分離の作業を短時間で行うことができる。
封止帯112を用いた従来の紙袋111(図10(b))では、紙袋1の外観からスコアカット溝11の位置が把握しづらいから、筒状部2の口部2aの幅方向両端を掴んで持ち上げるときに、その掴む位置(ヒートシール部の下方)を誤ると、スコアカット溝11に沿って紙袋1の内袋3aが破けてしまうおそれがあった。
しかし、本発明の紙袋1では、紙袋1(図2)の外観を見た作業者は、折り筋Lの位置からスコアカット溝11の位置を把握できるので、筒状部2の口部2aの幅方向両端を掴んで持ち上げるときに、掴む位置を誤るおそれは、該従来の袋111に比べて可及的に防止され、そのためスコアカット溝11から紙袋1の内袋3aが破けるおそれは、従来の袋111に比べて可及的に防止される。
仮に、この紙袋とは異なり、図7(b)で示すように、この折り筋Lが一方の開口(口部2a)側のヒートシール部10よりも筒状部の中央寄り、いいかえると一方の開口側のヒートシール部10に対し一方の開口の先端とは反対側に形成されていた場合は、このヒートシール部10に形成されたスコアカット溝11から分離された内袋3aが、一方の開口の折筋Lにひっかかるおそれがある。このひっかかりが生じると、内袋3aと、外袋4aを形成していた紙の筒状体4とが分離されないおそれが生じる。
しかし、この発明の紙袋1では、図7(a)で示すように、筒状部2の一方の開口(口部2a)での一回の折り曲げの基準である折り筋Lは、この一方の開口側のヒートシール部10より、この一方の開口の先端側に配置されているから、ヒートシール部10に形成されたスコアカット溝11から分離された内袋3aが、この一方の開口の折り筋Lにひっかからない。そのため、この発明の紙袋1では、内袋3aと、外袋4aを形成していた紙の筒状体4とを確実に分離できる。
しかし、本願発明の紙袋1では、外袋4aを形成している紙の筒状体4と内袋3aとを分離するには、第二の開封テープ付きの封緘紙7の開封テープ7aが引かれてこの他方の開口が開封され、さらに第一の開封テープ付きの封緘紙8の開封テープ8aが引かれ、その後、折り筋Lに沿って折り曲げられていた折り筋Lより一方の開口側の筒状部42の折り曲げが解除されたときに、この折り筋Lより一方の開口側の筒状部42が持ち上げられればよく、この分離の際、図10(c)の従来の紙袋のように、凹部33に指をひっかけるまたは挿入する作業は不要である。そのため、本願発明の紙袋1によると、紙の筒状体4と内袋3aとを、特願2010−180478号の紙袋81に比べて簡単に分離することができ、これにより、この分離の作業を短時間で行うことができる。
この最内層の筒状体3の一部45とは、図11の符号Kで示すように、最内層の筒状体3のうち、糊部12側のヒートシール部10aの端に位置する分断された最内層の端から、最内層の筒状体3の先端までの範囲である。
なお、糊部12の糊は、この糊によって接着される紙とヒートシールされる素材とを互いに手で離間させることにより、接着する両者を剥離できる程度の接着力であり、紙の筒状体4と最内層の筒状体3の一部31との離間は、作業者の手によって可能である。
なお、図12(a)は、図12(a)は、図11の紙袋から内袋を分離した、外袋を形成していた紙の筒状体と、この筒状体に糊部の糊によって取り付けられた最内層の筒状体の一部とを示す概念断面図である。図12(b)は、図12(a)の最内層の筒状体の一部を、外袋を形成していた紙の筒状体とを分離した様子を示す図である。
しかし、この発明の紙袋1では外袋4aを形成している紙の筒状体4と内袋3aとが分離された場合に、第一の開封テープ付き封緘紙8の開封テープ8aを引いたことにより形成された開封口8bを介して、折り筋Lより一方の開口側の筒状部42の折り曲げを解除でき、この解除によって、図9及び図10(a)で示すように開封口8bから最内層の筒状体3の先端が露出させることができるので、外袋4aを形成している紙の筒状体4と一部45を取り出すことが、特願2010−180478号の紙袋に比べて簡単である。そのため、この発明の紙袋1では特願2010−180478号の紙袋に比べて最内層の筒状体3の一部45及び紙の筒状体4を分別し、両者を簡単にリサイクルすることが簡単にできる。
なお、図13は、本願出願人が提案した特願2010−180478号の紙袋の概念断面図であり、内袋と分離した外袋を形成していた紙の筒状体と、この筒状体に糊部の糊によって取り付けられた最内層の筒状体の一部の様子を示す図である。
また、紙袋1は、ひだ無しの袋(いわゆる平胴形式の紙袋)である。そのためいいかえると、ひだ有りの紙袋(ガセット形式の袋)に比べて、ヒートシール部10でのヒートシールの漏れ(抜け)は生じにくく、収容物61の漏れが可及的に防止される。
本願の発明の、図6に示す紙袋を、実験サンプルとして手作業で作成し、さらに一方の開口(口部2a)側のヒートシール部10の形成から、そのヒートシール部10に対するスコアカット溝11の形成を経て、この一方の開口の封緘(一方の開口の筒状体の折り曲げ及び第一の開封テープ付きの封緘紙8をホットメルト接着剤9により封緘する)までの作業を連続して行う従前の簡易型の機械・装置によって行った。また、この紙袋には、一方の開口(口部2a)側のヒートシール部10の形成前に、紙袋1に内容物61を充填した。
なお、実験サンプルとして作成した紙袋1は、筒状部2を形成する紙の筒状体4の紙の第一筒状体5又は紙の第二筒状体6は、直線切りされたシート状の紙によって形成されたものである。また、最内層の筒状体3は直線切りされたシート状のポリエチレンから形成されたものである。また、この紙袋1はひだなしの紙袋として作成された。
そして、収容物61を充填した紙袋1(図1及び図2)について、上述した内袋3aと外袋4aを形成していた紙の筒状体4とを分離する手順で、この両者を分離し、またその際、折り筋Lより一方の開口側の筒状部42を掴み持ち上げた際の内袋3aを目視にて確認した。
また、分離後の紙の筒状体4とこれに取り付けられる最内層の筒状体3の一部45の更なる分離が簡単で、そのため最内層の筒状体3の一部45及び紙の筒状体4を分別し、この両者を簡単にリサイクルすることができた。
また、紙袋の胴幅の寸法の変更によってカッター刃の種類を変える必要がある紙袋に比べて、紙袋1の製造は簡単であった。また、紙袋1は、ひだ有りの紙袋(ガセット形式の袋)に比べて、ヒートシール部10でのヒートシールの漏れ(抜け)は生じにくく、収容物61の漏れが可及的に防止された。
また、この紙袋1は、最内層の筒状体3を具えた筒状部2を用いて製造される多重袋であるから、紙の筒状体4からなる紙袋の内側に、最内層の筒状体3を手作業で差し込む工程を含む従来の多重袋に比べて、この差し込む工程がない分、多重袋の製造コストを低くすることができた。
以上のとおり、この発明の紙袋1の確認評価を行ったところ、紙袋1の作業性および品質面に問題はみられなかった。
2...筒状部
2a、2b...両端の開口
2a...一方の開口(口部)
2b...他方の開口(底部)
2d...折り曲げ部
3...最内層の筒状体
3a...内袋
4...紙の筒状体
4a...外袋
5...第一筒状体
6...第二筒状体
7...第二の開封テープ付きの封緘紙の開封テープ
7a...第二の開封テープ付きの封緘紙
8...第一の開封テープ付きの封緘紙
8a...第一の開封テープ付きの封緘紙の開封テープ
8b...開封口
10...ヒートシール部
11...スコアカット溝
12...糊部
41...折り曲げ部
42...折り筋より一方の開口側の筒状部(持ち手)
45...内袋と分離された最内層の筒状体の一部
61...収容物
L...折り筋
Claims (3)
- 2層以上の筒状体の層を有する両端開口の筒状部を有し、
該筒状部は、内周面同士がヒートシールにより接着される最内層の筒状体と、該最内層の筒状体の外周に配置される紙の筒状体とを有し、
前記筒状部の各開口に位置する前記最内層の筒状体の内周面同士をヒートシールによって接着してなるヒートシール部を具え、
前記筒状部の一方の開口および他方の開口には、それぞれ第一の開封テープ付きの封緘紙、第二の開封テープ付きの封緘紙が取り付けられるとともに、前記一方の開口には前記紙の筒状体と前記最内層の筒状体とを接着する糊部が配置され、
前記他方の開口は、前記筒状部が一回折り曲げられた後に前記第二の開封テープ付きの封緘紙によって封緘される紙袋において、
前記一方の開口側のヒートシール部の中間には、前記紙袋の収容物の重力によって、前記一方の開口側のヒートシール部を、前記糊部側のヒートシール部と、前記収容物側のヒートシール部とに分断し、該分断により前記外袋を形成している紙の筒状体と、前記内袋とを分離させることが可能なスコアカット溝が前記糊部とは異なる位置に形成され、
さらに前記一方の開口側のヒートシール部の形成により前記最内層の筒状体によって収容物を収容する内袋が封緘され、さらに前記一方の開口は、筒状部が一回折り曲げられた後に前記第一の開封テープ付きの封緘紙によって封緘され、これにより前記紙の筒状体によって前記内袋を覆う外袋が封緘され、
前記筒状部の前記一方の開口での前記一回の折り曲げの基準である折り筋は、前記一方の開口側の前記ヒートシール部より前記一方の開口の先端側に配置され、
前記糊部は、前記折り筋よりも前記一方の開口の先端側に配置され、
前記第二の開封テープ付きの封緘紙の開封テープが引かれて前記他方の開口が開封され、さらに前記第一の開封テープ付きの封緘紙の開封テープが引かれ、その後、前記折り筋に沿って折り曲げられていた前記折り筋より前記一方の開口側の筒状部の折り曲げが解除されたときに、前記折り筋より前記一方の開口側の筒状部が持ち上げられると、前記収容物の重力によって、前記スコアカット溝に沿って、前記一方の開口側のヒートシール部が、前記糊部側のヒートシール部と、前記収容物側のヒートシール部とに分断されて、前記外袋を形成している紙の筒状体と前記内袋とが分離されることを特徴とする紙袋。 - 前記外袋を形成している紙の筒状体と前記内袋とが分離された場合に、前記外袋を形成している紙の筒状体には、前記内袋と分離された前記最内層の筒状体の一部が前記糊部によって取り付けられており、前記最内層の筒状体の前記一部は、前記第一の開封テープ付き封緘紙の開封テープを引いたことにより形成された開封口から、前記外袋を形成している紙の筒状体と分離されることを特徴とする請求項1に記載の紙袋。
- 前記紙の筒状部を形成する紙の第一筒状体又は紙の第二筒状体は、直線切りされたシート状の紙によって形成され、
前記紙袋は、ひだなしの紙袋であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の紙袋。
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