JP5726689B2 - 多層構造シートの製造方法 - Google Patents
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Description
次に、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、第1実施形態における光情報記録媒体10は、基板11と、複数の記録層14と、複数の中間層15と、カバー層16とを備えてなる。
支持板12は、記録層14などを支持するための支持体であり、一例としてポリカーボネートの円板などからなる。支持板12の材質や厚さは特に限定されない。
Rは置換基を表し、置換基としては、特に限定されず、具体的には、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、などが挙げられる。
このように、中間層15を記録層14よりも軟らかい構成とすることで、記録層14を記録光により加熱して膨脹させたときに、中間層15が変形しやすく、記録層14との界面18の変形を容易に起こさせることができる。
0.001<((n2−n1)/(n2+n1))2<0.04
を満たすのが望ましい。
所望の記録層14に情報を記録するとき、図2に示すように、その記録層14に、記録すべき情報に応じて出力が変調されたレーザ光(記録光RB)を照射する。記録層14が、多光子吸収化合物を記録色素として有する場合、このレーザ光には、ピークパワーを大きくできるパルスレーザ光を用いるとよい。そして、記録光RBの焦点の位置は、特に限定されないが、一例として、界面18付近とすることができる。
なお、本発明の光情報記録媒体は、記録層14を凸形状に変形させて情報を記録するものでもよいし、凹形状に変形させて情報を記録するものでもよい。
まず、図6(a)に示すように、第1の剥離シートS1の剥離剤が塗布されている側の面上に中間層15を形成して、第1のシート110を得る(粘着剤層形成工程)。
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。第2実施形態は、中間層として第1中間層15Aと第2中間層15Bを有している形態である。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
第2中間層15Bは、後述する多層構造シート200を用いて光情報記録媒体10’を製造する際に、記録層14に生じるひび割れを低減するために設けられた剥離補助層である。
<実験1>
1.材料
(1)記録層材料
記録層材料としては、高分子バインダーに、色素を分散させたものを用いた。
色素 下記化合物A
高分子バインダー ポリメチルメタクリレート(PMMA)
(シグマアルドリッチ ジャパン株式会社製)
粘着剤層材料として、DA−3010(日立化成工業株式会社製)を用いた。
剥離シートとして、クリーンセパHY−US20(東山フイルム株式会社製)を用いた。
各実施例における、多層構造シートの作製方法は以下の通りである。
(1)記録層溶液の作製
溶媒(2−ブタノン(和光純薬工業株式会社製))と記録層材料を混合し、1時間撹拌溶解することで、記録層溶液を作製した。
厚さ1mm、直径12cmのガラス基板をスピンコーター(ミカサ株式会社製)に設置し、その上に、直径12cmに打ち抜いた剥離シートを、剥離剤が塗布されている面を上にして固定した。次に、剥離シート上に、記録層溶液1mLを塗布し、スピンコーターを600rpmにて1分間回転させた。その後、記録層を乾燥させ、記録層を形成した。
これにより得られたシートを、所定温度(図11に示す加熱温度を参照)に保ったオーブンの中に30分間入れて加熱した後、オーブンから取り出し、室温(25℃)にて30分間冷却した。なお、図11において、「加熱なし」と記載されているものに関しては、加熱を行わず、「冷却なし」と記載されているものに関しては、冷却を行っていない。
また、新たに用意した剥離シートの剥離剤が塗布されている面に、粘着剤層材料を塗布し、剥離シート上に粘着剤層を形成した。そして、得られたシートを直径12cmに打ち抜いた。
そして、上記のように作製した2つのシートを、記録層と粘着剤層が重なり合うように貼り合わせた。
[記録層材料のガラス転移温度測定]
多層構造シートの加熱温度の目安とするために、記録層材料のガラス転移温度(Tg)を測定した。
DSC6200R(Seiko Instruments Inc.製)を用いてSUS製密閉セルに記録層材料を密閉し、−100℃から100℃までの範囲において、10℃/分で昇温して1回目のガラス転移温度を求めた。さらに100℃から−100℃まで50℃/分で降温した後に−100℃から100℃までの範囲において10℃/分で昇温して2回目のガラス転移温度を求めた。この点をガラス転移温度とした。
室温下において記録層に付着している剥離シートを取り除き、露出した記録層表面を、共焦点レーザー顕微鏡OLS−3000(島津製作所製)を用いて観察した。なお、剥離シートは、記録層から剥離した端部を、約180°折り返して、多層構造シートの表面に沿って引っ張って取り除いた。
[記録層材料のガラス転移温度]
実験1で用いた記録層材料のガラス転移温度は、62℃であった。
図11に示すように、記録層を様々な温度で加熱したところ、加熱温度が50℃以下である場合(比較例1−1〜1−3)、記録層にひび割れが生じていたが、加熱温度が60℃以上である場合(実施例1−1〜1−4)、記録層にひび割れが生じていないことが確認できた。これにより、一定以上の温度で記録層を加熱することで、剥離シートを取り除いた際に、記録層にひび割れが生じるのを防止することができることがわかった。
実験2では、実験1とは異なる記録層材料を用いて多層構造シートを作製し、色素が結合された高分子を記録層材料として用いても、記録層を加熱することで記録層のひび割れを防止することができるかどうかを検討した。
(1)記録層材料
記録層材料としては、下記の化合物Bを用いた。
粘着剤層材料および剥離シートは、実験1と同じものを用いた。
各実施例における、多層構造シートの作製方法は以下の通りである。
(1)記録層溶液の作製
溶媒(2−ブタノン(和光純薬工業株式会社製))と記録層材料を混合し、1時間撹拌溶解させて、記録層溶液を作製した。
各実施例における多層構造シートの作製は、実験1における多層構造シートの作製方法と同様の方法で行った。
[記録層材料のガラス転移温度測定]
記録層材料のガラス転移温度測定は、実験1における評価方法と同様の方法で行った。
各実施例および各比較例における記録層のひび割れの観察は、実験1における評価方法と同様の方法で行った。なお、実施例2−2においては、記録層の加熱後、オーブンの中に入れた状態で剥離シートを取り除いた。
[記録層材料のガラス転移温度]
実験2で用いた記録層材料のガラス転移温度は、42℃であった。
図11に示すように、記録層を様々な温度で加熱したところ、加熱温度が60℃以下である場合(比較例2−1〜2−4)、記録層にひび割れが生じていたが、加熱温度が70℃以上である場合(実施例2−1〜2−4)、記録層にひび割れが生じていないことが確認できた。これにより、色素が結合された高分子を記録層材料を用いても、一定以上の温度で記録層を加熱することで、剥離シートを取り除いた際に、記録層にひび割れが生じるのを防止することができることが確認できた。
また、実施例2−2においては、記録層の加熱後、冷却を行わず、オーブンに入れた状態のまま剥離シートを取り除いたが、この場合においても、記録層にひび割れは生じしていなかった。これにより、記録層の加熱後には、必ずしも冷却する必要はなく、加熱中に剥離シートを取り除いてもよいことがわかった。
実験3では、記録層の加熱温度を一定にし、加熱後の冷却温度を変えた場合と、多層構造シートに剥離補助層を設けた場合とで、実験を行い、剥離シートを取り除いた際に、より記録層にひび割れが生じにくい条件について検討した。
記録層材料としては、下記の化合物Cを用いた。
粘着剤層材料および剥離シートは、実験1と同じものを用いた。
剥離補助層材料としては、紫外線硬化樹脂SD−640(DIC株式会社製)を用いた。
各実施例における、多層構造シートの作製方法は以下の通りである。
(1)記録層溶液の作製
溶媒(2−ブタノン(和光純薬工業株式会社製))と記録層材料を混合し、1時間撹拌溶解させて、記録層溶液を作製した。
(2−1)実施例3−1
実施例3−1における多層構造シートは、実験1における多層構造シートの作成方法と同様の方法で作製した。
厚さ1mm、直径12cmのガラス基板をスピンコーター(ミカサ株式会社製)に設置し、その上に、直径12cmに打ち抜いた剥離シートを、剥離剤が塗布されている面を上にして固定した。次に、剥離シート上に、記録層溶液1mLを塗布し、スピンコーターを600rpmにて1分間回転させた。その後、記録層を乾燥させ、記録層を形成した。
これにより得られたシートを、100℃に保ったオーブンの中に30分間入れて加熱した後、オーブンから取り出し、冷凍冷蔵庫(−20℃、CT−3213(日本フリーザー株式会社製))に入れて30分間冷却した。
また、新たに用意した剥離シートの剥離剤が塗布されている面に、粘着剤層材料を塗布し、剥離シート上に粘着剤層を形成した。そして、得られたシートを直径12cmに打ち抜いた。
そして、上記のように作製した2つのシートを、記録層と粘着剤層が重なり合うように貼り合わせた。
厚さ1mm、直径12cmのガラス基板をスピンコーター(ミカサ株式会社製)に設置し、その上に、直径12cmに打ち抜いた剥離シートを、剥離剤が塗布されている面を上にして固定した。次に、剥離シート上に、剥離補助層材料を3mL滴下し、スピンコーターを2000rpmにて30秒間回転させた。その後、4.2inch−SPIRAL LAMP(Xenon Corporation社製)を用いて、1回当たり0.5秒の照射時間となる紫外線を10回照射して、剥離補助層を硬化させた。そして、硬化した剥離補助層の上に、記録層溶液1mLを塗布し、スピンコーターを600rpmにて1分間回転させた。その後、記録層を乾燥させ、記録層を形成した。
これにより得られたシートを、100℃に保ったオーブンの中に30分間入れて加熱した後、オーブンから取り出し、室温(25℃)にて30分間冷却した。
また、新たに用意した剥離シートの剥離剤が塗布されている面に、粘着剤層材料を塗布し、剥離シート上に粘着剤層を形成した。そして、得られたシートを直径12cmに打ち抜いた。
そして、上記のように作製した2つのシートを、記録層と粘着剤層が重なり合うように貼り合わせた。
厚さ1mm、直径12cmのガラス基板をスピンコーター(ミカサ株式会社製)に設置し、その上に、直径12cmに打ち抜いた剥離シートを、剥離剤が塗布されている面を上にして固定した。次に、剥離シート上に、剥離補助層材料を3mL滴下し、スピンコーターを2000rpmにて30秒間回転させた。その後、4.2inch−SPIRAL LAMP(Xenon Corporation社製)を用いて、1回当たり0.5秒の照射時間となる紫外線を10回照射して、剥離補助層を硬化させた。そして、硬化した剥離補助層の上に、記録層溶液1mLを塗布し、スピンコーターを600rpmにて1分間回転させた。その後、記録層を乾燥させ、記録層を形成した。
また、新たに用意した剥離シートの剥離剤が塗布されている面に、粘着剤層材料を塗布し、剥離シート上に粘着剤層を形成した。そして、得られたシートを直径12cmに打ち抜いた。
そして、上記のように作製した2つのシートを、記録層と粘着剤層が重なり合うように貼り合わせた。
[記録層材料のガラス転移温度測定]
記録層材料のガラス転移温度測定は、実験1における評価方法と同様の方法で行った。
各実施例および比較例における記録層のひび割れの観察は、実験1における評価方法と同様の方法で行った。なお、実施例3−3と比較例3−1においては、剥離補助層に付着している剥離シートを取り除いて、記録層のひび割れを観察した。
[記録層材料のガラス転移温度]
実験3で用いた記録層材料のガラス転移温度は、54℃であった。
図11に示すように、実施例3−1では、記録層に付着している剥離シートを取り除いた際に、記録層に若干のひび割れが生じた。しかし、このひび割れは、数μm程度のものであり、エラー訂正可能な範囲(約100μm以下)であるため、光情報記録媒体として利用するのには問題のないものであった。
実施例3−1では、記録層に若干のひび割れが生じていたので、実施例3−2では、加熱後の冷却温度を室温以下(−20℃)に設定した。その結果、実施例3−2では、記録層に付着している剥離シートを取り除いても、記録層にひび割れが生じなかった。
また、実施例3−3において、多層構造シートを、記録層を剥離補助層と粘着剤層で挟む構成とし、実施例3−1と同じ条件で加熱・冷却したところ、剥離補助層に付着している剥離シートを取り除いても、記録層にひび割れが生じなかった。一方、比較例3−1では、実施例3−3と同じ構造の多層構造シートを用いたが、加熱・冷却を行わずに剥離補助層に付着している剥離シートを取り除いたところ、記録層にひび割れが生じた。
次に、記録層に凸形状の変形を生じさせて光情報記録媒体に記録できることを確認した実験について説明する。
(1)高分子バインダー
高分子バインダーとしては、ポリメタクリル酸メチル19376(SIGMA−ALDRICH社製)を用いた。
色素としては、上記した化合物Aを用いた。
2−ブタノン(和光純薬株製)を溶媒とし、上記の高分子バインダーと色素を混合し、1時間撹拌して溶解させ、記録層溶液を作製した。
剥離シート(クリーンセパHY−US20、東山フイルム株式会社製)を、幅10cm、長さ20cm程度に裁断し、平滑なガラス板の上に設置し、記録層溶液をブレードコータによって手塗りし、乾燥させて記録層を形成した。
2×3cm程度の粘着剤層(DA−3010、日立化成工業株式会社製)をスライドガラス(基板)に2回貼り付け、その上に、剥離シートに形成された記録層を向かい合わせにして貼り付けた。その後、剥離シートを剥離し、さらに、粘着剤層(DA−3010)を記録層の上に2回貼り合わせた。最後に、カバー層としてポリカーボネートフィルム(ピュアエースC110、帝人化成株式会社)を貼り付けた。
各層の膜厚は、MINICOM ELECTRONIC GAGE(TOKYO SEIMITSU)で測定したところ、下記の通りであった。
スライドガラス 1000μm
カバー層 80μm
粘着剤層(1枚あたり) 各10μm
記録層 1μm
記録用レーザとして、波長522nmのパルスレーザを用い、ピークパワー36.8W、パルス幅10μsecで、記録層と粘着剤層の界面に記録を行った。
そして、カバー層側の粘着剤層を剥がした上で、下記の原子間力顕微鏡(AFM)により形状測定した。
原子間力顕微鏡
装置 ナノサーチ顕微鏡OLS−3500(オリンパス社製)
観察条件 ダイナミックモード、走査範囲10μm、走査速度1Hz
高アスペクト比プローブAR5-NCHR-20(ナノワールド社製)使用
原子間力顕微鏡(AFM)により形状測定した結果を3次元表示したのが図12である。図12に示すように、記録層と粘着剤層の界面において、粘着剤層に向けて突出する凸形状の突起が形成されていることが確認できた。
なお、本実験では、剥離シートを剥離する前に、記録層を加熱していないが、加熱の有無は記録の可否に影響はないと考えられる。
10’ 光情報記録媒体
14 記録層
15 中間層
15’ 中間層
16 カバー層
100 多層構造シート
110 第1のシート
120 第2のシート
130 第4のシート
200 多層構造シート
210 第1のシート
220 第2のシート
230 第4のシート
S1 第1の剥離シート
S2 第2の剥離シート
Claims (7)
- 第1の剥離シート上に粘着剤層を形成して第1のシートを得る粘着剤層形成工程と、
第2の剥離シート上、または、第2の剥離シート上に形成された剥離補助層上に高分子を含有する記録層溶液を塗布した後、乾燥させることで、前記第2の剥離シート上または前記剥離補助層上に記録層を形成して第2のシートを得る記録層形成工程と、
前記第1のシートの粘着剤層上に、前記第2のシートの記録層を貼り合わせることで、前記第1のシートに前記第2のシートを重ねた第3のシートを得る貼合工程と、を有する複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体を製造するための多層構造シートの製造方法であって、
前記第2のシートを70℃以上100℃以下で加熱する加熱工程を有することを特徴とする多層構造シートの製造方法。 - 第1の剥離シート上に粘着剤層を形成して第1のシートを得る粘着剤層形成工程と、
第2の剥離シート上、または、第2の剥離シート上に形成された剥離補助層上に高分子を含有する記録層溶液を塗布した後、乾燥させることで、前記第2の剥離シート上または前記剥離補助層上に記録層を形成して第2のシートを得る記録層形成工程と、
前記第1のシートの粘着剤層上に、前記第2のシートの記録層を貼り合わせることで、前記第1のシートに前記第2のシートを重ねた第3のシートを得る貼合工程と、を有する複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体を製造するための多層構造シートの製造方法であって、
前記第3のシートを70℃以上100℃以下で加熱する加熱工程を有することを特徴とする多層構造シートの製造方法。 - 前記加熱工程中に、前記第2の剥離シートを取り除く剥離工程をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の多層構造シートの製造方法。
- 前記加熱工程の後、加熱された前記第2のシートを、室温より低い温度で冷却する冷却工程をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の多層構造シートの製造方法。
- 前記加熱工程の後、加熱された前記第3のシートを、室温より低い温度で冷却する冷却工程をさらに有していることを特徴とする請求項2に記載の多層構造シートの製造方法。
- 前記加熱工程において、前記第2のシートを30分以上加熱することを特徴とする請求項1に記載の多層構造シートの製造方法。
- 前記加熱工程において、前記第3のシートを30分以上加熱することを特徴とする請求項2に記載の多層構造シートの製造方法。
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