JP5726043B2 - 球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール及びその素材の製造方法 - Google Patents

球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール及びその素材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼板を塑性変形させて鋼管を成形する際に用いられる、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール及びその素材の製造方法に関する。本発明は、特に、電縫鋼管、又は鍛接鋼管を成形する際に用いて好適な、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール及びその素材の製造方法に関する。
電縫管や鍛接鋼管は、シート状の鋼板を筒状に塑性変形させて成形した後、所定の断面形状になるように、さらに塑性変形させて成形される。成形された鋼管は、対向する鋼板の端部を電気溶接又は鍛接して、電縫鋼管又は鍛接鋼管となる。
シート状の鋼板を筒状に塑性変形させるロールをフォーミングロール、筒状に塑性変形された鋼管を、所定の断面形状に仕上げ成形しつつ、成形中の鋼管を成形方向に押し出すロールをプルアウトロールという。
フォーミングロールやプルアウトロールなどの鋼管成形用ロールは、特許文献1に記載されるように、様々な鉄系材料で製造されているが、鋼管成形用ロールの成形面は優れた耐摩耗性を有することが要求される。
したがって、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールの場合、金属組織中に、硬質組織であるセメンタイトを得るために、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールは金型鋳造で製造されることが多い。
しかしながら、金型鋳造を行うには、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を注入するための金型鋳型が必要となるが、金型鋳型は、砂型鋳型と比べて高価である。
また、金型鋳型は、溶湯を注湯することにより、大きく変形するため、鋳造の前には、金型鋳型の変形を矯正することが毎回必要になる。
しかしながら、耐摩耗性を要求される部位は、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールの全部位のうち、成形中に鋼板と接触する成形面だけである。
そして、成形面は、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材を機械加工して使用されるが、金型鋳物で球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材を製造すると、機械加工面にセメンタイトが多く存在していることにより、機械加工の工数が多くなることも問題であった。
特開平9−85487号公報
本発明は、成形面に耐摩耗性が付与され、かつ、機械加工して成形面とするときの切削性にも優れる球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール、及び、その素材の製造方法を提供することを目的とする。なお、本発明で成形面とは、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールにおいて、鋼板を塑性変形させる面のことをいう。
本発明者らは、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールの成形面における金属組織及び硬さの深さ方向分布と、成形面における摩耗量の関係について鋭意検討を重ねた。
その結果、成形面から深さ20mmまでの部位におけるセメンタイト量を、面積率で15〜25%とし、かつ、基地組織をマルテンサイト及びベイナイトとしたとき、成形面に所望の耐摩耗性を付与することを見出した。
そして、本発明者らは、金型鋳造では、成形面のセメンタイト量が25%超と過度になり、このセメンタイトを分解するには、高温で長時間の熱処理をする必要で、工数が増加するだけでなく、熱処理歪の問題も発生することを知見した。
そこで、本発明者らは、砂型鋳造で、成形面に冷し金を配置して鋳造した鋳物を、熱処理歪が問題とならない温度で熱処理することにより、耐摩耗性が必要な成形面に、必要な深さだけ、適正量のセメンタイトを生成し、基地組織をマルテンサイト及びベイナイトとすることができることを知見した。そして、そのような基地組織にすることで、機械加工により成形面を形成するときの切削性も向上させることができることを知見した。
本発明は、上記の知見に基づきなされたもので、その要旨は次のとおりである。
(1)鋼板から鋼管を成形する少なくとも1つの成形面を有する球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールであって、質量%で、C:3.2〜3.6%、Si:1.0〜1.8%、Mn:0.4〜0.6%、P:0.08%未満、S:0.08%未満、Ni:1.5〜2.8%、Cr:0.85〜1.9%、Mo:0.4〜0.8%、及び、Mg:0.03〜0.09%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になり、前記成形面からの深さが20mmまでの部位で、マルテンサイト及びベイナイトを基地として、セメンタイトを、面積率で15〜25%を含有する混合組織とし、かつ、該混合組織のショア硬さが、55〜65であることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール。
(2)前記成形面が、シート状の鋼板を筒状に塑性変形させることを特徴とする前記(1)に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール。
(3)前記成形面が、筒状に塑性変形された鋼管を、所定の断面形状に仕上げ成形しつつ、成形中の鋼管を成形方向に押し出すことを特徴とする前記(1)に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール。
(4)前記鋼管が、電縫鋼管であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール。
(5)前記鋼管が、鍛接鋼管であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール。
(6)鋼板から鋼管を成形する少なくとも1つの成形面を有する球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールの素材の製造方法において、質量%で、C:3.2〜3.6%、Si:0.85〜1.5%、Mn:0.4〜0.6%、P:0.08%未満、S:0.08%未満、Ni:1.5〜2.8%、Cr:0.85〜1.9%、及び、Mo:0.4〜0.8%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になる溶湯を、球状化処理した後、鋳型内に注湯するに際し、機械加工後に成形面となる部位を急冷して局部硬化層とする冷し金を配置し、該冷し金の最大肉厚を、前記局部硬化層を含む最小肉厚部の0.3〜0.6とし、前記注湯中に、鋳型内又は注湯流内でSi:0.15〜0.25%を接種しながら鋳造し、凝固、冷却させた後、830〜860℃に加熱し、3〜5時間保持後に300℃まで、400〜600℃/時の速度で強制冷却し、ついで、540〜560℃に加熱し、3〜5時間保持後に200℃まで、300〜200℃/時の速度で冷却することを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
(7)前記冷し金が、分割された複数の分割冷し金から構成され、前記複数の分割冷し金それぞれが、分割面37で前記砂型鋳型の突起部を介して配置され、前記複数の分割冷し金の、前記溶湯が注入されるキャビティに臨む面が、前記砂型鋳型の突起部の先端よりも突出していることを特徴とする前記(6)に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
(8)前記成形面が、シート状の鋼板を筒状に塑性変形させることを特徴とする前記(6)又は(7)に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
(9)前記成形面が、筒状に塑性変形された鋼管を、所定の断面形状に仕上げ成形しつつ、成形中の鋼管を成形方向に押し出すことを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
(10)前記鋼管が、電縫鋼管であることを特徴とする前記(6)〜(9)のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
(11)前記鋼管が、鍛接鋼管であることを特徴とする前記(6)〜(9)のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
本発明によれば、高価な金型を用いることなく、鋼板を鋼管に成形するのに必要な耐摩耗性を、成形面に付与した球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールを得ることができる。
また、本発明によれば、成形面の耐摩耗性が良好なのにもかかわらず、成形面の切削性が良好なため、成形面の機械加工の工数を低減させつつ、成形面の耐摩耗性に優れた球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールを得ることができる。
プルアウトロール素材の軸方向断面図である。 プルアウトロール素材鋳造用鋳型の概略を示す説明図である。 分割形式の冷し金を配置した外中子のキャビティ面を示す斜視図である。 図3のI−I線に沿う断面図である。 フォーミングロール素材の軸方向断面図である。 プルアウトロールの摩耗量の測定位置及び測定方法を説明する図である。 金型鋳造で製造されたプルアウトロール素材と、本発明のプルアウトロール素材を比較説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態を、詳細に説明する。まず、本発明の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールの成分組成について説明する。なお、以下の成分組成を表す%は、質量%を意味するものとする。
C:3.2〜3.6%
Cは、セメンタイト量に関係する最も基本的な元素である。C量が3.2%未満では、セメンタイト量が過剰となり、切削性が低下する。一方、3.6%を超えると、黒鉛の晶出が過剰になり、耐摩耗性を損なう。
Si:1.0〜1.8%
Siは、黒鉛の晶出を促進させる元素である。また、鋳造された鋳物に含有されるSi量(出来上がりSi量)が同じでも、接種で添加されるSi量によって、黒鉛の晶出能は異なり、その結果、セメンタイト量も異なる。ここでは、出来上がりSi量、即ち、鋳造された球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールに含有するSi量について説明する。接種量及び接種方法については、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法のところで説明する。
出来上がりSi量が1.0%未満では、黒鉛晶出能が小さく、セメンタイト量が過剰となり、切削性が低下する。一方、出来上がりSi量が1.8%を超えると、黒鉛の晶出が過剰となり、セメンタイト量が減少し、その結果、耐摩耗性が低下する。
なお、出来上がりSi量は、後述する接種剤で供給されるSiも含めて、出来上がりSi量を1.0〜1.8%とする。また、球状化処理剤にFe-Si-Mg合金等のSiを含有するものを用いる場合には、球状化剤から供給されるSiも含めて、出来上がりSi量を1.0〜1.8%とする。
Mn:0.4〜0.6%
Mnは、鋳物中の炭化物を安定させる元素である。Mn量が0.4%未満であると、熱処理後の基地組織にフェライトが多く残留する。一方、0.6%を超えると、鋳放しでパーライトを多く生成し、熱処理してもベイナイト基地にならない。
P:0.08%以下
Pは、粒界に偏析して鋳物を脆くする元素であるので、P量は0.08%以下とする。P量は可能な限り低減することが好ましいが、P量の過剰な低減は、材料費の上昇を招くから、工業的には、P量の下限を0.03%とすることが好ましい。
S:0.08%以下
Sは黒鉛の球状化を阻害し、鋳物を脆くするため、S量は0.08%以下とする。S量は可能な限り低減することが好ましいが、S量の過剰な低減は、材料費の上昇を招くから、工業的には、Sの下限を0.03%とすることが好ましい。
Ni:1.5〜2.8%
Niは、基地組織によく固溶し、靭性を向上させるから、1.5%以上含有させる。一方、過剰な添加は、黒鉛の晶出が過度になり、セメンタイト量が低下するので、上限は2.8%とする。
Cr:0.85〜1.9%
Crは、セメンタイト安定化元素である。セメンタイト量を適正にするためには、Cr量を0.85%以上含有させることが必要である。一方、1.9%を超えると、セメンタイト量が過度となる。
Mo:0.4〜0.8%
Moは、基地組織の硬度を向上させる。この効果を得るには、Moを0.4%以上含有させることが必要である。一方、0.8%を超えてMoを含有させても、硬度向上効果は飽和するので、Mo量の上限は0.8%とする。
Mg:0.03〜0.09%
Mgは、黒鉛を球状化するのに必要な元素である。ここでいうMg量は残留Mg量である。Mg量が0.03%未満であると、球状化不良を発生させ、一方、0.09%を超えると、鋳物中に引け巣を発生しやすい。なお、残留Mg量とは、球状化処理剤に含有するMgに由来する、鋳物中に含有するMg量である。
次に、本発明の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールの金属組織について説明する。
上述したように、鋼管成形用ロールにおいては、成形面に耐摩耗性が付与されていればよく、成形面以外の部位には、耐摩耗性が付与されている必要はない。
鋼管を成形したときの成形面の耐摩耗性は、成形面から20mmの深さまでのセメンタイト量と基地組織で決まる。
したがって、成形面から20mmの深さまでの部位は、セメンタイト量を、面積率で15〜25%の範囲とし、かつ、基地組織をマルテンサイト及びベイナイトとすることが必要である。好ましいセメンタイト量は19〜23%の範囲である。また、成形面から10mmの深さまでの部位を、このような金属組織とすることが好ましい。
ここで、基地組織は、セメンタイト以外の金属組織をいう。また、基地組織をマルテンサイト及びベイナイトにするとは、マルテンサイト及びベイナイトの他に、球状黒鉛と、不可避的に含有される金属組織とで構成されることを意味する。ここで、不可避的に含有される金属組織とは、フェライト、パーライト、レーデブライト、片状黒鉛である。また、これらの不可避的に含有される金属組織の合計は、面積率で5%未満とすることが好ましい。
なお、セメンタイト量、マルテンサイト量、ベイナイト量、及び、不可避的金属組織の量は、面積率で評価する。面積率は、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールから、金属顕微鏡観察用試料を切り出して研磨した後、研磨面を金属顕微鏡で観察し、観察面を画像解析することによって求める。各部位での面積率は、1.350mm×1.012mm四方の領域で3視野観察した結果の平均値とする。
成形面から20mmの深さまで以外の部位の金属組織は、特に限定されるものではないが、セメンタイト量を可能な限り低減し、かつ基地組織をベイナイトとすることが好ましい。耐摩耗性が要求されない部分に、硬くて脆い組織であるセメンタイトが存在することは好ましくないからである。また、ベイナイトは、強度と靭性を併せもつ金属組織であるから、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールに高荷重の負荷がかかる成形条件のときにも、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールが破損することなく、耐え得るためである。
次に、本発明の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールの硬さについて説明する。
耐摩耗性が要求される成形面については、成形面から20mmの深さまで、ショア硬さを55〜65の範囲とする必要がある。好ましくは、成形面から10mmの深さまでの部位を、このような硬さとする。硬さは、各部位で7点測定した結果の平均値とする。
成形面から20mmの深さまで以外の部位の硬さは、特に限定されるものではないが、ショア硬さで45〜55の範囲とすることが好ましい。耐摩耗性が要求されない部位については、硬度を若干低くした方が、強度と靭性を両立できるからである。
金型鋳物の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールは、ほとんどの部位で、ショア硬さが55〜65の範囲となり、成形面の耐摩耗性は問題ないが、必要のない部分まで、硬い硬度を有するものとなってしまう。
金型鋳物の場合、セメンタイト量を、面積率で25%以上とし、かつ、基地組織をパーライトとすることで、成形面を含む鋳物の硬さを、ショア硬さで55〜65の範囲としている。
これに対し、本発明の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールの成形面から20mmの深さまでの部位は、セメンタイト量を面積率で15〜25%とし、基地組織をマルテンサイト及びベイナイトにすることで、鋳物の硬さを、ショア硬さで55〜65の範囲としている。
ここで、マルテンサイト及びベイナイトは、パーライトと比べて、硬い組織であるため、基地組織をマルテンサイト及びベイナイトにすると、その分、セメンタイト量を減少させても、同等の硬度を有する鋳物を得ることができる。そして、その結果、同等の耐摩耗性を得ることができる。
セメンタイトとパーライトの混在組織を機械加工する場合、セメンタイトとパーライトの硬度差が大きいので、一種の断続切削となる。これに対し、マルテンサイト及びベイナイトの基地組織とセメンタイトの混合組織は、混合組織全体として硬さが同一であっても、セメンタイトとパーライトの混合組織と比べて、切削性に優れる。
成形面は、機械加工されるので、マルテンサイト及びベイナイトの基地組織とセメンタイトの混合組織が、切削性に優れることは、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールにとって有利である。
金型鋳物を熱処理して、面積率で25%以上あるセメンタイトの一部を分解させて、成形面から20mmまでの深さの部位において、セメンタイト量を15〜25%にすることは非常に難しい。熱処理時には、鋳物の表面の方が温度がはやく上昇するため、より成形面に近い部位に存在するセメンタイトが、必要以上に分解してしまうからである。
また、セメンタイトを分解させる熱処理温度は、ベイナイトを生成させるための熱処理温度に比べて高温であるため、熱処理歪も問題になる。
したがって、本発明の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールは、耐摩耗性を確保するために硬さが必要な成形面にだけ、適正量(面積率で15〜25%)のセメンタイトを生成させ、基地組織をマルテンサイト及びベイナイトとしているのである。
なお、上述したように、、成形面とは、鋼板を塑性変形する面であり、機械加工された面である。即ち、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールの素材には、成形面も含め、取り代が付与されている。
次に、本発明の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法について説明する。
ここでは、プルアウトロール素材の製造方法について説明する。図1は、プルアウトロール素材の軸方向断面図である。図1中、符号1はプルアウトロール素材である。
プルアウトロール素材1は、外径A、内径Bの円筒形の外周部に鋳抜き部2を有する。鋳抜き部2の表面は機械加工されて成形面となる。
プルアウトロール素材1の鋳抜き部2の周辺部には、局部硬化層3を有する。熱処理後の局部硬化層3は、セメンタイト量が面積率で15〜25%であり、かつ、基地組織がマルテンサイト及びベイナイトである。
上述したように、成形面からの深さが20mmまでの部位は、セメンタイト量を面積率で15〜25%でとし、かつ、基地組織をマルテンサイト及びベイナイトとする必要がある。したがって、局部硬化層3の厚さCは、20mmに、機械加工の際の取り代を加えた厚さとする必要がある。なお、局部硬化層3の取り代は2〜5mmである。
プルアウトロール素材1は、機械加工後に成形面となる鋳抜き部2以外にも、必要な箇所に機械加工が施されてプルアウトロールとなる。
プルアウトロール素材1は、冷し金を有する砂型鋳型に、球状黒鉛鋳鉄溶湯を注入して製造される。
図2は、プルアウトロール素材鋳造用鋳型の概略を示す説明図である。図2中、符号20は、プルアウトロール素材鋳造用鋳型である。
プルアウトロール素材鋳造用鋳型20は、上型21、下型22、外中子23、24、及び、棒心中子27を備える。上型21、下型22、外中子23、24、及び、棒心中子27は、けい砂、クロマイト砂、ジルコン砂、セラミック砂などの鋳型用骨材に、粘結剤を添加して造型される。鋳型用骨材及び粘結剤の種類は、常法のものでよい。また、造型方法も、常法でよい。
上型21、下型22、外中子23、24、及び、棒心中子27は、図2のように組み立てられ、鋳造後にプルアウトロール素材1となるキャビティ35が形成される。
上記の組立前に、外中子23には、冷し金25が配置される。冷し金25で、鋳抜き部2が形成されるとともに、鋳抜き部2の周辺が急冷されて、所望量のセメンタイト量とすることができる。したがって、冷や金25が配置されることが必要である。
冷し金25の大きさは、冷し金25の最大肉厚P、局部硬化層3を含む最小肉厚部の肉厚Qの関係で表される。Pは、Qの0.3〜0.6とすることが好ましい。PがQの0.3よりも小さいと、成形面から20mmの深さまでの部位において、セメンタイト量が面積率で15〜25%とならない。一方、PがQの0.6を超えると、セメンタイト量が面積率で15〜25%となる範囲が、必要以上に深くなる。
なお、PとQが上記の関係を満足する範囲内で、冷し金25の大きさを変えることにより、鋳抜き部2の大きさが異なるプルアウトロール素材1を得ることができる。これにより、冷し金25の大きさを変えるだけで、口径の異なる鋼管を成形するプルアウトロールの素材を得ることができる。
冷し金25は、一体形式としてもよいし、分割形式としてもよい。図3は、分割形式の冷し金25を配置した外中子23のキャビティ面を示す斜視図である。また、図4は、図3のI−I線に沿う断面図である。
外中子23は、同様に冷し金25を配置された外中子24と一対となって、プルアウトロール素材1の鋳抜き部2を含む外径部を形成する鋳型となる。
図3に示したように、冷し金25を分割形式とする場合には、冷し金25それぞれを、砂型で形成された突起部36を介して配置することが好ましい。
このように、冷し金25を分割形式して、冷し金25それぞれの分割面37で突起部36を挟み込むことで、溶湯の注湯による冷し金25の膨張を、砂型で形成された突起部36で吸収することができる。
冷し金25を一体形式にすると、溶湯の注湯による冷し金25の膨張により、外中子23本体が割れて鋳物の形状が崩れてしまう、あるいは、湯洩れとなってしまう。しかし、冷し金25を、分割形式にすることにより、これらを防止できる。
そして、図4に示したように、分割形式の冷し金25は、冷し金25のキャビティ35に臨む面を、突起部36の先端よりも突出させて配置することが好ましい。このようにすることで、分割形式の冷し金25が膨張して突起部36が崩壊しても、崩壊した突起部36が、キャビティ35に入り込むことがない。その結果、プルアウトロール素材1に窪みを生じることはない。
キャビティ35には、下型2を造型する際に予め設けておいた湯道33が接続される。湯道33には、上型1を造型する際に予め設けておいた湯口棒34が接続される。そして、湯口棒34には掛け堰30が接続される。
プルアウトロール素材1が、上述した成分組成になるように調整した、球状化処理溶湯を掛け堰30から注入し、プルアウトロール素材1を鋳造する。球状化処理方法は、常法でよい。
掛け堰30には、鋳型内接種剤31を配置することが好ましい。球状化処理溶湯に、さらに接種をする、いわゆる後期接種におけるSi量は、鋳造される鋳物の黒鉛化能、即ち、セメンタイト量に大きな影響を与える。したがって、鋳型内接種剤31で添加されるSi量(接種量)は、重要である。なお、鋳型内接種剤31としては、Fe−Si合金を使用することが一般的であるから、接種量は、Si当量で規定することが好ましい。
接種量が0.15%未満であると、局部硬化層3におけるセメンタイト量が過剰となる。一方、0.25%を超えると、残留Mg量が多くなり鋳物中に引け巣が発生しやすくなり、さらには鋳物内に溶け残りSiが残留し、好ましくない。
このようにして鋳造された鋳物は、冷却された後、基地組織をマルテンサイト及びベイナイトにする基地組織硬化熱処理と、歪取り熱処理が行われる。
基地組織硬化熱処理は、鋳物を、830〜860℃に加熱し、3〜5時間保持した後、300℃まで、400〜600℃/時の速度で強制冷却することが好ましい。
加熱温度(保持温度)が830℃未満であるとマルテンサイト及びベイナイトの面積率の合計が低くなり、ショア硬度が55〜65の範囲外となる。一方、860℃を超えると、金属組織の粗大化を招き、摩耗性が劣化する。
保持時間が3時間未満であると、均熱不足により、マルテンサイト及びベイナイトの面積率の合計が低くなる。一方、5時間を超えると、金属組織の粗大化を招く。
300℃までの強制冷却速度が、400℃/時未満であると、基地組織がパーライトとなり、一方、600℃/時を超えると、基地組織がすべてマルテンサイトとなる。
強制冷却方法は、上記の冷却速度の範囲を満足するものであれば、特に制限はないが、送風ファンによる強制空冷が一般的である。
歪取り熱処理は、300℃以下に冷却されたベイナイト化熱処理後の鋳物を、540〜560℃に加熱し、3〜5時間保持後に200℃まで、200〜300℃/時の速度で冷却する。
加熱温度(保持温度)が540℃未満であると歪み取り不足となり、一方、560℃を超えると、ショア硬度が55〜65の範囲外となる。
保持時間が3時間未満であると、均熱不足により歪み取りが不十分となり、一方、5時間を超えると、その効果が飽和するため生産性が低下する。
200℃までの冷却速度が、200℃/時未満であると、生産性の低下を招き、一方、300℃/時を超えると、冷却時に歪みが入る。
冷却方法は、上記の冷却速度の範囲を満足するものであれば、特に制限はないが、放冷が一般的である。
次に、球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形ロールが、フォーミングロールである場合について、プルアウトロールである場合との相違点を中心に説明する。図5は、フォーミングロール素材の軸方向断面図である。図5中、符号50はフォーミングロール用素材である。
フォーミングロール素材50は、大外径A、小外径E、内径Bを備える。そして、大外径Aの面と小外径Eの面を結ぶ面、及び小外径Eの面は、外中子23、24(図2を参照)で形成される鋳抜き部2を構成する面である。鋳抜き部2の表面は機械加工されて成形面となる。
フォーミングロール素材50の鋳抜き部2の周辺部には、局部硬化層3を有する。熱処理後の局部硬化層3は、セメンタイト量が面積率で15〜25%であり、かつ、基地組織がマルテンサイト及びベイナイトである。
局部硬化層3の厚さCは、プルアウトロール素材1の場合と同様、20mmに、機械加工の際の取り代を加えた厚さとする必要がある。なお、局部硬化層3の取り代は2〜5mmである。
局部硬化層3の厚さCを上記のようにするため、図2における外中子23、24には、鋳抜き部2の表面に沿う形状をした冷し金25、26(図示しない)が配置される。
そして、冷し金25の最大肉厚をP、局部硬化層3を含む最小肉厚部の肉厚をQとしたとき、PをQの0.3〜0.6とすることが好ましい。理由は、プルアウトロール素材1の場合と同様である。なお、フォーミングロール素材50におけるQは、図5に示す位置である。
鋳造、熱処理等を、プルアウトロール素材1の場合と同様に行うことで、フォーミングロール素材50を得ることができる。
以上のようにして得られたプルアウトロール素材1及びフォーミングロール素材50は、必要な箇所が機械加工され、プルアウトロール及びフォーミングロールとなる。
そして、これらの球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールは、電縫管の成形にも、鍛接管の成形にも使用することができる。
本発明を実施例でさらに説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性および効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
図1に示したプルアウトロール素材1と、図5に示したフォーミングロール素材50を、図2に示した鋳型を用いて鋳造、熱処理し、必要な部位について機械加工した。また、プルアウトロール素材1、及びフォーミングロール素材50の形状を模擬した試験片を鋳造し、同様に熱処理及び機械加工した。
表1に、プルアウトロール及びフォーミングロールの成分組成を、材質別に示す。表1に示した成分組成は、後期接種後の成分組成である。
表2に、鋳造条件及び熱処理条件を示す。なお、注湯温度は、すべて1450〜1500℃とした。歪取り熱処理条件は、すべて、550℃、4時間とした。表2に示したように、No.4、No.12、及びNo.13はプルアウトロール素材1、No.5はフォーミングロール素材50とし、No.1〜No.3、及びNo.6〜No.11は試験片とした。
表3に、プルアウトロール、フォーミングロール、及び試験片の金属組織の観察結果、及びショア硬さの測定結果を示す。金属組織の観察及びショア硬さの測定は、プルアウトロール及びフォーミングロールについては、図1に示すプルアウトロール素材1及びフォーミングロール素材50の鋳抜き部2を機械加工して成形面とした後、M−M線、M−M線、及びM−M線に沿って行った。試験片については、M−M線に相当する部分について金属組織の観察及びショア硬さの測定を行った。
No.4、No.5、No.12、及びNo.13については、成形面の切削性の評価結果を示す。成形面の切削性は、NC旋盤にて同切削条件にて加工を行い、その際の最大負荷(電流値)で評価した。55A以下の場合を良好、55A超の場合を不可とした。
表4に、実機試験(耐摩耗試験)の結果を示す。実機試験(耐摩耗試験)は、No.4、No.12、及びNo.13について行った。実機試験(耐摩耗試験)は、外径が92mmのプルアウトロールと、外径がφ140mmのプルアウトロールを準備し、試験した。ここで外径とは、図1に示したφAから取り代を除いたものである。実機試験(耐摩耗試験)は、実際の鋼管成形ラインで使用したプルアウトロールの摩耗量を測定することにより行った。外径が92mmのプルアウトロールは、鋼管の重量で1000t成形した後に、外径が142mmのプルアウトロールは、鋼管の重量で2000t成形した後に、図6で示したA〜Fの部位について、成形面の摩耗量を隙間ゲージで測定した。摩耗量は、使用前の成形面Kと使用後の成形面Kとの差である。摩耗量が0.20mm以下の場合を良好、0.20mm超える場合を不可とした。
なお、表3及び表4には、従来例として、金型鋳造で製造したプルアウトロール(No.13)、冷し金を配置しない砂型鋳造で製造したプルアウトロール(No.12)について、金属組織を観察した結果、ショア硬さを測定した結果、成形面の切削性の評価結果、及び、実機試験(耐摩耗試験)の結果を併記した。
Figure 0005726043
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表1〜4から明らかなように、No.1〜No.5の発明例はすべて、成形面について、所望の金属組織およびショア硬さが得られていることを確認できた。また、成形面の切削性の評価結果も良好であることを確認できた。そして、No.4の実機試験(耐摩耗試験)の結果は、金型鋳造で製造したプルアウトロール(No.13)の実機試験(耐摩耗試験)の結果と同等であった。
これに対し、No.6〜No.11の比較例においては、成形面について硬化してはいるものの、成形面から20mmの深さにおいて、所望の金属組織もしくはショア硬さが得られていないことを確認できた。これは、P/Qの値が適正でないために、鋳抜き部2から所定の深さまでの部位が、適正な速度で冷却されなかったためである。あるいは、接種量又はC量が適正でないために、P/Qの値と冷却速度が適正であっても、黒鉛化能が適正とならず、その結果、所望のセメンタイト量とならなかったためである。
さらに、従来例である金型鋳造で製造したNo.13のプルアウトロールは、成形面のセメンタイト量が過剰であるだけでなく、成形面以外の部分にも、不必要にセメンタイトが生成していることを確認できた。そして、その結果、成形面の切削性が劣ることも併せて確認できた。
また、従来例である冷し金を配置しない砂型鋳造で製造したNo.12のプルアウトロールは、成形面のセメンタイト量が不足しており、その結果、成形面の耐摩耗性に劣り、プルアウトロールとして使用することができないことを確認できた。
即ち、本発明においては、金型鋳造の金型鋳型と比較して、冷し金の体積が小さく、それ故、セメンタイトの面積率を所定の範囲にしたい部分を、過剰に冷却することがなく、冷却する必要のある部分だけ冷却できる。
さらに、No.4〜No.5の発明例においては、金属組織及びショア硬さに関し、表3で示したM−M線に沿う部分と同様の結果が、M−M線及びM−M線に沿う部分で得られた。即ち、発明例においては、成形面からの距離が同一であれば、同様の金属組織及びショア硬さを得られていることが確認できた。
これに対し、従来例である、金型鋳造で製造したNo.13のプルアウトロールは、成形面からの距離が同一であっても、表3で示したM−M線に沿う部分よりも、M−M線及びM−M線に沿う部分の方が、セメンタイトの面積率が高く、ショア硬さが高かった。
即ち、本発明のプルアウトロールは、成形面のセメンタイト面積率及びショア硬さが均一であるから、偏摩耗し難い。これに対し、金型鋳造で製造したプルアウトロールは、成形面のセメンタイト面積率及びショア硬さが均一でないため、偏摩耗し易いことも、併せて確認できた。
図7は、金型鋳造で製造されたプルアウトロール素材1と、本発明のプルアウトロール素材1を比較説明する図である。図7(a)は金型鋳造で製造されたプルアウトロール素材1、図7(b)は本発明のプルアウトロール素材1を示す。図7(a)において、プルアウトロール素材1の表面から一点鎖線までの範囲は、金型表面で冷却されセメンタイトの面積率が高くなっている部分である。図7(b)において、鋳抜き部2の表面から一点鎖線までの範囲は、冷し金で冷却されセメンタイトの面積率が所望の範囲になっている部分である。
金型鋳造では、図7(a)の二点鎖線で示すように、機械加工後に成形面となる部分を鋳抜かないことが一般的である。金型鋳型の構造が複雑になることを防止するためである。また、鋳抜きを設けると、金型の変形を矯正する工数が膨大となるからである。
鋳物は、図7(a)及び図7(b)の矢印に示す方向に冷却される。したがって、図7(a)に示した金型鋳造で製造されたプルアウトロール素材1は、プルアウトロール素材1の表面から均一に冷却される。よって、二点鎖線で示した機械加工後に成形面となる部分の冷却速度は、その部分によって異なる。例えば、二点鎖線上において、点Zでの冷却速度は、点Zでの冷却速度よりも大きい。その結果、二点鎖線上、即ち、成形面のセメンタイト面積率及びショア硬さは均一とはならない。
これに対し、図7(b)に示した本発明のプルアウトロール素材1は、鋳抜き部2の形状に沿って均一に冷却されるから、鋳抜き部2が機械加工されて形成される成形面のセメンタイト面積率及びショア硬さは均一となる。このことが、本発明のプルアウトロールが偏摩耗しない理由である。フォーミングロールについても同様である。
なお、上述したところは、本発明の実施形態を例示したものにすぎず、本発明は、特許請求の範囲の記載範囲内において種々変更を加えることができる。
例えば、後期接種は、図2に示したような、掛け堰30に配置した鋳型内接種剤による方法に代えて、注湯流に粉状の接種剤を添加する、いわゆる注湯流接種による方法でもよい。
また、掛け堰30は、使用しなくてもよく、その場合には、注湯接種を行うか、湯道33中に鋳型内接種剤を配置すればよい。
そして、図2には、鋳造方案として、押し上げ方案を示したが、これに限られるものではなく、落とし込み方案等にしてもよい。
前述したように、本発明は、高価な鋳造用金型を用いないことから、安価に球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールを製造することができる。よって、本発明は、各種の鉄鋼利用産業において利用可能性が高いものである。
1 プルアウトロール素材
2 鋳抜き部
3 局部硬化層
20 プルアウトロール素材鋳造用鋳型
21 上型
22 下型
23、24 外中子
25、26 冷し金
27 棒芯中子
30 掛け堰
33 湯道
34 湯口棒
35 キャビティ
36 突起部
37 分割面
50 フォーミングロール素材
P 冷し金の最大肉厚
Q 局部硬化層を含む最小肉厚部の肉厚

Claims (11)

  1. 鋼板から鋼管を成形する少なくとも1つの成形面を有する球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールであって、質量%で、C:3.2〜3.6%、Si:1.0〜1.8%、Mn:0.4〜0.6%、P:0.08%未満、S:0.08%未満、Ni:1.5〜2.8%、Cr:0.85〜1.9%、Mo:0.4〜0.8%、及び、Mg:0.03〜0.09%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になり、前記成形面からの深さが20mmまでの部位で、マルテンサイト及びベイナイトを基地として、セメンタイトを、面積率で15〜25%を含有する混合組織とし、かつ、該混合組織ショア硬さが、55〜65であることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール。
  2. 前記成形面が、シート状の鋼板を筒状に塑性変形させることを特徴とする請求項1に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール。
  3. 前記成形面が、筒状に塑性変形された鋼管を、所定の断面形状に仕上げ成形しつつ、成形中の鋼管を成形方向に押し出すことを特徴とする請求項1に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール。
  4. 前記鋼管が、電縫鋼管であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール。
  5. 前記鋼管が、鍛接鋼管であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール。
  6. 鋼板から鋼管を成形する少なくとも1つの成形面を有する球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロールの素材の製造方法において、質量%で、C:3.2〜3.6%、Si:0.85〜1.5%、Mn:0.4〜0.6%、P:0.08%未満、S:0.08%未満、Ni:1.5〜2.8%、Cr:0.85〜1.9%、及び、Mo:0.4〜0.8%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物の組成になる溶湯を、球状化処理した後、鋳型内に注湯するに際し、機械加工後に成形面となる部位を急冷して局部硬化層とする冷し金を配置し、該冷し金の最大肉厚を、前記局部硬化層を含む最小肉厚部の0.3〜0.6とし、前記注湯中に、鋳型内又は注湯流内でSi:0.15〜0.25%を接種しながら鋳造し、凝固、冷却させた後、830〜860℃に加熱し、3〜5時間保持後に300℃まで、400〜600℃/時の速度で強制冷却し、ついで、540〜560℃に加熱し、3〜5時間保持後に200℃まで、200〜300℃/時の速度で冷却することを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
  7. 前記冷し金が、分割された複数の分割冷し金から構成され、前記複数の分割冷し金それぞれが、分割面で前記砂型鋳型の突起部を介して配置され、前記複数の分割冷し金の、前記溶湯が注入されるキャビティに臨む面が、前記砂型鋳型の突起部の先端よりも突出していることを特徴とする請求項6に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
  8. 前記成形面が、シート状の鋼板を筒状に塑性変形させることを特徴とする請求項6又は7に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
  9. 前記成形面が、筒状に塑性変形された鋼管を、所定の断面形状に仕上げ成形しつつ、成形中の鋼管を成形方向に押し出すことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
  10. 前記鋼管が、電縫鋼管であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
  11. 前記鋼管が、鍛接鋼管であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の球状黒鉛鋳鉄製鋼管成形用ロール素材の製造方法。
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