JP5723667B2 - ラダーフィルタ、分波器及びモジュール - Google Patents

ラダーフィルタ、分波器及びモジュール Download PDF

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Description

本発明はラダーフィルタ、分波器及びモジュールに関する。
近年、移動体通信システムの発展に伴い、携帯電話、携帯情報端末等が急速に普及している。このため高周波用フィルタへの需要が拡大しており、特に小型で特性が急峻であるフィルタが要求されている。フィルタには、新たな通信方式及び使用に対応するため、減衰極の生成、及び広い帯域での抑圧が要求されている。このようなフィルタとして、例えば複数の共振子を接続したラダーフィルタが用いられることがある。また、複数のフィルタを備える分波器、又はモジュール等においては、例えば送信フィルタと受信フィルタ間で、互いの通過帯域において高い抑圧を得ることが求められる。フィルタの特性を調整するため、インダクタを備えるフィルタが提案されている。
特許文献1には、共振子にLC共振回路を並列接続した発明が記載されている。特許文献2には、インダクタを接続したラダーフィルタが記載されている。このような技術によれば、通過帯域外に減衰極を生成することができる。
特開平6−350390号公報 特開平11−55067号公報
しかしながら従来の技術では、広帯域において高い抑圧を得ることが困難となることがある。本発明は上記課題に鑑み、広帯域において高い抑圧を得ることが可能なラダーフィルタ、分波器及びモジュールを提供することを目的とする。
本発明は、入力端子と出力端子との間に直列接続された、1又は複数の直列共振子と、前記1又は複数の直列共振子と並列接続された、1又は複数の並列共振子と、前記1又は複数の直列共振子と前記入力端子又は前記出力端子との間に直列接続された付加共振子と、前記付加共振子と直列接続されたインダクタと、を具備し、前記付加共振子の共振周波数は、前記1又は複数の直列共振子各々の反共振周波数より高く、前記付加共振子と前記インダクタとが形成する共振回路の共振周波数は、前記1又は複数の直列共振子の反共振周波数と前記1又は複数の並列共振子の共振周波数の間に形成される通過帯域内に位置することを特徴とするラダーフィルタである。本発明によれば、広帯域において高い抑圧を得ることができる。また、通過帯域における損失を低減することができる。
本発明は、入力端子と出力端子との間に直列接続された、1又は複数の直列共振子と、前記1又は複数の直列共振子と並列接続された、1又は複数の並列共振子と、前記1又は複数の直列共振子と前記入力端子又は前記出力端子との間に直列接続された付加共振子と、前記付加共振子と直列接続されたインダクタと、を具備し、前記付加共振子の反共振周波数は、前記1又は複数の並列共振子各々の共振周波数より低く、かつ前記1又は複数の直列共振子各々の反共振周波数より低く、前記付加共振子と前記インダクタとが形成する共振回路の共振周波数は、前記1又は複数の直列共振子の反共振周波数と前記1又は複数の並列共振子の共振周波数の間に形成される通過帯域内に位置することを特徴とするラダーフィルタである。本発明によれば、広帯域において高い抑圧を得ることができる。また、通過帯域における損失を低減することができる。
上記構成において、前記直列共振子、前記並列共振子及び前記付加共振子は、弾性表面波共振子、ラブ波共振子、ラム波共振子、又は弾性境界波共振子のいずれかであり、前記付加共振子の共振周波数frxは、前記通過帯域の高周波数端の周波数fupとの間に、
rx>fup×1.138
の関係を満たす構成とすることができる。この構成によれば、周波数特性の劣化は抑制される。
本発明は上記ラダーフィルタを、少なくとも1つ具備する分波器である。本発明によれば、広帯域において高い抑圧を得ることができる。
上記構成において、第1のフィルタと、前記第1のフィルタより高周波数側に通過帯域を有する第2のフィルタと、を具備し、前記第1のフィルタが前記ラダーフィルタである構成とすることができる。この構成によれば、フィルタ間の混信を抑制することができる。
本発明は、上記ラダーフィルタを、少なくとも1つ具備するモジュールである。本発明によれば、広帯域において高い抑圧を得ることができる。
本発明によれば、広帯域において高い抑圧を得ることが可能なラダーフィルタ、分波器及びモジュールを提供することができる。
図1(a)は直列共振子の構成図であり、図1(b)は並列共振子の構成図であり、図1(c)は直列共振子及び直列共振子の通過特性を示す図である。 図2(a)は1段ラダーフィルタの構成図であり、図2(b)は1段ラダーフィルタの通過特性を示す図である。 図3(a)は高周波側に減衰極を形成するラダーフィルタの構成図であり、図3(b)は高周波側に減衰極を形成するラダーフィルタの減衰特性を示す図である。 図4は、比較例に係るラダーフィルタを用いた分波器を例示する構成図である。 図5(a)は、比較例に係るラダーフィルタの減衰特性を例示する図であり、図5(b)は、図5(a)の通過帯域の拡大図である。 図6は、直列腕にインダクタを備えるラダーフィルタを用いた分波器を例示する構成図である。 図7は、直列共振子Sxのリアクタンス特性を例示する図である。 図8(a)は、送信フィルタF13の減衰特性を例示する図であり、図8(b)は、図8(a)の通過帯域の拡大図である。 図9は、弾性表面波共振子を例示する平面図である。 図10(a)は、弾性表面波共振子の通過特性を例示する図であり、図10(b)は、弾性表面波共振子のQ値を例示する図である。 図11(a)は分波器を例示するブロック図であり、図11(b)は実施例1に係るRF(Radio Frequency)モジュールを例示するブロック図である。 図12は、実施例1に係る分波器の回路構成を例示する構成図である。 図13(a)は実施例1に係る分波器チップを例示する平面図であり、図13(b)は実施例1に係る分波器チップを例示する断面図である。図13(c)は、実施例1に係る分波器を例示する平面図である。 図14は実施例1に係る分波器が備える送信フィルタチップを例示する透視図である。 図15(a)から図15(c)は、パッケージ基板を例示する平面図である。
まず、ラダーフィルタについて説明する。図1(a)は直列共振子の構成図であり、図1(b)は並列共振子の構成図であり、図1(c)は直列共振子及び直列共振子の通過特性を示す図である。
図1(a)に示すように、直列共振子は、共振子S21を一端子対共振子としたとき、その2つの信号端子のうち、一方を入力端子In、他方を出力端子Outとしたものである。図1(b)に示すように、並列共振子は、共振子P21を一端子対共振子としたとき、その2つの信号端子のうち、一方をグランド端子に接続し、他方を入力端子Inと出力端子Outの短絡線路に接続したものである。
図1(c)の横軸は周波数、縦軸は通過量である。直列共振子の通過特性は実線、並列共振子の通過特性は破線で示す。図1(c)に示すように、直列共振子の通過特性は、1つの共振点(共振周波数)frsと1つの反共振点(反共振周波数)fasとを有する。共振点frsで通過量は最大となり、反共振点fasで通過量は最小となる。一方、並列共振子の通過特性は、1つの共振点frpと1つの反共振点fapとを有する。共振点frpで通過量は最小となり、反共振点fapで通過量は最大となる。
図2(a)は1段ラダーフィルタの構成図であり、図2(b)は1段ラダーフィルタの通過特性を示す図である。
図2(a)に示すように、直列共振子S22が直列共振子として入力端子Inと出力端子Outに直列に接続され、並列共振子P22が並列共振子として出力端子Outとグランド間に接続される。このとき、直列共振子の共振点frsと並列共振子の反共振点fapは概一致するように設計する。
図2(b)の横軸は周波数、縦軸は通過量を示す。図2(a)の構成により、直列共振子と並列共振子の通過特性が合成され,図2(b)の通過特性が得られる。通過量は、直列共振子の共振点frsと並列共振子の反共振点fap付近が最大となり、直列共振子の反共振点fas及び並列共振子の共振点frpが極小となる。そして、並列共振子の共振点frpから直列共振子の反共振点fasの周波数帯域が通過帯域となり、並列共振子の共振点frp以下及び直列共振子の反共振点fas以上の周波数帯域が減衰域となる。このように、ラダーフィルタはバンドパスフィルタとして機能する。通過帯域の高周波数端の周波数fupは、直列共振子の反共振点の周波数(反共振周波数)fasとなる。通過帯域の低周波数端の周波数fdownは、並列共振子の共振点の周波数(共振周波数)frpとなる。
次に高調波に減衰極を形成したラダーフィルタについて説明する。次に多段ラダーフィルタについて説明する。図3(a)は、多段ラダーフィルタの構成図である。図3(b)は、ラダーフィルタの減衰特性を示す図である。図3(b)の横軸は周波数、縦軸は減衰量を表す。
図3(a)に示すように、ラダーフィルタF10は直列共振子S1、S2及びS3、並びに並列共振子P1及びP2、並びにインダクタL1及びL2を備える。入力端子Inと出力端子Outとの間に、直列共振子S1,S2及びS3が直列に接続されている。直列共振子S1は入力端子Inに接続されている。直列共振子S3は出力端子Outに接続されている。
直列共振子S1と直列共振子S2との間には、並列共振子P1の一端が並列に接続されている。直列共振子S2と直列共振子S3との間には、並列共振子P2の一端が並列に接続されている。並列共振子P1の他端とインダクタL1の一端とは直列に接続され、インダクタL1の他端は接地されている。並列共振子P2の他端とインダクタL2の一端とは直列に接続され、インダクタL2の他端は接地されている。共振子は、通過帯域外ではキャパシタとして機能する。このため、並列共振子P1とインダクタL1、及び並列共振子P2とインダクタL2とは、それぞれLC共振回路として機能する。並列共振子P1及びP2それぞれの容量値をC、インダクタL1のインダクタンス値をLとする。この場合、並列共振子P1とインダクタL1とが形成するLC共振回路の共振周波数fは、次の式で表される。
Figure 0005723667
並列共振子P2とインダクタL2とが形成するLC共振回路の共振周波数fも同様の式で表される。
図3(b)に示すように、周波数f及びfにおいて減衰極が形成される。並列共振子の容量値及びインダクタのインダクタンス値を調節することで、減衰極が現れる周波数を調節することができる。例えば周波数f及びfを、フィルタの通過帯域の2倍波に相当する周波数帯域(Tx2倍波)、及び3倍波に相当する周波数帯域(Tx3倍波)の各々に含まれるようにしてもよい。これにより、Tx2倍波及びTx3倍波等の高調波に減衰極を形成することができる。
ラダーフィルタF10では並列腕を2つとしたが、並列腕を増設し、かつインダクタを接続することで、減衰極を追加することができる。しかしながら、並列腕の増設は、通過帯域における信号の損失を増大させる恐れがあり、またフィルタの小型化の妨げにもなり得る。さらに、減衰極を低周波数の領域に生成する場合、インダクタL1又はL2のインダクタンス値を大きくすることがある。例えば通過帯域よりも低周波数側(図3(b)の左側)に減衰極を生成するような場合、インダクタンス値を例えば1〜5nH程度とすることがある。大きなインダクタンス値を有するインダクタを用いることは、ラダーフィルタの小型化の妨げとなり得る。また高周波数において、インダクタL1又はL2がチョークコイルとして機能し、高周波数において十分な抑圧が得られない可能性もある。このように、広い帯域において高い抑圧を得ることは困難であった。
次に比較例について説明する。比較例に係る分波器100Rは、例えばW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access) Band2方式に対応するものとする。送信フィルタF11の通過帯域は、W−CDMA Band2方式の送信帯域である1850〜1910MHzに重なる。受信フィルタF12の通過帯域は受信帯域である1930〜1990MHzに重なる。例えばW−CDMA Band2方式のように、送信帯域と受信帯域とが近接している方式では、送信フィルタの通過帯域の高周波数端付近に減衰極を生成し、急峻性を高めることで、受信フィルタの通過帯域において高い抑圧を確保することがある。これにより、フィルタ間の干渉を抑制することができる。減衰極の生成のために、図3(a)に示したように、並列腕にインダクタを接続することがある。
図4は、比較例に係るラダーフィルタを用いた分波器を例示する構成図である。図5(a)は、比較例に係るラダーフィルタの減衰特性を例示する図であり、図5(b)は、図5(a)の通過帯域の拡大図である。
図4に示すように、比較例に係る分波器100Rは、送信フィルタF11、受信フィルタF12、アンテナ端子Ant、送信端子Tx、受信端子Rx1及びRx2、並びにインダクタLa及びLrを備える。アンテナ端子Antには、インダクタLa、送信フィルタF11及び受信フィルタF12が並列に接続されている。
受信フィルタF12の一端はアンテナ端子Ant及び送信フィルタF11の一端に接続され、他端は2つの受信端子Rx1及びRx2に接続されている。受信端子Rx1と受信端子Rx2との間にはインダクタLrが接続されている。インダクタLa及びLrは、インピーダンス整合用のインダクタとして機能する。受信フィルタF12は例えばラダーフィルタ等である。
送信フィルタF11は、比較例に係るラダーフィルタである。送信フィルタF11は、直列共振子S11〜S13、S2、S3、S41〜S42、S5及びS6、並列共振子P1〜P3、インダクタL1、L2及びLgを備える。直列共振子S11〜S6は互いに直列接続されている。直列共振子S11の一端はアンテナ端子Ant及び受信フィルタF12の一端と接続されている。直列共振子S6の一端は送信端子Txと直列接続されている。
並列共振子P1の一端は直列共振子S13と直列共振子S2との間に並列接続され、他端はインダクタL1の一端と直列接続されている。並列共振子P2の一端は、直列共振子S3と直列共振子S41との間に並列接続されている。並列共振子P3の一端は、直列共振子S42と直列共振子S5との間に並列接続されている。並列共振子P2の他端と並列共振子P3の他端とはインダクタL2の一端と並列接続されている。インダクタL1の他端とインダクタL2の他端とは、インダクタLgの一端と並列接続されている。インダクタLgの他端は接地されている。次に比較例に係るラダーフィルタ(送信フィルタF11)が備える共振子の容量及び共振周波数について説明する。
表1は比較例1に係るラダーフィルタが備える共振子の容量及び共振周波数を例示する表である。
Figure 0005723667
表1に示すように、直列共振子S11〜S13各々の容量は3.879pFであり、共振周波数は1881MHzである。直列共振子S2の容量は7.8pFであり、共振周波数は1968MHzである。直列共振子S3の容量は1.67pFであり、共振周波数は1901MHzである。直列共振子S41及びS42各々の容量は1.491pFであり、共振周波数は1889MHzである。直列共振子S5の容量は6.49pFであり、共振周波数は1876MHzである。直列共振子S6の容量は9.23pFであり、共振周波数は1881MHzである。並列共振子P1の容量は2.317pFであり、共振周波数は1816MHzである。並列共振子P2の容量は1.979pFであり、共振周波数は1819MHzである。並列共振子P3の容量は2.243pFであり、共振周波数は1820MHzである。また、インダクタL1、L2及びLg各々のインダクタンス値は、例えば0.5〜2nH程度である。
既述したように、通過帯域外において、共振子はキャパシタとして機能する。共振子の容量を調整することで、より広帯域において減衰特性を変化させることがある。例えば、直列共振子の合成容量Cと並列共振子の合成容量Cとの容量比C/Cを大きくすることにより、広帯域において減衰量を大きくすることがある。このような高抑圧の例を比較例2とする。
表2は比較例2に係るラダーフィルタが備える共振子の容量及び共振周波数を例示する表である。なお、ラダーフィルタの構成図は、図4と同じであるため説明を省略する。
Figure 0005723667
表2に示すように、直列共振子S1〜S3各々の容量は3.618pFである。直列共振子2の容量は7.43pFである。直列共振子S3の容量は1.558pFである。直列共振子S41及びS42各々の容量は1.393pFである。直列共振子S5の容量は6.05pFである。直列共振子S6の容量は8.93pFである。並列共振子P1の容量は2.485pFである。並列共振子P2の容量は2.122pFである。並列共振子P3の容量は2.405pFである。各共振子の共振周波数は表1に示した値と同じである。比較例2は、比較例1に比べ、直列共振子S11〜S6の合成容量Cと並列共振子P1〜P3の合成容量Cとの比C/Cが約10%程度高い。
次に比較例1及び比較例2における減衰特性の計算結果について説明する。図5(a)は、比較例に係るラダーフィルタの減衰特性を例示する図であり、図5(b)は、図5(a)の通過帯域の拡大図である。横軸は周波数を表し、縦軸は減衰量を表す。実線は比較例1に係るラダーフィルタの減衰特性、点線は比較例2に係るラダーフィルタの減衰特性を表す。図5(a)において破線により、領域A〜Eの各領域を示した。領域Aは、携帯電話システムに用いられる帯域を表す。領域BはGPS(Global Positioning System)に用いられる帯域を表す。領域CはワイヤレスLAN(Local Area Network)及びブルートゥース(登録商標、Bluetooth :BT)に用いられる帯域を表す。領域Dは、送信フィルタF11の2倍波の帯域を表す。領域Eは、送信フィルタF11の3倍波の帯域を表す。図5(b)における破線内の領域は、W−CDMA Band2方式の送信帯域を示す。
図5(a)に示すように、比較例1及び比較例2において、通過帯域の高周波数端付近に減衰極が生成されている。これは、高いインダクタンス値を有するインダクタL1、L2及びLgを、並列腕に接続したことによる。比較例1では、通過帯域よりも低周波数の領域、及び高周波数の領域で抑圧が劣化している。このように比較例1によれば広帯域において高い抑圧を得ることは困難である。比較例2では、通過帯域外において、減衰極の数を増やすことなく、比較例1よりも高い抑圧を得ることができる。これは、表2に示したように、容量比C/Cを大きくしたためである。
しかしながら、図5(b)に拡大して図示したように、比較例2においては、通過帯域においても損失が0.15〜0.2dB程度劣化する。比較例2によれば、広帯域における高い抑圧と、通過帯域における低損失とは両立することが困難である。また、比較例1及び比較例2において、高周波数において抑圧は劣化しやすい。これは、減衰極を形成するために用いたインダクタL1、L2及びLgが、高周波数においてチョークコイルとして機能することがあるためである。チョークコイルとしての振る舞いは、インダクタL1、L2及びLgが高いインダクタンス値を有する場合に顕著となり得る。既述したように、W−CDMA Band2方式等のように、受信帯域と送信帯域とが近接する方式に対応した分波器又はモジュールにおいては、相手方フィルタの通過帯域に減衰極を形成することがある。減衰極形成のために高いインダクタンス値を有するインダクタを用いると、広い帯域で高い抑圧を得ることは困難となる可能性が高い。
次に直列腕にインダクタを接続したラダーフィルタについて説明する。図6は、直列腕にインダクタを備えるラダーフィルタを用いた分波器を例示する構成図である。図4に示した構成と同じ構成については説明を省略する。
図6に示すように、分波器100Lが備える送信フィルタF13においては、直列共振子S6に代えて直列共振子Sxが、直列共振子S5に直列接続され、さらにインダクタLsが直列共振子Sxに直列接続されている。直列共振子Sxの一端は直列共振子S5に直列接続され、他端はインダクタLsの一端に直列接続されている。インダクタLsの他端は送信端子Txと直列接続されている。このように直列共振子Sxは、直列共振子S11〜S5と送信端子Txとの間に直列接続された付加共振子である。インダクタLsは、直列共振子Sxと送信端子Txとに直列接続されている。なお、送信端子Txは、送信フィルタF13の入力端子に相当し、アンテナ端子Antは送信フィルタF13の出力端子に相当する。次に直列共振子Sxのリアクタンス特性について説明する。
図7は、直列共振子Sxのリアクタンス特性を例示する図である。横軸は周波数、縦軸はリアクタンスをそれぞれ示す。図7に示すように、共振周波数frxにおいて、リアクタンスはゼロとなる。反共振周波数faxにおいて、リアクタンスは発散する。共振周波数frx以下の領域G1、及び反共振周波数fax以上の領域G2において、直列共振子Sxは容量として機能する。共振周波数frxと反共振周波数faxとの間の領域G3において、直列共振子Sxはインダクタとして機能する。次に、送信フィルタF13が備える共振子の容量及び共振周波数、並びにインダクタのインダクタンス値について説明する。
表3は、送信フィルタF13が備える共振子の容量及び共振周波数を例示する表である。
Figure 0005723667
表3に示すように、直列共振子S11〜S42各々の容量及び共振周波数は、表1に示した比較例1における値と同じである。直列共振子S5の容量は4.964pFであり、共振周波数は1870MHzである。並列共振子P1〜P3各々の容量及び共振周波数は、表2に示した比較例2における値と同じである。点線で囲んだように、直列共振子Sxの容量は3.2pFであり、共振周波数は2400MHzである。インダクタLsのインダクタンス値は2.2nH、Q値は40である。
送信フィルタF13において、直列共振子Sxを除いた直列共振子S11〜S5のうち、最も高い反共振周波数を有するのは直列共振子S2である。表3に示したように、直列共振子Sxの共振周波数frxは2400MHzであり、直列共振子S2の反共振周波数よりも高い。言い換えれば、直列共振子Sxの共振周波数frxは、直列共振子S11〜S5各々の反共振周波数よりも高い。図2(b)に示したように、ラダーフィルタの通過帯域の高周波数端の周波数は、直列共振子の反共振周波数で定義される。従って、共振周波数frxは、送信フィルタF13の通過帯域よりも高周波数側に位置することとなる。この場合、送信フィルタF13の通過帯域は、図7における領域G1に相当する。従って、直列共振子Sxは、送信フィルタF13の通過帯域において容量として機能する。この結果、直列共振子SxとインダクタLsとは、通過帯域においてLC共振回路として機能する。
直列共振子Sxの容量値をC、インダクタLsのインダクタンス値をLとする。直列共振子SxとインダクタLsとが形成するLC共振回路LC1の共振周波数flcは、容量値Cとインダクタンス値Lを用いて次の式で表される。
Figure 0005723667
また、LC共振回路LC1の共振周波数flcは、通過帯域の低周波数端の周波数fdownより大きく、高周波数端の周波数fupより小さい。すなわち、
down<1/(2π(C・L1/2)<fup
の関係が成り立つ。
次に送信フィルタF13の減衰特性の計算結果について説明する。図8(a)は、送信フィルタF13の減衰特性を例示する図であり、図8(b)は、図8(a)の通過帯域の拡大図である。実線は送信フィルタF13の減衰特性、破線は比較例1に係るラダーフィルタの減衰特性、点線は比較例2に係るラダーフィルタの減衰特性をそれぞれ表す。
図8(a)に示すように、送信フィルタF13は、領域A〜Eを含む広帯域において高い抑圧を示した。また、図8(b)に示すように、通過帯域、特にW−CDMA Band2方式の受信帯域のエッジ(1850MHz付近、及び1910MHz付近)において、送信フィルタF13は、比較例1に係る送信フィルタF11と同等以上に良好な特性を示した。
図8(a)及び図8(b)に示した減衰特性が得られた仕組みについて説明する。既述したように、直列共振子Sxの共振周波数frxは、直列共振子S11〜S5各々の反共振周波数よりも高い。言い換えれば、共振周波数frxは、送信フィルタF13の通過帯域より高周波数側に位置する。このため、直列共振子Sxは、送信フィルタF13の通過帯域において容量として機能する。直列共振子SxとインダクタLsとは、通過帯域においてLC共振回路LC1として機能する。上記の
down<1/(2π(C・L1/2)<fup
の関係から、比較例2のような通過帯域における損失を、LC共振回路の共振によりキャンセルすることができる。共振周波数flcは例えば通過帯域の中心周波数付近とすることができる。
また、通過帯域より低周波数の領域において、LC共振回路LC1は容量として機能するため、送信フィルタF13の容量比C/Cは増大する。従って、低周波数の領域において高い抑圧が得られる。通過帯域より高周波数の領域において、LC共振回路LC1はインダクタとして機能し、チョークコイルとしての役割を果たす。従って、高周波数の領域においても高い抑圧が得られる。また、通過帯域の高周波数端付近に減衰極が生成される。このように送信フィルタF13によれば、減衰極を生成し、かつ通過帯域の損失の増大を抑制しながら、広帯域において高い抑圧を得ることができる。
なお既述したように、直列共振子SxとインダクタLsとが、送信フィルタF13の通過帯域においてLC共振回路として機能するためには、直列共振子Sxが通過帯域において容量として機能することが求められる。従って、直列共振子Sxの共振周波数frxが、通過帯域よりも高い周波数、又は低い周波数であればよい。ただし図7において説明したように、共振周波数frxと反共振周波数faxとの間の領域G3において、直列共振子Sxはインダクタとして機能し得る。このため、直列共振子Sxの共振周波数frxが通過帯域より低い周波数であっても、通過帯域と領域G3とが重なる場合、直列共振子Sxが容量として機能しにくいことがある。従って、直列共振子Sxの反共振周波数faxが、送信フィルタF13の並列共振子の共振周波数よりも低いことが好ましい。言い換えれば、反共振周波数faxが、通過帯域の低周波数端の周波数より低いことが好ましい。この場合、通過帯域は図7の領域G2に相当することとなり、直列共振子Sxは容量として機能する。
次に共振子として、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)共振子を用いる例について説明する。図9は、弾性表面波共振子を例示する平面図である。図9は模式的な図であり、電極指の数は図9に示された本数に限定されない。
図9に示すように、弾性表面波共振子10は、圧電基板12、IDT14、及び反射器16を備える。IDT14及び反射器16は、圧電基板12上に設けられている。IDT14は、対向する2つの櫛形電極14a及び14bからなり、弾性波を励振する。2つの反射器16は、IDT14の両側であって、弾性波の進行方向に配置されている。弾性波の波長λは、IDT14の電極指間のピッチに応じて定まり、例えば1.62μmである。IDT14の電極指の交差幅Wは例えば19.9λである。IDT14の電極指の対数は例えば59.5対である。なお、弾性表面波共振子の容量は、電極指間のピッチ又は電極指の交差幅Wを変更することで、調整することができる。圧電基板12は、例えばリチウムタンタル酸(LiTaO)又はリチウムニオブ酸(LiNbO)等の圧電体からなる。IDT14及び反射器16は、例えばアルミニウム(Al)等の金属からなる。
弾性表面波共振子10の通過特性及びQ値について説明する。なお、弾性表面波共振子10のQ値とは、弾性表面波共振子10が容量として機能する場合のQ値である。
図10(a)は、弾性表面波共振子の通過特性を例示する図であり、図10(b)は、弾性表面波共振子のQ値を例示する図である。図10(a)及び図10(b)の横軸は周波数を表す。図10(a)の縦軸は通過量を表す。図10(b)の縦軸はQ値を表す。
図10(a)に示すように、弾性表面波共振子10の共振周波数fは2332MHzであり、共振周波数において通過量は極大となる。反共振周波数fは2405MHzであり、反共振周波数において通過量は極小となる。図10(b)に示すように、共振周波数f付近においてQ値はゼロとなる。共振周波数fより高周波数側において、Q値は10前後である。共振周波数より高周波数側では、IDT14が圧電基板12内に放射されるバルク波を励振する。バルク波の放射が損失となり、Q値の低下を招くと考えられる。
これに対し、共振周波数fより低周波数側においてQ値は高くなる。図10(b)左側の領域のように、fより低周波数側において、Q値は40以上となる。ここで、fは2050MHzである。従って、周波数の比は、
/f=1.138
であり、言い換えれば
=1.138×f
である。
弾性表面波共振子10を直列共振子Sxとして採用した場合を考える。上述のように、図6に示した送信フィルタF13において、直列共振子Sxは送信フィルタF13の通過帯域において容量として機能する。図6に示したインダクタLsとして、チップインダクタが用いられることがある。このようにラダーフィルタが備えるチップインダクタのQ値は、例えば40程度である。従って、ラダーフィルタの特性を劣化させないために、直列共振子SxのQ値は40以上であることが好ましい。
図10(b)において説明したように、周波数より低周波数側において、Q値は40以上となる。従って、送信フィルタF13の通過帯域の高周波数端の周波数fupは、fより低周波数、つまり2050MHzより小さいことが好ましい。言い換えれば、直列共振子Sxの共振周波数frxは、送信フィルタF13の通過帯域の高周波数端の周波数fupに対して、以下の式で表される条件を満たすことが好ましい。
Figure 0005723667
これにより、図10(b)の左側の領域が通過帯域に相当することとなる。なお、周波数fupは、f以下でもよい。
以上のように、直列共振子Sxが通過帯域において容量として機能することにより、直列共振子SxとインダクタLsとでLC共振回路LC1を形成することができる。これにより、広帯域において高い抑圧を得ることができる。またLC共振回路LC1の共振周波数flcが通過帯域内に位置することにより、通過帯域の損失を低減することができる。直列共振子Sxの共振周波数frxは、直列共振子の反共振周波数より高い、又は並列共振子の共振周波数より低い、のいずれでもよい。しかし、図10のようにIDTを備える共振子をフィルタに用いる場合、共振周波数frxは直列共振子の反共振周波数より高い周波数で、かつ数3の条件を満たすことが好ましい。
以上の考察に基づいた本発明の実施例について説明する。実施例1は弾性波共振器を用いる例である。まず分波器の構成について説明する。図11(a)は実施例1に係る分波器を例示するブロック図であり、図11(b)は実施例1に係る分波器を備えるRF(Radio Frequency)モジュールを例示するブロック図である。
図11(a)に示すように、分波器100は受信フィルタ100a及び送信フィルタ100bを備えている。受信フィルタ100a及び送信フィルタ100bは共通に共通端子(アンテナ端子)102に接続されている。共通端子102はアンテナ104に接続されている。受信フィルタ100aは、アンテナ104から信号を受信し、受信した信号を例えばアンプ等に出力する。送信フィルタ100bは、アンプ等から入力された信号をアンテナ104に出力する。アンテナ104は信号を送信する。
図11(b)に示すように、RFモジュール110は、アンテナ104、アンテナスイッチ112、分波器バンク114、並びにアンプモジュール116を備える。RFモジュール110は、GSM(Global System for Mobile Communication)通信方式及びW−CDMA通信方式等、複数の通信方式に対応しており、例えば携帯電話等に搭載される。GSM方式については、850MHz帯(GSM850)、900MHz帯(GSM900)、1800MHz帯(GSM1800)、1900MHz帯(GSM1900)に対応している。アンテナ104は、GSM方式及びW−CDMA方式いずれの送受信信号をも送受信できる。分波器バンク114は、複数の分波器114a,114b及び114cを含む。複数の分波器の各々は、複数の通信方式の各々に対応した分波器である。なお、分波器バンク114が備える分波器は2つでもよいし、4つ以上でもよい。アンテナスイッチ112は、送受信する信号の通信方式に応じて、分波器バンク114が備える複数の分波器から、通信方式に対応する分波器を選択し、選択された分波器とアンテナ104とを接続する。各分波器はアンプモジュール116に接続されている。アンプモジュール116は分波器の受信フィルタが受信した信号を増幅し、処理部に出力する。またアンプモジュール116は、処理部により生成された信号を増幅し分波器の送信フィルタに出力する
次に実施例1に係る分波器の構成について説明する。実施例1に係る分波器の回路構成について説明する。図12は、実施例1に係る分波器の回路構成を例示する構成図である。
図12に示すように、実施例1に係る分波器100の回路構成は、図6に示したものと同じである。分波器100のうち、インダクタLa、Lr及びLs以外の構成は、分波器チップ101として実現される。分波器チップ101は、受信フィルタチップ100c及び送信フィルタチップ100dを含む。分波器チップ101の詳しい構成は後述する。送信フィルタのうち、インダクタL1、L2、Lg、及びLs以外の構成は、送信フィルタチップ100dとして実現される。インダクタLa、Lr及びLsとして、チップインダクタが用いられる。
各共振子の共振周波数及び容量は、表3に例示したものと同じである。直列共振子Sxの共振周波数frxは、直列共振子S11〜S5の反共振周波数よりも高い。また、共振周波数frxは、数3の条件を満たす。またインダクタLsのインダクタ値は例えば2.2nHであり、Q値は40である。
図13(a)は実施例1に係る分波器チップを例示する平面図であり、図13(b)は実施例1に係る分波器チップを例示する断面図である。図13(c)は、実施例1に係る分波器を例示する平面図である。図13(b)は図13(a)のA1−A1に沿った断面図である。
図13(a)及び図13(b)に示すように、分波器チップ101は、受信フィルタチップ100c、送信フィルタチップ100d、パッケージ基板120、及び封止部122を備える。図13(a)では封止部122を透視している。図13(b)に示すように、受信フィルタチップ100c及び送信フィルタチップ100dは、バンプ124によりパッケージ基板120上にフリップチップ実装されている。パッケージ基板120は、第1層120−1、及び第1層120−1下の第2層120−2からなる二層構造の基板である。パッケージ基板120の上面、中間層及び下面の各々には配線層120a、120b及び120cの各々が形成され、各配線層間はビア配線26により接続されている。配線層120bは、第1層120−1と第2層120−2との間に位置する。配線層120cはフットパッドとして機能する。パッケージ基板120に設けられた配線の一部は、インダクタとして機能する。封止部122は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁体、又は半田等からなり、受信フィルタチップ100c及び送信フィルタチップ100dを封止する。パッケージ基板120は例えばセラミック等の絶縁体からなる。配線層120a〜120cは、例えばアルミニウム等の金属からなる。バンプ124は例えば金(Au)等の金属からなる。
図13(c)に示すように、分波器チップ101は、配線層120cを介して、プリント基板130にフリップチップ実装されている。プリント基板130には、チップインダクタであるインダクタLr、La、及びLsが実装されている。これにより、実施例1に係る分波器100が形成される。なお図示は省略するが、アンテナ端子Ant、受信端子Rx1及びRx2、並びに送信端子Txは、プリント基板130に設けられている。分波器チップ101とインダクタLrとは配線131r−1及び配線131r−2により接続されている。また配線131r−1は、受信端子Rx1と接続されている。配線131r−2は、受信端子Rx2と接続されている。分波器チップ101とインダクタLaとは、配線131aを介して接続されている。配線131aは、アンテナ端子Antと接続されている。分波器チップ101とインダクタLsとは、配線131sを介して接続されている。配線131sは、送信端子Txと接続されている。
なお、図13(c)においてプリント基板130を、例えばモジュールボードとしてもよい。プリント基板130又はモジュールボードに複数の分波器チップ及びチップインダクタを実装することで、図11(b)に示したRFモジュール110を形成することができる。
次に分波器が備えるフィルタの構成について説明する。図14は実施例1に係る分波器が備える送信フィルタチップを例示する透視図である。
図14に示すように、送信フィルタチップ100dは、圧電基板12、直列共振子S11〜Sx、及び並列共振子P1〜P3、アンテナ端子Ant1、送信端子Tx1、端子18a及び18bを備える。直列共振子S11〜Sx及び並列共振子P1〜P3は、圧電基板12上にIDT及び反射器を配置した、弾性表面波共振子として形成される。各共振子が設けられた面とパッケージ基板120の上面とが対向するように、送信フィルタチップ100dはフリップチップ実装される。図13(b)に示したように、送信フィルタチップ100dとパッケージ基板120との間には空隙が形成されるため、各共振子による弾性波の励振は妨げられない。
直列共振子S11を構成する櫛形電極は、アンテナ端子Ant1と接続されている。アンテナ端子Ant1は、図11(a)又は図11(b)に示したアンテナ104と接続されている。並列共振子P1を構成する櫛型電極は、端子18aに接続されている。端子18aは、図12に示したインダクタL1と接続されている。並列共振子P2を構成する櫛形電極、及び並列共振子P3を構成する櫛形電極は、端子18bに接続されている。端子18bは、図12に示したインダクタL2と接続されている。直列共振子Sxを構成する櫛形電極は送信端子Tx1と接続されている。送信端子Tx1は、図12及び図13(c)に示したインダクタLsを介して送信端子Txに接続されている。各端子は、図13(b)に示したパッケージ基板120とのフリップチップ実装のための端子である。図中の白丸は、バンプ124が接続される箇所を示す。
次にパッケージ基板120について説明する。図15(a)から図15(c)は、パッケージ基板を例示する平面図である。図15(a)は、パッケージ基板120の上面を示す。図15(b)は、パッケージ基板120の第1層120−1を透視し、第2層120−2の上面を示す。図15(c)は、第1層120−1及び第2層120−2を透視した図を示す。
図15(a)に示すように、第1層120−1には配線層120aが設けられている。配線層120aは、アンテナ端子Ant2、送信端子Tx2、配線20a、20c及び20c、受信端子Rx1a及びRx2a、並びにグランド端子GND1を含む。図15(a)中の破線で囲んだ領域は、送信フィルタチップ100dが実装される領域を示す。配線層120aのアンテナ端子Ant2は、送信フィルタチップ100dのアンテナ端子Ant1と接続される。配線層120aの送信端子Tx2は、送信フィルタチップ100dの送信端子Tx1と接続される。配線層120aの配線20aは、送信フィルタチップ100dの端子18aと接続される。配線層120aの配線20bは、送信フィルタチップ100dの端子18bと接続される。配線20a及び配線20bは、配線20cに接続される。配線20aは、図12に示したインダクタL1の生成に寄与する。配線20bは、インダクタL2の生成に寄与する。配線20cは、インダクタLgの生成に寄与する。このように、インダクタL1、L2及びLgはパッケージ基板120に設けられる。受信端子Rx1a及びRx2aは、受信フィルタチップ100cのフットパッドに含まれる受信端子と接続される。グランド端子GND1は、受信フィルタチップ100cのフットパッドに含まれるグランド端子と接続される。
図15(b)に示すように、第2層120−2の上面には配線層120bが設けられている。配線層120bは、アンテナパターンAnt3、送信パターンTx3、受信パターンRx1b及びRx2b、グランドパターンGND2b及びGND3、を含む。図12(b)において述べたように、配線層120aと配線層120bとはビア配線26により接続されている。具体的には、配線層120bのアンテナパターンAnt3は、配線層120aのアンテナ端子Ant2と接続されている。配線層120bの送信パターンTx3は、配線層120aの送信端子Tx2と接続されている。配線層120bのグランドパターンGND2bは、配線層120aの配線20cと接続されている。配線層120bの受信パターンRx1bは、配線層120aの受信端子Rx1aと接続されている。配線層120bの受信パターンRx2bは、配線層120aの受信端子Rx2aと接続されている。配線層120bのグランドパターンGND3は、配線層120aのグランド端子GND1と接続されている。
図15(c)に示すように、第2層120−2の下面には配線層120cが設けられている。配線層120cは、アンテナ端子Ant4、送信端子Tx4、受信端子Rx1c及びRx2c、並びにグランド端子GND2c、GND2d、GND4、GND5及びGND6を含む。図12(b)において述べたように、配線層120bと配線層120cとはビア配線26により接続されている。具体的には、配線層120cのアンテナ端子Ant4は、配線層120bのアンテナパターンAnt3と接続されている。配線層120cの送信端子Tx4は、配線層120bの送信パターンTx3と接続されている。配線層120cのグランド端子GND2c及びGND2dは、配線層120bのグランドパターンGND2bと接続されている。配線層120cの受信端子Rx1cは、配線層120bの受信パターンRx1bと接続されている。配線層120cの受信端子Rx2cは、配線層120cの受信パターンRx2bと接続されている。配線層120cのグランド端子GND4、GND5及びGND6は、配線層120bのグランドパターンGND3と接続されている。
実施例1に係る分波器100が備える送信フィルタ100bは、直列共振子S11〜S5と、並列共振子P1〜P3と、直列共振子Sx(付加共振子)と、直列共振子Sxと直列接続されたインダクタLsとを具備する。直列共振子Sxの共振周波数frxは、直列共振子S11〜S5各々の反共振周波数よりも高い。このため、直列共振子Sxは容量として機能し、直列共振子SxとインダクタLsとはLC共振回路LC1を形成する。この結果、例えば図8(a)及び図8(b)に示したように、広い帯域において高い抑圧を得ることができる。また、LC共振回路LC1の共振周波数は、送信フィルタ100bの通過帯域内に位置する。このため、通過帯域における損失も低減される。
なお、直列共振子Sxの反共振周波数faxが、並列共振子P1〜P3各々の共振周波数よりも低いとしてもよい。ただし、図14に示したように、共振子が弾性表面波共振子である場合、共振周波数frxが、数3の条件を満たすことにより、直列共振子SxはQ値が40以上の容量として機能する。これにより、周波数特性の劣化は抑制される。このように、共振子が弾性表面波共振子である場合、共振周波数frxは、直列共振子S11〜S5各々の反共振周波数よりも高いことが好ましい。さらに数3の条件が満たされることがより好ましい。なお、共振子が弾性表面波共振子以外に、例えばラブ波共振子、ラム波共振子、又は弾性境界波共振子等、IDTを用いた共振子である場合も、数3の条件により、高いQ値を得ることができる。共振子は、例えば圧電薄膜共振子等、他の共振子としてもよい。
実施例1では、容量として機能する直列共振子Sxがラダーフィルタに組み込まれている。従って、例えば外付けの容量素子を用いる場合等と比較して、ラダーフィルタ、分波器及びRFモジュール等を小型化することが可能となる。また、インダクタL1、L2及びLgを、パッケージ基板120内の配線層120a〜120cにより形成している。このため、分波器100及びRFモジュール110の小型化が可能となる。なお、インダクタLa、Ls及びLrも、配線層120a〜120cにより形成してもよい。これにより更に分波器100及びRFモジュール110小型化が可能となる。
またインダクタLa、Lrを用いることで、例えば図8(a)に示したように、送信フィルタ100bの通過帯域の高周波数端付近に極を形成することができる。この結果、受信フィルタ100aの通過帯域において高い抑圧を得て、フィルタ間の干渉等を抑制することができる。このように、分波器が備える第1フィルタと、第1フィルタより高周波数側に通過帯域を有する第2フィルタとのうち、第1フィルタに実施例1に係るラダーフィルタを適用することが好ましい。なお、第1フィルタは送信フィルタ及び受信フィルタのいずれでもよく、例えば通信方式に応じて変更することができる。分波器が備えるフィルタの両方に実施例1に係るラダーフィルタを適用してもよいし、第2フィルタに適用してもよい。言い換えれば、分波器は、実施例1に係るラダーフィルタを少なくとも1つ備えればよい。
またRFモジュールは、実施例1に係るラダーフィルタを少なくとも1つ備えていればよい。また実施例1に係るモジュールとして、RFモジュール以外のモジュールを採用してもよい。このように、複数のフィルタを同一のモジュールボードに備え、かつ複数の帯域を利用するモジュールでは、広帯域における抑圧を確保することで、効果的に特性を改善することができる。
図11(a)及び図11(b)に示したように、実施例1では分波器、及び分波器を備えるモジュールを例としたが、実施例1の適用例としてはラダーフィルタ単体でもよい。ラダーフィルタは複数の共振子を備えるとしたが、1段のラダーフィルタでもよい。つまり実施例1に係るラダーフィルタは、1又は複数の直列共振子、及び1又は複数の並列共振子を備えればよい。直列共振子Sxの共振周波数frxは、1又は複数の直列共振子各々の反共振周波数より高ければよい。又は、直列共振子Sxの反共振周波数faxは、1又は複数の並列共振子各々の共振周波数より低ければよい。これらの条件が満足される場合、直列共振子Sxは、ラダーフィルタの通過帯域において容量として機能する。また直列共振子Sx(付加共振子)及びインダクタLsは、直列共振子とアンテナ端子Ant(出力端子)との間に設けられていてもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 弾性表面波共振子
12 圧電基板
14 IDT
16 反射器
100 分波器
100a 受信フィルタ
100b 送信フィルタ
100c 受信フィルタチップ
100d 送信フィルタチップ
101 分波器チップ
104 アンテナ
110 RFモジュール
120 パッケージ基板
120−1 第1層
120−2 第2層
120a、120b、120c 配線層
L1、L2、La、Lg、Lr、Ls インダクタ
P1、P2、P3 並列共振子
S11、S12、S13、S2、S3、S41、S42、S5、S6、Sx
直列共振子
Ant アンテナ端子
Tx 送信端子
Rx1、Rx2 受信端子

Claims (6)

  1. 入力端子と出力端子との間に直列接続された、1又は複数の直列共振子と、
    前記1又は複数の直列共振子と並列接続された、1又は複数の並列共振子と、
    前記1又は複数の直列共振子と前記入力端子又は前記出力端子との間に直列接続された付加共振子と、
    前記付加共振子と直列接続されたインダクタと、を具備し、
    前記付加共振子の共振周波数は、前記1又は複数の直列共振子各々の反共振周波数より高く、
    前記付加共振子と前記インダクタとが形成する共振回路の共振周波数は、前記1又は複数の直列共振子の反共振周波数と前記1又は複数の並列共振子の共振周波数の間に形成される通過帯域内に位置することを特徴とするラダーフィルタ。
  2. 入力端子と出力端子との間に直列接続された、1又は複数の直列共振子と、
    前記1又は複数の直列共振子と並列接続された、1又は複数の並列共振子と、
    前記1又は複数の直列共振子と前記入力端子又は前記出力端子との間に直列接続された付加共振子と、
    前記付加共振子と直列接続されたインダクタと、を具備し、
    前記付加共振子の反共振周波数は、前記1又は複数の並列共振子各々の共振周波数より低く、かつ前記1又は複数の直列共振子各々の反共振周波数より低く、
    前記付加共振子と前記インダクタとが形成する共振回路の共振周波数は、前記1又は複数の直列共振子の反共振周波数と前記1又は複数の並列共振子の共振周波数の間に形成される通過帯域内に位置することを特徴とするラダーフィルタ。
  3. 前記直列共振子、前記並列共振子及び前記付加共振子は、弾性表面波共振子、ラブ波共振子、ラム波共振子、又は弾性境界波共振子のいずれかであり、
    前記付加共振子の共振周波数frxは、前記通過帯域の高周波数端の周波数fupとの間に、
    rx>fup×1.138
    の関係を満たすことを特徴とする請求項記載のラダーフィルタ。
  4. 請求項1から3のいずれか一項記載のラダーフィルタを、少なくとも1つ具備することを特徴とする分波器。
  5. 第1のフィルタと、
    前記第1のフィルタより高周波数側に通過帯域を有する第2のフィルタと、を具備し、
    前記第1のフィルタが前記ラダーフィルタであることを特徴とする請求項記載の分波器。
  6. 請求項1から3のいずれか一項記載のラダーフィルタを、少なくとも1つ具備することを特徴とするモジュール。
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