JP5723537B2 - アルキルエーテル化セルロースおよびその誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、アルキルエーテル化の際に着色が起こりやすいという問題があった。
即ち本発明は、セルロースまたはその誘導体(A)とアルキル化剤(B)を、アルカリ(C)、および全アミン価が2.0mgKOH/g以下である第4級アンモニウム塩系相間移動触媒(D)の存在下で反応させることを特徴とするアルキルエーテル化セルロースまたはその誘導体(E)の製造方法であって、(A)がカルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースからなる群から選ばれる1種以上の(A)であり、(B)が炭素数1〜8のアルキルクロライドであり、(C)がアルカリ金属水酸化物であり、相間移動触媒(D)が下記一般式(1)で表されるアルキルエーテル化セルロースまたはその誘導体(E)の製造方法。
1〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基;R 4 は炭素数が8〜22の直鎖もしくは分
岐の脂肪族炭化水素基又は炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケ
ニル基;X−はプロトン酸から1個のプロトンを除いた1価のアニオンを表す。]
このような直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オレイル基、及びヤシ油由来のアルコールから水酸基を除いたアルキル基(以下、ヤシ油アルキル基と略記する。)等が挙げられ、る。
分岐の脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基及び2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基のうち好ましくは炭素数が10〜18であり、さらに好ましくは炭素数が10〜16である。特に好ましいのは炭素数が10〜14である。
分岐の脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
これらの中で好ましくはデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油アルキル基であり、さらに好ましくはデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ヤシ油アルキル基であり、特に好ましいのはデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヤシ油アルキル基である。
これらの中で好ましくはベンジル基である。
これらの内、エーテル化の反応性の観点から好ましいのは、ジメチルジデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、メチルジエチルドデシルアンモニウム、及びメチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウムである。
ては、例えば、ジメチルデシルベンジルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウム及びジメチル−2−エチルヘキシルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
これらの内、エーテル化の反応性の観点から好ましいのは、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウム及びジメチル−2−エチルヘキシルベンジルアンモニウムである。
リメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウム、トリメチルステアリルアンモニウム及びジメチルジステアリルアンモニウムである。
を表す。X−を生成するプロトン酸としては、無機酸及び炭素数1〜22の有機酸が挙げ
られ、エーテル化の反応性の観点から、1価の無機酸又は有機酸が好ましい。
1価の有機のプロトン酸からプロトンを除いた有機アニオンとしてはCH3SO4−、R
fCOO−、RfSO3−(Rfは炭素数1〜12のフルオロアルキル基)及び1価のカル
ボン酸からプロトンを除いたアニオン等が挙げられる。
全アミン価の測定は、酸を用いる電位差滴定法により測定することができる。具体的には、試料約7gをビーカーに精秤し、これにメチルアルコール50mlを加えて試料を溶解させる。0.01モル/Lの塩酸滴定用溶液を用いて、電位差滴定装置で滴定し、次式によって全アミン価を算出する。
ここで、A:本試験に要した0.01モル/L塩酸滴定用溶液のml数
B:空試験に要した0.01モル/L塩酸滴定用溶液のml数
f:0.01モル/L塩酸滴定用溶液の力価
S:試料採取量(g)
遊離の第1級アミン化合物としては、例えば炭素数1〜22の脂肪族モノアミン(メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン及びオクタデシルアミン等)及びアリールアルキルアミン(ベンジルアミン等)が挙げられる。
遊離の第2級アミン化合物としては、例えば炭素数1〜22のアルキル基を有するジアルキルアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジオクタデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルデシルアミン、メチルドデシルアミン及びメチルオクタデシルアミン等)及び炭素数1
〜22のアルキル基と炭素数7〜22のアリールアルキル基を有するアミン(メチルベンジルアミン及びエチルベンジルアミン等)が挙げられる。
遊離の第3級アミン化合物としては、例えば炭素数1〜22のアルキル基を有するトリアルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジデシルアミン、メチルジドデシルアミン、メチルジオクタデシルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルドデシルアミン及びジメチルオクタデシルアミン等)及び炭素数1〜22のアルキル基と炭素数7〜22のアリールアルキル基を有するアミン(ジメチルベンジルアミン及びジエチルベンジルアミン等)が挙げられる。
尚、以下において減圧の単位MPaはゲージ圧を表す。
これらの内、反応性の観点から好ましいのは、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースであり、特に好ましいのは、アルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースである。
セルロース(誘導体)は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、反応性の観点から好ましいのは、炭素数1〜8のアルキルクロライドであり、特に好ましいのは、エチルクロライド、及びメチルクロライドである。
これらのアルカリ金属水酸化物の形状は、粒状、フレーク状又は粉状の何れでもよいが、作業従事者の取り扱い上、粒状であることが好ましい。また、アルカリ金属水酸化物の大きさは、特に限定されないが、粒状物は直径1〜5mm、フレーク状物は0.5〜3cm角、粉状物は粒径30〜100μmであることが好ましい。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びテトラリン等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット及びシクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン及びパークロロエチレン等のハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート及びエチルセロソルブアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;t−ブタノール等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;N−メチルピロリドン等の複素環式化合物系溶剤;並びにこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
例えば、グルコース環単位当り0.5個がカルボキシメチル基で置換されたセルロース(誘導体)(A)を原料とし、残りの2.5個の内2.1個が更にアルキルエーテル化された場合のアルキルエーテル化置換度は、84%である。
尚、本発明におけるアルキルエーテル化置換度は、後述の実施例に記載の方法で算出される。
尚、実施例における白色度の測定法は以下の通りである。
循風乾燥機を用いて105℃で1時間乾燥した試料を測定用試料容器に密充填して、JIS Z8722「色の測定方法」に規定された分光測光器(日本電子工業株式会社製 ND−1001DP型)を用いてハンター白色度を測定した。白色度の数値が大きいほど白色度が大きく、着色が無いことを示す。
耐圧反応容器に、メタノール46部、メチルジデシルアミン127部及び炭酸ジメチルエステル73部を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールの一部と炭酸ジメチルエステルを留去してジメチルジデシルアンモニウムメチルカーボネートの86%メタノール溶液190部を得た。更に、60℃に昇温した後、60℃に保ちながら25%塩酸水溶液64部を2時間で徐々に加え、メタノールと水を減圧下、80〜100℃で留去して粗生成物の(D’−1)を得た。この全アミン価は2.5mgKOH/gであった。
更に水を100部を加え、常圧で、105℃×3時間ストリッピングし、本発明の相間移動触媒(D−1)であるジメチルジデシルアンモニウムクロライドの50%水溶液250部を得た。(D−1)の全アミン価は0.1mgKOH/gであった。
耐圧反応容器に、水42部、ヤシ油アルキルジメチルアミン53部を仕込み、窒素置換後、60〜70℃でベンジルクロライド30部を徐々に加え、6時間反応して粗生成物の(D’−2)を得た。この全アミン価は3.2mgKOH/gであった。
さらに水を100部加え、常圧で、100℃×6時間ストリッピングし、本発明の相間移動触媒(D−2)であるヤシ油アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドの50%水溶液160部を得た。(D−2)の全アミン価は0.85mgKOH/gであった。
耐圧反応容器に水700部、ジメチルヘキサデシルアミン210部を仕込み、ジメチル硫酸90部を40℃、1時間で滴下し、更に同温度で1時間反応させて粗生成物の(D’−3)を得た。この全アミン価は3.5mgKOH/gであった。
さらに水を200部加え、常圧で100℃×6時間ストリッピングし、本発明の相間移動触媒(D−3)であるトリメチルヘキサデシルアンモニウムメチル硫酸塩の30%水溶液900部を得た。(D−3)の全アミン価は1.8mgKOH/gであった。
耐圧反応容器にカルボキシメチルセルロース(カルボキシメチル化置換度15%、グルコース環単位当りのカルボキシアルキル基の置換基数0.5)88部、水酸化ナトリウム40部、前記相間移動触媒(D−1)4部、トルエン170部及び水12部を仕込み、窒素置換後、130℃で圧力を0.3〜1.0MPaに制御しながらエチルクロライド188部を徐々に加え、12時間反応させた。反応終了後、反応物をガラス容器に移し、水640部と硫酸22部を加え、析出した粒子を遠心分離機で脱水し、更に水を加えて遠心分離する水洗操作を4回繰り返した後、80℃で減圧乾燥して、カルボキシメチルエチルセルロースを得た。
相間移動触媒(D−1)の代わりに相間移動触媒(D−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、カルボキシメチルエチルセルロースを得た。
相間移動触媒(D−1)の代わりに相間移動触媒(D−3)を用いた以外は実施例1と同様にして、カルボキシメチルエチルセルロースを得た。
相間移動触媒(D−1)の代わりに、比較用の粗成生物(D’−1)を用いた以外は実施例1と同様にして、カルボキシメチルエチルセルロースを得た。
相間移動触媒(D−2)の代わりに、比較用の粗成生物(D’−2)を用いた以外は実施例2と同様にして、カルボキシメチルエチルセルロースを得た。
相間移動触媒(D−3)の代わりに、比較用の粗成生物(D’−3)を用いた以外は実施例3と同様にして、カルボキシメチルエチルセルロースを得た。
Claims (2)
- セルロースまたはその誘導体(A)とアルキル化剤(B)を、アルカリ(C)、および
全アミン価が2.0mgKOH/g以下である第4級アンモニウム塩系相間移動触媒(D
)の存在下で反応させることを特徴とするアルキルエーテル化セルロースまたはその誘導
体(E)の製造方法であって、(A)がカルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースからなる群から選ばれる1種以上の(A)であり、(B)が炭素数1〜8のアルキルクロライドであり、(C)がアルカリ金属水酸化物であり、相間移動触媒(D)が下記一般式(1)で表されるアルキルエーテル化セルロースまたはその誘導体(E)の製造方法。
1〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基;R 4 は炭素数が8〜22の直鎖もしくは分
岐の脂肪族炭化水素基又は炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケ
ニル基;X−はプロトン酸から1個のプロトンを除いた1価のアニオンを表す。] - 前記セルロース(誘導体)(A)の重量に基づく前記相間移動触媒(D)の重量が、0
.1〜20重量%である請求項1に 記載の製造方法。
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