以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した一実施形態について、図1乃至図14に基づき説明する。図1はパチンコ遊技機の構成を示す概略正面図であり、図2はパチンコ遊技機の遊技領域の構成を示す正面図であり、図3は特別絵柄表示装置における表示層の構成を示す説明図であり、図4及び図5はパチンコ遊技機の電気的または機能的な構成を示すブロック図であり、図6乃至図14はパチンコ遊技機における処理の流れを示すフローチャートである。
図1に示すように、パチンコ遊技機2の遊技盤3の盤面3aには、誘導レール4によって遊技領域5が区画形成されている。誘導レール4は、発射ハンドル6の操作に対応して、発射装置(図示しない)から発射された遊技球7を、遊技領域5の上部に導くためのものである。図2に示すように、遊技領域5には、普通入賞口8、普通絵柄始動口9、特別絵柄始動口10、及び大入賞口11が夫々設けられている。また、遊技領域5の略中央部分には、特別絵柄表示装置12(以下単に「表示装置12」という)が組込まれた本体枠13が配設されている。そして、この本体枠13により特別遊技領域が区画形成されている。
普通入賞口8、普通絵柄始動口9、特別絵柄始動口10、及び大入賞口11は、遊技球7の払出し装置(図示しない)に接続されている。払出し装置は、遊技球7の各入賞口8,9,10,11への入賞に伴い所定数の賞球を払い出す払出しモータを備えている。普通入賞口8は、遊技球7の入賞により所定数(例えば10個)の賞球を払い出すものであり、遊技球7を検知する普通入賞口スイッチ8a(図4参照)を備えている。普通絵柄始動口9は、遊技球7の通過に応じて、特別絵柄始動口10を開放させるか否かの抽選、所謂「当り」の抽選を行うものであり、遊技球7を検知する普通絵柄始動口スイッチ9a(図4参照)を備えている。なお、「当り」の場合には、普通絵柄始動口9に遊技球7が通過した後、30秒程度経過した後に、0.5秒程度開放される。
特別絵柄始動口10は、盤面3aに取付けるための板状の取付基部10a、取付基部10aの上に遊技球7の通路を形成するポケット部10b、その通路の入口を狭めたり拡げたりするための羽根10c、通路内に遊技球7が入球したことを検出する特別絵柄始動口スイッチ10d(図4参照)、及び羽根10cを駆動する特別絵柄始動口駆動装置10e(図4参照)等から、電動入賞口として構成されている。羽根10cが拡げられた開放状態では、閉鎖状態に比して、遊技球7が入賞し易くなる。特別絵柄始動口10に遊技球7が入賞すると、所定数(例えば5個)の賞球が払い出されるとともに、大入賞口11を開放させるか否かの抽選、所謂「大当り」の抽選が行われる。そして、この抽選の結果は、表示装置12に表示される。ここで、特別絵柄始動口スイッチ10dが本発明の遊技状況検出手段に相当し、特別絵柄表示装置12が本発明の表示手段に相当する。
また、大入賞口11は、特別絵柄始動口10の下方に位置しており、横長空間である入賞領域(図示しない)、開閉部材としてのシャッタ15、これを開閉させるためのソレノイドを有する大入賞口駆動装置16(図4参照)、入賞領域に入賞した遊技球7を検知する大入賞口スイッチ17(図4参照)、及び入賞領域に設けられたVゾーン19への遊技球7の通過を検知するVゾーンスイッチ18(図4参照)等から構成されている。つまり、大入賞口駆動装置16はシャッタ15に駆動連結されており、通電に伴う励磁によりシャッタ15を前方へ倒して入賞領域を開放し、通電停止に伴う消磁によりシャッタ15を起立させて入賞領域を閉鎖する。なお、大入賞口11は、「大当り遊技状態」の発生に伴い、閉鎖状態から開放状態に切替えられる。
また、パチンコ遊技機2には、押圧可能な操作ボタン20及びモード切替ボタン29が設けられている(図1参照)。操作ボタン20は、特別演出絵柄による演出を実行可能とするためのものであり、特に本例ではスイッチ20a及び発光ダイオード20bが内蔵されている。つまり、操作ボタン20の操作が可能であることを発光ダイオード20bの点灯によって示唆するとともに、操作ボタン20が押圧操作されると、そのことを示す信号を出力する。なお、発光ダイオード20bとしては、互いに発光色が異なる二種類のダイオードが内蔵されており、遊技状況に応じて発光色が切替えられる。一方、モード切替ボタン29は、常時許可モードと操作時許可モードとを切替えるためのものであり、モード切替スイッチ29aが内蔵されている。なお、各モードについては後述する。ここで、操作ボタン20及びスイッチ20aを組合せたものが、本発明の操作手段に相当し、発光ダイオード20bが手段17の発明の示唆手段及び手段18の発明の発光部に相当する。また、モード切替ボタン29及びモード切替スイッチ29aを組合せたものが、手段19の発明のモード切替手段に相当する。
この他、パチンコ遊技機2には、図4に示すように、遊技効果を高めることを目的として、スピーカ21と、装飾用発光素子としての複数の各種ランプ22とが組込まれている。スピーカ21は、遊技の進行状態に合わせて効果音を発したり、その効果音の種類を変えたりする。各種ランプ22としては、例えば風車ランプ、飾りランプ、袖ランプ、サイドランプ等既知のものが挙げられ、これらは遊技の進行状態に合わせて光放射の態様を変える。特に、本体枠13の上部には、四つの保留ランプ23が設けられており、「大当り」の抽選において、保留回数分(最大4回)だけ点灯するようになっている。また、本体枠13の上部には、普通絵柄始動口9への遊技球7の通過による抽選結果を表示する普通絵柄表示器24と、抽選状態を表示する状態表示器25とが設けられている。
表示装置12は、液晶ディスプレイ(LCD)から構成されている。なお、LCDに代えて、CRT、ドットマトリックス、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光表示管等が用いられてもよい。図3に示すように、表示装置12に表示される画像は互いに前後方向に重ねられた三つの表示層、すなわち絵柄列表示層12a、背景表示層12b、及び特別演出表示層12cから構成されている。絵柄列表示層12aには、互いに上下方向に配置された三つの絵柄列(上絵柄列26、下絵柄列27、中絵柄列28)が表示される。各絵柄列26,27,28には、数字が付された複数種類(例えば10種類)の絵柄(例えば海中の動物)が表示される。
背景表示層12bには、三つの絵柄列26,27,28の背景となる背景絵柄H(例えば海中の景色)が表示される。また、特別演出表示層12cには、抽選結果に応じた所定の確率で選択される特別演出絵柄E(例えば「泡E1」、「魚群E2」)が表示される。なお、絵柄列表示層12a及び特別演出表示層12cは透過可能な表示層からなり、背景表示層12bは透過しない表示層からなっている。つまり、図3に示すように、各表示層12a,12b,12cが前面側から順に配置された場合には、絵柄列表示層12aに表示された三つの絵柄列26,27,28、及び背景表示層12bに表示された背景絵柄Hが一つの画像として認識可能となるが、特別演出表示層12cに表示される特別演出絵柄Eは視覚的に認識できない状態となる。なお、「表示層」とは、重ね合わせが可能な仮想的な紙のことであり、例えば絵柄が表示されたトレーシングペーパーを何枚も重ねた場合と同様に、重ね合せた絵柄を視覚的に認識させることができるものである。ここで、特別演出表示層12cが本発明の「所定の表示層」に相当し、背景表示層12aが本発明の「不透過表示層」に相当する。
各絵柄列26,27,28での絵柄の変動が、遊技球7の特別絵柄始動口10への入賞に基づき一斉に開始されるようになっている。絵柄の変動は所定の停止順、例えば上絵柄列26、下絵柄列27、中絵柄列28の順に停止される。そして、全絵柄列26,27,28の変動が停止したとき、表示されている絵柄(停止絵柄)の組合せが、予め定められた大当りの組合せ、すなわち同一種類の停止絵柄が大当りラインに沿って並んでいる組合せ(例えば「7」,「7」,「7」)となる場合がある。大当りの組合せが成立すると、所謂「大当り状態」となる。ここで、各絵柄列26,27,28の絵柄は、絵柄列毎に順次停止して表示されるため、最初の二列の絵柄列(上絵柄列26及び下絵柄列27)に同一の絵柄が停止絵柄として表示されると、所謂「リーチ状態」(残り一列の中絵柄列28にも同一の絵柄が停止表示されれば「大当り」となる状態)となり、遊技者にとっては、「大当り」の期待感が増す。ここで、「大当り状態」が前記手段10の発明における有利遊技状態に相当する。
なお、「大当り状態」は、特別絵柄始動口10への遊技球7の入賞によって行われる抽選の結果が「大当り」であると発生される。ここで、上記の抽選は、遊技球7の入賞タイミングによって大当り判定用の当否乱数カウンタから値が取得されることによって行われる。そして、取得された値が特定の値である場合に、表示装置12に特定の態様で絵柄を表示させるとともに、大入賞口11を開放させる。なお、上記の抽選結果が「大当り」となる確率は、通常の遊技状態では、1/300に設定されている。
「大当り状態」での大入賞口11の開放は、所定時間(例えば30秒)開放するか、或いは、所定数(例えば10個)の遊技球7が入賞するといった所定の条件が満たされると終了され、その後、遊技球7の入賞不能な状態に閉鎖される。また、大入賞口11には、Vゾーン19が設けられており、大入賞口11の開放中に遊技球7がVゾーン19を通過すると、「大当り状態」を継続する権利が取得されて、大入賞口11の閉鎖後、再度、大入賞口11が開放される。この大入賞口11の開閉は、所定回数(例えば初回の開放を含めて15回)を上限として繰り返される。
次に、図4に基づいて、パチンコ遊技機2の電気的構成を説明する。パチンコ遊技機2は、遊技内容の制御を行う主制御基板30を備えている。そして、主制御基板30は、各種の処理プログラムを記憶したROM31と、データを一時的に記憶するRAM32と、各種の演算を行うCPU33と、所定周波数のパルス信号を出力するクロック回路34とを備えている。
主制御基板30のCPU33には、入出力ポート35を介して、表示制御基板36、ランプ制御基板37、及び音声制御基板38が接続されている。ここで、表示制御基板36は、主制御基板30からの信号、操作ボタン20に内蔵されたスイッチ20a、及びモード切替スイッチ29aからの信号を受けて、表示装置12、及び操作ボタン20に内蔵された発光ダイオード20bを夫々制御するものである。なお、具体的な制御については後述する。
ランプ制御基板37は、主制御基板30からの信号を受けて、パチンコ遊技機2に設けられた各種ランプ22を制御するものである。音声制御基板38は、主制御基板30からの信号を受けて、スピーカ21を制御するものである。また、主制御基板30には、前述した普通絵柄表示器24、状態表示器25、大入賞口駆動装置16、及び特別絵柄始動口駆動装置10eが接続されており、主制御基板30からの信号を受けて、駆動されるようになっている。さらに、主制御基板30には、普通入賞口スイッチ8a、普通絵柄始動口スイッチ9a、特別絵柄始動口スイッチ10d、大入賞口スイッチ17、及びVゾーンスイッチ18等も接続されており、夫々のスイッチにおいて検知された遊技球7の状況が主制御基板30に送られ、主制御基板30で認識されるようになっている。
続いて、本発明の特徴的な構成を、図5に基づき説明する。パチンコ遊技機2には、機能的構成として、特別絵柄始動口スイッチ10dの出力を基に絵柄を表示装置12の絵柄列表示層12aで変動表示させる絵柄変動実行手段40と、特別絵柄始動口スイッチ10dの出力に基づき開始され、大当り判定用の当否乱数カウンタ(詳細は後述)により「大当り」の当否を決定する抽選手段41と、絵柄変動実行手段40による絵柄の変動を抽選手段41に応じた停止絵柄で停止させる絵柄変動停止手段42とを有している。また、パチンコ遊技機2には、有利遊技状態発生手段43が設けられており、抽選手段41による抽選の結果、「大当り」となると、全絵柄列26,27,28の変動を予め定められた「大当り」の組合せで停止させるとともに、有利遊技状態として「大当り状態」を設定する。ここで、絵柄変動実行手段40及び絵柄変動停止手段42を組合せたものが手段6の発明の絵柄変動制御手段に相当する。
また、パチンコ遊技機2は、表示層の順番を切り替え、前面から特別演出表示層12c、絵柄列表示層12a、及び背景表示層12bの順に配置する表示層切替手段45と、抽選手段41の抽選結果に応じて表示層切替手段45に制御信号を出力し、特別演出表示層12cに表示される特別演出絵柄Eを視覚的に認識可能とする演出実行制御手段46とを備えている。特別演出絵柄Eは、抽選手段41の抽選結果を基に、所定の確率で表示状態となる。本例では、「大当り」の発生と特別演出絵柄Eの表示とを関連付け、抽選結果が「大当り」になる可能性が高い場合にのみ特別演出絵柄Eを表示させるようにしている。なお、「表示させる」とは、特別演出表示層12cに表示させる状態を示しており、この状態のときに、遊技者側の立場で演出を許可すると、特別演出表示層12cが前面位置に切替わり演出表示が視認可能となる。つまり、表示層切替手段45には、モード切替スイッチ29a及びスイッチ20aが接続されており、これらのスイッチ29a,20aによって遊技者に選択の権利を与えている。具体的には、モード切替スイッチ29aによって常時許可モードが選択されると、スイッチ20aの操作に拘わらず、特別演出表示層12cを前面に位置させ、一方、モード切替スイッチ29aによって操作時許可モードが選択されると、スイッチ20aの操作に基づいて、特別演出表示層12cを前面に位置させる。換言すれば、モード切替スイッチ29aによって操作時許可モードが選択され、しかもスイッチ20aが操作されない場合には、特別演出絵柄Eが特別演出表示層12cに表示されても、不透過な背景表示層12bによって、その演出は遮蔽された状態となる。ここで、表示層切替手段45が本発明の切替手段に相当する。
また、演出実行制御手段46は、受付許可手段47を有しており、スイッチ20aの操作を受付ける期間を制限している。この期間は、「リーチ状態」になってから特別演出絵柄Eの表示(演出)が実行可能になるまでの間の遅延時間に一致しており、演出が開始されるべき所定のタイミングの前に遊技者の意向を確定させるようにしている。これにより、予め設定された通りの表示パターンで特別演出絵柄Eの表示をさせることが可能となる。なお、本例では、上記の期間を遊技者に示唆するため、発光ダイオード20bを点灯させるLED駆動回路49が演出実行制御手段46に接続されている。
また、演出実行制御手段46は、特別演出絵柄Eの表示パターンとして複数種類のパターンを有し、抽選手段41の抽選結果に基づいていずれか一つのパターンを選択するパターン選択手段48を備えている。これにより、遊技者は表示パターンに応じて複数種類の抽選情報を取得することが可能になる。
さらに、パチンコ遊技機2は、抽選結果、特に特別演出絵柄Eの表示に関する情報(表示の有無、及び表示パターン)を記憶する当選結果記憶手段50と、絵柄の変動停止後、所定時間の間にスイッチ20aが操作されると、当選結果記憶手段50から今回の抽選に係る情報を読出し、その情報を基に特別演出絵柄Eの表示を再現させる演出再現制御手段51とを備えている。つまり、絵柄の変動中、特別演出絵柄Eが表示された場合には、スイッチ20aの操作によって同じ表示パターンの表示を再現するとともに、特別演出表示層12cを前面に位置させ、特別演出絵柄Eを視覚的に認識可能な状態にする。なお、言うまでもないが、絵柄の変動中、特別演出絵柄Eが表示されなかった場合には、特別演出絵柄Eの再現は行われない。これにより、遊技者は絵柄の変動停止後に、特別演出絵柄Eによる表示の有無及び表示パターンを認識可能となり、これらを抽選情報として取得することができるようになる。
次に、パチンコ遊技機2にて行われる各種の処理の流れについて説明する。ここで、本例のパチンコ遊技機2では、電源投入後に、メイン処理にて、各種のデータを初期化したり、各種機器の状態を整える立ち上げ処理を実行する。また、電源復帰処理を実行した後に、後述する変動パターン乱数カウンタC3の値を更新し、更新した値を変動パターンバッファに格納する処理を、閉ループにて繰返し実行する。このメイン処理に対して、クロック回路34からのパルス信号に基づいて、例えば4msで、図6に示す割込み処理を行う。
図6に示す割込み処理では、まず、外れ絵柄更新処理を行い(S10)、続いて、当否乱数カウンタC1及びリーチ乱数カウンタC2の更新処理を行い(S20)、その後、始動入賞処理(S30)、絵柄変動処理(S40)、大当り処理(S50)、特殊演出実行処理(S60)、及び特殊演出再現処理(S70)を順次行い、最後に、その他の処理を行う(S80)。以下、夫々の処理について具体的に説明する。
外れ絵柄更新処理(S10)では、図7に示すように、まず、第1絵柄乱数カウンタC4aの更新を行い(S101)、S102の処理に移行する。第1絵柄乱数カウンタC4aは、表示装置12に「外れ」の絵柄を表示する際に、上絵柄列26に表示される停止絵柄を決定するのに用いられるカウンタである。本例では、第1絵柄乱数カウンタC4aの値を、「0」〜「9」までは1ずつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。そして、表示装置12の上絵柄列26には、第1絵柄乱数カウンタC4aの値に対応した数字が表示される。
S102の処理では、第1絵柄乱数カウンタC4aの値が「0」であるか否かを判定し、「0」であれば、S103の処理に移行する。一方、第1絵柄乱数カウンタC4aの値が「0」でなければ、S106の処理に移行する。
S103の処理では、第2絵柄乱数カウンタC4bの更新を行い、S104の処理に移行する。第2絵柄乱数カウンタC4bは、表示装置12に「外れ」の絵柄を表示する際、下絵柄列27に表示される停止絵柄を決定するのに用いられるカウンタである。本例では、第2絵柄乱数カウンタC4bの値を、「0」〜「9」までは1ずつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。そして、表示装置12の下絵柄列27には、この第2絵柄乱数カウンタC4bの値に対応した数字が表示される。
S104の処理では、第2絵柄乱数カウンタC4bの値が「0」であるか否かを判定し、「0」であれば、S105の処理に移行する。一方、第2絵柄乱数カウンタC4bの値が「0」でなければ、S106の処理に移行する。
S105の処理では、第3絵柄乱数カウンタC4cの更新を行い、S106の処理に移行する。第3絵柄乱数カウンタC4cは、表示装置12に「外れ」の絵柄を表示する際に、中絵柄列28に表示される停止絵柄を決定するのに用いられるカウンタである。本例では、第3絵柄乱数カウンタC4cの値を、「0」〜「9」までは1ずつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。そして、表示装置12の中絵柄列28には、この第3絵柄乱数カウンタC4cの値に対応した数字が表示される。
S106の処理では、第1絵柄乱数カウンタC4aの値と第2絵柄乱数カウンタC4bの値とが同じであるか否かを判定する。各値が同じ値であれば、上絵柄列26と下絵柄列27とに同じ数字が表示され、「リーチ状態」の表示態様が形成されることになるので、S107の処理に移行する。一方、各値が同じ値でなければ、「リーチ状態」の表示態様は形成されず、また、「大当り状態」の表示態様が形成されないことになるため、第1絵柄乱数カウンタC4a、第2絵柄乱数カウンタC4b、及び第3絵柄乱数カウンタC4cの各値を、「外れ絵柄」を決定する値として、外れ絵柄バッファに格納して(S108)、外れ絵柄更新処理を終了する。
S107の処理では、第1絵柄乱数カウンタC4aの値と第3絵柄乱数カウンタC4cの値とが同じであるか否かを判定する。各値が同じ値であれば、上絵柄列26と下絵柄列27と中絵柄列28とに同じ数字が表示され、「大当り状態」の表示態様が形成されることになる。ここで「大当り状態」の表示態様は、後述する別の処理(S413)にて決定されるので、本処理では、各値をそのままとし、外れ絵柄更新処理を終了する。一方、各値が同じ値でなければ、「大当り状態」の表示態様は形成されず、「リーチ状態」の表示態様ではあるが「大当り状態」の表示態様はない、所謂「外れリーチ状態」の表示態様が形成されることになるため、第1絵柄乱数カウンタC4a、第2絵柄乱数カウンタC4b、及び第3絵柄乱数カウンタC4cの各値を、「外れリーチ絵柄」を決定する値として、外れリーチ絵柄バッファに格納して(S109)、外れ絵柄更新処理を終了する。
図6に示す当否乱数カウンタC1及びリーチ乱数カウンタC2の更新処理(S20)では、図示は省略するが、当否乱数カウンタC1及びリーチ乱数カウンタC2を更新し、更新した値を対応するバッファに格納する。当否乱数カウンタC1は、通常状態で1/300、確率変動状態で1/60の確率で当選する「大当り」の判定に用いられるものであり、本例では、「0」〜「599」までを順に1ずつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。なお、通常状態では、当否乱数カウンタC1の値として、「7」及び「307」の二種類の値が取得されると、「大当り」と判定する。また、確率変動状態では、当否乱数カウンタC1の値として、「60」で除したときの余りが「7」である、「7」、「67」、「127」……「547」の10種類の値が取得されると、「大当り」と判定する。一方、リーチ乱数カウンタC2は、「外れリーチ状態」を発生させるか否かの抽選に際して用いられるものであり、本例では、「0」〜「11」までを順に一づつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。なお、リーチ乱数カウンタC2の値として「3」の値が取得されると、「外れリーチ状態」と判定する。よって、本例では、1/12の確率で「外れリーチ状態」が発生される。
始動入賞処理(S30)では、図8に示すように、まず、特別絵柄始動口10に遊技球7が入賞したか否か(入賞か否か)を判定する(S301)。この判定は、特別絵柄始動口スイッチ10dが遊技球7を検知したか否かによって行われる。そして、入賞であれば、S302の処理に移行する。一方、入賞でなければ、S306の処理に移行する。
S302の処理では、「大当り」の抽選を保留する保留数Nの値が「4」未満であるか否かを判定し、保留数Nの値が「4」未満であれば、S303の処理に移行する。一方、保留数Nの値が「4」未満でなければ、これ以上の抽選を保留することができないため、S306の処理に移行する。
S303の処理では、保留数Nとして、「1」を加算した新たな値をセットする。そして、以降の処理では、「大当り」抽選用の保留ランプ23を一つ点灯し(S304)、対応するバッファに格納されている当否乱数カウンタC1の値、及びリーチ乱数カウンタC2の値を、第1保留エリア、第2保留エリア、第3保留エリア、及び第4保留エリアのうち、保留数Nに対応する空き記憶エリアに格納し(S305)、S306の処理に移行する。
S306の処理では、保留数「N」の値が「0」よりも大きいか否かを判定し、保留数「N」の値が「0」よりも大きければ、S307の処理に移行する。一方、保留数「N」の値が「0」よりも大きくなければ、そもそも入賞がないことになるので、以降の処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。
S307の処理では、表示装置12が変動中であるか否か、また、「大当り」中であるか否かを判定する。表示装置12が変動中でなく、且つ「大当り」中でなければ、表示装置12を変動させることができるので、変動許可フラグF1に「1」の値をセットして(S308)、始動入賞処理を終了する。一方、表示装置12が変動中であるか、或いは、「大当り」中であると、表示装置12を変動させることができないので、以降の処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。
絵柄変動処理(S40)では、図9及び図10に示すように、まず、変動許可フラグF1の値が「1」であるか否かを判定し(S401)、変動許可フラグF1の値が「1」であれば、「大当り」抽選用の保留ランプ23を一つ消灯し(S402)、保留数Nとして、「1」減じた新たな値をセットし(S403)、記憶エリアのデータ、すなわち、第1保留エリア、第2保留エリア、第3保留エリア、及び第4保留エリアの各記憶エリアに記憶された当否乱数カウンタC1の値、及びリーチ乱数カウンタC2の値を、実行エリア側の記憶エリアにシフトする(S404)。そして、詳細は後述する表示コマンド決定処理を行い(S405)、決定された表示コマンドを表示制御基板36に送信し(S406)、変動許可フラグF1に「0」の値をセットし(S407)、S408の処理に移行する。
S408の処理では、「大当り」中であるか否かを判定し、「大当り」中でなければ、S409の処理に移行する。一方、「大当り」中であれば、以降の処理をスキップし、絵柄変動処理を終了する。なお、「大当り」中とは、「大当り状態」の実行中と、この「大当り状態」終了後に、所定時間、パチンコ遊技機2の状態を整える状態とを含むものである。
S409の処理では、表示装置12に変動表示されている絵柄の変動時間が終了したか否かを判定する。表示装置12では、後述する種々の変動パターンで絵柄を変動表示するのであるが、この変動パターン毎に設定された変動時間により、上記の判定がなされる。そして、変動時間が終了していれば、変動表示されている絵柄を停止させるため、及び、停止表示される停止絵柄の確認のため、確定コマンドを表示制御基板36に送信し(S410)、S411の処理に移行する。一方、変動時間が終了していれば、絵柄の停止処理を行わず、以降の処理をスキップして、絵柄変動処理を終了する。
S411の処理では、抽選状態を変更する条件が満たされているか否か(更新条件か否か)を判定する。本例では、「外れリーチ状態」の発生を更新条件としているため、実行エリアに記憶されているリーチ乱数カウンタC2の値が「外れリーチ状態」を発生させる値であるか否かによって判定が行われる。そして、更新条件を満たしていれば、S412の処理に移行する。一方、更新条件を満たしていなければ、以降の処理をスキップして、絵柄変動処理を終了する。
S412の処理では、大当り絵柄乱数カウンタC5の値を更新する。ここで、本例では、「大当り状態」にて、大当り絵柄乱数カウンタC5の値に対応する数字を表示するようにしてある。そして、本例では、表示装置12の各絵柄列26,27,28に、「0」〜「9」の数字を揃うように表示することにより、「大当り状態」の表示態様を形成するため、「大当り状態」の表示態様の種類は、10種類となる。よって、大当り絵柄乱数カウンタC5を、「0」〜「9」までは一づつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻すこととし、更新された大当り絵柄乱数カウンタC5の値を、大当り絵柄バッファに格納し(S413)、絵柄変動処理を終了する。
絵柄変動処理(S40)中に実行される表示コマンド決定処理(S405)は、図11に示すように、まず、実行エリアに格納されている「大当り」抽選用の当否乱数カウンタC1の値が「大当り状態」を発生させる値であるか否かを判定する(S451)。そして、「大当り状態」を発生させる値であれば、表示装置12の絵柄列表示層12aに表示される停止絵柄として、大当り絵柄バッファに格納されている値に応じた大当り絵柄を設定する(S452)。そして、この大当り絵柄を停止させるまでの変動パターンとして、メイン処理にて随時更新され、変動パターンバッファに格納されている変動乱数カウンタC3の値に応じた変動パターンを決定する(S453)。また、これと共に、変動パターンバッファに格納されている変動乱数カウンタC3の値に応じて特別演出絵柄Eの表示パターンを決定し(S454)、表示コマンド決定処理を終了する。なお、特別演出絵柄Eは、「リーチ状態」になる確率(例えば1/10)のさらに1/6の割合で表示されるように設定されている。そして、特別演出絵柄Eを特別演出表示層12cに表示する場合には、主制御基板30から表示制御基板36に表示パターンコマンドが送信される。表示制御基板36では、そのコマンドを受信すると、許可フラグを「1」に設定する。また、特別演出絵柄Eを表示させる場合には、その情報が当選結果記憶手段50に記憶される。つまり、当選結果記憶手段50に記憶された情報を基に、特別演出絵柄Eの表示を再現することが可能になる。
一方、当否乱数カウンタC1の値が大当りを発生させる値でなければ、S455の処理に移行する。S455の処理では、実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC2の値が「外れリーチ状態」を発生させる値であるか否かを判定する。そして、「外れリーチ状態」を発生させる値であれば、表示装置12の絵柄列表示層12aに表示される停止絵柄として、外れリーチ絵柄バッファに格納されている第1絵柄乱数カウンタC4a、第2絵柄乱数カウンタC4b、及び第3絵柄乱数カウンタC4cの各値に応じた外れリーチ絵柄を設定する(S456)。そして、この外れリーチ絵柄を停止させるまでの変動パターンとして、変動パターンバッファに格納されている変動パターン乱数カウンタC3の値に応じた変動パターンを決定する(S457)。また、これと共に、変動パターンバッファに格納されている変動乱数カウンタC3の値に応じて特別演出絵柄Eの表示パターンを決定し(S458)、表示コマンド決定処理を終了する。なお、S458の処理は、S454の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
一方、リーチ乱数カウンタC2の値が「外れリーチ状態」を発生させる値でなければ、S459の処理に移行する。S459の処理では、表示装置12の絵柄列表示層12aに表示される停止絵柄として、外れ絵柄バッファに格納されている第1絵柄乱数カウンタC4a、第2絵柄乱数カウンタC4b、及び第3絵柄乱数カウンタC4cの各値に応じた外れ絵柄を設定する(S459)。そして、この外れ絵柄を停止させるまでの変動パターンとして、変動パターンバッファに格納されている変動パターン乱数カウンタC3の値に応じた変動パターンを決定し(S460)、表示コマンド決定処理を終了する。
上述のような表示コマンド決定処理(S405)によって、表示装置12の絵柄列表示層12aに最終的に停止表示される大当り絵柄、外れリーチ絵柄及び外れ絵柄の各種の絵柄が決定され、また、特別演出絵柄Eの表示の有無及び表示パターンが決定される。また、各絵柄を変動して停止する際に、変動時間を異ならせたり、登場するキャラクターを異ならせたり、変動する絵柄の大きさや色を異ならせる等、種々の演出を行うための変動パターンも決定される。
大当り処理(S50)では、図12に示すように、まず、実行エリアに格納されている「大当り」抽選用の当否乱数カウンタC1の値が「大当り状態」を発生させる値であるか否か(「大当り」であるか否か)を判定し(S501)、「大当り」であれば、開放回数カウンタCRに「15」の値をセットし(S502)、入賞個数カウンタCEに「0」の値をセットし(S503)、開放回数カウンタCRの値を「1」減じて(S504)、大入賞口11を開放し(S505)、S506の処理に移行する。一方、「大当り」でなければ、以降の全ての処理をスキップして、大当り処理を終了する。ここで、開放回数カウンタCRは繰返し開放される大入賞口11の開放回数をカウントダウンするためのものであり、本例では、開放回数の上限が15回であるため、最初に「15」の値がセットされ、大入賞口11の開放前に「1」減算される。また、入賞個数カウンタCEは、大入賞口11の一回の開放中に入賞した遊技球7の入賞個数をカウントするためのものであり、大入賞口11が開放される前に、リセットのために「0」の値がセットされ、大入賞口11の開放中においては、大入賞口スイッチ17が遊技球7を検知する毎に、「1」加算される。
S506の処理では、入賞個数カウンタCEの値が「10」よりも大きいか否かを判定し、大きくなければ、S507の処理に移行する。一方、大きい場合には、S507の処理をスキップし、大入賞口11を閉鎖し(S508)、S509の処理に移行する。これにより、大入賞口11は、一回の開放中に遊技球7が10個入賞すると、閉鎖される。
S507の処理では、大入賞口11の開放時間が閉鎖時期に達したか否かを判定し、閉鎖時期に達していなければ、S506の処理に戻る。一方、閉鎖時期に達していれば、大入賞口11を閉鎖し(S508)、S509の処理に移行する。これにより、大入賞口11は、1回の開放中に遊技球7が10個入賞しなくても、開放時間が閉鎖時期に達すると閉鎖される。
S509の処理では、開放回数カウンタCRの値が「0」であるか否かを判定し、「0」でなければ、S510の処理に移行する。一方、「0」であれば、大入賞口11の開放回数が上限の15回に達したことになるので、以降の処理をスキップし、大当り処理を終了する。
S510の処理では、大入賞口11のVゾーン19を遊技球7が通過したか否か(V入賞ありか否か)を判定する。この判定は、大入賞口11の開放中にVゾーンスイッチ18が遊技球7を検知したか否かによって行われる。「V入賞あり」であれば、大入賞口11を繰返し開放させるための権利が取得されたものとして、S503の処理に戻り、以降の処理を繰返し実行する。一方、「V入賞あり」でなければ、大入賞口11を開放させるための権利が取得されなかったものとして、大当り処理を終了する。
特殊演出実行処理(S60)では、図13に示すように、まず、表示装置12の絵柄列表示層12aに表示されている絵柄列26,27,28の組合せが「リーチ状態」であるか否かを判断する(S601)。判断の結果、「リーチ状態」の場合には、「リーチ状態」になってから所定時間(例えば3秒)以内か、所定時間を越えているかを判断し(S602)、一方、「リーチ状態」が表示されていない場合には特殊演出実行処理を終了する。S602の処理において所定時間以内と判断された場合、発光ダイオード20bを点灯させ(S603)、S604の処理に移行する。発光ダイオード20bの点灯(例えば青色発光)により、遊技者は操作ボタン20の操作が可能であることを視覚的に認識させることができる。
S604の処理では、操作ボタン20に内蔵されたスイッチ20aが閉成されたか否かを判断し、閉成された場合には、操作ボタン20に対する操作の有無を示すスイッチフラグを「1」に設定し(S605)、S606の処理に移行する。S606の処理では、「リーチ状態」の発生から所定時間(例えば3秒)が経過したか否かを判断し、所定時間経過した場合には、S608の処理に移行する。一方、「リーチ状態」の発生から所定時間を経過していない場合、及びスイッチ20aが閉成されていない場合には特殊演出実行処理を終了する。また、S602の処理において「リーチ状態」から所定時間経過した場合には、発光ダイオード20bを消灯し(S607)、S608の処理に移行する。つまり、「リーチ状態」となってから、所定時間(例えば3秒)のみ操作ボタン20の操作が受付けられ、その間に操作ボタン20が操作された場合にはスイッチフラグが「1」に設定される。つまり、上記所定時間が手段16の発明の遅延時間に相当する。
S608の処理では、スイッチフラグが「1」に設定されているか否かを判断する。「1」に設定されている場合には、特別演出表示層12cが絵柄列表示層12aの前方(すなわち前面)になるように表示層の順番を変更し(S609)、S610の処理に移行する。一方「1」に設定されていない場合、すなわち操作ボタン20が操作されなかった場合にはS610の処理に移行する。
S610の処理では、許可フラグが「1」に設定されているか否かを判断する。そして許可フラグが「1」に設定されている場合、すなわち抽選によって特別演出絵柄Eの表示が許可されている場合には、特別演出絵柄Eの表示を表示パターンに基づいて実行する(S611)。その後、スイッチフラグを「0」に設定するとともに(S612)、許可フラグを「0」に設定する(S613)。さらに、特別演出絵柄Eの表示を開始してから所定時間が経過すると、特別演出表示層12cの配置を元の状態に戻し(S614)、特殊演出実行処理を終了する。なお、S611において、許可フラグが「1」に設定されていない場合には、S614の処理に移行する。つまり、特別演出絵柄Eを表示させることなく、特別演出表示層12cの配置を元の状態に戻し(S614)、特殊演出実行処理を終了する。
なお、モード切替スイッチ29aによって常時許可モードが選択された場合には、操作ボタン20の操作が不要となることから、それに関連する処理(S602〜S605,S607,S608,及びS613)が除かれた形態で処理が行われる。
特殊演出再現処理(S70)では、図14に示すように、まず、絵柄の変動停止中か否かを判断する(S701)。判断の結果、変動停止中の場合には、変動停止から所定時間(例えば20秒)以内か、所定時間を越えているかを判断し(S702)、一方、絵柄の変動中の場合には特殊演出再現処理を終了する。S702の処理において所定時間以内と判断された場合、発光ダイオード20bを点灯(例えば赤色発光)させ(S703)、S704の処理に移行する。この際、発光ダイオード20bの発光色を、特殊演出実行処理のS603の処理における発光色と異ならせることにより、遊技者に、特別演出絵柄Eによる演出の再現が可能であることを視覚的に認識させることができる。
S704の処理では、操作ボタン20に内蔵されたスイッチ20aが閉成されたか否かを判断し、閉成された場合には、発光ダイオード20bを消灯させるとともに(S705)、特別演出表示層12cが絵柄列表示層12aの前方に位置するように順番を変更し(S706)、その後S707の処理に移行する。一方、スイッチ20aが閉成されていない場合には、特殊演出再現処理を終了する。
S707の処理では、許可フラグが「1」に設定されているか否かを判断する。許可フラグが「1」に設定されている場合、すなわち抽選によって特別演出絵柄Eが表示状態となり、しかも特別演出表示層12cの順番が切替えられなかった場合には、S708の処理に移行し、一方、許可フラグが「1」に設定されていない場合(表示状態にならなかった場合、または特別演出表示層12cの配置が変更された場合)には、特殊演出再現処理を終了する。S708の処理では、特別演出絵柄Eを表示パターンに従って再現する。その後、許可フラグを「0」に設定するとともに(S709)、特別演出表示層12cの配置を元の状態に戻し(S710)、特殊演出再現処理を終了する。
なお、S702の処理において、絵柄の変動が停止されてから所定時間(例えば20秒)経過した後は、発光ダイオード20bを消灯し(S711)、特殊演出再現処理を終了する。つまり、操作ボタン20の操作を受付けないことを示唆する。
割込み処理におけるその他の処理(S80)では、特別絵柄始動口10を開放させるための「当り」の抽選処理、パチンコ遊技機2における各種の機器を制御するための処理等、各種の処理が行われる。なお、その他の処理(S80)については、本発明に直接的に関わるものではないため、詳細は省略する。
このように、上記のパチンコ遊技機2では、操作ボタン20によって、特別演出絵柄Eによる演出の有無を選択させることができる。すなわち、各抽選においてその期待度を知る権利を遊技者側に与え、遊技者の好みに応じた楽しみ方を設定することが可能になる。詳しくは、特別演出絵柄Eは、「大当り状態」になる可能性が高いことを示唆するものであることから、遊技者は操作ボタン20を操作した場合、特別演出絵柄Eによる演出が実行されることを願うようになる。つまり、特別演出絵柄Eと「大当り状態」の発生とを関連させながら、特別演出絵柄Eを認識するようになる。一方、操作ボタン20が操作されない場合は、「大当り状態」の発生と特別演出絵柄Eとの関連が認識できないため、絵柄の変動停止を、悲観した気分で待つことがなくなる。つまり、絵柄の変動停止に対して常に注意を引きつけることができるようになる。このように、期待度を知る権利を遊技者側に与えることにより、遊技者が望む期待感のメリハリを遊技状況等に応じて変化させることができ、演出の効果を十分に発揮させることができる。
また、上記のパチンコ遊技機2では、特別演出絵柄Eが表示される特別演出表示層12cの優先順番を切替えること、すなわち特別演出表示層12cを視認不能状態から視認可能状態に切替えられることにより、特別演出絵柄Eを認識させている。このため、抽選によって特別演出絵柄Eの表示が許可されている場合には、操作ボタン20の操作に拘わらず、演出実行制御手段46から特別演出表示層12cに特別演出絵柄Eを表示させるための信号が出力される。つまり、操作ボタン20が操作されるまで表示情報の送出を待機させる等の複雑な処理が不要となり、プログラムのアルゴリズムが簡単になる。このため、画像処理等における処理速度を上げることが可能になり、遊技者の視覚的な満足を高めることができる。
また、上記のパチンコ遊技機2では、特別演出絵柄Eを、リーチ状態になった後に演出可能とすることから、操作ボタン20を操作した場合には、複数の絵柄列26,27,28の変動と特別演出絵柄Eによる演出とを関連させながら抽選を楽しむようになる。つまり、遊技者は、「リーチ状態」の発生によって「大当り状態」への可能性が高くなったことを認識し、その後、特別演出絵柄Eの演出によって「大当り状態」への可能性がさらに高まったことを認識するようになる。すなわち「大当り状態」への期待度を段階的に増加させることにより興趣を高めることができる。一方、操作ボタン20が操作されない場合には、特別演出絵柄Eによる演出と抽選結果とが関連しないことから、特別演出絵柄Eによる演出が行われないことによる期待度の低下を防止し、最終停止絵柄が停止されるまで「リーチ状態」となった余韻を楽しませることができる。
また、上記のパチンコ遊技機2では、所定期間以外では、操作ボタン20が操作されても、特別演出絵柄Eによる演出を許可しないため、誤って操作されても、遊技者の意向によらずに演出が実施されることがない。また、特別演出絵柄Eの表示パターンが不完全なものになったりすることも防止できる。
上記のパチンコ遊技機2では、操作ボタン20を操作してもよいことが発光ダイオード20bによって示唆されるため、禁止状態において操作ボタン20が操作されることを抑制できる。特に、操作ボタン20に内蔵された発光ダイオード20bが点灯することから、発光ダイオード20bと操作ボタン20とが物理的に関連付けられ、操作ボタン20の操作可能時期を明確に示唆することができる。
上記のパチンコ遊技機2では、常時許可モードを選択するモード切替ボタン29を備えているため、特別演出絵柄Eによる演出を操作ボタン20の操作に拘わらず実行させることができる。つまり、特別演出絵柄Eによる演出を、常に希望する場合でも、毎回の操作を強いられることなく、演出を楽しむことができる。
さらに、上記のパチンコ遊技機2では、特別演出絵柄Eによる演出を、変動停止後に再現させることができる。このため、特別演出絵柄Eによる演出を楽しむことができ、例えばその取得が「大当り状態」の発生後であれば、演出によって遊技者の気分を一層高めることができる。
続いて、本発明の他の実施形態を図15及び図16に基づいて説明する。図15は表示装置12における表示層の構成を示す説明図であり、図16はパチンコ遊技機の機能的構成を示すブロック図である。なお、上記実施形態と同一の構成については同一の番号を付し詳細な説明を省略する。
本例の表示装置12に表示される画像は互いに前後方向に重ねられた四つの表示層、すなわち前述した絵柄列表示層12a及び背景表示層12bに加え、特別演出絵柄Eを表示させるための表示層として設けられた第一演出表示層12dと第二演出表示層12eとから構成されている。なお、絵柄列表示層12a及び第二演出表示層12eは透過可能な表示層からなり、背景表示層12b及び第一演出表示層12dは透過しない表示層からなっている。つまり、図15に示すように、各表示層12e,12a,12b,12dが前面側から順に配置された場合には、第二演出表示層12eに表示される特別演出絵柄Eと、絵柄列表示層12aに表示された三つの絵柄列26,27,28と、背景表示層12bに表示された背景絵柄Hとが一つの画像として認識可能となるが、第一演出表示層12dに表示される特別演出絵柄Eは視覚的に認識できない状態となる。すなわち、第一演出表示層12dが視認不能な表示層となり、第二演出表示層12eが視認可能な表示層となる。
また、図16に示すように、機能的な構成として表示層選択手段60が設けられており、表示層選択手段60にモード切替スイッチ29a及びスイッチ20aが接続されている。表示層選択手段60は、遊技者によってスイッチ20aが操作されると、特別演出絵柄Eを表示させる表示層を第一演出表示層12d(視認不能な表示層)から第二演出表示層12e(視認可能な表示層)に切替えられる。すなわち、スイッチ20aが操作されない場合には、第一演出表示層12dに特別演出絵柄Eを表示させ、スイッチ20aが操作された場合には、第二演出表示層12eに特別演出絵柄Eを表示させる。ただし、モード切替スイッチ29aによって常時許可モードが選択された場合には、スイッチ20aの操作に拘わらず、特別演出絵柄Eが表示される表示層として第二演出表示層12e(視認可能な表示層)を選択する。ここで、表示層選択手段60が本発明の切替手段に相当する。
このように、スイッチ20aの操作に拘わらず(すなわち視覚的に認識させるか否かに拘わらず)、特別演出絵柄Eを表示させるための情報が演出制御実行手段46から送出される。このため、スイッチ20aが操作されるまで表示情報の送出を待機させる等の複雑な処理が不要となり、プログラムのアルゴリズムが簡単になる。
以上、本発明について好適な二つの実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態のパチンコ遊技機2では、背景表示層12bを不透過表示層とするとともに、特別演出表示層12cを背景表示層12bの後方に配置することにより、特別演出表示層12cに表示される特別演出絵柄Eを視認不能状態とするものを示したが、背景表示層12bを設けない場合には、前面に位置する絵柄列表示層12aを不透過表示層とすることにより、上記実施形態と同様の作用を奏することができる。
上記実施形態のパチンコ遊技機2では、不透過表示層を設けるものを示したが、不透過表示層の代わりに、透過状態が変更可能な透過可変表示層を設けるようにしてもよい。この場合、特別演出絵柄Eが表示される特別演出表示層12cを透過可変表示層の後方に配置し、透過可変表示層を不透過状態にすることにより視認不能状態となる。また、透過可変表示層を可透過状態とすることにより視認可能状態となる。これによれば、各表示層の順番を変えなくても、透過可変表示層の状態を切替えるのみで、特別演出絵柄Eを視認不能状態から視認可能状態に変化させることができる。
また、上記実施形態のパチンコ遊技機2では、「大当り状態」になる可能性が高い場合に、所定の確率で特別演出絵柄Eを動作させるものを示したが、「大当り状態」になることが確定した場合に表示させるようにしてもよく、反対に「大当り状態」になる可能性が低い場合に表示させるようにしてもよい。つまり、特別演出絵柄Eによる演出と抽選手段41の抽選結果とが関連付けられていれば、その組合せは特に限定されるものではない。
また、上記実施形態のパチンコ遊技機2では、特別演出絵柄Eによる演出が可能な状態を、発光ダイオード20bの点灯によって示唆するものを示したが、視覚的に認識させるものに限らず、例えば、禁止状態において操作ボタン20が操作された場合、操作を受付けないことを示すブザー音や音声を発生させるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、遊技機として、パチンコ遊技機2を示したが、パチンコ遊技機以外の遊技機、例えば、スロットマシーン、アレパチ、アレンジボール等であっても本発明を適用することができる。