以下、本発明の情報提供装置、情報提供方法及び情報提供システム10の実施形態について、添付図面を参照して説明する。本実施形態においては、DSRC(Dedicated Short Range Communications:狭域通信)を用いた情報提供システム10を利用して、ユーザに確実にコンテンツ情報を提供する例を示している。本発明はDSRCを利用したものに限定されるものではない。
[通信システム1の構成]
図1はDSRCを用いた通信システム10の全体構成を示している。図1に示すように、通信システム10は、情報提供サーバ60と、路側無線装置40A,40Bまたは無線アクセスポイント40Cよりなる無線装置3と、車両100に搭載された車載器20とを含む。情報提供サーバ60と路側無線装置40A,40BとはITS通信網110aで接続されており、情報提供サーバ60と無線アクセスポイント40Cとは一般通信網110bで接続されている。
車載器20はDSRC通信機能を備えており、路側無線装置40A,40Bまたは無線アクセスポイント40Cと通信する。図1の例では、路側無線装置40Aは、DSRC専用の独自プロトコルにより車載器5及び情報提供サーバ60と通信する。即ち、路側無線装置40Aによる通信は、IP(Internet Protocol)ではない非IP通信である。路側無線装置40Bは、IPにより車載器20及び情報提供サーバ60と通信(IP通信)する。無線アクセスポイント40Cによる通信もIP通信である。
路側無線装置40A,40Bは道路、駐車場、道の駅等に設置されている。路側無線装置40A,40Bの詳細については後述する。無線アクセスポイント40Cは任意の場所に設置されている。一般通信網110bは、インターネット及びこれに接続された移動体通信網、無線LAN(Local Area Network)等の任意の無線通信網である。
情報提供サーバ60は、一般通信網110bを介して車載器20からのコンテンツ情報の取得要求を受信すると、要求されたコンテンツ情報を車載器20に送信する。情報提供サーバ60が路側無線装置40Aを介して車載器20に提供するコンテンツ情報は、たとえば、車両100の周辺の店舗、駐車場、医療施設等の各種施設のサービス案内であり、以下、これらのコンテンツ情報を第1のコンテンツ情報と呼ぶ。また、情報提供サーバ60が一般通信網110bを介して、もしくは路側無線装置40Bを介して車載器20に提供するコンテンツ情報は、車載器20でWebページを表示するためのHTML(Hyper Text Markup Language)ファイルや、Web(World Wide Web)ページを介して提供される画像情報、音楽情報等のマルチメディアコンテンツ等であり、以下、これらのコンテンツ情報を第2のコンテンツ情報と呼ぶ。
[路側無線装置40A,40Bの構成]
図2を用いて、路側無線装置40A,40Bの構成例について説明する。図2に示すように、路側無線装置40A,40Bは本体装置40aとアンテナ40bとを備える。アンテナ40bは、道路脇、道路上方、駐車場、道の駅等に設置されている。路側無線装置40A,40Bは、アンテナ40bより到達距離が限定されたDSRCの電波を放射して近傍に路側エリアZを形成する。本体装置40aは、路側エリアZ内にある車両100の車載器20とだけ双方向の狭域無線通信が可能である。DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。
路側無線装置40A,40B及び図1では図示していない他の路側無線装置を含めて、路側無線装置からのDSRCの送信出力はいずれも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置それぞれが形成する路側エリアZは設置場所に関係なくほぼ一定である。路側無線装置40A,40Bと車載器20間の狭域無線通信を路車間通信と称する。
本体装置21は、図示していないCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),HDD(Hard Disk Drive)等を備えたコンピュータ端末で構成されている。本体装置40aは、アンテナ40bを介して車載器20から受信された情報を、ITS通信網110aを介して情報提供サーバ60に転送し、情報提供サーバ60から送信された第1または第2のコンテンツ情報を車載器20へ転送する。本体装置40aは、情報処理や通信制御を行う制御部、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
路側無線装置40Aの本体装置40aの制御部は、DSRC専用のプロトコルにより車載器20との通信制御を行う。路側無線装置40Bの本体装置40aの制御部は、車載器20の通信環境に合わせ、インターネットプロトコルまたはDSRC専用のプロトコルにより車載器20との通信制御を行う。
[車載器20の構成]
図3を用いて、車載器20の具体的構成例について説明する。図3に示すように、車載器20は、主制御部21,DSRC通信部22,ナビゲーション部23を備える。以下、具体的に説明する。
主制御部21は、CPUがROMに記憶されている各種のプログラムやHDD等の記憶部に記憶されている各種のデータをRAMに読み出して演算することにより、DSRC通信部22とナビゲーション部23とを制御する。DSRC通信部22は、アンテナ22A,送受信/変復調部22B,DSRC制御部22C,DSRC−ASL(Application Sub-Layer)処理部22D,メモリ部22E,情報処理部22Hを備える。
アンテナ22AはDSRCの電波を受信して所定の電気信号に変換する。送受信部/変復調部22Bは、「ARIV STD−T75」に準拠したインタフェース(DSRCプロトコルの物理層に相当するインタフェース)を実装している。また、送受信部/変復調部22は、受信した電波をデジタル変調/復調する機能(ASK/QPSK)を有する。DSRC制御部22Cは、DSRCプロトコルのデータリンク層およびアプリケーション層に相当するインタフェースを実装し、路側無線装置40A,40Bと5.8GHz帯の無線通信を行う。また、DSRC制御部22Cは、送信されてきたデータのフレーム内に含まれる識別子(EID)により車載器20内の対応するアプリケーションを特定し、DSRC−ASL処理部22Dを制御する。
DSRC−ASL処理部22Dは、基本アプリケーション処理およびセキュリティプラットフォームを提供する通信インタフェースを実装し、車載器20にインストールされている各アプリケーションプログラムと路側無線装置40A,40Bとの間でDSRC−ASLによる通信制御を行う。
上述した送受信部/変復調部22A、DSRC制御部22CおよびDSRC−ASL処理部22Dは、IP(Internet Protocol)を用いた、いわゆるIP系通信と、IPを用いずその他の通信プロトコルで通信制御を行う、いわゆる非IP系通信のそれぞれに対して通信インタフェースを提供する。
DSRC−ASL処理部22Dは、IP系通信を用いるアプリケーションに対しては、PPP制御プロトコル(PPPCP)、LAN制御プロトコル(LANCP)およびTCP/IPにより通信制御を行う。一方、DSRC−ASL処理部22Dは、非IP系通信を用いるアプリケーションに対しては、拡張通信制御プロトコル(ASL−ELCP)、ローカルポート制御プロトコル(LPCP)、ローカルポートプロトコル(LPP)により通信制御を行う。具体的には、DSRC−ASL処理部22Dは、ASL−ELCP(拡張通信制御プロトコル)上のASL−NCP(ネットワーク制御プロトコル)を識別するための接続点を設けており、特定のアプリケーションを識別する。
たとえば、IP系通信を用いるアプリケーションから路側無線装置40Bの後述する無線通信部41(図4参照)へデータを送信する場合には、各プロトコルによりポート番号,IPアドレス,MACアドレス,アクセス点識別子,EID,LIDを識別子として、アプリケーションが生成したアプリケーションデータへ順番に追加してパケットフレームが生成される。一方、路側無線装置40Bの無線通信部41からアプリケーションへデータが送信されてきた場合には、DSRC−ASL処理部22Dは、パケットフレーム内に含まれるLID,EID,アクセス点識別子,MACアドレス,IPアドレス,ポート番号を各プロトコルにより順番に識別して、そのデータの送信先であるアプリケーションを特定することができる。
また、非IP系通信を用いるアプリケーションから路側無線装置40Aの無線通信部41へデータを送信する場合には、ローカルポート番号,アクセス点識別子,EID,LIDを識別子として、アプリケーション3が生成したアプリケーションデータに順番に追加してパケットフレームが生成される。一方、路側無線装置40Aの無線通信部41から非IP系通信を用いるアプリケーションへデータが送信されてきた場合には、DSRC−ASL処理部22Dは、パケットフレーム内に含まれるLID,EID,アクセス点識別子,ローカルポート番号を各プロトコルにより順番に識別して、そのデータの送信先であるアプリケーションを特定することができる。なお、従来のETCは、他のアプリケーションによってEIDにより識別することができる。
このように、DSRC通信部22が構成されていることによって、車載器20は、従来のETCやEMVクレジットなどの非IP系通信を用いるアプリケーションのみならず、インターネット上で使用されるIP系通信を用いるアプリケーションとの通信が可能となることによって、より多様なサービスを車載器20において利用することができる。
メモリ部22Eは、図示を省略しているが、CPUが実行する基本的なプログラムを格納しているROM、記憶部、CPUが演算処理を実行する際に、演算途中のプログラムまたはデータを一時的に記憶するRAM等を備える。また、メモリ部22Eは、路側無線装置40A,40Bから送信されてきた各種のサービス情報を蓄積する。メモリ部22Eには、アップリンク用情報生成プログラム22Fとナビゲーション制御プログラム22Gとが格納されている。なお、車載器20から無線装置40A,40Bを介して情報配信サーバ60へと情報を送信することをアップリンクといい、情報配信サーバ60から無線装置40A,40Bを介して車載器20へと情報を送信することをダウンリンクという。
アップリンク用情報生成プログラム22Fは、メモリ部22E内のアップリンクタグエリアと称される特定の記憶領域にユーザ所望の情報を取得するための情報を格納している。アップリンク用情報生成プログラム22Fは、アップリンクタグエリアに格納された情報に基づいて情報配信サーバ60から情報を配信させるためのプログラムである。主制御部21は、後述するナビゲーション制御部23Aを制御してナビゲーション制御プログラム23Gを実行させる。
クライアントインフォメーション生成部22Gは、メモリ部22E内の特定の領域に設けられている。クライアントインフォメーションデータには、通信エリアZ内に位置している車載器20が再生可能なサービス情報の種類や、車載器20が搭載するコンテンツ再生アプリケーション等の情報が含まれている。また、車載器20が対応可能な言語情報、ナビゲーション部23が有する測地系情報(日本または世界の測地系情報)、対応可能なDRM(Digital Rights Management)、表示部23Gの解像度、蓄積可能なデータ量等もサプリメントインフォメーションとしてクライアントインフォメーションデータと合わせて記憶されている。
情報処理部22Hは、非IP系通信およびIP系通信に対応したインタフェースを提供する機能を有する。具体的には、IP系通信に用いるDSRC応用サービスに対応するためのHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)ブラウザ(例えばHTML4.01,CSS1及びCSS2)、IP系/非IP系通信に用いるDSRC応用サービスに対応するための文字コーデック(例えばJIS,UNICODE)、音声コーデック(例えばTTS,MP3)、画像コーデック(例えばJPEG,GIF)、動画コーデック(例えばMPEG4)等を搭載している。
ナビゲーション部23は、ナビゲーション制御部23A,入力処理部23B,画像処理部23C,高精度測位計測部23D,ナビゲーションデータ保持部23E,操作部23F,表示部23Gを備える。ナビゲーション制御部23Aは、CPUがメモリ部22Eに記憶されているナビゲーション制御プログラム22GをRAMに読み出して実行する。
ナビゲーション制御部23Aは、情報提供制御機能および情報収集機能を制御する。情報提供制御機能は、非IP系通信への対応として,優先表示,情報提供判断および情報蓄積等の情報提供を制御する機能である。情報収集機能は、ナビゲーション部23が保持又は蓄積している車両内情報を,DSRC通信部22を通してアップリンクする機能、すなわち、路側無線装置40A,40Bへ送信する機能である。
入力処理部23Bは、ユーザが操作部23Fの釦やリモコンによる操作などの入力を処理する。画像処理部23Cは、表示部23Gに画像等の各種のデータを表示するようデータを処理して表示部23Gに供給する。高精度測位計測部23Dは、例えばGPS(Global Positioning System)受信機、ジャイロセンサ等を有し、それらにより測位計測を行って車両4の位置を常に把握する。高精度測位計測部23Dは、GPS以外の他の準天頂衛星を利用してもよい。
ナビゲーションデータ保持部23Eは、高精度測位計測部23Dによる車両100の位置にマッチングした現在地の地図データを提供する機能を有する。また、ナビゲーションデータ保持部23Eは、目的地まで誘導できる地図データを提供することができる。操作部23Fは、例えば、車載器20の本体に設けられた各種の釦や表示部23Gに設けられたタッチパネルである。操作部23Fは、リモートコントローラであってもよい。表示部23Gは、地図やDSRC応用サービスに対応した各種の案内を表示する。ここでは図示していないが、車載器20がスピーカを備え、スピーカによって音声案内を行ってもよい。
[情報提供サーバ60の構成]
図4を用いて、図1における路側無線装置40と情報提供サーバ60の具体的構成例について説明する。図4に示すように、路側無線装置40は、無線通信部41、通信制御部42、記憶部43、制御部44、ROM45、RAM46、システムバス47を備える。情報提供サーバ60は、入力部61、出力部62、第1の通信制御部63、第2の通信制御部64、記憶部65、制御部66、ROM67、RAM68、システムバス69を備える。
無線通信部41は、アンテナ40bを含む部分で、電波信号、光信号等の無線信号により路側無線装置40A,40Bの近傍を通過する車両100に設置された車載器20との間で情報を交信する。たとえば、無線通信部41は、情報提供サーバ60から提供された交通情報や広告などのデータを車載器20に送信する。また、無線通信部41は、車載器20から送信されてくる車両ID等の情報を受信する。
通信制御部42は、ITS通信網110aを介して情報提供サーバ60に接続され、情報提供サーバ60から送信される交通情報や広告などのデータを受信して記憶部43に格納する。また、車載器20から取得した情報を情報提供サーバ60に送信する。
記憶部43は、情報提供サーバ60から受信した交通情報や広告などのデータを格納する。制御部44は、CPU等から構成され、路側無線装置40全体の動作を制御する。たとえば、制御部44は、記憶部43に格納されているデータを、無線通信部41を制御して車載器20にプッシュ配信する。制御部44は、無線通信部41により車載器20から取得した情報を記憶部43に格納する。また、制御部44は、トラフィックカウンター(図示せず)などを用いて路側無線装置40の周辺の交通情報を生成して記憶部43に格納し、ITS通信網110aを介して情報提供サーバ60に送信することもできる。
ROM45は、路側無線装置40A,40B全体の動作制御に必要なOS(Operating System)や、制御部44が実行する各種動作を行うためのプログラムを格納している。RAM46は、制御部44のワークエリアとして機能する。システムバス47は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
続いて、情報提供サーバ60のハードウエア構成と各部の動作について説明する。情報提供サーバ60は、路側無線装置40A,40Bにサービス事業者から提供される地域情報や広告情報などを提供するサーバである。なお、図1における情報提供サーバ60は、便宜上1つのサーバとして図示しているが、必ずしも一つである必要はなく、複数の情報提供サーバ60としてもよい。
入力部61は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力インタフェースである。ユーザは、入力部61によってデータや指示を入力する。出力部62は一例として表示部であり、各種のデータやメッセージを表示する。
第1の通信制御部63は、電話回線、インターネット等の一般通信網100bを介して外部装置と交信し、種々の情報を取得する機能を有する。第2の通信制御部64は、ITS通信網100aを介して1つまたは複数の路側無線装置40A,40Bに接続され、路側無線装置40A,40Bに交通情報を送信する機能を有する。また、第2の通信制御部64は、DSRC専用のネットワークであるITS通信網100aを介して、路側無線装置40A,40Bが車載器20との交信などにより得た情報を収集する機能を有する。
記憶部65は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリを用いたSSD(Solid State Drive)、DVDやブルーレイディスク等を用いた光ディスクドライブ等の任意の記憶装置であればよい。また、記憶部65は、各路側無線装置40A,40Bの位置、アドレス等と共にその近傍の地理情報を記憶する機能を有する。
制御部66は、記憶部65又はROM67に格納されているプログラムに応じて、各種演算処理を実行するとともに、装置の各部を制御する。制御部66は、記憶部65に格納されている各種情報に基づいて、各路側無線装置40A,40Bに、その路側無線装置40A,40B近傍から配信する情報を作成し、第2の通信制御部64およびITS通信網100aを介して路側無線装置40A,40Bに供給する機能を有する。この制御部66は、車載器20が備える通信環境や路側無線装置40A,40Bが備える通信環境を判断し、その通信環境に合ったコンテンツやURLなどの情報を車載器20に送信する。
ROM67は、情報提供サーバ60全体の動作制御に必要なOSや、制御部66が実行する各種動作を行うためのプログラムを格納している。ナビゲーション制御プログラムはROM67に格納されている。RAM68は、制御部66が実行するプログラムや各種のデータを一時的に記憶し、演算処理等を行うためのワークエリアとして機能する。システムバス69は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路としての機能を有する。
[路車間通信について]
図5を用いて、図1における車載器20と路側無線装置40A,40Bとの間で行われる路車間通信のトランザクションについて説明する。図5に示すトランザクションは、車載機5の電源が投入された時点から、図2に示す路側無線装置40A,40Bの通信エリアZ内に車両100に搭載された車載器20が進入し、車載器20が通信エリアZ外に移動するまでの各部の通信処理を示している。車載器20が通信エリアZ内に進入することをエリアイン、通信エリアZ外に出ることをエリアアウトと称する。
ステップS300:車載器20の電源が投入されると、主制御部21の全体制御により、ナビゲーション部23はDSRC通信部22にクライアントインフォメーションデータを書き込む。サプリメントインフォメーションもクライアントインフォメーションデータと合わせて通知される。
ステップS301:車載器20を搭載した車両がエリアインすると、路側無線装置40A,40Bと車載器20の間でPUSH型配信の通信を確立すべく、DSRC接続処理(たとえばDSRC−SPFにおける認証処理)が行われる。DSRC接続処理として、DSRC−SPFにおける認証処理は、路側無線装置40A,40BがDSRC−SPFのプラットフォームを有する場合、車載器20と路側無線装置40A,40Bの間で認証処理を行い、認証されれば車載器20はコンテンツやURLなどの情報を蓄積して、認証されなければ車載器20から破棄する制御を行っている。
ステップS302:路側無線装置40A,40BとDSRC通信部22は、DSRC接続処理が完了すると、情報提供サーバ60およびナビゲーション部23に対してそれぞれDSRC接続通知を行う。
ステップS303:DSRC通信部22は、路側無線装置40A,40Bに対してナビゲーション部23により書き込まれたクライアントインフォメーションデータを送信する。また、路側無線装置40A,40Bは、上述したクライアントインフォメーションデータを情報提供サーバ60に通知することができる。なお、このステップS103は、クライアント情報通知コマンドに相当する。
ステップS304:情報提供サーバ60は、ステップS303で通知されたクライアントインフォメーションデータに基づき、車載器20自体を一意に識別することができるASL−ID等を用いた会員判別を行い、車載器20が有する機能情報を解析して、車載器20に適したコンテンツをマルチコンテンツフォーマットで編成して、路側無線装置40A,40Bに受け渡す。情報提供サーバ60は、クライアントインフォメーションデータから車載器20で再生可能なコンテンツ又はURLなどの情報や車載器20が記憶する機能が分かるため、最適なコンテンツを編成して配信することが可能となる。
また、情報提供サーバ60は、車載器ID通知コマンド等を用いることにより、車載器20固有のIDを取得することも可能であるため、車載器20を特定することができる。例えば、情報提供サーバ60と路側無線装置40A,40Bとの双方または一方において、記憶する顧客データベース(図示せず)等と車載器20の固有IDとを照合するにより、車載器20の搭載された車両100を特定することも可能である。路側無線装置40A,40Bは、受け取ったサービス情報を車載器20のDSRC通信部22へ配信する。DSRC通信部22は、ナビゲーション部23にサービス情報を供給する。ASL−ID等による会員判別の詳細については省略する。
PUSH型配信であるDSRC通信においても、個人の趣味・嗜好等に即した個別のPUSH型配信を可能にしている。また、このコンテンツやURLなどの情報は、車載器20に一度、蓄積されて、特定の条件を満たした場合に、再生される仕組みとなっている。したがって、DSRC通信により情報を送受信するためには、その特定の通信エリア内に留まっていないと行うことができないが、受信した情報を蓄積して記憶させておくことで、エリア外でも情報を再生することが可能となる。更に、地域情報や広告情報などのコンテンツの再生タイミングを設定しておくことで、ユーザのニーズに合わせて情報を配信することを可能にしている。
ステップS305:情報提供サーバ60は、ステップS304の処理以降、路側無線装置40A,40Bを介して、後述するアップリンクタグエリアに情報が書き込まれていないかを確認するため、車載器20に対して定期的にポーリングを行う。このポーリングによりアップリンクタグエリアに情報が書き込まれている情報を取得し、書き込まれていない場合には、更にポーリングを継続する。
ステップS306:ナビゲーション部23は、ステップS304で受け取ったコンテンツからサービス事業者を判別して、サービス事業者用のアップリンク用のデータをDSRC通信部22の特定の領域としてのアップリンクタグエリアに書き込む。但し、ナビゲーション部23は、サービス事業者用のアップリンク用のデータが存在しない場合や、そのサービス事業者の非会員である場合にはアップリンクタグエリアには原則としてアップリンク用データを書き込まない。ステップS306の後、公共の情報が情報提供サーバ60から車載器20に配信される。
ステップS307:DSRC通信部22は、ステップS306においてアップリンクタグエリアに情報が書き込まれた場合には、その情報を路側無線装置40A,40Bに通知する。ステップS307にて通知する情報をアップリンク情報と称する。路側無線装置40A,40Bは、アップリンク情報を情報提供サーバ60へ受け渡す。
ステップS308:情報提供サーバ60は、ステップS307の処理以降、アップリンクタグエリアに情報が更新されていないかを確認するため、路側無線装置40A,40Bを介して車載器20に対して定期的にポーリングを行う。ポーリングによりアップリンクタグエリアの情報が更新されている場合には更新された情報を取得し、更新されていない場合には更にポーリングを継続する。
ステップS309:情報提供サーバ60は、ステップS307によって、アップリンク情報を取得したときは、取得した情報に基づき、ユーザに適したコンテンツやURLなどの情報をマルチコンテンツフォーマットで編成して、路側無線装置40A,40Bに配信する。路側無線装置40A,40Bは、配信されたコンテンツをDSRC通信部22に送信する。DSRC通信部22は、配信されたコンテンツやURLなどの情報を解析してナビゲーション部23に適宜データを配信する。
ステップS310:情報提供サーバ60は、ユーザに適したコンテンツの配信が終了したときは、その旨をDSRC通信部22に対して通知してエリアアウトを促す。これは、1台の車両が長時間に渡って通信エリアを占領すると、他の車両へのサービスができなくなるためである。但し、エリアアウトを促す通知は必須ではない。
なお、図5において、路側無線装置40A,40Bを介して情報提供サーバ60は車載器20にコンテンツを配信しているが、これに限らず、路側無線装置40A,40Bにてコンテンツを編成して車載器20へ配信してもよい。
次に、図6を用いて、情報提供サーバ60の送受信処理について説明をする。図6に示す送受信処理は、図5のステップS307に想到する。車載器20の主制御部21は、車載器20の電源がオンになるとメモリ部22Eに記憶されているアップリンク用情報生成プログラム22Fを読み出す。これにより、ステップS401以降の処理が実行される。ステップS401以降の処理は、アップリンク用情報生成プログラム22Fのアルゴリズムに従って実行される。
ステップS401:情報提供サーバ60は、車載器20と路側無線装置40A,40BとのDSRC接続処理が完了すると、路側無線装置40A,40Bを介して車載器20からクライアントインフォメーションデータを受信する。
ステップS402:情報提供サーバ60は、受信したクライアントインフォメーションデータに含まれるサプリメントインフォ情報の解析を行う。サプリメントインフォ情報の詳細については図7で後述する。
ステップS403:情報提供サーバ60は、サプリメントインフォ情報に基づいて車載器20に対応したコンテンツを編成する。車載器20の特性によって、表示できない形式のコンテンツが含まれる場合があるので、サプリメントインフォ情報から確実に車載器20で表示できる形式のコンテンツに編成する必要がある。
ステップS404:情報提供サーバ60は、車載器20に対応したコンテンツにアクセスするためのURL情報を含むコンテンツを路側無線装置40A,40Bを介して車載器20に送信する。車載器20は、受信したコンテンツをメモリ部25に蓄積して、ユーザによりコンテンツの表示指示がなされた場合に、メモリ部22Eから読み出す。車載器20は、コンテンツにURL情報を表示させて、URLの接続指示がなされた場合に、IP接続対応の路側無線装置40Bを介してIP接続により外部装置から取得したIPコンテンツを表示する。
なお、図6は、路側無線装置40A,40Bを介した情報提供サーバ60の処理について説明したが、これに限らず、路側無線装置40A,40Bにて処理を実施してもよい。
図7にクライアントインフォメーションデータに含まれるサプリメントインフォ情報の一例を示す。
クライアントインフォメーションデータに含まれるサプリメントインフォ情報は、車載器20が再生可能な対応言語501,502、サプリメントインフォ情報のバージョン情報503、測地系504、車載器20の対応DRM505、表示部23Gの解像度506、SVG(Scalable Vector Graphics)対応507、ナビ部蓄積可能容量508、「はい/いいえ」又は「YES/NO」などボタン意匠509、車載器20の再生可能IPコンテンツ対応状況510の情報等が含まれる。
特に、車載器20は、図7の510のIPコンテンツ対応状況を路側無線装置40A,40Bに通知することで、対応可能なコンテンツ形式の詳細を通知することができる。路側無線装置40A,40B又は情報提供サーバ60は、通知されたコンテンツ形式のみで構成されたコンテンツを編成することで、車載器20は確実に表示部23GにてIPコンテンツの再生が可能になる。
図8を用いて、IPコンテンツで使用されるコンテンツ形式の一例を示す。
番号1から番号15は「text」情報に関する項目である。番号16から番号31は「image」に関する項目である。番号32から番号47は「audio」に関する項目である。番号48から番号63は「video」に関する項目である。番号64から番号79は「message」に関する項目である。番号80から番号95は「application」に関する項目である。番号96から番号127は「multipart」に関する項目である。番号128から番号133は「dsrc」に関する項目である。番号134から番号239は「other Type」の項目である。なお、番号0、番号240から番号255は「未定義」の項目であり、情報が増えた場合に追加可能な項目である。
図9を用いて、車載器20のナビゲーション部23に記憶されているサプリメントインフォ情報のIPコンテンツ対応状況の一例を示す。なお、図9は一例であり、記憶しているコンテンツ形式は図8全てを記憶している車載器20もあれば、一部を記憶している車載器20もある。
図9の601に示す「image−jpeg」形式(番号17)は、さらに詳細に「基本DCT」「progress」「JPEG 2000」「ロスレス」「JPEG XR」の項目がある。図9の例において、車載器20は、「image−jpeg」形式の中で、「progress」および「ロスレス」形式に対応している場合は、7bitおよび5bitのフラグが「1」になるので、「01010000」を記録する。
他も同様に、図9の602に示す「image−gif」形式(番号18)は、「透過」形式に対応している場合に、7bitのフラグが「1」になるので、「01000000」とサプリメントインフォ情報に記録する。図9の603に示す「image−bmp」形式(番号19)は、「パレット」形式に対応している場合に、8bitのフラグが「1」になるので、「10000000」とサプリメントインフォ情報に記録する。図11の604に示す「image−png」形式(番号21)は、「透過」および「アニメ」形式に対応している場合に、6bitおよび5bitのフラグが「1」になるので、「00110000」とサプリメントインフォ情報に記録する。
次に、図10を用いて、図6のステップS403のコンテンツの編成処理について説明する。
ステップS701:情報提供サーバ60は、車載器20から送信されたサプリメントインフォ情報から対応するコンテンツ形式を解析する。ここでは、図9を用いて説明する。車載器20に記憶されている「image−jpeg」形式(番号17)は、「01010000」なので、「progress」及び「ロスレス」形式に対応している。
ステップS702:情報提供サーバ60は、車載器20から受信したサプリメントインフォ情報の解析したコードと1つでも同じコードのコンテンツがあるか否か判定する。同じコードのコンテンツが1つもない場合は、S706の処理へ移行する。同じコードのコンテンツが1以上ある場合は、S703へ移行する。
ステップS703:情報提供サーバ60は、車載器20から受信したサプリメントインフォ情報の解析したコードと全て同じ(一致する)コードのコンテンツがあるか否か判定する。全て同じコードのコンテンツがある場合はS704へ移行する。一部のコードが同じコンテンツがある場合は、S705へ移行する。
ステップS704:情報提供サーバ60は、車載器20から受信したサプリメントインフォ情報の解析したコードに対応するコンテンツを編成する。
ステップS705:情報提供サーバ60は、車載器20から受信したサプリメントインフォ情報の解析したコードと近いコードのコンテンツを選択して編成する。近いコードのコンテンツの選択は、例えば図11のD800のようなテーブルを予め設定しておき、その中から選択する。
図11は、同じコンテンツでもコンテンツ形式が異なる複数のコンテンツを予め設定している場合のテーブルの一例である。
ステップS705では、情報提供サーバ60が車載器20から受信したサプリメントインフォ情報から一番近いコンテンツを選択する。例えば、図11の801は一番容量が大きい第一コンテンツであり、「text−html」「image−jpeg」「image−gif」「audio」「video」「dsrc」のコンテンツ形式を有するコンテンツである。さらに詳細な項目については省略する。以下、次に容量が大きいのは第2コンテンツ802、さらに次に容量が大きいのは第3コンテンツ803、一番容量が小さい第4コンテンツ804というように設定されている。
情報提供サーバ60は、テーブルD800から車載器20が確実に表示できるような近いコンテンツを選択して、車載器20にこのコンテンツにアクセスするためのURLを含んだコンテンツを送信する。
ステップS706:情報提供サーバ60は、コンテンツに1つも同じコードがなければ、最低限のコンテンツ(例えば、テキスト情報のみ)を編成して、IP接続可能なURLを含んだコンテンツを車載器20に対して送信する。
図12は、車載器20が受信したコンテンツの一例である。車載器20は、対応したコンテンツを読み出してコンテンツに対応するIP接続を行う場合に、表示部23Gに表示されたアイコンの「ネットワークに接続」901を選択することで、対応したWebページにアクセスする。そのため、車載器20は、表示可能なIPコンテンツへの接続が可能になる。
以上のように、本発明によれば、車載器20が表示可能なコンテンツ形式の詳細をアップリンクすることで、情報提供システムは通知されたコンテンツ形式で構成されたIPコンテンツを配信することができる。
また、情報提供サーバ60は、予め配信するコンテンツの形式違いを複数編成しておくことで、車載器20が表示可能なコンテンツ形式と一致するコンテンツがなくても、一番近いコンテンツを配信することで確実にユーザは再生できる。
上記実施の形態における情報提供システム10及びこれを構成する各装置の細部構成および詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、上記の実施の形態では、主に道路沿いに設置される路側無線装置40A,40Bを用いている。この他にも例えば、駐車場などに設置される通信機能を備えた無線装置を用いてもよい。
また、上記実施の形態に係る情報提供システム10におけるトランザクションでは、図5に示すように、アップリンク情報の通知後にアップリンク情報の更新有無を確認するポーリングを行っている。この他にも例えば、アップリンク情報の通知後にVICSフォーマットによる公共情報などのデフォルトコンテンツを情報提供サーバ60が配信してもよい。
また、上記実施の形態の情報提供システム10が有する各構成ブロックの機能は、全てまたはその一部をソフトウエアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウエアで実現してもよい。例えば、制御部21、66における処理の全てまたはその一部は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現しても良く、その少なくとも一部をハードウエアで実現してもよい。
また、例えば車載器20を装置の全部または一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリーカード、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータ、例えば携帯電話、オーディオ機器、電子時計等にインストールし、車載器20として動作させ、あるいは、車載器20が行う工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば搬送波に重畳させて、車載器20となるコンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。